第96回 輸入物価指数から見る日本の「消費」など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第95回 なぜ日本は大東亜戦争を起こしたのか~辛亥革命後の中国~
<継承するの記事 第94回 訪日(来日)外国人による「消費」が国内の経済に与える影響

前回、ようやくシリーズ「第二次世界大戦」を再開したばかりなのですが、第93回の記事に対して、また新しくご意見をいただきましたので、その内容について掲載したいと思います。

再掲いたしますと、
全国スーパーマーケット売上高の推移

こちらのグラフ。つまり、「個人消費が伸びていない」とされる、特に8%増税後の安倍内閣ですが、私たちの生活に最も身近な、「スーパーマーケット」の売り上げで考えると、このグラフの通り、「消費」は右肩上がりで伸びていますよ、という私の主張です。
念のため、グラフは「税抜き」のデータから作成しています。

第94回の記事では、私のこの主張に対し、「確かに消費は伸びているように見えるが、安倍内閣に入ってから、外国人旅行者が増えており、「爆買い」でも話題になった。消費が伸びているのは日本人による消費ではなく、外国人旅行者による消費なのではないか」、という指摘を受けたことで、これに対する検証記事として作成したものです。

これに対して、さらなる指摘を受けたのが、「消費が伸びたのは、円安による『輸入物価の上昇の為ではないか』」という指摘です。
今回の記事は、これに対する検証記事です。

輸入物価指数から見る日本の「消費」

実は、以前にも私、同じような発想で記事を作成したことがあります。
第45回 「原油価格」と「為替相場」

この時も、当時マスコミで盛んに言われていた、「安倍内閣に入って、円安が進行しており、円安のせいで『輸入物価』が上昇し、国民の生活はますます大変になる」という理屈に対して、これを検証することが目的でした。

その結果、安倍内閣に入って以降、特に「原油価格の下落」によって輸入物価は下落しており、マスコミの主張とは全く逆の現象が起きていることをご説明いたしました。

今回問題となっているのは、私たちの生活に身近な「スーパーマーケット」での経済現象。
特に私たちにとって、最も身近に感じられるのは「食料品」だと思います。そこで、この「食料品」の輸入物価を検証することで、記事を構成したいと考えています。

輸入物価指数とは

輸入物価(全体)

まずはこちら。特に食料品に限定せず、輸入品目全体の「物価指数」を見てみます。
資料は日銀が出している「企業物価指数(2010年基準)というページから拝借しました。

「2010年基準」とあるように、輸入物価指数とは、2010年に輸入物価を100と考えて、これと比較して各年度の物価がどのように変化したのか、ということを表したものです。100を上回っていれば2010年よりも物価が高くなっており、下回っていれば安くなっている、という指標です。

この指標によりますと、2016年4月、最新の輸入物価指数は92.2、安倍内閣がスタートした2013年1月は104.2、消費増税が行われた2014年4月は126.9ですから、「輸入物価」全体で見ると、その値は2010年と比較しても、安倍内閣がスタートした時と比較しても、消費増税が行われたときと比較しても、軒並み「下落」していることが分かります。

特に、2014年11月を境に、全体の輸入物価は一気に下落しています。

食料品全体の「輸入物価指数」

輸入物価(全体)

さて、それでは。
こちらは、「食料品」全体の「輸入物価」の推移を表したものです。
このグラフによると、最新の食料品輸入物価は123.6、安倍内閣がスタートした時は122.2、消費増税が行われたときは134.1となっております。

確かに安倍内閣がスタートした時の「食料品輸入物価」は下落しています。
ですが、2013年5月まで上昇した後は上がったり下がったりを繰り返しながら、全体の輸入物価同様、2014年11月をピークに急速に下落していることが分かります。

食料品輸入額に占める割合が大きい品目ごとに「輸入物価」を見てみよう。

2016年4月商品別輸入概況

こちらは、ジェトロのホームページから見れる「食料品輸入品目」。「シェア率」がそれぞれの項目の占める割合、ということになります。

こちらを見ると、食料品の輸入額の大きい品目を見ることができます。
ここで見ると、「魚介」が最も多いようですので、この項目を見てみます。

「魚介」の輸入物価指数

輸入物価(農林水産加工品)
「魚介」といいながら、他国沖で水揚げした実際の魚介類は「輸入品目」には入らないようですね
こちらの図は「農林水産加工品」のグラフで、個々には果物の缶詰なども含まれています。安倍内閣スタート時よりは値上がりしていますが、やはり「消費増税時」の価格は下回っています。

輸入物価(農林水産加工品:項目別)
更にもう少し、詳細に表したものです。「魚介缶詰」「調整ウナギ」「調整甲殻類」の3項目です。
3つ同時に掲載していて、ごちゃごちゃしますので、消費増税が行われたタイミングだけ水平線を赤で入れています。
「魚介缶詰」が増税時より値上がりしていますね。
その他、「調整ウナギ」は安倍内閣スタート時、消費増税時ともに下回っており、「調整甲殻類」に関しては消費増税時の物価を下回っています。
但し、「調整甲殻類」は安倍内閣スタート時の物価指数が127、最新のデータが165ですから、他の項目とは異なり、大きく値が利しています。

「肉類」の輸入物価指数

輸入物価(畜産物)

次に多いのが、「肉類」ですね。こちらは、「肉類(畜産物)」の輸入物価指数です。

輸入物価(畜産物:項目別)

それぞれが特徴的で、「牛肉」は安倍内閣スタート時の輸入物価も、消費増税時の輸入物価も上回っています。
2014年11月以降、急速に下落する傾向は食料品輸入物価全体の推移ともよく似ています。

一方、豚肉の価格はほぼ横ばいで、安倍内閣スタート時は上回っているものの、消費増税時は下回っている。
鶏肉は横ばいから2014年11月で一気に下落しており、安倍内閣スタート時も、消費増税じも下回ってます。

「穀物」の輸入物価指数

輸入物価(穀物)

実は、私が最も着目すべきではないか、と考えているのがここ。
「穀物」の価格です。「穀物」には、これまでの他の調査項目にはない特徴がみられ、「消費増税時の輸入物価」が「安倍内閣スタート時の輸入物価」を下回っている。一旦下落した後、2014年9月~11月にかけて再度値上がりはするもの、やはり2014年11月より急速に下落しています。

輸入物価(穀物:小麦)

こちらは「穀物」の中でも特に、「小麦」の輸入物価の推移を示したものです。
「穀物」の様に、安倍内閣スタート時の物価を消費増税時の輸入物価が下回っているようなことはございませんが、その値はとても近く、最新の輸入物価は安倍内閣スタート時も、消費増税時も大きく下回っています。

「豆類」の輸入物価

輸入物価(豆菓子用種子)

最後になりますが、こちらは「豆菓子用種子」、つまり、豆類の輸入物価です。
ここも「穀物」と同じような動きをしていて、確かに安倍内閣スタート時の輸入物価よりも消費増税時の輸入物価の方が高くなっていますが、2013年5月をピークとして、あとはほぼ一直線に下落しています。

輸入物価(豆類:大豆)

こちらは、豆類の中でも特に輸入量が多いと考えられる、「大豆」の輸入物価指数です。
豆類全体と同様で、2013年5月を一つのピークに、上がったり下がったりを繰り返しはするものの、全体としてほぼ一直線に物価が下落しています。

まとめ

さて。それでは、改めて次の二つのグラフを比較してみましょう。

全国スーパーマーケット売上高の推移

輸入物価(食料品)

上が全国スーパーマーケット売上高の推移。下が食料品の輸入物価の推移です。
念のため、間違いがないように言っておくと、スーパーマーケット売上高はスタートが2013年1月から、食料品輸入物価は2012年1月からで、1年間タイムラグがございますので、そこは意識してご覧ください。

「消費が伸びたのは、円安による『輸入物価の上昇の為ではないか』」
という考え方。

確かに、2014年11月までを見れば、この考え方が通用しないわけでもなさそうです。
ですが、それ以降はどうでしょう。

時節はまだ2014年11月。「消費増税の影響」がまだ残っていたのではないか、と考えらえる時期です。
この月を境に、食料品の「物価」は一部を除いて下落しているにも関わらず、「スーパーマーケットの売上高」は上昇していますね?
これを見て、「消費が増えているのは『輸入物価が上昇したからだ』」と果たして言えるでしょうか。

むしろ輸入物価の下落は「消費価格の引き下げ」に作用されるべきもので、にもかかわらず売り上げが上昇し続けている、ということは、やはり「消費増税の影響など関係なく、消費は伸びている」という証拠に他ならないのではないでしょうか。

マスコミが報道しているから、政府が発表しているから、とその情報を鵜呑みにするのではなく、まずはその情報を疑い、検証していく姿勢こそ、本当にこの国の未来を信じ、明るく活力のある社会へと変えていく礎となるのではないでしょうか。


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このエントリーにお寄せ頂いたコメント

意見のやり取りみながら不思議に感じてました。
旅行者がくるのは魅力があるからで、其れの影響を兎や角言うのは屁理屈で、
スーパーの購入価額がよしんば、輸入物価のせいだとして何が悪いのか、そもそも其れを目論んでインタゲの筈。円安で輸入品が高くなるのは当たり前、其れ異常に大きな輸入国の中国経済失速で買われなくなって相対で安くなっているだけ。逆に中国経済失速してなければインタゲは達成している。輸出が少ないから円安で有利影響ないと言う方いますが、円安で国内貧困かした場合、国内品を買い内需が満たされます。玉葱五年前は半分中国から買っており、今中国からほぼ買ってません(アメリカは多いですが)。
付け加えますと、魚介は漁獲、為替、購入競争、原油で
穀類は出来高、バイオ補助金カット、購入競争、為替で、
畜肉はインフル、口蹄疫、強牛、クーガーの病気(去年酷く今年世界的解決)、穀類値段、為替、
豆類は出来高、天候、バイオ補助金カット、購入競争、為替
と、当然為替は影響あるものの、其れ以外の安くなる影響のほうか大きいだけ
で此はアベノミクスには関係無く、で正確に現状掴まないと、モバやブログ、マスメディアで嘘はく方々に理解してもらいたいですが(;^_^A
かっ at 2016/09/04(日) 21:05 | URL

かっさん、

根拠となるデータを示しても、理解しないか理解しようとしない、見えないふりをする人が非常に多く、私も困惑することが多いです。

他社の意見を受け入れ、一旦は同調して尚磨かれるのが「情報」だと思います。

自分が100%正しいと疑わず、自らの考え方とは異なる意見を受け入れない彼らの姿勢だと、結局新しい情報が全く入ってきませんし、小泉内閣の時で止まったまま。

とはいえ、某氏の意見の中にも徐々に私の意見が反映された内容が入ってきていることは少しうれしくも思っています。

輸入物価に関する情報、ありがとうございました(*^^)v
のんき at 2016/09/05(月) 15:14 | URL

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