第94回 訪日(来日)外国人による「消費」が国内の経済に与える影響など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第93回 全国のスーパーマーケットの売上高から見る「消費」

前回の記事で、「もう一つ私の『消費増税が行われても消費は増えている説』に釘をさす考え方がありますので、これを解説する記事を作成したいと思います」と掲載いたしました通り、今回の記事では、私の「消費増税が行われても消費は増えている説」に釘を刺すもう一つの考えに対する記事を掲載したいと思います。

私は、前回の記事においては「スーパーマーケットの売上高」という側面から、また第90回の記事等では「消費税から逆算した消費」という側面から、それぞれ増税後の「消費」が増えているという実データをお示ししました。

ところが、このように「消費は拡大している」ということを裏付ける資料を掲載すると、今度はこのような主張を行う人が現れます。

「確かに消費は拡大しているかもしれないが、安倍内閣がスタートしてから訪日(来日)外国人の数が増えており、実際に消費を起こしているのは日本人ではなく、外国人なのではないか」

と。つまり、「内需」ではなく「外需」ではないかという主張です。
私は確かに海外の需要に依存する政策は好ましくない。海外の経済事情によって簡単に覆ってしまう、という考え方に基づいていますから、このような主張も、確かに一理あると思います。

ですが、だからと言って「国内の消費が伸びていない」のかというと、必ずしもそうは言えません。
まず、一義的に喩え海外の人が起こした消費であったとしても、それは日本国内で働いている労働者の所得となり、所得が増えれば消費活動を行うようになる、という考え方があります。

そもそも、今回一連の記事を記すきっかけとなった理由は、「消費増税が行われたから、日本の消費が下落した」という主張があまりにも目立つから。そして、消費が下落していないことを示すと、「内需ではなく外需だ」という話になるわけです。
そこで、今回の記事では、では一体その「外需」、つまり外国人旅行者が日本国内で起こした「消費」とは、一体どのくらいの金額になるのか。
この視点から記事を作成したいと思います。

ちなみに、平成27年度の消費税収に関しましては、最新の統計データが公表されています。

平成27年度 28年4月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省

この資料によりますと、2015年度、4月末時点で「消費税収から逆算できる消費」は

2015年度4月末時点での消費税収 14兆7596億円÷8%増税後の国費となる消費税率6.3%×10≒234兆円

これに対し、増税前
2013年度4月末時点での消費税収 9兆0976億円÷5%時の国費となる消費税率4%×100≒227兆円

約6.8兆円の増加です。ふ~む・・・先月と比較すると減ってますね。「駆け込み需要」の影響でしょうか。
ですが、それでも6.8兆円です。消費税収の課税対象となる「消費」だけで、です。

一方GDPから産出しますと、年間トータルでの「家計」の消費支出は1.7兆円のマイナス。「民間住宅」が3160億円のプラスですから、所謂「家計」から生まれた消費は約1.4兆円のマイナスです。

一方「企業」の消費支出は
2010億円のプラス。企業の設備投資費が1.4兆円のプラスですから、トータルで約1.6兆円のプラス。

「政府」の消費支出は1.3兆円のプラス。政府の公的資本形成が5120億円のマイナスですから、トータルで0.8兆円のプラス。

つまり、家計は1.4兆円のマイナス、企業は1.6兆円のプラス、政府は0.8兆円のプラス。
これがGDPが算出している、2015年度全体を通じた「消費」の合計金額です。

後段では、「外国人旅行者による『消費』」が日本国内の経済に対して、どの程度の影響を与えているのか。
この視点から記事を作成します。


訪日(来日)外国人による「消費」が国内の経済に与える影響

このように、外国人が日本国内で起こした「消費」を見るときは、「国土交通省 観光庁」のホームページを参考にします。
訪日外国人消費動向調査

ここは、これまでよく参考にしてきた財務省や国税庁、厚労省などのホームページと比較すると、データの参照方法が難しくなっています。訪日外国人が日本国内で起こした「消費」のことを、「訪日外国人旅行消費額」というのですが、これは一括して「訪日外国人旅行消費額」としてまとめて掲載しているわけではなく、各年度のPDF資料に、分割して配分されていますので、これをいちいち取り上げていく必要があります。

データは4半期別に掲載されているのですが、これを集計するとこんな感じです。

外国人旅行消費額(四半期)

私のオリジナル資料ですので、意外と「ほしい」と思っている人もいるかもしれませんね。
利用はOKですが、どこかに私のブログ記事へのリンクを貼っていただけると嬉しいです。できれば画像ではなく、記事へのリンクを・・・。

資料説明ですが、青い棒グラフが各機関の実数。
赤い棒グラフは実数の前年同月比です。

さて。今回はさらにこれを、「年別」でまとめた資料も作成しました。
外国人旅行消費額(年度)

トータル金額をグレーで示し、これに2013年度、14年度、15年度の「前年との差額」を積み上げる形で掲載しています。
グレーの棒グラフの上に重ねているので、見えているグレーの部分は必然的に2012年度の実数となっています。

グリーンが13年度-12年度、ブルーが14-13年度、イエローが15年度-14年度の数字です。

このグラフから、増税前の2013年度の外国人旅行者旅行消費額と増税後、2015年度の外国人旅行者消費額を比較しようとすれば、その差額はブルーとグリーンを合算した数字になります。
即ち、

1兆3956億円+9285億円=2兆3241億円

これが、2013年度と2015年度の外国人力者消費額の差額=上昇額です。
さて。では改めて考えてみましょう。

前段でお示しした、消費税収から逆算した「2015年度の消費額(税抜き)」と「2013年度の消費額(税抜き)」の差額は6.8兆円です。
また、GDPに掲載されている「消費額」が正確であるとするのならば、企業と政府の消費額を合計した金額は2.4兆円。

つまり、4.4兆円が「家計」によって引き起こされた消費だということになります。
さて、そこでこの「家計」によって引き起こされた消費金額の中に、「訪日した外国人によって引き起こされた消費」が含まれると考えた場合。先ほどお示ししたように、その金額は2.3兆円ですから、先ほどの4.4兆円から2.3兆円をマイナスした金額。

2.1兆円分はやはり元々日本国内に居住していた人たちによって引き起こされた消費=内需だということが分かります。
ですが、GDPデータによると、この消費金額は「マイナス1.4兆円」であるといっているのです。

しかも、この「消費」は何度も言っていますが、「消費税の課税対象となった消費」だけであり、また消費税収統計はまだあと1か月残されています。(もし、万が一残された1か月の消費税収が昨対を大幅に下回るような結果であった場合は、私の推論は大きく崩壊してしまいますが)

私の推論を完全に証明するためにはあと1か月必要ですが、私はおそらく間違ってはいないと考えています。

さて、いかがでしょう。確かに訪日外国人が国内経済に与えている経済的な影響は小さくはありませんが、それでもだから日本人が起こしている消費が減速している、などという結論には至らないことがご理解いただけましたでしょうか。

現時点での消費税収が2014年度比で2兆8560億3200万円。2014年の決算額が16兆0289億5800万円
足して18兆8849億9000万円が現時点での2015年度消費税収決算見込み額です。

さてどうでしょう。2014年度5月の消費税収が4兆1253億円。単月で昨対3%を超えることができれば19兆円の消費税収に到達します。
アベノミクスは決して失敗ではなかったと、これを証明するためにもぜひ、19兆円の大台には載せていただきたいものです。


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