第92回 消費増税が先送りされた本当の理由など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第91回 衆参同日選挙の意義

本日記事を投稿する最大の目的は、以下の記事を掲載することにあります。
麻生氏 消費増税再延期を了承 衆院解散せずも確認

安倍総理大臣は、来年4月の消費税率の引き上げを、2019年、平成31年10月まで2年半再延期することについて、慎重な姿勢を示す麻生副総理兼財務大臣と、30日夜、改めて会談して理解を求めたのに対し、麻生副総理もこれを了承しました。

また会談では、再延期に伴う衆議院の解散・総選挙も行わないことを確認しました。

安倍総理大臣は、28日に続き、30日午後6時半すぎから東京都内のホテルで麻生副総理兼財務大臣と会談しました。

この中で安倍総理大臣は、来年4月の消費税率の引き上げを、2019年10月まで2年半再延期することについて、麻生副総理が慎重な姿勢を示し、仮に再延期する場合は衆議院の解散・総選挙を行う必要があるという考えを示していたことから、改めてみずからの考えを説明するなどして理解を求めました。

これに対し麻生副総理は、最終的に安倍総理大臣の意向を尊重し、再延期を了承する考えを伝えました。

また会談では、麻生副総理が主張していた衆議院の解散・総選挙について、公明党に加え、政府与党内にも慎重論があることも踏まえて、行わないことを確認しました。

消費税率の引き上げ再延期を巡っては、政府与党内に慎重論も残っていますが、参議院選挙を前に足並みが乱れるのは避けるべきだとして、再延期は受け入れざるをえないという意見が大勢となっています。

理由としては、私が前回の記事で「衆参同日選挙の意義」とのテーマで記事を掲載しており、まあ、この予測が外れましたよ、ということを述べておく必要がある、と考えたからです。

解散するケース、解散しないケース、どちらも考えられる状況ではありましたが、結果的に解散はしないケースで落ち着きましたね。麻生さんとしては、やはり解散総選挙をやりたかったんじゃないのかな・・・とは思うんですが、ここは安倍さんが押し切ったというところでしょうか。

ところが、、他の方の解釈を見ていますと、今衆議院を解散してしまうと、次回衆議院選挙が東京オリンピック直前になり、これはさすがにどの政党としても避けたいんじゃないか、との意見があり、これはなるほどな、と思いました。
元々安倍さんと麻生さんの間で示し合わせていたのか、それとも安倍さんが押し切ったのかはわかりませんが、これで一応の形はまとまりましたね。

この政策に対する審判を次期参議院選挙にて国民に問う、という形でどうやら落ち着くようです。
ただ、このまま私の記事をここで終わらせてしまっては、単なるニュース報告となり、後々につないで行ける記事ならないのではないかと感じますので、後段でここ数回の記事でまとめた私の「アベノミクス」に対する評価を総括し、一旦消費増税評についてはここで終了したいと思います。


アベノミクスは失敗だった?

本日中に野党4党は衆議院に対して「内閣不信任案」を提出するようです。
野党 内閣不信任案を午後提出へ(毎日新聞)

 民進、共産、社民、生活の野党4党は31日午後、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」が失敗したなどとして、内閣不信任決議案を衆院に共同提出する。同日中に衆院本会議で採決され、自民、公明両党などの反対多数で否決される見通しだ。

 安倍首相が来年4月に予定した消費税率10%への引き上げを2019年10月へ2年半再延期する方針に対し、野党は批判を強めている。首相は衆参同日選を見送り、参院選で有権者の審判を仰ぐ考えだ。

 民進党の岡田克也代表は31日午前の臨時常任幹事会で「前回総選挙で『17年4月に上げる状況に持って行く』と断言した。アベノミクスの失敗以外の何ものでもない。国民に対してのごまかしだ」と批判し、内閣不信任決議案を審議する衆院本会議で自ら問いただす考えを示した。安住淳国対委員長も記者会見で、「消費税を上げる環境を整備できず、内閣総辞職に値する。今日の不信任案が参院選の戦闘開始だ」と述べ、参院選で争点化する考えを示した。

 野党4党は30日の党首会談で、不信任決議案の提出方針と理由を確認した。昨年9月の安全保障関連法の成立に触れ「立憲主義と平和主義への重大な挑戦だ」と指摘したほか、「アベノミクスの失敗は、国民生活を破壊し、格差と貧困を拡大した」と批判した。

 甘利明前経済再生担当相を巡る現金授受問題や、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関する情報開示のあり方などにも言及し、「国民の声に耳を傾けない強権的な政治だ」とした。

 野党4党は参院選の1人区(改選数1、32選挙区)全てで、候補を一本化するメドが付いている。内閣不信任決議案の提出でも連携することで、参院選に向けた政権との対決姿勢を鮮明にしたい考えだ。これに対し、与党は不信任決議案を速やかに否決する方針だ。【朝日弘行】

この記事の中で、野党が掲げる「不信任案を提出する理由」は、

「前回総選挙で『17年4月に上げる状況に持って行く』と断言した。アベノミクスの失敗以外の何ものでもない。国民に対してのごまかしだ」

という批判にあると書かれています。。

「前回総選挙では、17年4月には消費税を『上げる状況に持っていくと断言した』」

とはつまり、前回、2014年11月21日に行われた総選挙では、消費増税を延期することを争点とし、ここで延長期限である「17年4月」にはアベノミクスにより経済状況を改善し、増税しても問題がない経済状況に持っていくことを安倍内閣は約束したのに、

消費増税を更に延期するということは、アベノミクスによる経済状況の改善に失敗した。アベノミクスは失敗であったということではないか

と、そう岡田民進党代表は言っているのです。

ですが、そうでないことは私がこのブログで散々お伝えした通りです。

唯一野党の主張と合致すると考えられる部分が「家計消費支出の伸び悩み」にあるのですが、これも実は「表面上そう見えるだけ」で会って、実際には家計の消費は拡大している、ということもお伝えしました。

家計消費が拡大しているという根拠

逆説的に、「家計消費が拡大していない」と野党を初め、安倍内閣を認めたくない連中が主張する根拠は主に2つです。
その一つ目が「消費者物価指数の伸び悩み」。もう一つが「家計最終消費支出の伸び悩み」です。

消費者物価指数から見る「家計消費が拡大している」理由

これを証明したのが第85回の記事にて掲載した、こちらの画像です。
2015年度CPI-2

クリックしていただきますと、拡大します。具体的にはリンク先記事(後半のかなり後の部分になります)をご覧ください。

要は、消費者物価指数を押し下げているのは「原油価格の下落」に伴った「エネルギー価格の下落」が主要因であり、それ以外の項目は(「住居」の項目を除き)すべての項目で上昇しており、中には10%を超える物価上昇率を記録している項目もある、ということ。
そしてこの「消費者物価指数」とは、「店頭に並べられている商品の店頭販売価格」ではなく、「店頭で実際に購入された商品の実売価格」であるということ。
つまり、消費されなければ消費者物価指数が上昇することはない、ということを記事中では掲載させていただきました。

家計最終消費支出から見る「家計消費が拡大している」理由

第85回の記事では、消費者物価指数だけでなく、「家計最終消費支出」の側面からも家計消費が拡大していることをご説明いたしました。
詳しくはリンク先より、「2015年度の名目GDP」という項目をご覧ください。

概要といたしましては、内閣府が発表している「GDP速報」を見ると、あたかも「家計最終消費支出」が下落しているように見えるのですが、これが下落している主要因は消費者物価指数と同じく「原油価格の下落」にあるということを掲載しています。

統計上、「名目GDP総額」からは「輸入物価」がマイナスされていますが、「家計最終消費支出」や『政府最終消費支出」などの各項目にはこの「輸入物価」が含まれています。
2014年度や2013年度の数値と比較した時、例えば「販売量」が同じであったとしても、「単価」が下落していれば見かけ上の「消費」は下落しているように見えます。

本来の「実質GDP」とは、このような「単価の下落」等には関係なく、純粋に「販売量」だけが比較されるべき指標なのですが、例えば2013年と2015年の指標を比較した時、ここには「消費増税に伴う単価の上昇」が混在していますので、本来のあるべき「指標」とはなりえていません。(これ以外にも、「実質GDP」が「指標」としては全くあてにならない理由を第53回の記事に掲載しています。)

「GDP速報」の資料を見ると、2014年度と2015年度を比較して、「輸入価格」は9兆円のマイナス、2013年度と2015年度を比較すると「輸入価格」は5兆円のマイナス。この「輸入価格」が「家計消費支出」を押し下げる原因となっています。
そして、それ以外の項目がプラス成長していることを示しているのが先ほどお伝えした「消費者物価指数」ということになります。

消費税収から見る「家計消費が拡大している」理由

(※この予測に関しては、既に2015年度の消費税収が確定しており、誤りであったことを第114回の記事にてご説明しています。正確性を欠きますので、一部追記にて修正を加えています。)

ここは、私オリジナルの経済指標の判断方法です。
「消費税」とは、「消費されたもの」に対してかけられる税収ですから、この「消費税収」から逆算すると、一体それぞれの機関、どの程度の「品目」や「サービス」が「消費」されたのかがわかります。

消費者物価指数や家計最終消費支出は、飽くまで「実際に消費されたもの」の中から、いくつかの消費品目を『サンプル』として抽出し、指数計算した「計算結果」にすぎません。ですので、実際の経済の動きが正確には反映されていないことも多く、たとえ「名目GDP」であったとしても、それが本当に経済の実態を反映できているのかというと、これはとても眉唾だと言わざるを得ません。

ところが、「消費税収」はこれらの指数とは異なり、「実数」です。
消費税収が、「家計」から発生したのか、「政府」から発生したのか、「民間」から発生したのか、これを明確にとらえることはできませんが、その合計値としては明らかに他の指標より正確な結果をもたらします。

計算方法については第90回の記事をご覧ください。

この指標を見ますと、増税前の2013年度と増税後の2015年度を比較して、「消費税の課税対象となった消費」だけで総額7兆円の消費(訂正:5.87兆円の誤りです)が拡大していることが分かります。(ここには「消費税収」は含まれていません)

ところが、これを「名目GDP」のうち、消費税の影響を受ける項目と比較すると、名目GDPでは「消費増税が行われた」にも関わらず(増税によって増えた単価分は名目GDPの値を上昇させます)、「消費税収を含まない」、「消費税の課税対象となった消費しか含まない」消費金額を約6.5兆円(訂正:5.37兆円の誤りです)ほど下回っています。

これは、「名目GDP」が、所謂「消費」を明確には反映できていないことを示しています。
これが、名目GDPに内在する「サンプルバイアス」という弊害です。

「アベノミクスが成功している理由」を示すデータはほかにもたくさんあるのですが、今回はここ数日のうちに掲載した記事の中で、特に「消費」という部分に着目したデータを示しました。

そして、この「消費」こそ野党が「アベノミクスは失敗した」と主張する部分でもあります。
ですが、私の記事を読んでいただければ、この野党の主張がまったく的外れであることが分かります。

アベノミクスは失敗したのではなく、

「消費税を10%に増税せずとも、8%のままで充分な社会保障サービスが施せる段階にまで到達した」

というのが今回安倍さんが消費増税を先送りした「最大の理由」です。

(追記:↑ここは完全な誤りです。引き続き社会保障財源は別会計からねん出する必要性が出ています。
ですが、アベノミクスにより「消費」が拡大したということは間違いのない事実です。)

このことをぜひ頭に入れて、今後の投票行動に反映していただきたいと、私は思います。


このシリーズの過去の記事
>> 第93回 全国のスーパーマーケットの売上高から見る「消費」
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このエントリーにお寄せ頂いたコメント

拝見していての私見を(今までもしていましたが関連する所へと思いまして)記入させていただきます。
特に戦後の日本でいくと経済学に関してあまり発達(簿記とかで無く)せず、正しい実態を掴めず、戦前に経験したことすら知識になっていないように感じます。
正しい現状把握出来ず誤った政策を選んだかと。勿論、その状況下で正しい選択出来たかも有りますが。
ですので、此方のように検証するのが大事ですよね。
デフレに関して、貨幣の価値が増すこと及び其からによる不況で有りますが、原因は大きく二点
供給過多
市場に対して必要な流動資産通貨の不足
日本の大きなデフレは松方デフレ、井上準之助蔵相デフレ、橋本消費税デフレ、民主党緊縮デフレ、世界で一番有名はギリシャ緊縮デフレと思います。
この内、松方デフレ、井上準之助蔵相デフレは紙幣の過発行や銀行の過設立があり解消すべき貨幣価値を持たせることをした後のデフレ対策が無かったこと、
橋本消費税デフレ、民主党緊縮デフレ、ギリシャ緊縮デフレはデフレ下に有りながらデフレの認識が無くデフレ進行政策をした為と思われます。
此のように見ても正しい現状認識が大事。
世間大多数の意見と私見は反対になりますが、橋本宰相の失敗は消費税で無く、消費税後の緊縮で集めた流動資産を国が停滞させた為かと。
アベノミクスは消費税後、配付を行い、其れにより流動性は上がったと見ます。
スーパーと言うデフレの象徴的な小売りでも販売を上げ、国の名目実質GDPも上げた。
正しく進んでいる結果かと。フィーバーと騒ぐ方多いですが、経済に何を期待してるのか。
かっ at 2016/09/04(日) 13:20 | URL

かっさん、いつもありがとうございます(*´ω`)
おっしゃる通り、全てのケースにおいて、必ず当てはまる魔法の政策などどこにも存在しないと思います。

必要なのは、過度に「信用創造」などというあやふやなものに頼るのではなく、実直に、本来必要な政策を、地道に継続していくことが一番必要なことだと思います。

このところ、為替の変動で株価が伸び悩んでいる状況にはありますが、それでも下落せず、少なくとも横ばいが続いていることを評価すべきではないか考えています。

円安の急激な進行は、確かに一時的に見えれば有効に見えるかもしれませんが、これは常にその反動によるリスクを背負っていることを踏まえる必要がありますよね。

為替や株価の変動に一喜一憂するのではなく、賃金や消費など、ミクロ的かもしれませんが、それでも私たちがより成長を実感できる分野に対する経済政策を実直に続けていくことが何よりもの経済対策ではないでしょうか。
のんき at 2016/09/05(月) 15:06 | URL

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