第90回 消費税収から消費を逆算する方法など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第89回 続・消費増税、再延期へ~安倍内閣のシナリオライター~

この方法を使った「消費」を他の経済指標と比較することで、私は何度か記事を記したのですが、ちょいと「ポカ」をやらかしていたので、この記事はこれを修正するために作成する記事です。

ちなみに、私が「ポカ」をやらかしている記事は以下の3つ。

第65回 「消費税収」と「名目民間最終消費支出」
第83回 続・「消費税収」と「名目民間最終消費支出」
第89回 続・消費増税、再延期へ~安倍内閣のシナリオライター~

89回の記事では、既に計算方法みミスがあることを分かった上で記事を記していますから、確信犯的に記事を記した・・・ということにはなります。
とはいえ、大勢に影響があるほど大きなミスではありませんので、この計算方法を示したからと言って、これまでの私の解析内容が覆るようなことはありません。
(※この計算結果に関しては、既に2015年度の消費税収が確定しており、この記事に掲載した内容とは別に、追加で「試算ミス」があることが発覚しています。第114回の記事にてご説明しています。ですが、この記事はあくまでも「消費税収から消費を逆算する方法」を掲載したものであり、記事内容に影響を与えるものではないと考えています。一部、追記で訂正を加えています。)

ただ、私が記しているような計算方法で経済を語っているブログやニュースソースにお目にかかったことはありませんので、読者の方の中で、「ああ、こんな消費の見方もあるんだ・・・」と、皆さんの中で一つの参考指標として経済を見る選択肢の中の一つに入れていただけると幸いです。

具体的な計算方法は後段にて掲載いたします。


月別の消費税収を知る方法

私がお伝えする「消費税収から消費を逆算する方法」は、四半期別に発表される「GDP速報」を見ずとも、名目での「消費」をある程度把握することが可能になる方法です。

勿論、消費者物価指数も毎月発表されていますから、ここからある程度の消費動向を探ることは可能です。
ですが、これはあくまでも「サンプルから計算された指数」であり、そのその信ぴょう性に一抹の不信感を抱くのもまた事実です。

ですが、「消費税収」から消費を逆算できるのであれば、これは「サンプル指数」ではなく「実数」ですから、より明確に消費動向を把握することができます。

前置きはこのくらいにして、本題に入ります。
「月別の消費税収」は財務省のホームページより、こちらのページ参照します。

租税及び印紙収入額調 > 統計表一覧

既に何度か私のブログでもご紹介していますので見慣れているかもしれませんが、こちらのページです。
平成27年度 28年3月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省

クリックしていただきますと、該当ページまで遷移できます。
「消費税収」は同ページ、項目名「税目」から下にたどっていくと「消費税」という項目がありますので、ここで確認できます。

見る必要があるのが、例えば掲載している画像は3月の税収ですので、「3月分」と「3月累計」という縦項目を見ます。
「3月分」は3月単独での消費税収。「3月累計」は4月~3月までの消費税収の合計です。

私のような人間はあまり単月で消費を見ることはせず、累計で見ることが多いです。
単月だと、季節の変化や気候等、その月独特の影響によって、政府の経済政策とは全く関係がなく消費が変動することがあるからです。

ただ、例えば「リーマンショックが起きた」とか、「東日本大震災が起きた」とか、何か特殊な事情により税収に変動があった場合は当然単月での変化も参考にします。各月の事件の影響が、一体何か月後に起きるんだろう、とか、その月の影響がその他の経済指標に対してどのような影響を与えるのだろう、などといった、「変化」や「関連性」を見るためです。

ちなみにリンク先でお示しをしている2016年3月のデータですと、単月が8253億円。累計で12兆9987億円です。

また、同じ表を横形で右側に移動していただきますと、「前年度」の「3月分」および「3月累計」という指標があります。
ここと比較すると、今年度は昨年度と比較して一体何円税収が増えているのかというデータを確認することができます。

またさらに右にスライドしていただきますと、「前年同月比」という項目があり、ここで今年の税収は昨年と比較して何%増えているのか、または減っているのかというデータを確認することができます。

これで見ると、2015年の2016年3月は昨年と比較して単月で119.7%、累計で127.4%に増加しているということが確認できます。
各月の「消費」はこのようなデータから類推します。

「消費税制度」の仕組み

次に、「消費税制度」の仕組みについて考えてみます。
私が「ポカをやらかした」と言っているのは、実はこの部分です。

画像としてはこちらがわかりやすいと思います。

消費税収の国・地方の配分と使途 財務省

財務省のホームページから拝借しました。
念のためにお伝えしますと、左側の画像は税率5%時の内訳、右側の画像は税率10%時の内訳です。
残念ながら5%と8%を比較した画像は見つかりませんでしたので、そのあたりはご容赦いただければと思います。

消費税の「税率」は、2014年度を境に、税率5%から税率8%に増税されたわけですが、実はこの税率のうち一部は「地方消費税」として国庫に入ることなく地方に分配されます。
一部は「地方交付税」として、一旦国庫に納税された後、地方に分配されます。

さて、それでは先ほどお示しした↓こちらの財務省データ
租税及び印紙収入額調 > 統計表一覧
なのですが、こちらには「国庫に納税された消費税収分」のみが掲載されています。

例えば、ここに「消費増税前」、つまり、「2013年度2014年3月」分の租税及び印紙収入額調を掲載してみます。
平成25年度 26年3月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省

この資料によりますと、増税前、2013年度3月の消費税収は累計で7兆9612億円となっています。

増税前の消費税率は5%で、国庫に入らない「地方消費税」は1%分となりますから、7兆9612億円は税率4%分の消費税収ということになります。
先ほどの画像に掲載しているとおり、さらに「地方交付税」は1.18%分となりますから、7兆9612億円のうち、1.18%分が「地方交付税」として地方に委譲されることになります。

消費税の使途 財務省
こちらは税率8%の内訳と10%時の内訳を比較したものです。

増税後である今年度、2015年度の税率は8%です。資料によりますと、このうち、「地方消費税」は1.7%。
2016年3月での累計が12兆9987億円ですから、これが税率8%から地方消費税分である1.7%を差し引いた残り6.3%分の消費税ということになります。

私が「ポカをした」のは、「租税及び印紙収入額調」の資料に掲載されている消費税収が、5%であれば5%分、8%であれば8%分の税収であると思い込んでいたところです。5%ではなく4%。8%ではなく6.3%だったということ。これが私の「計算ミス」を引き起こしています。(過去の記事には、ミスをしたままの計算結果を掲載しています)

消費税収から消費を逆算する方法

さて。ではいよいよ本丸部分。「消費税収から消費を逆算する方法」についての解説です。
数字は単純である方がわかりやすいですので、まずは増税前、2013年度の数字から計算してみます。

2013年度3月末累計が7兆9612億円です。これが、消費税率で4%分に当たることは先ほどご説明した通りです。
つまり、この数字を「4」で割ると、「1%」あたりの税収が出ます。割ってみます。

7兆9612億円÷4=1兆9903億円。
つまり、1兆9903億円が2013年度の税率1%あたりの消費税収ということになります。

この、税率1%あたりの消費税収を100倍すると、消費本体(税抜き)の金額が出ます。

1兆9903億円×100=199兆300億円
これが、2013年度3月末時点での累計の「消費金額(税抜き)」です。

それでは、次に増税後、2015年度3月末累計での「消費金額」を計算してみます。

2015年度3月末の消費税収は累計で12兆9987億円です。
これは、消費税率6.3%分に当たります。1%辺りの消費税収を計算します。

12兆9987億円÷6.3=2兆632.8億円
これが、2015年度3月末での1%辺りの消費税収
ということになります。

この数字を100倍すると、2016年度3月末時点での消費金額(税抜き)となります。

2兆632.8億円×100=206兆3285億円
これが、2015年度3月末時点での消費金額(税抜き)
となります。

さて、いかがでしょうか。

増税前、2013年度3月末時点での消費金額 199兆300億円
増税後、2015年度3月末時点での消費金額 206兆3285億円


その差額は約7兆3千億円です。ちなみに2015年度の消費税収の集計期間はあと2か月残されています。
そしてこの「消費金額」は「消費税の課税対象となった品目及びサービス」に限定した「消費金額」です。

なおかつ2013年度には消費増税に伴う「駆け込み需要」が発生しています。

また、2015年度の「消費」に関しては、第85回の記事でもお示しした通り、「原油価格の下落に伴うエネルギー価格の大幅な下落」が物価を大幅に押し下げており、エネルギー以外の項目では、軒並み「消費者物価」は上昇しています。

いかがでしょう。この結果を見てもまだ「安倍内閣では家計消費が下落した」といえるのでしょうか。
(追記:この章に記している内容は事実ですが、3月末時点での計算結果と会計年度トータルでの計算結果には大きな縮小が発生しており、メッセージ性としては誤解を与えかねない内容になってしまいました。ただし、トータルでの計算結果を以てしても、消費増税前と比較して、消費税収換算で5.87兆円の消費が余分に発生したことは事実です)

消費税の申告期間に伴うバイアス

最後に、私が第65回の記事にて誤った情報を掲載してしまう原因ともなった「消費税の申告期間」に伴うバイアスについてご説明しておきます。
中間申告の方法
こちらは、国税庁ホームページ←に同じ情報が掲載されています。

内容は、事業者が消費税納税を行う際の「申告期間」について説明したものです。

各事業、納税額に応じて「中間申告」を行わなければならず、その申告期間は、申告期間の直前の課税期間に確定した消費税額によって変化します。「直前の課税期間」とは、すなわち各事業者の「前年度」ですね。

納税額が大きい事業者ほど申告しなければならない回数が多くなります。

一年間の申告回数が最も多い事業者は4800万円を超える消費税を納めた事業者で、申告回数は確定申告も含めて12回。つまり、「毎月」申告を行う必要があります。

提出期限はその中間申告対象期間から2か月以内。
「租税及び印紙収入額調」に掲載されている集計期間が5月分まで掲載されているのは、政府会計年度最終月である3月の申告期間が5月期限となっていることに原因があるんでしょうね。

その他、申告期限には

400万円超~4,800万円以下 年4回
48万円超~400万円以下 年2回
48万円以下 年1回

というそれぞれの申告期限があります。申告月が毎月、という事業者は全く問題ないのですが、例えば申告月が年1回という事業所の場合。

政府会計年度は3月末が締日ですが、事業所によっては、例えば12月末が締日である場合があります。

申告年が、仮に増税年をまたぐ場合、4月~12月までは増税後の8%の課税利率となりますが、1月~3月までは増税前の利率が適用されます。
この納税が増税後の年度に行われますので、増税後に納税された税金の中にも、増税前の税率で納税されている税金があることになります。

2014年度の消費税収には、このような「バイアス」が含まれていますので、単純に消費税収から消費金額を逆算することができません。

おそらくこれで「消費税収から消費を逆算する方法」についての解説は完璧な解説となると思います。

これまでの記事で誤解を与える部分もありましたが、この記事が最終結論となります。
私の様に政府データを分析するマニアの人がいらっしゃいましたら、ぜひご活用ください。

(追記:完ぺきではありませんでした。マニアの方がいらっしゃいましたら、ぜひ第114回の記事までご覧いただいて、ご参考にしてください。)
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