第89回 続・消費増税、再延期へ~安倍内閣のシナリオライター~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第88回 消費増税、再延期へ(2016年5月27日現)

今回の記事は、前回の記事で、私がお示しした、「安倍内閣の裏でシナリオを描いた描き、画策した人物」について検証することが目的です。

私、このブログにおいても、様々な記事で「消費増税の必要性」を説いています。
その最大の理由を示した記事がこの記事です。

28回 日本国債を破たんさせる方法
改めて見返してみますと、直接は言及していませんね。

ですが、私が「消費税増税」が必要だと考えている理由はここにつきます。

「社会保障政策」とは、現在の日本では、一部を国民が自ら負担し、一部を政府が負担する形で支給されており、国民の「労働」に応じて支給されています。

ところが、現在の日本の社会保障費は、少子高齢化に伴い、毎年1兆円ずつ増額し、20235年までこの増加傾向は続くと言われています。現在日本の社会保障費のうち、国費が負担する金額は約40兆円で、これは日本の赤字国債の発行額に相当します。

日本のルールでは、社会保障費のために赤字国債を発行することはできませんので、形式上、日本の社会保障費は、国債発行額以外の部分、つまり「税収」から負担されています。

ところが、現時点でもこの社会保障費の部分は不足しており、本来他の分野の財源として用いるべき項目を流用して、社会保障費として充てています。本来充てられるべき「他の分野」は赤字国債の発行によって賄われていると、このようになるわけです。

ですが、いつまでも社会保障費の不足分を赤字国債の発行で賄うわけにはいきませんから、その財源を「消費増税」によって賄うことが構想され、消費増税が叫ばれるようになりました。(なぜ消費増税なのかは第33回の記事をご参照ください)

ですが、やり方によっては別に社会保障費の不足分を消費増税で賄わずとも、「赤字国債の発行」で賄うことは可能です。
日本国債が破たんする確率が非常に低いことは、何度もお伝えしましたし(最大の理由は、第27回の記事に掲載しています)、本来であれば社会保障費を赤字国債で賄ったとしても問題はないはずです。

ですが、それでも「消費増税をすべきだ」とした理由が28回の記事に掲載している内容です。

「社会保障を赤字国債で賄います」と政府がコミットメントする、ということは、「日本という国でわざわざ労働しなくても、あなたたちの将来の生活は国がまとめて面倒見ますよ」とコミットメントするに等しい状況です。民主党政権下で中々国民の生活が回復しなかった最大の理由はここにあります。

日本の国債の「信用」は、日本国民の「勤勉さ」に裏打ちされているということを忘れるべきではないと思います。


「安倍内閣のシナリオライター」
ここからは、半ば私の妄想にちかい世界の話ともなりますので、「なるほど、そういう考え方もあるのか」というような視点で見ていただけると嬉しいです。

私の考える裏でシナリオを描いていた人物・・・安倍内閣のシナリオライターとは、言うまでもなく麻生太郎さんです。
これ、ひょっとしたら2014年度の消費増税から含めて、全て計画的に練られた遠大な画策だったのではないかと考えています。

ただ、とはいえ、もともと私は14年度の増税は、「タイミングではない」と考えていました。そして、麻生さんも絶対増税はしない、と信じていた口です。

その理由は、麻生内閣当時に掲載されたこちらの法律。
所得税法等の一部を改正する法律 附則 第104条

ここに、以下のように記されていることが理由です。(※読み飛ばしていただいても大丈夫です)
政府は、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ、平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。この場合において、当該改革は、2010年代(平成22年から平成31年までの期間をいう。)の半ばまでに持続可能な財政構造を確立することを旨とするものとする。

要は、社会保障の不足する財源を補うため、平成20年度を含む3年間、政府は景気改革に対して集中的な取り組みを行い、経済状況を好転させることを「前提として」23年度までに消費増税を行うために必要な法整備を確立しますよ、という法律です。

ところが、麻生内閣は平成21年9月に退陣し、以降政策を継続することができなくなりました。
引き継いだ民主党内閣はあの体たらくでしたから、とても「景気回復に向けた集中的な取組」ができたなどとは考えられません。

つまり、安倍内閣が政権の座を引き継いだ時、とても「費税を含む税制の抜本的な改革を行うため」の「前提条件」がそろったとはいえない状況でした。

にもかかわらず、麻生さんは消費増税に踏み切った。(これは、安倍さん自身が、「確かに浜田教授のいうことももっともだと思ったが、麻生大臣の主張にも「なるほどな」と思ったから増税に踏み切った」と発言していましたので、この段階でのシナリオを組んでいるのは麻生さんだと考えて間違いないと思います。)

私としても、実はショックでしたし、これまで安倍さん・麻生さんのことを信頼していた、所謂「保守」を自認する数多くの人たちが一気に安倍・麻生ラインを突き放し、信頼から嫌悪へとまるで手のひらを反すかのように距離を取り始めた瞬間でもありました。

前段で述べたように、私は元々消費増税は必要である、と考えていたタイプです。
ですが、それでも増税するのであれば、日本経済が増税分成長し、増税に伴うダメージを吸収できる状況になって初めて増税が可能になる、と考えていました。

その、目下の目指すべきラインは、

「名目GDP3%、実質GDP2%、1%の物価上昇」

という成長ラインです。安倍内閣では2%の物価上昇率を掲げていますが、麻生内閣で掲げていた物価上昇率はこの数字です。
ちなみに、安倍内閣において目指している2%の物価上昇率とは、「消費者物価指数」の上昇率のことです。

内容としては、こちらが参考になるのではと思います。

この動画の中で、黒田日銀総裁が上記物価上昇目標についても言及しています。
前原さんが、その目標を「1%とするべきではないか」と問いかけるのですが、黒田さんは目標を2%に設定する理由として、このような発言をしています。

「消費者物価指数の上昇にはバイアスがかかるので2%にしている」と。
つまり、消費者物価指数が2%上昇したとしても、1%程度しか上昇していない可能性がある、と暗に言っているわけです。

この「バイアス」については、私自身も第53回の記事でお示ししています。

わかりにくいかもしれませんので、該当する部分だけ抜粋して掲載しておきます。
(※ただし、内容は簡単には理解しにくいものとなっていますので、読み飛ばしていただいても大丈夫です。)

GDPデフレーターとは、「名目GDP」÷「実質GDP」である、ということを幾度かお示ししたと思います。
ですが、実際に計算する際には、「(対象年(例:2年目)の財の価格×対象年の財の数量)÷(基準年(例:1年目)の財の
価格×対象年の財の数量」という等式で表されます。(パーシェ指数)

ですが、もし本当に価格が基準年の価格になるならば。

例えば、対象年(2年目)は価格が大幅に上昇したのに、基準年(1年目)は「価格が上昇していない」と考えて計算するわけです。
ですが、もし本当に対象年(2年目)の経済規模で、価格が下落したと考えたのなら、本当ならば「財の数量」は増加しているはずです。

つまり、基準年では、「財」の価格が下落しているにも関わらず、「消費量は伸びない」と考えて計算するわけです。
逆に対象年の財の価格が下落している場合も分母の側では「価格が下落していない」つまり、対象年と比較して物価が高い状態にある、と考えるにも関わらず、「消費は減らない」と考えて計算しています。

このことから、加重平均を取る過程で登場する「GDPデフレーター」では、実際の経済現象よりも、その影響が小さく過小評価されて算出されます。

一方で、実質GDPとは、「名目GDP÷GDPデフレーター」の公式で算出されますので、分母の影響が過小評価されている以上、実質GDPそのもの影響は「過大評価」されて算出されます。

つまり、消費増税により物価が大幅に上昇したケースでは、実質GDPの物価への影響として、消費増税に伴う物価上昇よりもさらに過大な影響が「バイアス」として加えられて算出されたことになります。

すこし話題がそれましたが、麻生さんはこのような目標が達成されていないにもかかわらず、安倍さんに「消費増税をすべきだ」と伝え、実行させたわけです。

麻生さん自身も、増税した上でのデメリットを理解していたはずです。
にもかかわらず、増税した。この理由を述べる際、麻生さんが持ち出していた理由は「国際社会の評価」という言葉でした。

また、とあるニュースでは、このような発言も掲載されていたように記憶しています。
「ドイツの財務大臣と話をしていて、確かにその通りだと感じた」というように。少し表現は違いますが、このような内容だったと思います。
うがった表現をすれば、麻生さんはドイツの財務大臣に「論破」されたわけです。

麻生大臣が国際社会に求めたもの

ここで思い出していただきたいのはこちらの動画です。

時々お示ししていると思うのですが、第19回の記事にて一部内容を文字起こししています。

一番肝心な部分のみ、抜粋します。
(国際社会が)早期の段階で実施すべきこと
1.不良債権の全貌を明らかにする
2.産業再生機構を作る
3.公的資金による資本注入を行う
4.「通貨」の流動性を各中央銀行が保障する。

中期展望として
再び危機が起こらないよう予防策を講じる必要がある。

重要な点として、この問題の根底にはグローバルなインバランス(経常収支不均衡)の問題があり、基軸通貨国アメリカへの世界中からの資本流入という形で、アメリカの赤字がファイナンスされるという根本があることを忘れてはなりません。

したがって、過剰消費国(アメリカ)において消費抑制策の実施と、同時にアメリカの巨大な消費需要に支えられて経済成長を遂げていた外需依存度の大きな国々において、自律的な内需主導型モデルへとシフトするときなのです。

リーマンショックが起きたとき、麻生さんと中川さんが何よりも優先させたのは、海外、国際社会への働きかけでした。
リーマンショックは海外の金融資本が原因となって発生した問題であり、日本国内でどのような政策を打ったとしても、これが解消されるわけはありません。

極端な円高、株安を解消するため、麻生さんはまず海外の経済状況から先に手を入れました。
麻生さんは、これを実現するために動いていたのではないか、と思うのです。

引用部分の最後に、以下のような文言が掲載されています。

重要な点として、この問題の根底にはグローバルなインバランス(経常収支不均衡)の問題があり、基軸通貨国アメリカへの世界中からの資本流入という形で、アメリカの赤字がファイナンスされるという根本があることを忘れてはなりません。

したがって、過剰消費国(アメリカ)において消費抑制策の実施と、同時にアメリカの巨大な消費需要に支えられて経済成長を遂げていた外需依存度の大きな国々において、自律的な内需主導型モデルへとシフトするときなのです。


これ、一見すると中国などの新興国に対して述べられているようにも見えるのですが、これは、ヨーロッパのいわゆる「投資家」と呼ばれる人たちが米国のリスクの高い金融商品を購入し、米国経済を支えている状況を意味しているのではないかと思われます。
この状況がいまだに解消されていない。
だから4月末に発生したような、明らかに国際金融資本が意図的に相場をコントロールしたような経済現象が起きるのです。
第80回の記事参照)

麻生さんが画策しもっとも解消したいと考えていたのは、このようにナチュラルな経済の動きではなく、莫大な資金を持つ所謂「金融資本」によってコントロールされる、グローバルな国際金融市場をの「いびつさ」にあったのではないでしょうか。

そして、その「莫大な資金を持つ金融資本」の中の代表格。その一角としてあげられるのが「ドイツ連邦銀行」の存在です。

「ドイツ」という国は、第一次世界大戦後、世界でもまれな「ハイパーインフレ」というものを体験し、先進各国の中でも特に「財政健全化策」に拘泥している国です。

おそらく麻生さんとドイツ財務大臣の間でのやり取りであったのではないか、と想像されるのは、

麻生さん:「お宅のドイツ連邦銀行とかいうあの巨大金融機関をどうにかしろ」
独:「一民間企業のことを政府にどうこうしろと言われても困る」
麻生さん:「お宅が財政健全化策ばかりを優先して、国内に対して何の投資も行わないからあいつらは海外の国々に多大なる迷惑をかけているんじゃないか」
独:「うちはお宅のように借金まみれではない。財政の健全化、黒字化をきちんと果たしている。その上で国内経済を発展させることにも成功している。お宅にどうこう言われる筋合いはない」
麻生さん:「安倍内閣に入って、日本も財政健全化にきちんと取り組んでいる。だが、お宅の巨大金融機関に好き勝手動き回られたんじゃ、安定した財政政策も打てない」
独:「ほんとに財政健全化に取り組んでいるのか? 国債格付けランキングでは他の発展途上国並みの格付けじゃないか」
麻生さん:「我々は2014年度、消費増税を行うこともすでに決めている。じゃあ増税したらお宅らはきちんと自国内への財政投資を行うのか?」
独:「本当にできればやってやるよ」

みたいな会話だったんじゃないか・・・と勝手に推測してみたりします。
いくら日本国内の経済・財政状況が安定したとしても、何かあるたびに、国際金融資本に好き勝手動き回られたのでは、はっきり言って日本単独では手の打ちようがありません。

あくまでも私個人の推測に過ぎませんが、今回の一連の消費増税に関連した動きというのは、このような国際社会との関係性の中からスタートしたんじゃないかと、私はそう推測します。

なんにせよ、今回の「消費増税先送り」はほぼ決定でしょう。
2015年度の消費税収は、今のペースが続けば、おそらく20兆円は超えます。

5%当時の消費税収から推測される8%増税時の消費税収は16兆円です(これは、若干計算ミスが含まれている部分もありますので、後日訂正記事を出します)。経済成長のみで、その金額を4兆円上回ることができるということは証明されたんですから、今年も含めてあと3年。
アベノミクスによる経済成長で、安倍内閣が現在策定している10%増税時の社会保障政策の実現が可能になれば、つまり社会保障政策の予算として政府が考えている消費税収=24兆円に到達すれば、すでに10%増税をおこなう必然性は失われます。
(追記:この時点の予測としては間違っていませんでしたが、結果的に私の予測に致命的なミスがあり、「すでに10%増税を行う必然性が失われる」といえる状態にまでは至りませんでした。詳細は第114回の記事にてご確認ください)

6月10日が時期参議院選挙の公示日。選挙は7月10日になるものと思われます。
公職選挙法違反になるといけませんので、まだ応援メッセージは掲載しませんが、私は当然自民党選出の議員さんを応援する予定です。

皆さま。ぜひ「本当に日本のことを考えてくれている立候補者はどなたなのか」。
このことをきちんと考えて投票行動を行ってくださいね。(^_-)-☆

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>> 第90回 消費税収から消費を逆算する方法
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