第71回 「パナマ文書」流出〜何が問題なのか〜など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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私は、市場の動向を把握する目的から、少額ですが「FX」を行っています。
連動して「株」も保有していた時期もあるのですが、現在は売却し、ただその動向を見るだけ・・・という形になっています。

一昨日ほどより、この「FX」が、急速に円高ドル安にシフトし始め、昨日は1ドル当たり109円台に突入するシーンもありました。
このような動きをしたのはドルだけでなく、基本、全通貨に対して起きた現象です。

ドル円
ユーロ円
オーストラリアドル
上から「USドル」「ユーロ」「オーストリアドル」に対する円相場の動きです。

過去5日間の動きで、画像はロイターさんより拝借しました。

これほどに急速に動くということは、単なる投機筋による売買だけでなく、もう少し大きな事件があったんじゃないか、とずっと探っていたのですが、ここで登場したのがタイトルにもある「『パナマ文書』流出問題」でした。

課税逃れ、国際的な大問題=パナマ文書で米大統領

【ワシントン時事】オバマ米大統領は5日、ホワイトハウスで声明を発表し、タックスヘイブン(租税回避地)の利用者を暴露した「パナマ文書」に関して、「課税逃れが国際的な大問題であることが改めて示された」と強調した。その上で「米国や他の国々が主導して税の抜け道をふさがなければ、阻止できない」と述べ、各国が連携して取り組む必要性を訴えた。

 オバマ大統領は、課税逃れの規模は世界全体で数兆ドル(数百兆円)規模と推定されていると指摘した。また「多くの行為が合法的なのが問題だ。法律があまりに貧弱で責任回避を許している」と批判した。(2016/04/06-05:46)


このニュースを見た段階で即この「パナマ文書」なる文言について理解し、これが為替変動の原因であると感じた方も多くいらっしゃるから私もこのパナマ文書流出事件が今回の為替変動の原因であることを知ることができたわけですが、正直この言葉でそこまでの認識ができる人、って、すごいな、と素直に感心しています。

後追いにはなりますが、私なりにこのニュースを解釈してみたいと思います。

そもそも、「パナマ文書」とは?

パナマ

ここが、「パナマ」です。
「パナマ文書」とは、その名称の通り、ここ「パナマ」で作成された「文書」です。
作成したのは、ここパナマに拠点を構える、モサック・フォンセカ法律事務所という法律事務所。
1970年代~2016年にかけて制作されたのだそうです。

「文書」ですから、つまりここには何がしかの情報が掲載されているわけですが、ここに掲載されている情報は、

「株主や取締役などの情報を含む、オフショア金融センターを利用する21.4万社の企業の詳細な情報」

であるとされています。Wikiによりますと、この「パナマ文書」とは「機密文書」つまり、政治、軍事、国家などに関する極めて大切な秘密がかかれた「文書」であるとされています。

このモサック・フォンセカ法律事務所。ではなぜ一介の民間企業が、このような「機密情報」を保有することができたのかというと、それはこの会社が提供している「サービス」に理由があります。

この会社が得意としているのは、「オフショア金融センターにおける企業の設立、オフショア企業の管理と資産管理サービスの提供」。その取引先の大部分が、「イギリスの海外領土のタックスヘイブンで登録する会社」なのだそうです。

これだけでは意味が分かりませんね。いくつか用語説明を行います。
オフショアとは
海外からの所得に対して、所得税や法人税がかからない地域での金融取引のこと

例えば、日本だと所得税の最高税率が45%で、年額で4000万円以上の収益を上げる企業に対してかかります。
そこで、資産を国内ではなく、税率の低い、もしくはまったくかからない地域に移し、ここで資産運用を行うことによって収益を上げれば、政府に対して無駄な税金を支払うことなく資産規模を増やすことができる・・・という考え方から生まれた資産の運用方法です。

年間で4000万円の収益を上げても半分以上政府に持っていかれたら、確かに効率が悪いですよね。
また法人税も、企業を無税地域に設立することで、国内に拠点を持たずに運用すれば、法人税がかかることもありません。

このような地域を経由して金融取引を行うことを、「オフショア」と呼びます。

オフショア金融センターとは

このような地域に設立される「オフショアを行うための金融機関」のことを「オフショア金融センター」と呼びます。

タックスヘイブンとは

このように、オフショアを行うために利用される、「無税」「非課税」地域のことを「タックスヘイブン(租税回避地:そぜいかいひち)」と言います。

つまり、モサック・フォンセカ法律事務所は、この「タックスヘイブン」と呼ばれる地域に「オフショア金融センター」を設立し、このオフショア金融センターを通じてオフショア取引を行う企業の管理とその資産を管理するというサービスを得意としていました。

Wikiには、「これらの銀行のクライアントのために、税務調査官に金融取引を追跡させることができない複雑な財務構造を作ることができる」とも記されています。

タックスヘイブンに各国の資産が逃げられてしまうと、政府は所得税等の税金を徴収することができませんから、海外で生まれた「所得」に対しても税金を課す、「タックスヘイヴン対策税制」と呼ばれる税制度を整備しています。
モサック・フォンセカ法律事務所は、この「タックスヘイヴン対策税制」を通じて税金を取るために追跡してくる税務調査官から、クライアントの資産をかくまっていたのです。

この行為はそれぞれの「タックスヘイブン」と呼ばれる地域の法整備下で行われているわけですから、この行為自体は違法ではありません。

ただ、このような方法を用いて、資産を「タックスヘイブン」に避難させている資産家や企業がたくさん存在する、という事実だけは残されているわけです。

今回の事件は、「匿名者」が、「ドイツの新聞紙『南ドイツ新聞』」に対して、(おそらくはハッキングによって手に入れた)情報を提供し、この提供された情報の分析が完了し、2016年4月3日に公表されましたよ、というニュースです。

そして、タックスヘイブンに資金を「隠していた」とされる人物の中に例えばロシアのプーチン大統領の友人や、中国の習近平国家主席の親族の名前が挙げられていましたよ・・・というのが今回のニュースの肝。

アイスランドのグンロイグソン首相に至っては、今回の事件で首相の座を辞任に追い込まれる事態にまで至っています。

日本国内でも、名だたる企業名が上がっているわけですが、個人的にはこの事件そのものに「違法性」があるかどうかを完璧に追跡することは事実上不可能ですし、いわゆる「モラル」に関連した部分のほうが大きいのではないかと思います。

例えば国民が収めた税金から得た所得を海外に避難させていた・・・的な。

タックスヘイヴン対策税制を回避していたという「疑い」だけはずっと残りますけどね。

【追記】
一点だけ、この「パナマ文書」問題について、私なりの考え方を述べさせていただきたいと思います。
色んな視点があるのは理解できます。
もちろん、「違法でなければいいのか!」とか、「金持ちだけ得をするのか!」などという意見があるのも理解できます。

ですが、このような問題を公にさらすことで、仮に全世界がまたリーマンショック並みの恐慌に陥ったとしたら、このような情報をリークさせた人たちは、どう責任を取るつもりなのでしょうか。

ちなみに、リークされた情報を解析し、詳らかに公開したのは、「ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)」です。
彼らにとって、これは「正義」なのかもしれません。
ですが、このことが原因で仮に全世界が恐慌に陥ったとしたら、その時にあおりを食うのは「富裕層」ではなく「貧困層」です。

その結果がもたらした惨状を、果たして彼らは「正義」であったと胸を張って言えるのでしょうか。

ただ・・・冒頭に示したグラフを見ていただければわかりますが、海外で「金融事故」が起きると、見事に日本の市場に資金が逃げてくる、というのは、なぜなんでしょうね。

これぞまさに「日本円が世界で最も安全な資産である」という証拠に他なりません。

円高が急速に進行すると、利益確定の為日本株が大量に売られますが、これは日本国内で起きた経済現象が理由ではありませんので、利益確定のために通貨に換えられた「円」は、再び売りに出され、安くなったところで再び買われて日本株に投資される、という循環が今後起きるということは何となく予測がつきます。

大切なのは、やはりこのような為替変動や株価変動に揺さぶられない、「実体経済における成長」を確立させることなのでしょうね。
ということで、今回の記事は連続ものではない、単発のニュース解説記事として掲載いたしました。


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