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第516回 学術会議任命拒否理由を説明すべき法的根拠の正当性など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>第515回 学術会議問題~民主主義科学者協会法律部会と判例から検証~

本日は令和2年11月20日…ということで、菅(すが)内閣が誕生してから早くも2カ月が過ぎようとしています。

学術会議の問題も少し時代遅れの様相を呈してきましたが、私としては本日の記事が最もオリジナリティの高い内容ともなっていますので、どうしても記しておきたい・・・ということで、空気を読まずに記事を作成していきます。

第514回 学術会議任命拒否は違法か?選任方法が変更された理由
第515回 学術会議問題~民主主義科学者協会法律部会と判例から検証~

こちら2つの記事に続く3記事目。学術会議問題についての完結編です。

第514回の記事では「学術会議法」そのものから、第515回の記事では平成17年に学術会議法改正が行われたその理由と結果という側面からそれぞれ記事を作成しました。

そもそも学術会議会員の選出方法に多くの課題があったわけですが、17年に行われた改正でもこの問題は解決されなかった。

会員全体に占める「法学者」の数に偏りがあり、更にその半数が共産党が設立した民間団体に所属する学者である…という事が現時点で学術会議法最大の課題です。

これを解消するために平成30年、「推薦」によって任命される他の法制度の過去の「判例」を下に、17年に法改正された学術会議法の「法的な解釈」を明確化するための協議が内閣法制局と学術会議事務局との間で行われ、学術会議事務局によってその書類が作成されました。

ここまでがこれまでの「あらすじ」です。

菅さんはこの「任命拒否」について、その理由を説明しようとしないわけですが、この事を「違法である」という意見を見かけることがあります。

私の予測としては、この理由を説明してしまうと野党によってさらに質問の応酬に晒され、国会審議で重要な審議等に時間をさけなくなることを想定してのものだと考えているのですが、ではこの菅さんの対応は法的に問題があるのでしょうか?

本日の記事のテーマはこの内容について記してみたいと思います。


学術会議任命拒否理由を説明すべき法的根拠

では、菅さんが任命拒否理由を説明しないことが「違法である」と主張する人たちは一体どのような理由でこれが
「違法」だと主張しているのでしょうか?

実は、この理由ではないかと考えられる法律がたった一つだけ存在します。それが「行政手続法」です。

行政手続法 

第8条
1.行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。

ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。

2.前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。

第14条
1.行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。

2.行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。

3.不利益処分を書面でするときは、前2項の理由は、書面により示さなければならない。

学術会議は「内閣府」に所属する行政機関、との位置づけですから、学術会議会員の任命とは「国家公務員の任命」を行う手続きになります。

国家公務員の任命は、「特許」という「行政行為」になるのだそうです。

で、もし今回の学術会議の問題において、菅さんの行った内容が任命「拒否」なのだとすれば、任命を拒否されたことによって不利益を被った人がいるはずです。

もしくは、学術会議法に定められている「会員の推薦」という手続きが、任命権者である総理大臣への「申請手続き」に該当するのだとすれば、その申請を拒否するわけですから、菅(すが)さんには前記した行政手続法第8条によって申請を拒否した理由を説明する「義務」が発生します。

この事が、菅さんに対して「拒否理由を説明すべき」「説明しないのは違法である」と主張する人たちのその「法的根拠」です。


任命拒否理由を説明しないのは違法なのか?

「会員の推薦」という手続きを「申請」と考えるのであれば、推薦を行った人間(もしくは団体)が申請をしているわけですので、推薦を行った現学術会議の会員が「申請者」ということになりますね?

では、行政手続法において「申請」という行政手続きはどのように定義されているのでしょうか?(後程ピックアップしますので、まずは枠内は読み飛ばしてください)

行政手続法

第2条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む。以下「規則」という。)をいう。

二 処分 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。

三 申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

四 不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。

 イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
 ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分
 ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
 ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの

五  行政機関 次に掲げる機関をいう。
 イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、宮内庁、w:内閣府設置法 (平成11年法律第89号)第49条第1項 若しくは第2項 に規定する機関、w:国家行政組織法 (昭和23年法律第120号)第3条第2項 に規定する機関、会計検査院若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員
 ロ 地方公共団体の機関(議会を除く。)

六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

七 届出 行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう。

八 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。
 イ 法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む。次条第二項において単に「命令」という。)又は規則
 ロ 審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)
 ハ 処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)
 ニ 行政指導指針(同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいう。以下同じ。)

行政手続法2条全体を掲載しましたが、この内「申請」については第3項に以下のように掲載されています。不利益処分についても掲載されていますので、ついでにピックアップしてみます。

申請 法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

不利益処分 行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいう。ただし、次のいずれかに該当するものを除く。

 イ 事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
 ロ 申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分
 ハ 名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
 ニ 許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの

「申請」の部分を見てみますと、以下のように掲載されています。

法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。


これが行政手続法における「申請」の定義です。

行政法における「特許」とは、「国民が本来有していない特殊の権利・能力・法的地位を与える行為」についていうのだそうです。

公務員の任命とは、まさにこの「特許」に該当するわけです。「公務員に登用」された結果、「特殊の権利・能力・法的地位」を与えられるわけですから、公務員の任命手続きは行政法第2条でいう「行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分」に該当しますね?

では、「学術会議法」にのっとって学術会議の現会員が推薦し、その結果としてその推薦された候補者が学術会議の会員として認定される手続きの場合はどうでしょうか?


「推薦」と「申請」

私、今回の記事の中で、学術会議よりの「推薦」について、「仮にこれを申請と考えるのだとすれば」という仮定の下にお話ししていますね?

では、学術会議よりの「推薦」とは、本当に「申請」に該当するのでしょうか。

仮に、学術会議よりの「推薦」を「申請」と考えるのだとすれば、その申請者は推薦を行った「現学術会議の会員」になることをご説明しました。

そして「申請」の定義の中に、「自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為」である、という文言が含まれていましたね?

仮に「現学術会議の会員よりの推薦」を「申請」であると考えるのだとすれば、行政手続法、「申請」の定義における「自己」とはすなわち「現学術会議の会員」だということになりますね。

定義を読みかえれば、「申請者に何らかの利益を付与する処分を求める行為」が「申請」なのですから。

では、「行政団体」であるはずの「学術会議」。その会員は当然「国家公務員」です。では、現在国家公務員であるはずの現学術会議の会員が、「自己の利益」を求める申請を行うことは、果たして法的に問題はないのでしょうか?

あくまでも仮定の話ですが、現学術会議の会員が「申請」を行うことによって、次期学術会議の会員が選出されることになります。

現在民間人である(現在国立大学の教授の場合は既に公務員)非会員が新たに学術会議の会員になることによって現学術会議の会員が利益を得る。

果たしてそのようなことが許されるのでしょうか?


「行政機関」の行う手続きは「行政手続法」によっては規定されていない

そうです。

当然前述したような内容は法律。「行政手続法」そのものによって否定されています。(枠内はまずは読み飛ばしてください)

行政手続法

第4条
1.国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る。)及び行政指導並びにこれらの機関又は団体がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る。)については、この法律の規定は、適用しない。

2.次の各号のいずれかに該当する法人に対する処分であって、当該法人の監督に関する法律の特別の規定に基づいてされるもの(当該法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分又は当該法人の役員若しくは当該法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。)については、次章及び第三章の規定は、適用しない。
 一 法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人
 二 特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、その行う業務が国又は地方公共団体の行政運営と密接な関連を有するものとして政令で定める法人

3.行政庁が法律の規定に基づく試験、検査、検定、登録その他の行政上の事務について当該法律に基づきその全部又は一部を行わせる者を指定した場合において、その指定を受けた者(その者が法人である場合にあっては、その役員)又は職員その他の者が当該事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるときは、その指定を受けた者に対し当該法律に基づいて当該事務に関し監督上される処分(当該指定を取り消す処分、その指定を受けた者が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる処分又はその指定を受けた者の当該事務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。)については、次章及び第三章の規定は、適用しない。

4.次に掲げる命令等を定める行為については、第六章の規定は、適用しない。
 一 国又は地方公共団体の機関の設置、所掌事務の範囲その他の組織について定める命令等
 二 皇室典範 (昭和22年法律第3号)第26条 の皇統譜について定める命令等
 三 公務員の礼式、服制、研修、教育訓練、表彰及び報償並びに公務員の間における競争試験について定める命令等
 四 国又は地方公共団体の予算、決算及び会計について定める命令等(入札の参加者の資格、入札保証金その他の国又は地方公共団体の契約の相手方又は相手方になろうとする者に係る事項を定める命令等を除く。)並びに国又は地方公共団体の財産及び物品の管理について定める命令等(国又は地方公共団体が財産及び物品を貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、信託し、若しくは出資の目的とし、又はこれらに私権を設定することについて定める命令等であって、これらの行為の相手方又は相手方になろうとする者に係る事項を定めるものを除く。)
 五 会計検査について定める命令等
 六 国の機関相互間の関係について定める命令等並びに地方自治法 (昭和22年法律第67号)第二編第十一章 に規定する国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係その他の国と地方公共団体との関係及び地方公共団体相互間の関係について定める命令等(第1項の規定によりこの法律の規定を適用しないこととされる処分に係る命令等を含む。)
 七 第2項各号に規定する法人の役員及び職員、業務の範囲、財務及び会計その他の組織、運営及び管理について定める命令等(これらの法人に対する処分であって、これらの法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分又はこれらの法人の役員若しくはこれらの法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分に係る命令等を除く。)

ピックアップしますと、

1.国の機関又は地方公共団体若しくはその機関に対する処分(これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の名あて人となるものに限る。)及び行政指導並びにこれらの機関又は団体がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る。)については、この法律の規定は、適用しない。

要約しますと、「行政機関と行政機関との間の手続きには『行政手続法』は適用しない」

と書かれています。

同じく4条の以下の条文では
2.次の各号のいずれかに該当する法人に対する処分であって、当該法人の監督に関する法律の特別の規定に基づいてされるもの(当該法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分又は当該法人の役員若しくは当該法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。)については、次章及び第三章の規定は、適用しない。

「行政機関が行った『不利益処分』には『行政手続法』は適用しない」

と記されています。

私自身、SNSで議論する中で、行政書士さんから直接教えていただいた内容にはなりますが、今回の学術会議の問題を考える上では皆さんの参考になると思いますので、今回記事にさせていただきました。

現学術会議の会員が行ったのはあくまでも「推薦」であり、当然「指名」ではありませんし、「申請」でもありません。

やはりその判断は 第515回の記事 にて私が掲載しましたように、他の法律で行われた「推薦」。その「判例」に基づいて判断されるのが適正であると思います。

つまり、菅さんが、次期学術会議会員候補者の一部をその推薦から除外したことに、ついて、その理由を説明しなかったことについて、これが「違法である」と裏付ける法律は存在しません。

つまり、菅さんは法令に則って粛々と自らの職務を果たしているのだという事がよくわかります。

30に上る学術会議の「専門分野」に対して、「法学者」のみが他分野の倍近い会員数を占めていて、かつその半数がなぜ共産党が設立した民間団体に所属する学者であるのか。

寧ろその「説明責任」は「共産党」にこそ求められるのではないでしょうか?




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