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第512回 改めて考える安倍内閣の評価~消費増税は正しかったのか~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<継承する記事>第511回 改めて考える安倍内閣の評価~赤木氏はなぜ自ら命を絶ったのか~

前回の記事を記したのが令和2年9月20日。本日が10月18日ですので、既に1ヶ月近く経過しております。お仕事の事情です。

「安倍内閣の評価」という記事を記すには既にドン・キホーテ状態となりつつありますが、私としてどうしても記したい記事が残されていますので、その内容を本日の記事とします。

前回の記事で、「『モリカケサクラ』について改めて検証する目的で記事を作成したい」と記していながら、まだ「モリ」の話しかしていないじゃないか、とツッコミを受けてしまいそうですが・・・。

ちなみに「モリ」についてはとうとう亡くなった赤木さんの上司の方の証言がニュースとなりまして、微細な部分で私の推測と異なる部分こそありましたが、ほぼ私の記事内容通りの証言をなさっていましたね。ひょっとすると次回以降でその話題に触れるかもしれません。

前置きが長くなりましたが、本日のテーマは安倍内閣で行われた「消費増税」について。

安倍内閣が終結して既に1か月を過ぎたわけですが、未だに「消費増税を廃止すべきだ」とか、「減税すべきだ」と言った意見をよく見かけます。

勿論、減税をすればそれだけ国民一人一人の負担は減りますから、「消費が増える」。消費が増えればまずは消費税収が増えますし、その分法人が儲かれば法人税収も増えます。法人が儲かれば雇用や給料にも反映されますから、当然所得税も増えます。

いいことばかりじゃないか・・・という意見があるのも最もです。

ですが、ではなぜ「消費増税」が行われたのか。これは、私の中には実は一つの結論があります。これを本日の記事とします。


政府の歳入と歳出を比較

よく、「プライマリーバランス(財政均衡)」が話題となることがあります。

つまり、国の税収(歳入)と歳出のバランスを均衡すべきだ、という話です。

ですが、これは私のブログでも散々述べていることですが、まず日本国政府は「60年償還ルール」というルールに基づいて国債を発行しており、たとえ国債を大量に発行したとしても、これは60分割されて60年にかけて返済されるので、毎年の負担は少なくなるという事。

また、国内に日本銀行券の発券機関。つまり「日銀」がいるため、仮に償還不能になるのであれば日銀に通貨を発行し、既発債に限りますが、これを購入させればよいという事。これは既に安倍内閣で黒田日銀が実行しており、多くの人が違和感を持たなくなっていると思います。

そして最終的に破綻に追い込まれるのあれば、日銀の資産である国債と政府の負債である国債を貸借対照表を連結させることで相殺し、0にしてしまえばよいという事。

このような理由から、仮にプライマリーバランスを無視して国債を発行し続けたとしても、よっぽどの妙な法律を作らない限り日本国債が破綻することはない。このようなことは多くの人が認識するようになっていると思います。

私自身そのような認識は有している、という前提条件で本日の記事をご覧ください。

話をサブタイトルに戻し、世間がまだコロナの影響に晒されておらず、コロナの影響を前提としない予算としては最新の予算となる令和元年の日本国政府の「歳入」と「歳出」を見てみます。

【令和元年度歳入】
令和元年歳入

【令和元年度歳出】
令和元年歳出

円グラフだと比較しにくいので、表にしてみます。

【歳入】
所得税 19.529兆円
法人税 12.065兆円
消費税 21.719兆円
その他税収(+印紙収入) 10.2兆円
公債金(つまり、国債) 32.5562兆円
その他収入 6.5888兆円
歳入総額 102.6580兆円

【歳出】
社会保障関係費 35.8608兆円
公共事業関係費 6.8571兆円
文教及び科学振興費 5.5055兆円
防衛関係費 5.5133兆円
経済協力費 0.5123兆円
その他 9.4483兆円
地方交付税交付金 15.8093兆円
国債費 23.3515兆円
歳出総額 102.6580兆円

歳入の内三大税収以外は印紙収入も含めてまとめてみました。
これを、歳出も含めてもう少し大まかにまとめてみます。

【歳入】
消費税 21.719兆円
その他税収(+印紙収入) 41.794兆円
その他収入 6.5888兆円
公債金(つまり、国債) 32.5562兆円
歳入総額 102.658兆円

【歳出】
社会保障関係費 35.8608兆円
地方交付税交付金 15.8093兆円
その他基礎的財政収支 27.6365兆円
国債費 23.3515兆円
歳出総額 102.658兆円

いかがでしょう。この時点で私の伝えたいことに気づいた方がいたとすると天才ですね。歳入をもう少しだけまとめます。

【歳入】
消費税 21.719兆円
その他収入 48.383兆円
公債金(つまり、国債) 32.5562兆円
歳入総額 102.658兆円

【歳出】
社会保障関係費 35.8608兆円
地方交付税交付金 15.8093兆円
その他基礎的財政収支 27.6365兆円
国債費 23.3515兆円
歳出総額 102.658兆円



税収の用途から歳入と歳出を比較

ここで、少しだけ本題とは関係のない、解説的な話題を入れます。

よく政府が行った消費増税について、「借金の返済のための増税だ」と吹聴する連中がいます。

ですがそんなことはまずありません。

ポイントとしてお伝えしますと、政府の税収は優先的に「社会保障費」に充てられます。

また更に上の表で言いますと、まず「地方交付税交付金」は「国費」としての目的では利用できません。

そこで、消費税収を含める国の収入(公債金を除く)=70.102 から地方交付税交付金=15.8093兆円を差し引いて「国費」として使う事のできる国の収入を算出します。

70.102兆円-15.8093兆円=54.293兆円

この金額が、令和元年度の「国費」として使うことができる金額です。

ここから、歳出の中で優先して充てられる「社会保障費」を差し引きます。

54.293兆円-35.8608兆円=18.432兆円

この金額が、令和元年度の政府の収入の内、「社会保障費以外の目的」で国費として使うことができる金額です。

では、令和元年度の「社会保障費以外の目的」で必要とされる歳出は一体いくらだったでしょう?

そう。27.6365兆円です。いかがでしょうか? 社会保障費以外の目的で国費として使う事のできる令和元年度の政府の収入は18.432兆円ですから、この段階で「赤字」になることがわかります。

では、「社会保障費以外の目的で国費として使う事のできる令和元年度の政府の収入」から、実際に「令和元年度の社会保障費以外の目的で必要とされる歳出」をマイナスしてみますと、

18.432兆円-27.6365兆円=-9.205兆円

となります。そう。約9兆円の赤字となりますので、消費税収で増えた税収を「借金の返済(公債金)」に使用するゆとりなど日本の財政にはありません。

この内、建設国債の対象となる「公共事業費」が6.8571兆円で、発行される予定の建設国債が6.952兆円です。不足する2.253兆円が赤字国債発行分で対応していることになります。

で、となってくるともう一つの政府の収入、「公債金」の内「特例債」、つまり「赤字国債発行分」は一体何に充てられているのか。

もうお解りですね。「赤字国債」は一体何のために発行されているのか。これは歳出にある「公債費」。つまり償還期を迎えた国債の償還額と利払いの支払いに充てられています。

ただし、60年償還ルールにおいて本来償還する必要のない公債費は「借換債」が発行されていますので、今回の記事の数字の中には含まれていません。


消費税を廃止するとどうなるか

極論になるのですが、「減税」を訴える人の中に「消費税の撤廃」を訴える人がいます。これは所謂「右派」の中にも「左派」の中にもいます。

私としてうっとうしく感じているのは実は左派の中の減税派より右派の中の減税派だったりします。それ以外の部分で考え方が近い分、これは非常に厄介です。

では、先ほどの歳入出から「消費税の撤廃」をしたケースを考えてみます。
【歳入】
その他収入 48.383兆円
公債金(つまり、国債) 32.5562兆円
歳入総額 80.939兆円

【歳出】
社会保障関係費 35.8608兆円
地方交付税交付金 15.8093兆円
その他基礎的財政収支 27.6365兆円
国債費 23.3515兆円
歳出総額 102.658兆円

当然消費税収が減るわけですから、歳入は減ります。そう。完全な赤字です。

で、冒頭でご説明した通り、「国債をいくら発行しても日本国債は破綻しない」という考え方に基づいていますので、当然この不足する金額は「国債」で賄います。

【歳入】
その他収入 48.7698兆円
公債金(つまり、国債) 54.275兆円
歳入総額 102.658兆円

【歳出】
社会保障関係費 35.8608兆円
地方交付税交付金 15.8093兆円
その他基礎的財政収支 27.8365兆円
国債費 23.3515兆円
歳出総額 102.6580兆円

さて。この状況の中で、改めて「税収の用途から歳入と歳出を比較」してみます。

やり方は一緒です。まずは歳入の内「その他収入(つまり国債発行以外の方法で調達できる収入の総額)」から国費として使用することのできない「地方交付税交付金」を差し引きます。

48.383兆円-15.8093兆円=32.574兆円

次に、ここから優先して財源が割り当てられる「社会保障費」を差し引きます。

32.574兆円-35.8608兆円=-3.287兆円

あれ?

そうです。国費から社会保障費を支給しただけで国費はなんと赤字になるのです。

この現状を皆さんはどのようにお感じになるでしょうか。勿論、歳出を削ることはできますが、それでも社会保障費以外の歳出を0円にするわけにはいきませんよね?

では、不足する財源をどうするのか。

既に表に記しています通り、「赤字国債の発行」で賄うより他ありません。不足する社会保障費の一部も含めて、です。

当然国家公務員の人件費も含まれますし、国会議員の給与も含まれます。水道代電気光熱費、防衛、教育科学、他国への経済協力。そのすべてが「赤字国債」で賄われることになるのです。

理論上は可能です。ですが、当然予測される「弊害」も生まれます。


社会保障費以外の国費を国債で賄うと日本で何が起きるのか?

国会議員の給与まで含めた国家公務員の人件費を、それこそ「政府の借金」で賄うとなった場合。

まず予測されるのが、失業者やそれを支援する団体等から「それができるんだったら失業者の生活費も国債で賄え」という声が上がることです。

更に現在社会保険料、年金保険料として労働者が支払っている社会保障の負担費。場合によってはベーシックインカムに相当する「生活費」までも国費で負担しろ、という声が上がってもおかしくはないでしょう。

仮にこれが実現される方向に向かうとすれば、意外に思われるかもしれませんが、失業率の増大。ひいては日本国内の生産力の低下。現在を大きく上回る外需への依存など、現在とは異なる様々な経済現象が発生することが予測されます。

大袈裟なことを言っているように聞こえるかもしれませんが、これは十分予測されることです。

そして、消費税の廃止を訴えている人の中でこの事をきちんと説明できている知識人、経済人を見たことが私はありません。

例えばこの状況で大企業に増税をすればいいとか、高所得者に課税をすればいいとか言った話を持ち出してくる人がいますが、人材不足の中で大企業に課税をすれば、当然大企業は経営難に陥るでしょうし、高所得者がそんな日本に財産を預けるでしょうか?

「消費税」が社会保障の財源として適切だとされる理由は、その「安定性」にもあるのです。


まとめ

今回の記事は、「消費税の撤廃」という極端な事例にフォーカスして記事にしてみました。

ですが、例えば5%に戻してみればどうかとか、5%に戻してみてはどうかとか、いろんな考え方があります。

個人的には8%に戻す、という考え方には一理あると思います。唯一私の今回の記事内容を打ち砕く論説を貼ることのできる考え方だとも思っています。

ですが、それでもせっかく10%に上げることができたのに、わざわざ8%に戻す必要もない、と私は考えています。

だったらその分を本当に生活に困っている人に分配する財源としたり、現在の制度の通り教育や育児のための財源として生かせばよいと思います。

今年度が終了してみなければ消費税収全体がどのように変化するのかはわかりませんが、仮に試算されている通りの税収が確保できるのだとすれば、政策としては決して間違ってはいないと思います。

「財政のモラルを守る」。

この記事が今一度その意味を考えるきっかけとなることを願って、今回の記事はおわりにします。

次回からは再びドイツに関連した記事に戻します。




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