FC2ブログ
第493回 消費減税を行うべきでない理由と第一次世界大戦後のドイツなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

ランキングサイト

この記事のカテゴリー >>新型コロナウイルスについて


新型インフルエンザの問題が深刻になり始めた頃より、与党内外を問わず、「消費減税を行うべきだ」とする論調が非常に目立つようになりました。

念のため、PCから見る場合、私のブログでは日付を見ることができない設定にしていますので、日付を申しておきますと、本日は2020年4月2日(18時半)です。

前々から気にしてはいたのですが、現政権のダメージにすらなりかねないほどに話題が大きくなってきていますので、私の考え方として本日の記事を作成することにしました。

タイトルにもある通り、私は今回のコロナウイルスの対策として「消費減税」という選択をすべきではないという考え方を持っています。


消費税の特色

一般会計税収推移(令和元年度)

こちらのグラフは、財務省HPに掲載されているもので、一般会計税収全体に加え、所得税、法人税、消費税を抜粋グラフ化したものです。最新の令和元年度版です。令和元年度の数字は予算ベースです。

なぜこのグラフを掲載するのかと申しますと、このグラフに「消費税」という税制度の特色が非常によく表れているからです。

一番典型的なのは平成20年度~21年度にかけて。一般会計税収が51兆円から44.3兆円に激減しているところです。更に翌22年まで下落は続いています。

その内訳をご覧いただきますと、平成20年~平成22年で、所得税収は16.3兆円→12.9兆円に、法人税は14.3兆→6.4兆にまで激減していることに比較しますと、消費税収は10.3兆→9.8兆にまでしか下落しておらず、寧ろ「横這い」と言っても言い過ぎではないかと思います。

では、仮にこの時に消費税率を5%→3%に引き下げていたとしたら、その後の税収は一体どうなっていたでしょうか?
もしくは今盛んに言われているように0%にまで引き下げていたとしたら、どうなっていたでしょうか?

人によれば、「たかが10兆」と思う人もいるかもしれません。ですが、その10兆が毎年続くことになります。その10兆円という税収が毎年失われていくことになるのです。

現在は安倍内閣で、所謂「アベノミクス」が効果を発揮していますから、「10兆」という数字に深刻さを感じないかもしれませんが、では一般会計税収が激減した平成20年→平成21年にかけて一体何があったのか。そう、「リーマンショック」です。

そしてさらに考えてみてください。当時は麻生内閣でしたが、麻生内閣は2009年9月16日に退陣し、そのあとを引きついたのは民主党鳩山内閣でした。では、その民主党政権の時、消費税収がなかったとしたら。

また、同政権下において、東日本大震災も発生しました。この時日銀は2週間で105兆、1か月で200兆を超える金融政策(短期証券を中心とする買いオペ)を実施しましたが、これに連携した経済政策を政権は何も実行せず、これだけの資金を無駄にしてしまったのが民主党という政権です。

政権に就く正統は全て優秀な政党である。そんな「性善説」に基づくのであれば話は別ですが、私は決してそのようなことはないと思います。これがまず一点です。


消費税収がなければ、一体どうやって財源を捻出するのか

この問題について、答えは一つしかありません。足りなければ国債を発行するしかないのです。


社会保障の財源としての消費税

消費税を8%から10%に引き上げるとき、安倍さんがあたかも消費税が国債の返済に充てられているかのような発言をしてしまいましたから、その後、これを根拠として消費税は借金を返済するために増税されたんだ、とする主張を見かける様になりましたが、そんなことは決してありません。

令和元年一般会計歳入出

こちらは令和元年度一般会計予算の内訳(期首・予算ベース)です。

この内左側が一般会計歳出。この内一般会計歳出として「社会保障費」が計上されており、その金額が33.9兆となっています。

「消費税収」は基本的に「社会保障費」に充てられることとなっています。消費税収は上記円グラフで見てもわかります通り、19.3兆円となっており、社会保障費の2/3程度の額に過ぎませんから、この額は当然全額社会保障費に充てられています。

不足する分が所得・法人税収より充てられ、社会保障費に充てられなかった税収が他の政策へと充足されます。

また更に、所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の19.5%(令和2年度より。元年度22.3%)は「地方交付税」として割り当てられることも定められていますから、この金額は除外して考える必要があります。

元年度予算で考えると所得・法人税より10.85兆円、消費税より4.3兆円、酒税以外で15.15兆円が地方に交付されますので、この分は社会保障費に充てることはできません。差し引くと三大税より37兆円を国税として利用することができます。

「その他」を合算しますと47兆円になります。

では、仮に消費税率を0%ととした場合、一体一般会計税収はいくらになるのでしょうか?

消費税の一般会計税収は約19.4兆、このうち4.3兆が地方交付税ですから、これを差し引くと約15兆が国策に使える消費税収です。

この額がすべてなくなりますから、一般会計税収は47兆から15兆を差し引いた32兆。

わかりますね? 令和元年度の社会保障費は約34兆ですから、当然赤字です。不足する社会保障費だけでなく公共事業費、国家公務員の給与、国防費、水道代光熱費、家賃などもろもろの国費をすべて「国債」で賄う必要性が生まれます。

更に、このケースは令和元年度、安倍内閣で比較的景気が良い時代の予算で考えています。

仮にリーマンショックや東日本大震災、そして今回のコロナショックのような大事件が起きれば当然所得・法人税も大幅に減収します。

そうなれば社会保障費でも「国債」で賄わなければならない部分が大幅に増大します。

今「消費税0%減収」を訴えている人は、そこまでの自覚があって訴えているのでしょうか? 私にはとてもそうは思えません。


第一次世界大戦後のドイツはなぜハイパーインフレーションを起こしたのか

この事は、まさに私が↓こちらの記事

第471回 ヴェルサイユ条約と敗戦後ドイツの「ハイパーインフレーション」

で話題にしています。

ポイントだけかいつまんでお話ししますと、

・敗戦後のドイツはフランスとベルギーへの賠償に応じることができず、フランスとベルギーにドイツ最大の生産拠点である「ルール地方」を占領される。

・ドイツ政府はルール地方の労働者にストライキを呼びかけ、代わりにドイツ帝国銀行による「紙幣増刷」でドイツ国民の生活を保障した。

・結果、物価が高騰し、第一次世界大戦後のドイツは「ハイパーインフレーション」に陥った。

この3つがポイントとなります。

ドイツがハイパーインフレーションに陥った理由はこの内二つ目。

「ドイツ政府はルール地方の労働者にストライキを呼びかけ、代わりにドイツ帝国銀行による「紙幣増刷」でドイツ国民の生活を保障した」

この事が最大の理由です。

同じことが日本でも起きる、というつもりはありません。ですが、消費減税を行い、財源を大幅に減らした上で、更に「全ての」国民の所得補償を行うというのであれば、これを主張する人は同時に「日本国内における生産の重要性」も訴えていく必要があります。

ですが、それが不可能になりかねない状況にあるのが今の日本です。


「目先の利益」に追われる無責任さ

長々と記事を作成してきましたが、一つご注意いただきたいのは、

不足する社会保障費だけでなく公共事業費、国家公務員の給与、国防費、水道代光熱費、家賃などもろもろの国費をすべて「国債」で賄う必要性が生まれます。

という部分。

私が消費税が必要だと考える理由は、「国家が最悪の事態に陥ったときのことを想定した税制度が必要だ」と考えるからです。

仮に今この国難の時期に、国家公務員の給料や政府施設の家賃、国防費までを「国債で賄います」と政府が発表したら、国民は一体どのような印象を受けるでしょうか?

更に社会保障費の大部分が国債で賄われるとなった場合、国にどのようなことが起きるでしょう?

最も危惧すべきは日本国民の「労働する意欲の低下」。日本の国債の信認は、日本国民の勤勉さによって支えられています。

安倍内閣に入って日銀による大量の「買いオペ」が実施され、それでも日本国債の信用(国債の金利)が悪化することがない、という事を多くの国民が知ることになりました。

となると、国民の生活の大部分を政府が負担するように求める声が大きくなることが当然想定されます。

「労働しない者の所得を国家が保障しろ」という声は当然大きくなります。では、そうなったとき、一体だれが日本国民の「労働する意欲」を担保するのでしょうか?

全て国債で賄い、「消費」の部分のみを下支えしたとしても、同時に「生産」の部分が「意欲」の部分まで含めて保障されなければ、当然日本国民の生活必需品は海外の生産に依存してしまうこととなります。

今はコロナショックで海外も大変な状況にありますから、日本国内の生産に戻る傾向が強くなる・・・という理屈が通用するのは今だけです。

将来も同じ状況が続くとはだれも断言できません。コロナ問題が解消された時の私たち国民の生活まで想定して「政治」を行うのが今の政府の役割だと思います。

「分配」は一時的なものですから、国債発行によって賄うのもありだと私は思います。仮に所得補償といった感じである程度の期間継続した支出が必要になったとしても、国民が再び就労し、あるは事業を再開したときには当然中断されます。

ですが、「消費減税」によって失われる財源はそういうわけにはいきません。仮に「将来増税する」ことを附則したとしても、安倍内閣における増税のいきさつを考慮すれば、それが簡単なことではないことは容易に想像できるはずです。

特に自民党の一部の国会議員の皆さんに言いたい!!

易きに流れ、対極を見失うような真似だけは絶対にしないでいただきたい、と。




このシリーズの次の記事
>> 第494回 「たかがマスク2枚」~アベノマスク報道に思う事~
このシリーズの前の記事
>> 第492回 新型コロナウイルスと新型インフルエンザ対策等特別措置法

にほんブログ村 政治ブログへ にほんブログ村 経済ブログへ

このシリーズの一覧をご覧になりたい方は>>新型コロナウイルスについて よりご確認ください


このエントリーにお寄せ頂いたコメント

URL:
コメント:
 

スポンサードリンク

Copyright © 真実を問う!データから見る日本 All Rights Reserved.
ほったらかしでも稼げるFC2ブログテンプレート [PR]