第48回 「軽減税率」を問うなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

ランキングサイト

この記事のカテゴリー >>ニュースの見方


<前回の記事 第47回 「内部留保」の問題点

前回の記事でご案内した通り、今回の記事では、「軽減税率」について私の私見を掲載させていただきます。
記事はこちらの記事から。
「食品全般」「外食は除外」自公が正式合意 財源1兆円は結論先送り

前回の記事では、NHKソースの記事を張っていたのですが、既にリンクが切れていましたので、今回は産経へのリンクを張っています。

とはいえ、私は第33回の記事および第34回の記事におきまして、ある程度私の考え方はお示ししていますので、今回の記事はそのリライトという形になります。

「消費税」の特徴と問題点

抑々、ではなぜ「軽減税率」が必要だと言われるのかというと、それは「消費増税」が行われると、国民が支払わなければならないお金の量が増えるから。
消費増税とはもともと2023年~2025年にかけて、毎年1兆円規模で支出が増えていくと考えられる、「年金・高齢者医療・介護」の財源が不足するため、その財源として政府が仕掛けた政策です。

第33回の記事でもお示しした通り、消費税とは、「景気の良しあしに関わらず、一定の収入が期待できる税収」です。

理由は簡単で、「消費税」とは、「景気の良しあしに関わらず消費されるもの」に対してかけられる税金であるからです。

一般会計税収の推移

こちらは、第33回の記事にも掲載した資料です。
ご覧のとおり、消費増税が行われた平成9年(1997年)以降継続的に、多少の上下こそあるものの、ほぼ一定の税収が確保できています。
社会保障費とは、景気がよかろうが悪かろうが、ある一定の支出が必要となる分野です。
所得税や法人税のように、景気変動の影響を受けやすく、経済状況によって変動する財源は社会保障の財源としては向いていません。消費税が社会保障の財源に適しているといわれる所以です。



現在の日本人の中で、最も人口が多い世代が終戦直後に生まれた世代で、2023年~2025年の3年間に75歳(後期高齢者)になる世代です。
社会保障費の増大はこの時がピークで、この3年間までに毎年1兆円ずつ財源が増えていく、とされているわけです。
今年が2015年ですから、今年と比較して、ピーク時で10兆円の財源が不足することになります。105%の当時で消費税収が10兆円ですから、その2倍の税収が必要となる、というわけです。もちろん、増税前で既に赤字国債を発行して対応していた部分があったことを考えると、本来は「それでも足りない」ということになるのでしょうけれども。

ところが、「消費増税」を行うということは、全ての国民が一回の買い物当りに支払わなければならない金額が一律に増えることを意味しています。
これは、消費者にとっては「負担」となります。特に所得の低い人たちにとっては、より負担感が増すことになります。
このことを「逆進性」と呼び、そもそも「軽減税率」が議論の対象となった理由として、この「逆進性の解消」を理由として挙げるマスコミや経済学者が多く存在します。
また、軽減税率を導入することによる「財源不足」を指摘する人もいます。

「軽減税率」の問題点

ですが、私の考える「軽減税率の問題点」とは、少し異なるところにあります。
抑々、「消費税」とは、「景気が良かろうが悪かろうが、一定の財源が確保できる税金」であるからこそ「社会保障のための財源」として選ばれているわけです。

「軽減税率」の対象となる項目は、私たちの生活に密着した分野であり、「景気が悪い時でも、ある一定の消費が期待される項目」です。
代わりに軽減税率の対象とならない項目は、景気が悪くなると一気に消費が鈍り、税収が激減する項目です。

軽減税率を導入するなら、それが「消費税」である意味は失われてしまいます。
本来であれば導入すべきは還付付き税額控除だという私の主張は、第34回の記事でもお伝えした通りです。

「軽減税率」を前向きにとらえる考え方

ただ、一つだけ「軽減税率」の導入をフォローできる考え方があります。
平成27年度 10月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省

こちらは、今年度。平成27年10月時点での税収の統計を掲載した資料で、財務省のHPに掲載されているものです。
第29回の記事で平成26年度の税収の決算額をお示しする資料としても、同様の資料を掲載しました。

左側が今年度、右側が前年度の集計結果です。
「前年度」の更に右側に、「前年同月比」という項目を見ることができます。
ここに、「10月分」および「累計」という項目がありますね?

「10月分」は今年度10月単月の税収と昨年度10月単月の税収を比較したもの。
一方「累計」は、今年度4月~最新月までの税収の累計を昨年度と比較したものです。

今年度の集計が開始されたのは6月分~ですから、合計5か月分の累計になります。

この表で、「消費税収」に関する項目を見ていただきますと、消費税収の「前年同月比」「累計」が「135」となっていますね?
これ、今年度の消費税収の累計が、10月末時点で昨年の10月末と比較して135%になっていますよ、ということです。

具体的な数字で見ますと、昨年度の消費税収10月末累計が4.46兆円なのに対して、今年度の10月末累計は6.06兆円。10月末の時点で1.6兆円増額しています。

今年度の税収がこのペースで増えた場合。
昨年度1年間の消費税収が16.028兆円ですから、16.028兆円の35%分。即ち5.6兆円の増収になるということです。
トータルで21.6兆円。ちなみに消費増税前、平成25年度の消費税収は10.35兆円。増税前と比較して、11兆円の税収増となります。

さて。思い返してください。
政府が消費税1%当りに期待している税収は2兆円。8%税率に期待している税収は16兆円、10%に増税された場合に期待している税収は20兆円です。

そう。もしこのままのペースで税収を増やしていくとすると、今年度の消費税収はわざわざ10%増税など行わずとも、10%増税時の税収を上回る額を確保できてしまうことになります。

もし仮に、政府がここまで考えた上で軽減税率の導入を決定したのだとすれば、それは中々の判断だと思います。

軽減税率の行方

軽減税率の財源に税収上振れ充てられない=麻生財務相

また一方で、麻生副総理がおっしゃっているように、この「税収の上振れ」とは、アベノミクスの効果によって、たまたま税収が増えているだけ。来年も、再来年も同じ状況が続くという保障はどこにもない、という考え方もできます。

一方で、既に述べたように、社会保障費の増大のピークは2025年です。これ以降は、ほぼ横ばいから下落する傾向になると考えられます。
つまり、「それまで持たせればいい」という考え方もできるわけです。

こういった腹の内が読みにくいのも麻生さんの特徴ですね。
発言内容こそまるで教科書のような、財務省の思惑をそのままなぞったような表現をしますが、頭の中では別のことを考えていて、嫌われ者を演じることで、逆に安倍首相の評価を上げようとしているような、そんな感覚も覚えます。

昔、「国債の金利」に関して、麻生さんがこんな発言をしたことがあります。

「私は国債を発行したら、国債の金利が上がるものとばかり思ってたんですよ。そのつもりで予算も組んでいます。
ですが、逆に下がったんですよ」


少しあいまいですが、このような趣旨の発言であったと思います。
これは、見事な「麻生節」です。国債を発行しようが狭いが、日銀の量的緩和を続ける限り、国債の長期金利が下落し続けることなど、麻生さんが知らないわけがありません。
そのつもりで黒田総裁と組んで金融政策を実行しているわけですから。

一方で「国債の信用が落ちれば金利が上がる」だとか、絶対にそんなことは考えてないだろう、というセリフまで堂々と発言していました。
財務省主導に見せかけて、財務省そのものに、麻生さんの考え方を長い期間かけて浸透させようとしているのではないかとか、そんな印象すら受けるわけです。

ともあれ、軽減税率が導入されることになった以上、それを前提とした思考で政策の行方を判断していくことが必要になります。
「アベノミクス」のお手並みを拝見したいと思います。

次回記事では、Facebookに記事を上げたところ、なかなか話題になった、「夫婦別姓」の問題について記事にしたいと思います。

このシリーズの過去の記事
>> 第57回 民主・維新の党合併に思うこと
このシリーズの新しい記事
>> 第46回 上振れした『税収』の活用方法 にほんブログ村 政治ブログへ にほんブログ村 経済ブログへ

このシリーズの一覧をご覧になりたい方は>>ニュースの見方 よりご確認ください


TOPニュースの見方第48回 「軽減税率」を問う

このエントリーにお寄せ頂いたコメント

URL:
コメント:
 

スポンサードリンク

Copyright © 真実を問う!データから見る日本 All Rights Reserved.
ほったらかしでも稼げるFC2ブログテンプレート [PR]