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第478回 年金制度に対する私の誤った分析結果を再検証しますなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>日本の年金


<継承する記事>第477回 改めて分析する基礎年金勘定~誤っていた私の分析結果~

前回の記事に引き続き、「基礎年金勘定」に関する私の認識の誤りを検証し、その結果から過去の記事をどう訂正していくべきなのか。これを検証することを目的とした記事を作成します。

前回の記事をまとめますと、年金会計全体の内、国民年金の全額、及び厚生年金の基礎年金部分を管理するために設けられている「基礎年金勘定」。

ここには二つの「支出項目」があります。

一つが 

 「基礎年金給付費」。

もう一つが

 「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」

です。指摘をいただくまでの私の認識としては、年金を給付する際、「基礎年金部分」を全額基礎年金勘定から国民年金勘定、及び厚生年金勘定に繰り入れ、そこから受給者に対して支払われていたと思い込んでいました。

年金制度2

このグラフを見ていただくとご理解いただきやすいでしょうか。

年金受給者は「第一号被保険者」「第二号被保険者」「第三号被保険者」に別れており、第一号被保険者とは全ての保険者の内、「国民年金(基礎年金)」しか受け取ることができない人。

自営業者や学生さんなどがこれに該当します。その他、就労することができない人、もしくは就労していても厚生年金が適用されていない人なども含まれていますが、自営業者以外は基本的に「免除」もしくは「減額」が適用されていると考えられます。収入がなくて支払うことができませんからね。

「国民年金勘定」で管理されているのはこの第一号被保険者の皆さん。

第二号被保険者の人は国民年金以外に「厚生年金」を受け取っている人。「被雇用者(労働者)」の事です。

厚生年金部分はその1/2を企業が負担しています。

厚生年金勘定で管理されているのはこの「第二号被保険者」の事。この他、第二号被保険者の配偶者の事を「第三号被保険者」といいます。ポイントとなるのは、「第二号被保険者」は「厚生年金」だけでなく、同時に「国民年金」の加入者でもあるという事。

現在の制度では、第一号被保険者、第二号被保険者(+第三号被保険者)共に「国民年金(基礎年金)部分」を一旦両年金勘定から引き出し、「基礎年金勘定」という別の会計帳簿に繰り入れ、そこで一括して支払われているという事です。


「基礎年金給付費」と「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」

改めて両項目の違いですが、「基礎年金勘定」という仕組みが導入された昭和61年よりも前に年金受給者であった人に対して支払われている「年給付費」が「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」と記されている項目で、この項目は給付される前に再び「国民年金勘定」、及び「厚生年金勘定」に繰り戻され、そこから受給者に対して支払われています。

しかし、昭和61年以後に受給者となった人は、これが他会計に繰り戻されることはなく、第一号~第三号までひっくるめて「基礎年金勘定」から支払われています。それが「基礎年金給付費」です。

私が誤っていたのは、この認識がなかったという事。

自分で調べてたどり着いた結果であり、私自身色んな資料を比較して検証をしていた「つもり」だったのですが、一番肝心な部分を考察することなく思い込んだまま情報として「確定」させてしまっていたという事。

これは改めて読者の皆様にお詫びさせていただきます。


基本に戻って考える

誤ってこそいましたが、ではだからと言って「誤っていました、ごめんなさい」で終わらせるわけにはいきません。

要はどこがどのように誤っていたのか、そしてその結果全体にどのような影響を与えることになるのか。そして終局の目的として、「年金は破綻しない」とする私の主張がそもそも間違っていたのか、それともそうではなかったのか。これを検証しなければ私のブログとしての役割を果たすことができません。

そこで、まずは「基本に立ち返って」考えることが大切かと思います。

私としますと、「国民年金勘定」及び「厚生年金勘定」において収入が減る中で給付費が減っていた(と思い込んでいた)ことを「発見」しましたので、これを「年金が破綻しない」最大の根拠であると考えていました。

それが次のグラフです。

国民年金収支

厚生年金収支

逆に言えば、この数字を下に「破綻するわけがない」と思い込んでいますから、それ以上の検証を行っていない状況でもあります。

ですが、実際には

国民年金収支(基礎年金勘定分を含む)
厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

こちらの方が現在の年金収支状況としては「正解に近い」姿ですから、私のこれまでの根拠が「年金が破綻しない理由」とはなりえていないわけです。

とはいえ、「国民年金」に関しては次期が私のかつての認識と比較すると非常に遅れてはいますが、「破綻はしない」という状況には近づいているかと思います。

問題は「厚生年金」の収支です。前回も示しましたが、赤字幅がどのように推移しているのかと申しますと、以下の通り。

2007年 -7.18兆
2008年 -7.3兆
2009年 -8.04兆
2010年 -7.84兆
2011年 -7.42兆
2012年 -8.32兆
2013年 -8.28兆
2014年 -6.98兆
2015年 -6.32兆
2016年 -5.72兆
2017年 -5.12兆

年々その額を縮小させているとは言うものの、5兆円という額は決して小さいものではありません。ちなみに国民年金の収支状況はと申しますと、以下の通り。

2007年 -4.4兆
2008年 -4.26兆
2009年 0.08兆
2010年 0.04兆
2011年 0.47兆
2012年 1.11兆
2013年 1.37兆
2014年 1.5兆
2015年 1.6兆
2016年 2.13兆
2017年 2.25兆

と、プラス幅を増やしてこそいますが、とても厚生年金の赤字幅を相殺する段階には至っていません。最新の状態で2.87兆円ほどの赤字です。

ただ、今回お示ししている数字の根拠としているのは、「年金受給者」の数とその割合から、私が計算式によって作り出した数字ですので、これが「正しい数字」と言えるのかどうかと申しますと、必ずしもそうだと言い切ることはできません。

という事で、ここからは私の計算式を加えることなく、政府が公表している数字のみを用いて、年金会計の収支全体で考えてみます。


国民年金勘定と厚生年金勘定の考え方

まずはこの部分から。

「国民年金勘定」とは、大きく分けて

 収入 「国民年金保険料」「国庫負担分」「基礎年金勘定より受入」
 支出 「基礎年金勘定へ繰入」「年金給付費」

という項目で構成されています。その他事務費や運用益、積立金などもありますが、それらは考慮せずに進めていきます。

公的年金保険者数の推移

できたらグラフくらいは自分で作成したかったんですが、時間の都合上、厚労省の資料をそのまま掲載します。

「公的年金保険者数」、つまり年金を国に納めている人たちの数を年経で示したグラフです。

「第一号被保険者(国民年金加入者)」の数を見ますと、平成25年以降、年々減少していることがわかると思います。

という事は、つまり昨年年金を収めた人の数よりも、今年年金を収めた人の数の方が少ないという事。

国民年金の運用では、毎年4月、その年度が始まる一番最初の月に、前年度に納められた保険料の総額から、「今年納められると予測される保険料の総額」を引き出して、「基礎年金勘定」に繰り入れています。

ですが、その「保険者数」が年々減少していますので、当然「昨年納付された保険料の総額」よりも4月の段階で「今年納付されると予測される保険料の総額」の方が少なくなります。

ですから、当然「国民年金勘定」の中にはそこから引き出されることなく、国民年金勘定に残ったままの金額が発生します。

ところが、「国民年金」は個人が意識的に納めるものですから、中には国民年金を収めようとしない「未納者」もいます。

そのことで基礎年金勘定に繰り入れるための保険料が不足することがありますので、その場合は「年金積立金」の中から不足する分を引き出します。ですが、その保険料は「未納」であり、本来受け取り者のいない保険料ですので、その金額は将来給付されることなく「基礎年金勘定」に蓄積されることになります。

混乱するといきませんので、こちらの図を頭に入れながら考えてみてください。

年金システムのからくり

一方、「厚生年金勘定」を考える場合、先ほどの「公的年金保険者数の推移」を見ていただきますと、厚生年金の保険者の数は年々増えていることがわかります。

ちなみに増加に転じたのは、微増ではありますが平成22年から。遡ると平成19年までは継続して増加しています。保険者数全体で見ますと平成28年から増加に転じていますね。

この事が何を意味するのかと申しますと・・・というより、この点に関しては私も思い込んでいた部分があったのですが、保険者数が減少する国民年金勘定とは異なり、保険者数が増加していますので、「基礎年金勘定」の部分に関しては昨年度末に納付が完了した金額より、今年度に納付が予測される金額の方が多くなってしまいます。

そう。「未納者」の存在にかかわらず、厚生年金勘定では「基礎年金部分に繰り入れ」なければならない金額が不足する仕組みになっているんですね。これは盲点でした。

ですから、必然的に「年金積立金」は切り崩されることになります。

ですが、その「切り崩された」積立金も、「年金積立金」の項目から「基礎年金勘定」の項目に移動するだけで、年金会計全体で考えると当然「納付者」が増えているわけですから、収入全体としては増えていることになりますね。


国民年金勘定と厚生年金勘定の「支出」について

一方の「支出」に関しては、国民年金・厚生年金とも、「基礎年金部分」に関しては「基礎年金勘定」より「期首(4月)に年度を通じて必要となると考えられる給付費」が一体いくらになるのかという事が想定され、これが「基礎年金勘定」より繰り入れられ、それぞれの年金会計で給付に回されています。

冒頭でお伝えした通り、「国民年金勘定」「厚生年金勘定」にそれぞれ繰り入れられている金額は「昭和60年までに受給者となった人」の給付費のみであり、昭和61年以降の「基礎年金」は「基礎年金勘定」より支出されています。

国民年金勘定、厚生年金勘定ではそれぞれ、年度末に受給者が死亡し、給付が必要とならなかった金額が必ず残りますから、これが「積立金」として蓄積されていくことになります。厚生年金会計ではこれ以外に、「厚生年金部分」に関する管理が独自になされていますから、もしそこで給付費が不足するのであれば「積立金」の中から切り崩されることとなります。


このようにしてみていきますと、「国民年金」「厚生年金」はそれぞれ貸借対照表上は支出と収入の間ではバランスしているはずですから、何を見ることが大切なのかと申しますと、結果的に両会計から繰り入れられた金額で運用されている「基礎年金勘定」において一体いくら「積立」もしくは「切り崩し」が発生しているのか。

厚生年金勘定にはそれ以外に独自に運用されている「厚生年金部分」が存在しますから、これが積立金を切り崩すことで運用されているのか、それとも逆に積立金が加算されているのか。

「国民年金」はそもそも積立が減少する要素が「未納分」以外には存在しませんから、では一体いくら積み立てられているのか。

そして、最終的に「積立金」は一体総額でいくらになっているのか。これを所謂「運用益」を加味せずに見てみますと、その全容が見えてくるのではないかと思われます。

という事で、私の時間が来てしまいましたので、次回記事では、この「積立金」の収支推移を見ながら年金運用についての「解明」を行っていきたいと思います。



このシリーズの次の記事
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