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第472回 明石順平氏説を妄信する皆様へ②~GDP改定と消費支出~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>実質賃金と名目賃金


<継承する記事>第470回 明石順平氏説を妄信する皆様へ~実質賃金と実質消費の見方~

第470回の記事 の中で私、「明石順平」という人物についてご紹介しました。

私が彼についての記事を作成するきっかけとなったのは、彼がTwitterに投降した以下のツイートが原因です。



で、上記ツイートに対し私が

①実質消費支出は、二人以上世帯のみのデータで、二人以上の名目消費支出を一人世帯、及びその他の消費者まで含めた全体の消費者物価で割っているので、本来平行線となるべき実質消費支出に、本来含むべきではない一人世帯、及びその他の消費者の物価上昇が反映されている。
※①については正確ではなく、前回記事で訂正情報を掲載しています。

②「物価」は「価格」の増減のみで決まる訳ではなく、「消費量」が伸びなければ増加する事はない。つまり、消費者物価の伸びは、「価格」に関わらず消費量が増えている事を示している。

③給与所得者に限定すると、「物価」とは受け取った名目賃金の内、「消費」に回された額で決定するため、一部例外を除き、物価の伸び率が名目賃金の伸び率を上回る事はない。例外とは、給与所得以外の収入、過去に蓄積した貯蓄、借入の3つ。

④実質賃金とは、つまる所、給与所得者が受け取った賃金をどれだけ貯蓄に回す事ができたのか、その増減を示す数字なので、名目賃金が上昇する中で実質賃金が下落するという事は即ち消費が活性化しているという事。ちなみに物価が上昇すると実質賃金は過小評価され、下落すると過大評価される。

以上の事から、明石氏のグラフは黄色線のみがデタラメなデータであり、他のデータは安倍内閣に入って「消費」が活性化している事を証明しているグラフである。

という投稿を行ったところ、彼から一切の反論もなくブロックされた・・・ということをきっかけとして前回の記事を作成しました。

で、「実質賃金の下落」という情報を「アベノミクスの失敗だ」と盛んに吹聴している連中が少なからずおりまして、そいういった連中がまるで教祖のようにして崇めているのがこの明石順平という人物です。

で、なぜ実質賃金の下落=悪玉論者たちがここまでこの明石順平という人物を信奉するのか。今回の記事のテーマの中心はこの話題です。


「実質消費」が下落する理由

まずは前回のおさらいです。

明石氏の投稿で用いられている次のグラフ。

D5NqQqZUcAA7oYa.png

「実質消費動向指数」について、前回の記事ではその理由が独立して一人暮らしを始める世帯や、結婚して新婚生活を始める世帯が増えたため、世帯数は増えたものの、一世帯を構成する人数が減少したためだ、という情報を掲載しました。

その根拠としたのが以下のグラフです。

総消費動向指数(名目)

こちらは「総消費動向指数」というもので、一人暮らし~二人以上の全世帯を合算した、「消費」の動向を示したものです。

2012年以降で、増税年とその翌年を除けば「総消費動向」は上昇し続けていることがわかりますね。

「総消費動向指数」は「世帯数」に「世帯別消費動向指数」を掛けたものですから、「世帯別消費動向指数」が下落する中で「総消費動向指数」が上昇する原因は「世帯数」が増えていること以外にあり得ません。

明石氏の「世帯別消費動向指数」は「実質」ですが、これは名目で見ても同じ傾向がみられます。

総世帯別消費動向指数

「実質消費」とやらが減少する理由が「独立して一人暮らしを始める世帯や、結婚して新婚生活を始める世帯が増えたため」だということは、この二つのグラフを比較すれば一目瞭然です。

で、私の中ではここまでで決着がついていたのですが、Twitterの中で私が明石氏のツイートが上記のような理由で「デタラメである」との指摘を行うと、いくつかの反論が返ってきました。

そして、ほぼ100%の確率で示されたのが以下のブログ記事です。

モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

記事タイトル名は「おいおい,総務省統計局が怪しい数字を開発したぞ。みんな拡散して」となっています。

「総消費動向指数」と「家計最終消費支出」

彼らの指摘によれば、私の主張などこの記事の中で既に反論されている、いうわけです。

ブログの作者はもちろん彼らの教祖、「明石順平」です。

明石順平が同名のブログを作成していたことは前から知ってはいたのですが、何が書いているのか、大体想像がつくので、中まで入って読んだことはありませんでした。

ですが、私の主張が既に反論されている、とのことですから、少し見てみることにしました。で、現れたグラフが以下のグラフです。

20180501203523.png

私、前回の記事 で少し触れましたね。

「総世帯別消費動向指数」は、その名の通り、「世帯別」の消費動向指数です。ですが、「総消費動向指数」は、すべての世帯を合算した消費動向指数のこと。

GDPの項目で言えば、「家計最終消費支出」と同じものです。

計算式で言えば、「総世帯別消費動向」×「世帯数」を指数化したもの。

と。上記グラフのタイトルは、「平成17年基準家計最終消費支出」と書かれていますね。

これを見た瞬間、ピンときました。

今回と前回の記事は基本的に「実質賃金」や「実質消費」の正体を暴くことを目的としているわけですが、この話とは別に。

あちら側界隈で安倍内閣において「GDPのかさ上げ」が行われているとする論説をよく見かけることがありました。この事だな、と。

そう。「家計最終消費支出」とは、「GDP統計」の一項目である「民間最終消費支出」内に記されている項目のこと。私自身も記事を作成する際によく用いている数字です。「GDP統計の改定」については、実は私、改正が行われた段階で既に記事を作成しておりまして、

 第192回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より①
 第193回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より②
 第194回 「財政投融資債」とは何か?/「一般会計」と「財政投融資会計」の違い
 第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
 第198回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より④

以下の5つの記事の中で非常に「わかりやすく」ご説明しています。まあ、「わかりやすく」は私の自己満足なので、読む人によってはそう感じない方もいらっしゃるかもしれません。

作成した意義といたしましては、政府が作成した 地域経済分析システム「リーサス」 の開発などを前提に、いよいよ「ビッグデータ」を利用した、よりタイムラグの少ないGDP統計がスタートするんだなという期待感を受けてのものです。

私とすると、非常に前向きな期待感を以て作成をしたわけですが、この「GDP改定」があちら側の皆さんにとっては「安倍内閣によるかさ上げ」という判断になってしまうんですね。

「GDP統計」は実は「支出側」「生産側」「分配側」から見た3つのGDP統計がございまして、私たちがよく見かけるGDP統計は前期の内「支出側から見たGDP」になります。

今回の「指摘」を受けるまで、この 支出側GDPに関連したGDP改定は 第193回の記事 でご説明した「国際基準『2008SNA』」に関する改定だけだと思っていたのですが、実はこれ、明石氏のブログで説明されている「家計最終消費支出」には全く影響しない改定です。

2008SNAが導入されるまでは1993年の基準が導入されていて、何が変更になったかと申しますと、これまでは「生産側GDP」に「経費」として掲載されていた「研究開発費」を「支出側GDP」に計上されるようになった事。

「経費」として掲載されていた間は単年度で消え去ってしまっていたのですが、「支出側GDP」では「資産」として計上することができますので、一度掲載されると単年度で消え去ることはなく、所謂「減価償却」されるまでGDPに在庫として残っていくわけですね。

このように表現しますと、それこそまるで安倍内閣が都合よく基準変更したかのように思われてしまいそうですが、そもそも海外先進国では既にルール改正が行われています。まして1993年の基準を未だに使い続けていた方がおかしいのであって、特にGDPは海外の経済情勢と比較する目的で利用されることもありますから、ごく当然の改正だと私は思います。


「産業関連表」の更新

しかし、今回問題となったのはこの「2008SNA」に関する変更ではありません。

前述した通り、「2008SNA」が対象としているのは家計ではなく「企業」。ですから、「2008SNA」が変更されても「家計最終消費支出」が変動することはありません。

一瞬私も戸惑ったのですが、既に検証を終えている私としては原因を推察ことはそう難しいことではありません。私は「生産側GDP」の変動にしか影響を与えないと思い込んでいた、もう一つのGDP改定、即ち小タイトルにある「産業関連表」の変動です。

この事に関して、実は私自身の記事でも既に検証済みで、 第159回の記事 ではっきり書いています。

引用してみます。長文になりますので、読み飛ばしていただいても結構です。
【支出面から見たGDP】
「支出面から見たGDP」、つまり私たちが最も一般的に見ている「GDP」では、日本国の中で生産され販売された数多(あまた)の商品群の中から、代表的ないくつかの商品を抽出し、「加重平均」を取ることによって算出されています。
(「加重平均」の計算方法については第53回の記事 をご参照ください。)

第158回の記事 で「消費者物価指数」の「10大項目」のことを具にご紹介しましたが、消費者物価指数を算出する際も同じ方法がとられています。

ただ、「加重平均」を取る際に用いる「ウェイト」。

ウェイトとはすなわち、第157回の記事、第158回の記事 をそれぞれご参照いただければ「ウェイト」についてもイメージをしやすいと思うのですが、消費全体を10000と考えた場合、それぞれの項目の重要度が1万分のいくつになるのかということを指標化した数字のことです。

この「ウェイト」の決定方法として、「需要(支出)側から見たウェイト」と「供給(生産)側から見たウェイト」の二つの指標を用いて「支出側から見たGDP」は計算されています。よく名称として登場させている「コモディティーフロー法」とは、このうち「供給側から見たウェイト」を算出する際に用いられています。

「コモディティーフロー法」とは、「供給サイド」に於いて生産された「生産物」が、様々な流通過程。「運送」や「卸し」「小売り」等様々過程で発生する「経費」等を含めて、どのような経緯を経て消費者によって「消費」されるのか。

これを大本である「工業統計表」、「商業統計表」、「事業所統計表」(経済産業省)などから得られる基礎統計指標に、総務省が作成している「産業連関表」によって算出された「分配率」を各項目別にかけて算出された値が「供給(生産)側から見たウェイト」になります。この「供給(生産)側から見たウェイト」を算出するために用いられている計算方法を「コモディティーフロー法」といいます。

その品目数は工業統計表だけでも2000品目にも及ぶのだそうです。

一方、「需要(支出)側から見たウェイト」とは総務省が作成している「家計調査」や「家計消費状況調査」といった統計指標を用いて作成されます。

この二つの「ウェイト」を統合することによって名目GDPの内「家計最終消費支出」は算出されます。
統合の仕方としては、「支出側から見たウェイト」と「生産側から見たウェイト」の開き。これが大きければ「重要度が低い」と考えられ、ウェイトが少なめに、逆に開きが小さければ「需要度が高い」と考えられ、ウェイトも大きめに設定されます。

私自身が作成した記事ながら、よもやここまで詳細に記していたとは記憶していませんでした。ありがとう、昔の私。

引用記事中のページリンクは時間の都合上、ご容赦ください。

はっきり書いていますね。「産業関連表」が家計最終消費支出の作成に利用されていることが。

GDP改定において、この「産業関連表」が2005年基準のものから2011年基準のものに変更されたわけです。

で、明石氏のブログに掲載されていたグラフは、その「家計最終消費支出」に関連したグラフでしたので、私とすると、「ああ、あれか」とピンと来たわけです。

ですから私からすれば明石氏の主張などアベノミクスが失敗であったことにしたい連中の言いがかり以外の何者でもなく、今まで用いられていた2005年基準の産業関連表が2011基準の産業関連表に更新されただけの事。これを「アベノミクスのかさ上げ」と揶揄しているようにしか見えないわけです。

私が
総消費動向指数(名目)

こちらのグラフを理由に消費が活性化していることを提示。世帯別消費動向指数とのギャップは世帯数の増加にあり、一人暮らしや新婚生活を始める世帯が増えていることを指摘すると、

20180501203523.png

こちらのグラフを理由に「そんなかさ上げされたグラフなど信用できない」と反論をしてくる。テンプレートのようにしてこのパターンが繰り返されます。

ところが、最も最近議論した相手の方から、こんな指摘がありました。「明石氏のブログでは、『世帯数の増加』など織り込み済み」であると。

続きを記したいのですが、文章が長くなっており、若干仕事が入ってしまいましたので、本日の記事はここまで。

続きは「統計で人を騙す方法」というタイトルで記事を作成してみたいと思います。




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