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第463回 実質賃金を日本一わかりやすく解説~完成版実質賃金の正体~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>実質賃金と名目賃金


<継承する記事>第459回 実質賃金を日本一わかりやすく解説~勘違いからの脱却!~

どうしてもこの記事だけは作成しておきたかったので、第459回の記事に引き続き、作成することにしました。

第459回の記事で、実質賃金について、

 実質賃金=「月間手取り給与」-「月間消費支出」

という式で表すことができるのではないか、という私の考え方をお示ししました。ですが、記事中にも記しています通り、『ズブの素人の私の「憶測」』であり、私自身も記事にしながら完全な「確信」を持てずにいました。

「根拠」こそ示していますが、「証明」としては不十分だ感じていました。

で、ずっと頭の中検証を行っていたのですが、私の中で「腑に落ちる」答えにたどり着きましたので、459回の記事の「続編」という形で記事にしてみたいと思います。


実質賃金とは何か?

第39回の記事 でもふれたことがあるのですが、政府の統計データの中で、「実質賃金」という言葉が登場する厚労省の「毎月勤労統計」の中に、実は「実質賃金」という名称のデータは一つも登場していません。

多くの人が「実質賃金」だと思い込んでいるのは、実は「実質賃金」ではなく、「実質賃金指数」です。計測年の実質賃金を、「基準年」の実質賃金で割った数字です。

では、そもそも「実質賃金」とは何なのか。これを、第459回の記事 の中では、「手取り賃金総額-総消費支出」、つまり「貯蓄高」なのではないか、との予測を立て、これを検証しました。

結果として確かに「実質賃金指数」と「貯蓄高」の相関関係を見てみますと、一致性を見ることができました。

例えばA年とB年、C年を比較したとき、A>C>Bだったとすると、この順位が実質賃金指数と貯蓄高の間で逆転することはない、ということです。

A年よりB年、C年の貯蓄高が低ければ、同じように実質賃金指数も低くなっていますし、同じ順位の中でC年の貯蓄高がB年の貯蓄高を上回っているのであれば、これも逆転することはない、ということです。

ですが、どうもその上昇幅、または下落幅において、「貯蓄高」の方が、その傾向が大きく出ているような、そんな印象を抱いていました。これが実質賃金指数の計算式から生まれる「バイアス」なのかな、とも思っていたのですが、どうもしっくり来ていませんでした。


実質賃金の考え方

名目賃金比較

さて。こちらはある年に計測した、とある人の「名目賃金」と、その「支出」の内訳です。仮に今年、2019年2月に受け取った「名目賃金」とします。

「名目賃金」ですから、即ちこの人が2019年2月に受け取った「月間給与所得」です。単位は「万円」です。

左から順に、「テレビ」、「食料品」、「授業料」、「通信費」、「電話代」、「交通費」、「その他」、「貯蓄」と並んでいます。

いかがでしょう。例えばテレビの内訳を見ますと、今年は「10」となっていますが、昨年は「0」となっていますね。

これは単純に今年は10万円のテレビを購入しましたが、昨年は購入していませんよ、ということです。テレビなんて毎年買うもんじゃありませんからね。ずっと使い古していたテレビを、この人は今年、「買い換えよう」と思ったわけです。

一方、「授業料」の項目を見てみますと、昨年は「5」となっていますが、逆に今年は「0」となっています。この人、昨年は通信教育を受けて、年払いで2月に5万円、支払いました。昨年末でこの通信教育は終了しましたので、今年は通信教育の「授業料」が発生しなかったんですね。

「食料品」の金額は2万円ほど増えています。授業料がなくなったこともあるのでしょうが、何より給与所得の総額が増えたこともあり、この人、少しだけ食費に余分なお金を出す余裕が生まれたんですね。

その他、「交通費」は1万円ほど少なくなっていますが、それ以外の項目に対して4万円ほど余分に支出しています。

総額で比較すると、昨年は20万円しか支出に回していませんが、今年は30万円支出しています。その結果、昨年は貯蓄が5万円残りましたが、今年は2万円しか残りませんでした。


「実質賃金」における「物価」の考え方

「実質賃金」とは、では一体何なのかと申しますと、「受け取った名目賃金で、一体いくつ物やサービスを消費することができるのか」という、「個数」もしくは「量」で賃金を測る方法です。

つまり、

 名目賃金=実質賃金×物価

という式で表すことができるわけですが、肝心なのはこの時考えるべき「物価」です。「物価」は、「店頭にこの値段で陳列されているから、今月の物価はこの金額になるだろう」という「未来予測」の数字ではなく、

 「この月に、この店で、何円の商品がいくつ売れたからこの金額になった」

という、「過去を検証した数字」です。私がよく言う、「消費されなければ物価にならない」という言葉は、それを指したものです。

逆に言えば、「消費に回されていない賃金は、物価には反映されない」と言い換えることもできます。

なぜなら、消費に回されていない賃金が、仮に消費に回されていたとしたら、「物価」は変動するからです。単純な理由ですね。

さて。以上の考え方を下に、先ほどの「名目賃金」のグラフをもう一度見てみます。

名目賃金比較

色んな式を出して申し訳ないのですが、実質賃金指数を求める際、「名目賃金指数」を「消費者物価指数」で割りますね?

これは、どういう作業をしているのかと申しますと、「名目賃金」を構成する「物価」を、同じ年の「消費者物価指数」で割ることによって、「基準年の物価に戻す」という作業を行っていることになります。

消費者物価指数は、基準年の消費者物価指数を100と考え、1%成長したのであれば101、3%成長したのであれば103となります。

良く似た事例で考えますと、消費税についての考え方が非常ににわかりやすいかと思います。

例えば目の前に100円の商品があったとして、消費課税前の金額をだそうと思えば100%をかけますので、当然金額は100円になります。

課税後の金額を出そう思えば108%をかけますから、108円になります。

では、目の前に課税後、108円の商品があった場合。課税前の金額を出そうと思えばどの様にすればよいでしょう?

そうです。課税前の金額に108%をかければ課税後の金額が出るのであれば、当然課税後の金額を108%で割れば、課税前の金額がでてきます。

消費者物価指数は、基準年を100、これに物価上昇率を加えて調査年の消費者物価指数を出しています。

例えば今年の消費者物価指数が105であれば、基準年と比較して今年は5%物価が上昇したということです。そして、今年の物価を105で割る、ということは…

ここまで言えばお分かりですね。当然消費者物価指数が100であった基準年の値に戻されます。

上のグラフで考えるのなら、例えば今年、「テレビ」が売れていますが、昨年は売れていません。売れていないということは「0円」ですから、基準年の物価に戻しますと、10万円のテレビは「0円」になります。

基準年に存在しないものは、そもそも購入することができませんからね。(数学的に0で割ることはできない、という考え方はここでは無視します)

逆に、昨年は支出されていた「授業料」が、今年はなくなっていますが、これも同じ考えで、今年の授業料は「0円」ですが、昨年の授業料は5万円ですから、「5万円」に戻します。

「食料品」も「同じ金額の食糧が、同じ数消費された」と考えますので、やはり7万円を5万円に戻します。

「数も変わるのか」というツッコミを受けそうですが、これは第459回の記事 でも掲載しましたように、例えば昨年100円で7個売れたものが今年5個しか売れていないんだとしたら、減少した2個分は「0円で売れた」と考えます。

その上で「(100円×5+0円×2)÷7」で計算しますので、今年の物価が下落した、と考えます。ちなみに、このような計算方法を「加重平均」といいます。

逆もまた然りです。(消費者物価総額を計算した後、「10万分率」、つまり「消費者物価の合計値が10万であったら」という仮定で計算しなおされる際に調整されています)

もちろん、これは個人ベースで考えているので通用する計算方法です。実際にマクロベースで考えるときは、例えばAさんはテレビを購入しなかったとしても、BさんかCさんはテレビを購入している、と考えます。そしてその購入総数を「重要度(ウェイト)」と考えて、計算式の中に組みこまれています。


このように考えますと、当然「その他」という分野も結果的に消費に回された金額は昨年と同じ金額になります。

つまり、実質賃金を考える場合、既に消費された、今年の購入金額と昨年の購入金額は「同じ金額である」と考えるわけです。「消費者物価指数で割る」とは、即ちそういうことです。実質賃金指数を求める際には、「今年の賃金指数」にも「昨年の賃金指数」にも同じ処理が施されています。

このように記しますと、「じゃあどうして『実質賃金(指数)』は毎年違うんだ!」という怒りの声が上がってきそうですが、もう一度思い出していただきたい。

そう。私は、「消費に回されていない賃金は、物価には反映されない」とお伝えしていますね?

「消費に回されていない賃金」。即ち「貯蓄高」の事です。

実質賃金比較
(このグラフも、100%正しいグラフではありません。詳細を第464回の記事 にて補足しています。)

第459回の記事 では、私は実質賃金の事を、「名目賃金-総消費支出」であると記しました。

ですが、これは間違っていますね。正確には、「名目賃金-総消費支出」に、「比較年の総消費支出」を加えたものが「実質賃金」だということで間違いないと思います。実際の「実質賃金」は、この「名目賃金-総消費支出」の部分も消費者物価指数で割っていますが、割った後の金額よりもむしろ、割る前の金額の影響の方が大きいことはご想像いただけると思います。

結果的に、実質賃金のプラスマイナスを左右しているのは、「名目賃金の内、貯蓄に回すことができた額」であるということは間違いないのですが、=「実質賃金」だと表現すると、これは誤りであったと思います。失礼いたしました。
(※正確には、この「実質賃金」を更に「物価」で割る必要があります。この事を 第464回の記事 で補足しています)

ですので、名目賃金を上昇させた上で、更に実質賃金まで上昇させようと考えるのなら、賃金を増やした上で、更に貯蓄に回す金額まで増やせるようになってようやく実質賃金は安定して上昇し始めるということです。

ですが、私個人的な感想としては、わざわざそんな政策をあっせんすることに全く意味はないと思います。貯蓄高を増やさずとも、安心して消費を行うことができる社会を築くことこそ、本当に政府が求められている政策であると、私は思います。




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