FC2ブログ
第460回 2018年度GDP第3四半期1次速報~実質1.4%上昇は本当か?~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

ランキングサイト

この記事のカテゴリー >>GDPの見方


先日(2019年2月14日)2018年度GDP第3四半期(10~12月)1次速報が公表されましたので、本日はこの話題を取り上げます。冒頭にお伝えしておきますが、引用したニュース記事は枠で囲っています。枠で囲っている部分は私の記事に一通り目を通していただいた後でチラ見する程度でかまわないと思います。

サブタイトルを二つスルーすると本編がスタートします。


では、まずはこちらのニュースをご覧ください。

【日本経済新聞記事(2019/2/14 8:53)より】
GDP実質1.4%増、10~12月年率 2期ぶりプラス

内閣府が14日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増だった。年率換算では1.4%増。年率2.6%減だった7~9月期から、2四半期ぶりのプラスとなった。18年夏の自然災害による個人消費の落ち込みが解消され、内需が全体の成長率押し上げに寄与した。

前期比0.3%増の成長率のうち、0.6%分は国内需要を表す内需が寄与した。内訳をみると、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.6%増と、7~9月期の0.2%減から回復。飲食や宿泊、航空などレジャー関連の回復が目立った。自然災害が個人消費を下押ししていたが10~12月期は回復。自動車販売も堅調だった。

住宅投資は1.1%増。2四半期連続でプラスを確保した。住宅投資は工事の進捗状況に応じてGDPに計上しており、4~6月期以降の着工の伸びが寄与した。民間の設備投資も2.4%増と全体を押し上げた。生産用機械の伸びが寄与した。

一方、外需は0.3%分、成長率を押し下げた。中国経済の鈍化により情報関連財の輸出が伸びず、輸出全体の伸びを抑えた。輸入は堅調な内需を背景に増加。外需の寄与度は、輸出の寄与度から輸入の寄与度を引いて算出する。前期からの伸び率は輸入が輸出を上回り、全体に対する外需の寄与度はマイナスとなった。

18年10~12月期のGDP成長率は名目で見ると0.3%増。年率換算では1.1%増だった。名目値は実質値に物価分を上乗せして算出するため、物価が上がれば名目値は上がる仕組みだ。10~12月期は物価上昇率が鈍く、名目の成長率が実質を下回った。

収入の動きを示す雇用者報酬は名目の前年同期比で3.2%増。7~9月期の2.6%増から伸び率が拡大した。

18年暦年の成長率は実質0.7%増、名目で0.6%増。いずれも12年以降、7年連続のプラス成長となった。成長率はともに17年を下回った。18年の名目GDPは548兆円と17年の545兆円を上回り、過去最高を更新した。

記事内容としては、比較的マトモ。なのですが、私としてはやはり主張したい。「なぜ実質GDPで判断するのか!」と。

ちなみにNHKはこの話題を以下のように報道しています。

【2019年2月14日 15時30分】
GDP 2期ぶりプラスも中国経済の減速が業績に影

2期ぶりにプラス成長を取り戻したGDP。しかし、回復の勢いは力強さに欠けています。大きな要因は中国経済の減速です。

北九州市に本社がある「安川電機」は、産業用のロボットやモーターなどを手がけています。
省力化のための設備投資の需要が底堅いこともあって、今月までの1年間の決算では、売り上げ、最終利益ともに過去最高を更新する見通しです。
しかし、全体の売り上げの2割を占める中国での経済の減速が、業績に影を落としています。

主力商品の1つは、半導体を製造する装置などに組み込まれるモーターです。

ところが、去年の秋以降、“巨大市場”の中国で、スマホの売り上げが低迷。アメリカと中国の貿易摩擦の激化という要因も加わって、モーターを組み込んだ製品の中国向けの輸出が落ち込み、モーターの受注も減っているのです。このため、去年10月と先月、2度にわたって業績予想を見直し、営業利益を当初から20%近く下方修正しました。

このように、中国経済の減速などを背景に業績予想を下方修正する企業が相次いでいます。

SMBC日興証券の今月8日時点のまとめでは、東証1部で決算発表を終えた企業のうち、来月までの年間の業績予想で、営業利益を下方修正した企業は155社に上り、上方修正した92社を大きく上回っています。

安川電機はヨーロッパでのビジネスを強化するため、現地に新たな生産拠点を設けたほか、食品工場向けなど新たな需要を掘り起こすなどして中国市場の落ち込みを補いたいとしています。

安川電機の小笠原浩社長は「米中の貿易摩擦がどのように動くかが1つのカギになるが、長い目で見て中国が思い切り減速することはないと思う。中国は市場としても大きいので、その動きをきちんと見て対応していきたい」と話しています。
中国減速が段ボールにも
中国経済の減速は、段ボールの材料となる古紙を取り扱う業界にも影響を与えています。

関東地方の古紙業者の組合は、中国向けに、段ボールにリサイクルされる古紙を輸出しています。
去年の夏から秋にかけて引き合いが強くなり、買い取り価格が2割ほど上昇しました。米中の貿易摩擦で、去年8月、中国が、アメリカから輸入する古紙に追加の関税を課したため、代替品として、日本の古紙に需要が集中したためです。
ところが、こうした状況は長くは続かず、年末になると状況が一変しました。取り引きを続けてきた中国の7つの業者のうち6社からの注文が途絶え、残る1社もピーク時の半額程度の買い取り価格を提示してきたのです。

景気減速で、中国国内の製造業の生産が鈍り、製品をこん包する段ボールの需要も大きく落ち込んだことが要因の一つだとみられています。

組合では、採算が合わないことなどから、去年12月から3か月連続で中国への輸出を見送ることにしました。このため埼玉県にある業者の工場には、およそ500トンの段ボール用の古紙が積まれたままになっています。

「関東製紙原料直納商工組合」の大久保信隆理事長は、「中国国内の生産が鈍っていることは間違いなく、その経済的影響が古紙業界にも来ている。中国は世界最大の古紙の消費国なので、今後、生産が戻るよう願うしかない」と話しています。
春節終えたデパートも警戒感
中国経済の減速に対する警戒感は、中国の旧正月、「春節」の商戦を終えたデパートからも出ています。

「三越伊勢丹」は、「春節」に合わせた今月4日から10日までの大型連休の期間中、外国人旅行者向けの売り上げが、グループ全体で去年の同じ時期に比べておよそ4%減りました。

このデパートではことしの春節商戦に合わせて、中国の企業が手がけるスマートフォンの決済サービス、「アリペイ」を全国すべての店舗に導入し、中国人の買い物客の取り込みを図りました。
しかし、宝飾品など比較的高額な商品の売り上げが伸び悩んだということです。

その一方で、中国語を話せるスタッフを増やすなど接客サービスを強化した店舗は売り上げが増えたということです。
このため、このデパートでは、日本の「おもてなし」をより充実させて、消費の減少を防ぎたいとしています。

三越伊勢丹の販売戦略部の堀井大輔さんは「春節商戦の売り上げの減少が短期的なものなのか、それとも中長期的なものなのか、注意深く見ていきたい」と話していました。

NHKとすると、「実質GDP」がプラス成長したことがよほど悔しかったのでしょうか。記事全体をざっくりと要約すると、「確かに実質GDPは1.4%成長したが、中国経済の成長率が減速しており、楽観視することはできない」という内容の記事が書かれています。


「季節調整系列」と「年率換算」

それでは、ここからこの「GDP実質1.4%増」という話題に、記事作成者である私、「のんき」のフィルターをかけていきます。

いつもお話ししている内容ではありますが、まずこの「実質GDP1.4%」という数字は、「季節調整された実質GDPの『前期比』を『年率換算』したフィクションの数字」です。

私、この「季節調整」だけは、未だにどのような計算方法が用いられているのかということを全く理解することができません。春夏秋冬、もしくは季節催事における独特な要素を排除しているのですが、そんな事人間業でできるのか、という疑問をずっと抱き続けています。

そんな「人為的」な方法を用いて算出された結果に、どれほどの「信憑性」があるのか。全く信用できません。

なぜそんな計算が行われるのかというと、「連続する二つの期間」、つまり春と夏、夏と秋、秋と冬といった異なる季節を同じ基準で比較するために行われているのですが、わざわざそんな計算をすることに何か意味があるのでしょうか?

それよりもむしろ、「今年の春と昨年の春」を比較してどうなのか、「今年の夏と昨年の夏」を比較してどうなのか。同じ季節同士を比較すれば、そんな信憑性に非常に疑いのある結果が出てくるとは思えません。もちろん、私は「GDP」の算出方法そのものに疑問を抱いていますので、前年同期と比較した「だけ」でその払拭できるわけではありません。

ですが、それでも人為的な計算式を用いて「季節調整」が行われた数字よりは「なんぼかまし」、です。

更に「年率換算」とは、そんないい加減な「季節調整」が行われた後の「前期比」の成長率が、「もし1年間継続したらどうなるのか」という、完全にフィクションの数字です。

時間があるかたがいらっしゃったらぜひ計算してみてください。季節調整が行われた「前期比」から1年後の「実質GDP成長率」が1年前の「前期比」と同じ・・・もしくは「近似値」になっている四半期なんてたったの1度もありませんから。

にも関わらず、なんでマスコミはそれほどに「年率換算」の数字を重宝したがるのか、私には全く理解できません。


「実質GDP」と「名目GDP」

あともう一点。「実質GDP」と「名目GDP」について。

この話題は 第218回の記事 で詳細に掲載していますので、改めてご覧いただければと思いますが、

・「名目GDP」とは、「一定の期間に総額で何円の消費が行われたのか」という値。
・「実質GDP」とは、「一定の期間に全部で何個消費されたのか」という値

です。

500円のみかんが4個売れたのか、それともケース売り1Kg2000円のみかんが1ケース売れたのか。実質GDPからそんな情報は一切読み取ることはできません。

私は日本国中で一体「何個分」の「消費」が行われたのかということよりも、日本国中で「総額何円」の消費が行われたのかという情報の方が大切だと思うのですが、なんでマスコミは「実質GDP」に執着するのでしょうか?

私の記事でも「実質GDP」の値は掲載しますが、あくまでもこれは「参考値」。マスコミが必死に「季節調整、年率換算」の数字ばかりをPRしますから、そんなフィクションの数字ではなく、「実際の実質GDPはどうなのか」ということを皆様に知っていただくために掲載しています。この辺りを踏まえて、いかに掲載内容をご覧ください。

もちろん私が掲載する情報はすべて、「原系列、前年同期比」です。


2018年(平成30年)度GDP第3四半期1次速報

【2018年度GDP第3四半期第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 142.310 兆円(-0.3%)

 民間最終消費支出 78.831 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 76.273 兆円(1.1%)
  除く持家の帰属家賃  63.760 兆円(1.3%)

 民間住宅 4.373 兆円(-0.7%)
 民間企業設備 22.322 兆円(4.3%)

実質GDP
全体 136.299 兆円(-0.0%)

 民間最終消費支出 76.834 兆円(0.8%)
 家計最終消費支出 74.528 兆円(0.7%)
  除く持家の帰属家賃  61.000 兆円(0.6%)

 民間住宅 3.987 兆円(-2.3%)
 民間企業設備 21.606 兆円(3.4%)

内閣府

どうでしょう?

マスコミ報道とは違った光景が見えてきませんか?

マスコミ報道では実質GDPが「1.4%」成長していたはずなんですが、上記データでは「横這い」になっていますね。厳密に言えば「下落」しています。

名目GDPに至っては0.3%のマイナス。厳密に言わずとも「下落」しています。

では、日本経済は「悪化」しているのでしょうか?

その内訳に目を通していただきたいのですが、実は私たち民間人の経済活動に関して言えば、前年割れを起こしているのは「民間住宅」のみ。これは名実共に前年割れしています。

ですが、それ以外の項目はいかがですか?

ご覧の通り、すべての項目で「名実共に」上昇しています。

私、日本経済新聞記事に対し、「記事内容としては、比較的マトモ」と記していますが、それは上記の通り、「原系列前年同期比」でみても同じ結果が生まれているからです。

偶然ですが、「原系列前年同期比」と「季節調整系列前期比」に、比較的近い構造となっています。

ただ、同じ記事には「GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.6%増と、7~9月期の0.2%減から回復」「自然災害が個人消費を下押ししていたが10~12月期は回復」と記されていますが、ここは全くのデタラメ。「前年同期比」でみれば、7~9月の「個人消費」は名目で1.4%、実質で0.5%上昇しています。

自然災害の中でも、個人消費は「昨年の同じ季節に比べて」ちゃんと上昇しています。「下押し」なんてされていません。

また、「住宅投資は1.1%増。2四半期連続でプラスを確保した」と記されていますが、ここも違います。今期も昨期も共に住宅投資は前年割れを起こしています。今期よりマイナス幅が減少しているだけで、前年割れを起こしているという状況は変わりません。

2期連続・・・どころか、5期連続で名実ともに住宅投資は前年割れしてるんです。なんでここをきちんと報道しないんでしょうね?

もちろん、それまでの「住宅投資」が急激に上昇しすぎていましたので、そのことが原因かとは思うのですが、きちんと分析すれば、マスコミ側から政府側に、きちんとした政策提言ができると思うんですが。マスコミの役割ってそういうことじゃないんでしょうかね?


内需が上昇しているのに、なぜGDPは前年割れを起こしているのか?

そう。今回のGDP統計の最大の問題点はここです。

答えは・・・深く考えるまでもありませんね。内需が好調なのに、GDPが前年割れしている原因は「外需」にあります。

ということで、「輸出入データ」を見てみましょう。

【2018年度輸出入第3四半期第1次速報(2018年度:2017年度:前年同期比)】

名目輸出額 25.926兆円 25.728兆円(0.8%)
名目輸入額 26.698兆円 24.559兆円(8.7%)
名目純輸出額 -0.771兆円 1.169兆円(-166.0%)

実質輸出額 23.667兆円 23.599兆円(0.3%)
実質輸入額 24.877兆円 24.015兆円(3.6%)
実質純輸出額 -1.199兆円 -415.8兆円(-99.7%)

「純輸出高」に「前年同期比」という値はないのですが、あえて計算してみました。

「純輸出高」とは、「輸出高」から「輸入高」を引いた金額です。GDPにはこの「純輸出高」が加算されています。つまり、「輸入高」はGDPからマイナスされている、ということです。

NHKの記事では、中国への輸出産業の売り上げが減退しているという記事と、中国からの来訪者が日本国内で起こす消費額が減少している、という記事を合わせて掲載することで、あたかも日本の輸出産業が減退しているかのような記事を掲載していますが、ご覧の通り第三四半期の「輸出額」は名実共に上昇していますね?

では、一体なぜGDPは前年割れしているのか。

いうまでもありませんね。答えは「輸入額の上昇」です。

日本の輸入品目の中で、実にその1/4を占めるのが「鉱物性燃料」。この中で最も大きなシェア率を誇っているのが「原油及び粗油」。石油製品まで合わせると輸入品目全体の15%くらいのシェア率です。

また、第457回の記事 で2018年の「消費者物価指数」の推移を10費目別に表にしてお示ししましたが、その中でも「光熱・水道」の分野が大幅な前年比伸び率を示していることもご確認していただけると思います。

つまり、日本の「GDP」の足を引っ張っているのは「原油価格の高騰」だということ。決して中国経済のせいではありませんね?

ということでタイトルにある「実質1.4%上昇は本当か?」という問いかけですが・・・もちろんデタラメです。

「いやいや、それは『前年同月比』ではないだけで・・・」という方もいらっしゃるかもしれませんが、もう一度記事を最初から見直してください。1.4%という数字は、「季節調整系列を年率換算」した数字で、完全な「未来予測」です。フィクションの数字です。

もし、万が一4期後の数字が実質1.4%を記録したとしても、それは単なる偶然にすぎません。「実質1.4%」という数字は、かなり適当な「未来予測」の数字です。

ですから、決して現在の日本経済の「現状」を反映した数字ではありません。


しかし、いい加減こんなフィクションの数字があたかも現在の日本経済の現状を指示しているかのように思いこませる記事を書くの、マスコミもやめるべきだと思うんですが。




このシリーズの次の記事
>> 第474回 2018年度GDP速報~季節調整された年率換算に騙されるな~
このシリーズの前の記事
>> 第448回 2018年度GDP第2四半期第2次速報~マスコミのデタラメ報道を糾弾~

にほんブログ村 政治ブログへ にほんブログ村 経済ブログへ

このシリーズの一覧をご覧になりたい方は>>GDPの見方 よりご確認ください


このエントリーにお寄せ頂いたコメント

URL:
コメント:
 

スポンサードリンク

Copyright © 真実を問う!データから見る日本 All Rights Reserved.
ほったらかしでも稼げるFC2ブログテンプレート [PR]