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第458回 実質賃金マイナス公表の見方~消費されなければ物価にはならない!~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>実質賃金と名目賃金


<継承する記事>第457回 「実質賃金がマイナスになった!」とバカ騒ぎする前に知るべき事

昨日(2019年1月31日)に引き続き、話題となっていたのが以下の記事。

【共同通信記事より 2/1(金) 2:00配信】
政府、賃金マイナス公表へ 18年実質、0.5%程度

 毎月勤労統計を巡り、厚生労働省が前年同期と比べた実質賃金の伸び率を実態に近い形で計算し、結果を来週にも国会に示す方針を固めたことが31日、分かった。現在示している「参考値」よりも2018年1~11月の平均で0.5%程度マイナスとなる。専門家から今の統計の数値が「実態に合わない」と批判が根強く、見直しは避けられないと判断した。

 アベノミクスの要である賃金の伸び悩みを認めれば安倍政権にとって大きな打撃となる。野党が「賃金偽装」との追及を強めるのは必至だ。政府は「勤労統計は景気判断の一要素にすぎない」とかわし、所得が改善しているとの見解を維持するとみられる。

記事だけ読むと、まるで厚労省が修正後の毎月勤労統計の内、実質賃金指数のみを公表せずに隠しているかのように読めますが、そんなことはありません。 前回の記事 でも掲載しましたように、厚労省は既に修正後のデータを、実質賃金指数まで含めて公表しています。

問題となっているのは、公表しているデータの対象となっている企業が17年と18年とで異なっているんじゃないか、ってことなんですが、共同通信社はこの事理解して記事にしているんでしょうかね?

で、17年までの企業と同じ企業を対象に算出した「参考値」が、名目賃金しか公表されておらず、実質賃金指数を公表しないのは、18年の実質賃金指数が18年と比較してほとんどの月でマイナスとなっているのを隠すことを目的としているんじゃないか、アベノミクスが失敗だったことを隠そうとしているんじゃないか、というのが野党の主張です。

代表的な事例が以下の通り。共産党、志位委員長のツイートを引用します。

前回の記事では、「実質賃金がマイナスになった」ことに関して、名目賃金側から見た捉え方と実質賃金が下落したそもそもの理由について記事にしました

捉え方として、

1.毎月勤労統計はそもそも常勤雇用者が5名以上の企業しか調査対象としておらず、その魅力は「速報性」にこそある。
2.厚労省の毎月勤労統計以外に、国税庁も給与所得に対する統計を公表しており、その対象は「従業員1名以上の企業」となっている。(国税庁データの方が厚労省データより正確である)
3.国税庁データによれば、2017年の「平均給与所得」は既にリーマンショックが起きた2008年を上回っている。

ということをお示ししました。ちなみに、厚労省の毎月勤労統計では、仮に調査対象を17年と同じ調査対象で比較したとしてもすべての月で名目値が2017年を上回っています。参考に前回の記事で使ったグラフをもう一度掲載しておきます。

給与所得比較

人によれば、「リーマンショックが起きた年なんだから、平均給与所得は元々低かったんじゃないか」と勘繰る人もいるかもしれませんが、グラフを見ていただければ、「リーマンショックが起きた年を上回っている」という言葉の意味をご理解いただけるのではないかと思います。

志位委員長は、『実質値では「今世紀最悪のレベル」』と言っていますが、一体何の資料を見てそんな大ぼらを吹いているんでしょうね。大ぼらを吹いているのはむしろあなただろう、と。

もちろん国税庁データは「名目値」になりますから、この情報を実質化すれば結果は異なりますが、名目値がリーマンショックが起きた年を上回ったのに、いくら何でも「今世紀最悪のレベル」という表現は悪質すぎると思います。

また更に、実質賃金が下落した理由として、「原油価格の上昇」が「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」を上昇させ、結果として実質賃金を下落させたんだ、ということを掲載しました。

前置きが長くなりましたが、今回の記事では、この「実質賃金の下落」の捉え方についてポイントを絞って記事を作成してみたいと思います。


「物価」とはそもそも何なのか?

当カテゴリー、「実質賃金と名目賃金」としては既に何度もお伝えしていると思うのですが、実質賃金が下落する要因となる「物価」について。

そもそも「物価」には、「消費されたもの」しか反映されません消費されていないものは「物価」には反映されないということです。

この考え方ってとても重要なんです。

例えば店頭に、「100円」と値札が付いているパンが販売されていたとします。ですが、この日はパンの売れ行きが悪く、パンがたくさん余ってしまったので、100円のパンを半額にして販売したところ、ようやく買ってもらえたとします。

すると、このパンの「物価」は「100円」ではなく「50円」になります。

当たり前じゃん、って思うかもしれませんが、これを理解できていない人って結構多いのではないでしょうか?ですから志位委員長みたいなバカな投降を平気で行える人がたくさんいるわけです。


更に深めてみます。100円のパンを半額に値引きして販売しましたが、結局買い手がつかず、このパンは廃棄されてしまったとしましょう。

では、このパンの物価は一体何円なのでしょうか? 100円? 50円? 違います。「0円」です。だって売れていないんですから。


家電製品で考えてみます。店頭に10万円の値札が付いたテレビが置いていたとします。

この日は決算セールで、大安売りをしていました。キャッチフレーズは「店頭の値札価格より更に50000円引き!」です。

この人は10万円と値札のついたテレビを5万円で購入することができました。では、このテレビの物価はいくらになるでしょうか?

そう。10万円ー5万円でこのテレビの「物価」は「5万円」です。


では、このテレビが決算セールの値段でも売り切れず、翌日も店頭にそのまま並べられていたとします。値札には「10万円」と書かれています。

では、このテレビの「物価」は一体いくらになるのでしょう。答えは簡単です。「0円」です。だって売れていないんですから。

「業者から仕入れてるじゃん」と考える人もいるかもしれませんが、業者から仕入れた価格は、業者から購入した時点で既に「物価」として計上されています。購入した後、店舗で単に保有しているテレビなんですから、やはり物価は「0円」です。

レジを通って、販売されて初めて「物価」として計上されるんです。


もちろん「物価」はこんなに簡単には決まりません。正確な「物価」の決まり方は改めてシリーズ、「物価の見方」を遡ってご一読いただければと思いますが、簡略化して、最も単純な決まり方をご説明しますと、上記の通りです。

私が何を言いたいのか。改めて同じことを繰り返しますが、「消費されていないものは『物価』には反映されない」ということです。


「名目賃金が上昇」して、「実質賃金が下落」するとは?

例えば、今年度12月の名目賃金が3%上昇し、物価が5%上昇した結果、実質賃金が2%下落したとします。

多分、多くの人が考えるのは、

「いくら名目賃金が上昇しても、実質賃金が下落したら景気は悪くなるじゃないか!」

ということだと思います。前回の記事で、私も実質賃金のと名目賃金の考え方を、

「名目値」とは、「もらった賃金のうち、何円が支出に回せるのか」という値。「実質値」とは、「受け取った給料でいくつ買えるのか」という値

と記しました。つまり、名目賃金が上昇した以上に物価が上昇したら、消費できるサービスが減るじゃないか、ということです。

例えばアルバイト従業員の給料がひと月に1万円だとして、先ほどの100円のパンの事例で言えば、物価が上昇する前は100円のパンが100個変えていたわけですが、物価が上昇した結果、パンの値段が120円に上昇した結果、同じパンが83個しか買えなくなるわけです。

さて。ここで質問です。この考え方は正しいでしょうか。間違っているでしょうか?


よく考えてみましょう。この記事で何度もご説明していますが、物価は、「消費」されなければ「物価」にはなりません。

このアルバイト従業員は、ひと月に1万円しか給料を受け取っていません。1万円の給料で購入できる120円のパンは83個です。では、このパンの物価は「120円」なのでしょうか?

思い出してみてください。私は「物価」の説明の中で、「売れていないものの物価は0円」だと説明しましたね?

パンの値段が100円の時は、100円のパンを100個購入することができていましたから、パンの消費量は「100個」です。

ですが、パンが120円に値上がりした結果、実際に購入することができたパンは83個で、残り17個のパンは消費されませんでした。

つまり、残り17個のパンの販売価格は「0円」です。

このアルバイト従業員が前年に消費したパンの数は100個で、単価が100円でしたから、このパンの物価は「100円」です。

ですが、今年に消費することができたパンの数は83個。単価が120円ですから、総額で9960円購入しています。ですが、店頭には消費されていない「0円のパン」が17個存在しています。

では、このパンのこの月の「物価」は一体いくらになるでしょう?

もうお分かりですね。計算式では9960÷100ですから、この月のこのパンの物価は99.6円です。単価は120円に上昇しましたが、物価は下落していますね。


「消費されていないものは物価には反映されない」という意味

私が何を言いたいのか、もうお分かりですね。100円のパンが120円に値上がりしたとしても、物価が120円となるためには、前年と同じ数消費されなければ120円にはならないということです。

では、月収10000円のアルバイト従業員が前年に100個消費した100円パンの物価が120円になるためには、どうすればよいでしょうか?

答えは簡単です。月収10000円のアルバイト従業員が120円のパンを前年同様100個消費すればいいだけのことです。

月収10000円のアルバイト従業員が、12000円お金を使えばこのパンの物価は120円になるのです。


ご理解いただけましたでしょうか?

「名目賃金」が上昇し、「実質賃金」が下落することができる状況は、実は3つしか存在しません。

1 昨年貯蓄に回した給与を支出に回した

2 給与の内、昨年までは貯蓄に回していた給与を消費に回す様になった

3 借り入れを起こしてでも消費する様になった

このような経済状況を、

 「貯蓄性向が減少し、消費性向が上がった」

と表現します。

中には、「それって貯金が減るってことじゃん!!」ということをいう人もいるかもしれませんが、そもそも貯金がなければ、受け取る給与以上に消費を増やすことはできませんから。

同じ月に、名目賃金が上昇した以上に物価が上昇していたのだとすれば、それはその月に受け取った給与所得以上に消費に回す余裕があったという事実に他なりません。

もしくは2番にあるように、昨年まで貯蓄に回していた給与を消費に回すゆとりが生まれたということ。

いかがでしょうか? 確かに今回厚生労働省が行った「不正」は、許してよいものではないのかもしれません。ですが、だからアベノミクスが失敗であったかのように喧伝するのはいかがなものでしょう。

志位委員長の様な人物が、いかに「経済」を分析する能力がないのか。このように考えるとよく理解できるのではないでしょうか。

本当に糾弾されるべきは、経済減少をまともに検証することもせず、思い込みだけで条件反射のように政権批判を行う、現在の特定野党の面々ではないのでしょうか?

あんな人たちになぜ議席が与えられるのか。私には全く理解できません。



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