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第405回 2018(平成30)年4月度所得・法人・消費税収が発表されましたなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


「2018(平成30)年4月度」と記していますが、今回のデータは「2017年度(平成29年度)翌4月」のデータです。

政府の「会計年度」は毎年4月に始まり3月に終了します。

ですが、「税収」に関しては、典型的なものとして「消費税」の納付期限が、「翌々月」の納付までで構わないとされており、例えば3月の消費税収を「5月」に納付するところまで認められているわけです。

ですので、「税収」に関しましても、確かに政府の会計年度は「4月~3月」なのですが、3月分の最終納付月が5月となっているため、「税収」のデータは毎年「当年4月~翌5月まで」のデータが1年分のデータとして公表されています。

ただ、翌年度、今回でいえば2018年度(平成30年度)ももうスタートしていますので、同時に「2018年度4月」のデータも公表されています。

ですが、今回はあくまで2017年度(平成30年度)の統計を分析することを目的としていますので、本日記事にする資料は2017年度としての2018年4月の数字となっています。


2018(平成30)年4月度税収

2018年4月税収
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【2018(平成30)年4月度税収】※(  )内は前年同月比です。
所得税全体 4月分 2.702兆(101.8%) 累計 18.805兆(107.2%)

 源泉分 4月分 1.112兆(97.4%) 累計 15.617兆(107.9%)
 申告分 4月分 1.589兆(105.1%) 累計 3.188兆(104.2%)

法人税 4月分 0.452兆(110.0%) 累計 6.941兆(115.6%)

消費税 4月分 1.833兆(102.1%) 累計 14.720兆(103.3%)

一般会計全体 4月分 5.666兆(102.8%) 累計 50.399兆(105.9%)

これが2017年度4月の「税収」です。


所得税収の見方


4月のデータとしては、ずっと好調を保っていた所得税収「源泉分」にブレーキがかかっているのがネガティブな要素としてはありますが、それでも累計で見ると所得税収「源泉分」は前年同月比107.9%で、予算ベースが前年同月比で102.7%ですから、これを5.2%上回っていることがわかります。

一方で、3月が確定申告月にはなるのですが、この「申告分」としては4月に納められるものが最も多いようです。

そしてこの数字が4月単月で前年比105.1%、累計が104.2%。予算ベースでは前年比98.4%で組まれていますから、これを4.8%上回っていることがわかります。

所得税収全体では源泉分のブレーキが効いていて前年同月比101.8%とはなっているものの、累計では107.2%。予算が前年比101.9%で組まれていますので、所得税収は全体の累計実績で5.3%も上回っています。所得税収は4月がピークですので、この数字はほぼ確定したものと考えて間違いないでしょう。


法人税収の見方

一方、法人税収としては、4月単月で前年比110.0%、累計でも115.6%と明らかに好調を維持しているのですが、何しろ予算ベースが前年比120%となぜこんな数字で組んだのかわからないほど莫大な伸び率で予算組されていますので、予算ベースでは不調となっております。

ただし、税収としては4月の法人税収は4522億円となっており、法人税収全体の予算額12.391兆円であることを考えると、その影響は微々たるもの。法人税収のピークは5月ですから、5月の数字に期待してみたいところです。


消費税収の見方

消費税収としては、予算が99.5%と前年度割れで組まれている中、4月の実績としては金額で1.833兆円、前年度比で102.1%。累計で103.3%となっており、予算と比較しても前年比で2.8%のプラスとなっていますから、ここは「好調」というよりも「堅調」に推移しているといえます。

もちろん「消費税収」のピークも5月ですから、この時の伸び率に期待したいところです。


「消費増税」を批判する皆さんに向けて

来年度、2019年10月には、いよいよ消費税率が10%に引き上げられます。

では、この10%増税はやるべきなのか、やめるべきなのか。私としては、両方の考え方に一理あると思っています。

私が「消費増税を行うべきだ」とする最大の理由は、国民の「労働する意欲」を担保することにあります。

社会保障にしろ、時折話題となる「ベーシックインカム」にせよ、私は私たちが受けることのできる行政サービスは、あくまでも「労働の対価」として与えられるものであり、「働かずして行政サービスを受ける仕組み」は、長期的に見れば日本人から労働する意欲を奪い、外需に依存する国民性を作り上げてしまうのではないか、と危惧しています。

ただし、これはあくまでも現時点での「税収」が、日本の社会保障システムを根幹から揺るがしてしまうほどに枯渇しており、このままでは本当に社会保障システムを維持することが困難であるとする前提条件の下でのみ成り立つ理屈です。

例えば私は第401回の記事 及び第402回の記事 におきまして、私自身が厚労省年金課の担当者とお話させていただいた内容を下に、いかに厚労省職員が「年金」のシステムを理解せずに運用しているのかということを記事にしました。

はっきり言って、こんな理解度で年金課の職員に年金を運用してもらったのでは困るわけです。何より、国会議員に年金システムを「レク」し、国会で議論する元ネタを作るのは彼らなのですから。

こんな誤った理解度で「年金は崩壊寸前である」などといわれたのでは困るのです。

消費税を上げるなら上げるで、国会議員はもとより、官僚の皆さんがキチンと社会保障システムを、私のような人間に何か言われただけで返答に窮したりしないほどに理解した上で上げるのでなければ、はっきりいって国民を納得させることなどできません。


また一方で、「消費税を上げるべきではない」とする連中にも私はほどほどうんざりしています。

消費税を上げるべきではないとする連中の主張の柱となっているのは、「消費増税により、消費が低迷した」とする「デマ」があります。

【生鮮食品・エネルギー、消費増税の影響を除く消費者物価指数の前年同月比の推移】
CPI(生鮮食料・エネルギー除く)

こちらは、過去の記事で用いた資料です。グラフを見ていただくとわかると思いますが、「消費者物価指数」総合から、「生鮮食品・エネルギー・消費増税の影響」を取り除くと、増税年度である2014年度はすべての月で0%を上回っており、翌2015年度の消費者物価指数前年同月比は12月に1.3%を記録していて、ピークを記録しています。

増税年度に「消費が低迷した」と言われている最大の理由は、実は消費増税によるものではなく、海外の原油動向の影響をもろに受けた、「エネルギー物価の低迷」にあったのです。

これは、「税収」で見ても顕著で、増税が行われた2014年度。消費増税が行われていますから、当然消費税収は伸びる(10.829兆→16.028兆)わけですが、増加したのは消費税収だけではありません。唯一所得税収のうち「申告分」のみが99.7%と前年度割れしているのですが、所得税源泉分が「12.759兆→14.026兆(前年度比109.9%)」に、法人税収もまた「10.493兆→11.031兆(前年度比105.1%)」と、安倍内閣が誕生したばかりで、増税前の「駆け込み需要」があったはずの2013年度を大きく上回っているのです。

本当に消費増税が景気に悪影響を与えたのだとしたら、私たち一般国民が受け取るはずの給与所得が反映された「所得税収源泉分」が9.9%も増加したりするでしょうか?

「消費が低迷した」と言われますが、実際の消費税収の推移を見てみますと、

2013年度 10.829兆
2014年度 16.028兆
2015年度 17.426兆
2016年度 17.228兆
2017年度4月 14.720兆
(前年同月比103.3%から予測した2017年度消費税収17.796兆円)

となっています。
私のブログを熟知している方は、2014年度→2015年度の消費税収が大きく増えている理由をご存知だと思いますが、念のため説明しておきます。

「消費税」は、基本的に各企業とも「決算月」に納めるわけですが、仮に決算月が12月であった場合、1月~3月の売り上げには消費税が加算されていませんから、実際に増税分が含まれているのは4月~12月の9か月分のみ、翌1月~3月の増税分は翌年12月に納税されることになりますので、その差額が2015年度に増加していることになります。


2015年度の「消費」は増税年度の「消費」を上回っているのか?

「消費税収」とは、「消費されたもの」に対してかけられている税収ですから、逆算すれば日本国内で消費された物品やサービスの金額を算出することができます。

つまり、「消費税収の推移」を見れば、日本国内で実際に行われた「消費」が伸びたのか、それとも下落したのかということを測ることができるのです。

増税年度である2014年度は、納められた消費税の税率が一律ではありませんので、ここから消費税が含まれていない消費額を算出することは困難ですが、増税の前年度である2013年度の消費額と、翌2015年度の消費額を算出することはできます。

2013年度の一般会計における消費税収は10,829,294(百万)円です。

5%税率での消費税は、1%を地方税、4%を国税として充てることになっていますから、国税として納付されている10,829,294(百万)円の消費納税額は消費税全体の4%であることがわかります。

10,829,294(百万)円が税率4%分になるわけですから、これを4で割れば1%分の税収が算出されます。

 10,829,294(百万)円÷4=2,707,481(百万)円

2,707,481(百万)円は消費税を除く消費額全体の1%分に相当しますので、これを100倍すると、消費税を含まない消費額を算出することができます。

 2,707,481(百万)円×100=270,748,100(百万)円≒270.748兆円

同じ理屈で、2015年度の消費納税額は17,426,292(百万)円。
8%税率での国税分は6.3%になりますので、

 17,426,292(百万)円÷6.3=2,766,078(百万)円

これが消費全体の1%分になります。100倍します。

 2,766,078(百万)円×100=276,607,800(百万)円≒276.607兆円

となります。いかがでしょうか。安倍内閣誕生直後、駆け込み需要があったはずの2013年度の消費額が270.748兆円。
消費増税が行われた翌年。消費増税によって景気が低迷しているはずの2015年度の消費額が276.607兆円。

おかしいですね。消費が低迷しているはずの2015年度の方が、約6兆円消費が活発であったはずの2013年度の消費を上回っているのです。

2016年度に限って言えば、確かに前年度、2015年度の「消費」を下回っているわけですが、その翌年である2017年度。

あくまで私が個人的に計算した「見込み額」にすぎませんが、同じ計算式で消費額を算出すると2017年度の消費額は282.487兆円になります。

2016年度の低迷分が余分といえば余分ですが、2017年度の消費額は、2015年度の消費額を5.88兆円上回っていることになります。

増税前の2013年度と比較すると11.739兆円の消費増。

当時のGDPが507.246兆円ですから、2017年度と2013年度を比較すると、「消費税課税対象となる物品やサービス」のみの消費額で、なんとGDP全体の2.3%に相当する「消費」が増えていることになります。

消費増税の影響で、本当に消費は「低迷した」のでしょうか?

例えば、反増税はの急先鋒で、まるで自分の説がすべてを凌駕するかのように吹聴する高橋洋一は、ダイヤモンドオンラインにおいて、以下のような説を述べています。

【ダイヤモンドオンライン 5月31日より】
<前略>

前回の消費落ち込みは「増税効果」があったから

 骨太方針の原案には、「消費税率10%の引き上げを実施するとともに、税率引き上げによる需要変動の平準化に万全を期す」と書かれているようだ。

 経済財政諮問会議は、2014年4月からの消費税増税による景気の後退について、駆け込み需要が大きくその反動減と考えているのだろう。

 しかし、現実の消費の減少動向を見ると、単に駆け込み需要やその反動減では説明できない。実際は駆け込み需要があってその反動減以上に、消費は落ち込んだ。

 つまり、本当の「増税効果」があったと考えることができる。

駆け込み需要とその反動減では一定期間をならしてみれば消費減はなかったと暗に前提していることになるが、そうではなく本当の「増税効果」があったから消費が落ち込んだのだ。
<後略>

さて。本日の私の記事を読んだうえで、高橋洋一の記事を読んでみると、皆さんはどのように感じるでしょうか?

彼は

「経済財政諮問会議は、2014年4月からの消費税増税による景気の後退について、駆け込み需要が大きくその反動減と考えているのだろう」

と記しています。つまり、消費増税が行われた2014年から景気が後退した、と記しているのです。

ですが、2014年全体を通じてみますと、「消費税収」だけでなく、「所得税収」も「法人税収」も前年を大きく上回っています。

「生鮮食品」と「エネルギー」及び「消費税収の影響」を取り除くと「消費者物価指数」も増加し続けており、翌年12月には前年同月比1.3%というピークをつけています。増税年度は、駆け込み需要があったはずの2013年度を上回る物価上昇率を記録し、2015年度はその物価をさらに上回る「物価上昇率」を記録しているのです。

「消費」に絞って考えますと、税率が一律でない、増税年度である2014年度こそその算出は困難ですが、翌2015年度は、駆け込み需要があったはずの2013年度を6兆円上回る「消費額の増大」を記録しているのです。2017年度まで通算して考えますと、2013年度~2017年度の4年間で、毎年0.57%ずつ上昇している計算になります。

しかもその消費額は「消費税課税対象となる物品やサービス」のみの消費額であり、政府行政サービスを含む課税対象とならない「物品やサービス」はまた別に存在します。

さて。本当に高橋洋一氏のいうように、2014年4月以降、景気は後退したのでしょうか?
消費は減少したのでしょうか? しかもその減少幅は「単に駆け込み需要やその反動減では説明できない」ほどに落ち込んだのでしょうか?

違いますね。実際には増税年度も含め、しかも民間消費レベルで消費は拡大し、「雇用」の面からも「企業経営」の面からも、景気は成長し続けているのです。

唯一、2016年のみにその成長に陰りが見えていた、というのが「税収から見る安倍内閣日本の景気の真実」です。

2014年以降、景気が後退していたというのは高橋洋一らが吹聴している「デマ」だということです。そしてその「デマ」に、いわゆる「保守論客」と言われる面々までもが振り回されているわけです。

なぜでしょう? それは簡単なこと。彼らにとって、「消費増税」は悪であり、消費増税が行われれば、必ず日本の景気は悪くなってもらわなければ困るから。

そうでなければ、自分たちの論説そのものが崩壊してしまうからです。


まとめ

私自身、もともと「景気が回復していない状況における消費増税」には反対でした。

麻生内閣において、麻生さんは消費額を行うための目安として、「名目成長率3%、実質成長率2%、物価上昇率1%が、3年間継続し、国民が景気回復を実感すること」を挙げていました。

私としても、これが達成されていない状況で消費増税が行われたことには正直承服しかねる部分があったことも事実です。

ですが、だからと言って事実を捻じ曲げて消費増税に反対することの正当性を訴えることが、本当に正しいのでしょうか?

それでは「自民党だから」とか、「安倍内閣だから」とかいうただそれだけの単純な理由で自民党安倍内閣を批判し、日本国のためには全くならない理由をこじつけて批判し、国会を停滞させまくっている野党5党1会派と一体何が違うのでしょうか?

消費増税を行えば景気にブレーキをかけてしまう。それは決して間違った主張ではないと思います。

であれば、本当に消費増税反対派が行わなければならない主張は、「消費増税さえ行わなければ、安倍内閣における成長は今以上に顕著であったはずだ」と、こうなるのではないでしょうか?

安倍内閣におけるアベノミクスは決して間違いではないと私は考えています。

ですが、私と同じように主張する人たちが、消費増税が行われたというただそれだけの理由であたかも安倍内閣における経済政策が失敗であったかのように主張し、テーマから「消費増税」が外れるとアベノミクスを礼賛するそのダブルスタンダードな姿勢に、正直へきえきしています。

批判するなら批判するで、なぜ正確な情報を下に批判するという姿勢が取れないのでしょうか?

私には全く理解ができません。



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