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第403回 2017年度(平成29年)GDP第四四半期第一次速報が公表されましたなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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平成29年度1-3月期GDP第一速報が出ました。

・・・と申しますか、平成29年度第四四半期GDPが出た、ということは、即ち平成29年度の年度GDPが公表されたということなんですけどね。報道は以下のような内容で報道しています。

【日本経済新聞ニュースより】
1~3月実質GDP、年率0.6%減 9期ぶりマイナス  2018/5/16 8:50

 内閣府が16日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%減、年率換算では0.6%減だった。マイナスは9四半期ぶり。消費や設備投資、住宅投資が振るわず、内需が勢いを欠いた。輸出の伸びも鈍化した。

 QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比年率で0.1%減だった。生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.4%減、年率では1.5%減だった。名目は6四半期ぶりにマイナスになった。

 実質GDPの内訳は、内需が0.2%分の押し下げ効果、外需の寄与度は0.1%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.0%減と、2四半期ぶりにマイナスだった。生鮮野菜の高騰や実質賃金の伸び悩みが消費者心理を冷やした。

 輸出は0.6%増に鈍化した。自動車など欧州向けを中心に輸出が拡大した。半面、半導体関連の調整が響いた。輸入は0.3%増だった。

 設備投資は0.1%減と、6四半期ぶりにマイナスだった。生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ。住宅投資は2.1%減。貸家着工の落ち込みが響いた。公共投資は0.0%増。民間在庫の寄与度は0.1%のマイナスだった。

 総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.5%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.9%のプラスだった。

 同時に発表した2017年度のGDPは実質で前年比1.5%増、生活実感に近い名目で1.6%増だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

タイトルだけ示しますと、他社は以下通り。

 ・ GDP1-3月期年率-0.6%、内需頭打ちで2年ぶりに成長後戻り(Newsweekjapan)
 ・ 1-3月GDP年率0.6%減、9期ぶりマイナス成長-消費低迷(ブルームバーグ)
 ・ GDP1-3月期年率-0.6%、内需頭打ちで2年ぶりに成長後戻り(ロイター)
 ・ 1~3月期実質GDP、年率0・6%減 9四半期ぶりマイナス 消費低迷など響く(産経)
 ・ 実質GDP、年0.6%減-1~3月期=9期ぶりマイナス、景気足踏み鮮明(時事通信)
 ・ 実質GDP、前期比0.2%減 9四半期ぶりのマイナス(朝日)

というような内容になっており、どの記事も、「1-3月期の『実質GDP』が『年率(もしくは前期比)』でマイナス成長」ということをピックアップして記事にしています。

これは、内閣府からマスコミ向けに行われている公表資料がそうなっているから仕方がない、といえば仕方がないんですが、逆に言えば、どの報道局も内閣府が公表した資料を検証することすらせず、ただ言われたとおりに発表しているだけってこと。だったらそれって「マスコミ」である必要あるの?、というのが私の正直な感想です。


「GDP」の「実質」や「名目」の違いについては第218回の記事 でわかりやすくご説明させていただいておりますが、実質や名目を計算する際の公式となっている

「名目GDP=GDPデフレーター×実質GDP」

という公式の下となっているのは

「売上総額=(平均)単価×売上総数」

という公式です。「売上総額」の最大値を表しているのが「名目GDP」であるという考え方は難しくないと思いますが、「売上総数」に関しては、「リットル」や「グラム」、「個数」、「敷地面積」、「サービスの質」など、売上数量を計算する際の共通した単位がない為に、これを「円」であらわしたものが「売上総数」の最大値である「実質GDP」。

そして、「売り上げ単価」の最大値であるGDPデフレーターも本来であれば「円」であらわされるべきものですが、便宜上「%」に相当する数字が用いられています。

「名目GDP」そのものも「加重平均」という計算式を積み重ねることで人為的に算出された数字ですが、「実質GDP」はその名目GDPを、さらに人為的に計算された「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」に代表される物価指数で割って計算されたもの。

そしてマスコミが報道している「年率換算」とは、またさらに根拠の薄い計算式を用いて計算された「季節調整系列」の「前月比」をはじき出し、これを「同じ成長率が1年間続いたらどうなるのか」という、まったく計算する意味すらない「フィクション」の数字をはじき出したものです。(1年間同じ成長率が続くことなどまずありえません)

そんなでたらめの数字が「-0.6%」と計算され、「9期ぶりのマイナスを記録しましたよ」と危機感を煽っているのが今回のGDPの「第四四半期」に関連したほぼすべてのニュースです。

せっかく年間を通じた「GDP」が公表されたのに、なぜこの数字をメインタイトルとして記事にしないのでしょうか?
また、わざわざ「季節調整」などという全く意味のない計算など行わず、なぜ「前年の同じ季節」と比較したものを記事にしないのでしょうか?

私には全く理解できません。ということで、私の記事ではまず「前年の同時期」と比較した四半期別のデータを記事とし、そのあとで「2017年度GDP」について記事にしたいと思います。


2017年度GDP第四四半期第一次速報

【2017年度GDP第四四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 136.633 兆円(1.4%)

 民間最終消費支出 75.170 兆円(1.0%)
 家計最終消費支出 75.743 兆円(1.9%)
  除く持家の帰属家賃  61.573 兆円(1.1%)

 民間住宅 4.127 兆円(-4.1%)
 民間企業設備 24.842 兆円(3.1%)

実質GDP
全体  134.497 兆円(0.9%)

 民間最終消費支出  74.745 兆円(0.2%)
 家計最終消費支出  72.932 兆円(0.2%)
  除く持家の帰属家賃  59.537 兆円(-0.0%)

 民間住宅  3.826 兆円(-5.7%)
 民間企業設備 24.316 兆円(2.4%)

内閣府

いかがでしょうか?

これが、本当の「2017年度第四四半期(1-3月期)」のGDPです。

2017年度第四四半期のGDPは、物価変動の影響を除く実質で前年度比0.9%増。前年と比較していますから、年率換算など行う必要は全くありません。

ちなみに・・・ですが、2016年度第四四半期の実質GDP年率換算は2.6%となっています。何が言いたいのかといいますと、2016年第四四半期の年率換算は、「今後同じ経済成長が続けば1年後には実質GDPが0.9%上昇しますよ」という数字なのですが、実際には0.9%しか成長していません。

つまり昨年2016年度1-3月期に行われた「年率換算」は、まったくのでたらめであったということです。

「実質GDP成長率が予測より少なかった」と耳にしますと、まるで経済成長が予測を下回っているように聞こえてしまいますが、ここでマスコミが全く報じない「名目GDP年率換算」を見てみますと、2016年度1-3期の名目年率換算は「0.6%」となっています。

もし仮にこの年利換算通りの経済成長率となっていたとすれば、

名目年率換算(0.6)-実質年率換算(2.6%)=デフレーター年率換算(-2.0%)

となっていたことになりますので、実質GDPこそ成長したとしても、物価はなんと2%も下落していたことになるのです。これでは「デフレ」に舞い戻っていた計算になりますね?

ですが、実際の数字は

2017年度第四四半期名目GDP成長率(1.4%)- 実質GDP成長率(0.9%)=GDPデフレーター(0.5%)

これが実際の結果です。0.5%という物価上昇率に賛否の声はあると思いますが、私はこれで十分だと考えています。


ちなみに、この数字を私たちの生活に最も近い数字である「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」で見てみますと、以下のようになります。

2017年度第四四半期名目成長率(1.1%)- 実質成長率(-0.0%)=デフレーター成長率(1.1%)

となります。

実質の家計最終消費支出こそほぼ横ばいとなっていますが、名目、およびデフレーターは1.1%上昇しています。

この現象を分かりやすく表現するとすれば、

 『売上数量こそ横ばいだったが、単価が1.1%上昇し、結果的に売上高全体は1.1%上昇した』

という結果になっているのです。本当に報道機関が内閣府の公表した情報を理解しているのなら、このように表現すべきです。

また、さらに特徴的なのは、「企業設備投資」です。これが名目で前年度と比較して3.1%の増資。実質で2.4%の増資となっています。

この状況を、日経では以下のように報道しています。

設備投資は0.1%減と、6四半期ぶりにマイナスだった。生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ。

曲がりなりにも、「日本経済」新聞を自称している報道機関ですよ? なんで「前年度」ではなく「前期」と比較したがるくせに、その数字は「年率換算」を用いているんでしょう?

おかしくないですかね? 前年度と比較して名目で3.1%、実質で2.4%も「増資」がなされているのに、「生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ」って、どう考えても報道の在り方としておかしくないですかね、日経さん。


2017年度GDP第一次速報
【2017年度GDP第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 548.122 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出 303.945 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 295.753 兆円(1.1%)
  除く持家の帰属家賃  245.780 兆円(1.3%)

 民間住宅 17.271 兆円(1.5%)
 民間企業設備 86.820 兆円(3.8%)

実質GDP
全体  532.467 兆円(1.5%)

 民間最終消費支出  299.536 兆円(0.8%)
 家計最終消費支出  291.374 兆円(0.8%)
  除く持家の帰属家賃  238.002 兆円(0.7%)

 民間住宅  16.008 兆円(-0.3%)
 民間企業設備 85.092 兆円(3.0%)

本来であれば、この情報こそタイトルで掲載すべき情報です。

「年率換算」などせずとも、この情報が2017年度の経済状況を、少なくとも「年率換算」と比較すれば、下手な計算式が少ない分、より正確に算出されている経済状況を示した数字です。

唯一前年度割れしているのが「民間住宅」の「実質GDP」ですが、この状況をもし私が新聞で記事にするのであれば、以下のように掲載します。

2017年度GDP、1.6%増 6年連続のプラス

内閣府が16日発表した2017年度国内総生産(GDP)速報値は、日本国全体の経済状況を表す名目で前年度比1.6%増。物価変動を除いた実質でも1.4%のプラス成長だった。プラス成長は安倍内閣が12月に誕生した2012年度以来6年連続。

家計消費、特に私たちの生活の実感に最も近い消費状況を示す、「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」が1.3%のプラス成長。企業も含めた全体での消費支出は1.2%のプラス成長であった。

中でも特に成長が顕著であったのは企業による設備投資費で、名目で3.8%、物価変動の影響を除いた実質でも3.0%の増資が行われており、企業業績の堅調さがGDPの面からも明らかとなっている。

家計による住宅の着工件数を表す「民間住宅」が実質で前年度を下回ったが、名目は1.5%と前年度を大きく上回っており、民間住宅の着工件数こそ縮小したものの、住宅購入者一人ひとりが、住宅1件に行う支出がより大きくなっていることをうかがわせる結果となった

日経の記事は、「たぶん今年の3月には、昨年の3月と比較して0.6%くらい日本国全体の消費数量が落ちてるから、今年度の経済状況は悪くなってるんです」と言っているに等しい記事です。

少なくとも「日本経済新聞」を名乗るのであれば、前年度と比較して着工件数で3.0%、着工総額で3.8%前年度よりも増資されているにも関わらず、「設備投資は0.1%減と、6四半期ぶりにマイナスだった。生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ」などという飛んでも記事を書くのはやめていただきたいですね。



このシリーズの次の記事
>> 第423回 2018年度(平成30年)GDP第1四半期第2次速報(前編)
このシリーズの前の記事
>> 第395回 2017年度(平成29年)GDP第三四半期第一次速報が公表されました

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