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第401回 年金と消費者物価指数~マクロ経済スライドの終焉~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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あえてこのタイトルで行きます。冒頭に記しておきますが、タイトルに「マクロ経済スライドの終焉」と記していますが、本当にマクロ経済スライドが終わるわけではありません。

私の中に少し勘違いしていた部分があって、平成30年4月でマクロ経済スライドの調整機関が終了する、と思っていたのですが、そうではなく、平成30年4月より、前年度に調整できなかったスライド調整分をキャリーオーバーする・・・というルールに変更された、ということでした。

勘違いも甚だしいですね・・・。反省しきりです。

ただ、スライド未調整分をキャリーオーバーする、というルールには納得がいきませんので、その詳細を確認するため先ほど厚生労働省年金局 総務課へ電話してみました。

で・・・個人的にいろんな意味で年金局に対してガッカリさせられました。このブログは、基本的に政府の政策に対して、よりポジティブな情報を掲載することを目的としていますし、行政に対しても、批判するのではなく、よりポジティブな情報を掲載しようと、ずっと考えて作成してきました。

ですが、今回ばかりはさすがにそうはいきません。年金制度改定が、それこそ「こんな人たち」によって行われたのかと考えると、あまりにがっかりすぎます。

年金手帳


スライド未調整分キャリーオーバーとは?

まずはここを説明しておきます。

改めて「マクロ経済スライド」のざっくりとした説明を先にしておきます。

【マクロ経済スライドとは?】
そもそも、「年金制度」の給付方式には、「物価・賃金スライド」方式が導入されています。

大きく分けて「新規裁定者(67歳未満の年金受給者)」と「既裁定者(68歳以上の年金受給者)」の2種類の年金受給者がいて、基本的に「賃金スライド」の対象となっているのは新規裁定者、「物価スライド」の対象者となっているのは既裁定者です。

年金は、「物価」もしくは「賃金」が上昇すれば上昇し、逆に下落すれば下落する仕組みになっています。

「マクロ経済スライド」とは、将来にわたって安定して年金を供給するため、「年金上昇率」を抑制するために、2004年より導入された仕組みです。

マクロ経済スライドが導入されている状況で、年金が上昇するのは物価上昇率(もしくは名目賃金上昇率)が「1%」を上回る場合で、「1%未満(正確には0.9%以下)」の場合は年金は上昇しません。この、「年金上昇」を抑制している0.9%という数字が「スライド調整率」と呼ばれるものです。

物価が仮に1%上昇したとすれば、年金上昇率は(1-0.9)%=0.1%となります。

※スライド調整率は本来毎年変更されることが前提となっている数字ですが、0.9%で実質的には固定されています。

ものすごくざっくりと記しているので、本当にマクロ経済スライドを理解している人から見れば「間違っている!」と言われそうですが、現状こういうルールで動かされています。

正確なルールを知りたければ、第185回の記事 をご覧ください。

で、今回の法改正で問題となるのは、マクロ経済スライドにより年金上昇が据え置かれる期間。
及び物価・賃金が下落し、年金が下落する期間の話です。

私、物価上昇率が0.9%を下回る場合、単に年金は「据え置かれている」だけかと思っていたのですが、どうも年金局の考え方では、据え置かれているのは年金ではなく、「スライド調整」が据え置かれている、という発想であったようです。

例えば、物価上昇率が0.5%であった場合、スライド調整は行われず、年金は据え置かれるわけですが、年金局の発想では、据え置かれているのはスライド調整が行われなかった0.4%の部分。

つまり、0.4%スライド調整が行われなかったので、その分調整期間が先延ばしにされますよ・・・という発想であったわけです。

【スライド未調整分キャリーオーバーとは?】
それでは、「スライド未調整分キャリーオーバー」とは何かと申しますと、先ほどの事例で申しますと、物価上昇率が0.5%で、据え置かれた0.4%分を、将来ではなく翌年に持ち越しましょう・・・というルールです。

マクロ経済スライドには、そもそも「スライド調整期間」が想定されており、年金局の言い分をそのまま記しますと、

「政府の試算で100年後、年金積立金が丸1年分残ることが確定すればスライド調整期間は終了します」

とのこと。

ちなみに年金積立金の考え方に関しては、私が第118回の記事 にて記している内容を読んでいただけると、よくご理解いただけるのではないでしょうか。

はっきり言って、日本の年金制度について、日本一わかりやすく説明している、と自負している記事ですから。

平成30年3月末までの運用方法では、据え置かれたスライド調整分が、スライド調整期間の最終年度以降に回されていたため、いつまでたってもスライド調整期間が終了することはなかったわけですが、翌年に回されたことで、最終年度以降にまで持ち越されることなく、より早くスライド調整期間が終了するでしょ、というのが彼らの言い分です。


「スライド未調整分キャリーオーバー制度」の欠陥

先ほどの年金局側の言い分。一聞すると「なるほどな」と納得してしまいそうになりますが、ちょっと待ってほしい。

このキャリーオーバールールは、「日本国内の物価が、毎年0.9%以上上昇し続けることが前提となったルール」です。

現行のルールでは、0.9%の物価上昇率が達成できなければ、その差額分は毎年翌年に繰り越されていくことになります。

ちなみに、この場合の「物価」とは、「消費者物価指数(総合)」の上昇率のことを指しています。

シリーズ 物価の見方 におきまして、この「消費者物価指数」については具に記事としているわけですが、先日記した第400回の記事 におきまして、2017年度全体の「消費者物価指数(総合)」が公表されたことを記事にしました。

この、2017年度の消費者物価指数は前年比「0.7%」の上昇となっています。

しかし、平成30年度の年金で採用されているのは0.5%の物価上昇率ですから、年金制度で用いられている「消費者物価指数(総合)」は、「年度」ではなく「暦年」の物価指数を用いているものと考えられます。「2017年度」の物価上昇率は0.7%ですが、「2017年」の物価上昇率は0.5%ですので。

余談になりましたが、平成30年度の年金はこの0.5%の物価上昇率が採用され、0.9%を下回っていますから、年金は上昇せず据え置かれることになります。ですが、実際に据え置かれているのは年金の支給額ではなく「スライド調整分」です。

つまり、0.9%-0.5%=0.4%が「据え置かれて」いることになります。
つまり、その差額分0.4%が翌年度、平成31年度に「キャリーオーバー」されることになるのです。ただし、年金局の話ではなぜかこのキャリーオーバー分は0.4%ではなく、0.3%、とのことでした。

この0.3%に、来年度のスライド調整率=0.9%が加算され、来年度は今年度の物価上昇率が1.2%上昇しない限り、年金支給額が上昇することはない・・・と、すなわちそういうことになります。

ちなみに直近では2017年12月の消費者物価指数(総合)上昇率が前年同月比1.4%、翌1月が1.4、2月が1.5、3月が1.1となっていますので、確かに物価は上昇する傾向にあります。

ですが、この「物価」はあくまでも原油価格の上昇に依存したもの。どこかで原油価格が頭打ちとなれば、再び0.9%以下の圏内に舞い戻ってしまうことは想像に難くありません。

もし平成30年(2018年)度の消費者物価指数(総合)が0.9を割り込み、例えば翌年度への持ち越し分が今年度と同じ0.3%であったとすれば、その0.3%がさらに加算され、32年度には1.5%を上回る物価上昇を果たさない限り、年金支給額が増えることはなくなってしまうわけです。

それって、本当にキャリーオーバーする意味あるの?
むしろ年金の支給額が上昇するハードルが引き上げられただけ、安倍内閣の支持率に悪影響を与える材料を増やしただけじゃないの? というのが現時点での私の意見です。


愚かなり!年金局

ここからははっきり言って年金局に私が抱いた失望感を書き綴っていきます。

そもそも、今回のキャリーオーバーが導入されるに至った経緯として、マクロ経済スライドが導入された2004年度以降、物価が上昇することはなく、安倍内閣がスタートするまで、長い間マクロ経済スライドを導入することができなかったことが発端です。

例えば、物価が下落し、年金が下落する状況下では、「マクロ経済スライド」を導入することはできませんから、年金局的に言えば0.9%分のスライド調整分が調整されることのないまま、「先送り」にされているわけです。

ちなみに、どのサイトで見たのか・・・を現在思い出せずにいるのですが、この未調整分は総額で7兆円になるのだそうです。(ここはあくまで私のうろ覚えの数字だと思っていてください)

で、です。

年金の資金を使って運用されている会計帳簿の中には、「年金積立金」があるわけです。
2015年度こそ5兆3098億円の損失を生み出したわけですが、2016年度は7兆9363億円、2017年度は第一四半期が5兆1153億円、第二四半期が4兆4517億円、第三四半期6兆549億円の運用収益を生み出しています。

第四四半期を待たずして、2017年度の運用収益はなんと15兆6219億円の黒字です。

だったらなぜ年金積立金の運用収益をたかが7兆円程度の未調整分の補填に充てることができないのか、と私は年金局の担当者と名乗る人物に問いかけました。すると、担当者からは以下のような回答が返ってきました。

Q.年金積立金の運用収益をなぜマクロ経済スライドの未調整分に充てないのか?

A.マクロ経済スライドの未調整分が7兆円だという数字はどこから出てきたのか?週刊誌等で好き勝手に書いている数字では回答することができない

Q.では、実際のその数字はいくらなのか?

A.年金局ではそんな計算はしていない


え・・・

私は絶句しました。そんな計算すらせずに年金受給者に負担を要求するキャリーオーバーを実施していたのか・・・と。

Q.そのくらいの数字は計算しておくべきなのではないか?

A.それは、確かにその通りだ。受け止めたい。

Q.で、どうして年金積立金の運用収益をその補填に回さないのか?

A.政府の試算で100年後、年金積立金が丸1年分残ることを目標として積み立てられているものだ?

Q.けれど、年金積立金って、毎年切り崩されていることなく、むしろ加算されていますよね?

A.そんなことはない。運用収益としては増えているが、毎年切り崩されている

ここも、絶句でした。

改めて第118回の記事 を見ていただくとわかりやすいと思うのですが、現行の年金運用方法で年金積立金が切り崩されているのは、

年金システムのからくり③
↑この図で「不足する保険料」と記された部分を補填するためのものです。

では、なぜこの保険料が「不足する」のかというと、保険料を納付しない「未納者」がいるから。
前年度、本来であれば納付されるはずの保険料が納付されていませんので、年金会計年度の期首に、年金会計は一時的に「資金不足」に陥ります。

ですが、こちらの会計システムでは、「期末」に納付される予定となっている保険料を予測して、全額「基礎年金勘定」という別の会計帳簿に移すことになっていますから、どうしてもその不足する保険料分が必要となります。

そこで、一時的に「年金積立金」を切り崩す形で年金積立金より不足分を繰り入れ、他の保険料と合わせて「基礎年金勘定」へとさらに繰り入れているのです。

ですから、その切り崩された年金積立金は「年金積立金」から「年金特別会計」を経て「基礎年金勘定」へと移動しただけで、年金会計全体で考えればびた一文、減っていません。良くて会計枠を移動するのにかかる手数料程度の金額です。

Q.切り崩しているように見えるのは、未納者がいるからであって、切り崩された金額はすべて別会計に移動していますよね?

A.未納者は関係ない。未納者は本来支給する必要はなく、未納者のために年金積立金を切り崩したりはしない!

Q.いやいや、未納者がいるから年金積立金が切り崩されてるんです、って。

A.違う。こちらは運用している側なんだからわかる。未納者は関係ない!

しばらくこの押し問答です。いやいや、オタク、運用してる側なのに、自分たちが運用している年金制度を全く理解していないだけなんじゃ・・・・

Q.だから、その支給される必要がない分が基礎年金勘定側に積み立てられてるんでしょ? それって切り崩されてるっていうんですか?

A.基礎年金・・・??? それ、運用の話でしょ?

いやいや、運用も何も、年金制度全体の話してるんですが・・・( ̄▽ ̄;)

Q.年金制度では、期首に年金会計からその年の年金保険料全体を予測して年金会計から引き出して、年金特別会計に移動してるんでしょ? 切り崩されているのはその時に、前年度の未納分が不足するから切り崩しているのであって

A.きしゅ・・・???

Q.だから、期間の始めのことですよ

A.運用のことは財務局に確認しなければわかりません。ここは制度を管理しているのであって

Q.だから、年金制度のことを聞いているんですが?

全く話のかみ合わないまま時間が過ぎていきます。向こうがあまりにも制度を理解できていないものだから、ここからは私が年金局の担当者に非常にわかりやすく年金制度の運用方法について説明してやりましたよ。

A.話が制度の話になって、マクロ経済スライドの話をしていたはずなんですが

いやいや・・・( ̄▽ ̄;) マクロ経済スライドの話をききたくて電話したのはむしろ私の方なんですが( ̄▽ ̄;)

Q.私が電話をしたのは、スライド未調整分がキャリーオーバーされることに納得がいかなくて電話したんですが、スライド調整が行われないことが原因でキャリーオーバーするのなら、なぜそのスライド未調整分を、年金積立金で補填しないんですか?

A.スライド未調整分がいくらになるのか、確かにその試算が行われていないのは問題だと思う。

そこよりも、むしろ積立金で未調整分を補填する方を優先してほしいんですが・・・( ̄▽ ̄;)

で、最後に私から問いかけたのは、次の質問です。
Q.年金収支って黒字ですよね?

A.収支って、年金全体ですか?

Q.年金保険料から年金給付金を差し引いた差額ですよ。

A.財務局に聞いてみないとわかりません。

Q.黒字なんですよ。黒字なのに積立金を切り崩さなければならない、ってだけでそもそもおかしいと思いませんか?

一応、こっちも大人なんで、最後は別に年金局を責めたくて連絡をしたわけではなく、ただたんにキャリーオーバーのことを理解したくて電話しただけなんだ、ということを伝え、「おかげさまで、よくわかりました。ありがとうございました」とだけ伝えて電話を切りました。

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや・・・・・・( ̄▽ ̄;)( ̄▽ ̄;)( ̄▽ ̄;)( ̄▽ ̄;)( ̄▽ ̄;)

こんな奴らが年金制度を決めて、運用しているのかと思うと、はっきり言って納得いきません。

自分たちが作ってリアルに運用している制度の仕組みくらい、理解しとけよ!!!!!!

ほんっっっとに理解ができません。ってか、キャリーオーバーやめましょうよ、ほんと。



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