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第402回 マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーを中止すべきもう1つの理由など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>日本の年金


<継承する記事>第401回 年金と消費者物価指数~マクロ経済スライドの終焉~

タイトルを見て意味が分からない・・・という方は多々いらっしゃるかもしれませんが、内容としては前回の記事 を引き継いでいます。

非常に簡単に「マクロ経済スライド」を改めて説明しますと、

 ・年金は物価上昇(下落)率に合わせて1年間の支給額が変動している。
 ・マクロ経済スライドとは、物価が上昇した場合の年金の変動率(上昇率)を抑制するための仕組みである。
 ・マクロ経済スライドにより、年金は1年間の物価が1%以上上昇しなければ増えない仕組みとなっている。

簡単に言うとこんな感じでしょうか。前回の記事でのマクロ経済スライドの説明がわかりにくい・・・とのご意見がございましたので、わかりにくくしている要素を取り除いてみました。

簡単にしすぎると、誤解を生みそうなので本当は嫌なんですが、マクロ経済スライドが導入されたことにより、事実上このような状況が生まれている、と思っていただければと思います。

そしてこのような切り取りの解説がさらに切り取られて、マスコミで情報がねつ造されていく・・・というのが残念ながら今の日本の社会システムとなっております。与党マスコミがわかりやすく説明しようとすると情報が切り取られ、詳しく説明すると「もっと簡単に説明しろ」と言われる状況が続いているのが今の政界です。

あと少しだけ詳しく知りたい方は 前回の記事 を、さらに詳しく知りたい方は185回の記事 をご覧ください。


マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーとは?

前回の記事 を解説するような形で記事を進めてみます。

といっても、この「キャリーオーバー」の考え方をご理解いただくのは難しいかもしれませんね。一応、厚労省が出している画像を使ってみます。

スライドキャリーオーバー

私、先ほどの説明では年金の支給額は「物価」に合わせて変動している、と説明しましたが、賃金によって変動する場合もあります。ここでは詳しくは説明しませんので、詳細は185回の記事 をご覧ください。

ここも誤解を受けそうなくらい簡単に説明します。

 ・年金の上昇率、もしくは下落率は「%」で表します。
 ・年金の上昇(下落)率は、小数点第一位以下は四捨五入されます。
 ・マクロ経済スライドという仕組みが導入されている現在、年金の上昇率は以下のような計算式であらわされます。

   物価(賃金)上昇率 - 0.9%=年金上昇率

 ・上記計算式の、「0.9%」という数字に「スライド調整率」という名前が与えられています。
 ・物価上昇率が0.9%を下回るときは、一律で年金支給額は前年度に対して「据え置き」となります。

【「未調整分」とは何か?】

 ・「未調整分」とは、物価上昇率が0.9%を下回るときに発生します。
 ・物価変動率が0.8%の場合、0.9% - 0.8%=0.1%←この0.1%が「未調整分」となります。
 ・物価変動率が0.7%であれば0.2%、0.6%であれば0.3%、0.5%であれば0.4%が未調整分となります。
 ・未調整分の最大値は0.9%で、それ以上増えることはありません。

【キャリーオーバーとは何か?】
 ・キャリーオーバーとは、前年度の「未調整分」を翌年に持ち越すことを言います。
 ・前年度の未調整分が0.1%であれば、スライド調整率は0.9% + 0.1%=1.0%となります。
 ・未調整分が0.2%であればスライド調整率は1.1%、0.3%であれば1.2%となります。
 ・そしてこの持ち越し分は、当年で消化できなければ、さらにその翌年に持ち越されることとなります。

「持ち越される」というと何が問題なのかわからないかもしれませんが、簡単に言えば、「年金支給額が増えるためのハードルが上がった」ということ。今までと比べて年金がより上昇しにくくなった・・・ということです。

この仕組みが、今年度よりスタートしましたよ、ということですね。


マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーのどこが問題なのか?

そもそも、この「マクロ経済スライド」とは、2004年、小泉内閣よりスタートした制度です。ところが、安倍内閣がスタートするまで物価や賃金が上昇に転じることはなく、それどころかむしろ物価が下落する状況においても物価スライドは適用されず、そのまま据え置かれてきました。

2015年度、安倍内閣において、据え置かれた物価スライド分は解消されたわけですが、「マクロ経済スライド」そのものは安倍内閣がスタートするまで発動することはありませんでした。つまり、2004年より長年の間、「スライド調整」は行われないまま年月が経過していたことになります。

【で、なんでスライド調整をする必要があるの?】
という疑問が多くの人の頭の中に浮かび上がっていると思います。

スライド調整を行う必要があった、その最大の理由が記されているのは私が記した 第118回の記事 にあります。

国民年金収支

ご覧いただくとわかると思いますが、特に1995年の段階では年金収支は完全な赤字。それ以降も2004年まで国庫による給付費の負担がなければ年金の収支は赤字であったことがわかります。

これは、国民年金だけでなく、

厚生年金収支

厚生年金の方でも収支状況はきわどい状況が続いていました。

このような状況を改善するため、2004年に年金制度が大幅に変更されたわけです。詳細は第112回の記事 に記しています。

ただし、近年になってこういった年金の収支状況が大幅に改善されていることもまた、ご理解いただけるのではないでしょうか?


【未調整分はなぜキャリーオーバーされるのか?】

問題はここです。

年金局の職員の話では、これを行うための理由として、

 「政府の試算で100年後、年金積立金が丸1年分残ること」

を目指していることを挙げていました。ただし、この100年後、っていうのは2004年に考えられた話ですから、あれからすでに14年経過しており、実質的には後86年持てばよい話。一体いつまで「100年後」って言い続ける気なんでしょうね?年金局は。

で、これを目指してマクロ経済スライドを考え出したのに、安倍内閣が始まるまでスライド調整ができなかった、だからその「調整」を早める必要がある、として考えだえされたのが今回の「キャリーオーバー」制度です。

で、この制度の詳細を確認するために先日私は年金局に電話をしたわけですが、この年金局の職員・・・そもそも、私、厚労省に電話して年金局に回されて、一人目の職員が私の質問に全く明確な回答をすることができず、「詳しいものに変わる」と言って変わった相手が前回の記事 で紹介した担当者。

大雑把に言えば、

 ・年金積立金が切り崩されている理由を知らない
 ・年金の支出の中に「基礎年金勘定へ繰り入れ」という項目があることを知らない
 ・そもそも「基礎年金勘定」を知らない
 ・スライド調整が遅れているからキャリーオーバー制度を導入したはずなのに、そもそも年金局では一体いくら遅れているのかということを計算すらしていない。
 ・年金収支(保険料-給付費)が国民・厚生年金とも黒字であることを知らない。(聞いても答えられない)

これが、キャリーオーバー制度を考えた年金局の実態ですよ、皆さん。

で、どこの記事で見たのか、記憶が定かではないのが残念なのですが、何かの記事でスライド調整が遅れている金額が7兆円である、との情報を見たことから私は年金局に対して「その程度の金額であればなぜ年金積立金の収益分でカバーしないのか」と問いかけたわけです。

実際、昨年度だけで、第4四半期の結果を待たずして15兆円もの運用益を生み出しているわけですから。


マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーを中止すべきもう1つの理由とは?

先ほどの質問に対して、結局年金局は明確な回答はしなかったのですが、今回の記事では、いよいよ本題である「マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーを中止すべきもう1つの理由」について記事にしてみたいと思います。

まず皆さんに見ていただきたいのは以下のグラフ。

出生者数推移(戦前データを含む)

これは、第112回の記事 でも同じグラフを掲載しているのですが、「戦後」だけでなく、「戦前」の出生者数まで合わせて掲載した「出生者数の推移」を示したグラフです。戦後の出生者数の推移を示したグラフはよく見ると思うのですが、戦前からのグラフを掲載しているのは、おそらく私のブログだけです。作成者は私ですので。

で、ご覧いただくとわかると思いますが、「出生者数」のピークは「1948年」を挟んでの3年間。1947年と1949年が赤い棒線になっているので、よくわかると思います。

第二次世界大戦が終結したのは1945年。その翌年にかけてぐっと出生者数が減少してはいますが、そのさらに翌年。終戦の2年後から3年間にかけての出生者数が以上に多いのがご理解いただけますでしょうか。いわゆる「団塊の世代」です。

この年代の人が今年69歳~71歳になります。

年金の支給開始年齢は65歳です。つまり、「団塊の世代」に当たる3年間の世代はすべて、すでに「受給開始年齢」に至っていることがわかりますね?

人口はこの3年間に向けて年々増加し、逆にこの3年間を過ぎると急速に減少に転じました。

私が何を言いたいかわかりますでしょうか?

団塊の世代が65歳になった年。今から6年前~4年前にかけて、2012年~2014年の3年間までにかけて、「年金受給開始者」の人口は毎年増えていたのです。そのピークが2012~2014年にかけてです。

逆に言えば、その「ピーク」はすでに過ぎていることになります。年が経過するからと言って、2012年以前に受給者となった方の人口が増えることはありません。当たり前の話です。不謹慎な話かもしれませんが、むしろ2012年以前受給者となった方の人口は、寿命によりこれからは減り続ける一方です。

逆に、2015年以降に受給者となる人の人口は、毎年前年を下回ることになります。

1961年より出生者の数が再び増加に転じはしますが(団塊ジュニア)、しれでも団塊の世代の人口を上回ることはありません。

つまり、今後「年金受給者」の人口は、年々減少に転じていくことになるのです。

私が一人目の年金局の職員に対して、

「スライド調整が遅れている7兆円程度の金額を補填するため、未調整分をキャリーオーバーするくらいだったら、なぜ年金積立金の収益をその補填に充てないのですか?


と聞いたとき、その職員はこう答えました。
年金積立金は、100年後、年金積立金が丸1年分残ることを目指して積み立てられているものです


と。

これに対して、私はこう問いかけます。
いや、ですが積立金は毎年増えているでしょ? しかもこれから年金受給者は減っていくわけですから


と。

すると、職員はこう答えました。
年金局の試算では、そういう試算は行っていません


いや、だって団塊の世代はすでに受給者になっているんですよ? これから増えようがないじゃないですか。ピークは過ぎているんですよ?


と。これに対し、職員は再びこう答えます。
年金局の試算では、そういう試算は行っていません


と。再び私はこう質問しました。
いや、年金局でどう試算しているかじゃなくて、実際これからは減少するじゃないですか


職員は再びこう答えます。
年金局の試算では、そういう試算は行っていません


納付世代が減るってことですか? それならわかりますよ。ですが、受給世代は減りますよね?


年金局の試算では、そういう試算は行っていません


ここからはループ状態でした。で、私が

 「根拠は?」

と繰り返し問いかけたことに対し、その職員は同じ回答を繰り返すことしかできず、「詳しいものと変わります」と、最後は逃げてしまいます。

そして変わって出てきたのが前回の記事 でご紹介した職員でした。

いやいやいや・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・

お前ら一体何の仕事してんだ・・・・と。

その程度の回答しかできないんだったら、そもそも電話にでてくるなよ。

少なくとも第114回の記事 でご紹介した、「消費増税で増える税収が私の予想を屈辱的なほどに下回った理由」について、財務省の職員は、私が足元から崩れるほど衝撃的な回答を私によこしてきましたけど?

その程度の仕事しかできないのなら、さっさと年金局の職員をやめちまえ、と。

ほんと、あれはさすがにないですね・・・

2連続で同じ内容の記事を記しましたが、はっきり言います。

「スライド未調整分のキャリーオーバー制度など、さっさと廃止してください!!」



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