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第395回 2017年度(平成29年)GDP第三四半期第一次速報が公表されましたなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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平成29年度10-12月期GDP第一速報が出ました。

第二四半期速報の記事 でお示ししました通り、「季節調整」や「年率換算」はあてにならない、ということで、私の記事では「原系列」「前年同月比」を中心に記事を進めます。

まずは今回のGDP速報に関するニュース記事を引用してみます。

【日本経済新聞 電子版】 2018/2/14 11:00
GDP実質年0.5%成長、消費・投資けん引 10~12月

 内閣府が14日発表した2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.1%増、年率換算で0.5%増だった。プラス成長は16年1~3月から8四半期連続で、約28年ぶりの長さとなった。好調な輸出と設備投資を背景に企業部門がけん引し、個人消費も昨夏の天候不順による低迷から持ち直した。

 丸2年に及ぶ成長は、バブル期前の1986年4~6月期から12四半期連続でプラスだった時以来。茂木敏充経済財政・再生相は14日の記者会見で「雇用・所得環境が改善して経済成長が着実に進んでいる」と述べた。

 実質GDPの増加率は市場予測の中心値(年率0.9%増、QUICK調べ)を下回った。2四半期続け実質で年率2%を超えた4~6月、7~9月期と比べると減速。16年1~3月期から2年続くプラス成長の期間で最も低い成長率となった。1%程度とされる経済の実力(潜在成長率)も下回っている。

 前期比で0.1%増となった実質GDPの伸びにどれだけ影響したかを示す寄与度を見ると、内需が0.1%分押し上げ、外需は0.03%分マイナスとなった。

 内需のけん引役は企業部門で、設備投資が0.7%増と5四半期連続で増えた。工作機械が特に好調だった。個人消費も0.5%増と、長雨など天候不順の影響で落ち込んだ前期のマイナスから持ち直し、2四半期ぶりにプラスとなった。携帯電話や自動車、飲食サービスが増加に寄与。内閣府は「外食や旅行なども総じて見れば持ち直し傾向にある」とする。

 新設住宅着工が減少した民間住宅と、16年度補正予算の効果が縮小した公共投資はともに2四半期連続で減少した。民間在庫変動も、在庫残高の増加幅が前期から縮小したことがマイナスに寄与した。

 外需の寄与度はわずかにマイナスとなった。輸入がアジアからのスマートフォン(スマホ)やオーストラリアなどからの燃料が増えたため2.9%増えた。アジア向け半導体製造装置や自動車が好調で、輸出が2.4%増と伸びたが、輸出から輸入を差し引いて計算する寄与度ではマイナスだった。

 生活実感に近い名目GDPは0.03%減、年率換算で0.1%減だった。原油価格の上昇で、名目で見た輸入額が増え、その分、GDP成長率が押し下げられた。

 同日発表した17年の実質GDPは前年比1.6%増と、6年連続のプラスとなった。個人消費が1.0%増、設備投資が2.8%増と好調だった。内需・外需ともにプラスに寄与した。物価の動きを総合的に示すGDPデフレーターは前年比マイナス0.2%で、4年ぶりマイナスだった。

 茂木経財相は会見で17年の名目GDPが546兆円と過去最高を更新したと明らかにした。そのうえで「生産性革命で賃上げをしっかり進め、所得と消費の拡大につながる状態をつくっていきたい」と指摘した。足元では株や為替など金融市場の変動が大きい。消費回復の道のりを確かなものにするには、春季労使交渉での賃上げを実現できるかがカギを握る。

引用元は日経新聞ですが、記事タイトルとしてはどこも同様で、

・実質GDP年率換算が前期比で0.5%増加。8四半期連続で、約28年ぶりの好成績

をほとんどの記事で強調しています。さて。ではこの内容、「本当」なのでしょうか?

私が何を言いたいのか、皆さんすでにお分かりだと思いますが、第二四半期速報の記事 でお伝えしたように、まず「年率換算」の「前期比」はそもそもあてにならない。

「年率換算」しているから、あたかも同じ状況が1年間連続して続いているかのように思われますが、しょせんこのデータは一四半期、つまりたった3か月の実績が、「1年間続いたらどうなるのか」というフィクションに基づいて計算されたもので、例えば消費者物価指数 のデータで考えると、「持家の帰属家賃」と同等の虚構データ。

しかも年率換算を行うために「季節調整」が行われており、さらになぜかマスコミが年率換算のデータを代替的に公表するのは「実質GDP」に関するデータのみ。

実質GDPは名目GDPを「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」で割ったもの。

消費者物価指数そのものが「加重平均」という特殊な計算方法を用いて算出された、お世辞にも「正確である」とは言えないデータでありなぜそのような正確性に欠けるデータを重宝したがるのかが私には理解できません。


前置きが長くなりましたが、改めて「2017年度GDP第三四半期第一次速報」について記事にしてみます。


2017年度GDP第三四半期第一次速報

【2017年度GDP第三四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 142.426 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出 78.170 兆円(1.4%)
 家計最終消費支出 75.649 兆円(1.4%)
  除く持家の帰属家賃  63.151 兆円(1.7%)

 民間住宅 4.419 兆円(-0.4%)
 民間企業設備 21.484 兆円(3.9%)

実質GDP
全体  136.003 兆円(1.5%)

 民間最終消費支出  76.501 兆円(1.1%)
 家計最終消費支出  74.219 兆円(1.1%)
  除く持家の帰属家賃  60.836 兆円(1.1%)

 民間住宅  4.094 兆円(-2.2%)
 民間企業設備 21.000 兆円(3.0%)

内閣府

さて、いかがでしょうか。ニュースでは、「GDP実質年0.5%成長」であるとし、このプラス成長が「16年1~3月から8四半期連続」で続いていることを強調して取り上げています。

ニュース記事になっている「GDP実質年0.5%成長」は、「季節調整済み実質GDP年率換算『前期比』0.5%成長」というのが正確な表現方法です。

「GDP実質年0.5%成長」という表現方法が、いかに正確性を欠いた、読者に対して誤読させやすい表現であるのかということがよくわかります。「年0.5%」と書いていますが、これははっきりと言って「フェイクニュース」ですね。


ニュース叩きはこの辺りで終えます。ニュース情報では、「季節調整済み実質GDP前期比」を「年率換算」しても0.5%しか成長していない、と言っていますが、私が大切にしている「原系列、前年同月比」で見ますと実質GDP成長率は1.5%。

これは「季節調整」だの「年率換算」だの全く不必要な計算など行っていない、「実数」です。

しかも昨年の10月~12月という同時期と比較していますから、わざわざ「年率換算」などというごまかしの計算を行わずとも、同じ季節を比較していますから、より近しい経済状況が比較されています。

そして、「実質GDP原系列前年同月比」で考えれば、プラス成長は連続で12か月継続していることになります。これは、増税年度である2014年の12月からスタートしていますから、消費増税の「影響」が本当にそこまで大きかったのかということさえ疑問視される結果です。

これを、「名目GDP」で見ますと、名目GDPの「原系列前年同月比」は1.6%。増税年度も含まれますが、安倍内閣がスタートした2013年度第1四半期から連続で19か月続いています。

この詳細な理由として、日経新聞では「好調な輸出と設備投資を背景に企業部門がけん引し、個人消費も昨夏の天候不順による低迷から持ち直した」としています。

ですが、日経が指標としている「実質GDP年率換算前期比」で考えると、確かに「輸出」の前期比は10.0%ですが、「輸入」の前期比は12.0%と輸出を上回っており、輸出から輸入を差し引いた「純輸出高」は-1.076兆円となっていますので、輸出入全体でみると日本国内のGDPを引き下げる傾向に働いていることがわかります。

「輸出」単独で見れば2.177兆円増となっていますので、確かに「けん引している」と言えなくはありませんが、その分2.61兆円「輸入」という形で海外に資金が流出していますので、「海外との取引」として輸出入は一体として判断する必要があるのではないでしょうか。


2017年度GDP第三四半期第一次速報の見方

それでは、ここから改めて私の視点を交えた「2017年度GDP第三四半期第一次速報」について記事にしてみたいと思います。

今回のGDP速報の中で大きいのは、やはり海外の需要を指標とするのではなく、国内の消費状況を判断基準とするべきなのではないでしょうか?

その点で言いますと、今回の速報で大きいのは、「民間消費支出」、この中でも特に「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」と「民間住宅」の見方になるのではないでしょうか。

もちろん記事にもある通り、企業の設備投資費は「名目GDP原系列前年同月比」で見ても3.9%と前年を大きく上回っていますので、確かにGDPをけん引しているのでピックアップすることに意味がないことはないのですが、金額にすると7990億円で1兆円を下回る金額。

一方の「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」は成長率が1.7%で、民間企業設備に比べるとその成長率こそ低くなっているものの、金額で見れば1.030兆円となっており、企業設備投資費よりも大きくなっています。

もう一つのポイントとして挙げた「民間住宅」ですが、ここは逆に-0.4%となっており、前年度を下回っています。

特に「民間住宅」は2015年第二四半期以来、9四半期連続で、最低でも3.6%、大きい時で7.7%と、日本国の経済状況を大きく反映してきた項目です。

ここがマイナスに転じたという点はGDPの見方として、一つ留意が必要な部分だと思われます。

このようにしてみますと、今回のGDPの成長率をけん引したのは、企業設備投資費もさることながら、やはり民間の「最終消費支出」、つまり「個人消費」にあったのではないでしょうか。


総括

「個人消費」が伸びた理由の一つとして、12月より「エネルギー物価」の「前年同月比」がマイナスからプラスに転じたことがあげられると思います。

ただし、マイナスからプラスに転じた、とは言ってもそれは12月からの話。しかも前年度と同水準になっただけであり、個人消費高全体を引き上げるところにまではまだ到達していません。

この影響が強く出始めるのは第四四半期から。ですので、特に次回の四半期別GDPを見る際には注意が必要です。

ですが、次回はいよいよ「年度別GDP」が登場する四半期。このこともまた楽しみにしたいと思います。

増税年度が含まれているとは言え、「個人消費」や「企業の設備投資」に支えれれて、19四半期連続での名目GDPプラス成長という状況は、いよいよ「アベノミクス」の効果が日本全体に定着し始めているのではないかと、そう感じさせられる今回のGDP速報でした。



このシリーズの次の記事
>> 第403回 2017年度(平成29年)GDP第四四半期第一次速報が公表されました
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>> 第371回 2017年度第2四半期GDP速報/季節調整・年率換算はあてにならない!

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