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第371回 2017年度第2四半期GDP速報/季節調整・年率換算はあてにならない!など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>GDPの見方


平成29年度7-9月期GDP第一速報が出ましたので、今回はこの内容で記事を作成してみます。(2017年11月16日)

この件に関する今回のニュースは軒並みこんな感じです。

【朝日新聞デジタル】(2017年11月15日09時48分)
実質GDP7─9月期年率+1.4%、16年ぶりの7期連続プラス成長

[東京 15日 ロイター] - 内閣府が15日に発表した2017年7─9月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比0.3%増、年率換算1.4%増と、7四半期連続のプラス成長となった。7四半期連続の成長は99年4─6月期からの8四半期連続以来、16年ぶり。ロイター予測の年率1.3%増に沿う結果となった。内需がけん引役だった4─6月期と異なり、外需が全体を押し上げた。

 民間消費は同0.5%減と7四半期ぶりにマイナスとなった。4─6月に極めて高い伸びとなった反動が出たほか、長雨や台風など天候不順が旅行や外食などを下押し。自動車や携帯電話という耐久財も減少した。

 設備投資は同0.2%増と4四半期連続の増加。前期より減速したが、企業の高収益や低金利などの環境が後押しし、船舶や汎用機械、パソコンなどが増加に寄与。一方、工作機械やソフトウエアなどは減少した。

 外需は前期から一転してプラス寄与となった。海外経済の回復が続く中、アジア向けIT関連や米国向け自動車・資本財の輸出が寄与。他方で輸入がエネルギーを中心に減少。スマートフォンの輸入も供給不足で下押しした。

 この結果、内需の寄与度はマイナス0.2%、外需はプラス0.5%となった。

 内閣府幹部は「均してみれば緩やかな回復」とみている。ただ、企業収益が強い割に賃金の伸びが弱く、消費や内需全体の力強さに欠ける面が大きいとしている。

 GDPデフレータは前年同期比プラス0.1%と5四半期ぶりにプラスに浮上。前期比でもプラス0.3%だった。名目GDPは前期比年率プラス2.5%だった。

内閣府

 ポイントとなるのは、

 ・2017年度第2四半期実質GDPが「季節調整系列」「年率換算」で「1.4%」上昇した。
 ・内需がけん引役だった4─6月期(第一四半期)と異なり、外需が全体を押し上げた。

この2点です。毎日新聞だとこの内容が以下の様になっています。

【毎日新聞】2017年11月15日 11時58分
GDP 消費の弱さ、輸出が支え 年1.4%増

 2017年7~9月期の実質GDP成長率は、年率換算で1.4%増と7四半期連続のプラス成長を維持した。だが、個人消費の落ち込みを輸出がカバーし、輸出主導の成長に逆戻りした形。景気拡大は続いているものの、消費回復は依然、おぼつかないことが浮き彫りとなった。

 7~9月期は、4~6月期に大幅な伸びを示した個人消費が一転、7四半期ぶりに減少した。4~6月期の反動減や天候不順による外食関連の落ち込みなどが要因とみられ、市場では「落ち込みは一時的」との見方が多い。だが、9月の実質賃金が前年同月比0.1%減となるなど賃上げのペースが鈍いことに加え、年金など将来不安を背景に消費者の財布のひもは固いのが実情だ。

 一方、7~9月期の「外需」が全体の成長を下支えしたのは、米国などの景気拡大で輸出が増加したことが背景にある。しかし、輸入は減少。スマートフォンの輸入減など一時的な要因もあるが、振るわない内需を反映した可能性もある。

 実質GDPが7四半期以上のプラスとなったのは、1999年4~6月期から01年1~3月期までの8四半期連続以来。当時は、世界的なIT景気の追い風で景気が拡大した。

 今回のプラス成長が始まった16年1~3月期は、14年4月の消費税増税による影響を脱した時期。円安などを追い風に企業業績は回復し、有効求人倍率が高度成長期並みの水準となるなど雇用情勢も改善した。しかし、今回の景気回復も世界経済の回復に支えられた面が大きい。

 安倍晋三首相は10月の衆院選で国内の経済指標改善を「アベノミクスの成果」とアピールしたが「景気拡大の実感に乏しい」との指摘は根強い。消費を底上げして力強い成長を維持するには、賃上げにつながる成長戦略などの着実な実行が求められている。【井出晋平】

私はこの記事に異を唱えたい!!!

今回ほど「季節調整」や「年率換算」が全くあてにならないことが示されたGDP速報はないと思います。いや、実際にはあるんでしょうが、久々だと思います。

シリーズGDPの見方 を遡ってみていただければよくわかりますが、私は一貫して

 「季節調整系列」という数字も、「年率換算」という数字も私自身は全く信用していません。

とお伝えしていますね? 今回のGDP統計は、これが露骨に示された結果となりました。


2017年度GDP第二四半期第一次速報統計結果

私が毎回お示ししているGDP統計は、必ず

 「名目原系列、前年同月比」

です。

【2017年度GDP第二四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 133.277 兆円(1.7%)

 民間最終消費支出  75.469 兆円(0.9%)
 家計最終消費支出 73.565 兆円(0.8%)
  除く持家の帰属家賃  61.072 兆円(1.0%)

 民間住宅 4.505 兆円(4.0%)
 民間企業設備 20.708 兆円(4.2%)

実質GDP
全体  131.593 兆円(1.7%)

 民間最終消費支出 74.783 兆円(0.7%)
 家計最終消費支出  72.757 兆円(0.7%)
  除く持家の帰属家賃  59.432 兆円(0.6%)

 民間住宅  4.201 兆円(1.5%)
 民間企業設備 20.308 兆円(3.0%)

いかがでしょう?毎日新聞が報道している「消費の弱さ」を示しているのは、「民間最終消費支出」の事を言っています。

これも毎回お伝えしていることですが、「実質GDP」とは、「名目GDP」を「持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数」で割ったものです。

シリーズ物価の見方 の中で、私は毎月この「消費者物価」についても記事にしていますが、第53回の記事 で記していますように、私は実質化する際に用いられる「加重平均」という計算方法そのものに疑問を持っています。

ただ、それでも参考にはなるので記事にしているわけです。

ですから、「実質GDP」という数字そのものもまともには信じていませんが、それでも原系列で見る限りは「季節調整系列」や「年率換算」よりマシ。

ですが、マスコミがこぞって重要視するのはなぜか「名目GDP」ではなくこの「実質GDP」(「季節調整系列」「年率換算」)なのです。

さて。そんな実質GDP(原系列)ですが、今月で見れば全体が1.7%、民間消費支出が0.7%、家計のうち持ち家の帰属家賃を除くものが0.6%と、民間消費支出はGDP全体を引き下げる方向に働いてはいます。

ですが、それでも「消費」を見るうえで一番大切な持ち家の帰属家賃を除く家計で0.6%とプラス方向に上昇しており、「消費の弱さ」と銘打つほど消費が弱いと言えるのでしょうか?

また更に言えば、実質は「民間」「家計」全体を「持ち家の帰属家賃を除く家計」が下回っていますが、名目だと逆に上回っています。名目はGDP全体では実質と同じ1.7%成長ですが、持ち家の帰属家賃は実質より0.4%多い1.0%成長。

もう言うまでもありませんが、マスコミの情報がここまでネガティブな理由は、マスコミが用いている情報は「実質GDP」を「季節調整」して「年率換算」した「前期比」を用いているからです。

では、そのマスコミが用いているデータを掲載してみます。


2017年度GDP第二四半期第一次速報統計結果(マスコミベース)

【2017年度GDP第二四半期第一次速報季節調整系列(前期比/年率換算)】
名目GDP
全体 545.819 兆円(0.6%)

 民間最終消費支出  302.864 兆円(-0.4/-1.8%)
 家計最終消費支出 295.048 兆円(-0.5/-1.9%)
  除く持家の帰属家賃  245.068 兆円(-0.6/-2.3%)

 民間住宅 17.550 兆円(-0.2/-0.6%)
 民間企業設備 84.916 兆円(0.6/2.4%)

実質GDP
全体  530.796 兆円(0.3%/1.4%)

 民間最終消費支出 299.374 兆円(-0.5%/-1.8%)
 家計最終消費支出 291.526 兆円(-0.5%/-1.9%)
  除く持家の帰属家賃  238.217 兆円(-0.6%/-2.6)

 民間住宅  16.349 兆円(-2.6%)
 民間企業設備 83.054 兆円(0.2%)

こうやって見てみると、なぜマスコミがネガティブな記事を連発しているのか、よくわかりますね。

そう。「原系列、前年同月比」で見ると民間消費は軒並みプラス成長しているんですが、「季節調整系列、前期比」で見るとマイナス成長しているんですね。

しかも、その「季節調整系列、前期比」を「年率換算」すると、そのマイナス幅は更に誇張されてデータとして出てきます。

ちなみに「年率換算」を行うための計算式は第140回の記事 に詳細に記しています。

「年率換算」とは、「季節調整を行ったGDP同士を比較したGDPの『前期比』が1年間続いたらどうなるのか」という、全くの虚構の数字です。

たった3か月間の経済成長率が1年間も継続して続くわけがありませんし、何より「前年同期比」という前年度と比較した「実績」が既に存在するのに、なぜそんな「年率換算」などという架空の数字と比較したがるのか、私にはまったく理解できません。

例えば

「前年同期と比較すると〇〇%の成長率だが、前期比と比較すると〇〇%である。このままの経済成長が続けば1年後には〇〇%となるので今のうちに早急な経済対策が必要だ」

といった趣旨の記事を記すのであれば理解できます。

ですが、現在年率換算を用いた各社の記事を私なりに意訳するとすれば、

「現在の日本の経済は、1年後の未来には〇〇%となることが予言されている。これは経済政策が失敗したことを意味している」

と言っているのに等しいのです。未来に〇〇%となるという予言を行った上で、「だから経済政策は失敗だ!」と言われて、なんで誰も疑問を持たないんでしょうか?

では、マスコミが「今の経済をけん引している」と言って憚らない「輸出入GDP」を見てみましょう。パーセントで見ると実態を見失いかねないので、実額で見てみます。


2017年度輸出入GDP第二四半期第一次速報統計結果

【2017年度7-8月期輸出入GDP(原系列:前年比増減幅/年率:前期比増減幅】
名目輸出原系列 23.819兆(+2.946兆)
名目輸出年率 96.644兆(+2.792兆)

名目輸入原系列 22.131兆(+2.599兆)
名目輸入年率 89.96兆(-0.3992兆)

名目純輸出(輸出-輸入)原系列 1.688兆(+0.355兆)
名目純輸出(輸出-輸入)年率 6.684兆(+3.191兆)

実質輸出原系列 22.194兆(+1.333兆)
実質輸出年率 89.424兆(+1.303兆)

実質輸入原系列 22.265兆(+0.505兆)
実質輸入年率 89.771兆(-1.454兆)

実質純輸出(輸出-輸入)原系列 -0.071兆(+0.818兆)
実質純輸出(輸出-輸入)年率 -0.347兆(+2.757兆)

「原系列」では名目・実質とも増減幅は「前年同期」からの増加幅になっています。
「年率」は言うまでもなく季節調整系列を年率換算したもので前期からの増加幅になっています。

輸出入GDPを考えるときに大切なのは「純輸出」を見る習慣です。表に記しているように「輸出」から「輸入」をマイナスしたもの。

原系列で考えますと、

 名目 0.355兆増 実質0.818兆増。

年率換算で考えると

 名目 3.191兆増 実質2.757兆増

となります。

年率換算の場合は民間消費支出が民間住宅まで含めてマイナスになっていますから、名実とも確かに「輸出(外需)がけん引している」と言えなくもありません。

ですが、原系列で考えるとどうでしょう?


「原系列」と「季節調整系列」で異なる輸出入GDPのGDP全体への影響

原系列で考えると、例えば「民間最終消費支出」は名目で0.647兆、実質で0.517兆増加しています。

「持ち家の帰属家賃を除く家計」で見ると名目は0.581兆、実質で0.331兆増加しています。

特に大きいのは「民間企業設備」で、こちらは実質だと0.593兆円ですが、実質では0.827兆円増加しています。

実質の純輸出GDPは前期比で0.818兆増えていますから民間企業設備の0.593兆を上回っています。
ですが、これが「名目」になると逆に純輸出GDPの増加幅はは0.355兆に留まり、民間企業設備は0.827兆円増得ていますから、金額にして約2700億円ほど民間企業設備の方が上回っています。

更に名目は民間消費が0.647兆円、個人消費は0.581兆円ですから、民間全体の消費も、ここから企業の消費を除いた個人消費もともに「輸出入GDP」の増加幅を上回っているわけです。

これを見て、どうして毎日新聞は「消費の弱さ、輸出が支え」などという記事を書くことが出来るのでしょうか?


「季節調整系列」とは、「季節特有の経済現象(クリスマス夏休み、お正月など)を除外する」ことを目的として、「人為的」に数字をコントロールした数字です。

前年と比較する場合は「季節特有の経済現象」と比較する必要はありませんので、わざわざ季節調整を行う必要はありません。

ですから、「季節調整系列」とは「異なる季節同士」を比較するためにコントロールされているもので、主に経済成長率の「前期比」を比較するために用いられています。実際の経済活動に基づかない、人為的な計算式に基づいて算出されているものですので、はっきり言って「参考程度」にしかならない数字です。架空の数字と言っても言い過ぎではないと思います。

そして繰り返しになりますが、「年率換算」とは、そんな架空の数字である「季節調整系列」が、「もし仮に1年間続いたとしたら1年後のGDPは年間でいくらになるのか」という、「架空の数字を利用して算出した未来予測を行うための数字」にすぎないのです。

例えば、「5年後に日本の平均気温は今と比較して3度上昇する」という予測がなされたとして皆さんは信じるでしょうか?
「ひょっとするとそうなるかもしれないよね」とは思うかもしれません。そうならないために温暖化対策を今から行っておきましょう、という程度のものだと思います。

では、「昨年の平均気温は一昨年と比較して0.1度下がりました。ですが5年後は3度上昇します」といわれたらどうでしょうか?

普通、一気にその信ぴょう性は下がるんじゃないですか?

今回のGDP統計、例えば「持ち家の帰属家賃を除く家計消費」で考えるのなら、

 「今期の持ち家の帰属家賃を除く家計は一昨年と比較して1%上昇しています。ですが、このままの経済政策を続けるのなら、1年後の家計消費は前年と比較して2.3%下落します」

と言われているようなもの。

もっと言えば、「輸出入GDP」に関してもそうです。

日本の過去の原系列の事例から見れば、基本的に「輸出」が増えるときは同時に「輸入」も増えますから、結果的に「純輸出GDP」が輸出側、輸入側どちらかに偏って大幅に変化することはありません。あり得るとすれば海外で大きな経済危機が発生した場合。もしくは大幅な為替変動が発生した場合です。

ですが、例えば今回の年率換算で言えば、1年後の輸出は12.4%増え、輸入は1.8%下落することになっています。

実は、マスコミがこぞって「外需がけん引した」という報道を行っている最大の理由はここにあるんですね。
しかしそんな「12.4%」などという数字は、所詮計算式から算出されたフィクションの数字にすぎません。

少なくとも「前年同期比」で見る限り、今期の純輸出GDPの増加幅は「民間消費」全体どころか、持ち家の帰属家賃を除いた「家計消費」すら下回っており、とても「輸出が支えになっている」と言える状況になどないことは歴然としています。

今回の第二四半期GDPを支えてしているのは間違いなく「企業設備投資」であり、「民間消費」であり、果ては「家計消費」が支えているのです。

更に。名目原系列全体で見るのなら、実は今年度第一四半期のGDPを第二四半期のGDPは下回っています。

ですが、「企業」も、「家計」も、そして「輸出入」もすべて第一四半期を上回っています。

実は、GDP全体に対するマイナス要因として作用しているのは「政府最終消費支出」、そして「企業在庫変動」の二つ。

安倍内閣が目指している最終的な消費形態は「政府がサポートせずとも、民需だけで自律的に回転する経済」です。
また「在庫変動」が減少しているということは、それだけ「新規商品が消費されており、在庫が蓄積されていない」ことを示しています。

つまり、安倍内閣は明らかに安倍内閣が進めようとしている方向に向けて、着実に歩みを進めていることを如実に示した統計結果なんです、今回のGDP速報は。

マスコミさん、少しは統計資料を読み取る力を身につけましょうよ、ほんと。

政府が発表した通りに記事を作るくらいだったらマスコミがマスコミである必要なんて全くありませんよ?、ほんと。



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>> 第395回 2017年度(平成29年)GDP第三四半期第一次速報が公表されました
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