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第370回 利益剰余金の推移/企業内部留保課税とは妥当なのか?など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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私のブログに、このところ「内部留保」に関連したキーワードからの訪問が見受けられるようになりました。
第47回 「内部留保」の問題点 ←への訪問です。

最大の理由は、先日行われた第48回衆議院総選挙において、小池代表率いる希望の党が、政策として「内部留保課税」を掲げたことが原因です。

【週刊ダイヤモンドより(2017/10/17)】
小池新党「内部留保課税」を課税推進派の財務省さえ見放す理由

小池百合子

消費増税凍結の代替財源に希望の党がぶち上げた内部留保課税

「消費税増税凍結の代替財源として、約300兆円もの大企業の内部留保の課税を検討する」──。

 小池百合子東京都知事率いる「希望の党」が掲げたこの公約が今、有識者などから集中砲火を浴びている。

 批判される理由はただ一つ。代替財源にはなり得ないからだ。

 企業の内部留保とは、事業で得た利益から法人税などの税金や株主への配当などを支払った後に残ったお金のこと。企業の財務諸表には「利益剰余金」などとして計上されており、財務省の統計によると2016年度時点で406兆円(金融・保険業を除く)にのぼっている。

 名前からして、企業の中に巨額の現金が眠っているようにも見えるが、そうではない。現金ではなく、固定資産として建物などに姿が変わっているケースも多いからだ。

 企業会計の初歩的な話であり、それを理解していれば内部留保に課税するということが「二重課税」の問題を招くなど、税金の仕組み上、いかに難しいかはすぐに分かったはずだ。

私、記事内容には関心がございませんので、内容そのものはそれほど重要視していただかなくても大丈夫です。

今回の記事を記す目的の一つは、第47回 「内部留保」の問題点 に記しているデータが2年前のもので、少し古いから。

おそらく訪れてくれている人の中には、安倍内閣における企業内部留保の現状が一体どのような状況なのか、最新の情報が知りたい、と思ってご訪問いただいている方もいらっしゃると思いますので、その期待に添えていないのではないか・・・と考えたことが最大の理由です。


2017年11月版最新内部留保の推移
【2011年1-3月期~2017年4-6月まで】


利益剰余金推移

グラフの情報としては棒グラフが企業内部留保(利益剰余金)の推移で、単位は千億円。オレンジ色が前年同期比で単位は%。

安倍内閣がスタートする直前の2012年10-12月期の企業内部留保を基準に青色の横軸を、前年同月比0%の所にオレンジ色の横軸を引いています。

数字は四半期別の数字を用いていますので、年別で見た引用元のダイヤモンド記事とは数字に開きがあります。

第47回の記事を記したときは「前年同期比」に着目していませんでしたので、民主党内閣時代、2011年1-3月期に利益剰余金が前年同期比で12%も増大していたことは意外ですね。

時期的に東日本大震災が発生したまさにそのタイミングになりますので、内部留保が増えた理由をプラスにとらえるのは少し難しいとは思うのですが、根拠となる資料を持ち合わせていませんので、ここは素直に受け止めておきます。

最新の2017年4-6月期の利益剰余金が383.8兆円ですので、安倍内閣がスタートする直前の2012年10-12月期と比較しますと、実に113.9兆円の利益剰余金が増えたことになります。

2012年10-12月期の利益剰余金が274.4兆円ですから、増加した113.9兆円をこれで割りますと、安倍内閣スタート以来の企業内部留保増加率はなんと41.5%となります。

希望の党が掲げた内部留保課税とは、特に安倍内閣に入って増えた利益と限定していませんでしたから、4-6月期の利益剰余金で考えれば、その383.8兆円に「課税しますよ」という考え方です。


企業内部留保課税とは妥当なのか?

この、希望の党の主張が、実は衆院選前、非常に叩かれていました。理由としては、第47回の記事 でも記しましたように、

 「企業が不景気に見舞われたときに、即座に倒産せず、耐えられるように必要な資金である」
 「内部留保が溜まったのは株主のおかげであり、株主に還元するのが本筋ではないか」

という理由がほとんどです。ですが私、別に希望の党を擁護するわけでも何でもないのですが、どうもこの傾向に違和感を感じ、少し引いた位置から見ていました。

これらの主張を行っていた面々の中に、私が支持するタイプの政治家や評論家たちも含まれていました。

希望の党のこの主張を考えるとき、実は問題となるのはたった1点で、企業の内部留保は企業が企業努力を行った結果であり、人件費や税金をすべて支払った後に残された剰余金だということ。

ここに更に課税するのであれば、「二重課税となるのではないか」とする批判です。

これは、実は私が敬愛する麻生さんも以下の様に述べています。

【産経ニュース(2017/10/06)より】
希望の党公約の内部留保課税は「二重課税」 麻生太郎財務相

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 麻生太郎財務相は6日の閣議後の記者会見で、希望の党が選挙公約に掲げた企業の内部留保への課税について、「内部留保は税金を払った後のお金で、(さらに税を課すと)二重課税になる」との認識を示した。

 ただ麻生氏は、内部留保が大きく積み上がり、現預金の比率が高いことを問題視。「金利のつかない金を貯めて何をするのか。給与や設備投資に回したらどうか」と指摘した。

 麻生氏は合わせて、ペンス米副大統領との日米経済対話の第2回会合を16日に米ワシントンで開催すると発表した。「国益を守りながら、経済関係をいっそう深めていけるよう建設的な議論をしたい」と語った。

 経済対話は4月に東京で初会合を開催して以来となる。経済対話は4月に東京で初会合を開いて以来。11月のトランプ米大統領の来日を前に、経済分野の懸案を話し合う。

 冷凍牛肉を対象に日本政府が発動した緊急輸入制限(セーフガード)も議題に上がる見通し。麻生氏は、「運用を変えるだけで、今起きている問題は避けられる」と述べ、制度改正は必要ないとの考えを示した。

後半は全く関係のないニュースですが、冒頭でまず

 「内部留保は税金を払った後のお金で、(さらに税を課すと)二重課税になる」

と述べたことが記されています。ですが、本当に大切なのはその次の文章。

 「内部留保が大きく積み上がり、現預金の比率が高いことを問題視。『金利のつかない金を貯めて何をするのか。給与や設備投資に回したらどうか』と指摘した」

19第47回の記事 でも記した通りで、麻生さんは一貫して同じことを主張しています。

確かに小池さんの主張する「内部留保課税」は問題なのかもしれません。ですが、巷では、いたずらに内部留保をため込むことが出来る大企業や、株式を購入することのできる株主たちを擁護するような主張ばかり目立ったことは、個人的にはいただけない内容でした。

先ほどのグラフでもお示ししたように、安倍内閣に入って、企業が増やした「内部留保」は、実に安倍内閣前の50%にも到達せんとする勢いです。

例えば、同じ「利益剰余金」が掲載されている最新の統計調査票バランスシートでは、4-6月期の「資産の部」に191兆円の「現金・預金」が掲載されています。もちろん1企業のバランスシートではないことは踏まえておくべきなのですが、だとしても、383兆円の「内部留保」の内、実に191兆円が「現金」として保有されているのです。

安倍内閣に入って113.9兆円の利益剰余金が増えたのに、その増えた利益剰余金が全額「現金」として保有されている。そうとしか見えませんよね、これ。あくまでも見かけ上の話ですから、本当にそうだ、というわけではありませんが。

だったらこれを企業の設備投資や従業員の給与に回すことが出来ないのか、というのが麻生さんの主張です。

そして、この「利益剰余金」に対して、小池さんは「持っていたら税金を課しますよ。設備投資か給与にさっさとまわしなさい」と脅しをかけているのが小池さんなんですが、安倍内閣だとこれが以下のようになります。

【読売オンライン(2017年11月06日)より】
首相賃上げ要請 高い目標に見合う政策が要る

安倍首相

経済成長の持続には、生産と消費の好循環を生み出す賃上げが重要だ。分かっていても踏み切れない企業の意識変革は、政府の周到な環境整備があればこそである。

 安倍首相が、来年の春闘に向けて「3%の賃上げが実現するように期待している」と発言した。

 政府が直接働きかける「官製春闘」は5年連続だ。ただし、これまで首相は具体的な賃上げ率にまでは言及していなかった。

 ベースアップと定期昇給を含む平均賃上げ率は、今年の春闘で1・98%と、4年ぶりに2%を割り込んだ。アベノミクスのもとで緩やかな賃上げが続くが、最高水準にある企業業績に比べると、勢いの鈍さは歴然としている。

 3%に乗せたのは、バブルの余韻が残る1990年代前半が最後だ。政府の掛け声だけで実現できる程度のハードルではない。

 政府が高い目標を本気で達成するつもりならば、賃金が伸び悩む現状の分析に基づく、総合的な政策パッケージが求められよう。

 景気回復とともに産業界では人手不足が深刻化している。主にパートなど非正規雇用の増加で補っている。その正社員化を進めることは、賃金の増加と、待遇の安定という二つの面から消費喚起の効果も高いのではないか。

 政府は、賃金を3%以上引き上げた企業に対する法人税減税などの優遇税制を検討している。

 企業や業界によって経営環境は大きく異なる。不公平を助長せぬよう、慎重に制度設計すべきだ。そもそも赤字決算で法人税を納めていない中小企業も多い。税制措置に過度な期待はできまい。

 政府に求められるのは、企業が攻めの経営に転じられる経済環境を整えることである。

 政府が掲げる「生産性革命」では、人工知能(AI)などへの投資を強力に促進するという。

 新たな市場を創出する規制改革や、有望産業を後押しする成長戦略を着実に進める必要がある。

 持続可能な社会保障制度を構築し、消費者などの将来不安を取り除くことも欠かせない。

 企業が保有する現預金は210兆円に達し、アベノミクス開始当時から25%も増えた。金融庁は、企業に内部資金の有効活用を促すため、経営者向けの指針を来春をめどに策定する。

 経営者に機関投資家や株主との対話を奨励し、資金活用の計画に生かすことを期待している。新指針を、企業が積極的な経営姿勢に転じる契機としたい。

するしている内容を一言で言い表しますと、

 「給料を3%上げた企業は税制で優遇しますよ」

ということです。

 「給料を上げなければ増税しますよ」

と言っているのが小池さん。

 「給料を上げてくれたら税金を安くしますよ」

と言っているのが安倍さん。基本的に共産党や旧民進党の連中が言っているのも小池さんの主張と似たり寄ったりですよね。

さて。企業が給料を上げたい、と感じるのは一体どちらの政策でしょう?

また、「保守」を自称する論者の皆さん。

「希望の党の主張だから」という理由だけで批判するのであれば、それは「自民党だから」という理由で自民党を批判し続けてきた野党の面々と一体どこが違うんですか?

批判するのなら対案を出す姿勢は、野党だけに要求すればよいものではありません。あなた方もまた、同じことを実行するべきではありませんか?



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このエントリーにお寄せ頂いたコメント

内部留保に課税しなくても(そんな共産党見たく、その場しのぎの人気取りに走らなくても)、下げた法人税を上げればいいだけ。アメリカが世界一高いから前見たく日本が又、世界一高くすればいい。デフレのままでいいなら。企業が今まで見たく海外に移転していいなら。
そして、固定資産によりキャッシュフローが廻らなくても利益を上げている会社を潰すなら。
経団連の連中の下手くそな言い訳のせいで、共産党だけでなく勘違い者が出ますよね。髭のように( ;∀;)
かっ at 2017/11/14(火) 22:50 | URL

かっさんが記すと、めちゃくちゃ切実な問題のような気がしてきました(;''∀'')

> 内部留保に課税しなくても(そんな共産党見たく、その場しのぎの人気取りに走らなくても)、下げた法人税を上げればいいだけ。アメリカが世界一高いから前見たく日本が又、世界一高くすればいい。デフレのままでいいなら。企業が今まで見たく海外に移転していいなら。
> そして、固定資産によりキャッシュフローが廻らなくても利益を上げている会社を潰すなら。
> 経団連の連中の下手くそな言い訳のせいで、共産党だけでなく勘違い者が出ますよね。髭のように( ;∀;)
nonkinonki at 2017/11/14(火) 22:59 | URL

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