第37回 就労状況から見るアベノミクスの成果など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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アベノミクスを問う12

前回、前々回の記事では、首相官邸HPの表に掲載されている、「実質GDP成長率」に関数る記述が、はっきり言って「ごまかし」であることをお伝えし、これを証明するために「実質GDP」についての解説を行いました。

そして、「実質GDP」を経済指標として用いることに対して疑問を示したうえで、「名目GDP」を詳細に見ることで、アベノミクスは成果を出していることを十分に裏付けられることをお示ししました。

今回の記事では、次は「就労状況」の側面からアベノミクスをの成果について考えてみたいと思います。

統計のマジック

いくつか安倍内閣の成果を図ることができる指標があるのですが、今回、あえてこの「就労状況」をテーマに選んだのは、とある朝日新聞の記事に非常に大きな疑問が浮かんだことが理由です。

非正社員、初の4割 雇用側「賃金の節約」 厚労省調査
↑こちらがその記事です。リンクを貼っていますが、内容が消されることも考えられますので、記事内容も貼り付けておきます。
厚生労働省が4日発表した2014年の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」で、パートや派遣などの非正社員が労働者にしめる割合が初めて4割に達した。高齢世代が定年を迎えて正社員が減るなか、人件費を抑えたい企業が非正社員で労働力を補っている実態が浮き彫りになった。

調査は1987年から複数年ごとに行っている。今回は昨年10月1日時点。官公営を含む従業員5人以上の事業所約1万7千カ所と、そこで働く労働者約5万3千人にたずねた。回答率は事業所が64・4%、労働者が65・2%だった。

非正社員の割合は40・0%。民間のみの調査だった前回は38・7%。非正社員の約6割をパートが占め、次いで契約社員や定年後再雇用などの嘱託社員が多い

この記事、新聞ではタイトルが「非正社員4割に 人件費の抑制鮮明に」というように記されています。



上図は、同じ朝日新聞の記事を掲載しているまとめサイト、ハフィントンポストさんの記事から引用しています。
このような記事を見ると、普通は雇用状況が悪化し、正規社員の数が減少し、非正規の割合が増えている、というように、ふつうは感じますよね?

ところが、こちらのグラフを見ていただきたいのです。

正社員数前年度比

こちらは、日本全体の正社員数の推移を示したものです。(総務省統計局データ)
「前年同月比」という数字で、毎月、前年の同じ月と比較して、何人増えているのかという数字を示しています。

2014年4月の数字からしか示していないのは、被雇用者の数を「正社員」と「非正社員」に分けて統計を公表し始めたのが2013年。つまり、安倍内閣に入ってからだからです。

月別で2012年以前のデータは存在しませんので、月別の「前年同月比」は2014年のものからしか示すことができません。

このグラフを見ると、最初の4か月間の正社員数は大幅にマイナスを記録していますが、5月からほぼ横ばい。11月にマイナスの値を記録して以来、よく月からはずっと正社員の数が増え続けていることがわかります。

記事は2014年のデータですから、確かに統計がとられている中では正社員の数は減っているわけですが、15年に入ってからはずっと増え続けています。

正社員数

実数はこんな感じです。このグラフを見ますと、確かに2014年は2013年と比較して正社員の数が減っているように見えます。ですが、

正社員数(四半期)

こちらは四半期、つまり1/4年=3カ月ごとの正社員数の推移で、リーマンショックが起きた2008年から昨四半期、2015年4~6月期までの正社員数の推移を示したものです。

このグラフを見ますと、2008年以来正社員の数は下落し続けていることがわかります。これが安倍内閣が政権を担当したのは2012年12月半ばからですから、どちらかというと前政権の影響を1年では排除しきれなかった、という表現のほうが正しいのではないかと思われます。

正社員数(四半期)前年同月比

こちらを見ますと、東日本大震災の直後に大きく正社員の数が増えているシーンがありますが、それ以外はほぼマイナス。

安倍内閣に入って2014年の7-9でプラスに転じた後、よく10-12期はややマイナスになってはいるものの、2015年に入って二期連続でのプラス。7月8月9月も連続でプラスにシフトしていますから、3期連続でのプラスになります。

また一方で、

被雇用者総数

こちらは正規・非正規をともに含めた被雇用者の総数です。
圧倒的ですね。2013年に入ってから大幅に増加していことはわざわざ説明するまでもないと思います。

また更に。

無職者数

こちらは「無職者」の推移です。青が無職者の総数。グラフの左側が総数の値です。

緑が65歳以上の無職者。つまり、定年退職で無職者となった人の数。
赤が15~64歳までの無職者の数。いわゆる「生産年齢」と呼ばれる世代の無職者です。
緑と赤が右側の値です。

定年退職での無職者の数が増え続ける中、安倍内閣に入って、「生産年齢」の無職者の数が減り続けています。
そしてさらに無職者の総数も減っています。

つまり、安倍内閣では、アベノミクスの効果により、「無職者」の数が減り、「有職者」の数が増えています。
また、2014年12月より、前年同月と比較して、「正社員」の数も増え続けています。

このような事実がある中で、朝日のニュース記事にあるような、

「非正社員4割に 人件費の抑制鮮明に」

というようなニュース記事のタイトルが、いかに事実を捻じ曲げて伝えているのかということがご理解いただけると思います。
確かに厚労省がタイトルにあるような内容の発表を起こっているのは事実です。
ですが、それ以上に、プロの記者なんですから、わざわざ厚労省が発表した2014年の数字を用いずとも、すでに今年の9月までの最新のデータがあることくらいわかっていてしかるべきです。

にもかかわらず、このような記事が平気でかけるということは、プロでありながらあまりにもリテラシーにかけるのか、もしくは意図的にこのような記事を作り上げているのか、そのどちらであるようにしか思えません。

どちらの場合でも、記者としては失格でしょう。

ですが、えてしてこのような報道を平気で行うのがマスコミという存在です。
報道を判断する側である私たち国民がリテラシーを身に着け、正しい判断が行えるようになりたいものです。

次回記事では、「賃金」の側面からアベノミクスの効果を測ってみたいと思います。

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>> 第44回 「消費者物価指数」の見方
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このエントリーにお寄せ頂いたコメント

なるほど、最低賃金も696円に上がりましたし、
まだまだこれからなわけですね!( 0w0)/
ポンジュース at 2015/11/09(月) 06:15 | URL

ポンジュースさん、お久しぶりです^^
コンビニでは、賃金を時給1000円を上回る時給に設定しても従業員が集まらないのだそうです。

人手不足が原因で倒産する会社も登場し始めたくらいで、労働力市場はいち早く買い手市場から売り手市場へとシフトチェンジしているようですね(^^)v
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19H12_Z10C15A5AM1000/
のんき at 2015/11/09(月) 09:51 | URL

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