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第364回 消費者物価指数からみるアベノミクスの成果【2017年(平成29年)8月版】など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


今回も第363回の記事 同様、カテゴリーとしては 「物価」の見方 としてはいるものの、本日2017年10月15日(日)、来週末10月22日(日)の第48回衆議院総選挙を控え、第363回の記事 を継承する形で2012年12月に成立して以来、4年10か月の「安倍内閣の成果」を今回は「消費者物価指数」の視点から見てみます。

改めての復習ですが、「物価」というと皆さん店頭で並んでいる商品の「売価」をイメージされるかもしれませんが、それは単なる「店頭表示価格」であり、「物価」ではありません。

例えばA店の店頭で10万円のエアコンと20万円のエアコンが並んでいる様子を考えます。

多くの人は、「10万円」も「20万円」もそれぞれエアコンの「物価」だと考えるかもしれません。ですが、それは違います。

A店において10万円のエアコンしか売れなければA店のエアコンの物価は10万円。逆に20万円のエアコンしか売れなければ20万円がA店のエアコンの「物価」です。

つまり、店頭でいくらの値段がついて販売されていようが、実際にその商品が購入されなければ、それは「店頭価格」であって「物価」にはなりません。消費者が購入して初めて「物価」になるのです。

実際にはエアコンは1台しか売れないわけではないでしょうし、ひょっとすると10万円のエアコンが10台、20万円のエアコンが20台、なんていう売れ方をするかもしれません。

この場合は販売された台数を「ウェイト=重要度」と考え、

 {(10万×10)+(20万×20)}÷(10+20)=16万円

となり、この16万円がA店におけるエアコンの「物価」となります。

このような計算方法を「加重平均」と言い、この「加重平均」を繰り返し行うことで最終的な「消費者物価指数」は算出されています。(加重平均の詳細は 第53回の記事 をご覧ください)

ですから、例えば安倍内閣で本当に賃金が伸びず、消費者が安いものしか購入することができていないのであれば、いくら店頭における「店頭売価」が上昇していたとしても、本当にその商品が購入されていなければそれは「物価」としては計上されません。

消費者物価指数が上昇しているということは即ち消費者が店頭で実際に支払った「購入金額」が上昇していることになります。


この「消費者物価指数」の中には、先ほどご説明した、「店頭で実際に購入された金額」が物価として計上されていくわけですが、同じ物価でも、その上昇する理由が国民のお財布事情に関係なく上昇する場合があります。

その代表的なものが「原油」。そして「生鮮食品」です。

原油の相場を決めているのは、日本国内の消費事情ではなく、主に「投機市場」。つまり、日本国内ではなく海外で、原油が「投資対象」として売り買いされた際の相場価格によって原油の値段はきまっていきます。

ですから、いくら日本国民が安い原油を買おうと思っても、海外で販売される原油価格が日本国民が望む金額よりも高く取引されていれば、必然的に「原油」の物価は高くなります。これが日本国内で販売される「ガソリン」や「灯油」、そして原油を原料として生み出される製品の価格に反映されることとなるのです。


「エネルギー」CPIの影響

「消費者物価指数」は、略称で「CPI」と呼ばれます。CPIは大枠で、すべての物価を含んだ「総合」、「生鮮食品」を除いた「コアCPI」、「食料及びエネルギーを除く総合」という2つの「CPI」が存在し、それぞれ「CPI」「コアCPI」「コアコアCPI」と呼ばれています。

「生鮮食品」が除かれるのは、生鮮食品が天候の影響を受けやすく、日本国内の景気動向とは異なる動きをすることが理由です。

そして、安倍内閣や日銀が目指している「物価上昇率」はこの3つのCPIのうち「コアCPI」の2%上昇を目指しているのですが、ここには「エネルギーCPI」が含まれています。前述した通り、エネルギーCPIは日本国内ではなく、「海外」のしかも「投機動向」の影響が反映されることから、いくら日本国内で頑張ったところで、海外で原油価格が大幅に下落したのでは意味がありません。

そこで、生鮮食品に加えてこの「エネルギー価格」を除いた物価動向を示す数字が欲しいところなのですが、今年度がスタートするまで、実はこの「生鮮食品及びエネルギー価格を除く総合」という指標は存在しませんでした。

正確には「日銀版コア」と呼ばれ、2015年11月より日銀によって公表されていた、統計局データとしては存在していませんでした。

代わりに、存在したのが「食料」全体とエネルギーを除く総合=「コアコアCPI」であったのですが、「食料」の中には天候の変動を受けないものも多く存在し、項目の重要度を示す万分率に換算された「ウェイト」は生鮮食品の414/10000に対し、生鮮食品を含まない食料は2209/10000ですから、食料全体のCPIを取り除くことは決して適切ではありません。

このことから、今年度に入って統計局は正式に「日銀版CPI」をこれまでの「コアコアCPI」と同じ位置での掲載を始めました。事実上、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が「コアコアCPI」としてのポジションを獲得した形になります。

【消費者物価指数(前年同月比)の推移/2014年1月~2017年8月】
CPI(前年同月比)推移
※少し小さくて見えづらいかもしれませんが、クリックしていただきますと画像は大きくなります。

こちらの画像は、これまで政府・日銀が物価目標としていた「生鮮食品を除く総合」と新しく指標として登場した「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」、そして「ガソリンCPI」の3つを示しています。

ガソリンではなくエネルギー全体で表してもよいかな、とは思ったのですが、電気代等はどちらかというと電気代の自由化の影響で日本国内の事情も反映されていることもありますので、あえて「ガソリンCPI」の動向に絞ってみました。

赤い横線が前年同月比0%、青い縦のラインは「ガソリンCPI」の前年同月比が0%を割り込んでから再び0%を上回るまでの期間を示しています。

グラフは、消費増税が行われた2014年度が始まる直前。2014年1月から最新の2017年8月までの推移を示しています。ガソリンの動向が激しいので、コアCPI、新コアコアCPIは左軸に、ガソリンCPIは右軸に数値を掲載しています。

黄色のラインが「生鮮食品を除く総合」、オレンジのラインが「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」、そしてグリーンのラインが「ガソリンCPI」です。

「前年同月比」の推移を示していますので、グラフが右下がりになっていますと、あたかも前年度より物価が下落しているかのような錯覚に襲われますが、実際には0%赤い横ラインを下回るまでは物価は上昇し続けています。

特に、2014年度に「消費増税」がおこなれて以来、あたかも消費者物価が伸び悩み、むしろ下落し続けているかのような印象を私たちはマスコミ報道等を通じて刷り込まれてはいないでしょうか?

まず第一に、増税が行われた後も、増税年度である2014年7月まで、政府日銀が物価目標としています、「コアCPI」は上昇し続けています。7月から8月、9月にかけて、ガソリンCPIの「前年同月比」が8.7%から2%に急落しますが、それでも「コアCPI」は前年度割れなどしていませんね?

7月の1.6%から1.3%に、「緩やかに下落」しただけです。

この間、「新コアコアCPI」は、増税以来7月に一時的に「1.1%」に物価上昇率が上昇しはしていますが、10月まで「1%の物価上昇率を維持」しています。

そして10月から11月にかけて、ついにガソリンCPIが前年度割れを起こすのですが、これに伴って「物価上昇率」が下落するのは「コアCPI」のみであり、確かに「新コアコアCPI」は11月、一時的に1.0%から0.8%に、2015年3月から4月にかけてさらに0.6%に「物価上昇率が下落」するものの、それ以降「新コアコアCPI」の物価上昇率は上昇し、同年11月には1.3%まで上昇しているのです。

どうもこの「物価上昇率」に関しては、政府日銀が示した「2%の物価上昇」という言葉が独り歩きし、あたかも安倍内閣に入って物価が下落し続けているような錯覚を皆さん起こしているのではないかと思うのですが、けっしてそんなことはない、ということをこのグラフを見ればご理解いただけるのではないでしょうか?

確かに「コアCPI」を見ると2015年7月に0%を付けた後、11月、12月と一時的にプラスに転じはするものの、ガソリンCPIがプラスに転じる2016年12月、その翌2017年1月を迎えるまで前年度割れを続けているのですが、その間も「新コアコアCPI」は上昇し続けていますね?

「物価上昇率」こそ縮小してはいるものの、決して下落などしていないことがわかります。


私たちが本当に問題にしなければならないこと

ただ、私がこのブログで問題にしているのは、2017年3月、ちょうどガソリンCPIが前年同月比20.4%と最高値を記録した月、ついに前年度割れを起こしていることです。

特に2016年度に入って以降、新コアコアCPIは物価上昇率を縮小させ続けているのです。

では、この時肝心の国会は何をやっていたのでしょうか?

そう。「モリカケ問題」です。そして、防衛相の隠ぺい問題。

国会がモリカケ問題でこの世の終わりでもあるかのようにして大騒ぎしている間、安倍内閣が目指す「物価上昇率」のうち、肝心な「新コアコアCPI」はその物価上昇率を縮小させ続けていたのです。

もし、私が野党の立場にいて、本当に安倍内閣を攻撃したいのであれば、私ならこの「新コアコアCPIが急速に縮小していること」をまず槍玉にあげますね。そしてこういいます。

「アベノミクスの『効果』もそろそろ限界に来ているんじゃないですか?」

と。

その方がよほど説得力がありますよね?

そして、さらにこの様に言います。

「アベノミクスも、同じことばかりやっていたのでは長期的にその効果は頭打ちになります。

経済指標がその限界を示しているのですから、今こそ新たなる『経済政策』に手を打つべきではありませんか?」

と。その財源はもちろん

 「国債」

です。

さて、では。安倍内閣は私が主張するようなこの「新たなる経済政策」は何も実施していないのでしょうか?

実はそんなことはありません。

2016年第二次補正


ちゃんと実行しているんですね。
しかも私が言ったように「国債(建設国債)」を2.7兆円発行した上で。

このような経済政策の「効果」はすぐに出るもんじゃありません。ですが、第362回の記事 でお示しした、特に「源泉分所得税」の動向をみるとこれは一目瞭然なのではないでしょうか。

野党の皆さんは、「アベノミクスはもう限界に来ているんです!」と言いながら、このような新たなる経済政策の事は一切話題にせず、必死に「モリカケ暴き」に終始していましたね?

では、もし本当にこのモリカケに専念してこの新たなる経済政策に手を付けなかったら、いったいどうなっていたのでしょうか?

共産党も、元民進=希望の党&立憲民主党も「モリカケは税金の無駄遣いだ!」と言います。

ですが、モリカケに精一杯国会審議の時間を費やし、経済政策に全く手を付けず、結果として税収が2017年度も減収していたとしたら、これは一体どちらが「税金の無駄遣い」なんでしょう。

私は、2016年度の税収が減収に転じた理由の一つとして、一部を除く野党の皆さんが、まったくと言っていいほど本当に日本の国にとって必要な議論を行わず、まともな政策を提示しようとしなかったことに原因があるのではないかと思っています。

特に加計問題に関して言えば、あれはむしろ「国家戦略特区制度」を活用することで、今治市の地域経済を活性化することを目的とした政策です。

財源は今治市が学園都市構想を実現するため、小泉内閣下で実施された「合併特例債」を活用して積み立てた40億円の「合併振興基金」。土地は同じく学園都市構想を実現するために、1983年に造成された土地。残る24億円を今治市が、32億円を愛媛県が、96億円は加計学園自身が拠出しますので、日本国政府にとっては痛くも痒くもありません。

国家予算について審議する場」で、地方である今治市の、しかも民間の大学をつぶすための議論を繰り返していたのがあのモリカケ問題の真相です。

日本の経済を将来に向けて継続して成長させ続けるための議論を行わなければならない場で、まったく逆の議論を審議するためにあれだけの莫大の時間と経費が費やされていたわけです。

もちろん「経済」は政府が手を施さずとも、地方や企業の力だけで自律的に回転していけるに越したことはありません。

ですが、それが足踏みしそうなのであれば間髪入れず、速やかに政府が次の一手を施せる仕組みこそが日本国経済を成長させるために本当に必要な政策です。

「消費者物価指数からみるアベノミクスの成果」。毎月「物価」に関してはもう少し細かい記事を作成しているのですが、今回はあえて基本に立ち戻り、総論としての「物価」に関する記事を作成してみました。

政府を批判することは自由です。ですが、同じ批判をするのでも、誤った情報で誤った批判を行うのではなく、正確な情報で、的確な批判を行うことこそ、これは「野党」だけでなく、私たち一般国民にも求められている姿なのではないでしょうか?



このシリーズの次の記事
>> 第369回 平成29年(2017年)度9月度消費者物価指数が公表されました。
このシリーズの前の記事
>> 第352回 平成29年(2017年)度7月度消費者物価指数が公表されました。

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