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第363回 2017年(平成29年)8月版月間給与所得/毎月勤労統計調査よりなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>実質賃金と名目賃金


今回のシリーズは2017年9月28日衆議院解散を受けまして、「アベノミクスの成果」を具体的にお示しすることを目的として作成しています。

記事としては、またしてもカテゴリーをまたぎ、第362回の記事 を引き継ぐ形での記事になります。

またこれとは別に、第361回の記事 で「国税庁データ」をベースに、2016年(暦年)1年間を通じた民間給与所得情報を記事にしましたが、これは従業員の数が1名以上の事業所をすべて対象としており、厚労省データと比較して正確性はあるものの、速報性に欠けるデータですので、

 「じゃあ今年度の給与はどうなんだ!」

という声も聞こえてきそうですから、この声にお応えする形で、「常勤雇用者数が5名以下の事業所のデータが含まれていない、正確性に欠ける」で^多ではあるものの、「速報性のあるデータ」として、厚労省データより、2017年8月度の「月間給与所得」に関連した記事を掲載しようとおもいます。


「賃金指数」の推移

賃金指数(総合)

こちらは、「賃金指数」の推移。ボーナスの金額も含んでますので、12月や7月の数字が大きくなっています。

2017年(暦年)に入って、これまで業種別に分かれていた項目が「総合」「一般」「パートタイム」の3項目で掲載されるようになっていますので、さかのぼってみることができる、2015年12月からの数字をグラフ化してみました。

「賃金指数」とは、今年度であれば2015年(暦年)の年間の平均賃金を100として、これに対する増減を指数化したものです。もちろん指数ではなく実額で掲載することもできるのですが、残念ながら実額は一覧では掲載されておらず、集計に膨大な時間を必要としますので、増減の割合に関しては実額と同様に正確に算出されている「賃金指数」で掲載してみました。

パートタイム=非正規、一般労働者=正規、というわけではありませんが、イメージはしやすい分け方だと思います。

賃金指数(きまって支給する給与)

一方こちらは「決まって支給する給与」の推移で、賞与(ボーナス)が含まれないものです。

「賞与」を含む推移でみると、7月の賃金指数は総合で前年比-0.6%、一般労働者で-0.7%となっていますが、これを賞与を含まない賃金指数の推移でみますと、総合は0.5%、と前年の給与所得よりも増加しています。

7月の賞与を含む賃金指数が前年度割れしている理由として、産業全体で7月に支払われた賞与が平均で10万9189円であるのに対して6月に支払われた賞与が17万1278円。

一方2016年7月に支払われた賞与は11万2637円(2017年+3448円)、17万0630円(2017年-648円)となっており、賞与が支払われたタイミングが2016年と2017年との間でずれたことがあげられると思われます。

また、決まって支給される給与を見てみますと、1月の賃金指数が総合で-0.1%、パートタイム労働者で-0.9%と前年割れしていますが、この月を除くときまって支給される給与は全体で14か月、特に「一般労働者」に限定すれば、少なくとも私がグラフに掲載をした期間すべての月で前年同月を上回っていることがわかります。

これは、賞与を含む「総合」でも同様の事が言えますね。

また、賞与を含む「総合」で見れば、特に2017年度(4月)に入って以降、「パートタイム労働者」の賃金が前年同月を大きく上回っていることもわかります。


「実質賃金指数」の推移

「実質賃金指数」は、前章で掲載した「賃金指数」、すなわち「名目賃金指数」を「持ち家の帰属家賃を除く総合」で割ったものです。

実質賃金指数(総合)

実質賃金指数(きまって支給する給与)

さて、いかがでしょう。両グラフとも、赤いラインが「前年同月比0%」を示すラインです。つまり、これを下回っていれば前年割れ、上回っていれば前年オーバーということになります。

2017年(1月)に入ってからの数字を見てみると、いかがでしょうか。両グラフとも、完全に「前年割れ」していますね。

共産党の志位さんや小池さん当たりに餌を与えてしまいそうな数字ですが、私の記事をよく読んでいる賢明な読者の方にはもう想像がついているかもしれませんね。

なぜこんなことになっているのか。答えは簡単です。「分母が『持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数』だから。

特に「きまって支給する給与」の実質賃金の推移をみるととてもよくわかると思います。9月から10月にかけて一気に値を下げていますね?

この時期に何があったのか。そう。

 「原油価格(前年同月比)の上昇」

です。例えば、「実質賃金」の分母から「エネルギー(及び生鮮食品)」を除くとこんな感じになります。

実質賃金(生鮮及びエネルギーを除く)

もちろん、ここまで単純に考えることはできません(エネルギー価格が上昇すれば、それだけ家計には負担になる)。

「実質賃金」とは、「消費者物価指数」が上昇すれば下落し、下落すれば上昇します。当然ですね。「消費者物価指数」は実質賃金の分母なんですから。

本当は、ここから「生鮮食品」を除くことができれば良いのですが、残念ながらそのような政府データはありませんから、生鮮食品の物価変動まで含まれた情報になります。

私がなぜこんなグラフを出したのかというと、理由は二つあります。

最新の2017年8月の実質賃金指数(きまって支給される)は99.8で、前年度、2016年8月よりも0.2ポイント下落しています。

一方、2017年8月の持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数は100.5で、2016年8月よりも0.8上回っています。
生鮮食品も0.8ポイント、エネルギーに関してはなんと7.0ポイントも前年同月を上回っています。

消費者物価指数が上昇すると実質賃金が下落するのは、賃金が同じでも、物価が上昇することによって購入できる物品の量が減少することに由来します。

つまり、生鮮食品やエネルギー(ウェイト⦅重要度⦆は両方合わせて1198)がこれだけ上昇しているわけですから、今年は昨年と比較すると、「消費」は起こしにくい状況にあったはずです。

逆に言えば、昨年の方が今年に比べて消費は起こしやすかった=実質賃金は多かったはずなのです。

ところが、先ほどのグラフの様に、実質賃金の分母である消費者物価指数から「生鮮食費」と「エネルギー」を除外して考えると、なんと実質賃金は前年同月よりも0.4ポイントも増加してしまっています。

つまり、「生鮮食品」と「エネルギー」が上昇し、消費者物価指数全体が上昇したため、本来であれば消費は抑圧される=実質賃金は下落するはずなのに、逆に生鮮食品及びエネルギー以外に割くことが可能な賃金の量は増えているわけです。

「生鮮食品及びエネルギー以外の物価が下落したんじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」は前年同月比で0.2%増加しています。

もちろんこの中には「持ち家の帰属家賃」が含まれていますから、これを除くとどうなのか、という声も聞こえてきそうですが、持ち家の帰属家賃は前年同月比で-0.2%。「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」と同じ絶対値です。

「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」のウェイトは8802、持ち家の帰属家賃のウェイトは1499ですから、いくら持ち家の帰属家賃のウェイトが大きいからと言って、それ単独で「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」の増加分を相殺することはできません。

つまり、「生鮮食品やエネルギーの物価が上昇」し、本来であれば国民の消費は圧迫され、生鮮食品及びエネルギー以外の実質賃金は減少しなければならないのに、逆に生鮮食品及びエネルギーを除外した実質賃金は増加しているということになります。


また、先ほどのグラフを掲載した二つ目の理由として、「エネルギー」は日本国内ではなく、むしろ「海外の需要の影響」を大きく受けるものであり、「生鮮食品」は「天候の変動の影響」を大きく受けるものです。

つまり、どちらも「アベノミクス」の失敗や成功の影響で増えたり減ったりするものではない、ということ。

実際に共産党の志位さんや小池さんがこの「実質賃金の下落」を「アベノミクスの失敗」の根拠としてあげるシーンを良く見かけますが、彼らは自分たちにとって都合の悪い情報には一切見向きもしていないということです。

「実質賃金」の側面から見ても、アベノミクスは非常に好調である。このことを立派に証明することができました。

次回記事では、続きまして今回話題にした「消費者物価指数」の側面からアベノミクスを検証してみたいと思います。



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