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第360回 それでも消費増税を行わなければならない理由など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


<継承する記事>
第359回 60年償還ルールで財政が破綻しない理由

前回の記事はカテゴリーを 日本国債の問題 とし、今回は 日本の税収の見方 としていますので、連続性が失われていますが、 政府データ(経済指標の見方) から見ていただきますと、連続した記事としてご覧いただくことができます。

前回の記事では、今回の記事、「それでも消費増税を行わなければならない理由」を記す前提条件として、あくまでの日本国債はまず破綻することはありませんよ、と、この理由を「60年償還ルール」を用いることで解説させていただきました。

で、今回の記事は「それでも消費増税を行わなければならない理由」。

このタイトルって、現在のコアな安倍内閣支持者からは袋叩きに合いそうなタイトルなんですが、私は このブログを始める前に作成していたブログ の時代から、一貫して消費増税の必要性は主張してきました。

ですが、そもそも旧ブログを作成した当時の私は、10%増税を前提として、私たち一般国民が強いられる負担は15兆円、GDPを500兆円と考えると、ちょうど3%分の増税額となることから、「民間給与所得を平均で3%増加させること」を増税の条件として掲載していました。もちろん名目です。

麻生さんは、麻生内閣当時、さらにこの名目3%成長を3年間、同時に実質2%、物価上昇率1%成長を3年間連続で果たすことを明確な条件として提示していました。

「景気回復に全治3年。私たちは3年間経済成長をさせることに専念しますので、これを達成した暁には増税させてください」

という、国民としても非常にわかりやすい形でした。ですが、麻生内閣は2009年8月、たった1年で倒閣してしまい、民主党鳩山内閣が誕生。以後2012年12月までの地獄の3年数か月がスタートしました。

この間、民主党政権は麻生内閣当時に実施された経済政策以外、何一つとして明確な経済成長戦略を実施せず、結果として超円高の大不景気が日本全土を覆った・・・というのがあの時の状況でした。

麻生さんは2008年を含めた3年間、景気回復に向けた集中的な経済政策に専念し、3年連続で経済成長を果たした後、速やかに消費増税の議論に入る、としたのです。
(※枠内は長文になりますので、最初は読み飛ばしてください)

【所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)(抄)】

附則
(税制の抜本的な改革に係る措置)

第104条
政府は、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ、平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。

この場合において、当該改革は、2010年代(平成22年から平成31年までの期間をいう。)の半ばまでに持続可能な財政構造を確立することを旨とするものとする。


前項の改革を具体的に実施するための施行期日等を法制上定めるに当たっては、景気回復過程の状況、国際経済の動向等を見極め、予測せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みとするものとし、当該改革は、不断に行政改革を推進すること及び歳出の無駄の排除を徹底することに一段と注力して行われるものとする。


第1項の措置は、次に定める基本的方向性により検討を加え、その結果に基づいて講じられるものとする。

個人所得課税については、格差の是正及び所得再配分機能の回復の観点から、各種控除及び税率構造を見直し、最高税率及び給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに、給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組みその他これに準ずるものをいう。)の検討を含む歳出面も合わせた総合的な取組の中で子育て等に配
慮して中低所得者世帯の負担の軽減を検討すること並びに金融所得課税の一体化を更に推進すること。

法人課税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベース(課税標準とされるべきものの範囲をいう。第5号において同じ。)の拡大とともに、法人の実効税率の引下げを検討すること。

消費課税については、その負担が確実に国民に還元されることを明らかにする観点から、消費税の全額が制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用に充てられることが予算及び決算において明確化されることを前提に、消費税の税率を検討すること。その際、歳出面も合わせた視点に立って複数税率の検討等の総合的な取組を行うことにより低所得者への配慮について検討すること。

自動車関係諸税については、簡素化を図るとともに、厳しい財政事情、環境に与える影響等を踏まえつつ、税制の在り方及び暫定税率(租税特別措置法及び地方税法(昭和25年法律第226号)附則に基づく特例による税率をいう。)を含む税率の在り方を総合的に見直し、負担の軽減を検討すること。

資産課税については、格差の固定化の防止、老後における扶養の社会化の進展への対処等の観点から、相続税の課税ベース、税率構造等を見直し、負担の適正化を検討すること。

納税者番号制度の導入の準備を含め、納税者の利便の向上及び課税の適正化を図ること。

地方税制については、地方分権の推進及び国と地方を通じた社会保障制度の安定財源の確保の観点から、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人課税の在り方を見直すことにより、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を進めること。

低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化(環境への負荷の低減に資するための
見直しをいう。)を推進すること。

これが、麻生内閣において取り決められた消費増税法である、「附則104条」と呼ばれるものです。

ただ、結果的に民主党内閣では何一つとして「景気回復に向けた集中的な取組」は行われれず、「経済状況を好転させること」はありませんでした。

ですが、にも関わらず2012年8月に民主党内閣下における消費増税法が成立し、ここに「景気付帯条項第18条第3項」があるにも関わらず、2013年(平成25年)10月、安倍内閣において増税が決定し、翌年2014年4月に消費増税が実施されました。
(※枠内は長文になりますので、最初は読み飛ばしてください)

【景気付帯条項第18条】
第18条 消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。

2 税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。

3 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前二項の措置を踏まえつつ、経済況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ず等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。

そもそも「消費増税」が大バッシングを受けたのはこの時のことです。


そもそもなぜ「消費増税」が必要とされるのか?


私のブログではすでに説明済みですが、これは福田内閣~麻生内閣にかけて行われた「社会保障国民会議」によって話し合われた内容がルーツとなっています。

社会保障国民会議

この会議を通じて

「2025年には、「医療・介護」にかかる医療費が、凡そ15兆円ほど、2008年当時の状況より増額する」

ことが試算されました。このための財源として、

「景気の良し悪しに左右されにくく、毎年安定して一定の税収が期待できる財源」

である「消費税」にスポットが当てられたのです。


※厚労省ホームページより一般会計税収推移

上図は、一般会計税収の総額、および三大税収である所得税、法人税、消費税の動きを示したものです。
見ていただくとわかると思いますが、所得税や法人税は「リーマンショック」などの経済危機に見舞われると大幅に税収を落としていますが、消費税だけはそう大きな増減はなく、ほぼ横ばいで一定の税収を確保していることがわかると思います。

赤いラインはそれぞれ増税のタイミングを示していますが、3%→5%、5%→8%に引き上げたとき、それぞれ消費税収が大幅に上昇していることがわかります。

「消費税」とは、そもそも景気がよかろうが悪かろうが、必ず消費されるものに対して課税されることがその税収が安定している最大の理由で、税率を引き上げれば引き上げただけ税収が上昇している理由でもあります。

「社会保障」は特に、景気がよかろうが悪かろうが、必ず必要となってくる「経費」です。景気が悪くなったから医療費は自己負担してください・・・というわけにはいかないのが「社会保障」です。

そこで、景気の変動を受けにくい税収として「消費税」にスポットが当てられたわけです。


「消費増税」はなぜ批判されるのか

消費増税が批判される理由として、よく言われるのが、「消費増税を行えば、国民の生活に負担をかけ、かえって消費を冷え込ませる」という内容です。

この根拠としてよく用いられるのが、先ほどの一般会計税収の推移を示したグラフで、1997年(平成9年)に行われた、いわゆる「橋本増税」です。

もう一度同じグラフを掲載します。
一般会計税収推移

見ていただきたいのは、「一般会計税収」総額の推移です。

5%増税が行われる前。1996年の税収は52.1兆円。増税年である1997年は53.9%と、唯一増税前の税収を上回るのですが、翌1998年が49.4兆円、その翌年が47.2兆円。

安倍内閣において増税が行われた2014年に至るまでの間で最も税収が多かったのが第一次安倍内閣当時(2007年)の51兆円で、増税年以降、増税前の1996年の一般会計税収を上回った年度が1年もない(増税年は除く)のです。

つまり、1997年に増税し、消費税収が増えたのは良いが、税収全体を見ると却って増税前を下回っており、増税は失敗だったのではないか・・・というのが消費増税が批判される最大の理由です。


税収が減退したのは本当に消費増税が原因だったのか?

勘違いをしていただきたくないのですが、私自身、8%増税が行われる前は、「私たちの所得が増税による物価上昇幅を上回るまでは消費増税を行うべきではない」と主張していましたし、前章で記した「消費増税を行うべきではない理由」は、実は私は誰かの情報を見て気づいたわけではなく、私自身が自ら発見しました。

もちろん私が発見する以前にもこのことに気づいていた人はいたでしょうが、私は旧ブログにこの情報を掲載していて、少なくともその記事を掲載する前にネット上でこの情報を投稿していたとはいなかったのではないかと思います。(リンクを張ろうと思ったのですが、記事数が多く見つけられませんでした)

つまり、橋本増税以降、一般会計税収が増税前を上回ったことが一度もない、という情報の発信元は私だったのではないか・・・とすら考えているわけです。(思い上がりだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私の気持ちの問題なのでご容赦ください)

私が言いたいのは、私は元々「私たちの所得が増税による物価上昇幅を上回る前の消費増税」には反対していた人間だということです。

ですが、「消費増税」を批判するのであれば、公平な情報に基づいて、偽りではなく正確な情報を用いて批判するべきだと私は考えています。

例えば、橋本増税において「税収が減退した」ことを私は記していますが、これが本当に橋本増税のせいだったのかというと、これにはいささか疑問があります。というのも、第14回の記事 にて掲載しましたように、橋本増税が行われた年も、7月までは順調に経済は成長しており、同年7月に「アジア通貨危機」が勃発したため橋本内閣までの日本が抱えていた課題が一気に噴出した、というのがその後の税収減退の理由としては正しいのではないかと考えているからです。

もちろん旧ブログに前章の情報を掲載した時にはそのことには気づいていませんでしたから、一方的に橋本増税悪玉論を私自身掲げていましたが、それは必ずしも正しい意見ではなかった、と現時点では思っています。


8%増税によって本当に日本国内の「消費」は減退したのか?

安倍内閣において行われた消費増税により、「景気に水を差した」とする主張を行う人を良く見かけます。
その理由として、「消費者物価指数」の減退が掲げられています。

消費者物価指数2013年~2017年8月

安倍内閣が目指す消費者物価指数は本来「生鮮食品を除く総合=コアCPI」なのですが、上図ではあえて「総合」と「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を掲載しています。

期間は安倍内閣が誕生した2012年12月~最新の2017年8月までを掲載しています。消費増税に伴う物価上昇がおおよそ1.7%に相当しますから、これを除外した数字で示しています。

この数字が、安倍内閣では2%を目指しているわけですが、これが増税年度である2014年5月に達成するものの、これ以降下落を続け、翌15年9月には0%、1月には前年度割れ。2月にふたたびプラスに戻りはするものの、3月の0%以降2016年10月まで前年度割れを継続するわけです。

もちろん私は赤いライン=総合の話をしています。

ですが、青いライン=「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を見てみますと、少し違った状況が見受けられますね?

このグラフは、あくまでも「前年同月比」を示していますので、0%を上回れば物価は上昇し続けていることを示しているので、そこだけは勘違いなされないようにしてほしいのですが、この「前年同月比」のうち、赤いライン=「総合」が見かけ上急落し始める2014年6月以降も、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は横ばい、もしくは上昇を続け、特に2015年度、11月までは総合が下落する中で「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は上昇していることがわかります。

この理由として、シリーズ「「物価」の見方」の中で、海外で急落し始めた「原油相場」が最大の原因であり、これを除けば物価は継続的に上昇し続けていたこと。

これ以外に「持ち家の帰属家賃」や「家電製品の店頭売価」が物価を下落させている要因であることを具体的な数字とともにお示しし続けました

その上で昨年度末、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が昨対0%、3月にはマイナスをつけたことを受け、「新たなる経済対策が必要なんじゃないでしょうか」、と訴えたわけです。モリカケでわちゃわちゃやってる暇はないでしょう、と。

もちろん消費増税の影響がなかったとか、そういうことを言いたいわけではありません。ですが、消費増税によって本当に「消費」が減ったのかどうか。「減った」という人たちに対して私は「そうではないでしょう?」という記事を作り続けていました。

「批判を行うのなら、公平に行いましょう」と私が言っているのはすなわちそういうことです。


それでも消費増税を行わなければならない理由

では、8%増税は行うべきだったのでしょうか、それともやめるべきだったのでしょうか?

再来年には10%に引き上げられるわけなのですが、これは取りやめるべきなのでしょうか、それとも実施するべきなのでしょうか。それとも、「5%に戻すべき」なのでしょうか?

増税をやめるべきだ、または増税前の状態に戻すべきだ、とする立場の人たちはこのように主張します。「増税よりも、経済成長戦略に専念すれば、経済成長によって新たなる税収が生れるはずだ」と。

ですが、そもそも「消費税」は「社会保障のための財源」として本来充てられるべき税金です。経済成長によって、確かに税収は増えるかもしれません。ですが、逆もまたあり得るわけです。現在はアベノミクスの効果もあり、経済は順調に成長し続けているわけですが、例えば「リーマンショック級の経済危機」が訪れたとしたらどうでしょうか?

民主党時代の2012年から安倍内閣が誕生した2013年にかけて、消費増税を行う前であったにもかかわらず、税収は3兆円増加しています。ですが、これはあくまでもそれまでの経済政策がダメすぎたことと、そして増税前の「駆け込み需要」があったこと。を忘れてはならないと思います。

ではもし「そうではない状況」が生れたとき、その財源は一体どこから捻出するのでしょうか。不足するのであれば、その方法は一つしかありません。「国債」を発行して財源を賄うという方法です。


「日本国債の信認」と「労働する意欲」

はっきりといえば、社会保障の財源が不足するのであれば、バンバン国債を発行して銀行に購入させることで消費増税どころか、消費税を全額撤廃したとしてもその社会保障費を完全に賄うことができます。

既に掲載している通り、「60年償還ルール」を利用して運用すれば、元本次第で「国債発行残高総額」は増加しますが、この増加額には限度があります。仮に毎年60兆円ずつ国債を発行したとしても、80兆円ずつ国債を発行したとしても、60年経過すれば頭打ちになり、ある一定額以上は上昇しなくなります。

これは、第359回の記事 で解説した通りです。

もしそれでも、なにがしかの理由で日本国債が破綻するというのであれば、最終的に日本国政府が55%の最大株主である日銀が日銀券を発行し、日本国債を全額買い取り、日本国政府と日銀の会計帳簿を連結し、日本国政府の負債である国債と、日銀の資産である国債を相殺すれば日本の国債など一瞬で0円になります。


現在安倍内閣を支持する人の中でも、消費税率を10%に引き上げることに反対する人、または8%から5%に引き下げるべきだという人の主張として、「増税は消費を抑制し、却って税収を冷え込ませてしまう」という意見があります。

すでに述べていますように、確かに橋本増税では消費増税が行われた後、アジア通貨危機が勃発したこともあり、結果的に日本国内の消費を冷え込ませ、税収を増税以前と比較しても大幅に減退させてしまう結果となってしまいました。

ですが、安倍内閣において行われた8%増税はどうだったのでしょうか。

消費者物価指数2013年~2017年8月

8%増税において、あたかも消費が減退しているように見えるのは、「原油価格の下落」などに伴うエネルギー相場の減退が最大の理由であり、これを取り除けば毎月「前年同月」を上回っていたことは既にお伝えした通りです。昨年度末に初めて前年度割れを起こしましたが、それまではプラス成長を続けています。

一般会計税収推移

また「税収」に関しても同様です。確かに昨年度は税収が前年度割れを起こしていますが、それでも増税前、2013年度の税収と比較すれば、9兆円近い税収増を果たしており、橋本増税の時とは状況が異なっていることがわかると思います。

リーマンショック前年、2007年度の51兆円と比較しても、5兆円近く税収が増えていることになります。

また一方で、高齢者医療、介護の増加に伴い、2025年には2008年当時と比較して15兆円の財源が不足すると試算されています。

平成29年度一般会計予算

こちらは予算ベースですが、本年度、2017年度の歳入歳出を示した円グラフです。

歳入の内、国債発行額が34.3兆円、歳出のうち国債の償還額が23.5兆円。両歳費の差額、10.8兆円分が現時点の一般会計予算で不足している金額です。(国債の償還のために国債が発行されていることを批判なさりたい方は第359回の記事 をご覧ください)

29年度の税収は予算ベースで57.7兆円ですから、このうち32.4兆円が年金・医療・介護等の社会保障費に、残る25.3兆円がその他の財源に充てられることになります。

また残る税収のうち、15.5兆円は地方交付税・交付金として当てられており、税収の中で政府や国の行政機関が自分たちのために使っているお金は10兆円程度だということになります。

では、この10兆円が一体何のために使われているのかというと、公共事業費や防衛費を含む公共サービスを私たち一般国民に行うために用いられているわけです。(公務員の給料も当然含まれていますが、これも公共サービスの一環だと考えます)

2017年度に発行されている予定の、償還費以外の10兆円の国債は、このような政府や国の行政機関が私たち国民に施すための行政サービスのための資金が不足するために発行されている、ということになります。


2014年の8%増税に対して私が賛成なのかどうかと言われれば、必ずしも積極的に「賛成」だとは言えません。ですが、それでも「社会保障の財源は、国債の発行に頼らず、きちんとした裏付けを示すことが必要だ」と考えています。

今後、社会保障のための財源が今以上に不足することとなれば、おのずと私たちが政府や行政機関から受けているサービスの質が低下していくことを示しています。

もしも行政サービスの質を落とさず、ある一定以上の予算を確保しようと考えるのであれば、政府が

 「社会保障に不足する財源を補填するため、国債を発行して賄います」

と宣言すれば、それで事足りる話ではあります。ですが、私が危惧しているのは、ではこのような社会保障費のために政府が国債を発行します、といった場合、日本国民の

 「労働する意欲」

を担保することができるのかどうか、という話です。

生活保護受給者数の推移

こちらのグラフは、第28回の記事 で掲載した、生活保護者の数と、前年度と比較した伸び率を掲載したグラフです。

情報としては最新のものではないのですが、リーマンショック後、平成22年1月まで急激に生活保護受給者数が増加した後、前年同月比で生活保護受給者の伸び率は減退するものの、生活保護受給者の数そのものは減少していないことを示しています。

「社会保障費」って、きちんとしたルールの中で運用されていて、現役時代によく働いた人ほど老後により多くの社会保障費を享受することができるようになっています。その代表的なものが「年金」です。

ですが、現役時代に意図的に労働を行わず、または労働する意欲があったとしても定職に就くことができなかった人のうち、年金の免除申請を行わなかった人は、その「年金」を受け取る資格がありませんから、当然老後の生活費がなくなってしまいます。

そのような人たちがどのような手段をとるのかというと、それは「生活保護」という最終的なセイフティネットを利用することになります。このような人たちは、確かに家賃光熱費は保護費の中から支払いますが、例えば「医療費」も自己負担せず、全額国費で治療を受けることができます。

もしも政府が

 「あなたたちが現役時代に働こうが働くまいが、あなた方の老後の生活はすべて政府が面倒を見ますよ」

と宣言してしまった場合、私は上記に掲載したように、「労働」することを放棄し、行政サービスに頼りっぱなしになる人が増えるのではないか、と考えているのです。

その結果、日本国内では「生産力」が衰退し、物資を海外からの輸入に頼るようになり、日本国内の物価が海外の情勢や為替変動に左右されるような、そんな社会が訪れるのではないかと考えているわけです。

 「そんなことはない。ルール整備をきちんとすればいい」

という人はいるでしょうが、いつまでも現在の政権が続くとは限りません。経営者をサポートすることを批判し、労働者や非正規労働者、もしくは無職者の支援を重視する政府が現れれば、全くない、といえる話ではありません。

社会保障のサービスを安定して提供し、かつ日本国内の「労働する意欲」を担保しようとするのであれば、やはり、特に「老後」の社会保障費は財源の裏付けを明確にした上で運用するべきだ、というのが私の考えです。


私にだって、消費増税は凍結すべきだとか、繰り延べるべきだという人たちの意見が理解できないわけではありません。それも一つの考え方だと思いますし、逆に消費増税を行うことで日本国民の労働する意欲を減退させてしまう、という意見も当然あるでしょう。

また、第358回の記事 でもお示ししましたように、もともと高齢化に伴う社会保障費の自然増に伴う財源に充てるつもりであった消費増税分を幼児教育無償化等の他の政策に充てる余裕が出てきたということは、高齢化に伴う自然増の伸び率が思ったほど深刻ではなかったのではないか、とも私は考えています。

であればその分の伸び率を抑えるという方法もあるんじゃないか、という考え方も当然できると思います。

このように考えると、「消費増税」もまた数多くの政策判断の中の一つであり、これだけを理由で安倍内閣をたたいたり、掌を返したりする姿勢は果たしてどうなのかと私は思います。

中には消費増税を肯定する立場の人を貶したり、罵倒したりする意見を見ることもあります。もし消費増税に反対なのであれば、政府をきちんと納得させられる意見を持った人に票を投じ、または当選した議員さんを通じて政府に自分自身の意見を届けるような努力を行うのが本来のあるべき姿なのではないでしょうか。

ましてこのように将来のヴィジョンを描くこともせず、

 「政府が国債を発行し、日銀が金融緩和を行い続ければいつかは日本の景気は良くなるはず」

といった無責任な意見を述べることは果たしてどうなのでしょうか?

本当に日本の事を思い、自分自身の主張を行うのは正しいことだと思います。ですが、そのような自分の意見を通したいからと言って、「マクロ指標」を「ブレイクダウン」せず、つまり例えば「消費者物価」が下落している理由が消費増税のせいだと思い込み、誤った情報を根拠として現在の政策の批判を行うやり方はいただけません。

私は現在の安倍内閣を支持しています。それは「経済」だけでなく、「外交」や「防衛」、そして「憲法改正」の考え方も含めた、全体像としての安倍内閣を支持しているということです。

もちろん各論としてそれは違うんじゃないか、と思う部分も多々としてありますが、であればその部分を「おかしい」といえばよいのであって、だから安倍内閣はおかしい、ということにはなりません。まして誤った情報を下に安倍内閣を叩くのははっきりって間違いだと思います。

本日は長文になりましたが、「批判する」のであれば、情報をきちんと分析したうえで、現時点で自分場一番正しいと判断している情報を下に批判するのが政治家だけでなく、私たち日本国民も含めて本来の「あるべき姿」だと思います。

そして一方的に批判するのではなく、きちんと相手の意見にも耳を貸し、全否定をせず、正しいと思ったことは受け入れる姿勢を持つことこそ、日本を世界に誇れる国とするために、本当に必要なことなのではないでしょうか?



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