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第359回 60年償還ルールで財政が破綻しない理由など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>日本国債の問題


私のブログにおきまして、もはやその代名詞ともなっているのが以下の記事です。

第27回 国債を返済する仕組み~60年償還ルール~

第358回の記事 では、「次回記事では改めて『それでも消費増税を行わなければならない理由』について、改めて記事にしてみたいと思います」と掲載しました。

ですがその前に、改めて「60年償還ルールで財政が破綻しない理由」についてご説明しておきたいと思います。

60年償還ルールを端的にご説明しますと、
日本国債を60分割で返済するためのルール

です。ここは今更解説するまでもありませんね。
(※60年償還ルールそのものがわからない、という人は第27回 国債を返済する仕組み~60年償還ルール~ の方へどうぞ)

問題となるのは、ではなぜ「60年償還ルール」を用いれば日本国債は破綻しないのか、ということ。この理由を端的に説明しますと、
60年償還ルールとは、国債を1円でも発行すれば、60年間は永続的に国債発行残高は上昇し続け、60年目を迎えた時点で増加額が頭打ちになるルールだから

ということになります。

逆に言えば、国債を1円でも発行する限り、国債発行残高は増え続けなければおかしい、とも言えます。

で、「60年目を迎えた時点で増加額が頭打ちになる」と掲載しましたが、これは何も60年目を迎えれば、国債発行残高が1円も増えなくなるとか、そういうことを言っているわけではありません。60年目を迎えると、あとはその年に発行された新規国債の額がいくらなのか、ということに左右されることになりますよ、ということです。

といってもやはりわかりにくいかもしれませんね。実際にこのことを巡ってとあるSNS上で議論になりましたので、この内容をシェアしてみたいと思います。


60年償還ルールの基本的な考え方

重ねてご説明しますと、60年償還ルールとは、今年発行された新規国債を、60年間分割払いにすることを可能としたルールの事です。

事例としてわかりやすくするため、今年発行された新規国債が仮に30兆円であったとします。

今年(2017年)に30兆円の国債を発行した場合、2018年にはいったん全額返済し、29.5兆円分の「借換債」を発行します。つまり、0.5兆円だけ返済したことになります。

2019年にはまた更に0.5兆円のみを返済し、29兆円分の借換債を発行。2020年には28.5兆円、2021年には28兆円の借換債を発行し、60年経過すると全額返済されることになります。


では、仮に2年目も同額、つまり30兆円分の「新規国債」を発行したとするとどうでしょう。

実際には「新規発行国債」として最も多く発行されている国債は「長期国債」と呼ばれる10年物国債で発行されていますので、毎年10年物国債が30兆円ずつ発行され続けると考えます。

そうすると10年後にはこんな感じになります。


60年償還ルール①

10年間、1円も返済されないまま国債が発行され続けますから、1年目に発行さえた国債が償還期を迎える時には30兆円×10年分、つまり300兆円の「国債発行残高」が蓄積されることになります。

11年目を迎えますと、1年目に発行された国債は、本来であれば1年間に、30兆円の1/60である0.5兆円を返済する必要がありますが、これを返済しないまま10年間経過していますので、0.5兆円×10年分=5兆円を返済する必要があります。

60年償還ルール②

ですので、政府はいったん30兆円全額返済した後、25兆円の借換債を発行します。
11年目も30兆円分の新規国債は発行されていますから、300兆分の「国債発行残高」は蓄積されたまま。ここに、新たに25兆円分の「国債発行残高」が蓄積されることとなります。

借換債は償還期が1年の、いわゆる「短期証券」で発行される場合が多いですから、25兆円の「借換債」の償還期は仮に1年であると考えます。


60年償還ルールのマジック

では、12年目はどのようになるのでしょうか。面白いのはここからです。

12年目に発行される国債(A)は、

1.新規発行国債30兆円
2.2年目に発行された国債の借換債25兆円
3.1年目に発行された国債の借換債24.5兆円

の3つ。


12年目に返済される国債(B)は

1.2年目に発行された国債の償還額30兆円
2.1年目に発行された国債の償還額25兆円

の2つ。

です。数学が得意な人なんかは「なんでそんなに難しく考えるんだ!」という突込みが入りそうですが、あえてこのような考え方をします。

よく見ていただきたいのですが、発行される国債Aの1番と返済される国債Bの1番、そして発行される国債Aの2番と返済される国債Bの2番が同じ金額になっていますね?

つまり、A-1とB-1、A-2とB-2は全く同じ金額になりますから、お互いに相殺されてしまいます。

A-1+B-1=0円
A-2+B-2=0円

となるわけです。残ったのはA-3番。「1年目に発行された国債の借換債24.5兆円」のみです。
つまり、12年目に増えた国債発行残高は、1年目に発行された国債のための借換債として発行された24兆円分の国債だけだということになります。

13年目はどうでしょう?
13年目に発行される国債(A’)は、

1.新規発行国債30兆円
2.3年目に発行された国債の借換債25兆円
3.2年目に発行された国債の借換債24.5兆円
4.1年目に発行された国債の借換債24兆円

の4つ。


13年目に返済される国債(B’)は

1.3年目に発行された国債の償還額30兆円
2.2年目に発行された国債の償還額25兆円
3.1年目に発行された国債の償還額24.5兆円

の3つ。

13年目もやはり

 A'-1=B'-1
 A'-2=B'-2
 A'-3=B'-3

となっており、唯一A'-4、つまり「1年目に発行された国債の借換債」の金額だけが上積みされていることがわかりますね?


では、14年目はどうでしょう・・・・と、もう言うまでもないですね。

14年目もやはり1年目に発行された国債の借換債分である23.5兆円だけが上積みされることになります。
ということは・・・と私が述べるまでもありませんね。1年目に発行された国債が60年目を迎え、償還額0円となった時点で、「国債発行残高」が上積みされることはなくなります。

もっと言いますと、上積みされる金額そのものも、1年目に発行された国債の「残高」に依存するわけですから、1年目に発行された国債は毎年残高も毎年縮小している以上、その増加幅は毎年縮小することになります。


国債発行残高はいつまで増加し続けるのか?

SNS上で議論になった内容として、相手方が主張していたのは60年償還ルール初年度の新規国債発行額と今年度発行されている国債発行残高の「ギャップ」の話です。

現憲法下の日本において、初めて「国債」が発行されたのは今から53年前。昭和40年(1965年)の事です。
この時に発行された国債は1972億円でした。

今年発行される国債は、仮に補正で発行されなければ34兆3698億円になります。

実に34兆円を大幅に上回る「ギャップ」があるのです。

相手方が主張していたのは、これだけのギャップがあるのに、私の言う「60年目で償還額が頭打ちになる」という理屈はおかしいんじゃないか、という主張です。

これには2つの側面からの反論が存在します。


1.「国債」は単年度に全額返済されるわけではない。

これが、一つ目の反論です。

この記事のタイトルそのものがそうですが、そもそも「国債」は60年間で分割されて返済されます。

では、昭和40年に発行された1972億円の国債は、60年経過して、最後の償還期を迎えたとき、いったいいくらになっているのでしょうか。

1972億円÷60年=33億円
34兆3698億円÷60年=5728億円

いかがでしょう?

1972億円という初年度に発行された国債は、毎年33億円ずつ額は減らすものの、母体となる金額は60年間存在し続けています。

34兆3698億円という数字も一緒です。5728億円毎年その額を減らし続けるものの、その母体となる金額は60年存在し続けるのであり、60年経過する前に、ある日突然特別会計の会計帳簿上から消えてなくなるわけではありません。

そしてそれぞれの数字は、60年間経過すると1972億円は33億円に、34兆3698億円は5728億円にまでその額を減らしています。

一般の生活をしていれば、額が大きすぎてあまりイメージしにくいかもしれませんが、当初34兆円もギャップがあったはずの額も、60年経過すると5000億円を上回る程度の金額にまで縮小しているのです。

もっと言えば、昭和40年に発行された国債は、1年に33億円しかその額を減らしませんが、平成29年度に発行された国債は毎年5728億円ずつその額を減らし続けるのです。その影響はどちらが大きいのかは一目瞭然ですね。


国債発行額は、償還期が隣接する年度との間で相殺される

もう一度、「毎年30兆円の長期国債が新規で発行された続けた場合の13年目」の国債の発行及び償還状況を見てみます。
13年目に発行される国債(A’)は、

1.新規発行国債30兆円
2.3年目に発行された国債の借換債25兆円
3.2年目に発行された国債の借換債24.5兆円
4.1年目に発行された国債の借換債24兆円

の4つ。


13年目に返済される国債(B’)は

1.3年目に発行された国債の償還額30兆円
2.2年目に発行された国債の償還額25兆円
3.1年目に発行された国債の償還額24.5兆円

の3つ。

このケースでは、

 「1年目に発行された国債の償還額」と「2年目に発行された国債の借換債」

 「2年目に発行された国債の償還額」と「3年目に発行された国債の借換債」

そして

 「3年目に発行された国債の償還額」と「新規国債」

との間で金額がバランスしていることがわかります。

では、この「バランス」はどのような場合に崩れるのでしょうか?
答えは簡単です。

例えば「1年目に発行された国債」とバランスが取れているのは「2年目に発行された国債」ですから、1年目と2年目の間で発行額に相違があれば、これが「国債発行残高」全体に影響を与えることになります。

つまり、考えなければならないのは「昭和40年に発行された国債」と「平成29年度に発行された国債」との関係性ではなく、昭和40年であれば翌年の昭和41年、平成29年であれば前年の平成28年、または来年発行される国債とのバランスだということになります。


昭和40年と平成29年を比べてみると・・・

それでは改めて考えてみましょう。

昭和40年目に発行された国債が13年目を迎えた時

発行される国債(A)

1.昭和53年の新規国債10兆6740億円
2.昭和42年に発行された国債の借換債5793億円
3.昭和41年に発行された国債の借換債5325億円
4.昭和40年に発行された国債の借換債1545億円

返済される国債(B)は

1.昭和42年に発行された国債の償還額7094億円
2.昭和41年に発行された国債の償還額5436億円
3.昭和40年に発行された国債の償還額1578億円

昭和40年の国債を考えるとこんな感じです。それ以外の期間のものはまだ償還期を迎えていない、と考えますので必要な数字はこれだけです。

A-1とB-1、A-2とB-2、A-3とB-3が本来バランスべきポイントです。

A-1-B-1=9兆9646億円
A-2-B-2=357億円
A-3-B-3=3747億円

合計10兆3750億円

一方、今年の国債で考えると、
発行される国債(A)

1.平成29年の新規国債34兆3698億円
2.平成18年に発行された国債の借換債22兆4338億円
3.平成17年に発行された国債の借換債25兆152億円
4.平成16年に発行された国債の借換債27兆8005円

返済される国債(B)は

1.昭和18年に発行された国債の償還額27兆4707億円
2.昭和17年に発行された国債の償還額25兆5364億円
3.昭和16年に発行された国債の償還額28兆3920億円

となります。

A-1とB-1、A-2とB-2、A-3とB-3が本来バランスべきポイントとなりますので。

A-1-B-1=6兆8991億円
A-2-B-2=-3兆1026億円
A-3-B-3=-5915億円

合計3兆2020億円



いかがでしょうか。意外かもしれませんが、「国債発行残高への影響」だけで考えると、国債発行初年度である昭和40年以降13年間の影響よりも、最新年度である平成29年度より過去13年の影響の方が、より少ないことがわかります。

合計10兆3750億円 と 3兆2020億円

ですから、その差は歴然としています。

もちろん計算式自体がここまで単純ではありませんから、あくまでも一つの「例」として考えていただければと思います。


念のため、下となる数字は政府が公表しているデータを用いていますし、前提として、

「新規国債が必ず10年物国債で発行され、借換債が必ず1年物国債として発行された場合」

としています。新規債がすべて10年物で発行されるわけがありませんし、借換債も必ず1年物で発行されるわけはありませんから、このあたりも誤解なさらぬよう、お願いいたします。

このほか、一般会計において毎年「利息」だけは全額返済されていますので、このあたりも誤解なさらぬよう。


「国債が破綻しない理由」はこれ以外にもたくさんあります。ですが、60年償還ルール以外の「破綻しない理由」は、抽象的なものも多いので、破綻論者を一撃で黙らせるためには「数字」できちんと把握することのできる60年償還ルールが一番効果的だと私は思っています。

何が言いたいのかといいますと、私はここまで具体的に日本国債が破綻しない理由を説明できる人間である、ということです。ですが、そんな私でも「消費増税」が必要だと考えているわけです。

もちろんいつ増税するのかとか、増税する前にやることがあるだろうとか、そういったことはすべて踏まえた上で、です。

次回記事ではそんな私が考える「それでも消費増税を行わなければならない理由」。これを記事にしたいと思います。



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