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アベノミクスを問う⑨

前回の記事では、「消費税」という税制度に着目し、消費税とは、「景気の良し悪しにかかわらず、所得に関係なく、国民が等しく消費するもの」にかけられている税制度であるからこそ税収が一定であり、景気の良し悪しに関わらず、一定以上の支出を求められる社会保障のための財源として適した税制度であることをお伝えしました。

「景気の良し悪しにかかわらず、所得に関係なく、国民が等しく消費するもの」とは、食料品をはじめとする、いわゆる「軽減税率」で軽減される税制度の対象とされると考えられている品目です。

景気の良し悪しに関わらず消費されるものに対しては増税を行わず、景気の良し悪しによって消費量に変化が生まれる品目に消費税をかけるのであれば、それはそもそも消費税である意味がないし、社会保障のための財源としてとしては適さないことをお示ししました。

消費税が税制度として批判される最大の理由は、「所得の少ない人ほどより負担感が大きくなる」、という、いわゆる「逆進性」にあります。

そこで、ではどのようにすればこの「逆進性」をクリアできるのか。これを「マイナンバー制度」に着目してお伝えすることをお約束しました。

消費税全額還元プラン

まず見ていただきたいのは、こちらの動画です。


時間にして5分40秒あたりから。

消費税全額還元プラン」という言葉が登場します。
動画の通り、そのまま記すと、「徴収された消費税の全額が、社会保障費(医療・介護・福祉)として国民に『還元』されるシステム」とあります。

当時トヨタの取締役会長であった張富士夫氏の言葉として引用する形で、以下のように記されています。

「この制度だと、年収500万円未満の家庭で受益超過が起こり、低所得者ほど消費税の負担よりも社会保障給付の恩恵を受ける仕組みができる」と。

続けて、
「今回の改革はこれに合わせて、国民一人一人に『社会保障カード』を配布し、自分が受けられる福祉サービスをいつでも参照可能にする予定である」と。

社会保障のID化で、低所得者層を対象にした『減税』が実施できる。『余分に働けば、国から余分に給付費が増えていく』方式である」と。

これに対する麻生さん(当時総理大臣)の言葉として、
財政運用の仕組みが国民に見えやすいという視点は重要。
これと関連して例えば国から取得したアカウントでシステムにアクセスすれば、いつでも正確な年金を参照でき、将来のシミュレーションもできるといい」
「やはり実行するからには、世界で最も先進的なやり方を検討したい。すべての行政機関や病院、学校とつながるようにしてほしい」

さて。いかがでしょう。名称こそ違いますが、この動画で張会長と麻生さんが行っているやり取り。まさしく「マイナンバーカード」もしくは「マイナンバー制度」そのものであることに気づきませんか?

5分07秒あたりから、動画を見ていただければまたよくわかると思うのですが、私がこのブログを通じて一貫して述べていることと、同じことをこの動画では言っていることにお気づきでしょうか。

「マイナンバー制度」が制定されたのは民主党政権下です。
ですが、このアイデアを最も早く考え、話し合っていたのは民主党政権ではなく、麻生政権です。

マイナンバーカードとは、元々「マイナンバーカード」などという名称ではなく、「社会保障カード」という名称で考えられていました。

「消費税」という税制度は、そのまま導入すれば、同じ割合でも、低所得者ほど負担感が大きく感じられるようになる税制度です。これを「逆進性」と言います。

麻生内閣では、この逆進性をクリアにするために、「消費税全額還元プラン」という制度を考案し、低所得者ほどより多くの還付を受けられるようにすることで、税制度の不公平感をなくすことを考えていました。

政府、財務省の還付制度案を断念 軽減税率を軸に年内結論

さて。こちらのニュース。ご記憶でしょうか。
麻生さんが、「財務省案」としてマイナンバーカードを利用した還付付き制度を提示しましたが、これを公明党をはじめとする与党諸氏によって否定され、還付制度案を断念した、というニュースです。

先ほどの動画を見れば、麻生さんが一体何を考えてこの還付制度案を提示したのか、もうお分かりですよね。

はっきりと申しますと、この社会保障制度については、自民党や公明党が推している軽減税率案より、麻生さんが推しているこの還付付き制度案のほうがよほど理にかなっています。
そして、曲がりなりにもこの案を麻生さん以外にはっきりと主張したのは、野党である民主党政権の古川元久氏です。



時間にして15分11秒あたりから。
というより、この質疑に関しては一貫して思うのですが、明らかに古川元財務大臣のほうが的を射ています。
安倍さんははっきりというと、この消費税問題に関してはあまり理解できてないんじゃないかと思います。

ですから、冒頭で何を意図して古川元大臣が安倍さんに質問をしているのかという意図をくみ取ることができず、まあまあ的外れな返答を繰り返しています。

ところが、質疑受け答え者が麻生さんに代わると、この様相は一変します。
麻生さんは消費税制度というものをよく理解していますから、ちゃんと質疑応答になるんです。

古川さんははっきり言っていますね。逆進性対策として、軽減税率ではなく、

『マイナンバーを活用して、低所得者に還付する制度、いわゆる給付付き税額控除を導入すべきだと考えておりまして』

と、このように発言しています。また、軽減税率という言葉はふさわしくない。「複数税率制度」とはっきり言うべきだとも発言しています。

そして、軽減税率の導入は、「物品税」を復活させるに等しいということも発言しています。
まさしくその通りです。

そして、これに対して麻生さんはこのように答えます。時間にして31分45秒あたりからです。

「いい質疑ですよ。間違いありませんよ。自信持たれて大丈夫ですよ」

本当に消費税という税制度の本質を理解している人は、軽減税率なんて主張しません。
「還付付き制度」こそ、本当の意味で消費税の逆進性をクリアにするものです。

そして、「マイナンバーカード」を、「国民の資産を正確に把握するために制定されたものだ」という誤った受け止め方をしている人が多くいますし、マスコミ等でもそう報道していますが、はっきり言ってまったくの誤りです。

そのような目的性というのは付随的に派生したものであり、マイナンバーカードの元来の名称である、「社会保障カード」という、その名称の通り、マイナンバーカードとは、そもそも消費税の逆進性をクリアにするために考え出されたものです。

『社会保障国民会議』と『社会保障制度改革国民会議』

似て非なるもの。「社会保障国民会議」とは、麻生内閣において、社会保障制度を改革するために行われた国民会議。
「社会保障制度国民会議」とは、「社会保障国民会議」が開かていたことすらまったく知らなかった民主党政権が、まったく持って無駄な予算をかけて行った、「社会保障国民会議」とまったく同じ内容の話し合いを行った国民会議です。

なぜ知らなかったのか。社会保障国民会議とは、麻生内閣当時野党であった民主党も普通に参加できる会議だったのですが、「自民党が開催する会議だから」という理由で参加しなかったから。

その結果、本当に無駄だと思います。
まったく無駄な予算をかけて、麻生政権下で行われた国民会議と、まったく同じ結論を得る国民会議を行ったのですから。はっきり言って、「税金の無駄遣い」と自民党を攻撃する人が良くいますが、税金の無駄遣いとは、まさしくこのようなときに使う言葉ではないかと思いますね。
「麻生政権下」とは申しましたが、正確には福田政権下にスタートして、麻生内閣に引き継がれた国民会議です。

こちらが麻生政権で行われた「社会保障国民会議」の報告。
社会保障国民会議

こちらが民主党政権で行われた「社会保障制度改革国民会議」の報告。
社会保障制度改革国民会議


決まった内容はほぼ一緒ですが、どう見ても麻生内閣当時の報告のほうがわかりやすいと思うのは私だけでしょうか。

このとき、年金についても話し合われたのですが、実は麻生さん、最初はこの年金問題について、誤った考え方をしていました。このことは、麻生さん自身が以下の動画の中で認めています。





続き物です。06の10:30頃から年金に関する討論が始まります。

麻生さんのスピーチは07に入ってから。特に、4:30頃から、この全額方式に関する発言が始
まります。
「今の全額税方式という話は、私も考えないわけではなかったんでよ、発表したぐらいですから。
しかし、私どもは、なかなかそれは難しいという現実というものも、他国の話やら、読売方式やら、スウェーデン方やら、いろいろ勉強させていただいた上で、今の話をさせていただいております。」


と。
ちなみに、麻生さんが「発表した」内容はこちら。

2008年3月号 全額税方式

つまり、国民年金の部分を「最低保障年金」とし、これを全額税金で賄う、ということです。
ですが、麻生さんは、上記の「社会保障国民会議」の中で議論を深め、現実的でない、という結論に至った、と麻生さんは言っています。

ちなみに、この逸話がこちらの本にも掲載されています。



私はこの本から年金制度の勉強をスタートしました。
ですが、結果的には私のご説明のほうが詳しくなっていますので、まだご覧いただいたことのない方はこちらの記事をご覧ください。

第32回 公的年金制度の仕組み

話が脱線しましたが、そもそも「マイナンバー制度」とは、福田内閣においてスタートし、麻生内閣に引き継がれた「社会保障国民会議」の中で考え出された「社会保障カード」に由来するものであり、現在話題になっているような、「国民の資産状況を把握すること」を目的とした制度などではそもそもない、ということです。

軽減税率ではデメリットが大きすぎます。
マイナンバーを用いた、いわゆる「財務省案」にセキュリティ面での問題が大きいというのなら、どのようにすればセキュリティを守ることできるのか、という考え方をすべきなのであって、だから軽減税率にしよう、ではあまりにも安直すぎやしませんか? 安倍さん。

例えば、現時点では医療保険の自己負担率は一律で三割です。
ですが、ここにマイナンバーの仕組みを導入することで、所得に応じて一割負担、二割負担、三割負担と負担率を変化させることができれば、納得する国民は多いのではないでしょうか。

現金で還付する、という考え方も一つです。
全体の税収から計算し、総消費税収から逆算して低所得者に還付を行っていくという制度はどうでしょう。
これは維新の党が主張していましたね?

いくらでも方法はあります。
ぜひ、安直に軽減税率に走ることだけは、やめてほしいと思います。

次回記事からは、ではそもそも「アベノミクスの効果」はいかほどだったのか。
具体的な数字と共に解説していきたいと思います。
このシリーズの過去の記事
>> 第35回 名目GDPと実質GDP
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