第31回 医療保険制度を分析するなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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アベノミクスを問う⑥

前回の記事では、安倍内閣が「デフレから脱却した」とは言い切れない状況の中、なぜ昨年度の消費増税に踏み切ったのか。この最も大きな理由として考えられる、「社会保障」の問題を分析するため、「社会保障費」を支出の面から分析いたしました。

そして、「支出」を分析する中において、ではそもそも「収入の面」はどうなっているのか、という疑問が沸き起こったため、このテーマを今回の記事に託しました。

社会保障給付費・保険料差額

上図で考えると、平成22年(2010年)の時点での収支状況で、保険料収入が57.8兆円しかないにも関わらず、支出は103.5兆円もあり、その開きは45.7兆円にも上ります。

つまり、2010年の時点で、社会保障に伴う、国庫以外からの収入と支出総額の差が45.7兆円ありますよ、ということです。

ただし、
社会保障費 一覧

こちらのグラフを参照しますと、同じ「社会保障費」といっても、「年金」「医療」「福祉その他」とあるわけで、ではいったいどの項目の収入がいくらで、その分野の支出がいくらなのか。どの分野に一体どの程度国庫から負担を要求されていて、税収と比較した場合、どの程度収入が足りていないのか。

この辺りを疑問に感じるわけです。

そこで、今回以降の記事では、3つの分野の中でも、特に割合の大きい「年金」と「医療」についてその収支状況を分析してみたいと思います。

医療保険制度の収支状況

実は、年金の収支状況については、過去に作成していたブログの中で、一度分析したことがあり、個人的には一つの完成形に至ったと考えています。

次回記事にて、別途まとめて掲載する予定ではあるのですが、今回の記事では先に、私がまだ分析を行ったことのない「医療保険制度」について考えてみたいと思います。

年金問題については改めて「旧ブログの記事」でもご理解いただけると思っていますので、先にぜひご参照ください。

それでは改めまして、「医療保険制度」について考えてみます。

実は、「医療保険制度」の「支出状況」については、Wikipediaで「日本の医療」と検索をかけますと、その支出を一覧にまとめたものが掲載されています。

制度区別支出
診療種類別支出

この一覧表で見ますと、「公庫負担医療給付」。役2兆円ですが、これが医療費全体に占める国・地方公共団体による支出金、ということになります。

この他に、「後期高齢者医療給付」、「被用者保険」、「国民保険」など、様々な項目が掲載されています。
では、残るこれらの項目の内、いったいどのくらいが「保険料」の占める分野で、どのくらいが「公庫」の占める分野なのか、この辺りを検証してみたいと思います。


被用者保険

まずは「被用者保険」から考えてみます。

全体の比較をする上では、平成23年に協会けんぽ宮崎支部が公開しているやり方が解りやすいので、まずはここから引っ張ってきます。年度はすべて21年度(2009年度)のデータです。

1.協会けんぽ

協会けんぽ収入

協会けんぽ支出

上が協会けんぽの収入、下が支出です。

ご覧いただきますと解ります通り、保険料収入と保険料給付費はバランスが取れていますね。
単年度のデータではありますが、この2つの項目で見る限り、協会けんぽの収支は大幅な黒字です。

ただ、見ていただきたいのは、支出の分野に、保険料給付以外に「支援金」や「拠出金」等の項目が掲載されている部分です。
これは、つまり協会けんぽに加入している現役世代から、高齢者のためにまとまった額の「拠出」がされていますよ、ということです。

現役世代が収めた健康保険料が、現役世代ではなく、高齢者のために使われています。
ここが、この健康保険制度の胆となる部分ではないでしょうか。

2.健保組合

健保組合収入

健保組合支出

健保組合は、主に大企業の保険制度です。
けんぽ協会と比較して、国庫負担がほとんどないことが特徴です。ただこちらも保険料と給付費の収支だけで見ると大幅な黒字。
やはり高齢者医療へ拠出されている部分が大きいことがわかります。

3.共済組合

共済組合収入

共済組合支出

共済は主に公務員の健康保険です。こちらも協会、健保組合と同じ事情であることが分かります。


国民健康保険
次に、お年寄りや定職についていない方などが負担する、「国民健康保険」について考えてみます。

1.国民健康保険(市町村)

国民健康保険収入

国保市町村支出

2.国民健康保険(全体)

国保全体財源

国保全体支出

被用者保険とは少し違う事情が見えてきましたね?

被用者保険では黒字で推移していた保険料と給付費の割合が逆転し、国保では国や市区町村からの交付金や補助金、他の収支からの拠出金がなければ、一気に破たんです。

但し、それでも更にこの国保収支から「後期高齢者医療拠出金」が更に差し引かれています。


後期高齢者医療給付

それでは、最後に「後期高齢者医療給付」について考えてみます。

後期高齢者医療財源

後期高齢者支出

被用者保険や国民健康保険から拠出された後期高齢者拠出金は、全てここに回されます。
2023年度、までに急増すると国が考えている高齢者医療のための支出とは、この項目のことを意味します。

医療費の動向

こちらは、医療費全体の動向と、「後期高齢者医療」の推移を示したものです。
厚生労働省のデータで、クリックしていただくと該当ページに遷移します。

先ほどまでお示ししていた資料は2009年のものです。2009年から見ても、4~7兆円の範囲で少しずつ後期高齢者医療費が増えていることがわかります。

ちなみに、2014年度の予算ベースで考えた場合、後期高齢者医療給付費は全体で14.4兆円。
このうち6兆円が各保険制度の中から調達された「後期高齢者支援金」。

1.1兆が高齢者の保険料、残る6.8兆円が公庫負担、ということになるのだそうです。

公庫ベースで考えると、被用者保険が協会0.96兆+健保組合0.04兆円で約1兆円、国保が3.44兆円+0.3で約3.74兆円。
合わせて4.74兆円。もちろんこれは2009年ベースですので、単純に計算することはできませんが、仮に約5兆と考え、後期高齢者医療給付6.8兆円、公庫負担医療給付が約3兆と考えると、約15兆ほどを公庫で負担している、ということになるでしょうか。

もちろんこれも国庫と地方財源が重複していますから、単純に考えることはできません。

国民が負担する保険料は総額すると約17兆~18兆円。
となると、残る社会保険料はその他福祉、介護保険や生活保護の問題もありますが、やはり年金保険料ですね。

ということで、次回記事では「年金問題」について改めてフォーカスしてみたいと思います。
このシリーズの過去の記事
>> 第33回 なぜ「消費税」なのか。
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