第24回 『第2の矢』と『第3の矢』など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第23回 アベノミクスを問う①

「アベノミクスを問う」②

前回の記事では、第一の矢「大胆な金融緩和」に着目し、第一の矢が目指したものとは、「金融緩和」そのものにあるのではなく、政府・日銀が「大胆な金融緩和を行う」という意思を見せることで、「期待インフレ率」を高めることにその目的がある、ということをお伝えしました。

第2の矢

今回の記事では、残る日本。「第二の矢」「第三の矢」に着目して記事を進めていきます。
第二の矢」とは、「積極的な財政出動」の名の通り、国が仕事を作り、民間に発注することで、資金を民間に回し、ここから「乗数効果」によって経済が回転していくことを狙ったものです。(乗数効果については第22回の記事をご参照ください)

第22回の記事にて、

バブル崩壊後に行われた公共投資では、繰り返し土木・建築分野のみに投資が行い続けられたことで、やがて消費性向が低くなり、政府支出に対して発揮される乗数効果が弱くなったということではないかと考えているのです。

とお伝えしました。そして、その原因が国債の持つ法的な裏付け、性格にある、ことをお伝えしました。

抑々、日本の財政とは、財政法第4条にて、以下のように定められています。
国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。

ただし、この法律には続きがあります。
但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。

つまり、公共事業(や出資、貸付)を行うためであれば、その財源として公債や借り入れを行うことができる、とされているのです。

この法律に基づいて発行された国債のことを、「建設国債」と呼びます。

公共事業の為であれば公債を発行しても構わない、とされているのは、公共事業を行った場合、そこには「成果物=公共施設」があることがその理由です。

一旦設立してしまえば、その施設を後々の国民も使うことができますから、それが一つの「資産」とみなされるわけです。
バブル崩壊後に行われた公共投資が、道路やトンネル、宿泊施設といった「公共施設」の設立のために充てられたのは、このように「建設国債」が持つ法的な裏付けがあるからです。
当然特定の事業主が利益を独占したり、利権なども生まれたでしょうから、これが国民の批判を受ける理由ともなったのかもしれません。

一方で人件費や経費、社会保障の財源といった、「後に資産の残らない公共投資」については建設国債の発行が認められていません。
ですが、それでも財源が足りなくなり、財政運営を税収と建設国債だけでは賄えなくなることがあります

この時に発行されるのが「特例国債」。いわゆる赤字国債のことです。

赤字国債は、短期的に、どうしても賄いきれない財政支出がある場合にのみ発行されるもので、発行することそのものにネガティブなイメージがあります。
資産的な裏付けのない「赤字」国債ですから、将来的に返済できなくなるのではないか。日本は破綻するのではないか、という妄想の原因にもなっているのでしょう。

ですが、考えてみてください。
第22回の記事で、私は「政府が行った投資がより消費性向の高い分野に行われればより高い経済効果がもたらされます」とお伝えしました。

そして、同じ記事の中で「バブル崩壊後に行われた公共投資では、繰り返し土木・建築分野のみに投資が行い続けられたことで、やがて消費性向が低くなり、政府支出に対して発揮される乗数効果が弱くなった」とお伝えしているのです。

つまり、いわゆる「資産が残る」公共事業は消費性向が低くなる傾向があり、投資先には向かない、と私は言っているわけです。
もちろん、「コンクリートから人へ」というスローガンの下、民主党政権ではこのような公共事業がそのもの大幅に削減されましたし、「消費性向が低くなる」だけで、決してそこから乗数効果が生まれないわけではありませんから、投資することに意味がない、とは申しません。

ですが、建設国債ばかりを発行し、単純に公共事業のみを増やすのでは、その効果は限定的で、ある意味焼け石に水です。
ということは、建設国債の対象とならない分野。公共施設のような資産が残らない分野もその投資対象先として考えていく必要がある、ということなのです。

そのための財源として、当然「赤字国債」を発行せざるを得ません。安倍内閣にその度胸があるのかどうか、ということがアベノミクスが成功するための一つの指標となります。

私がさんざん言っている「ケインズ政策の限界」とは、ケインズ政策が『「金融緩和」と「財政出動」を同時に行うことの必要性』のみしか謳っておらず、その投資先としてどの分野が適しているのか、ということに言及していないことにあります。

「第3の矢」の意味

既に勘づいていらっしゃる方も多いかもしれません。
実は、この「第3の矢」こそ、実はアベノミクスにとって、最大の意味を持つものだと私は思います。

デフレから脱却するため、この国が目指すべきものとは、

「市場の流動性を高め、公共投資を行うことで民間企業の活力を高め、やがて自律的に成長を続けることのできる市場を作り出すこと」

です。

いくら市場の消費性向が高まったとしても、そのサイクルが終わった段階で、また再び日銀や政府が関与しなければならないのでは意味がありません。日銀と政府の関与が不必要だとは言いませんが、関与がより少なくて済むようになって初めて「景気が回復した」といえるのだと、私はそう思います。

ですが、現在の安倍内閣を見ていると、この、最も肝心な部分である「第3の矢」についてのアイデアが不足しているのではないかと感じます。

次回記事では、麻生内閣における財政政策、「景気対策3段ロケット」に着目しながら、安倍内閣の財政政策を検証していきたいと面ます。
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このエントリーにお寄せ頂いたコメント

適当な処置が大事ですよね(*´∀`)♪

ケインズと言うより、適切な処方で其を行う為に、指標があるかと。
日本は災害国の為、公共事業を国が行う、いざというときに資金をプールするのは当たり前で、其を行って循環している経済を緊縮したら、其まで働いていた人が無職になる。経済対策の前に土木事業は早い失業率対策になります、が過剰は利権、人員不足になり更に無駄に繋がります。土木利権関連とそれ柄みの経済学者は土木投資しろと五月蝿いですが、アベノミクス、復興、オリンピックからの建設費高騰は、民間会社に新規工場や増設投資を控えさせています。詰まり今土木は無駄。
此から国が入れるべきは開発案件かと。
株価と為替だけみて、金融緩和しろと五月蝿いエセ学者もいますか、(過剰な為替変動は駄目ですが)世界的にデフレに入り、各国が緩和している中で、日本の緩和の目的は、インフレ誘導で、為替誘導でも株価誘導でもない。緩和で通貨安競走するのは愚か。
物価も日銀が世界的にコアコア使うなか、何故に始め、コアを使ったか。輸入物価、特にエネルギー物価の上昇による不景気は消費者を困らせていたのが、産業改革以後の日本。2%物価上がったからいいよねでも石油はバカだかいなんて事象は誰も望まない。そして、コアコアが多少+でコアがマイナス、コミットメントには程遠いですが、輸入エネルギーがマイナスによる景気上昇を体感している。経済学者や投資家にマイナスでも多くの日本国民にはプラスかと。
長くしちゃいましたが例えばGDP、消費税率向上して、翌年だけ実質下がりましたが、翌翌年から上がりました。市場から税として回収したものの政府の使用が一年遅れただけ、もっと重要なのは91年から下がった名目GDPが上がっている、デフレ脱却に向かっている。正しい指標の見方出来なかった20年間を解消しだしている。

片寄った考えで方向間違わないようにしたいですねヽ(*´▽)ノ♪
かっ at 2016/08/04(木) 18:51 | URL

かっさん、コメントありがとうございます(^^)/

一点だけ私が危惧している部分があって、今回は「原油価格の下落」によってCPI全体が下がっているのですが、年金生活者のうち68歳を上回る人たちは、そのせいで「年金受給額」が下がってしまいます。

これはちょっと理不尽なんじゃないかと思います。
原油価格が下がらなければ物価は上昇しているわけで、その分一般労働者の可処分所得は給与価格の上昇と共に増えているのに、年金生活者だけが下落してしまう・・・という現象。

ここは、政府としてもきちんと対応していただきたいですね。
のんき at 2016/08/04(木) 20:03 | URL

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