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<前回の記事 第22回 デフレを脱却する方法⑯

「アベノミクスを問う」①

今回より、サブタイトルを「デフレから脱却する方法」より「アベノミクスを問う」に変更して進めたいと思います。
前回のサブタイトル「デフレから脱却する方法」はまとめといたしまして、

・金融緩和と財政出動政策を同時に行うこと。
・財政出動の財源として国債を充てること。
・財政が投資する先を「消費性向の高い分野」にすること。

まとめますと、この3つが「デフレから脱却する方法」といえます。
ですが、これだけではまだ足りないパーツがある。これが前回の記事からの投げかけです。

アベノミクスを問う

新章では、安倍内閣が掲げている「3本の矢」。これを検証することで、本当の意味でこの国がデフレから脱却するためには何が必要なのか。
このことに触れたうえで、2012年12月にスタートし、もうすぐ3年が経過しようとしている安倍内閣に於いて実施された経済・財政政策とその結果について検証していきたいと思います。

3本の矢

安倍内閣では、組閣後、まず第一に手を付けるべき政策として、「経済最優先」であることを国民に対して示しました。

そのシンボルとして示されたキャッチフレーズがこの「三本の矢」です。

首相官邸HPを見ますと、「三本の矢」とは以下の通り説明されています。

1.大胆な金融政策
2.機動的な財政政策
3.民間投資を喚起する成長戦略


私が「デフレを脱却する方法」のシリーズでお話しした内容が記されていますね。

ただし、ここで考えていただきたいのは、1番。「大胆な金融政策」とありますが、既にご説明いたしました通り、安倍内閣においてわざわざ「大胆な金融緩和政策」を行って市場の流動性を高めずとも、銀行等市中金融機関、「金融市場」には既に有り余る資金がストックされています。流動性は十分すぎるほどに高まっているということです。

問題なのは市場が「流動性の罠」と呼ばれる状況に陥っており、どのような金融政策を執り行っても、市場に滞留した資金が全く動かない状況にあったことは、前章でお伝えした通りです。

では、にも関わらず安倍内閣が「三本の矢」の中に、この金融緩和政策を含めたのはなぜか。
実は、安倍内閣が誕生する以前。安倍総裁が誕生した時点で、既に安倍内閣が「第1本目の矢」に込めた目的は大きく達成されつつありました。

前内閣、民主党野田内閣に於いて、野田内閣は具体的な財政政策を何一つとして実行しませんでした。
第18回の記事でお示ししました通り、「円キャリートレード」によって海外に融資された莫大な資金が、リーマンショックによって一斉に日本の銀行に返済された市場。これが民主党内閣下の金融市場です。

ちょうどよいグラフを掲載しているサイトを発見したので、ご紹介してみます。

日本マネーストックM3の2003年4月から2012年5月までをグラフ化
M3推移

M3とは、わかりやすく言えば日本国内にはどれくらいの量の現金通貨があるのか。その量のことを言います。
グラフにあるMoMとは、前期比のこと。YoYとは前年同月比のことです。

前年同月比でみると、2008年~2010年あたりにかけての伸び率が急激であることがわかります。

現金通貨の量は増え続けている=流動性は高まり続けている状況にあるわけですから、本来であればわざわざ「大胆な金融政策」を項目として掲げる必要はないようにも感じます。

ですが、その中で安倍内閣があえて「大規模な金融緩和」を第一の矢として掲げた理由には、「期待インフレ率」を高めることが一つあげられます。

期待インフレ率」とは、将来日本の物価が上昇するのではないか、というその期待値。「予想インフレ率」のことを言います。

期待インフレ率と名目金利、実質金利の関係を表す公式として、以下のような公式があります。

名目金利 = 実質金利+期待インフレ率

「名目金利」とは、いわゆる金利のこと。お金を預けていれば、普通に上昇する金利のことです。
一方「実質金利」とは、名目金利から物価上昇率を差し引いたもの。

第9回の記事で「名目GDP」と「実質GDP」についてお伝えしましたが、考え方は同じです。
名目GDPと実質GDPの関係は、以下のような公式であらわされます。
名目GDP=実質GDP+物価上昇率(インフレ率)

名目金利 = 実質金利+期待インフレ率
という公式は、「フィッシャー方程式」と呼ばれます。

将来物価が上昇するんじゃないか、投資を行えば自分の資産が増えるのではないか、という期待値が高まれば、現在持っている負債の金利(名目金利)が低くなる感じられるようになる、という意味合いです。

繰り返しになりますが、民主党政権では、財政政策がまったくと言っていいほど行われませんでしたから、経済が活性化するような感覚を国民が覚えることは全くできませんでした。

ですから、その分経済最優先を謳う安倍さんが総裁になった時点で、「市場が動くんじゃないか」という「期待値」が一気に高まりました。

安倍さんが総裁になっただけで、為替は円安にシフトし、株価も大きく値を上げたのです。
これは、間違いなく「期待インフレ率」が上昇したことが原因です。

安倍さんが「第一の矢」に「大胆な金融緩和政策」を掲げたのは、日銀と強調して金融政策を実行するだけでできる単純な政策であるから。手っ取り早く行えるため、国民に「安倍内閣は何かやってくれるのではないか」という期待値を上げることができます。

以上のことから、安倍内閣が第一の矢として大胆な金融緩和政策を掲げたのは、この「期待インフレ率」を維持、または向上させるため。国民に「市場が動くのではないか」という期待感を持ち続けさせることが最大の目的であったと思われます。

次回の記事では、「第二の矢」、「第三の矢」の視点から、改めてアベノミクスを検証してみたいと思います。
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このエントリーにお寄せ頂いたコメント

 できれば、この文を書いた年月日時を、グラフには縦軸、横軸、名前、単位、グラフの作成年月日(少なくともそれがわかるように)を記入していただきたい。間違った議論になるのを避けるためです。グラフの用い方の基本ができていないことにご注意。これは文系に多く見られる現象です。
 しっかりとした定義をすること、方程式に定義の確かなパラメータを使用すること、その方程式が現実に適合していることを示す実証データも参考にあげていただきたい。不容易に式を用いるのは議論の混乱を持ち込みます。
技術ばか at 2016/09/04(日) 12:19 | URL

ご指摘、ありがとうございます。
この記事を書いたのは2015年10月26日です。

スマホ画面から見れば確認はできるのですが、PCサイトからはあえて確認できないようにしています。

私もブログを作成する以上、より多くの人に見ていただきたいという気持ちがありますから、一つの戦略として「日付を掲載しない」という戦略をとっています。

同じ「アベノミクスを問う」のカテゴリーの中に、

金融政策の限界①
http://nonkinonki007.blog.fc2.com/blog-entry-82.html
金融政策の限界②
http://nonkinonki007.blog.fc2.com/blog-entry-83.html

という二つの記事がございまして、この二つの記事が今回の記事を後追いしたような内容になっています。

グラフについては、2003年4月から2012年5月までのグラフを掲載していることを示していますし、それぞれ「前年同月比」「前期比」の推移を示したものですから、左サイドにある-0.01、0.01といった数字はそれぞれ「指数」となっています。

これを100倍すると「割合」になります。

このグラフを作成したのは私ではなく、掲載しているリンク先の記事を作成している方が作成したもので、この当時の私にはマネーストック等のデータをグラフ化する能力がありませんでしたから、そのまま引用させていただいています。

フィッシャー方程式に関しては、なぜこの方程式が成り立つのか、という解説を加えてもよいのですが、これを行うと記事の量が膨大となり、却って理解しにくい記事となる可能性があるため、あえて避けています。

用語説明も極力行うようにしているのですが、用語説明を行うことに終始していると、肝心の本題に進むまでに読者を疲れさせてしまう可能性もありますので、思案のしどころだと考えています。

のんき at 2016/09/05(月) 14:57 | URL

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