第165回 消費活動指数の見方/「消費者物価指数」との違いなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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この記事のカテゴリー >>「消費」の見方


<継承する記事>
第164回 生産側のGDPと支出側のGDP/統計上の不突合とは?

【前回までの振り返り】
記事としては第164回の記事 を継続するのですが、内容は「消費」に関連した記事になりますので、カテゴリーのみ変更します。

前回の記事では、「国民経済計算」という言葉に着目して記事を作成したのですが、この時に今回の記事、「消費活動指数」への伏線であることをお伝えしましたね。

「伏線」というのは、今回ご紹介するこの「消費活動指数」が、前回の記事でご紹介した「国民経済計算」の内「家計消費支出」とよく似た動きをする、ということを意図しました。

第159回の記事 でご紹介した様に、GDPには「一次・二次速報」と「確報」があり、双方で最も異なる部分として、確報では「工業統計表」、「商業統計表」、「事業所統計表」などの統計資料が用いられるのですが、速報段階ではこれらの統計資料がまだできていないため、結果的に確報とは「ブレ」が生じます。

ところが、今回ご紹介する「消費活動指数」は、その統計を「個人消費」に絞り、販売・供給統計である「商業動態統計」や「第 3 次産業活動指数」に含まれる個別の統計系列、また別に一部の業界統計を統合して制作されるもので、結果的にGDP(国民経済計算)の確報に近い動き方をするのだそうです。

「物価」

【今回のテーマ】

【 ロイター(2016年 09月 7日 15:14)】
7月消費活動指数は前月比1.4%上昇、14年12月以来の高水準=日銀

[東京 7日 ロイター] - 日銀が7日公表した7月の消費活動指数は、実質季節調整済みで前月比1.4%上昇の103.6と5カ月ぶりにプラスとなり水準としては2014年12月103.8以来となった。セールの前倒しなどで商業販売が好調だったほか家電販売などが寄与した。

インターネット経由の音楽配信や電子端末用の書籍コンテンツ配信なども加味した指数は、前月比1.4%増の104.0となった。

これらの指数より1カ月遅れて公表される旅行収支調整済み指数は、6月分が前月比0.1%下落の100.9となった。この指数は外国人の国内消費(インバウンド消費)を除外し日本居住者の海外消費を含めている。

消費活動指数は、総務省の家計調査が消費の実体を弱めに捉えているとの判断から日銀が3月分から公表を始めた。これまでの消費統計で把握し切れていなかったネット配信なども取り込んでいる。

改めまして、記事は本体であるロイターから引っ張ってきました。

今回の記事では、タイトルにある「消費活動指数」について、複数の角度から捉えて記事を作成していきたいと思います。

「消費活動指数」と「消費者物価指数」の違い
「消費活動指数」と同じような指標として、「消費者物価指数」という数字が思い浮かぶと思います。

【消費者物価指数推移】
消費者物価指数(総合)

【名目消費活動指数推移】
名目消費活動指数推移

【実質消費活動指数推移】
実質消費活動指数推移

消費者物価指数の統計を作成しているのは総務省、消費活動指数の統計を作成しているのは日銀です。
消費者物価指数が「家計調査」、つまり消費する側の調査結果を基にしているのに対して、消費活動指数は「供給する側」の調査結果を参考にしています。

100%とまではいかないものの、「消費者」の数と比較すれば、「事業主」の数の方が少ないですから、より正確な数字がつかみやすい、ということでしょうか。

上図でいえば、消費者物価指数は昨年、2015年度を参照年としていますが、消費活動指数は2010年度を参照年としています。
日銀がこの「消費活動指数」を公表し始めたのは今年の5月からです。

調査をして感じたのは、「まだまだこれから研鑽していかなければならない指標だな」という感想です。
計算方法を公開していませんでいたが、おそらく「実質消費活動指数」の計算式は名目の消費活動指数を消費者物価指数で割ったものだと考えられます。

ですから、「燃料」という項目に関しては「名目」だとこのところの原油価格の下落を受けて消費活動指数も下落していますが、「実質」だと上昇しています。

「消費量」という考え方でいけばこれは比較的正確に「消費」を算出できているとも考えられます。
ただ、例えばこのところ私が第158回の記事 等でご説明していますように、「原油」や「冷暖房機器」、「テレビ」等の物価は下落していますが、その他の項目に関しては軒並み「物価」は上昇しています。

これらの項目は「消費活動指数」でも上昇していると考えられます。「消費する側」と「供給する側」で共に名目値が上昇するわけです。消費者物価指数で考えれば、「高値で売れるようになったから」その数値は上昇しました。消費活動指数で考えれば、当然「販売金額」の合計値が上昇していることになります。

ですが、この実質値の取り方だと、5万円のものが売れようが、3万円のものが売れようが、「1個売れた」としかカウントされません。売ったものと売れたものは一緒なのですから、当然です。

「消費者物価指数」には名目指数しかありませんから、散々お伝えしているようにたとえ消費が増えていたとしても、販売単価そのものが下落してしまえば「物価」は下落します。これがあたかも「消費」そのものが下落しているかのようにカウントされてしまいますが、「名目消費活動指数」も同様の動きをしますので、実質値を取る時にはプラスに作用するわけです。

ところが、物価が「上昇」する過程においてはマイナスに作用してしまいます。
確かに消費者物価指数が「家計」ベースで算出されるため、これを供給ベースで算出するのはより正確な値に近づくかもしれませんが、これが日本の消費者の消費状況を正確に反映できるものかどうか、というとやはり疑問符が付きます。

消費活動指数でも、消費者物価指数同様「コア」や「コアコア」、「10大項目別」の値など、もう少し詳細な統計を判断することができるためのわかりやすい「中分類」指標が必要ではないでしょうか?


「旅行収支調整」とは?

この、「旅行収支調整」というのは消費活動指数という指標独特の考え方ですね。

私が第94回の記事でお示しした考え方と同じ発想で作られた指標です。

先ほどの消費活動指数のグラフに、掲載していますね?
これは、海外から日本に旅行した観光客等が日本で起こした消費(インバウンド)を統計から除外して、逆に日本人が海外で起こした「消費」を除外した項目です。

【インバウンドとアウトバウンドの推移】
インバウンド・アウトバウンド

こんな感じです。夏場に上昇し、冬場に下落するという傾向がありますね。
ちなみに、先ほどお示しした「消費活動指数」全体の推移は「季節調整系列」ですから、このような季節独特の特徴を除外しています。ただ、察しの良い方はお気づきでしょうが、私はこの「季節調整」という作業をあまり信頼していません。

【名目消費活動指数原系列・前年同月比】
名目消費活動指数前年同月比比較

ということで、こちらは「原系列」。青いラインは前年同月比です。
グラフ左側が原系列の値、右側が前年同月比になります。

2014年には消費増税が行われており、これらのデータにはこの消費増税分が含まれています。
ただ・・・どうなんでしょうね。気にかかるのは「原油価格の下落」がこのデータにどこまで反映されているのか。

ちなみに「消費活動指数」を構成する項目は35項目あるのですが、このうち今年2月の前年同月比でマイナスになっているのは「燃料」「新聞」「書籍・雑誌」「電気代」「ガス代」「家電」「自動車」「海外パック旅行代(アウトバウンド)」「娯楽費」「損害保険料」となっております。

「燃料」「電気代」「ガス代」がエネルギー関係、「新聞」「書籍・雑誌」はネットの普及に伴うもの、「家電」は季節的な影響であると考えると、気にかかるは「自動車」くらいのものですね。

またこのあたり詳細まで分析できたら後日ご報告します。

まあ、発表されるようになって間もないこともあり、まだまだ統計を整理し直す必要があるのではないか、というのが現時点での私の意見ですね。今後もこの指標に注目していきたいと思います。

【次回テーマ】
次回記事では、前回ご紹介した政府の新指標、又はGDP統計の見直しのどちらかについて、または関連してもう少し興味深い情報が出てくれば、そちらの方を記事にしてみたいと思います。



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