第15回 『財政政策』と『金融政策』など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第14回 デフレを脱却する方法⑨

前回の記事では、「デフレの犯人」というサブタイトルで、土地バブルが崩壊する1992年から5%の消費増税が行われた年、1997年までを振り返り、いくつかの経済指標の動向を示しながら、「阪神大震災」や「アジア通貨危機」によって株価や為替などが大きく変動し、国内の経済状況に悪影響を与えたことを示しました。

消費増税が行われたことそのものより、消費増税が行われた直後にアジア通貨危機が発生したおかげで、株価や為替などの経済指標が悪化したこと。アジア通貨危機の災厄にさらされている中で、既に実行されてしまっていた消費増税がより問題を深刻にした、というほうが正しい経済指標の見方かもしれません。

「デフレ」を脱却する方法

さて。それでは、いよいよ「デフレ脱却の方法」。その本丸に入りたいと思います。
これまで、実に9回の掲載を通して長々と説明してきた理由は、まず様々な「経済用語」の意味をご理解いただくことが一番の目的です。
また、合わせて実例と共に、どうして「デフレ」と呼ばれる状況が発生するのか。その理由もご理解いただきたいと考えています。

デフレが発生する過程として、必ずそこには「理由」が存在しました。

最大の発端であるバブル崩壊には「東西冷戦構造の終結」が。
株価や地価が下落する中でも、成長を続けてきた「名目GDP」の伸び率が鈍化し、「GDPデフレーター」がマイナスとなったそのきっかけには「阪神大震災」が。
そして、名目GDPそのものがついにマイナスへと転じるそのきっかけには「アジア通貨危機」が。

このような外的要因に政策ミスが重なったことで「デフレ」は発生しています。

既に何度もご説明しています通り、「デフレ」とは、「継続的に物価が下落し続ける状況」を言います。

そして、「物価」を積算していくと「名目GDP」になるということ。
物価を構成しているのは「家計」「企業」「政府」の3つであり、「消費」と「投資」の積算であるという事。

また、この計算式の中でもう一つ登場する「在庫」の問題。「バブル崩壊」とは、この「在庫の価値」がみるみる下落していったために起きた現象です。

この状況でデフレを食い止めることができる存在とはすなわち「政府」。政府が消費や投資を拡大することで、「日本国全体」のデフレは食い止めることができます。これはこれまでもご説明した通りです。

そして、もし金融機関が抱えている不良債権が健全化し、不良債権のことを心配することなく金融機関が資金を企業に融資を行い続けることができれば、企業レベルでのデフレは食い止めることができます。

そして企業の業績が健全化し、従業員への給与を十分い支払い、また「雇用」を増やすことができるようになれば、「家計」レベルでのデフレも食い止めることができます。

バブル後の日本でデフレが加速した理由は、株や土地といった、いわゆる「在庫」の価値が急速に下落したこと。
それ以上価値を下げないように株や土地を現金化し、「現金通貨」という形で保有しようとしたこと。

阪神大震災が発生したことで、被災地域の資金が減少し、ここに政府が投資を行ったため、被災地以外の自治体の予算が削られたこと。

アジア通貨危機が発生し、バブル崩壊後、日本に投資を行っていた「外資」が株を売り、円を売るという「日本売り」に走ったこと。
不良債権が顕在化し、倒産する金融機関が続出したこと。

これらがデフレの原因なのですから、この逆を行えば、ひょっとするとデフレを食い止めることができていたのではないか、という予測は難しくないと思います。

バブル崩壊時、株価が下落する中で、政府が金融引き締めに走らず、総量規制を実施しなかったら。
阪神大震災が起きたとき、被災地に資金を投入するだけでなく、被災しなかった自治体にも十分な予算配分を行っていたら。

ただし、アジア通貨危機が発生した折には、政府はそれ相応の対策をとっています。
アジア通貨危機で破綻の危機に見舞われたアジア各国に資金援助を行ったり、不良債権に関しては「財政投融資債」という国債の一種を用いて不良債権を公的資金で処理しました。

どのケースを見ても、「政府が財政支出を適宜行うこと」が即ちデフレを食い止めるための一つの方法となっていますね?

「財政政策」と「金融政策」

第13回の記事 でご説明したように、このように政府が財政支出を増やしたり、減らしたりする政策のことを、「財政政策」と呼びます。

バブル崩壊後、財政出動を柱として政策を行ったのが橋本龍太郎氏の後の政権を引き継いだ故小渕恵三元総理、民主党が政権を獲得する直前に就任していた麻生元総理、現財務大臣。そして現在の第二次安倍内閣です。

第一次安倍内閣では、彼が幹事長を担当していた前小泉政権時代の政策理念を引きついていて、財政に関しては緊縮財政政策を取っていました。ただ、当時の安倍さんもそうなのですが、その前内閣である小泉氏も、その特徴として、「政府支出は行わないが、日本銀行にはお金を出させる」という政策をとっていました。

「マネタリズム」という考え方なのですが、「市場に流通する通貨の量さえ増やせば、国民の所得は拡大する」という、なんとも根拠に乏しい考え方です。

ここには、「市場に流通した通貨を、どのようにして国民の手元にまで届けるのか」という発想が全くないのです。

同じく第13回の記事 でご説明した通り、日本銀行が通貨を発行し、流通量を増やしたり減らしたりする政策のことを「金融政策」と呼びます。

日銀が、日銀単独の意思で行える金融政策は主に3つ。

一つ目は、金融機関が設立時、日本銀行に預けおくべき資産の一部である「準備預金」の額を増やしたり減らしたりすること。
二つ目は、金融機関にが日銀からお金を借るときの金利=政策金利を上げたり下げたりすること。
三つ目は、国債や株式など、既に市場に流通している現金通貨以外の資産を買い上げたり(買いオペ)、日銀が保有している資産を売り払ったり(売りオペ)すること。

この3つです。三つ目の政策は、別名「量的緩和」などと呼ばれたりします。

マネタリズムを提唱する人々は、つまりこのような日銀による「金融政策」さえ行っておけば、国民の所得は増え、経済は成長するといっているのです。その代表格ともいえるのが小泉内閣でブレーン役を務めた竹中平蔵という人物です。
米国のフリードマンという人物らの考え方で、それまで米国で主流であった、「ケインズ」という人物の考え方を真っ向から否定したものです。

ケインズは、「デフレ期には経済への政府の介入が必要だ」と主張したのに対し、彼らは「金融政策に任せておくべきで、政府の介入は最小限にとどめるべきだ」といっているのです。狭義な「新自由主義」とも呼ばれる考え方です。

ケインズは、「インフレにはインフレ時の、デフレ時にはデフレ時の政府の介入の仕方がある」といっています。

そして、ケインズの思想を下に、マネタリズムを批判した考え方が「流動性の罠」という考え方です。

次回は、このケインズ経済学と「流動性の罠」について掲載していきたいと思います。
このシリーズの過去の記事
>> 第16回 『流動性の罠』
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