第118回 公的年金収支状況の推移~厚生年金・国民年金の収支状況を検証します~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第117回 公的年金制度の仕組みをわかりやすく図解入りで解説いたします。

前回の記事では、私の過去の検証が「国民年金」の運用状況に限定されていたことを受け、「厚生年金」の運用状況についても検証することをお約束しました。

厚生年金も、「基礎年金部分」については国民年金(第一号被保険者)と同じような運用方法がとられているのですが、所謂「二階部分」。

【公的年金制度の体系表】
年金制度2

上図で「厚生年金」と書かれている部分に関しては、「厚生年金勘定」と「年金積立金」の二つの会計帳簿だけで運用されています。
前回の記事でお伝えした「国民年金(基礎年金部分)」のような「基礎年金勘定」なる部分は存在しません。

この部分に関して私が放置していた理由の一つとして、「厚生年金は給与天引きであり、納付率100%(企業による未納部分は政府が補てんする)である」という理由にありました。
ですから、政府もこの部分に関しては「破綻する」という想定がありませんでしたので、私もあまり深くは考えてきませんでした。

【本日のテーマ】
ですが、やはりこの「厚生年金部分」に関しても検証は行っておくべきだと思います。
検証方法を考えたのですが、やはり一番フェアな検証方法は、最新の26年度単年度だけでなく、過去の収支状況まで遡って「安全である理由」を追求することが一番の検証方法ではないか、と考えました。

そこで、今回の記事では、現在厚労省のホームページで確認できる最も古いデータ(平成8年度:1995年)まで遡って、その収支状況を検証してみます。

情報的には厚生年金だけでなく、国民年金についても同様の調査を行います。

国民年金収支の推移

こちらが、平成8年(1995年)~平成26年(2014年)までの国民年金の収支状況の推移です。

【国民年金収支の推移】
国民年金収支
(それなりに労力はかかっているので、もしどこかで二次利用されるときは、必ず私のブログの、この記事へのURLを掲載してください)
ちなみに数字の単位は『億円』です。
グラフの青い部分が「国民年金保険料」。つまり国民年金加入者(第一号被保険者)が納めている保険料、黄色い部分は「国庫負担分」。2008年度までは1/3、それ以降は1/2の負担割合となっています。
両方合わせて国民年金の「支出」。

一方、棒グラフ左側の赤い部分が国民年金の「給付費」。つまり、受給世代が受け取る年金ということになります。

作成しながら感じたのは

・・・
・・・
・・・

昔は赤字だったんだなってことです。

それと、一番びっくりしたのは、毎年国民年金の給付費が減少し続けている、ということ。
2004年までは国庫負担分がなければ完全に国民年金は赤字ですね。

第112回の記事で私、2004年に制度改正が行われたのは「政府の妄想」が原因じゃないかと記しましたが・・・・・・・・・撤回します。

この時の状況が原因だったわけで、国庫負担分が1/2に引き上げられたのは2008年で、この時も保険料と給付費の黒字額は微々たるものですから、まあ・・・負担率を引き上げたことも理解できないことは、ありませんね。

ただ、じゃあなんで毎年給付費が減っているのか、というと・・・

【年金支給開始年齢の引き上げ】
年金支給開始年齢の引き上げ

原因はおそらくこちらではないかと思われます。
給付開始年齢が年々段階的に変更されているので、これが支給額が年々減少している理由だと考えられます。

ということは、平成42年までこの傾向は変わらないということ。
第111回の記事で私が「年金問題のピーク」だと示したのは2044年(平成56年)でしたが、この給付開始年齢引き上げ問題を加味すると、このタイミングでの国民年金給付費の安全性はより保障されることになりますね。

厚生年金収支の推移

さて。こちらが今回の記事の本丸です。

【厚生年金収支の推移】
厚生年金収支

こちらのグラフも、色は違いますが、見方は国民年金と一緒です。単位も『億円』。

さて・・・。ふ~む・・・。
こちらも意外と危険な状況が続いていたことが分かりますね。

1995年以降、徐々に給付費が上昇し、2002年以降、2011年まで「国庫負担分」がなければ完全に赤字・・・という状況が続いています。
ただ、これに関してはもう一つ異なった見方がございまして・・・

厚生就労比較

それがこちらです。
「厚生年金」とは、「就労状況にある人」が加入している年金制度ですから、「就労者数」が減少すれば当然保険料は減りますし、増えれば増加します。

これを示したのがこちらのグラフなんですが・・・ちょっとわかりにくいですね。
そこで、年金の制度改正が行われた2004年後と、それ以前でグラフを分けてみます。

【厚生年金収支の推移~2003年度】
厚生就労比較~2003
2000年度と2002年度が少し異なりますが、就労者数の推移と厚生年金の保険料がほぼリンクしていることが分かると思います。

【厚生年金収支の推移2004年度~】
厚生就労比較2004~
ところが、こちらになると少し様子が変わってきます。
リーマンショックの影響を受けた2008年~2009年にかけてこそ保険料は減少していますが、それ以外は全て上昇していることが分かります。
特に2010年度~2012年度にかけての3年間は、就労者数が減少し続けているにも関わらず保険料は上昇し続けています。

理由として考えられるのは、第112回の記事でお示しした「保険料水準固定方式」。

つまり、2017年度まで継続して保険料率が上昇し続ける、というルールのことです。
このことで、何が一番変わっているかというと、就労者数が過去最も少なかった2012年度と、このグラフ上、最も就労者数の多かった1997年度を比較した時、2012年度のほうが就労者数が少ないにも関わらず、2012度の方が1997年度より、保険料収入が約3兆円近くも多い、ということ。

これに加えて、基礎年金部分の国庫負担割合も1997年度は1/3、2012年度は1/2だということです。
このことを考えても、現行の年金制度がいかに破綻しにくい状況にあるのか、ということがよくわかります。

ただ・・・・

・・・
・・・
・・・

第112回の記事で私が2004年度の政府の制度改正を「妄想に基づいた改正だ」といったことは・・・改めて撤回します。

実によく考えられた制度改正だったと思います。











ですが、やっぱり国庫負担割合は、本当に増やす必要があったのでしょうか?
ここだけは、やっぱり疑問です。

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