第110回 価値観の受け入れ方~「講師」という立場を通じて感じた意思疎通の難しさ~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

ランキングサイト

この記事のカテゴリー >>雑記


<前回の記事 第109回 イギリスEU離脱ショックを問う~日本国経済への影響を考える~

先日、とある依頼を受けて、私の勉強会を担当させていただく機会がありました。

このブログそのものはあくまでも「趣味」で記しているものなのですが、とはいえ、ある程度の使命感を持って、ブログ読者が「情報」の正しい受け止め方を身に着けていただく事を目的としています。

突如、ある勉強会の講師がいない(もしくは急遽キャンセルになった?)とのことで、私の下に勉強会の講師依頼が届きました。
私は別に本業を持っているので、ある程度時間があれば本業に関連した内容で、別に講師を立てて受けるべきところだったのですが、今回は依頼があったのが水曜日。勉強会の開催日が土曜日と、かなり期日が差し迫っていたこともあり、とても本業の内容で受け入れる時間がなかったため、急きょ私が記すこのブログ、「真実を問う」の記事から抜粋して講師を引き受けることにしました。

改めて、このブログの目的は、

「ブログ読者が今までの常識とは異なる事実と向き合い、ブログ読者の価値観のフィルターを外すこと」

にあります。価値観のフィルターを外した上で、一旦自分自身の価値観を「無」の状態に戻すことで、改めて受け入れることが可能になる情報はたくさんあるのです。

そこで、今回の勉強会では、コンセプトとして「価値観のフィルターを外す」ことに重きを置いて講話内容を組み立てました。
あまり難しすぎず、それでも少し専門性のある内容で、多くの人の「思い込み」と現実とのギャップが大きい内容として私が選んだのは「年金問題」です。

第32回 公的年金制度の仕組み
↑こちらの記事ですね。

この記事に基づく私の理論はほぼ完成されたもので、私の中でも揺るぎのない自信のある一つの分野でもあります。
簡単に言えば「日本の年金が破綻する可能性は極めて低い」ことを前提として年金問題を考えることが大切ですよと、そのような内容になっています。

今回の勉強会で使ったパワーポイント資料から、一ページだけ抜粋して少しお示ししてみます。

【国民年金も厚生年金も実は大幅な黒字です】
国民年金も厚生年金も、実は大幅な黒字です。

等式としては、

【平成26年度の「年金保険料」-「年金給付費」=平成26年度の黒字額】

となっています。
世間一般では「破綻寸前である」と思われている年金が、実は大幅な黒字だという事実。
この事実をもって「価値観のフィルター」を外していただこうということが今回の勉強会の最大の目的でした。
(破綻しない理由は第32回の記事を改めてご覧ください)

【本日のテーマ】
結果的に、私の狙った目的地点にはきれいにフィールディングしなかった、というのが今回の勉強会の結果でした。
想定していなかった答えが返ってきた場合の対応をもっと勉強しなければならないな・・・と考えさせられました。

20名弱ほどいた人たちの中で、そのほぼ全員には私がお話させていただいた内容を受け入れていただく事ができたのですが、一部の方から反論をいただきましたので、備忘録的な意味も含めて本日の記事にしたいと思います。

勉強会で受けた反論について

反論された内容は、

「年金が破綻しないからと言って、じゃあ年金生活者の生活は楽になるのか? その根拠を示してほしい」

とか

「官僚が作ったシステムで、官僚の言っている内容を代弁しているだけではないか」

とか

「周りの年金生活者は年金支給金額が下がっているといっている。なぜそんなことになるのか」

とか・・・

そもそも私が何をお伝えしたかったのか・・・ということがまったく伝わっていなかったことがとても残念でした。

ただ、もう一人反論された方の主張として、「今は大丈夫かもしれないが、将来にわたって安全であるとは言えない」という反論がありました。

勿論、これにもきちんと「そうではない理由」があるのですが、もちろんそれ用のデータは用意していませんから、口頭でしか説明することはできませんでした。これもまた残念なところだったので、今回の記事としては、ここを補完する形で記事を作成したいと思います。

「出生率」が低下すると本当に問題なのか?

実は、これに近い内容を過去に記事にしたことがあります。
第30回 『消費増税』と『高齢化社会』

この時利用したグラフがこちらのグラフ。

【出生者数推移(~2013年)】
出生者数推移(~2013)

同じ内容ですが、更新された最新版のグラフに差し替えています。

下降して2か所、赤丸で囲っています。「第一次ベビーブーム(団塊の世代)」と「第二次ベビーブーム(団塊ジュニア)」の世代です。
第一次ベビーブームのピーク時の出生者数が269万人で、最新の2013年の出生者数が103万人と比較すると約2.7倍出生者数となっています。

今回の記事の前提条件として理解していただきたいのは、「現時点で、年金運用は大幅な黒字である」ということ。
そして、「毎年『年金積立金』に余剰分が積み立てられている」ということです。

そしてその積立金の総額が

・基礎年金勘定 3兆1,892 億円(7138.2億円増)
・国民年金勘定 7兆1,964 億円(890.36億円増)
・厚生年金勘定 104 兆9,500 億円(1兆7636.94億円増)

という金額にそれぞれ上りますよ、ということです。
またさらに、26年度の黒字額が13兆6000億円ですから、各会計帳簿を行き来する中で、表に出ない金額が10兆円以上別途存在することになります。
この前提の上で、考えてみます。

第二次世界大戦以前の出生者数の推移

【1872(明治5)年~2014(平成26)年までの出生者数の推移】
出生者数推移(戦前データを含む)
こちらはあまり見ない資料かもしれませんね。
第二次世界大戦以前、明治5年からの出生者数の推移を示したものです。

年次統計様サイトのデータをもとにグラフ化し、少し加工したものです。
データは厚労省人口動態調査等のデータから作成されています。

左側の赤いラインは、本年(2016年)に100歳となる人たちの生まれ年です。
中央部の二本の赤いラインは「団塊の世代」の始まりと終わりです。

見ていただくとわかると思うのですが、団塊の世代の3年間の出生者数は、他のどの年代に比べてもとびぬけて多いことが分かります。

また、団塊の世代3年間を過ぎると、出生者数が急激に減少していることもわかると思います。
団塊の世代依然と以後で比較すると、団塊の世代までは一定のペースで出生者が増加していますが、3年を過ぎると、それまでの増加率を上回る下落率で出生者数が減少しています。
つまり、団塊3世代が年金の受給年齢に到達すると、それ以降は必要とされる給付費の額は年々減少していくことになります。

この点はご理解いただけるでしょうか。

現在の年金受給者の生存状況

とはいえ、この様に考える人もいるかもしれません。「確かに受給者の数は減るかもしれない。けれども、同時に年金を負担する現役世代の数も減っていくではないか」と。私が実際に先ほどの「出生者数」をベースに、反論された方に将来の年金の受給状況を説明した時も、そのような指摘を受けました。

そこで見ていただきたいのは、こちらのグラフです。

【2016年度国民の出生年ごとの生存状況】
生存状況


グラフは先ほどと同じ資料にはなりますが、始まりを今年100歳になる世代、1916年生まれの方で固定し、またさらに、「生命表上の特定年齢まで生存する者の割合の年次推移」という資料を使って、2014年時点で、各年代ごとの「生存状況」をグラフに掲載してみました。

【生命表上の特定年齢まで生存する者の割合の年次推移】
生命表上の特定年齢まで生存する者の割合の年次推移
こちらのグラフになります。厚生労働省のホームページに掲載されています。
男女別のデータしかありませんでしたので、値は男性の値と女性の値の平均値をとっています。

グラフは、平成26年(2014年)の時点で、〇歳の人が、何%生存しているのかということを示したグラフです。
変化が急激にならないようにブロックごとに変化率を各年均等にしています。

グラフにある黄色いラインは、左側が「65歳」。右側が「20歳」です。黄色いラインで挟まれた世代が「現役世代」。つまり年金を納めなければならない世代。
ラインより左側が「受給世代」。つまり、現在需給がスタートしている世代、ということになります。

見ていただくとわかると思うのですが、「団塊の世代」はもうすでに需給がスタートしています。
では、更に20年後、「生存状況」が26年度と変化していないと考えた場合、このグラフはどのように変化しているでしょうか。

【現在の生存状況】
生存状況

【20年後の生存状況】
20年後の生存状況

更に5年進めてみます。20歳~25歳の年代が空欄になってしまいますので、この年代は2014年生まれの世代と同じ出生者数である、と仮定します。

【25年後の生存状況】
25年後の生存状況

いかがでしょう。現役世代の「負担割合」は、それほど大きくなっているように感じるでしょうか。

ちなみに、「受給世代」の人数を「現役世代」の人数で割ってみますと、現在の「負担割合」は57.2%、20年後の負担割合は58.3%と、20年後でもほぼ横ばいです。
ただ、25年後で考えますと、所謂「団塊ジュニア」が受給世代となりますので、割合が増えて63%、更にその5年後は67%ととなります。

この数字は2015年以降の出生者数が増えないと仮定した場合の数字ですし、10年後には減少に転じます。
年金制度としては、今から25年後~35年後までの間をどう持たせるのか、ということが今後の課題となるようです。

後段冒頭でも述べたように、年金制度は現在大幅な黒字が出ていますし、積立金には26年度末実績でGPIFによる積立金の運用実績まで合わせて145兆円の資産が蓄積されています。ちなみにこの数字には「基礎年金勘定」の積立金の金額は含まれていません。

このような状況の中で、「今は大丈夫かもしれないけど、将来にわたって大丈夫とは言えない」という理屈が通るでしょうか。
繰り返し述べますが、現在年金は黒字で運用されており、20年後まで現役世代の負担割合は変化しません。

25年後、「団塊ジュニア」が年金受給世代となる時になって初めて負担割合が増加することになります。
しかもその影響は5年間。その後は横ばいに転じ、さらに5年後には減少に転じます。

勿論、「今後さらに少子化が進むかもしれない」とか、「今後同じルールで運用されるとは限らない」と言われてしまうと、私には反論する方法はありませんが、しかしそれは本筋とは全く外れた理屈だと思います。

私が「年金は破綻しない」という理論を完璧な形で導き出すのには、数年間継続して調べた結果かかっていますし、はっきりって私自身にとっては非常に貴重な情報なのです。

今回の勉強会は、そもそも皆さんからそんな「フィルター」を外していただく事がそもそもの目的でした。
ですが、自分が本来持ち合わせていた価値観が崩されたからと言って、私が説明した内容とは全く関係のない、「傍論」で反論してくるのは本当にいかがなものかと思います。

私に与えられた時間は30分間でしたし、その間でみなさんにわかりやすく説明させていただけたと自負しております。
もし「将来にわたってどうだ」とか、「受給世代が受け取れる年金の金額が減っている(実際には減っていません)」とか、そういったもろもろの主張をなされる方にはその方用の資料作成する必要がありますが、とても30分の間で説明できるようなものではないということは、本日のデータを見ていただいてもわかると思います。

まして、「官僚が作成した云々」などという主張は論外だと思います。

今回は目的や趣旨が「年金の解説」を主眼としたものではありませんでしたから、わかりやすく、理解しやすい情報だけを説明させていただきました。

ですが、たったそれだけの説明でも、今回の勉強会に来ていただいていたみなさんのすべての方の価値観が逆転したと思います。なんだか、今回は本当に国会で「否定するためだけの議論」に晒される与党国会議員の方々の気持ちがわかったような気がしました。

まあ、次回同じようなケースに出会うことがあれば、その時はせめて冷静なままでいられるよう、心掛けたいと思います。


このシリーズの過去の記事
>>
このシリーズの新しい記事
>> 第75回 おかえり!プテラレンジャー にほんブログ村 政治ブログへ にほんブログ村 経済ブログへ

このシリーズの一覧をご覧になりたい方は>>雑記 よりご確認ください


このエントリーにお寄せ頂いたコメント

URL:
コメント:
 

スポンサードリンク

Copyright © 真実を問う!データから見る日本 All Rights Reserved.
ほったらかしでも稼げるFC2ブログテンプレート [PR]