第100回 財務省の陰謀?~「消費税収」見込み額の不一致~など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

ランキングサイト

この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


<前回の記事 第99回 どうしても安倍首相にお伺いしたい事。

今回はこのようなセンセーショナルなタイトル記事を掲載してみます。
内容は、前回記事でお伝えした通り、「『増税を実施するより、増税を延期する方が、消費の面から考えても、財政の面から考えてもメリットがある』理由」についての記事になります。

私の「消費税」に関する考え方については、過去の記事で何度も繰り返し述べていますので、今回の記事で深く言及することはしないようにします。
ただ、私自身がずっと消費増税については容認してきており、今回の消費増税延期については、『増税を行わずとも、8%の税率で10%時に期待されている税収が確保できる見通しが立った』ことを理由として、肯定しています。この点だけ最初に言及しておきます。
(※この予測に関しては、既に2015年度の消費税収が確定しており、誤りであったことを第114回の記事にてご説明しています。ですので、再度検証の必要性が発生しています)

しかし、です。私はずっと疑問に感じながらもこのブログでは記事にしなかった内容が一つあります。
過去の記事で、一度だけ言及しているのがこちらの記事。

第70回 平成28年度予算成立~子育て支援事業について~
この記事でお示しした↓こちらの資料に対する疑問です。

消費税予算表
消費税財源グラフ
資料はこちら↓からの引用です。
平成28年度予算案における 子ども・子育て支援新制度の状況について

どこが疑問なのか。
記事中で、私はこんな風に記しています。

こちらは、今年度。平成28年度に見込まれる消費税収のうち、消費増税に伴う増収分。8.2兆円となっていますね。
13年度が10.8兆円でしたから、19兆円は見込んでいる、ということでしょうか。

こちらは、私が第65回の記事で「政府が想定している」とした金額を3兆円ほど上回っていますね。

表は、内閣府が公表している平成28年度予算案における 子ども・子育て支援新制度の状況についてというPDF資料から拝借しました。

ちなみに、10%まで増税されたケースも想定されています。
<画像>
14兆円ですか・・・。私が試算している28年度消費税収総額を3兆円ほど上回っていますね。ここはまあ、今年度の消費税収が最終的にいくらになるのか、それ次第ですね。

資料に書かれているに書かれている「28年度消費税増収分」とは、当然増税する前と比較しての税収です。
その「税収増額」が「8.2兆円」だと記されていますので、この時点で政府は28年度の税収が、増税前の金額と比較して「8.2兆円」増えると試算しているわけです。

この金額に対する私のコメントが

「13年度が10.8兆円でしたから、19兆円は見込んでいる、ということでしょうか。
こちらは、私が第65回の記事で「政府が想定している」とした金額を3兆円ほど上回っていますね。」


というコメントに相当します。ちなみに私は、第65回の記事で、「政府が想定している」消費税収について、以下のように記しています。

「政府が消費税収1%あたりに期待している税収は2兆円ですので、本来消費税率8%に期待される税収は16兆円」

と。もちろんこの計算も実は正確ではなく、記事中で訂正しているとおり、第90回の記事でご紹介した計算方法に基づけば、政府が消費税収1%辺りに期待している税収は10兆円÷4で2.5兆円。消費税率8%時の国庫納付分が6.3%になりますから、政府が税率8%に期待している税収は2.5兆×6.3で15.75兆円というのが正確な数字です。

私が予測していた数字の是非はとりあえず一旦思考のフレームの中からは外し、後段ではゼロベースで政府が試算している28年度消費税増収分の内訳、「8.2兆円」について考察したいと思います。

「消費税収」見込み額の不一致

「ゼロベースで」ということですので、一旦すべての考え方は枠の外において、

「日本国政府は、平成28年度(2016年度)の消費税収が、増税前と比較して8.2兆円になると考えている」

という情報のみを考え方の土俵に上げてみましょう。
この文章の中で不足している情報は2つ。「増税前の税収」を政府はいくらであると考えており、増税後、一体いくらになると考えているのか。一番肝心なこの2つの情報が欠落しているのです。

欠落したまま、唯一増税後、増えると考えられる税収のみを掲載し、その数字の内訳のみを記している。
これが先ほどの資料の「正体」です。

では、政府は「2016年度の消費税収」は全体で一体いくらになる、と試算しているのでしょう。

2016年度歳入

こちらは2016年度、日本国政府「歳入(予算ベース)」の内訳です。
勿論財務省のホームページより拝借いたしました。

このグラフを見ますと、政府は「消費税収」を見込みとして、17兆1850億円になる、と試算していることが分かります。
つまり、日本国政府は2016年度(平成28年度)の消費税収は17兆1850億円であり、この税収は、増税前と比較して8.2兆円増加した結果である、と考えていると、理屈としてはそうなりますね。

政府の試算している消費税収を、概算で17.2兆円であると考えると、政府が考える「増税前の消費税収」とは

17.2兆円-8.2兆円=9兆円

だと考えていることになります。おかしいですね。
一般会計税収-0

こちらのグラフを見ますと、過去の消費税収の推移を見ることができます。もちろん財務省HPより拝借しました。
消費税が5%に引き上げられて以降、税収が9兆円であったことなどありません。
最低でも増税直後の9.3兆円、2002年にも9.5兆円という税収を示してはいますが、「9兆円」などという税収を記録したことはありません。

そして、第90回の記事でご紹介した計算方法で試算しなおすと、仮に政府が想定する「消費増税前」の消費税収が9兆円だとすれば、8%に増税した後の消費税収は

9兆÷4×6.3=14.175兆円

ということになります。概算で14.2兆円だと考えると、増税後に増える税収は

14.2兆-9兆=5.2兆円しか増えないことになります。

一方で、もし政府が想定している「増税前の消費税収」が増税する直前の10.8兆円であったと考えるとすると、8%増税後の消費税収は

10.8兆÷4×6.3=17.1兆円。
更にこの金額から10.8兆円をマイナスした6.3兆円

これが正確な「消費増税後の消費税増収分」です。政府が一般会計歳入に掲載している消費税収ともほぼ一致するでしょう?

つまり、増税によって増える税収とは、6.3兆円。もし、税収増分を社会保障政策として充てるのであれば、この金額で予算組を行うのが筋なのではないでしょうか。

ちなみに、2015年度の消費税収は現時点までで18.85兆円には最低でも到達すると考えられます。
4月末時点での2014年度の税収を同じ4月末時点で2.85兆円上回っており、仮に残された5月分の税収の成長率が0%であったとしても、この2.85兆円分は前年度のトータルの税収に上乗せされることがその理由です。

この、18.85兆円から8.2兆円をマイナスしますと、10.65兆円。増税前、2013年度の税収とほぼ同額になります。
では、2015年度の消費税率が、仮に5%であったと考えると、その消費税収はいったいくらいになるでしょう。

計算式は
18.85兆÷6.3×4=11.97兆円。
もし15年度と同額の税収になるのならば、消費増税前の消費税収が、約12兆円なければならないことになるということです。

それだけではありません。もう一度こちらのグラフを見てみます。

消費税財源グラフ

右側のグラフは、満期、つまり10%増税時の消費税収増額分を想定した数字です。
この数字が14兆円となっていますね?

もし仮に、政府の想定する「増税前の消費税収」が13年度のものを指すのならば、その金額は10.8兆円ですから、10%増税後の消費税収は24.8兆円あることになります。
もし仮に、13年度の税収が、12.4兆円あったのならばその額を達成することはできるでしょう。

ですがもし、本当に政府が想定している「増税前の税収」が13年度のものを想定しているのならば、8%時の消費税収は17.01兆円で、「6.2兆円の税収増」を前提として予算組みするべきですし、10%時の消費税収は21.6兆円なので、「10.26兆円の税収増」を前提として予算組みを行うべきです。

財務省の陰謀?

お気づきでしょうか。財務省のこの試算は全て、「アベノミクスによって経済が成長する」ことを前提とした予算組みなのです。
実際に2015年度の税収はすでにこの財務省試算を達成しそうな雰囲気ですしね。

ですが、本来「消費税」が「社会保障」の財源としてふさわしいと考えられている理由は、「景気の良し悪しにかかわらず、安定した税収が期待されること」にあったはずです。
にもかかわらず、「経済が成長することを前提とした」予算組みを行うことは、果たしてどうなのでしょう?

さて。私が今回のタイトルを「財務省の陰謀」とした理由。
冒頭にも記した通り、私はそもそも消費増税は必要だと考えているタイプの人間です。
ですが、消費増税に頼らずとも本来の目的が達成できるのなら、それに越したことはない、と考えています。

そのバロメーターとなるのが社会保障制度を維持させるために必要な資金と、その財源として充てられる「消費税収」にあります。
第34回の記事でもご紹介した通り、元々この「消費増税」とは、福田内閣において開催された「社会保障国民会議」が発端となってくみ上げられた考え方です。

この時の消費税収は10.3兆円であり、この時に想定されていた10%増税時の消費税収は20兆円でした。
この段階で、2023年に、その時と比較して15兆円分財源が不足する、と試算されていました。

会議が行われたのが2007年~2008年にかけてのことで、この時を境に、毎年1兆円ずつ累積で財源が不足する、という資産です。ですので、仮に10%に増税したとしても、あと2%分ほど財源が不足する、という試算が行われていたわけです。

この15兆円という財源が、消費税収によって補てんできるのかどうか、というのが一つの「バロメーター」です。
ですが、既に8%の段階で9兆円近く税収が増えることはほぼ確定しています。
増税前と比較して、約2兆円分「経済成長」によって税収が増えていますから、社会保障国民会議が開催された時点での「10%増税時に想定していた税収」はほぼ達成したといっても過言ではありません。

(※この予測に関しては、既に2015年度の消費税収が確定しており、誤りであったことを第114回の記事にてご説明しています。ですので、再度検証の必要性が発生しています)

では、残り5兆円の税収をどこで確保するのか。これがまあ、「財務省視点」に立てばネックになっているのかもしれません。

トータルで25兆円の税収が必要となるのですが、今回ご紹介した資料の見方として、二通り見方ができるのではないかと思います。
もし仮に財務省が言っているとおり、10%時の税収が本当に、いつの値と比較するのかはわかりませんが、「14兆円増える」のであれば、既に不足する5兆円の財源が確保できていることになります。
アベノミクスによる成長を見込んだ数字を公的に示すことで、ひょっとすると「25兆円分の財産を増税ですべて確保することができた」というPRをしたいのかもしれません。

この場合、つまり、「辻褄合わせ」をするためのフレームだということになります。
ですが、私はもう一つの「理由」がその確率としては大きいのではないかと考えています。

繰り返しになりますが、今回達成すると考えられる19兆円という税収は、明らかにアベノミクスによる「経済成長」によって達成したものです。いつと比較するのかにもよりますが、増税によって達成した消費税収は16.6兆円から良くて17.1兆円まで。これを上回る税収は「経済成長」によって増えた税収です。

ですが、政府が試算している「消費税収増収分」の項目に「8.2兆円」と記されていると、たとえ19兆円の税収を達成していたとしても、それが特別なことではなく、「当たり前のこと」であるかのようにしてとらえられてしまいます。

更に、10%時の税収増分として「14兆円」と掲載されていると、たとえ19兆円を達成しても、「あと5兆円ほど足りませんね」ということになります。やっぱり10%に増税する必要がありますよね、となるわけです。

ですが、ここに、例えば8%の段階で「税収増分」として「6.2兆円」、10%時の税収増分として「10.3兆円」と掲載されていたらどうでしょう。
19兆円という税収を達成した時、「ひょっとしてこのまま10%に増税しなくても、10.3兆円の税収増が達成できるんじゃないか・・・」という形になりません?

私、このフレームは、財務省が国民や国会議員の皆さんに対して、「10%増税をしなければまずい」という印象付けを行うための策略だったんじゃないかと思うんです。このことを、あえて「財務省の陰謀」と表現させていただきました。

飽くまで、私の推測にすぎませんが、どうしても矛盾している・・・と感じざるを得ないデータです。

財務省としても、予算組みは結構大変なんだと思います。
何とか楽にさせてくれ・・・と必死になるのもわからないでもありません。
ですが、やっぱり情報は、国民が公平に判断できるよう、情報は偽りのない情報を、正確に発信していただきたいと思います。

このシリーズの過去の記事
>> 第101回 「リーマンショック級の危機」は本当に訪れないのか?~「外需依存度」から見る世界経済
このシリーズの新しい記事
>> 第99回 どうしても安倍首相にお伺いしたい事。 にほんブログ村 政治ブログへ にほんブログ村 経済ブログへ

このシリーズの一覧をご覧になりたい方は>>日本の税収の見方 よりご確認ください


このエントリーにお寄せ頂いたコメント

URL:
コメント:
 

スポンサードリンク

Copyright © 真実を問う!データから見る日本 All Rights Reserved.
ほったらかしでも稼げるFC2ブログテンプレート [PR]