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この記事のカテゴリー >>加計学園問題


先日より問題となっております、中村時広(ときひろ)愛媛県知事が国会(参議院)の要請を受けて国会に提出した加計学園(岡山理科大学)獣医学部に関する、いわゆる「愛媛県新文書」について今回は検証したいと思っています。

私はそもそも松山市出身であり、今回の中村知事の暴走には、正直辟易しています。一体お前は何様のつもりだ、と。

まず整理しておきたいのは、「今治市」に設立された「岡山理科大学獣医学部」は、今治市が、昭和50年(1975年)より地域活性化のために計画してきた壮大なプロジェクトであり、いわゆる文部科学省と獣医学会の「権益」に長年阻まれて来たものを、安倍内閣においてようやく実現することができたものである、ということ。

当然愛媛県としても今治市と二人三脚で歩んできたものであり、本来であれば安倍内閣に感謝すべきところを、なんと中村知事はこれに泥を投げ返すような行動に出たわけです。


松山維新V.S.自民党松山支連

愛媛県以外にお住いの方には理解することが難しいかもしれませんが、愛媛県の地方議会の状況は、愛媛県であれば「愛媛維新V.S.自民党愛媛県連」、松山市であれば「松山維新V.S.自民党松山支蓮」という構図にあります。

愛媛維新のトップが中村知事、自民党愛媛県連のトップが塩崎恭久代議士という構図です。

今回、中村知事が突如として「首相案件文書」を出してきたのは4月10日のこと。この時の文書が以下の資料になります。

首相案件文書

そして、「首相案件」発言をしたとされる柳瀬元総理秘書官が参考人招致においてこれを否定し、愛媛県関係者と会談を持ったことを「記憶にない」と発言したことを受けて、知事は愛媛県の担当者が受け取ったとされる柳瀬氏の名刺を公開したわけです。


「首相案件文書」は結果的に松山市議会議員選挙対策

さて。松山にお住まいの方であればご存知かもしれませんが、「首相案件文書」が出てから「柳瀬元秘書官名刺公開」が行われるまでの間に、松山市では一つの大きなイベントがありました。

そう。「松山市議会議員選挙」です。

結果は以下の通り。

1位 松山維新現職 7490票
2位 松山維新現職 6094票
3位 立憲民主党新人 5857票
4位 松山維新新人 5165票
5位 公明現職 5067票
6位 自民現職 4883票(知事側)
7位 自民現職 4427票(支連側)

そのあと11位まで無所属が続き、12位に自民現職がようやく登場します。
ちなみに11位まで無所属、と記しましたが、松山維新の候補者は「松山維新」の名称では立候補しません。「無所属」として立候補します。

ですから、1位、2位、4位を「松山維新」と記しましたが、1位、2位は松山維新の重鎮で毎回ナンバーワン、ツーの座についている人であり、4位の新人も当選後知事側につくことがわかっていましたから、「松山維新」と記しましたが、8位~11位の中にも松山維新が混じっています。ですが、だれが維新なのかがわからない・・・というのが正直なところです。

11位は元自民で不祥事により自民を離脱した人物です。

元よりモリカケの絡みで自民陣営にとって苦戦となることは想定されていたのですが、中村知事の首相案件文書が自民党松山支連の面々にとってアゲインストな強風を吹かせたことだけは事実です。

ちなみに松山市には「立憲民主党」などという政党は前回まで存在しなかったのですが、今回新人として立候補した27歳の若者がなんと全体の第3位で当選するという信じれられない結果を生み出したことにも、知事の行動の影響があったのではないかと考えられます。

松山市の中にはあるんですよ。中村知事は、松山市議会議員選挙で松山維新(→選挙後、松山未来と改名しています)にとって、選挙を有利にするために意図的にあの資料を出してきたのではないか、っていう噂が。

このことを、全国の皆さんにはご理解しておいていただきたいと思います。


「愛媛県新文書」を時系列で整理してみます

前置きが長くなりました。私自身も選挙のお手伝いをしていましたし、なかなか今回の「愛媛県文書」を検証する時間が取れずにいたのですが、今回の記事において、改めて検証してみたいと思います。


・「愛媛県文書」が記しているのは、4月2日に関する記録のみである!

多少誤解を生みそうな表現ですが、これは事実です。

日にちがたくさん登場しますから、あたかも数週間~数か月のことを記録している文書であるように勘違いしている人も多いかもしれませんが、今回の文書は4月2日に愛媛県の職員が、加計学園の関係者や今治市職員と共に、「内閣府」及び「総理官邸」を訪問した際の記録です。

そして、この4月2日訪問時の情報を補強する形でその他の日程で行われた愛媛県の地元における面談や電話連絡等の記録が添えられています。


・愛媛県職員は4月2日に2か所訪問している

これはすでに記している内容にはなりますが、愛媛県職員は4月2日の1日で、「内閣府」及び「首相官邸」を訪問しています。

話題になっている柳瀬元総理秘書官とあったのは内閣府を訪問した後、首相官邸にて。

この時に会っているのは柳瀬元秘書官以外に、角田喜彦氏と青山豊久氏という2名の内閣参事と面会しています。角田氏は文部科学省、青山氏は農林水産省の担当であったようです。

一方で直前に訪問した内閣府では藤原豊内閣府地方創生推進室次長国家戦略特別区域等担当と面会しています。

愛媛県側の訪問者は、愛媛県から2名、愛媛県東京事務所から1名、今治市から2名、加計学園から4名、計9名訪問しています。

ただし、首相官邸に入ることができたのはこのメンバーから今治市の担当が1名、加計学園から2名外れて、合計で6名に絞られています。

この時の訪問者について、柳瀬氏は

柳瀬氏は、10日の答弁で当初、面会相手が10人近くいて、主に話したのはメインテーブルの吉川泰弘元東大教授(現・岡山理科大獣医学部長)や学園の事務局の職員らだった

と答えています。ですが、そもそも愛媛県側のメンバーが6名しか入室を許されなかったのは部屋の広さの関係だった、と記されていることから、柳瀬氏が話している内容は、4月2日の話ではなく、別の日の内容と勘違いしているのではないか・・・ということが推察されます。

で、実はこの時愛媛県側が柳瀬氏(及び藤原氏)と話した時の内容で、同じことを別の形式でまとめた資料が合計で3つほど存在します。

【復命書別紙より】※内容はいったん読み飛ばしてください。
《県 市と加計学園との事前打合せにおける事務局長の主な発言》

・柳瀬秘書官に対しては、内閣府藤原次長を紹介いただいたことに対してお礼を述べたい。

・先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったことに対し、理事長から柳瀬秘書官にちゃんと説明しておくように言われている。同秘書官からも、本日、その点を質問される可能性があり、県・今治市から、100%の回答にはなっていないが、ちゃんと昨年12月26日にペーパーにより文部科学省に直接説明している旨を回答してほしい。

《藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11:30》

・加計学園からは3月24日に1度話は聞いているとして、県・今治市から、獣医学部へ取り組む目的や姿勢、今治市が既に大学用地を準備していること、日本獣医師会や既存の獣医大学の反対がネックになっていることなどを説明。

・要請の内容は総理官邸から聞いており、県・市がこれまで構造改革特区申請をされ、実現に至っていないことも承知。

・政府としてきちんと対応していかなければならないと考えており、県・市・学園と国が知恵を出し合って進めていきたい。

・そのため、これまでの構造改革特区のように事務的に対応されて終わりということではなく、国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい。

・国家戦略特区は、地方自治体に限らず、事業者や個人からでも全国レベルの制度改革の提案を受け付けるが、制度改革の実現のためには地方自治体の強力なバックアップが必要。言い換えると、知事や市長など自治体にどれくらいの熱意があるかというところが重要になってくる。

・国家戦略特区は、自治体等から提案を受けて、国の判断により地域を指定するものであるが、風穴を開けた自治体(提案をした自治体)が有利。仮に国家戦略特区申請を行ってその指定を受けられない場合でも、出口は、構造改革特区の指定や別の規制緩和により、要望を実現可能。

・(現在26次特区申請を行っているところであり、その最終結果が公表されていないが、その点はどうなるのかとの質問に対して)最終結果の公表は保留している。

・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始。

・ついては、ポイントを絞ってインパクトのある形で、2、3枚程度の提案書案を作成いただき、早い段階で相談されたい。

・総理は第一次産業にも熱心であり、提案内容は、獣医大学だけでいくか、水産、養殖といった他産業などの関連分野も含めるかは、県・市の判断によるが、幅広い方が熱意を感じる。

・事前相談も対応する。むしろ熱心な自治体ほど持ってきているといった感じがある。

・獣医師会等とは真っ向勝負にならないよう、摩擦を少なくして、既存の獣医学部と異なる特徴、例えば、公衆衛生の観点や公務員獣医師や産業獣医師の養成などのカリキュラムの工夫や、養殖魚病対応、アジアの拠点・四国の拠点にする、鳥インフル対策、人獣共通感染症対策、地域の人材育成などに加え、ペット獣医師を増やさないような卒業生の進路の見通しなどもしっかり書きこんでほしい。

・かなりチャンスがあると思っていただいてよい。

・(本件は地方創生特区にならないのかとの質問に対して)地方創生特区は、現在3件指定しているが、地域に限定したものであり、その数をどんどん増やしていくものではないと考えている。本件は、四国という地域に限定したもので、地方創生になじむ面もあるものの、地方創生特区としては考えていない。

・獣医学部の設置について、愛媛県だけでなく、四国4県で応援している形がほしい。

(四国知事会では、四国に獣医学部が必要であるとして要望しているが、今治市に設置ということになると、他の3県も同意していないとの回答に対して)

四国他県の対応として、それは理解できるし、そこまでは、求めない。

・(新潟市の国家戦略特区の獣医学部の現状はどうかとの質問に対して)愛媛県・今治市としても気になることだと理解できるし、ここだけの話であるが、新潟市の国家戦略特区の獣医学部の現状は、当初よりもトーンが少し下がってきており、大学用地を用意している今治市と比べても、具体性に欠けていると感じている。

《柳瀬首相秘書官の主な発言(総理官邸)15:00》

・本日は、地方創生関連の一部改正法の議員説明が予定されており、多忙を極める内閣府藤原次長に面会できたのは良かった。

・本件は、首相案件となっており、何とか実現したいと考えているので、今回、内閣府にも話を聞きに行ってもらった。今後は、こういった非公式の場ではなく、藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。魅力的なものを持って行って相談してほしい。

・国家戦略特区でいくか、構造改革特区でいくかはテクニカルな問題であり、要望が実現するのであればどちらでもいいと思う。通しやすい方でいい。現在、国家戦略特区の方が政治的に勢いがある。地方創生特区がピッタリではあるが、そう数は増やせない。四国は国家戦略特区の指定がないという点もいい。香川が打診中だったと思うが、申請する意味はある。

・いずれにしても、自治体がやらされモードではなく、死ぬほど実現したいという意識を持つことが最低条件。

・県も市も首長がやる気になっているのかとの質問に対し〈積極的に取り組む姿勢であると回答〉

・四国に獣医大学がないのは有利。まずは企画書を提出いただきたい。その後に四国の獣医師会などの応援団、こういうものを作ってほしいという後押しをしてくれるところを味方に付けること。鳥インフル対策や水産物の輸出の関係で人がほしいとか、県だけでなく、四国全体の要望として出てくるのであればベスト。日本獣医師会が反対している中で、愛媛県獣医師会が賛成しているのは評価できる。

・四国全体の要望としてはどうかとの問いに対して〈四国各県も公衆衛生に携わる者、公務員獣医は不足しているという共通認識がある。四国知事会でも、「今治地域で」との文言はないが、要望として上げている旨回答〉。

・四国の獣医大学の空白地帯が解消されることは、鳥インフル対策や公衆衛生獣医師確保の視点から、農水省・厚労省も歓迎する方向。

・文科省についても、いい大学を作るのであれば反対しないはず。

・獣医師会には、直接対決を避けるよう、あまり心配しなくていいんですよといったような、既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなどを明らかにすること。自治体等が熱意を見せて仕方がないと思わせるようにするのがいい。

・要望が出てくれば、政府の中は、内閣府が説明していくことになる。藤原次長は、多少強引な所もあり、軋轢(あつれき)が生じている点もあるが、突破力はある。

・〈加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ〉今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよい。


【報告・伺より】
【報告・伺】
<獣医師養成系大学の設置に係る内閣府藤原次長・柳瀬首相秘書官との面談結果について>15年4月 地域政策課

1、4月2日(木)、県地域政策課長・今治市企画課長・加計学園事務局長らが藤原次長及び柳瀬秘書官らとそれぞれ面談した結果は次のとおり。

▽藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11・30

・要請の内容は首相官邸から聞いている。

・国家戦略特区は風穴を開けた自治体が有利。かなりチャンスがあると思っていただいてよい。

・新潟市の国家戦略特区の獣医学部の現状は具体性に欠けていると感じている。

▽柳瀬秘書官の主な発言(首相官邸)15・00

・本件は首相案件となっており、藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたい。

・学園から、首相と理事長が会食した際に、下村文科相が学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、(柳瀬氏に)意見を求めたところ、国家戦略特区の提案書と併せて取り組み状況を整理し、文科省に説明するのがよいとの助言があった。

2、県としては、併行して、学園が想定する事業費や地元自治体への支援要請額を見極めるとともに、今治新都市への中核施設整備の経緯も踏まえながら、経費負担のあり方について十分に検討したい。

<概要メモ 官邸 柳瀬秘書官>

獣医学部新設の話は総理案件になっている。(懸案として、安倍首相が文科省からの宿題を返せていないという話があり、そのことを心配されていたと聞いたが<加計学園>)その話は下村大臣のところにもっていったのか?


【内閣府藤原次長と柳瀬総理秘書官との面談についてより】
内閣府藤原次長と柳瀬総理秘書官との面談について

4月2日(木)の面談結果について下記のとおり概要メモを報告します。

【内閣府 藤原次長】
愛媛県と今治市からこれまでの取組を簡単に説明した後、今後の特区提案について下記のような話があった。

・構造改革特区として提出されているが、突破口を開くという意味では国家戦略特区で申請することも考えられる。

・今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うことになった。国家戦略特区では広く全国レベルの制度改革提案というものであり、一般的な話にはなるものの、やはり風穴をあけた自治体を特区として指定するというのは十分に考えられる。

・今後4月末から5月の連休明けには提案を募集するので、それにぜひ応募を。

・総理は一次産業にも熱心である。申請の軸として獣医学部のみならず水産、養殖といった他産業についても盛り込むことも考えられるが、そのあたりは自治体に任せる。

・事前相談も対応する。むしろ熱心な自治体ほどもってきているといった感じがある。言い換えると自治体にどれくらいの熱意があるか、というところが重要になってくる。

・公衆衛生の観点、公務員獣医の確保といったこれまでの獣医学部ではなかったようなものを提示することも重要である。加計学園の名前は公式なペーパーには出ていないそうだが、実際の事業者と具体的な話ができている、といった点でかなりプラスであると思う。

・申請するにあたっては、2、3枚の分量で具体的かつインパクトがあるものを。資料を作成されたら、早めに相談してもらいたい。

(現在26次特区申請を行っているところだが(今治市))
・特区申請を一体化するという理由から現在審議を止めているところ。

(新潟市から国家戦略特区で追加申請があったかと思うが(愛媛県))
・一時期は打診があったが、現在はそうでもない。具体性があるかどうかでいえば、今治市のほうが上だと思われる。

【官邸 柳瀬秘書官】
・獣医学部新設の話は総理案件になっている。なんとか実現を、と考えているので、今回内閣府にも話を聞きに行ってもらった。

・こういった非公開の場でなく、ちゃんとした公開でのヒアリングを行い、「民」の評価を得る必要がある。そのためには魅力的な提案であること(を)示す必要がある。

・獣医師会の反対がある、という点については、これから新設する獣医学部は既存の学部と競合しない分野であることを主張するほうが良い。進路が競合するのではないか、という心配を払しょくするものができれば。

・役所としても厚生省・農水省は獣医学部の空白地帯である四国に学部ができることは、鳥インフル対策等の観点からも望ましいと思っているはず。文科省もいい大学ができるのであれば反対はしないだろう。

・ただし、正面をきるのは得策ではない。こういう特徴があり、これまでとはこういった点を差別化している、という情報をクリアにする必要がある。

・まずは企画書を。その後に応援団、こういうものを地域は望んでいた、という後押しをしてくれるところを味方につけること。四国全体の要望として出すのであればベスト。

・特区担当(内閣府)は調整をするところである。官邸にも内閣参事官として農水省と文科省から出向している者がいるので必要に応じて相談してはどうか。構造改革特区でやるか国家戦略特区でやるかはテクニカルな問題である。

・公開ヒアリングの日程を決めること、そしていい中身をつくることがマスト。(さきほど内閣府で藤原次長とも話をしたが、まずは国策として国家戦略特区で申請する、という話がでた(愛媛県))

・国家戦略特区のほうが、政治的に勢いがある。地方創生特区はあまり数が増やせないということもある。四国はまだないから、香川が打診中だったと思うが、申請する意味はあるだろう。

・確認だが、愛媛県・今治市の両首長がやる気である、ということで間違いないか。
→間違いない。県からは重要要望として毎年提出させていただいているし、今治市は土地の準備まで行っている。

・四国全体の要望としてはどうか。
→四国各県も公衆衛生に携わる者、公務員獣医は不足しているという共通認識がある。四国知事会でも、今治地域で、との文言はないが、要望としてあげている。

・そのスタンスであれば獣医師会の反対は要件ではないように思うが。

(懸案として、安倍総理が文科省からの宿題を返せていないという話があり、そのことを心配されていたと聞いたが(加計学園))
・その話は下村大臣のところにもっていったのか?

(百点満点の答えがでているわけではないが、その点については県・市からも説明してもらいたい(加計学園))

(昨年12月に専門教育課にはご説明に伺っている。獣医師会について一度説明はしているものの、それから面会すらできないといった状況であり、こちらとしてもなんとかしたいと思っているところである。(愛媛県))

(中央(獣医師会)からの引き留めが強いが、「うちに作るなら」という話があるのも事実(加計学園))

・それならば企画書をつくって特区担当者に説明するがてら下村大臣の耳にも入るようにすればよい。文科省でいうと高等教育局の吉田局長にしかるべきときに提案を。

・文科省からの宿題(獣医師会の賛同を得ること)については個別に対応するのではなく、企画書として全体を見られる形でつくるべき。

・文科省の中では求めたものに対応していない、という認識があり、県や市が行っているという認識とにずれがあるように思う。(角田参事官)

・状況は常に本省にも説明している。企画書ができれば農水省にも説明を。(青山参事官)

(特区関連は直接藤原次長に行ったのでいいか)
・構わない。とにかくいいものを作ること。

この3つです。

3つの報告書から読み取れること

これらの文章から読み取れることとして、まず「国家戦略特区」という話は、4月2日の訪問時に初めて出てきているということです。

「復命書」の藤原次長に対する質問事項として、以下のような質問と回答が記されています。

(本件は地方創生特区にならないのかとの質問に対して)地方創生特区は、現在3件指定しているが、地域に限定したものであり、その数をどんどん増やしていくものではないと考えている。

本件は、四国という地域に限定したもので、地方創生になじむ面もあるものの、地方創生特区としては考えていない。

つまり、愛媛県・今治市側が訪問した目的は、国家戦略特区に申請することではなく、「地方創生特区」に申請すること。

【地方創生特区とは?】
自治体側から提案し、意欲ある市町村の取り組みを国が総合的に支援し、地域と一緒に事業を作り上げる制度

となっています。この制度を使うと、国から事業費の2/3の助成を受けることができるんですね。

ただし、年間で最大500万円、最長3年となっていますので、今回の今治市獣医学部の助成としては微々たるものかもしれません。

しかし、藤原次長からはこの事業が「地方創生特区としては考えていない」と否定されています。
その理由として、地方創生特区は本来地域に限定したものであって、その数をどんどん増やしていくようなものではないから。

そして、「四国という地域に限定して行うのであれば地方創生になじむ」ものの、「地方創生特区としては考えていない」と返されているのです。

そう。つまり、藤原次長はこの時今治市の獣医学部の新設を、四国だけにとどめるものではなく、他の地域にもどんどん増やしていくことを想定していたんですね。

そして、そのうえで

『そのため、これまでの構造改革特区のように事務的に対応されて終わりということではなく、国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい』

との提案を愛媛県・今治市は藤原次長より受けています。

さらに藤原次長は

『今年度から構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱うこととし、年2回の募集を予定しており、遅くとも5月の連休明けには1回目の募集を開始』

することを愛媛県・今治市に伝えています。つまり、これまでは構造改革特区と国家戦略特区は別々に取り扱っていたが、今年度からは双方を一体的に取り扱う、と言っているわけですね。

この後面会した柳瀬秘書官は、

『本日は、地方創生関連の一部改正法の議員説明が予定されており、多忙を極める内閣府藤原次長に面会できたのは良かった』

と伝えていることから、愛媛県・今治市が訪問したのは、藤原次長が構造改革特区と国家戦略特区を一体化するための法改正の議員説明が予定されている、その真っ只中であった、ということがわかります。


『首相案件』?

さて。ここで、柳瀬秘書官の発言として、この「首相案件」という言葉が2度登場します。

1回は復命書別紙にて。2回目は報告・伺にて。ところがこの言葉、もう一つの『内閣府藤原次長と柳瀬総理秘書官との面談について』という報告書では、以下のように表現が変わっています。

『獣医学部新設の話は総理案件になっている。なんとか実現を、と考えているので、今回内閣府にも話を聞きに行ってもらった』

と。そう。先ほどの2つの報告書では「首相案件」であった場所が、いつの間にか「総理案件」に置き換えられているんですね。

また、「総理案件」という表現については、『報告 伺』にもう1か所用語が登場します。

<概要メモ 官邸 柳瀬秘書官>

獣医学部新設の話は総理案件になっている。(懸案として、安倍首相が文科省からの宿題を返せていないという話があり、そのことを心配されていたと聞いたが<加計学園>)その話は下村大臣のところにもっていったのか?

この内容については、「復命書」にて以下の通り表現されています。

・〈加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について意見を求めたところ〉今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよい。

この記述を受けて、報道ではあたかも安倍さんと加計理事長との間で行われた会食に下村元文科大臣が同席していたかのようにして報道していましたが、よく読めばそうではないことがわかりますね。

安倍さんと加計理事長が会食をしたとき、安倍首相から加計理事長に、「そういえば加計さん、この間下村さんが『加計学園は課題への回答もなくけしからん』と怒っていたよ」という伝達があった、という話です。

ほんとマスコミの国語力を疑います。

また一方で、「復命書」には、柳瀬秘書官のところを訪問する前に加計学園と事前打ち合わせを行った内容として、

先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったことに対し、理事長から柳瀬秘書官にちゃんと説明しておくように言われている。

同秘書官からも、本日、その点を質問される可能性があり、県・今治市から、100%の回答にはなっていないが、ちゃんと昨年12月26日にペーパーにより文部科学省に直接説明している旨を回答してほしい。

この内容から、安倍さんと加計さんが会食を持ったのは、少なくとも県と今治市が昨年(2014年)12月26日にペーパーにて文部科学省に直接説明を行う以前の話であることがわかりますから、この会食が持たれたのはは完全に「構造改革特区」に係る時期の話であったことがわかります。

安倍首相は、少なくとも構造改革特区時代の話として、加計学園が今治市と組んで獣医学部新設申請を行っていた話は知っていたと言っているわけですから、ここには矛盾はありませんね。

先ほどの概要メモに話を戻しますが、

『獣医学部新設の話は総理案件になっている。(懸案として、安倍首相が文科省からの宿題を返せていないという話があり、そのことを心配されていたと聞いたが<加計学園>)その話は下村大臣のところにもっていったのか?』

という並びになっていますので、『獣医学部新設の話は総理案件になっている』ことと、『懸案として、安倍首相が文科省からの宿題を返せていないという話があり、そのことを心配されていた』という話が同じ文脈の中で語られているかのように勘違いされてしまいそうですが、そもそもこの2つの話題はそれぞれ別々の話題に関するメモ書きであることがわかります。

愛媛県側が当初示していた「首相案件」文書における「首相案件」という文言は、実は「総理案件」という言葉でっただろうということは、柳瀬氏の参考人質疑からも推測することができます。

では、この「総理案件」という言葉が、本当に安倍首相直々に加計学園を優遇していることを示しているのかどうかと申しますと、ここは推測することしかできません。

ですが、この時期がちょうど構造改革特区と国家戦略特区を一体的に取り扱う法改正が行われる時期であったことを考えると、柳瀬氏は例えば「首相肝いりの案件」などという趣旨で発言したのかもしれません。

もしくは「担当が内閣府になる」という趣旨の内容を「総理案件」と表現したのかもしれません。

全体的な流れからしますと、加計学園、もしくは愛媛県・今治市は、相談を先に首相官邸に行っていることは明らかかと思われます。そして、おそらく柳瀬さんは、4月2日に愛媛県・今治市と面談する前に、一度加計学園にあって話をしているのではないかと思われます。

ちょうどこの時期は新潟市が国家戦略特区として獣医学部設立を申請している時期でもあり、このタイミングで過去に名刺交換をしたことのある加計理事長が面会を申し込んできたので、「ぜひ一度話を聞いておきたい」と考え、首相官邸に招いたのではないでしょうか?

この時の人数が10名程度であり、この時に学部長である吉川教授も同席していたのではないかと思われます。

またさらに、この時に今回の案件が内閣府の管轄であることを理由に加計理事長に藤原氏を紹介し、加計理事長は3月24日に内閣府を訪問し、藤原氏と面会。事の経緯を相談し、意気投合。4月2日のアポ取りを行ったものと思われます。

この時の経緯については、今治市側からも一部資料が流出していますので、これも紹介しておきます。

今治市復命書
今治市復命書2
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
今治市復命書3
今治市復命書4
4枚目の資料に、「15:00から(黒塗り)4月1日に急遽決まったため」という記載が見られます。

他の資料で、これが「4月2日15時~16時半までの予定が急遽決まった」ことを示しているものであることが確認できています。

つまり、加計学園は藤原氏と面会した後、首相官邸とも必死に連絡を取り、柳瀬氏と会うことができないかどうかという打診をかけていたということ。柳瀬氏と連絡が取れ、訪問が決まったのが4月1日。

このことを加計学園は今治市に連絡したわけです。そこで、今治市は急遽予定を変更し、帰りの便を遅らせたわけです。

ちなみに同じ情報が愛媛県の資料では復命書にて、「15時~15時40分総理官邸」と記されていますので、実際にあって話すことができた時間は40分。(この資料は報告書ですから、実際に訪問した時間が記載されています)

また、愛媛県の資料では、「内閣府藤原次長と柳瀬総理秘書官との面談について」において、
特区担当(内閣府)は調整をするところである。官邸にも内閣参事官として農水省と文科省から出向している者がいるので必要に応じて相談してはどうか。構造改革特区でやるか国家戦略特区でやるかはテクニカルな問題である。

という記述があります。

ここで柳瀬氏より愛媛県・今治市が紹介されているのが途中でご紹介した角田喜彦氏と青山豊久氏という2名の内閣参事。

つまり、愛媛県職員が首相官邸にいた40分の間に、さらに文部科学省角田参事、農林水産省青山参事とも面会し、柳瀬氏よりの紹介を受けているということです。

朝日新聞の記事では、中村知事の発言として、
「職員はメインテーブルに座っていた。後ろじゃない」と説明。面会したのは加計学園の関係者、県職員、今治市職員の計6人で、全員がメインテーブルに座ったとし、「職員に聞いたところ、この日は吉川氏はいなかった」とも述べた。

 また、「県職員は子どもの使いじゃない」とし、職員が積極的に発言した、とも主張。

と記されています。ですが、このたった40分の間に、しかも柳瀬氏以外の人物を2名紹介されたほどの時間で柳瀬氏に与えられた印象は、果たしてどの程度のものだったのでしょう?

柳瀬氏が本当のことを言っているのかどうか、それは私にはわかりません。

ですが、たかがこの程度の面談で、中村知事が激高(したふりを)し、「愛媛県の信頼に関わる!」などと主張できるほど大それた面談であったとはとても思えません。

何よりこの面談が、「前日に急遽決まった面談」であることも忘れてはいけないと思います。


中村知事が、市議会議員選挙で自分たちの陣営の選挙結果を有利に運ぶため、つまりは「私利私欲のため」に公開した文書が、ここまで国政を混乱させる結果となっているわけです。

中村知事。相応の姿勢を見せるのがあなたの本来行うべきことだと思うのですが、あなたはどう感じるでしょうか。


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平成29年度1-3月期GDP第一速報が出ました。

・・・と申しますか、平成29年度第四四半期GDPが出た、ということは、即ち平成29年度の年度GDPが公表されたということなんですけどね。報道は以下のような内容で報道しています。

【日本経済新聞ニュースより】
1~3月実質GDP、年率0.6%減 9期ぶりマイナス  2018/5/16 8:50

 内閣府が16日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%減、年率換算では0.6%減だった。マイナスは9四半期ぶり。消費や設備投資、住宅投資が振るわず、内需が勢いを欠いた。輸出の伸びも鈍化した。

 QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比年率で0.1%減だった。生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.4%減、年率では1.5%減だった。名目は6四半期ぶりにマイナスになった。

 実質GDPの内訳は、内需が0.2%分の押し下げ効果、外需の寄与度は0.1%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.0%減と、2四半期ぶりにマイナスだった。生鮮野菜の高騰や実質賃金の伸び悩みが消費者心理を冷やした。

 輸出は0.6%増に鈍化した。自動車など欧州向けを中心に輸出が拡大した。半面、半導体関連の調整が響いた。輸入は0.3%増だった。

 設備投資は0.1%減と、6四半期ぶりにマイナスだった。生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ。住宅投資は2.1%減。貸家着工の落ち込みが響いた。公共投資は0.0%増。民間在庫の寄与度は0.1%のマイナスだった。

 総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.5%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.9%のプラスだった。

 同時に発表した2017年度のGDPは実質で前年比1.5%増、生活実感に近い名目で1.6%増だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

タイトルだけ示しますと、他社は以下通り。

 ・ GDP1-3月期年率-0.6%、内需頭打ちで2年ぶりに成長後戻り(Newsweekjapan)
 ・ 1-3月GDP年率0.6%減、9期ぶりマイナス成長-消費低迷(ブルームバーグ)
 ・ GDP1-3月期年率-0.6%、内需頭打ちで2年ぶりに成長後戻り(ロイター)
 ・ 1~3月期実質GDP、年率0・6%減 9四半期ぶりマイナス 消費低迷など響く(産経)
 ・ 実質GDP、年0.6%減-1~3月期=9期ぶりマイナス、景気足踏み鮮明(時事通信)
 ・ 実質GDP、前期比0.2%減 9四半期ぶりのマイナス(朝日)

というような内容になっており、どの記事も、「1-3月期の『実質GDP』が『年率(もしくは前期比)』でマイナス成長」ということをピックアップして記事にしています。

これは、内閣府からマスコミ向けに行われている公表資料がそうなっているから仕方がない、といえば仕方がないんですが、逆に言えば、どの報道局も内閣府が公表した資料を検証することすらせず、ただ言われたとおりに発表しているだけってこと。だったらそれって「マスコミ」である必要あるの?、というのが私の正直な感想です。


「GDP」の「実質」や「名目」の違いについては第218回の記事 でわかりやすくご説明させていただいておりますが、実質や名目を計算する際の公式となっている

「名目GDP=GDPデフレーター×実質GDP」

という公式の下となっているのは

「売上総額=(平均)単価×売上総数」

という公式です。「売上総額」の最大値を表しているのが「名目GDP」であるという考え方は難しくないと思いますが、「売上総数」に関しては、「リットル」や「グラム」、「個数」、「敷地面積」、「サービスの質」など、売上数量を計算する際の共通した単位がない為に、これを「円」であらわしたものが「売上総数」の最大値である「実質GDP」。

そして、「売り上げ単価」の最大値であるGDPデフレーターも本来であれば「円」であらわされるべきものですが、便宜上「%」に相当する数字が用いられています。

「名目GDP」そのものも「加重平均」という計算式を積み重ねることで人為的に算出された数字ですが、「実質GDP」はその名目GDPを、さらに人為的に計算された「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」に代表される物価指数で割って計算されたもの。

そしてマスコミが報道している「年率換算」とは、またさらに根拠の薄い計算式を用いて計算された「季節調整系列」の「前月比」をはじき出し、これを「同じ成長率が1年間続いたらどうなるのか」という、まったく計算する意味すらない「フィクション」の数字をはじき出したものです。(1年間同じ成長率が続くことなどまずありえません)

そんなでたらめの数字が「-0.6%」と計算され、「9期ぶりのマイナスを記録しましたよ」と危機感を煽っているのが今回のGDPの「第四四半期」に関連したほぼすべてのニュースです。

せっかく年間を通じた「GDP」が公表されたのに、なぜこの数字をメインタイトルとして記事にしないのでしょうか?
また、わざわざ「季節調整」などという全く意味のない計算など行わず、なぜ「前年の同じ季節」と比較したものを記事にしないのでしょうか?

私には全く理解できません。ということで、私の記事ではまず「前年の同時期」と比較した四半期別のデータを記事とし、そのあとで「2017年度GDP」について記事にしたいと思います。


2017年度GDP第四四半期第一次速報

【2017年度GDP第四四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 136.633 兆円(1.4%)

 民間最終消費支出 75.170 兆円(1.0%)
 家計最終消費支出 75.743 兆円(1.9%)
  除く持家の帰属家賃  61.573 兆円(1.1%)

 民間住宅 4.127 兆円(-4.1%)
 民間企業設備 24.842 兆円(3.1%)

実質GDP
全体  134.497 兆円(0.9%)

 民間最終消費支出  74.745 兆円(0.2%)
 家計最終消費支出  72.932 兆円(0.2%)
  除く持家の帰属家賃  59.537 兆円(-0.0%)

 民間住宅  3.826 兆円(-5.7%)
 民間企業設備 24.316 兆円(2.4%)

内閣府

いかがでしょうか?

これが、本当の「2017年度第四四半期(1-3月期)」のGDPです。

2017年度第四四半期のGDPは、物価変動の影響を除く実質で前年度比0.9%増。前年と比較していますから、年率換算など行う必要は全くありません。

ちなみに・・・ですが、2016年度第四四半期の実質GDP年率換算は2.6%となっています。何が言いたいのかといいますと、2016年第四四半期の年率換算は、「今後同じ経済成長が続けば1年後には実質GDPが0.9%上昇しますよ」という数字なのですが、実際には0.9%しか成長していません。

つまり昨年2016年度1-3月期に行われた「年率換算」は、まったくのでたらめであったということです。

「実質GDP成長率が予測より少なかった」と耳にしますと、まるで経済成長が予測を下回っているように聞こえてしまいますが、ここでマスコミが全く報じない「名目GDP年率換算」を見てみますと、2016年度1-3期の名目年率換算は「0.6%」となっています。

もし仮にこの年利換算通りの経済成長率となっていたとすれば、

名目年率換算(0.6)-実質年率換算(2.6%)=デフレーター年率換算(-2.0%)

となっていたことになりますので、実質GDPこそ成長したとしても、物価はなんと2%も下落していたことになるのです。これでは「デフレ」に舞い戻っていた計算になりますね?

ですが、実際の数字は

2017年度第四四半期名目GDP成長率(1.4%)- 実質GDP成長率(0.9%)=GDPデフレーター(0.5%)

これが実際の結果です。0.5%という物価上昇率に賛否の声はあると思いますが、私はこれで十分だと考えています。


ちなみに、この数字を私たちの生活に最も近い数字である「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」で見てみますと、以下のようになります。

2017年度第四四半期名目成長率(1.1%)- 実質成長率(-0.0%)=デフレーター成長率(1.1%)

となります。

実質の家計最終消費支出こそほぼ横ばいとなっていますが、名目、およびデフレーターは1.1%上昇しています。

この現象を分かりやすく表現するとすれば、

 『売上数量こそ横ばいだったが、単価が1.1%上昇し、結果的に売上高全体は1.1%上昇した』

という結果になっているのです。本当に報道機関が内閣府の公表した情報を理解しているのなら、このように表現すべきです。

また、さらに特徴的なのは、「企業設備投資」です。これが名目で前年度と比較して3.1%の増資。実質で2.4%の増資となっています。

この状況を、日経では以下のように報道しています。

設備投資は0.1%減と、6四半期ぶりにマイナスだった。生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ。

曲がりなりにも、「日本経済」新聞を自称している報道機関ですよ? なんで「前年度」ではなく「前期」と比較したがるくせに、その数字は「年率換算」を用いているんでしょう?

おかしくないですかね? 前年度と比較して名目で3.1%、実質で2.4%も「増資」がなされているのに、「生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ」って、どう考えても報道の在り方としておかしくないですかね、日経さん。


2017年度GDP第一次速報
【2017年度GDP第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 548.122 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出 303.945 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 295.753 兆円(1.1%)
  除く持家の帰属家賃  245.780 兆円(1.3%)

 民間住宅 17.271 兆円(1.5%)
 民間企業設備 86.820 兆円(3.8%)

実質GDP
全体  532.467 兆円(1.5%)

 民間最終消費支出  299.536 兆円(0.8%)
 家計最終消費支出  291.374 兆円(0.8%)
  除く持家の帰属家賃  238.002 兆円(0.7%)

 民間住宅  16.008 兆円(-0.3%)
 民間企業設備 85.092 兆円(3.0%)

本来であれば、この情報こそタイトルで掲載すべき情報です。

「年率換算」などせずとも、この情報が2017年度の経済状況を、少なくとも「年率換算」と比較すれば、下手な計算式が少ない分、より正確に算出されている経済状況を示した数字です。

唯一前年度割れしているのが「民間住宅」の「実質GDP」ですが、この状況をもし私が新聞で記事にするのであれば、以下のように掲載します。

2017年度GDP、1.6%増 6年連続のプラス

内閣府が16日発表した2017年度国内総生産(GDP)速報値は、日本国全体の経済状況を表す名目で前年度比1.6%増。物価変動を除いた実質でも1.4%のプラス成長だった。プラス成長は安倍内閣が12月に誕生した2012年度以来6年連続。

家計消費、特に私たちの生活の実感に最も近い消費状況を示す、「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」が1.3%のプラス成長。企業も含めた全体での消費支出は1.2%のプラス成長であった。

中でも特に成長が顕著であったのは企業による設備投資費で、名目で3.8%、物価変動の影響を除いた実質でも3.0%の増資が行われており、企業業績の堅調さがGDPの面からも明らかとなっている。

家計による住宅の着工件数を表す「民間住宅」が実質で前年度を下回ったが、名目は1.5%と前年度を大きく上回っており、民間住宅の着工件数こそ縮小したものの、住宅購入者一人ひとりが、住宅1件に行う支出がより大きくなっていることをうかがわせる結果となった

日経の記事は、「たぶん今年の3月には、昨年の3月と比較して0.6%くらい日本国全体の消費数量が落ちてるから、今年度の経済状況は悪くなってるんです」と言っているに等しい記事です。

少なくとも「日本経済新聞」を名乗るのであれば、前年度と比較して着工件数で3.0%、着工総額で3.8%前年度よりも増資されているにも関わらず、「設備投資は0.1%減と、6四半期ぶりにマイナスだった。生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ」などという飛んでも記事を書くのはやめていただきたいですね。



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<継承する記事>第401回 年金と消費者物価指数~マクロ経済スライドの終焉~

タイトルを見て意味が分からない・・・という方は多々いらっしゃるかもしれませんが、内容としては前回の記事 を引き継いでいます。

非常に簡単に「マクロ経済スライド」を改めて説明しますと、

 ・年金は物価上昇(下落)率に合わせて1年間の支給額が変動している。
 ・マクロ経済スライドとは、物価が上昇した場合の年金の変動率(上昇率)を抑制するための仕組みである。
 ・マクロ経済スライドにより、年金は1年間の物価が1%以上上昇しなければ増えない仕組みとなっている。

簡単に言うとこんな感じでしょうか。前回の記事でのマクロ経済スライドの説明がわかりにくい・・・とのご意見がございましたので、わかりにくくしている要素を取り除いてみました。

簡単にしすぎると、誤解を生みそうなので本当は嫌なんですが、マクロ経済スライドが導入されたことにより、事実上このような状況が生まれている、と思っていただければと思います。

そしてこのような切り取りの解説がさらに切り取られて、マスコミで情報がねつ造されていく・・・というのが残念ながら今の日本の社会システムとなっております。与党マスコミがわかりやすく説明しようとすると情報が切り取られ、詳しく説明すると「もっと簡単に説明しろ」と言われる状況が続いているのが今の政界です。

あと少しだけ詳しく知りたい方は 前回の記事 を、さらに詳しく知りたい方は185回の記事 をご覧ください。


マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーとは?

前回の記事 を解説するような形で記事を進めてみます。

といっても、この「キャリーオーバー」の考え方をご理解いただくのは難しいかもしれませんね。一応、厚労省が出している画像を使ってみます。

スライドキャリーオーバー

私、先ほどの説明では年金の支給額は「物価」に合わせて変動している、と説明しましたが、賃金によって変動する場合もあります。ここでは詳しくは説明しませんので、詳細は185回の記事 をご覧ください。

ここも誤解を受けそうなくらい簡単に説明します。

 ・年金の上昇率、もしくは下落率は「%」で表します。
 ・年金の上昇(下落)率は、小数点第一位以下は四捨五入されます。
 ・マクロ経済スライドという仕組みが導入されている現在、年金の上昇率は以下のような計算式であらわされます。

   物価(賃金)上昇率 - 0.9%=年金上昇率

 ・上記計算式の、「0.9%」という数字に「スライド調整率」という名前が与えられています。
 ・物価上昇率が0.9%を下回るときは、一律で年金支給額は前年度に対して「据え置き」となります。

【「未調整分」とは何か?】

 ・「未調整分」とは、物価上昇率が0.9%を下回るときに発生します。
 ・物価変動率が0.8%の場合、0.9% - 0.8%=0.1%←この0.1%が「未調整分」となります。
 ・物価変動率が0.7%であれば0.2%、0.6%であれば0.3%、0.5%であれば0.4%が未調整分となります。
 ・未調整分の最大値は0.9%で、それ以上増えることはありません。

【キャリーオーバーとは何か?】
 ・キャリーオーバーとは、前年度の「未調整分」を翌年に持ち越すことを言います。
 ・前年度の未調整分が0.1%であれば、スライド調整率は0.9% + 0.1%=1.0%となります。
 ・未調整分が0.2%であればスライド調整率は1.1%、0.3%であれば1.2%となります。
 ・そしてこの持ち越し分は、当年で消化できなければ、さらにその翌年に持ち越されることとなります。

「持ち越される」というと何が問題なのかわからないかもしれませんが、簡単に言えば、「年金支給額が増えるためのハードルが上がった」ということ。今までと比べて年金がより上昇しにくくなった・・・ということです。

この仕組みが、今年度よりスタートしましたよ、ということですね。


マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーのどこが問題なのか?

そもそも、この「マクロ経済スライド」とは、2004年、小泉内閣よりスタートした制度です。ところが、安倍内閣がスタートするまで物価や賃金が上昇に転じることはなく、それどころかむしろ物価が下落する状況においても物価スライドは適用されず、そのまま据え置かれてきました。

2015年度、安倍内閣において、据え置かれた物価スライド分は解消されたわけですが、「マクロ経済スライド」そのものは安倍内閣がスタートするまで発動することはありませんでした。つまり、2004年より長年の間、「スライド調整」は行われないまま年月が経過していたことになります。

【で、なんでスライド調整をする必要があるの?】
という疑問が多くの人の頭の中に浮かび上がっていると思います。

スライド調整を行う必要があった、その最大の理由が記されているのは私が記した 第118回の記事 にあります。

国民年金収支

ご覧いただくとわかると思いますが、特に1995年の段階では年金収支は完全な赤字。それ以降も2004年まで国庫による給付費の負担がなければ年金の収支は赤字であったことがわかります。

これは、国民年金だけでなく、

厚生年金収支

厚生年金の方でも収支状況はきわどい状況が続いていました。

このような状況を改善するため、2004年に年金制度が大幅に変更されたわけです。詳細は第112回の記事 に記しています。

ただし、近年になってこういった年金の収支状況が大幅に改善されていることもまた、ご理解いただけるのではないでしょうか?


【未調整分はなぜキャリーオーバーされるのか?】

問題はここです。

年金局の職員の話では、これを行うための理由として、

 「政府の試算で100年後、年金積立金が丸1年分残ること」

を目指していることを挙げていました。ただし、この100年後、っていうのは2004年に考えられた話ですから、あれからすでに14年経過しており、実質的には後86年持てばよい話。一体いつまで「100年後」って言い続ける気なんでしょうね?年金局は。

で、これを目指してマクロ経済スライドを考え出したのに、安倍内閣が始まるまでスライド調整ができなかった、だからその「調整」を早める必要がある、として考えだえされたのが今回の「キャリーオーバー」制度です。

で、この制度の詳細を確認するために先日私は年金局に電話をしたわけですが、この年金局の職員・・・そもそも、私、厚労省に電話して年金局に回されて、一人目の職員が私の質問に全く明確な回答をすることができず、「詳しいものに変わる」と言って変わった相手が前回の記事 で紹介した担当者。

大雑把に言えば、

 ・年金積立金が切り崩されている理由を知らない
 ・年金の支出の中に「基礎年金勘定へ繰り入れ」という項目があることを知らない
 ・そもそも「基礎年金勘定」を知らない
 ・スライド調整が遅れているからキャリーオーバー制度を導入したはずなのに、そもそも年金局では一体いくら遅れているのかということを計算すらしていない。
 ・年金収支(保険料-給付費)が国民・厚生年金とも黒字であることを知らない。(聞いても答えられない)

これが、キャリーオーバー制度を考えた年金局の実態ですよ、皆さん。

で、どこの記事で見たのか、記憶が定かではないのが残念なのですが、何かの記事でスライド調整が遅れている金額が7兆円である、との情報を見たことから私は年金局に対して「その程度の金額であればなぜ年金積立金の収益分でカバーしないのか」と問いかけたわけです。

実際、昨年度だけで、第4四半期の結果を待たずして15兆円もの運用益を生み出しているわけですから。


マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーを中止すべきもう1つの理由とは?

先ほどの質問に対して、結局年金局は明確な回答はしなかったのですが、今回の記事では、いよいよ本題である「マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーを中止すべきもう1つの理由」について記事にしてみたいと思います。

まず皆さんに見ていただきたいのは以下のグラフ。

出生者数推移(戦前データを含む)

これは、第112回の記事 でも同じグラフを掲載しているのですが、「戦後」だけでなく、「戦前」の出生者数まで合わせて掲載した「出生者数の推移」を示したグラフです。戦後の出生者数の推移を示したグラフはよく見ると思うのですが、戦前からのグラフを掲載しているのは、おそらく私のブログだけです。作成者は私ですので。

で、ご覧いただくとわかると思いますが、「出生者数」のピークは「1948年」を挟んでの3年間。1947年と1949年が赤い棒線になっているので、よくわかると思います。

第二次世界大戦が終結したのは1945年。その翌年にかけてぐっと出生者数が減少してはいますが、そのさらに翌年。終戦の2年後から3年間にかけての出生者数が以上に多いのがご理解いただけますでしょうか。いわゆる「団塊の世代」です。

この年代の人が今年69歳~71歳になります。

年金の支給開始年齢は65歳です。つまり、「団塊の世代」に当たる3年間の世代はすべて、すでに「受給開始年齢」に至っていることがわかりますね?

人口はこの3年間に向けて年々増加し、逆にこの3年間を過ぎると急速に減少に転じました。

私が何を言いたいかわかりますでしょうか?

団塊の世代が65歳になった年。今から6年前~4年前にかけて、2012年~2014年の3年間までにかけて、「年金受給開始者」の人口は毎年増えていたのです。そのピークが2012~2014年にかけてです。

逆に言えば、その「ピーク」はすでに過ぎていることになります。年が経過するからと言って、2012年以前に受給者となった方の人口が増えることはありません。当たり前の話です。不謹慎な話かもしれませんが、むしろ2012年以前受給者となった方の人口は、寿命によりこれからは減り続ける一方です。

逆に、2015年以降に受給者となる人の人口は、毎年前年を下回ることになります。

1961年より出生者の数が再び増加に転じはしますが(団塊ジュニア)、しれでも団塊の世代の人口を上回ることはありません。

つまり、今後「年金受給者」の人口は、年々減少に転じていくことになるのです。

私が一人目の年金局の職員に対して、

「スライド調整が遅れている7兆円程度の金額を補填するため、未調整分をキャリーオーバーするくらいだったら、なぜ年金積立金の収益をその補填に充てないのですか?


と聞いたとき、その職員はこう答えました。
年金積立金は、100年後、年金積立金が丸1年分残ることを目指して積み立てられているものです


と。

これに対して、私はこう問いかけます。
いや、ですが積立金は毎年増えているでしょ? しかもこれから年金受給者は減っていくわけですから


と。

すると、職員はこう答えました。
年金局の試算では、そういう試算は行っていません


いや、だって団塊の世代はすでに受給者になっているんですよ? これから増えようがないじゃないですか。ピークは過ぎているんですよ?


と。これに対し、職員は再びこう答えます。
年金局の試算では、そういう試算は行っていません


と。再び私はこう質問しました。
いや、年金局でどう試算しているかじゃなくて、実際これからは減少するじゃないですか


職員は再びこう答えます。
年金局の試算では、そういう試算は行っていません


納付世代が減るってことですか? それならわかりますよ。ですが、受給世代は減りますよね?


年金局の試算では、そういう試算は行っていません


ここからはループ状態でした。で、私が

 「根拠は?」

と繰り返し問いかけたことに対し、その職員は同じ回答を繰り返すことしかできず、「詳しいものと変わります」と、最後は逃げてしまいます。

そして変わって出てきたのが前回の記事 でご紹介した職員でした。

いやいやいや・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・

お前ら一体何の仕事してんだ・・・・と。

その程度の回答しかできないんだったら、そもそも電話にでてくるなよ。

少なくとも第114回の記事 でご紹介した、「消費増税で増える税収が私の予想を屈辱的なほどに下回った理由」について、財務省の職員は、私が足元から崩れるほど衝撃的な回答を私によこしてきましたけど?

その程度の仕事しかできないのなら、さっさと年金局の職員をやめちまえ、と。

ほんと、あれはさすがにないですね・・・

2連続で同じ内容の記事を記しましたが、はっきり言います。

「スライド未調整分のキャリーオーバー制度など、さっさと廃止してください!!」



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あえてこのタイトルで行きます。冒頭に記しておきますが、タイトルに「マクロ経済スライドの終焉」と記していますが、本当にマクロ経済スライドが終わるわけではありません。

私の中に少し勘違いしていた部分があって、平成30年4月でマクロ経済スライドの調整機関が終了する、と思っていたのですが、そうではなく、平成30年4月より、前年度に調整できなかったスライド調整分をキャリーオーバーする・・・というルールに変更された、ということでした。

勘違いも甚だしいですね・・・。反省しきりです。

ただ、スライド未調整分をキャリーオーバーする、というルールには納得がいきませんので、その詳細を確認するため先ほど厚生労働省年金局 総務課へ電話してみました。

で・・・個人的にいろんな意味で年金局に対してガッカリさせられました。このブログは、基本的に政府の政策に対して、よりポジティブな情報を掲載することを目的としていますし、行政に対しても、批判するのではなく、よりポジティブな情報を掲載しようと、ずっと考えて作成してきました。

ですが、今回ばかりはさすがにそうはいきません。年金制度改定が、それこそ「こんな人たち」によって行われたのかと考えると、あまりにがっかりすぎます。

年金手帳


スライド未調整分キャリーオーバーとは?

まずはここを説明しておきます。

改めて「マクロ経済スライド」のざっくりとした説明を先にしておきます。

【マクロ経済スライドとは?】
そもそも、「年金制度」の給付方式には、「物価・賃金スライド」方式が導入されています。

大きく分けて「新規裁定者(67歳未満の年金受給者)」と「既裁定者(68歳以上の年金受給者)」の2種類の年金受給者がいて、基本的に「賃金スライド」の対象となっているのは新規裁定者、「物価スライド」の対象者となっているのは既裁定者です。

年金は、「物価」もしくは「賃金」が上昇すれば上昇し、逆に下落すれば下落する仕組みになっています。

「マクロ経済スライド」とは、将来にわたって安定して年金を供給するため、「年金上昇率」を抑制するために、2004年より導入された仕組みです。

マクロ経済スライドが導入されている状況で、年金が上昇するのは物価上昇率(もしくは名目賃金上昇率)が「1%」を上回る場合で、「1%未満(正確には0.9%以下)」の場合は年金は上昇しません。この、「年金上昇」を抑制している0.9%という数字が「スライド調整率」と呼ばれるものです。

物価が仮に1%上昇したとすれば、年金上昇率は(1-0.9)%=0.1%となります。

※スライド調整率は本来毎年変更されることが前提となっている数字ですが、0.9%で実質的には固定されています。

ものすごくざっくりと記しているので、本当にマクロ経済スライドを理解している人から見れば「間違っている!」と言われそうですが、現状こういうルールで動かされています。

正確なルールを知りたければ、第185回の記事 をご覧ください。

で、今回の法改正で問題となるのは、マクロ経済スライドにより年金上昇が据え置かれる期間。
及び物価・賃金が下落し、年金が下落する期間の話です。

私、物価上昇率が0.9%を下回る場合、単に年金は「据え置かれている」だけかと思っていたのですが、どうも年金局の考え方では、据え置かれているのは年金ではなく、「スライド調整」が据え置かれている、という発想であったようです。

例えば、物価上昇率が0.5%であった場合、スライド調整は行われず、年金は据え置かれるわけですが、年金局の発想では、据え置かれているのはスライド調整が行われなかった0.4%の部分。

つまり、0.4%スライド調整が行われなかったので、その分調整期間が先延ばしにされますよ・・・という発想であったわけです。

【スライド未調整分キャリーオーバーとは?】
それでは、「スライド未調整分キャリーオーバー」とは何かと申しますと、先ほどの事例で申しますと、物価上昇率が0.5%で、据え置かれた0.4%分を、将来ではなく翌年に持ち越しましょう・・・というルールです。

マクロ経済スライドには、そもそも「スライド調整期間」が想定されており、年金局の言い分をそのまま記しますと、

「政府の試算で100年後、年金積立金が丸1年分残ることが確定すればスライド調整期間は終了します」

とのこと。

ちなみに年金積立金の考え方に関しては、私が第118回の記事 にて記している内容を読んでいただけると、よくご理解いただけるのではないでしょうか。

はっきり言って、日本の年金制度について、日本一わかりやすく説明している、と自負している記事ですから。

平成30年3月末までの運用方法では、据え置かれたスライド調整分が、スライド調整期間の最終年度以降に回されていたため、いつまでたってもスライド調整期間が終了することはなかったわけですが、翌年に回されたことで、最終年度以降にまで持ち越されることなく、より早くスライド調整期間が終了するでしょ、というのが彼らの言い分です。


「スライド未調整分キャリーオーバー制度」の欠陥

先ほどの年金局側の言い分。一聞すると「なるほどな」と納得してしまいそうになりますが、ちょっと待ってほしい。

このキャリーオーバールールは、「日本国内の物価が、毎年0.9%以上上昇し続けることが前提となったルール」です。

現行のルールでは、0.9%の物価上昇率が達成できなければ、その差額分は毎年翌年に繰り越されていくことになります。

ちなみに、この場合の「物価」とは、「消費者物価指数(総合)」の上昇率のことを指しています。

シリーズ 物価の見方 におきまして、この「消費者物価指数」については具に記事としているわけですが、先日記した第400回の記事 におきまして、2017年度全体の「消費者物価指数(総合)」が公表されたことを記事にしました。

この、2017年度の消費者物価指数は前年比「0.7%」の上昇となっています。

しかし、平成30年度の年金で採用されているのは0.5%の物価上昇率ですから、年金制度で用いられている「消費者物価指数(総合)」は、「年度」ではなく「暦年」の物価指数を用いているものと考えられます。「2017年度」の物価上昇率は0.7%ですが、「2017年」の物価上昇率は0.5%ですので。

余談になりましたが、平成30年度の年金はこの0.5%の物価上昇率が採用され、0.9%を下回っていますから、年金は上昇せず据え置かれることになります。ですが、実際に据え置かれているのは年金の支給額ではなく「スライド調整分」です。

つまり、0.9%-0.5%=0.4%が「据え置かれて」いることになります。
つまり、その差額分0.4%が翌年度、平成31年度に「キャリーオーバー」されることになるのです。ただし、年金局の話ではなぜかこのキャリーオーバー分は0.4%ではなく、0.3%、とのことでした。

この0.3%に、来年度のスライド調整率=0.9%が加算され、来年度は今年度の物価上昇率が1.2%上昇しない限り、年金支給額が上昇することはない・・・と、すなわちそういうことになります。

ちなみに直近では2017年12月の消費者物価指数(総合)上昇率が前年同月比1.4%、翌1月が1.4、2月が1.5、3月が1.1となっていますので、確かに物価は上昇する傾向にあります。

ですが、この「物価」はあくまでも原油価格の上昇に依存したもの。どこかで原油価格が頭打ちとなれば、再び0.9%以下の圏内に舞い戻ってしまうことは想像に難くありません。

もし平成30年(2018年)度の消費者物価指数(総合)が0.9を割り込み、例えば翌年度への持ち越し分が今年度と同じ0.3%であったとすれば、その0.3%がさらに加算され、32年度には1.5%を上回る物価上昇を果たさない限り、年金支給額が増えることはなくなってしまうわけです。

それって、本当にキャリーオーバーする意味あるの?
むしろ年金の支給額が上昇するハードルが引き上げられただけ、安倍内閣の支持率に悪影響を与える材料を増やしただけじゃないの? というのが現時点での私の意見です。


愚かなり!年金局

ここからははっきり言って年金局に私が抱いた失望感を書き綴っていきます。

そもそも、今回のキャリーオーバーが導入されるに至った経緯として、マクロ経済スライドが導入された2004年度以降、物価が上昇することはなく、安倍内閣がスタートするまで、長い間マクロ経済スライドを導入することができなかったことが発端です。

例えば、物価が下落し、年金が下落する状況下では、「マクロ経済スライド」を導入することはできませんから、年金局的に言えば0.9%分のスライド調整分が調整されることのないまま、「先送り」にされているわけです。

ちなみに、どのサイトで見たのか・・・を現在思い出せずにいるのですが、この未調整分は総額で7兆円になるのだそうです。(ここはあくまで私のうろ覚えの数字だと思っていてください)

で、です。

年金の資金を使って運用されている会計帳簿の中には、「年金積立金」があるわけです。
2015年度こそ5兆3098億円の損失を生み出したわけですが、2016年度は7兆9363億円、2017年度は第一四半期が5兆1153億円、第二四半期が4兆4517億円、第三四半期6兆549億円の運用収益を生み出しています。

第四四半期を待たずして、2017年度の運用収益はなんと15兆6219億円の黒字です。

だったらなぜ年金積立金の運用収益をたかが7兆円程度の未調整分の補填に充てることができないのか、と私は年金局の担当者と名乗る人物に問いかけました。すると、担当者からは以下のような回答が返ってきました。

Q.年金積立金の運用収益をなぜマクロ経済スライドの未調整分に充てないのか?

A.マクロ経済スライドの未調整分が7兆円だという数字はどこから出てきたのか?週刊誌等で好き勝手に書いている数字では回答することができない

Q.では、実際のその数字はいくらなのか?

A.年金局ではそんな計算はしていない


え・・・

私は絶句しました。そんな計算すらせずに年金受給者に負担を要求するキャリーオーバーを実施していたのか・・・と。

Q.そのくらいの数字は計算しておくべきなのではないか?

A.それは、確かにその通りだ。受け止めたい。

Q.で、どうして年金積立金の運用収益をその補填に回さないのか?

A.政府の試算で100年後、年金積立金が丸1年分残ることを目標として積み立てられているものだ?

Q.けれど、年金積立金って、毎年切り崩されていることなく、むしろ加算されていますよね?

A.そんなことはない。運用収益としては増えているが、毎年切り崩されている

ここも、絶句でした。

改めて第118回の記事 を見ていただくとわかりやすいと思うのですが、現行の年金運用方法で年金積立金が切り崩されているのは、

年金システムのからくり③
↑この図で「不足する保険料」と記された部分を補填するためのものです。

では、なぜこの保険料が「不足する」のかというと、保険料を納付しない「未納者」がいるから。
前年度、本来であれば納付されるはずの保険料が納付されていませんので、年金会計年度の期首に、年金会計は一時的に「資金不足」に陥ります。

ですが、こちらの会計システムでは、「期末」に納付される予定となっている保険料を予測して、全額「基礎年金勘定」という別の会計帳簿に移すことになっていますから、どうしてもその不足する保険料分が必要となります。

そこで、一時的に「年金積立金」を切り崩す形で年金積立金より不足分を繰り入れ、他の保険料と合わせて「基礎年金勘定」へとさらに繰り入れているのです。

ですから、その切り崩された年金積立金は「年金積立金」から「年金特別会計」を経て「基礎年金勘定」へと移動しただけで、年金会計全体で考えればびた一文、減っていません。良くて会計枠を移動するのにかかる手数料程度の金額です。

Q.切り崩しているように見えるのは、未納者がいるからであって、切り崩された金額はすべて別会計に移動していますよね?

A.未納者は関係ない。未納者は本来支給する必要はなく、未納者のために年金積立金を切り崩したりはしない!

Q.いやいや、未納者がいるから年金積立金が切り崩されてるんです、って。

A.違う。こちらは運用している側なんだからわかる。未納者は関係ない!

しばらくこの押し問答です。いやいや、オタク、運用してる側なのに、自分たちが運用している年金制度を全く理解していないだけなんじゃ・・・・

Q.だから、その支給される必要がない分が基礎年金勘定側に積み立てられてるんでしょ? それって切り崩されてるっていうんですか?

A.基礎年金・・・??? それ、運用の話でしょ?

いやいや、運用も何も、年金制度全体の話してるんですが・・・( ̄▽ ̄;)

Q.年金制度では、期首に年金会計からその年の年金保険料全体を予測して年金会計から引き出して、年金特別会計に移動してるんでしょ? 切り崩されているのはその時に、前年度の未納分が不足するから切り崩しているのであって

A.きしゅ・・・???

Q.だから、期間の始めのことですよ

A.運用のことは財務局に確認しなければわかりません。ここは制度を管理しているのであって

Q.だから、年金制度のことを聞いているんですが?

全く話のかみ合わないまま時間が過ぎていきます。向こうがあまりにも制度を理解できていないものだから、ここからは私が年金局の担当者に非常にわかりやすく年金制度の運用方法について説明してやりましたよ。

A.話が制度の話になって、マクロ経済スライドの話をしていたはずなんですが

いやいや・・・( ̄▽ ̄;) マクロ経済スライドの話をききたくて電話したのはむしろ私の方なんですが( ̄▽ ̄;)

Q.私が電話をしたのは、スライド未調整分がキャリーオーバーされることに納得がいかなくて電話したんですが、スライド調整が行われないことが原因でキャリーオーバーするのなら、なぜそのスライド未調整分を、年金積立金で補填しないんですか?

A.スライド未調整分がいくらになるのか、確かにその試算が行われていないのは問題だと思う。

そこよりも、むしろ積立金で未調整分を補填する方を優先してほしいんですが・・・( ̄▽ ̄;)

で、最後に私から問いかけたのは、次の質問です。
Q.年金収支って黒字ですよね?

A.収支って、年金全体ですか?

Q.年金保険料から年金給付金を差し引いた差額ですよ。

A.財務局に聞いてみないとわかりません。

Q.黒字なんですよ。黒字なのに積立金を切り崩さなければならない、ってだけでそもそもおかしいと思いませんか?

一応、こっちも大人なんで、最後は別に年金局を責めたくて連絡をしたわけではなく、ただたんにキャリーオーバーのことを理解したくて電話しただけなんだ、ということを伝え、「おかげさまで、よくわかりました。ありがとうございました」とだけ伝えて電話を切りました。

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや・・・・・・( ̄▽ ̄;)( ̄▽ ̄;)( ̄▽ ̄;)( ̄▽ ̄;)( ̄▽ ̄;)

こんな奴らが年金制度を決めて、運用しているのかと思うと、はっきり言って納得いきません。

自分たちが作ってリアルに運用している制度の仕組みくらい、理解しとけよ!!!!!!

ほんっっっとに理解ができません。ってか、キャリーオーバーやめましょうよ、ほんと。



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この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


改めて見ますと、私が作成している消費者物価指数の記事が12月が最新となっていますので、1月、2月、3月と3か月分作成できていなかったんだな・・・と反省するところです。松山市議会議員選挙の関係で忙殺されていた・・・とはいえ。

今回のタイトルは、「平成29年(2017年)度の消費者物価指数」としていますが、実際には2018年3月の消費者物価指数が公表されたのであって、このことで2017年度1年間の情報がそろった、というのが正確なところです。

ということで今回は、2018年3月の情報と2017年度の情報を併記し、かつ2018年3月の情報を2018年2月と、2017年度の情報を2018年度と比較する形で記事にしてみたいと思います。

特に、年度の「消費者物価指数」の情報は、年金受給世代が受け取ることができる年金の額にも大きく反映されるものですので、個々も注目ポイントです。


平成30年(2018年)3月の消費者物価指数

【消費者物価指数(総合)の前年同月比】※( )内は2017年2月の前年同月比です。
総合(ウェイト:10000)
↓1.1(↑1.5)

生鮮食品を除く総合(ウェイト:9586)
↓0.9(↑1.0 )

持家の帰属家賃を除く総合(ウェイト:8501)
↓1.3(↑1.8)

持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合(ウェイト:8087)
→0.5(↑0.5)

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(ウェイト:8802)
→0.5(↑0.5)

エネルギーを除くと横ばい、加えると2月より下落している・・・ということは、3月はエネルギーの消費者物価指数の上昇幅が2月と比較して縮小しているということがわかります。ちなみにエネルギーの前年同月比は2月が7.0%上昇、3月が5.7%上昇となっています。

また、「持家の帰属家賃」を除くと2月が0.3%、3月が0.2%「総合」を上回ることもポイントとなりますね。(持家の帰属家賃に関しては第314回の記事 をご参照ください)

私が大切にしている消費者物価指数は、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」であることを常々伝えているわけですが、それでも「持家の帰属家賃」は、長らく消費者物価指数を引き下げる要因として働いています。

持家の帰属家賃を除くと、海外の物価動向や天候に左右されることのない、真の消費者物価指数は、前年同月比で2月が0.8%、3月が0.7%なのではないか、と推察されます。


平成29年度(2017年度)の消費者物価指数

【消費者物価指数総合の前年度比】※( )内は2016年度の前年度比です。
総合
↑0.7(↓-0.1)

生鮮食品を除く総合
↑0.7 (↓-0.2)

持家の帰属家賃を除く総合
↑0.9(↓-0.2)

持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合
↑0.9(↓-0.2)

生鮮食品及びエネルギーを除く総合
↓0.2 (↓0.3)

さて。いかがでしょう。2017年度と2016年度の情報を比較すると、「上昇幅」で見る限り、「エネルギー物価」が含まれる「総合」「生鮮食品を除く総合」「持家の帰属家賃を除く総合」「持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合」はすべて20017年度が2016年度より上昇しているのに、ここから「エネルギー物価」を取り除くと、2017年度の消費者物価指数は、2016年度の消費者物価指数の上昇幅を下回ってしまっています。

逆に2016年度の消費者物価指数を2015年度の消費者物価指数と比較しますと、エネルギー物価が含まれる消費者物価指数はすべてマイナスを記録していて、2015年度を下回っているのに、エネルギー物価を除くとプラス成長しており、2016年度の消費者物価指数は2015年度を上回っています。(こちらは上昇幅ではなく、実数での比較です

これだけを見ても、「エネルギー物価」の動向がいかに消費者物価指数全体に影響を与えているのか、ということを皆さんご理解いただけるはずです。


考察

それでは、年間を通じてみた場合、2017年度の消費者物価指数は、エネルギーや生鮮食品の影響を除くと、0.2%の物価上昇(持家の帰属家賃を除くと0.4%)の物価上昇にとどまっているわけですが、では何がその主要因であったのでしょうか?

【2017年度消費者物価指数(10大費目別)の前年度比】※( )内は2016年度の前年度比です。
食料 ウェイト:2623
↓1.1(↓1.4)

 生鮮食品 ウェイト:414
 ↓1.7(↓4.3)
 生鮮食品を除く食料 ウェイト:2209
 ↑1.0(↓0.9)

住居 ウェイト:2087
↓-0.2(↓-0.2)

 持家の帰属家賃を除く住居 ウェイト:589
  ↓0.1(↓0.3)

光熱・水道 ウェイト:745
↑4.3(↓-7.0)

家具・家事用品 ウェイト:348
↓-0.8(↓-0.5)

 家庭用耐久財 ウェイト:111
 ↓-0.1(↓-3.3)

被服及び履物 ウェイト:412
↓0.1(↓1.5)

保健医療 ウェイト:430
→1.2(→0.8)

交通・通信 ウェイト:1476
↑0.5(↓-1.4)

 自動車等関係費 ウェイト:836
 ↑2.1(↑-1.1)

教育 ウェイト:316
↓0.4(→1.4)

教養娯楽 ウェイト:989
↓0.4(↓0.8)

 教養娯楽用耐久財 ウェイト:59
 ↓-2.4(↓-2.0)

諸雑費 ウェイト:574
↓0.3(↓0.6)

このようにしてみますと、私が常に物価下落の主犯として挙げている「家事用耐久財」も、-0.1%と確かに下落こそしているものの、物価全体に影響を及ぼすほど大きなものではなく、また2016年度の-3.3%と比較すると大幅に改善されており、2017年度の物価が伸び悩んでいる理由、として充てるには少し無理があります。

また、もう一つの「主犯」として私があげている「教養娯楽耐久財(テレビ・PC)」も、確かに-2.4%と、昨年を上回る下落幅を記録してこそいますが、その差は0.4%。ウェイトも59と、物価指数全体の10000に比較すればわずかなウェイトとなっていますので、そこまで大きな原因と考えるには無理があります。

さて、それでは何が原因か・・・と申しますと、10大費目別物価上昇率全体を見てみますと、おのずと見えてきますね。

2017年度の消費者物価は、確かにプラス成長しており、前年の実数を上回っていますが、前年度の上昇幅を上回る上昇幅を記録しているのは「生鮮食品を除く食料」「光熱・水道」「交通・通信」の3つのみ。

「生鮮食品を除く食糧」以外の2項目は、ともに「エネルギー物価」を含む分野です。

つまりはエネルギー物価を含まない分野での物価上昇が、全体的にやや「伸び悩んでいる」ことが生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価が伸び悩んでいる理由です。

第399回の記事 でもお伝えしましたが、安倍内閣に入って、「所得」の分野では見事すぎるほどに「アベノミクス」の成果が出ているのです。

ですが、残念なことにこれが「物価」に関してはやや足りない。せっかく所得が伸びているのに、その所得が残念ながらまだ「消費」には向かいにくい状況が継続しているということ。日本国民から「デフレマインド」がまだ抜けきっていないってことです。

安倍内閣が目指す物価上昇率は「生鮮食品を除く消費者物価指数2%の経済成長」です。

「所得」から「消費」へ。

「物価」

日本国経済を安定的に発展させるため、安倍内閣に求められているのは、今こそ「消費」を喚起させるための経済政策なのではないでしょうか?

麻生内閣当時の経済政策って、非常に参考になると思うんですが、いかがでしょう、安倍さん。


改めて、次回記事では今回の記事を下に、「年金と消費者物価指数」について、今度はカテゴリー「日本の年金」 において記事にしてみたいと思います。

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この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


完全に一月分飛んでしまいましたが、改めてリスタート記事はこのテーマからスタートしていきたいと思います。


2018(平成30)年3月度税収

2月の情報が飛んでいますので、2月の情報も合わせて掲載します。

【2018(平成30)年2月度税収】※(  )内は前年同月比です。
所得税全体 2月分 0.777兆(110.0%) 累計 15.345兆(108.3%)

 源泉分 2月分 0.666兆(108.7%) 累計 14.148兆(109.0%)
 申告分 2月分 0.111兆(119.0%) 累計 1.197兆(100.9%)

法人税 2月分 1.226兆(122.3%) 累計 6.243兆(116.2%)

消費税 2月分 1.953兆(102.0%) 累計 12.009兆(103.3%)

一般会計全体 2月分 4.815兆(107.2%) 累計 41.820兆(106.5%)

【2018(平成30)年3月度税収】※(  )内は前年同月比です。
所得税全体 3月分 0.757兆(1050%) 累計 16.102兆(108.2%)

 源泉分 3月分 0.355兆(100.2%) 累計 14.504兆(108.8%)
 申告分 3月分 0.401兆(110.6%) 累計 1.598兆(103.2%)

法人税 3月分 0.245兆(112.4%) 累計 6.489兆(116.0%)

消費税 3月分 0.872兆(105.5%) 累計 12.887兆(103.5%)

一般会計全体 3月分 2.914兆(104.5%) 累計 44.737兆(106.3%)

これが、2月、3月それぞれの「税収」です。

3月は所得・法人・消費それぞれの税収が1兆円をしたまわる低水準の税収となっていますので、情報としてはあまり参考にしにくいものとなっていますが、それでも

所得税 105%
法人税 112.4%
消費税 105.5%

と、昨年を大きく上回る規模の税収となっており、その好調さがうかがえます。

ただ、3月度は三大税収の規模が大きくありませんので、結果的に三大税収以外の税収の影響を受けやすくなっていて、3月度は2月度の一般会計税収前年同月比107.2%から104.5%と上昇幅を縮小させており、累計の一般会計税収前年同月比を下回っていることから、累計も2月度の106.5%から106.3%へと前年同月比の規模を縮小させています。

ただし、それでも前年同月比106.3%です。予算ベースでの前年同月比が104.0%ですから、これを2.3%も上回っていることになります。

金額で考えますと、予算ベースでの3月末税収累計見込みが43兆7527億円。これに対して実績が44兆7379億円ですから、税収の実績が予算を9852.27億円「上振れ」していることになります。

ちなみにこの数字、「前年同月」と比較しますと、なんと2月末時点で2兆6680億円も税収が増加していることになるのです。

決算ベースで、予算が前年を2.3兆円上回る予定で組まれていますが、実績はその決算に対する累計をさらに0.3兆円、既に上回っている計算になります。

概算で、このままのペースが続くのであれば、今年度の税収総額は決算ベースで約59兆円となる計算になります。

安倍内閣が12月にスタートした2012年度の決算が約44兆円。
消費増税が行われる前年の2013年度の決算が約47兆円。
増税年度である2014年度の決算が約54兆円。

以降

2015年度 56.3兆
2016年度 55.47兆

と、2016年度に唯一前年度税収を下回ってこそいるわけですが、

2017年度税収は

 第二次安倍内閣スタート直後(民主党政権時代)より15兆円の税収増。
 実質的な第二次安倍内閣元年より12兆円の税収増。
 消費増税年度より5兆円の税収増。
 全ての月が増税後の情報へと切り替わった2015年度と比較して3.7兆円の税収増。

が見込みとして立っています。

よく、「増税しても税収は増えない」という人がいますが、きちんとした経済対策さえ実行すれば、消費増税による影響をここまで抑えることができることをこの結果は示しているといえます。

安倍内閣では、主に「所得」に対する経済対策を中心に行ってきましたので、その影響は「所得」、特に給与所得者の「所得」に最も翌表れています。

それでも他の税収に比べて伸び率が低いのが「消費税」。つまり、安倍内閣の政策で、あと一つ欠けている部分があるとすれば、「所得」を「消費」へと転化させるための政策。

2017年度は、1.2兆円の税収が「上振れ」する見込みです。上振れした果実を経済対策へと充てる政策を、麻生内閣当時のような「消費」を惹起するための政策へと向けることができれば、「消費税収」ももっと増加させることができるのではないでしょうか?

税収年度は当年4月~翌年5月までとなっています。残り2か月。特に「消費税」に関して言えば、その年の本当の「消費」状況を見ることができるのは、最終月である5月です。

残る2か月の情報を、今から楽しみにしています。



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この記事のカテゴリー >>選挙


記事としては、1か月以上の間をあけ、とても久々の投稿になります。

タイトルにもございます通り、先月、4月29日は松山市議会議員選挙がございました。
昨年秋ごろよりお声がけをいただいて、私はこの選挙に立候補する一人の現職の議員さんのお手伝いをすることとなっていました。

後援会事務所を構えたのが昨年の12月後半。その後1月に事務所開き、2月冒頭に年賀交歓会、3月後半に決起会、4月にはいよいよ出陣式が行われました。

この期間中、私は主に情報分析に関する分野をお手伝いしました。

神事
こちらは、翌日に行われる出陣式に先駆けて、選対メンバーの中でも、その中枢にいる極少数のメンバーだけで、松山の護国神社でお行った選対メンバーだけの「出陣式」の様子です。
※以下、記事の一部を削除します。文脈がおかしいと感じるかもしれませんが、ご了承ください。
「マイナスからのスタート」と表現しても尚足りないほどの「逆風」が当初より存在したことを記していました。


不足する「情報」

1期目の選挙では、情報管理を本人以外が担当していましたので、候補者にはその当時の「情報」が決定的に不足していました。

他の議員に助けを求めることも潔しとせず、候補者独力での選挙戦を挑もうとしていたのが選挙戦が始まる1か月前までの状況でした。

今回の選挙でよく言われたのが、「後援会名簿」を集めることでした。

後援会名簿というのは、実際に選挙期間がスタートしてから直接投票のお願いをできる先を確保するために必要なもので、その数が多ければより多くの人に選挙のお願いができる・・・というのがその理由です。

ですが、単に集めろ、といったところで、いつまでにどのくらい集めておけばよいのかということは全く見当がつきません。
実際、候補者のパソコンに残っていた名簿情報は、第1期目の獲得候補者数とほぼ同等の情報しかありませんでしたから、本当にそこまで大量の名簿が必要なのかどうかということにも疑問がありました。

プレッシャーをかける必要はあるわけですが、それができないことでかえって支援者が候補者の下を離れ、または距離を置こうとするのではないか・・・という危惧もあったわけです。


分散した支援者

候補者の立候補する地域からは、候補者以外に2名の候補者が立候補しました。

このうち1名は、第1期目に候補者を支援していた人たちが候補者の陣営から移籍する形で支援に回ったので、当然人間関係も重なり、支援者の取り合いになるような状況も生まれました。

また、もう一名は地元の支援状況が、先ほどの候補者以上に候補者に近く、この候補者とは地元支援者を奪い合うような状況となりました。

結果的に候補者も含めて3名とも当選することはできたのですが、その当選結果にはこの支援者の分散する状況が如実に反映されたような結果となりました。

誰かひとりいなければ、残り2人の獲得票数はもっと伸びただろうな・・・と思わせる当選結果でした。


私が大切にしたこと

情報面を担当した私が一番大切にしたことは、候補者本人の「立ち位置」を明確にすることです。

・過去の情報の把握
・他の候補者の状況把握
・候補者本人の現状の把握

事務所には、様々な人が出入りします。
中には他陣営の情報を持ってきたり、時に他陣営の当事者本人がやってきたりします。

また、当然過去の情報が不足している、とはいえ、第1期目の状況を知っている人もやってきますし、選対メンバーの中にも当時からの支援者が少数ではありますが、います。

私自身も他の陣営と行動を共にすることがありますので、そういった言葉のわずかな内容からヒントをつかんで、他の情報と統合させて、一つの目安となる情報を作り上げていくわけです。

その上で事務所に集まってきている候補者本人に関連した情報を集計し、また分析していくことで、候補者本人に、

「候補者は今こういう立ち位置にいますよ」

とお伝えします。
集まってくる情報や未来予測の中には、必ずしも正鵠を射ている・・・とは限らない情報もあるのです。

ですので、支援者に対しても情報の誤りを伝え、正しい判断方法を伝えることで、突然その人が持ってくる情報の質が変化することもありました。単に候補者を不安にさせるための情報ではなくなるのですね。

本当に問題なのであれば、そこを改善するための方法も必要となってくるのですが、無駄に根拠もなく、不安にさせるためだけにあるような情報は、極力振り分けていく必要があるのです。

選対にいるメンバーの役割って、闇雲に候補者を不安にさせる情報ばかりを集めてくるのではなく、集まってくる情報からノイズを取り除き、候補者がどのくらい、どのように頑張ればより当選に近づくことができるのかを明確化すること。

そのことで候補者だけでなく、候補者を支援する人たちの雰囲気も良くなり、「候補者を不安にさせないための情報」を積極的に集めてくるようになることも見えてきました。


選挙戦を振り返って

改めて、今回の選挙戦を振り返って一番感じたことは、「組織作り」の大切さです。

今回選対本部のメンバーとなったのは、本部長を含め、そのほとんどが選挙に関しては素人に近いようなメンバーばかりでした。

ですが、集まったメンバーは、それ以上に、それぞれの分野においてものすごい能力を発揮するメンバーばかりでした。
「少数精鋭」の名に恥じぬメンバーがそろっていたと思います。

第1期目は、その強権的な選挙手法に抵抗を感じ、「もう二度と選挙なんてやりたくない」と思った人が多かったのだそうです。
第2期目において、最後の最後まで支援者が揃わなかった最大の理由です。

ですが、今回の選挙戦では、「次回こそ、もっとうまくやって見せる!」との意気込みを持ったメンバーがほとんどです。

パソコンの中には、4年後の次回選挙戦に向けた「情報」が蓄積されています。そして、実働部隊には今回の選挙戦を経て得た「経験」と「ノウハウ」が蓄積されています。

次回はもっとうまくやって見せる!

候補者を上位当選させるため、新たなる戦いはすでにスタートしています。

今から次回選挙戦が楽しみでなりません。



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