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先日、本年度第一四半期のGDPの一時速報が発表されましたので、本日はこの内容について記事にしてみたいと思います。

いつもGDPが速報がなされる時にはあちら側界隈の皆さんが大騒ぎしているのですが、どうも今回はその雰囲気がありません。まるで発表がなされなかったかのように、本当に静かなまま一日が過ぎていきました。

理由はただ一つ。公表された結果が好調だったからです。

【日本経済新聞 2019/08/9より】
GDP1.8%増、消費堅調で想定外の伸び 4~6月年率

内閣府が9日発表した2019年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.4%増、年率換算では1.8%増だった。プラス成長は3四半期連続。改元に伴う大型連休で個人消費が伸びたほか、設備投資も増えた。米中貿易摩擦の影響で輸出は停滞が続いたが、内需が経済を下支えした。

4~6月期は大型連休や天候による消費押し上げ効果が大きかった。QUICKがまとめた民間エコノミストによる事前予測の中心値(前期比年率0.4%増)を大きく上回った。

GDPの半分以上を占める個人消費は前期比0.6%増で、3四半期連続のプラスとなった。4月末から5月にかけての10連休で、旅行などレジャー関連の消費が盛り上がった。新型車の発売が相次いだ自動車の販売も好調だった。5~6月に気温が高めに推移したことで、エアコンが早めに売れ出したこともプラスに働いた。

内需のもう一つの柱である設備投資は1.5%増えた。建設関連の需要が強く、1~3月期の0.4%増から上昇幅が拡大した。サービス業を中心に人手不足に伴う省力化投資も引き続き活発だ。

公共投資は1.0%の増加。18年度の補正予算が執行段階に入り、伸びにつながった。GDPの伸びに対する内需の寄与度は全体で0.7ポイントのプラスだった。

外需は中国や欧州など海外経済の減速で弱い動きが続いた。輸出は0.1%減で、2四半期連続のマイナスだった。米中の貿易摩擦などから海外での需要が減速し、半導体製造装置や金属加工機械などの中国向け輸出が落ち込んだ。

輸入は1.6%増で、2四半期ぶりに増加したが、1~3月期(4.3%減)からの戻りは鈍い。輸出から輸入を差し引く外需のGDPへの寄与度は0.3ポイントのマイナスだった。海外経済の不透明感の高まりから、貿易活動が全体に縮小している可能性がある。

4~6月期のGDPは生活実感に近い名目でみると前期比0.4%増。年率換算では1.7%増だった。4~6月期は物価が伸びず、名目の成長率が実質をわずかに下回った。

日本経済は2018年7~9月期に自然災害が相次ぎ、マイナス成長に転落。続く10~12月期には、堅調な個人消費を支えにプラス成長に戻った。19年1~3月期は中国経済減速の影響で輸出や生産が減少した。ただ、輸入が輸出を上回って急減したため、計算上はGDPを押し上げ、年率2.8%の高い成長率となっていた。

今回の日経記事には、1か所だけ評価したい部分がございまして、それが次の画像です。

日経2019第一四半期

いつも掲載していますように、私はそもそも「年率換算」などといったフィクションの数字など全くあてにならないと思っていますし、「前期比」という数字は「季節調整」というその計算方法すら説明することが難しいような計算式が用いられていますので、その信憑性は非常に薄いと思っています。

上記画像はまさしく私が日頃痛烈に批判しています、その「季節調整」が行われた数字と、加えてGDP全体に関してのみ「年率換算」が行われた数字も掲載されています。

ですが、私がそれでも「評価したい」とする理由は、この表を見れば「実質」と「名目」をきちんと比較することができるからです。

季節調整列と前期比の数値としての信憑性はさておき、「年率換算」をクローズアップせず、「前期比」まででとどめていることももう一つ評価できる点です。年率換算なんて完全にフィクションの数字ですから、これを経済指標として用いることなど頭がおかしいとしか思えませんからね。

またもう一つ、4-6の第一四半期だけでなく、比較された昨年度の第4四半期の増減率も掲載されていますので、どのくらい成長したのかという事がよりわかりやすい表現にはなっていると思います。

記事全体も「年率換算」などというトンデモ数字で語ることはなく、「前期比」までできちん留めていまして、計算式によって生まれるバイアスが、より小さくとどまる様になっています。


GDP速報が全く騒がれなかった訳

さて。今回のGDP速報、マスコミ報道等で全く騒がれなかったわけですが、なぜ誰も騒がなかったのか。

理由は、マスコミがやけにクローズアップしています、「季節調整系列」「年率換算」「前期比」で、特に「個人消費」に該当する値があまりにも好調だったから。

例えば「民間最終消費支出」全体で前期比2.5%増。「家計最終消費支出」で2.5%。ここからさらなるフィクションの数字である「持家の帰属家賃」を取り除くとなんと2.7%増。

もちろん、このような数字が算出されたのは今回が初めてではないのですが、消費低迷を謳いたいマスコミやあちら側の人たちとしては歯ぎしりしたくなるほどの消費の好調さを示す数字がこれでもかというほどに並んでいるわけです。米中貿易摩擦、日韓関係悪化などで、どうしても消費は低迷していてほしかったわけですからね。

いい加減気づけばいいのに、と思います。「年率換算」や「前期比」の異常さに。


2019年度GDP第1四半期1次速報「前年同月比」

という事で、ここからは私の視点で「GDP統計」を見ていきます。

【2019年度GDP第一四半期第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 138.357 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出 76.125 兆円(1.5%)
 家計最終消費支出 74.071 兆円(1.4%)
  除く持家の帰属家賃  61.537 兆円(1.6%)

 民間住宅  4.051 兆円(3.7%)
 民間企業設備 21.099 兆円(2.8%)

実質GDP
全体  132.460 兆円(1.2%)

 民間最終消費支出 74.448 兆円(1.0%)
 家計最終消費支出 72.480 兆円(1.0%)
  除く持家の帰属家賃  58.920 兆円(0.9%)

 民間住宅 3.702 兆円(2.9%)
 民間企業設備  20.477 兆円(2.4%)

内閣府


私が大切にしているのは「実質」よりも「名目」。「季節調整年率換算」よりも「原系列」。「前期比」よりも「前年同月比」。

なぜかと申しますと、すべての項目で前者よりも後者の方が計算式によって生まれるバイアスが少ないから。ゼロとは言いませんけどね。

計算式が少ない分、より実態に近い統計結果となっているんです。

それでも「実質」の情報を掲載しているのは、あくまでも参考のため。両方の伸び率を差し引くことで「物価上昇率」を算出することができますから。

その視点で申しますと、物価上昇率は

全体 0.4%

 民間最終消費支出 0.5%
 家計最終消費支出 0.4%
  除く持家の帰属家賃  0.6%

 民間住宅  0.8%
 民間企業設備 0.4%

となります。

政府が目指している物価上昇率は2%ですから、それを考えると「物価の伸び悩み」となるのかもしれません。

ただ、個人的には名目がきちんと成長しているのであれば、そこまで物価上昇率にこだわる必要はないと思います。

特に、「民間住宅」では名目が3.7%も成長しているんですから。物価が上昇していないんだから経済が~~という理屈にはならないと思います。国民がそれだけお金を使っているわけですからね。

日経の記事の中で、悔しさが感じられるのは文末の

日本経済は2018年7~9月期に自然災害が相次ぎ、マイナス成長に転落。続く10~12月期には、堅調な個人消費を支えにプラス成長に戻った。19年1~3月期は中国経済減速の影響で輸出や生産が減少した。ただ、輸入が輸出を上回って急減したため、計算上はGDPを押し上げ、年率2.8%の高い成長率となっていた。

どうしても日本国経済が不調であることにしたいんでしょうか?

わざわざ昨期の統計まで持ち出して日本国経済をディスっていますね。

ですが、まず「日本経済は2018年7~9月期に自然災害が相次ぎ、マイナス成長に転落」と記しています。

ですが、名目の「原系列」で見てみますと、確かに2018年7-9月の全体のGDPは-0.3%と前年度割れしていますが、内需でマイナスを記録しているのは「民間住宅」のみ。家計消費は1.4%、企業の設備投資は2.1%の前年度越えです。

7-9月のGDPが昨年度を割り込んだ理由は7-9月期の「純輸出高(輸出高-輸入高)」が前値年度を大きく下回ったから。自然災害が相次いだことは、全く関係ありません。

また、「続く10~12月期には、堅調な個人消費を支えにプラス成長に戻った」とありますが、これも誤りで10-12月の名目GDP原系列は横ばい。わずかながらマイナス成長で、しかも「個人消費」の成長率は7-9月期を下回っています。最大の理由は「純輸出高」が前年度を下回り、むしろマイナス成長していることが理由です。

また、「19年1~3月期は中国経済減速の影響で輸出や生産が減少した。ただ、輸入が輸出を上回って急減したため、計算上はGDPを押し上げ、年率2.8%の高い成長率となっていた」ともありますが、実は下落幅は輸入を輸出が大きく上回っており、これも日経の記事は全く逆の情報を記事としてあげています。

また更に、19年1~3月期は個人消費が0.8%増、企業の設備投資費に至っては3.4%増ですから、いかに日経の記事が的外れな内容となっているのかという事がとてもよくわかります。

今回、「前期比」という統計のバイアスがより多くかかるデータとは言え、「実質」と「名目」をきちんと比較できる形にし、更に昨期の情報まで比較できる形で情報を掲載したことは評価できますが、これほどに的外れな内容となっていることは、やはり私としては理解しかねる問題です。

「前期比」よりも「前年同月比」に着目し、きちんとした記事を作成してくれる新聞社が登場することを、私は願ってやみません。




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本日は2019年5月21日です。昨日2018年度のGDP速報(1次速報)が公表されました。

そう。公表されたのは「2018年度(平成30年度)」のGDP速報のはずなのです。ところが・・・

【日本経済新聞】2019/5/20 8:50
1~3月GDP、年率2.1%増 個人消費は0.1%減

内閣府が20日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.1%増だった。2四半期連続のプラス成長となった。10~12月期は年率換算で1.6%増だった。住宅投資や公共投資の増加がプラス成長に寄与した。QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.1%減で、年率では0.3%減だった。

生活実感に近い名目GDPは前期比0.8%増、年率では3.3%増だった。名目でも2四半期連続のプラスになった。

実質GDPの内訳は、内需が0.1%分のプラス、外需の寄与度は0.4%分のプラスだった。

項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。

輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。

個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが影響した。

設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。

総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.2%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.3%のプラスだった。

同時に発表した2018年度のGDPは実質で前年比0.6%増、生活実感に近い名目で0.5%増だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

経済に関連する記事なので、日経から記事は引っ張ってきました。

・GDP、年率2.1%増 1~3月期 輸入の落ち込み影響(朝日新聞)
・1~3月期GDPはプラス 市場の予想覆す 年率2.1%増 輸入減が押し上げ(毎日新聞)
・1~3月期実質GDP、年率換算2・1%増(読売新聞)
・1~3月期GDP 輸入急減、見かけ上プラス(東京新聞)

その他、主要各紙の記事タイトルは上記の通り。そう。どこにも「2018年度(平成30年度)」のGDPが公表された、と記している記事は存在しないんですね。

もちろん、2018年度第一四半期(4-6月)~第三四半期(10-12月)までのGDPは既に公表されていますから、「何をいまさら」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、にも関わらずなぜか「第四四半期(1-3月)の四半期別GDP」を「季節調整」し、更に「年率換算」した「年率GDP成長率」は掲載されています。

私、この傾向ははっきり言って異常じゃないかと思うんです。

「年率換算」に関しては、第140回の記事 にて、かなり詳細にご説明させていただいたことがあるのですが、これを転記する形で改めて皆さんにご理解いただきたいと思います。

【年率換算の計算方法】
1.第1四半期を前期、つまり前年度の第4四半期のGDPと比較して成長率を出します。
 第1四半期の成長率を1Q、前年度の第4四半期のGDPを4Q’とします。

第1四半期を前期比と比較した成長率
=(1Q-4Q')/4Q' この計算式を①とします。

2.①は「成長率」ですので、本体である4Q'に、1+①をかけたものが第1四半期のGDPになります。
第1四半期のGDP=4Q'×(1+①)×100

3.「年率換算」を行うときは、第一四半期の成長率が、第2四半期~第4四半期まで継続して続く、と考えるので

第2四半期のGDP=4Q'×(1+①)×(1+①)
第3四半期のGDP=4Q'×(1+①)×(1+①)×(1+①)
第4四半期のGDP=4Q'×(1+①)×(1+①)×(1+①)×(1+①)=4Q'(1+①)^4(^=乗数のことです)

となります。「年率換算」とは、この様な計算方法によって算出された第4四半期のGDPを前年度の第4四半期と比較した結果を算出するための計算方法です。

ですので、第1四半期の「前期比」を「年率換算」した計算結果は

{4Q'(1+①)^4-4Q'}÷4Q’×100={(1+①)^4-1}×100

これが「年率換算」の計算結果です。
もう少しわかりやすく表現すると、

〔{(1+第一四半期の成長率(前期比)}の4乗-1〕×100(%)

これが「年率換算」です。

私自身、かなり久しぶりに見ましたが、計算式を見るだけで脳がわきそうになりますね。

しかも検算をして1か所誤りを発見してしまいましたので、引用元の第140回の記事に赤で訂正を入れております。今回の記事では正しい計算式に修正しています。

そう。「年率換算」とはこのような計算式を用いて計算された、単なる計算結果に過ぎないということをぜひ覚えていていただきたいのです。

で、このような計算式に基づいて計算された「2018年度第四四半期」の「実質GDP」を「季節換算」したものの「2019年度の第四四半期」のGDPが「2018年度の第三四半期」と比較して2.1%増しになっています・・・という予言を行っているのがこの「年率換算」というものです。

ちなみに2017年度第四四半期の実質GDPの「年率換算」を行った値は-0.1%でした。

では、まる1年たった今、2018年度の第四四半期の「実績」と2017年度第四四半期の「実績」を比較するとどうでしょう。

2018年度第四四半期四半期を2017年度第四四半期と比較した実質GDPの「前年同月比」は0.8%です。

昨年の同じ時期に行われた実質GDP成長率は-0.1%であると予言されましたが、実際の結果は0.8%でした。

そうです。そもそもたった3か月間の「経済成長率」がまる1年間、同じペースで継続することなどまずありえないのです。にも関わらず、こんな「予言」がまるで事実であるかのようにして大騒ぎし、アベノミクスが成功だ、失敗だと大騒ぎしている連中に言いたい。

一体あんたたちは今年度当初に大騒ぎした厚労省による「毎月勤労統計調査」のデータ不正問題で一体何を学んだのだ、と。

あれだってそもそもその結果には「常勤雇用5名未満」の事業所のデータは全く含まれていない、「速報性」のみを重要視した、統計データとして参考程度にしかならないデータであることはあの事件が起こる以前からわかっていたことです。

ほんと、私からすれば今更感が半端ない事件でしかありませんでした。

あの事件から何も学べない人達がこの国では大多数を占めているのかと考えると、本当にうんざりする思いがします。体制派に対しても、反体制派に対しても同じことを感じます。せめてもう少し過去から学ぶ姿勢を身に着けてほしい、と。

ということで、私の発表する「GDP速報」は、

1.名目値、原系列を最重要視する。
2.季節調整、年率換算はフィクションにすぎないので検証する必要はない。
3.名目値に比較すると信頼性は落ちるが、物価を見る上で「参考」にはなるので実質値も検証はする。

という姿勢で記事を作成していきます。

数値は基本的に「名目値」「原系列」で、捕捉データとして「実質値」「原系列」を掲載します。


2018年(平成30年)度GDP第四四半期1次速報

【2018年度GDP第四四半期第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 137.893 兆円(0.9%)

 民間最終消費支出 75.806 兆円(0.4%)
 家計最終消費支出 74.132 兆円(0.4%)
  除く持家の帰属家賃  61.608 兆円(0.4%)

 民間住宅  4.211 兆円(2.6%)
 民間企業設備 25.364 兆円(2.4%)

実質GDP
全体  135.632 兆円(0.8%)

 民間最終消費支出 74.785 兆円(0.4%)
 家計最終消費支出 72.983 兆円(0.3%)
  除く持家の帰属家賃  59.448 兆円(0.2%)

 民間住宅 3.852 兆円(1.2%)
 民間企業設備  24.665 兆円(1.6%)

内閣府


さて、いかがでしょうか。日経新聞の記事に目を通してみますと、

・項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。

・輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。

・個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが影響した。

・設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。

との内容が記されています。もちろんすべて「実質値」に対する記事なんですが、私が受容視するのは実質値ではなく名目値です。

名目値を算出する際でさえ、詳細なデータ把握ができているのPC、デジカメ程度のもので、それ以外の消費額はすべて計算式によって人為的に算出されたもので、はっきり言ってデータとしては疑ってかかるべきデータだと私は考えています。それを最初から信用し、真に受ける方がおかしい。

だからこそそのデータを検証し、どの程度信頼性があるのかと検証すべきもの、それが「名目GDP」です。

もちろん年率換算や季節調整されたものとは違い、全くのデタラメのデータではありませんから、「原系列」で数字を追いかけることには意味があると私は思っています。

ですが、「実質値」とは、そんな信憑性に疑いの余地があるデータを、更に「消費者物価指数」というまた新たに計算式を用いて算出されたもので割って求めたデータです。(※消費者物価指数で割って算出するのは『民間最終消費支出』内のデータに限ります)

そして、

 「名目値」=「売上(または消費)総額」
 「実質値」=「売上(または消費)数量」
 「GDPデフレーター」=「売上(または消費)単価」

のそれぞれ最大値であることを考えると、日本国全体の「支出」を見るためのデータである「支出側GDP」を、その消費単価(デフレーター)を全く考慮せず、単に消費数量(実質値)だけで考えることは非常に意味がないと考えていますので、はっきり言って名目値よりも実質値が重要視される現状もまた異常だと私は考えています。

ですが、マスコミ側の意図は実質値こそ生活の実感に近いという誤った意識の下、更に計算方法すら明確に説明することができない「季節調整系列」を用いた予言の数字である「年率換算」を行った数字が現在の日本の「現状を示している」という意図をもって記事を記していますので、私が正しいと考える「日本の現状」とそれを比較する形で記事を作成していきます。


・項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。

住宅投資は2.6%増です。記事では三四半期連続のプラスと記されていますが、四半期別で考えるのなら、住宅投資は五四半期連続でマイナスでした。実に1年と1四半期ぶりのプラス成長です。

ですが、それ以前の上昇幅が6%や7%といった非常に大きな幅での上昇率を8四半期連続で記録していますので、その反動だったと考えることができます。

公共投資、即ち「公的資本形成」は-0.7%。実は四四半期連続の前年度割れです。ただ、それ以上に民需が活発ですから、ここに着目して言及することは控えたいと思います。


・輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。

なんだかあたかも「輸出減」が突然問題になったかのような記事の作成の仕方ですが、実は第三四半期において、GDPが前年度割れを起こしていたのですが、その最大の理由は「輸入額の上昇幅を輸出額の上昇幅が上回ったこと」でした。

17年(暦年)は輸出額が前年度比で10%を超えるペースだったものが、18年(暦年)に入って上昇幅を縮小し始め、これが18年度第四四半期に入って下落に転じた、というのが本当のところです。

今期、「輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している」などともっともらしいことを記すのなら、のなら、なぜマスコミは第三四半期、他の項目は民間住宅以外全てプラスなのに、輸入額の上昇幅が輸出額の上昇幅を大幅に上回ったためにGDP全体としては前年度割れを起こしたことを全く騒がなかったのでしょうか?(第460回の記事 参照)

私には不思議でなりません。ちなみに今期の統計データで前年度割れを起こしているのは「公的資本形成」「輸出額」「輸入額」の3項目のみで、他の項目はすべて前年度を上回っています。

毎日新聞は「1~3月期GDPはプラス 市場の予想覆す 年率2.1%増 輸入減が押し上げ」などと、さも輸入額の減少ににGDPが上昇した原因があるかのように記していますが、

輸入額の減少幅など5260億円にすぎません。輸出額から輸入額を差し引いた「純輸出高」は7090億円、2017年度第四四半期の純輸出高は1.102兆円ですから、これと比較すると3930億円のマイナス。純輸出高でみれば、輸出入額はむしろGDP全体を押し下げる働きをしています。

にも関わらずGDP全体では昨年同期と比較して1.3兆円成長した、というのが2018年度第四四半期の「輸出入」に対する正しい評価です。


個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが影響した。

もうお解りですね。個人消費、つまり「家計最終消費支出」は「持家の帰属家賃」を除いたものとともに前年度比0.4%の上昇です。

実に2年1四半期連続の前年度増しです。

ちなみに「消費者物価指数」で見すと、確かに「被覆及び履物」の費目の内「衣料」が1月△0.3、2月△0.8、3月△0.4と前年度割れ、食料全体に関しても1月△1.5、2月△1.4、3月△0.3と前年度割れが続いていますが、ここから「生鮮食品」を取り除くと1月0.6、2月0.6、3月0.8と前年度を上回っており、「食糧及びエネルギーを除く総合」で見ても三か月連続で0.4と前年度越え。

これを見て「消費意欲が冷え込んだ」と言えるのか、私には非常に疑問です。

「消費者物価指数」は消費者の消費状況が反映されたものです。

「消費者物価指数」を算出する際に用いられる「連鎖指数」が前年のものを用いているため、消費者物価指数が急激な「価格変動」を反映しきれていないことは事実ですが、それがもし負担となるのならば他の費目の物価が影響を受けるはずです。

ですが、そうなっていない以上、「消費が冷え込んだ」とする日経のコメントは誤っているのではないか、と私は思います。


設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。

設備投資費・・・マイナスですか?

前年度と比較して実に2.4%の前年度増し。前期の4.8%には及びませんが、実に2年1か月連続の「前年度増し」です。設備投資を控えてますかね?

ちなみに1月は決算期だからでしょうか。他の項目は12月が含まれる第三四半期の数字がすべて大きくなっているんですが、「設備投資費」だけは第四四半期の数字が毎年度大きくなっているんです。

そう。つまり企業設備投資費に限れば、第四四半期の数字は第三四半期の数字よりも大きいんです。これは実質値で見ても同じ傾向がみられます。

にも関わらず、これを「前期比」で見ると名実共にマイナスとなっています。

前年度を2.4%も上回っていて、原系列で見れば12月を含む「前期」を上回っている「企業設備」が「季節調整、年率換算」を行うとなぜか名目で4%、実質で1.2%のマイナス成長になる・・・という非常に不思議な現象となっております。

こんな数字をまともに相手にする方がいかれてます。一体どんな計算式なんでしょうね、「季節調整」って。ほんと、謎すぎます。


2018年(平成30年)度GDP第1次速報

さて。それではいよいよ「2018年(平成30年)度」全体でのGDP速報です。
【2018年度GDP第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 550.098 兆円(0.5%)

 民間最終消費支出 305.397 兆円(0.7%)
 家計最終消費支出 297.200 兆円(0.6%)
  除く持家の帰属家賃  247.149 兆円(0.7%)

 民間住宅  16.767 兆円(△2.6%)
 民間企業設備  89.648 兆円(4.1%)

実質GDP
全体  535.186 兆円(0.6%)

 民間最終消費支出  300.048 兆円(0.4%)
 家計最終消費支出  291.923 兆円(0.3%)
  除く持家の帰属家賃 237.985 兆円(0.2%)

 民間住宅  15.367 兆円(△4.2%)
 民間企業設備 87.124 兆円(3.2%)

内閣府


いかがでしょうか。


民間住宅について

既にお伝えしています通り、「民間住宅」に関しては第一四半期~第三四半期までの数字が前年度を大きく下回っていますので、トータルで見ても名目で2.6、実質で4.2%の前年度割れとなっています。

ただし、「物価上昇率」で考えますと、物価上昇率=名目(△2.6)-実質(△4.2)=1.6%の物価上昇となっています。

ミクロベースで表現するとすれば、売上総額、売上数量とも前年度を大きく下回りましたが、売り上げ単価としては前年度を1.6%上回る売り上げであった、との表現になります。


「個人消費」について

個人消費については「家計最終消費支出」を見ます。第470回472回473回 の記事でも取り上げた話題です。

「家計最終消費支出」に関しては、全体では「持家の帰属家賃」というフィクションの数字が含まれていますので、「除く持家の帰属家賃」で考えます。

名目が0.7%の前年度越え、実質が0.2%ですから、物価上昇率は0.5%。

昨年度が名目1.7%、実質1.1%、0.6%の物価上昇率でしたから、やや減速はしていますが、消費総額としては前年度を上回る値で完了しました。

目標として「2%の物価上昇」を目指す項目ですが、「物価」も「消費数量」も前年度を上回り、同時に「消費総額」も前年度を上回ったわけですから、安定した経済成長を遂げたといえるのではないでしょうか。


企業設備投資

こちらは名目が4.1%、実質が3.2%増で0.9%の物価上昇率となっていますから、これは大成長と言ってもよいのではないでしょうか?

「大企業ばかりがもうかって、労働者には回ってこない」と主張する輩もたくさんいますが、私がシリーズ 中間層の見方 でお示ししましたように、各所得層を100万円ごとに切ってみても、その「所得層」の水準が上昇してきていることがわかります。

引用したシリーズは27年までのデータしか掲載していませんが、最新で平成29年までの情報が既に公表されており、引用シリーズに掲載した状況は未だに継続しています。

「中間層の見方」に関しての記事は近いうちに更新したいと思います。

このような傾向からも、「大企業ばかりがもうかって・・・」という理屈は既に通用しなくなっているのではないかと私は思います。


GDP全体を通じて

まとめに入ります。

GDP全体で見ますと名目で前年度比0.5%とそう大きく伸びていないように見えるかもしれません。

ですが、名目全体で見ても下落しているのは「民家住宅」と「公的資本形成」の2項目のみ。それ以外はすべてプラス成長しています。

GDPを引き下げる要因として大きく働いているのはやはり「純輸出額」の下落。2017年度の4.934兆円から9875億円に下落しており、下落幅としては4兆円近くの下落幅。

GDP全体が550兆円ですから、GDPに対する割合としては0.7%に上ります。

このような状態にも関わらずGDP全体としては0.5%成長したということを考えれば、実に堅調な経済成長であったということができるのではないでしょうか。

「年率換算」などというフィクションの未来予測の数字に大騒ぎするのではなく、一つ一つ、今起きている現状を正確に判断できる冷静な視点を持つことこそ、私たち「国民」に求められている視点なのではないかと、そう思えてなりません。




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先日(2019年2月14日)2018年度GDP第3四半期(10~12月)1次速報が公表されましたので、本日はこの話題を取り上げます。冒頭にお伝えしておきますが、引用したニュース記事は枠で囲っています。枠で囲っている部分は私の記事に一通り目を通していただいた後でチラ見する程度でかまわないと思います。

サブタイトルを二つスルーすると本編がスタートします。


では、まずはこちらのニュースをご覧ください。

【日本経済新聞記事(2019/2/14 8:53)より】
GDP実質1.4%増、10~12月年率 2期ぶりプラス

内閣府が14日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増だった。年率換算では1.4%増。年率2.6%減だった7~9月期から、2四半期ぶりのプラスとなった。18年夏の自然災害による個人消費の落ち込みが解消され、内需が全体の成長率押し上げに寄与した。

前期比0.3%増の成長率のうち、0.6%分は国内需要を表す内需が寄与した。内訳をみると、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.6%増と、7~9月期の0.2%減から回復。飲食や宿泊、航空などレジャー関連の回復が目立った。自然災害が個人消費を下押ししていたが10~12月期は回復。自動車販売も堅調だった。

住宅投資は1.1%増。2四半期連続でプラスを確保した。住宅投資は工事の進捗状況に応じてGDPに計上しており、4~6月期以降の着工の伸びが寄与した。民間の設備投資も2.4%増と全体を押し上げた。生産用機械の伸びが寄与した。

一方、外需は0.3%分、成長率を押し下げた。中国経済の鈍化により情報関連財の輸出が伸びず、輸出全体の伸びを抑えた。輸入は堅調な内需を背景に増加。外需の寄与度は、輸出の寄与度から輸入の寄与度を引いて算出する。前期からの伸び率は輸入が輸出を上回り、全体に対する外需の寄与度はマイナスとなった。

18年10~12月期のGDP成長率は名目で見ると0.3%増。年率換算では1.1%増だった。名目値は実質値に物価分を上乗せして算出するため、物価が上がれば名目値は上がる仕組みだ。10~12月期は物価上昇率が鈍く、名目の成長率が実質を下回った。

収入の動きを示す雇用者報酬は名目の前年同期比で3.2%増。7~9月期の2.6%増から伸び率が拡大した。

18年暦年の成長率は実質0.7%増、名目で0.6%増。いずれも12年以降、7年連続のプラス成長となった。成長率はともに17年を下回った。18年の名目GDPは548兆円と17年の545兆円を上回り、過去最高を更新した。

記事内容としては、比較的マトモ。なのですが、私としてはやはり主張したい。「なぜ実質GDPで判断するのか!」と。

ちなみにNHKはこの話題を以下のように報道しています。

【2019年2月14日 15時30分】
GDP 2期ぶりプラスも中国経済の減速が業績に影

2期ぶりにプラス成長を取り戻したGDP。しかし、回復の勢いは力強さに欠けています。大きな要因は中国経済の減速です。

北九州市に本社がある「安川電機」は、産業用のロボットやモーターなどを手がけています。
省力化のための設備投資の需要が底堅いこともあって、今月までの1年間の決算では、売り上げ、最終利益ともに過去最高を更新する見通しです。
しかし、全体の売り上げの2割を占める中国での経済の減速が、業績に影を落としています。

主力商品の1つは、半導体を製造する装置などに組み込まれるモーターです。

ところが、去年の秋以降、“巨大市場”の中国で、スマホの売り上げが低迷。アメリカと中国の貿易摩擦の激化という要因も加わって、モーターを組み込んだ製品の中国向けの輸出が落ち込み、モーターの受注も減っているのです。このため、去年10月と先月、2度にわたって業績予想を見直し、営業利益を当初から20%近く下方修正しました。

このように、中国経済の減速などを背景に業績予想を下方修正する企業が相次いでいます。

SMBC日興証券の今月8日時点のまとめでは、東証1部で決算発表を終えた企業のうち、来月までの年間の業績予想で、営業利益を下方修正した企業は155社に上り、上方修正した92社を大きく上回っています。

安川電機はヨーロッパでのビジネスを強化するため、現地に新たな生産拠点を設けたほか、食品工場向けなど新たな需要を掘り起こすなどして中国市場の落ち込みを補いたいとしています。

安川電機の小笠原浩社長は「米中の貿易摩擦がどのように動くかが1つのカギになるが、長い目で見て中国が思い切り減速することはないと思う。中国は市場としても大きいので、その動きをきちんと見て対応していきたい」と話しています。
中国減速が段ボールにも
中国経済の減速は、段ボールの材料となる古紙を取り扱う業界にも影響を与えています。

関東地方の古紙業者の組合は、中国向けに、段ボールにリサイクルされる古紙を輸出しています。
去年の夏から秋にかけて引き合いが強くなり、買い取り価格が2割ほど上昇しました。米中の貿易摩擦で、去年8月、中国が、アメリカから輸入する古紙に追加の関税を課したため、代替品として、日本の古紙に需要が集中したためです。
ところが、こうした状況は長くは続かず、年末になると状況が一変しました。取り引きを続けてきた中国の7つの業者のうち6社からの注文が途絶え、残る1社もピーク時の半額程度の買い取り価格を提示してきたのです。

景気減速で、中国国内の製造業の生産が鈍り、製品をこん包する段ボールの需要も大きく落ち込んだことが要因の一つだとみられています。

組合では、採算が合わないことなどから、去年12月から3か月連続で中国への輸出を見送ることにしました。このため埼玉県にある業者の工場には、およそ500トンの段ボール用の古紙が積まれたままになっています。

「関東製紙原料直納商工組合」の大久保信隆理事長は、「中国国内の生産が鈍っていることは間違いなく、その経済的影響が古紙業界にも来ている。中国は世界最大の古紙の消費国なので、今後、生産が戻るよう願うしかない」と話しています。
春節終えたデパートも警戒感
中国経済の減速に対する警戒感は、中国の旧正月、「春節」の商戦を終えたデパートからも出ています。

「三越伊勢丹」は、「春節」に合わせた今月4日から10日までの大型連休の期間中、外国人旅行者向けの売り上げが、グループ全体で去年の同じ時期に比べておよそ4%減りました。

このデパートではことしの春節商戦に合わせて、中国の企業が手がけるスマートフォンの決済サービス、「アリペイ」を全国すべての店舗に導入し、中国人の買い物客の取り込みを図りました。
しかし、宝飾品など比較的高額な商品の売り上げが伸び悩んだということです。

その一方で、中国語を話せるスタッフを増やすなど接客サービスを強化した店舗は売り上げが増えたということです。
このため、このデパートでは、日本の「おもてなし」をより充実させて、消費の減少を防ぎたいとしています。

三越伊勢丹の販売戦略部の堀井大輔さんは「春節商戦の売り上げの減少が短期的なものなのか、それとも中長期的なものなのか、注意深く見ていきたい」と話していました。

NHKとすると、「実質GDP」がプラス成長したことがよほど悔しかったのでしょうか。記事全体をざっくりと要約すると、「確かに実質GDPは1.4%成長したが、中国経済の成長率が減速しており、楽観視することはできない」という内容の記事が書かれています。


「季節調整系列」と「年率換算」

それでは、ここからこの「GDP実質1.4%増」という話題に、記事作成者である私、「のんき」のフィルターをかけていきます。

いつもお話ししている内容ではありますが、まずこの「実質GDP1.4%」という数字は、「季節調整された実質GDPの『前期比』を『年率換算』したフィクションの数字」です。

私、この「季節調整」だけは、未だにどのような計算方法が用いられているのかということを全く理解することができません。春夏秋冬、もしくは季節催事における独特な要素を排除しているのですが、そんな事人間業でできるのか、という疑問をずっと抱き続けています。

そんな「人為的」な方法を用いて算出された結果に、どれほどの「信憑性」があるのか。全く信用できません。

なぜそんな計算が行われるのかというと、「連続する二つの期間」、つまり春と夏、夏と秋、秋と冬といった異なる季節を同じ基準で比較するために行われているのですが、わざわざそんな計算をすることに何か意味があるのでしょうか?

それよりもむしろ、「今年の春と昨年の春」を比較してどうなのか、「今年の夏と昨年の夏」を比較してどうなのか。同じ季節同士を比較すれば、そんな信憑性に非常に疑いのある結果が出てくるとは思えません。もちろん、私は「GDP」の算出方法そのものに疑問を抱いていますので、前年同期と比較した「だけ」でその払拭できるわけではありません。

ですが、それでも人為的な計算式を用いて「季節調整」が行われた数字よりは「なんぼかまし」、です。

更に「年率換算」とは、そんないい加減な「季節調整」が行われた後の「前期比」の成長率が、「もし1年間継続したらどうなるのか」という、完全にフィクションの数字です。

時間があるかたがいらっしゃったらぜひ計算してみてください。季節調整が行われた「前期比」から1年後の「実質GDP成長率」が1年前の「前期比」と同じ・・・もしくは「近似値」になっている四半期なんてたったの1度もありませんから。

にも関わらず、なんでマスコミはそれほどに「年率換算」の数字を重宝したがるのか、私には全く理解できません。


「実質GDP」と「名目GDP」

あともう一点。「実質GDP」と「名目GDP」について。

この話題は 第218回の記事 で詳細に掲載していますので、改めてご覧いただければと思いますが、

・「名目GDP」とは、「一定の期間に総額で何円の消費が行われたのか」という値。
・「実質GDP」とは、「一定の期間に全部で何個消費されたのか」という値

です。

500円のみかんが4個売れたのか、それともケース売り1Kg2000円のみかんが1ケース売れたのか。実質GDPからそんな情報は一切読み取ることはできません。

私は日本国中で一体「何個分」の「消費」が行われたのかということよりも、日本国中で「総額何円」の消費が行われたのかという情報の方が大切だと思うのですが、なんでマスコミは「実質GDP」に執着するのでしょうか?

私の記事でも「実質GDP」の値は掲載しますが、あくまでもこれは「参考値」。マスコミが必死に「季節調整、年率換算」の数字ばかりをPRしますから、そんなフィクションの数字ではなく、「実際の実質GDPはどうなのか」ということを皆様に知っていただくために掲載しています。この辺りを踏まえて、いかに掲載内容をご覧ください。

もちろん私が掲載する情報はすべて、「原系列、前年同期比」です。


2018年(平成30年)度GDP第3四半期1次速報

【2018年度GDP第3四半期第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 142.310 兆円(-0.3%)

 民間最終消費支出 78.831 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 76.273 兆円(1.1%)
  除く持家の帰属家賃  63.760 兆円(1.3%)

 民間住宅 4.373 兆円(-0.7%)
 民間企業設備 22.322 兆円(4.3%)

実質GDP
全体 136.299 兆円(-0.0%)

 民間最終消費支出 76.834 兆円(0.8%)
 家計最終消費支出 74.528 兆円(0.7%)
  除く持家の帰属家賃  61.000 兆円(0.6%)

 民間住宅 3.987 兆円(-2.3%)
 民間企業設備 21.606 兆円(3.4%)

内閣府

どうでしょう?

マスコミ報道とは違った光景が見えてきませんか?

マスコミ報道では実質GDPが「1.4%」成長していたはずなんですが、上記データでは「横這い」になっていますね。厳密に言えば「下落」しています。

名目GDPに至っては0.3%のマイナス。厳密に言わずとも「下落」しています。

では、日本経済は「悪化」しているのでしょうか?

その内訳に目を通していただきたいのですが、実は私たち民間人の経済活動に関して言えば、前年割れを起こしているのは「民間住宅」のみ。これは名実共に前年割れしています。

ですが、それ以外の項目はいかがですか?

ご覧の通り、すべての項目で「名実共に」上昇しています。

私、日本経済新聞記事に対し、「記事内容としては、比較的マトモ」と記していますが、それは上記の通り、「原系列前年同期比」でみても同じ結果が生まれているからです。

偶然ですが、「原系列前年同期比」と「季節調整系列前期比」に、比較的近い構造となっています。

ただ、同じ記事には「GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.6%増と、7~9月期の0.2%減から回復」「自然災害が個人消費を下押ししていたが10~12月期は回復」と記されていますが、ここは全くのデタラメ。「前年同期比」でみれば、7~9月の「個人消費」は名目で1.4%、実質で0.5%上昇しています。

自然災害の中でも、個人消費は「昨年の同じ季節に比べて」ちゃんと上昇しています。「下押し」なんてされていません。

また、「住宅投資は1.1%増。2四半期連続でプラスを確保した」と記されていますが、ここも違います。今期も昨期も共に住宅投資は前年割れを起こしています。今期よりマイナス幅が減少しているだけで、前年割れを起こしているという状況は変わりません。

2期連続・・・どころか、5期連続で名実ともに住宅投資は前年割れしてるんです。なんでここをきちんと報道しないんでしょうね?

もちろん、それまでの「住宅投資」が急激に上昇しすぎていましたので、そのことが原因かとは思うのですが、きちんと分析すれば、マスコミ側から政府側に、きちんとした政策提言ができると思うんですが。マスコミの役割ってそういうことじゃないんでしょうかね?


内需が上昇しているのに、なぜGDPは前年割れを起こしているのか?

そう。今回のGDP統計の最大の問題点はここです。

答えは・・・深く考えるまでもありませんね。内需が好調なのに、GDPが前年割れしている原因は「外需」にあります。

ということで、「輸出入データ」を見てみましょう。

【2018年度輸出入第3四半期第1次速報(2018年度:2017年度:前年同期比)】

名目輸出額 25.926兆円 25.728兆円(0.8%)
名目輸入額 26.698兆円 24.559兆円(8.7%)
名目純輸出額 -0.771兆円 1.169兆円(-166.0%)

実質輸出額 23.667兆円 23.599兆円(0.3%)
実質輸入額 24.877兆円 24.015兆円(3.6%)
実質純輸出額 -1.199兆円 -415.8兆円(-99.7%)

「純輸出高」に「前年同期比」という値はないのですが、あえて計算してみました。

「純輸出高」とは、「輸出高」から「輸入高」を引いた金額です。GDPにはこの「純輸出高」が加算されています。つまり、「輸入高」はGDPからマイナスされている、ということです。

NHKの記事では、中国への輸出産業の売り上げが減退しているという記事と、中国からの来訪者が日本国内で起こす消費額が減少している、という記事を合わせて掲載することで、あたかも日本の輸出産業が減退しているかのような記事を掲載していますが、ご覧の通り第三四半期の「輸出額」は名実共に上昇していますね?

では、一体なぜGDPは前年割れしているのか。

いうまでもありませんね。答えは「輸入額の上昇」です。

日本の輸入品目の中で、実にその1/4を占めるのが「鉱物性燃料」。この中で最も大きなシェア率を誇っているのが「原油及び粗油」。石油製品まで合わせると輸入品目全体の15%くらいのシェア率です。

また、第457回の記事 で2018年の「消費者物価指数」の推移を10費目別に表にしてお示ししましたが、その中でも「光熱・水道」の分野が大幅な前年比伸び率を示していることもご確認していただけると思います。

つまり、日本の「GDP」の足を引っ張っているのは「原油価格の高騰」だということ。決して中国経済のせいではありませんね?

ということでタイトルにある「実質1.4%上昇は本当か?」という問いかけですが・・・もちろんデタラメです。

「いやいや、それは『前年同月比』ではないだけで・・・」という方もいらっしゃるかもしれませんが、もう一度記事を最初から見直してください。1.4%という数字は、「季節調整系列を年率換算」した数字で、完全な「未来予測」です。フィクションの数字です。

もし、万が一4期後の数字が実質1.4%を記録したとしても、それは単なる偶然にすぎません。「実質1.4%」という数字は、かなり適当な「未来予測」の数字です。

ですから、決して現在の日本経済の「現状」を反映した数字ではありません。


しかし、いい加減こんなフィクションの数字があたかも現在の日本経済の現状を指示しているかのように思いこませる記事を書くの、マスコミもやめるべきだと思うんですが。




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本日、2018年度GDP第二四半期速報が発表されたようですので、今回はこちらの記事を作成したいと思います。

ドイツに関連したシリーズ はお休みです。

例によって、今回も新聞報道の引用からスタートします。

【日本経済新聞2月10日記事より】
GDP、年率2.5%減に下方修正 7~9月改定値

内閣府が10日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算では2.5%減だった。速報値(前期比0.3%減、年率1.2%減)から下方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。

QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.5%減、年率2.0%減となっており、速報値から下振れすると見込まれていた。

生活実感に近い名目GDPは前期比0.7%減(速報値は0.3%減)、年率は2.7%減(同1.1%減)だった。

実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比0.2%減(同0.1%減)、住宅投資は0.7%増(同0.6%増)、設備投資は2.8%減(同0.2%減)、公共投資は2.0%減(同1.9%減)。民間在庫の寄与度はプラス0.0ポイント(同マイナス0.1ポイント)だった。

実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス0.5ポイント(同マイナス0.2ポイント)、輸出から輸入を差し引いた外需はマイナス0.1ポイント(同マイナス0.1ポイント)だった。

総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてマイナス0.3%(同マイナス0.3%)だった。

ということで、記事としては非常に象徴的なので、今回は日本経済新聞からの引用です。

どの報道も、軒並みこのタイトルです。発表は「二次速報」で、もちろん「一次速報」も存在していたのですが、私としてはあえて二次速報まで待ってみていたところもあります。

一次速報の時から気づいてはいたんですよね。この、「デタラメ報道」のひどさに。


2018年(平成30年)度GDP第2四半期第2次速報

GDPの記事は、→こちらのシリーズ で継続して記事にしています。

マスコミ報道は基本的に、「季節調整」した「実質GDP」の「前期比」を「年率換算」したものを報道しています。

ですが、散々記事にしている通り、そもそも「実質GDP」の算出方法そのものが非常に信憑性の薄いものである上、これを更に信憑性の低い計算方法を用いて「季節調整」する意味が私には理解できません。

更に、「前期比」をなぜ「年率換算」しなければならないのでしょう?

「年率換算」とは、季節調整された実質GDPを前記と比較した「経済成長率」が「もし仮に1年間続いたらどの程度の成長率になるのか」というフィクションの数字です。過去の四半期別GDPデータを軒並み探っても構いませんが、おそらくそんな推測が当たった年度など、過去に1度たりとも存在しないのではないでしょうか?

よしんばもし存在したとしても、それは単なる「まぐれ」にすぎません。

そんな博打の様な統計データにしがみついてGDP報道をせずとも、たんに「前年の、同じ季節」と比較したデータを用いれば済む話です。

ですので、私が用いるGDP統計データは、GDP統計に一切人為的な手を加えていない「原系列」を「前年同期」と比較したものを用います。唯一参考程度に「実質GDP」は用いますが、重要視しているのはあくまでも「名目GDP」です。

【2018年度GDP第2四半期第2次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 133.382 兆円(-0.3%)

 民間最終消費支出 76.012 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 74.032 兆円(1.2%)
  除く持家の帰属家賃  61.520 兆円(1.4%)

 民間住宅 4.274 兆円(-5.2%)
 民間企業設備 21.341 兆円(2.1%)

実質GDP
全体  131.956 兆円(0.0%)

 民間最終消費支出  74.962 兆円(0.6%)
 家計最終消費支出  72.851 兆円(0.6%)
  除く持家の帰属家賃  59.388 兆円(0.5%)

 民間住宅  3.935 兆円(-6.4%)
 民間企業設備  20.767 兆円(1.2%)

内閣府

これが本当の「GDP統計」です。

で、皆さんきっと頭に疑問符が浮かぶはずなんです。私が掲載している項目のうち、「マイナス成長」しているのは「民間住宅」のみで、それ以外は全て「名実共」成長しています。

にも拘わらず、なぜか「名目GDP」の統計全体が前年同月を割り込んでいて、実質は0%成長で横ばい。おかしいなぁって、思いますよね?

ちなみに冒頭に掲載した日経記事によれば、実質ベースで「個人消費は0.2%減」、「住宅投資は0.7%増」、「設備投資は2.8%減」と記されていますが、「前年同期」と比較すればこれがいかに情報をミスリードしているかがわかりますね。本来比較すべきなのは「前期」ではなく、「前年同月」です。そうすればわざわざ「年率換算」する必要も、「季節調整」する必要もないんです。

個人消費(家計最終消費支出)は昨年と比較すれば名目で1.2%のプラス、実質で0.6%のプラスです。ここからフィクションの数字である「持家に帰属する家賃」を除くと名目で1.4%のプラス、実質で0.5%のプラスです。

昨年と比較してこれだけ増加しているんです。

季節調整系列の前期比は「年率換算」することが前提となっていますから、マスコミが報道する「個人消費」を年率換算すると、実質では-0.8(持家の帰属家賃を除くと-1.2%)。

ですが、これってものすごくざっくりとした言い方をすると、「今年の実質GDPは昨年と比較すると0.6%成長しているのですが、来年度は1.2%のマイナスになるはずです」という、非常時矛盾したことを言っていることになります。

ちなみに、この「季節調整の年率換算」。「名目GDP」で見ますと、個人消費ではなんと0.7%のプラス(持家の帰属家賃を除くと0.8%のプラス)となっています。

おかしいですね。「実質GDPの季節調整系列の前期比」以外はすべて好調なデータが出ているのに、なぜか前年度割れした実質GDPとその詳細項目、そして「名目GDPの全体の数字」だけが報道され、その他の数字は一切報道されていないという・・・。

一応、「ログイン」をすればその記事の続きを見ることができるわけですが、わざわざそんなことをしてまで記事の続きを見る人はよっぽどの人です。


なぜこんな歪な統計結果が算出されているのか

不思議ですよね。家計、及び企業ともに名目で1%を超える経済成長率を記録しており、唯一「民間住宅」のみがマイナスを記録していますが、その金額は所詮2.35億円程度。

GDP全体から見れば吹いて飛ぶような数字です。にも拘わらず、なぜか名目はマイナス成長。実質でも同じような状況が生まれています。

実はGDP統計全体を見てみますと、前年同月と比較しまして、前年度割れしている項目が2つあるのです。

それが、政府の「公的資本形成」、つまり「公共事業費」と「純輸出高」。

政府の公共事業費は、数字から見れば1410億円程度ですので影響はそれほど大きくないのですが、問題なのはもう一つの「純輸出高」。

名目だけでお話ししますが、昨年度第2四半期の「輸出高」は23.983兆円、「輸入高」は22.205兆円で、純輸出高(輸出高-輸入高)は1.778兆円だったのですが、今年度は輸出高は24.701兆円と1兆円を上回る上昇幅を記録したものの、輸入高も24.565兆円と、金額で言えば2.36兆円を超える上昇幅を記録しています。

この事で、「純輸出高」が1361億円と大幅に下落。下落幅は1.6兆円を超えています。

民間の需要も、企業の設備投資費も成長しており、全体に大きく影響を与えているのはこの部分以外には存在しません。

では、なぜ「輸入高」はこれほどまでに上昇したのか。考えられるのは、「原油価格の高騰」です。原油価格に関してはまだ詳細に検証していませんのでそれが正しいのかどうかはわかりませんが、これは日本国に原因があるわけではなく、海外に原因のある現象です。

にも拘わらず、あたかも日本国経済が減退しているかのような記事をきれいに作り上げてしまうマスコミ各社。

とくに「経済」の専門紙であるはずの日経まで。この新聞に、「経済新聞」を名乗る資格があるのでしょうか?

確かにこの情報を流したのは政府側かもしれませんが、これを全く検証することもなく、流されたとおりに報道するのでは、それがマスコミである必要性など全くないと思います。

一民間人にすぎない私でさえ、パッと見ただけでわかることです。

ほんと。いい加減にしてほしいですね、マスコミの皆様。



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<継承する記事>第423回 2018年度(平成30年)GDP第1四半期第2次速報(前編)

今回の記事は続きもので、初めて同時投降する形としています。→前編はこちら になります。

難しいことは前編に記しましたので、今回はさっそく2018年度(平成30年)GDP第1四半期第2次速報の記事に取り掛かります。


2018年度(平成30年)GDP第1四半期第2次速報

【2017年度GDP第四四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 136.507 兆円(1.4%)

 民間最終消費支出 75.177 兆円(0.4%)
 家計最終消費支出 73.107 兆円(0.3%)
  除く持家の帰属家賃 60.604 兆円(0.4%)

 民間住宅 3.922 兆円(-6.9%)
 民間企業設備 20.737 兆円(7.5%)

実質GDP
全体  131.024. 兆円(1.3%)

 民間最終消費支出  73.869 兆円(0.2%)
 家計最終消費支出  71.881 兆円(0.1%)
  除く持家の帰属家賃 58.469 兆円(-0.1%)

 民間住宅  3.603 兆円(-8.9%)
 民間企業設備 20.166 兆円(6.4%)

内閣府

いかがでしょう。前編の記事で散々実質GDPをディスったのに、なぜ・・・という声も聞こえてきそうですが、「参考」にはなりますので、あえて掲載しています。

ちなみに「名目成長率」から「実質成長率」をマイナスすると、「物価上昇率」が出てきます。

同じ情報を「マスコミ報道ベース」でみるとこんな感じです。

【日本経済新聞より】2018/9/10 9:00 (2018/9/10 10:12更新)
4~6月期実質GDP、年率3.0%増に上方修正

 内閣府が10日発表した2018年4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期比0.7%増、年率換算で3.0%増だった。速報値(年率1.9%増)から大幅な上方修正で、成長率が年率3%を超えるのは16年1~3月期以来の9四半期ぶりだ。民間企業の設備投資が速報段階から大幅に上振れした。

 4~6月期の内外需の寄与度をみると内需が0.9%分の押し上げ寄与となり、内需主導の成長を示した。内需の前期比でみた伸び率は15年1~3月期以来の13四半期ぶりの大きさとなった。一方、外需は0.1%分の押し下げ寄与となった。

 内需のうち民間企業の設備投資は実質で前期比3.1%増と、速報値の1.3%増から大きく上振れした。財務省が3日発表した4~6月期の法人企業統計で設備投資額の前年同期比伸び率は約11年ぶりの大きさとなった。運輸・郵便や電気、化学の設備投資が堅調だった。

 GDPの6割を占める個人消費は0.7%増と速報値から横ばい。18年1~3月期の0.2%減からプラス成長に戻した。伸び率は17年4~6月期(0.8%増)以来となる1年ぶりの高い水準だ。自動車がけん引し、飲食サービスも小幅に上方修正に寄与した。

 民間住宅は2.4%減と、速報値の2.7%減からマイナス幅が縮小した。不動産仲介手数料が上方改定となった。

 民間在庫のGDPに対する寄与度は0.0%と速報値から横ばい。4~6月期は在庫の積み増しや取り崩しに対するGDPへの寄与度は軽微だった。

 生活実感に近いとされる名目GDPの改定値は0.7%増、年率で2.8%増。名目ベースでも速報値の年率1.7%増から大幅な上方修正で、17年7~9月期(3.2%増)以来の高い水準だった。

二次速報ベースなんで、一次速報ベースで作成される記事とは趣が異なりますが、今回各社ともフォーカスしているのは

『4~6月期実質GDP、年率3.0%増に上方修正』

という部分です。

もうわかりますね。このタイトルを私なりに要約しますと、

『4~6月期GDPによると、1年後には全体の売り上げ数量がで3.0%増えることがわかった』

となります。いやいやいや・・・どうやったら1年後の売上数量を今知ることができるんですか、と。で、金額に換算するとそれっていくらになるんですか、みたいな。

情報とすると、安倍政権を応援する面々にとっては非常に喜ばしい記事となっているのですし、反安倍の連中を叩くような投降も時折見かけるのですが、もう少し冷静になりましょう。


GDP全体に関して

記事内容をGDPベースで要約しますと、年率換算の実質が3.0%、名目が2.7%上昇したということですから、0.3%物価が下落している、とこの記事には記されています。

ネガティブな要素をわざわざ記す必要はありませんが、安倍内閣が目指す物価上昇率は「2.0%」だったはずなんですが・・・。


同じ情報を「データから見る日本」ベースでみますと、名目GDPの伸び率は「前年同月比」で1.4%。実質GDPの伸び率は1.3%となっています。

これはもちろん「未来予測」ではなく、「結果」に基づく「実績」。その計算方法の信憑性はともかくとして。

伸び率は報道ベースより低いですが、報道ベースでは下落していたはずの物価が0.1%とは言え、上昇しています。


「家計」の問題

問題になるのはそれこそ「内需」。家計の問題です。

報道ベースでは個人消費の伸び率が「0.7%」であり、これが17年4~6月期以来の伸び率だとしていますが、実際の伸び率は「0.4%」。実質が-0.1%となっていますから、反安倍の人たちが見たら発狂しそうですが、名目はきちんと成長しており、物価上昇率は0.5%と、きちんと成長しています。

もちろん、安倍内閣の目指す物価上昇率は2%ですので、安倍内閣の政策に固執する人は発狂するかもしれませんが。

最も深刻なのは「民間住宅」。つまり、個人が購入した物件の購入総額です。

報道ベースでは「民間住宅は2.4%減と、速報値の2.7%減からマイナス幅が縮小した」とされていますが、未来に向けたフィクションではなく、実績ベースで昨年の同じ季節と比較しますとなんとマイナス6.9%と大幅な下落を記録しています。3期連続、下落幅を拡大している状況ですね。

ちなみに実質は-8.9%ですから、物価上昇率としては2%の物価上昇です。

「民間住宅」に関しては昨年度10-12月期にマイナスに転じるまで、約9か月にわたって4%前後から最大で7%を超える水準にまで名目が上昇していましたから、その反動もあるのかもしれません。


企業設備投資費

一方で家計ではなく「企業」ベースで考えますと、企業の設備投資費はなんと7.5%の名目上昇率。実質でも6.5%となっており、物価上昇率は1%。ここは非常にきれいな結果となっていますね。

私個人的には麻生内閣時代の「名目3%、実質2%、物価上昇率1%」を理想と考えていますので、この設備投資費の結果、物価上昇率を達成した上で私の理想を大きく上回っていることになりますね。

ただ、この部分に関しては報道ベースでも

 「財務省が3日発表した4~6月期の法人企業統計で設備投資額の前年同期比伸び率は約11年ぶりの大きさとなった」

と記されており、この数字の重要性を報道側も理解していることがうかがい知れます。これ以外の情報はすべて前期比年率換算なのに、企業設備投資費に関してのみあえて「前年同月比」に触れているわけですから。

しかし、わざわざ「法人企業統計」の情報に頼らずとも、内閣府ではその「前年同月比」の情報もきちんと出しているんですが。なぜ「財務省が3日発表した4~6月期の法人企業統計」であることに言及する必要があるんでしょうか。これも理解ができません。

一応、「日本経済新聞」の記事なんですけどね。


総括

ということで、私なりに今回のGDP二次速報を総括しますと、

「家計の最終消費支出が前年と比較して0.4%と伸び悩んでおり、特に『民間住宅』に関しては下落幅が大きくなっている。

一方で企業の設備投資費は非常に好調。7.5%の上昇率は、消費増税直前の2013年度1-3期(13.9%)以来の伸び率となっている」

といったところでしょうか。もちろんすべて「名目GDP原系列」の上昇ですけどね。



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このところ、ドイツの話題 が私の中でも風通しがよくなり、あまりにも筆が進むもので、定例で掲載している経済関連の記事もすっ飛ばして記事を進めておりました。

気持ちとすると「早く先が知りたい」という私のわがままでもあります。

ですが、今回の平成30年度第1四半期二次速報あたりから、おそらくこの情報を求めたアクセスなのではないか、と感じるアクセスが多く見られますので、さすがに検索をかけてくれた皆さんに悪いな、と思いまして、定例通り記事を作成しようと思ったわけです。

とはいえ、既に一次速報はスルーしていますので、今回のGDP速報に関連した情報がすでに出回っている状況下での記事の作成になります。

内閣府


まずは基本から

検索等でこの記事にたどり着いた方にとっては、私のGDP情報と出会うのは初めてになると思いますので、まずは私の「GDP」に関する考え方から記事を進めてみたいと思います。

特に、私のGDP情報の掲載の仕方は大手マスコミ等で出ている見方とは異なりますので、「それでいいのか!」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。


そもそも「GDP」とは?

日本語では「国内総生産」といいます。

では、「GDPとは何か」と申しますと、「ある一定期間に日本で生産された付加価値の合計値」ですね。情報が多くなりすぎると内容を理解することが難しくなると思いますので、今回は「支出側GDP」の情報で記事を作成いたします。

「支出側GDPって何のこと?」と思う方はぜひ、

第164回 生産側のGDPと支出側のGDP/統計上の不突合とは?

を読み込んでみてください。私たちが一番見る機会の多い「GDP」はこの「支出側GDP」です。

こんな風に記すと難しく感じられると思うのですが、例えば皆さんがコンビニで100円のチョコレートを合計で10枚購入したとします。計算式で表すと以下の通り。

チョコレートの単価 100円×購入数量 10個=購入総額 1000円

となります。「支出側GDP」から見ると、100円のチョコレートは、販売されて初めて100円という「付加価値」が生まれます。

このチョコレートが、合計で10個販売されていますので、この店では合計「1000円の付加価値」が生まれました。

これを、国レベルで考えた場合、ある一定期間に日本国内で購入された全ての物やサービスの「平均単価」に相当するものが「GDPデフレーター」、日本国内で購入された全ての物やサービスの「購入数量」に相当するものが「実質GDP」、日本国内で購入された全ての物やサービスの「購入総額」に相当するものが「名目GDP」です。

この情報の詳細は

第218回 GDPデフレーターとは何か?/日本一わかりやすく考える

をご覧いただければと思います。


「GDP」はあくまでも「推測」にすぎず、「真実」ではない!

GDPそのものは、いくつかの項目で構成されており、大きなくくりで言うと「家庭のGDP」「企業のGDP」「政府のGDP」「輸出入GDP」の4つです。(「家計」という表現のほうが一般的だと思いますが、今回の記事ではあえて「家庭」と表現します。)

この中で、「家庭のGDP」に該当するGDPは、政府の統計表では「家計最終消費支出」及び「民間住宅」という名称で掲載されています。

このうち、「家計最終消費支出」では、これを実質化する際、その分母として「消費者物価指数」が用いられています。「消費者物価指数」に関しては、私の記事の中でも具に記事にしています。(シリーズ 「物価」の見方

この消費者物価指数の算出方法として、詳細な費目ごとに「加重平均」という計算方法が用いられています。(参考:第53回 実質GDPへの疑惑

参照記事の中に記していますが、しかしこの加重平均の分母に用いられる「ウェイト(重要度)」はその根拠が「消費量」ではなく「消費金額」にあることなど、その信憑性に私は非常に懐疑的です。

分母もいわゆる「サンプル指数」が用いられているなど、必ずしもこれは正確であるとは言えないものです。

このようにして出来上がった「消費者物価指数」で「家計最終消費支出」を割ることでできるのが「家計最終消費支出」の実質値です。「実質GDP」とは、このような「計算式によって作り上げられた『推測値』」の集合体にすぎないことをまずは頭においていただきたいと思います。

「名目GDP」も基本的にサンプル指数を用いて作成されているわけですが、それでもまだ「実質GDPに比べればまし」です。


なぜ「前期比」の「季節調整値」の「年率換算」が重宝されるのかが理解できない!

ニュースでよく見かける「GDP」は、基本的に「季節調整を行った実質GDPを年率換算した値の前期比」です。

意味が分かりませんよね。冒頭でコンビニで販売されるチョコレートを参考に「GDP」の考え方をお示ししましたが、

 「実質GDP」×「GDPデフレーター」=「名目GDP」

という公式考えますと、「実質GDP」とは、所詮日本国中で消費者(および企業・政府)が支払った物やサービスの「平均単価」にすぎません。そして先ほどの章でもお伝えしましたように、そもそも「実質GDP」の計算式の正確性には疑問があるのです。

新聞は「日本国内全体で一体何円消費が起きたのか」ということよりも、「日本国内で一体いくつ、ものやサービスが利用されたのか」ということのほうが大切だと言っているのです。その正確性にすら疑問があるというのに。

また、「季節調整」は春と夏、夏と秋、秋と冬など、異なる季節同士を比較するため、素人では誰もその根拠を理解することのできないような計算式(指数)を使って行われています。季節調整系列とは、「人為的な手の加えられた、信憑性に乏しい」指数だということをご理解いただきたいと思います。

その季節特有の状況を計算式で算出することなどそもそも不可能です。もし比較するのならば、なぜ前年の同じ季節と比較しないのでしょうか? なぜ無理に「前期」と比較しようとするのでしょうか。

また、さらに大手メディアではこれを「年率換算」したものを記事に用いています。

「年率換算」とは、「もし仮に、『季節調整が行われた数字同士を比較した前期比』が、仮に1年間続いたとしたら、1年後の経済状況はどうなっているのか」という、完全なフィクションの数字です。

私はGDP分析を長らく行っていますが、あらゆる時期の『年率換算された実質GDP』がぴたりと一致したことなどただの一期たりともありません。実質だけでなく名目もそうですが。

当たり前です。今回であれば「2018年度第一四半期(4月~6月)のGDPを2017年度第4四半期(1月~3月)のGDPと比較したGDP成長率」が、今から9か月後まで継続しているわけがありません。充てられたとしたらそれはまさしく超能力。「予言者」です。

にも関わらず、なぜそんなフィクションの数字で新聞は一喜一憂しようとするのか。私にはまったく理解できません。


もう一つのフィクション「持家の帰属家賃」

これは、物価の見方 の中で散々記事にしているのですが、GDP統計の中には、本来加えるべきではない、「持家の帰属家賃」というものが数字として加えられています。

「持家の帰属家賃」とは、「もし自分がいま保有している持家が持家ではなく借家だったとすると家賃はいくらになるのか」という全く意味の理解できない数字です。

なぜこのような数字があるのかというと、海外では日本のように持家に住んでいる人が少ないため、海外の家賃と比較するために、わざわざ「持家の帰属家賃」という全く意味の分からない情報を計算式によって算出し、これをGDP統計にわざわざ加えているのです。

これだけは全く理解できません。

ですが、これは同じようなことを考えている人がいるということだと思います。GDP統計のうち、「家計最終消費支出」の中には、「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」という項目がわざわざ掲載されています。


前置きが非常に長くなりましたが、以上の理由から、私のブログでは、

1.実質GDPではなく名目GDPを大切にする
2.前期比ではなく前年同月比で成長率を見る
3.家計を見る場合は「家計最終消費支出」ではなく、「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」でみる

ということを大切にしています。ですので、基本的にはニュースから引用する場合を除いて私のブログには「前期比」に相当する情報は出てきませんので、ここをご理解いただきたいと思います。

長くなりますので、記事は次に分けます。

後編はこちら


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平成29年度1-3月期GDP第一速報が出ました。

・・・と申しますか、平成29年度第四四半期GDPが出た、ということは、即ち平成29年度の年度GDPが公表されたということなんですけどね。報道は以下のような内容で報道しています。

【日本経済新聞ニュースより】
1~3月実質GDP、年率0.6%減 9期ぶりマイナス  2018/5/16 8:50

 内閣府が16日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%減、年率換算では0.6%減だった。マイナスは9四半期ぶり。消費や設備投資、住宅投資が振るわず、内需が勢いを欠いた。輸出の伸びも鈍化した。

 QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比年率で0.1%減だった。生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.4%減、年率では1.5%減だった。名目は6四半期ぶりにマイナスになった。

 実質GDPの内訳は、内需が0.2%分の押し下げ効果、外需の寄与度は0.1%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.0%減と、2四半期ぶりにマイナスだった。生鮮野菜の高騰や実質賃金の伸び悩みが消費者心理を冷やした。

 輸出は0.6%増に鈍化した。自動車など欧州向けを中心に輸出が拡大した。半面、半導体関連の調整が響いた。輸入は0.3%増だった。

 設備投資は0.1%減と、6四半期ぶりにマイナスだった。生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ。住宅投資は2.1%減。貸家着工の落ち込みが響いた。公共投資は0.0%増。民間在庫の寄与度は0.1%のマイナスだった。

 総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.5%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.9%のプラスだった。

 同時に発表した2017年度のGDPは実質で前年比1.5%増、生活実感に近い名目で1.6%増だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

タイトルだけ示しますと、他社は以下通り。

 ・ GDP1-3月期年率-0.6%、内需頭打ちで2年ぶりに成長後戻り(Newsweekjapan)
 ・ 1-3月GDP年率0.6%減、9期ぶりマイナス成長-消費低迷(ブルームバーグ)
 ・ GDP1-3月期年率-0.6%、内需頭打ちで2年ぶりに成長後戻り(ロイター)
 ・ 1~3月期実質GDP、年率0・6%減 9四半期ぶりマイナス 消費低迷など響く(産経)
 ・ 実質GDP、年0.6%減-1~3月期=9期ぶりマイナス、景気足踏み鮮明(時事通信)
 ・ 実質GDP、前期比0.2%減 9四半期ぶりのマイナス(朝日)

というような内容になっており、どの記事も、「1-3月期の『実質GDP』が『年率(もしくは前期比)』でマイナス成長」ということをピックアップして記事にしています。

これは、内閣府からマスコミ向けに行われている公表資料がそうなっているから仕方がない、といえば仕方がないんですが、逆に言えば、どの報道局も内閣府が公表した資料を検証することすらせず、ただ言われたとおりに発表しているだけってこと。だったらそれって「マスコミ」である必要あるの?、というのが私の正直な感想です。


「GDP」の「実質」や「名目」の違いについては第218回の記事 でわかりやすくご説明させていただいておりますが、実質や名目を計算する際の公式となっている

「名目GDP=GDPデフレーター×実質GDP」

という公式の下となっているのは

「売上総額=(平均)単価×売上総数」

という公式です。「売上総額」の最大値を表しているのが「名目GDP」であるという考え方は難しくないと思いますが、「売上総数」に関しては、「リットル」や「グラム」、「個数」、「敷地面積」、「サービスの質」など、売上数量を計算する際の共通した単位がない為に、これを「円」であらわしたものが「売上総数」の最大値である「実質GDP」。

そして、「売り上げ単価」の最大値であるGDPデフレーターも本来であれば「円」であらわされるべきものですが、便宜上「%」に相当する数字が用いられています。

「名目GDP」そのものも「加重平均」という計算式を積み重ねることで人為的に算出された数字ですが、「実質GDP」はその名目GDPを、さらに人為的に計算された「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」に代表される物価指数で割って計算されたもの。

そしてマスコミが報道している「年率換算」とは、またさらに根拠の薄い計算式を用いて計算された「季節調整系列」の「前月比」をはじき出し、これを「同じ成長率が1年間続いたらどうなるのか」という、まったく計算する意味すらない「フィクション」の数字をはじき出したものです。(1年間同じ成長率が続くことなどまずありえません)

そんなでたらめの数字が「-0.6%」と計算され、「9期ぶりのマイナスを記録しましたよ」と危機感を煽っているのが今回のGDPの「第四四半期」に関連したほぼすべてのニュースです。

せっかく年間を通じた「GDP」が公表されたのに、なぜこの数字をメインタイトルとして記事にしないのでしょうか?
また、わざわざ「季節調整」などという全く意味のない計算など行わず、なぜ「前年の同じ季節」と比較したものを記事にしないのでしょうか?

私には全く理解できません。ということで、私の記事ではまず「前年の同時期」と比較した四半期別のデータを記事とし、そのあとで「2017年度GDP」について記事にしたいと思います。


2017年度GDP第四四半期第一次速報

【2017年度GDP第四四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 136.633 兆円(1.4%)

 民間最終消費支出 75.170 兆円(1.0%)
 家計最終消費支出 75.743 兆円(1.9%)
  除く持家の帰属家賃  61.573 兆円(1.1%)

 民間住宅 4.127 兆円(-4.1%)
 民間企業設備 24.842 兆円(3.1%)

実質GDP
全体  134.497 兆円(0.9%)

 民間最終消費支出  74.745 兆円(0.2%)
 家計最終消費支出  72.932 兆円(0.2%)
  除く持家の帰属家賃  59.537 兆円(-0.0%)

 民間住宅  3.826 兆円(-5.7%)
 民間企業設備 24.316 兆円(2.4%)

内閣府

いかがでしょうか?

これが、本当の「2017年度第四四半期(1-3月期)」のGDPです。

2017年度第四四半期のGDPは、物価変動の影響を除く実質で前年度比0.9%増。前年と比較していますから、年率換算など行う必要は全くありません。

ちなみに・・・ですが、2016年度第四四半期の実質GDP年率換算は2.6%となっています。何が言いたいのかといいますと、2016年第四四半期の年率換算は、「今後同じ経済成長が続けば1年後には実質GDPが0.9%上昇しますよ」という数字なのですが、実際には0.9%しか成長していません。

つまり昨年2016年度1-3月期に行われた「年率換算」は、まったくのでたらめであったということです。

「実質GDP成長率が予測より少なかった」と耳にしますと、まるで経済成長が予測を下回っているように聞こえてしまいますが、ここでマスコミが全く報じない「名目GDP年率換算」を見てみますと、2016年度1-3期の名目年率換算は「0.6%」となっています。

もし仮にこの年利換算通りの経済成長率となっていたとすれば、

名目年率換算(0.6)-実質年率換算(2.6%)=デフレーター年率換算(-2.0%)

となっていたことになりますので、実質GDPこそ成長したとしても、物価はなんと2%も下落していたことになるのです。これでは「デフレ」に舞い戻っていた計算になりますね?

ですが、実際の数字は

2017年度第四四半期名目GDP成長率(1.4%)- 実質GDP成長率(0.9%)=GDPデフレーター(0.5%)

これが実際の結果です。0.5%という物価上昇率に賛否の声はあると思いますが、私はこれで十分だと考えています。


ちなみに、この数字を私たちの生活に最も近い数字である「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」で見てみますと、以下のようになります。

2017年度第四四半期名目成長率(1.1%)- 実質成長率(-0.0%)=デフレーター成長率(1.1%)

となります。

実質の家計最終消費支出こそほぼ横ばいとなっていますが、名目、およびデフレーターは1.1%上昇しています。

この現象を分かりやすく表現するとすれば、

 『売上数量こそ横ばいだったが、単価が1.1%上昇し、結果的に売上高全体は1.1%上昇した』

という結果になっているのです。本当に報道機関が内閣府の公表した情報を理解しているのなら、このように表現すべきです。

また、さらに特徴的なのは、「企業設備投資」です。これが名目で前年度と比較して3.1%の増資。実質で2.4%の増資となっています。

この状況を、日経では以下のように報道しています。

設備投資は0.1%減と、6四半期ぶりにマイナスだった。生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ。

曲がりなりにも、「日本経済」新聞を自称している報道機関ですよ? なんで「前年度」ではなく「前期」と比較したがるくせに、その数字は「年率換算」を用いているんでしょう?

おかしくないですかね? 前年度と比較して名目で3.1%、実質で2.4%も「増資」がなされているのに、「生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ」って、どう考えても報道の在り方としておかしくないですかね、日経さん。


2017年度GDP第一次速報
【2017年度GDP第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 548.122 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出 303.945 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 295.753 兆円(1.1%)
  除く持家の帰属家賃  245.780 兆円(1.3%)

 民間住宅 17.271 兆円(1.5%)
 民間企業設備 86.820 兆円(3.8%)

実質GDP
全体  532.467 兆円(1.5%)

 民間最終消費支出  299.536 兆円(0.8%)
 家計最終消費支出  291.374 兆円(0.8%)
  除く持家の帰属家賃  238.002 兆円(0.7%)

 民間住宅  16.008 兆円(-0.3%)
 民間企業設備 85.092 兆円(3.0%)

本来であれば、この情報こそタイトルで掲載すべき情報です。

「年率換算」などせずとも、この情報が2017年度の経済状況を、少なくとも「年率換算」と比較すれば、下手な計算式が少ない分、より正確に算出されている経済状況を示した数字です。

唯一前年度割れしているのが「民間住宅」の「実質GDP」ですが、この状況をもし私が新聞で記事にするのであれば、以下のように掲載します。

2017年度GDP、1.6%増 6年連続のプラス

内閣府が16日発表した2017年度国内総生産(GDP)速報値は、日本国全体の経済状況を表す名目で前年度比1.6%増。物価変動を除いた実質でも1.4%のプラス成長だった。プラス成長は安倍内閣が12月に誕生した2012年度以来6年連続。

家計消費、特に私たちの生活の実感に最も近い消費状況を示す、「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」が1.3%のプラス成長。企業も含めた全体での消費支出は1.2%のプラス成長であった。

中でも特に成長が顕著であったのは企業による設備投資費で、名目で3.8%、物価変動の影響を除いた実質でも3.0%の増資が行われており、企業業績の堅調さがGDPの面からも明らかとなっている。

家計による住宅の着工件数を表す「民間住宅」が実質で前年度を下回ったが、名目は1.5%と前年度を大きく上回っており、民間住宅の着工件数こそ縮小したものの、住宅購入者一人ひとりが、住宅1件に行う支出がより大きくなっていることをうかがわせる結果となった

日経の記事は、「たぶん今年の3月には、昨年の3月と比較して0.6%くらい日本国全体の消費数量が落ちてるから、今年度の経済状況は悪くなってるんです」と言っているに等しい記事です。

少なくとも「日本経済新聞」を名乗るのであれば、前年度と比較して着工件数で3.0%、着工総額で3.8%前年度よりも増資されているにも関わらず、「設備投資は0.1%減と、6四半期ぶりにマイナスだった。生産活動の回復が鈍く、設備投資需要が伸び悩んだ」などという飛んでも記事を書くのはやめていただきたいですね。



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平成29年度10-12月期GDP第一速報が出ました。

第二四半期速報の記事 でお示ししました通り、「季節調整」や「年率換算」はあてにならない、ということで、私の記事では「原系列」「前年同月比」を中心に記事を進めます。

まずは今回のGDP速報に関するニュース記事を引用してみます。

【日本経済新聞 電子版】 2018/2/14 11:00
GDP実質年0.5%成長、消費・投資けん引 10~12月

 内閣府が14日発表した2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.1%増、年率換算で0.5%増だった。プラス成長は16年1~3月から8四半期連続で、約28年ぶりの長さとなった。好調な輸出と設備投資を背景に企業部門がけん引し、個人消費も昨夏の天候不順による低迷から持ち直した。

 丸2年に及ぶ成長は、バブル期前の1986年4~6月期から12四半期連続でプラスだった時以来。茂木敏充経済財政・再生相は14日の記者会見で「雇用・所得環境が改善して経済成長が着実に進んでいる」と述べた。

 実質GDPの増加率は市場予測の中心値(年率0.9%増、QUICK調べ)を下回った。2四半期続け実質で年率2%を超えた4~6月、7~9月期と比べると減速。16年1~3月期から2年続くプラス成長の期間で最も低い成長率となった。1%程度とされる経済の実力(潜在成長率)も下回っている。

 前期比で0.1%増となった実質GDPの伸びにどれだけ影響したかを示す寄与度を見ると、内需が0.1%分押し上げ、外需は0.03%分マイナスとなった。

 内需のけん引役は企業部門で、設備投資が0.7%増と5四半期連続で増えた。工作機械が特に好調だった。個人消費も0.5%増と、長雨など天候不順の影響で落ち込んだ前期のマイナスから持ち直し、2四半期ぶりにプラスとなった。携帯電話や自動車、飲食サービスが増加に寄与。内閣府は「外食や旅行なども総じて見れば持ち直し傾向にある」とする。

 新設住宅着工が減少した民間住宅と、16年度補正予算の効果が縮小した公共投資はともに2四半期連続で減少した。民間在庫変動も、在庫残高の増加幅が前期から縮小したことがマイナスに寄与した。

 外需の寄与度はわずかにマイナスとなった。輸入がアジアからのスマートフォン(スマホ)やオーストラリアなどからの燃料が増えたため2.9%増えた。アジア向け半導体製造装置や自動車が好調で、輸出が2.4%増と伸びたが、輸出から輸入を差し引いて計算する寄与度ではマイナスだった。

 生活実感に近い名目GDPは0.03%減、年率換算で0.1%減だった。原油価格の上昇で、名目で見た輸入額が増え、その分、GDP成長率が押し下げられた。

 同日発表した17年の実質GDPは前年比1.6%増と、6年連続のプラスとなった。個人消費が1.0%増、設備投資が2.8%増と好調だった。内需・外需ともにプラスに寄与した。物価の動きを総合的に示すGDPデフレーターは前年比マイナス0.2%で、4年ぶりマイナスだった。

 茂木経財相は会見で17年の名目GDPが546兆円と過去最高を更新したと明らかにした。そのうえで「生産性革命で賃上げをしっかり進め、所得と消費の拡大につながる状態をつくっていきたい」と指摘した。足元では株や為替など金融市場の変動が大きい。消費回復の道のりを確かなものにするには、春季労使交渉での賃上げを実現できるかがカギを握る。

引用元は日経新聞ですが、記事タイトルとしてはどこも同様で、

・実質GDP年率換算が前期比で0.5%増加。8四半期連続で、約28年ぶりの好成績

をほとんどの記事で強調しています。さて。ではこの内容、「本当」なのでしょうか?

私が何を言いたいのか、皆さんすでにお分かりだと思いますが、第二四半期速報の記事 でお伝えしたように、まず「年率換算」の「前期比」はそもそもあてにならない。

「年率換算」しているから、あたかも同じ状況が1年間連続して続いているかのように思われますが、しょせんこのデータは一四半期、つまりたった3か月の実績が、「1年間続いたらどうなるのか」というフィクションに基づいて計算されたもので、例えば消費者物価指数 のデータで考えると、「持家の帰属家賃」と同等の虚構データ。

しかも年率換算を行うために「季節調整」が行われており、さらになぜかマスコミが年率換算のデータを代替的に公表するのは「実質GDP」に関するデータのみ。

実質GDPは名目GDPを「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」で割ったもの。

消費者物価指数そのものが「加重平均」という特殊な計算方法を用いて算出された、お世辞にも「正確である」とは言えないデータでありなぜそのような正確性に欠けるデータを重宝したがるのかが私には理解できません。


前置きが長くなりましたが、改めて「2017年度GDP第三四半期第一次速報」について記事にしてみます。


2017年度GDP第三四半期第一次速報

【2017年度GDP第三四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 142.426 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出 78.170 兆円(1.4%)
 家計最終消費支出 75.649 兆円(1.4%)
  除く持家の帰属家賃  63.151 兆円(1.7%)

 民間住宅 4.419 兆円(-0.4%)
 民間企業設備 21.484 兆円(3.9%)

実質GDP
全体  136.003 兆円(1.5%)

 民間最終消費支出  76.501 兆円(1.1%)
 家計最終消費支出  74.219 兆円(1.1%)
  除く持家の帰属家賃  60.836 兆円(1.1%)

 民間住宅  4.094 兆円(-2.2%)
 民間企業設備 21.000 兆円(3.0%)

内閣府

さて、いかがでしょうか。ニュースでは、「GDP実質年0.5%成長」であるとし、このプラス成長が「16年1~3月から8四半期連続」で続いていることを強調して取り上げています。

ニュース記事になっている「GDP実質年0.5%成長」は、「季節調整済み実質GDP年率換算『前期比』0.5%成長」というのが正確な表現方法です。

「GDP実質年0.5%成長」という表現方法が、いかに正確性を欠いた、読者に対して誤読させやすい表現であるのかということがよくわかります。「年0.5%」と書いていますが、これははっきりと言って「フェイクニュース」ですね。


ニュース叩きはこの辺りで終えます。ニュース情報では、「季節調整済み実質GDP前期比」を「年率換算」しても0.5%しか成長していない、と言っていますが、私が大切にしている「原系列、前年同月比」で見ますと実質GDP成長率は1.5%。

これは「季節調整」だの「年率換算」だの全く不必要な計算など行っていない、「実数」です。

しかも昨年の10月~12月という同時期と比較していますから、わざわざ「年率換算」などというごまかしの計算を行わずとも、同じ季節を比較していますから、より近しい経済状況が比較されています。

そして、「実質GDP原系列前年同月比」で考えれば、プラス成長は連続で12か月継続していることになります。これは、増税年度である2014年の12月からスタートしていますから、消費増税の「影響」が本当にそこまで大きかったのかということさえ疑問視される結果です。

これを、「名目GDP」で見ますと、名目GDPの「原系列前年同月比」は1.6%。増税年度も含まれますが、安倍内閣がスタートした2013年度第1四半期から連続で19か月続いています。

この詳細な理由として、日経新聞では「好調な輸出と設備投資を背景に企業部門がけん引し、個人消費も昨夏の天候不順による低迷から持ち直した」としています。

ですが、日経が指標としている「実質GDP年率換算前期比」で考えると、確かに「輸出」の前期比は10.0%ですが、「輸入」の前期比は12.0%と輸出を上回っており、輸出から輸入を差し引いた「純輸出高」は-1.076兆円となっていますので、輸出入全体でみると日本国内のGDPを引き下げる傾向に働いていることがわかります。

「輸出」単独で見れば2.177兆円増となっていますので、確かに「けん引している」と言えなくはありませんが、その分2.61兆円「輸入」という形で海外に資金が流出していますので、「海外との取引」として輸出入は一体として判断する必要があるのではないでしょうか。


2017年度GDP第三四半期第一次速報の見方

それでは、ここから改めて私の視点を交えた「2017年度GDP第三四半期第一次速報」について記事にしてみたいと思います。

今回のGDP速報の中で大きいのは、やはり海外の需要を指標とするのではなく、国内の消費状況を判断基準とするべきなのではないでしょうか?

その点で言いますと、今回の速報で大きいのは、「民間消費支出」、この中でも特に「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」と「民間住宅」の見方になるのではないでしょうか。

もちろん記事にもある通り、企業の設備投資費は「名目GDP原系列前年同月比」で見ても3.9%と前年を大きく上回っていますので、確かにGDPをけん引しているのでピックアップすることに意味がないことはないのですが、金額にすると7990億円で1兆円を下回る金額。

一方の「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」は成長率が1.7%で、民間企業設備に比べるとその成長率こそ低くなっているものの、金額で見れば1.030兆円となっており、企業設備投資費よりも大きくなっています。

もう一つのポイントとして挙げた「民間住宅」ですが、ここは逆に-0.4%となっており、前年度を下回っています。

特に「民間住宅」は2015年第二四半期以来、9四半期連続で、最低でも3.6%、大きい時で7.7%と、日本国の経済状況を大きく反映してきた項目です。

ここがマイナスに転じたという点はGDPの見方として、一つ留意が必要な部分だと思われます。

このようにしてみますと、今回のGDPの成長率をけん引したのは、企業設備投資費もさることながら、やはり民間の「最終消費支出」、つまり「個人消費」にあったのではないでしょうか。


総括

「個人消費」が伸びた理由の一つとして、12月より「エネルギー物価」の「前年同月比」がマイナスからプラスに転じたことがあげられると思います。

ただし、マイナスからプラスに転じた、とは言ってもそれは12月からの話。しかも前年度と同水準になっただけであり、個人消費高全体を引き上げるところにまではまだ到達していません。

この影響が強く出始めるのは第四四半期から。ですので、特に次回の四半期別GDPを見る際には注意が必要です。

ですが、次回はいよいよ「年度別GDP」が登場する四半期。このこともまた楽しみにしたいと思います。

増税年度が含まれているとは言え、「個人消費」や「企業の設備投資」に支えれれて、19四半期連続での名目GDPプラス成長という状況は、いよいよ「アベノミクス」の効果が日本全体に定着し始めているのではないかと、そう感じさせられる今回のGDP速報でした。



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平成29年度7-9月期GDP第一速報が出ましたので、今回はこの内容で記事を作成してみます。(2017年11月16日)

この件に関する今回のニュースは軒並みこんな感じです。

【朝日新聞デジタル】(2017年11月15日09時48分)
実質GDP7─9月期年率+1.4%、16年ぶりの7期連続プラス成長

[東京 15日 ロイター] - 内閣府が15日に発表した2017年7─9月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比0.3%増、年率換算1.4%増と、7四半期連続のプラス成長となった。7四半期連続の成長は99年4─6月期からの8四半期連続以来、16年ぶり。ロイター予測の年率1.3%増に沿う結果となった。内需がけん引役だった4─6月期と異なり、外需が全体を押し上げた。

 民間消費は同0.5%減と7四半期ぶりにマイナスとなった。4─6月に極めて高い伸びとなった反動が出たほか、長雨や台風など天候不順が旅行や外食などを下押し。自動車や携帯電話という耐久財も減少した。

 設備投資は同0.2%増と4四半期連続の増加。前期より減速したが、企業の高収益や低金利などの環境が後押しし、船舶や汎用機械、パソコンなどが増加に寄与。一方、工作機械やソフトウエアなどは減少した。

 外需は前期から一転してプラス寄与となった。海外経済の回復が続く中、アジア向けIT関連や米国向け自動車・資本財の輸出が寄与。他方で輸入がエネルギーを中心に減少。スマートフォンの輸入も供給不足で下押しした。

 この結果、内需の寄与度はマイナス0.2%、外需はプラス0.5%となった。

 内閣府幹部は「均してみれば緩やかな回復」とみている。ただ、企業収益が強い割に賃金の伸びが弱く、消費や内需全体の力強さに欠ける面が大きいとしている。

 GDPデフレータは前年同期比プラス0.1%と5四半期ぶりにプラスに浮上。前期比でもプラス0.3%だった。名目GDPは前期比年率プラス2.5%だった。

内閣府

 ポイントとなるのは、

 ・2017年度第2四半期実質GDPが「季節調整系列」「年率換算」で「1.4%」上昇した。
 ・内需がけん引役だった4─6月期(第一四半期)と異なり、外需が全体を押し上げた。

この2点です。毎日新聞だとこの内容が以下の様になっています。

【毎日新聞】2017年11月15日 11時58分
GDP 消費の弱さ、輸出が支え 年1.4%増

 2017年7~9月期の実質GDP成長率は、年率換算で1.4%増と7四半期連続のプラス成長を維持した。だが、個人消費の落ち込みを輸出がカバーし、輸出主導の成長に逆戻りした形。景気拡大は続いているものの、消費回復は依然、おぼつかないことが浮き彫りとなった。

 7~9月期は、4~6月期に大幅な伸びを示した個人消費が一転、7四半期ぶりに減少した。4~6月期の反動減や天候不順による外食関連の落ち込みなどが要因とみられ、市場では「落ち込みは一時的」との見方が多い。だが、9月の実質賃金が前年同月比0.1%減となるなど賃上げのペースが鈍いことに加え、年金など将来不安を背景に消費者の財布のひもは固いのが実情だ。

 一方、7~9月期の「外需」が全体の成長を下支えしたのは、米国などの景気拡大で輸出が増加したことが背景にある。しかし、輸入は減少。スマートフォンの輸入減など一時的な要因もあるが、振るわない内需を反映した可能性もある。

 実質GDPが7四半期以上のプラスとなったのは、1999年4~6月期から01年1~3月期までの8四半期連続以来。当時は、世界的なIT景気の追い風で景気が拡大した。

 今回のプラス成長が始まった16年1~3月期は、14年4月の消費税増税による影響を脱した時期。円安などを追い風に企業業績は回復し、有効求人倍率が高度成長期並みの水準となるなど雇用情勢も改善した。しかし、今回の景気回復も世界経済の回復に支えられた面が大きい。

 安倍晋三首相は10月の衆院選で国内の経済指標改善を「アベノミクスの成果」とアピールしたが「景気拡大の実感に乏しい」との指摘は根強い。消費を底上げして力強い成長を維持するには、賃上げにつながる成長戦略などの着実な実行が求められている。【井出晋平】

私はこの記事に異を唱えたい!!!

今回ほど「季節調整」や「年率換算」が全くあてにならないことが示されたGDP速報はないと思います。いや、実際にはあるんでしょうが、久々だと思います。

シリーズGDPの見方 を遡ってみていただければよくわかりますが、私は一貫して

 「季節調整系列」という数字も、「年率換算」という数字も私自身は全く信用していません。

とお伝えしていますね? 今回のGDP統計は、これが露骨に示された結果となりました。


2017年度GDP第二四半期第一次速報統計結果

私が毎回お示ししているGDP統計は、必ず

 「名目原系列、前年同月比」

です。

【2017年度GDP第二四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 133.277 兆円(1.7%)

 民間最終消費支出  75.469 兆円(0.9%)
 家計最終消費支出 73.565 兆円(0.8%)
  除く持家の帰属家賃  61.072 兆円(1.0%)

 民間住宅 4.505 兆円(4.0%)
 民間企業設備 20.708 兆円(4.2%)

実質GDP
全体  131.593 兆円(1.7%)

 民間最終消費支出 74.783 兆円(0.7%)
 家計最終消費支出  72.757 兆円(0.7%)
  除く持家の帰属家賃  59.432 兆円(0.6%)

 民間住宅  4.201 兆円(1.5%)
 民間企業設備 20.308 兆円(3.0%)

いかがでしょう?毎日新聞が報道している「消費の弱さ」を示しているのは、「民間最終消費支出」の事を言っています。

これも毎回お伝えしていることですが、「実質GDP」とは、「名目GDP」を「持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数」で割ったものです。

シリーズ物価の見方 の中で、私は毎月この「消費者物価」についても記事にしていますが、第53回の記事 で記していますように、私は実質化する際に用いられる「加重平均」という計算方法そのものに疑問を持っています。

ただ、それでも参考にはなるので記事にしているわけです。

ですから、「実質GDP」という数字そのものもまともには信じていませんが、それでも原系列で見る限りは「季節調整系列」や「年率換算」よりマシ。

ですが、マスコミがこぞって重要視するのはなぜか「名目GDP」ではなくこの「実質GDP」(「季節調整系列」「年率換算」)なのです。

さて。そんな実質GDP(原系列)ですが、今月で見れば全体が1.7%、民間消費支出が0.7%、家計のうち持ち家の帰属家賃を除くものが0.6%と、民間消費支出はGDP全体を引き下げる方向に働いてはいます。

ですが、それでも「消費」を見るうえで一番大切な持ち家の帰属家賃を除く家計で0.6%とプラス方向に上昇しており、「消費の弱さ」と銘打つほど消費が弱いと言えるのでしょうか?

また更に言えば、実質は「民間」「家計」全体を「持ち家の帰属家賃を除く家計」が下回っていますが、名目だと逆に上回っています。名目はGDP全体では実質と同じ1.7%成長ですが、持ち家の帰属家賃は実質より0.4%多い1.0%成長。

もう言うまでもありませんが、マスコミの情報がここまでネガティブな理由は、マスコミが用いている情報は「実質GDP」を「季節調整」して「年率換算」した「前期比」を用いているからです。

では、そのマスコミが用いているデータを掲載してみます。


2017年度GDP第二四半期第一次速報統計結果(マスコミベース)

【2017年度GDP第二四半期第一次速報季節調整系列(前期比/年率換算)】
名目GDP
全体 545.819 兆円(0.6%)

 民間最終消費支出  302.864 兆円(-0.4/-1.8%)
 家計最終消費支出 295.048 兆円(-0.5/-1.9%)
  除く持家の帰属家賃  245.068 兆円(-0.6/-2.3%)

 民間住宅 17.550 兆円(-0.2/-0.6%)
 民間企業設備 84.916 兆円(0.6/2.4%)

実質GDP
全体  530.796 兆円(0.3%/1.4%)

 民間最終消費支出 299.374 兆円(-0.5%/-1.8%)
 家計最終消費支出 291.526 兆円(-0.5%/-1.9%)
  除く持家の帰属家賃  238.217 兆円(-0.6%/-2.6)

 民間住宅  16.349 兆円(-2.6%)
 民間企業設備 83.054 兆円(0.2%)

こうやって見てみると、なぜマスコミがネガティブな記事を連発しているのか、よくわかりますね。

そう。「原系列、前年同月比」で見ると民間消費は軒並みプラス成長しているんですが、「季節調整系列、前期比」で見るとマイナス成長しているんですね。

しかも、その「季節調整系列、前期比」を「年率換算」すると、そのマイナス幅は更に誇張されてデータとして出てきます。

ちなみに「年率換算」を行うための計算式は第140回の記事 に詳細に記しています。

「年率換算」とは、「季節調整を行ったGDP同士を比較したGDPの『前期比』が1年間続いたらどうなるのか」という、全くの虚構の数字です。

たった3か月間の経済成長率が1年間も継続して続くわけがありませんし、何より「前年同期比」という前年度と比較した「実績」が既に存在するのに、なぜそんな「年率換算」などという架空の数字と比較したがるのか、私にはまったく理解できません。

例えば

「前年同期と比較すると〇〇%の成長率だが、前期比と比較すると〇〇%である。このままの経済成長が続けば1年後には〇〇%となるので今のうちに早急な経済対策が必要だ」

といった趣旨の記事を記すのであれば理解できます。

ですが、現在年率換算を用いた各社の記事を私なりに意訳するとすれば、

「現在の日本の経済は、1年後の未来には〇〇%となることが予言されている。これは経済政策が失敗したことを意味している」

と言っているのに等しいのです。未来に〇〇%となるという予言を行った上で、「だから経済政策は失敗だ!」と言われて、なんで誰も疑問を持たないんでしょうか?

では、マスコミが「今の経済をけん引している」と言って憚らない「輸出入GDP」を見てみましょう。パーセントで見ると実態を見失いかねないので、実額で見てみます。


2017年度輸出入GDP第二四半期第一次速報統計結果

【2017年度7-8月期輸出入GDP(原系列:前年比増減幅/年率:前期比増減幅】
名目輸出原系列 23.819兆(+2.946兆)
名目輸出年率 96.644兆(+2.792兆)

名目輸入原系列 22.131兆(+2.599兆)
名目輸入年率 89.96兆(-0.3992兆)

名目純輸出(輸出-輸入)原系列 1.688兆(+0.355兆)
名目純輸出(輸出-輸入)年率 6.684兆(+3.191兆)

実質輸出原系列 22.194兆(+1.333兆)
実質輸出年率 89.424兆(+1.303兆)

実質輸入原系列 22.265兆(+0.505兆)
実質輸入年率 89.771兆(-1.454兆)

実質純輸出(輸出-輸入)原系列 -0.071兆(+0.818兆)
実質純輸出(輸出-輸入)年率 -0.347兆(+2.757兆)

「原系列」では名目・実質とも増減幅は「前年同期」からの増加幅になっています。
「年率」は言うまでもなく季節調整系列を年率換算したもので前期からの増加幅になっています。

輸出入GDPを考えるときに大切なのは「純輸出」を見る習慣です。表に記しているように「輸出」から「輸入」をマイナスしたもの。

原系列で考えますと、

 名目 0.355兆増 実質0.818兆増。

年率換算で考えると

 名目 3.191兆増 実質2.757兆増

となります。

年率換算の場合は民間消費支出が民間住宅まで含めてマイナスになっていますから、名実とも確かに「輸出(外需)がけん引している」と言えなくもありません。

ですが、原系列で考えるとどうでしょう?


「原系列」と「季節調整系列」で異なる輸出入GDPのGDP全体への影響

原系列で考えると、例えば「民間最終消費支出」は名目で0.647兆、実質で0.517兆増加しています。

「持ち家の帰属家賃を除く家計」で見ると名目は0.581兆、実質で0.331兆増加しています。

特に大きいのは「民間企業設備」で、こちらは実質だと0.593兆円ですが、実質では0.827兆円増加しています。

実質の純輸出GDPは前期比で0.818兆増えていますから民間企業設備の0.593兆を上回っています。
ですが、これが「名目」になると逆に純輸出GDPの増加幅はは0.355兆に留まり、民間企業設備は0.827兆円増得ていますから、金額にして約2700億円ほど民間企業設備の方が上回っています。

更に名目は民間消費が0.647兆円、個人消費は0.581兆円ですから、民間全体の消費も、ここから企業の消費を除いた個人消費もともに「輸出入GDP」の増加幅を上回っているわけです。

これを見て、どうして毎日新聞は「消費の弱さ、輸出が支え」などという記事を書くことが出来るのでしょうか?


「季節調整系列」とは、「季節特有の経済現象(クリスマス夏休み、お正月など)を除外する」ことを目的として、「人為的」に数字をコントロールした数字です。

前年と比較する場合は「季節特有の経済現象」と比較する必要はありませんので、わざわざ季節調整を行う必要はありません。

ですから、「季節調整系列」とは「異なる季節同士」を比較するためにコントロールされているもので、主に経済成長率の「前期比」を比較するために用いられています。実際の経済活動に基づかない、人為的な計算式に基づいて算出されているものですので、はっきり言って「参考程度」にしかならない数字です。架空の数字と言っても言い過ぎではないと思います。

そして繰り返しになりますが、「年率換算」とは、そんな架空の数字である「季節調整系列」が、「もし仮に1年間続いたとしたら1年後のGDPは年間でいくらになるのか」という、「架空の数字を利用して算出した未来予測を行うための数字」にすぎないのです。

例えば、「5年後に日本の平均気温は今と比較して3度上昇する」という予測がなされたとして皆さんは信じるでしょうか?
「ひょっとするとそうなるかもしれないよね」とは思うかもしれません。そうならないために温暖化対策を今から行っておきましょう、という程度のものだと思います。

では、「昨年の平均気温は一昨年と比較して0.1度下がりました。ですが5年後は3度上昇します」といわれたらどうでしょうか?

普通、一気にその信ぴょう性は下がるんじゃないですか?

今回のGDP統計、例えば「持ち家の帰属家賃を除く家計消費」で考えるのなら、

 「今期の持ち家の帰属家賃を除く家計は一昨年と比較して1%上昇しています。ですが、このままの経済政策を続けるのなら、1年後の家計消費は前年と比較して2.3%下落します」

と言われているようなもの。

もっと言えば、「輸出入GDP」に関してもそうです。

日本の過去の原系列の事例から見れば、基本的に「輸出」が増えるときは同時に「輸入」も増えますから、結果的に「純輸出GDP」が輸出側、輸入側どちらかに偏って大幅に変化することはありません。あり得るとすれば海外で大きな経済危機が発生した場合。もしくは大幅な為替変動が発生した場合です。

ですが、例えば今回の年率換算で言えば、1年後の輸出は12.4%増え、輸入は1.8%下落することになっています。

実は、マスコミがこぞって「外需がけん引した」という報道を行っている最大の理由はここにあるんですね。
しかしそんな「12.4%」などという数字は、所詮計算式から算出されたフィクションの数字にすぎません。

少なくとも「前年同期比」で見る限り、今期の純輸出GDPの増加幅は「民間消費」全体どころか、持ち家の帰属家賃を除いた「家計消費」すら下回っており、とても「輸出が支えになっている」と言える状況になどないことは歴然としています。

今回の第二四半期GDPを支えてしているのは間違いなく「企業設備投資」であり、「民間消費」であり、果ては「家計消費」が支えているのです。

更に。名目原系列全体で見るのなら、実は今年度第一四半期のGDPを第二四半期のGDPは下回っています。

ですが、「企業」も、「家計」も、そして「輸出入」もすべて第一四半期を上回っています。

実は、GDP全体に対するマイナス要因として作用しているのは「政府最終消費支出」、そして「企業在庫変動」の二つ。

安倍内閣が目指している最終的な消費形態は「政府がサポートせずとも、民需だけで自律的に回転する経済」です。
また「在庫変動」が減少しているということは、それだけ「新規商品が消費されており、在庫が蓄積されていない」ことを示しています。

つまり、安倍内閣は明らかに安倍内閣が進めようとしている方向に向けて、着実に歩みを進めていることを如実に示した統計結果なんです、今回のGDP速報は。

マスコミさん、少しは統計資料を読み取る力を身につけましょうよ、ほんと。

政府が発表した通りに記事を作るくらいだったらマスコミがマスコミである必要なんて全くありませんよ?、ほんと。



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第一四半期ですので、4月~6月期GDP速報になります。
ニュースではこんな感じですね。関心がある方は全文目を通してみてください。

GDP、年4.0%増=11年ぶり6期連続プラス-内需堅調で・4~6月期 (共同通信社記事より)
 内閣府が14日発表した2017年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%増、この成長ペースが1年続くと仮定した年率換算では4.0%増だった。

 個人消費や民間の設備投資など国内需要が堅調で、輸出の落ち込みを補い、11年ぶりに6四半期連続のプラス成長となった。年率の伸びは15年1~3月期(4.8%増)以来の大きさ。

 物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比1.1%増、年率4.6%増。16年後半以降の輸出主導型の経済成長が内需主導型に切り替わりつつある。

 茂木敏充経済再生担当相は記者会見で、「良い数字だが、消費はまだ力強さに欠ける」と指摘した。景気の先行きについては「緩やかに回復していくことが期待される」と語り、安倍政権が掲げる「人づくり革命」や生産性向上などの重点課題に取り組むことで、内需主導の持続的な成長を目指す考えを示した。

 実質GDPを項目別に見ると、個人消費は前期比0.9%増と6期連続のプラス。雇用・所得環境の改善から飲食・サービスが好調で、買い替え需要などで自動車販売やエアコン、冷蔵庫も伸びた。

 設備投資は2.4%増。人手不足を背景に、建設業や小売業などで省力化投資が伸びた。住宅投資は戸建て、貸家ともに底堅く1.5%増。公共投資は、16年度第2次補正予算の執行が本格化したことに伴い5.1%増。伸び率は第2次、第3次安倍政権を通じ最大の13年7~9月期(5.0%増)を上回った。

 輸出は0.5%減と4期ぶりのマイナス。統計上は輸出に分類される訪日外国人の消費は増えたが、アジア向けのスマートフォン関連部品の需要一服などが響いた。輸入は原油・天然ガスの価格上昇から1.4%増えた。

 実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度は内需がプラス1.3%。一方、外需はマイナス0.3%で、6期ぶりのマイナスだった。(2017/08/14-11:46)

内閣府

要約すると、2017年度第一四半期GDPの内、季節調整を行った実質GDPの前月比が1%上昇し、これを年率換算すると4%の上昇率になりますよ、ということになります。

ただ、私のブログにおいて、GDPに関連する記事では繰り返しお伝えしています通り、そもそも

 ・「名目GDP」そのものがサンプルデータを用いて人為的に作成されたデータであること
 ・「実質GDP」はこの数字を更にサンプルデータを用いて人為的に作成した「持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数」で割ったものであること
 ・この実質GDPを更に人為的に作成した公式に当てはめて計算した数字が「季節調整系列」であること。
 ・更に「年率換算」は前述した方法によって算出された「季節調整系列前月比」が「仮に4半期連続で継続したとしたらいくらになるのか」というありえない予測に基づいて算出されたフィクションの数字であるということ

以上の様な理由により、「季節調整系列」という数字も、「年率換算」という数字も私自身は全く信用していません。

一つ目の、「名目値」に関するバイアスだけは解消することができないけれども、他のバイアスに関しては解消することが可能である、「名目原系列、前年同期比」を検証することが一番大切なことだと私は考えています。

ということで、私のGDP速報は、この「名目原系列、前年同月比」を中心に記事を進めてみたいと思います。


2017年度GDP第一四半期第一次速報統計結果

【2017年度GDP第一四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 134.556 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出  75.012 兆円(1.9%)
 家計最終消費支出 73.095 兆円(1.8%)
  除く持家の帰属家賃  60.613 兆円(2.2%)

 民間住宅 4.185 兆円(7.3%)
 民間企業設備 19.407 兆円(6.4%)

実質GDP
全体  129.498 兆円(2.0%)

 民間最終消費支出 73.808 兆円(1.8%)
 家計最終消費支出  71.948 兆円(1.8%)
  除く持家の帰属家賃  58.674 兆円(2.0%)

 民間住宅  3.935 兆円(5.6%)
 民間企業設備 19.070 兆円(5.8%)

実質を合わせて掲載しているのは、確かにその信憑性に関しては疑問があるものの、それでも一つの指標にはなるということと、名目と実質の数字を用いることでそれぞれの項目における「物価上昇率」を見ることが出来るからです。

項目としては、基本的に日本区全体の「GDP」をまずは掲載しているのですが、続いて家計最終消費支出者、つまり民間人と民間企業を合算した「消費支出」、続いて「家計」の最終消費支出、ここから更に「持家に帰属する家賃」を除いた消費支出を掲載しています。

続いて掲載している「民間住宅」は民間人が住宅におこなった投資金額(購入額)、民間企業設備は民間企業が行った設備投資費の事です。

安倍内閣が目指している経済社会とは、政府支出におんぶにだっこ、何時まで経っても民間で稼ぐことのできないような社会ではなく、民間が政府の力に頼らずとも、自ら自力で回転していけるような社会です。

この情報をきちんと吸い上げて統計化しているのが上記枠内のデータです。


2017年度GDP第一四半期第一次速報への評価

ニュース記事でも書かれているのですが、今回のGDP評として一番大きいのはやはり「内需」の拡大です。

特に注意してみるべき箇所は民間最終消費支出の内、「持ち家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」の動向です。

これも何度も言っている様に、「持ち家の帰属家賃」とは、「もし今住んでいる持ち家が借家だった場合、家賃はいくらになるのか」という非常に意味の解らないフィクションの数字ですから、本来GDPには加えるべきではない数字です。

この数字が名目で前年同期比2.2%、実質で2.0%、物価上昇率0.2%という形で上昇しています。これは非常に理想的な形ですね。

また一方で、「企業設備投資費」に関しても前年同期比で名目が6.4%、実質が5.8%、0.6%の物価上昇率を記録しており、これは完全に「デフレから脱却した」と言っても問題がないような状況となっています。

政府日銀が目指している部下上昇率は2.0%ですから、まだまだじゃないか、という声も聞こえてきそうですが、私としてはその物価上昇率には無理があると考えており、やはり麻生内閣時代の名目3%、実質2%、1%の物価上昇率を目指す事こそ一番理想的な経済成長ではないかと考えています。

2%の物価上昇率というのは、どちらかというと安倍内閣誕生時に安倍さんの周辺を取り巻いていたマネタリストたちの非現実的な妄想が招いた政策の弊害だと私は考えています。


もう一つの視点(輸出入GDP)

ただ、ではアベノミクスはついに成功したのか、と単純に考えるのは実は時期尚早だと思います。

いや、アベノミクスは十分成功していると私は思っているのですが、今回の数字をぬか喜びしてよい数字なのかどうか、という点で1点だけ注意してみておくべき点がある、ということを申し上げたいのです。

それは、「輸入額」の事です。
重ねて輸出額も掲載します。

【2017年度GDP第一四半期第一次速報(輸出入GDP統計)】
2016年度輸入額 19.655 兆円
2017年度輸入額  22.178 兆円
輸入額前年度差額(前年同期比) 2.523 兆円(12.8%)

2016年度輸出額 20.890 兆円
2017年度輸出額 23.038 兆円
輸出額前年度差額(前年同期比) 2.148 兆円(10.3%)

額、率とも輸入が輸出を上回っていますので、輸出入GDPはGDP全体を縮小させる要因として働いています。

ですが、それは輸出入全体にいえることであって、消費支出を初めとする各項目の数字の中には輸出入GDPの内「輸入額」が含まれているわけです。

昨年の記事を読み返していただくとわかると思いますが、2016年度は原油価格が前年同月を大幅に下回る状況にありましたから、原油額が大半を占める「輸入額」は消費支出等各項目を前年に対して下落させる要因として働いていました。

ところが、今年度2017年度は原油価格が前年度を上回っていますので、これが今度は各項目を上昇させる要因として働いています。

勿論、輸入額増加額2.5兆円の内、その全てが原油額というわけではありませんし、今月輸入した原油額がそのまま今月の消費者物価に反映されるのかというと、そういうわけでもありません。

ですが、例えば持家に帰属する家賃を除く家計最終消費支出は前年同期と比較して1.3兆円増えたわけですが、これがそのまま内需に起因する上昇額となるわけではない、ということです。


これらの要素を踏まえて統計データを見る必要はあるわけですが、少なくとも今年度第一四半期のGDPデータは、私たちの想像を上回るほど上昇しました。

またGDP全体で見ますと、輸入額が輸出額を上回っており、GDPに対してはネガティブに作用しているにも関わらず、名目GDP全体は1.6%の上昇率を記録しています。

繰り返しますが、「輸入額」が「輸出額」を上回っていますので、名目GDPの上昇幅は明らかに「原油額の上昇幅を差し引いた内需」に起因するものです。

この事をポジティブな要素としてきちんと受け止めることが大切です。

ポジティブな情報は、「期待インフレ率」として作用し、経済を成長させる大きな起爆剤となりますからね。



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<継承する記事>
第321回 2016年度(平成28年度)名目/実質GDPが公表(速報)前編

2016年度GDPに関しまして、前回の記事では高橋洋一氏の見解をただす形で記事を作成しましたが、今回は改めまして私自身の視点から「2016年度GDP」公表結果についてポイントを整理してみたいと思います。

既にお伝えしています通り、私が大切にしているGDPは

・名目
・原系列
・前年同月比

という3つの要素を持ち合わせた指標です。
一方マスコミ等が重宝したがる

・実質
・季節調整系列
・年率換算
・前期比

という指標は、実際の経済現象では起きていない、経済予測に基づいて人為的に算出された数字が多く用いられていますので、私は全くあてにしていません。「実質値」に関しては参考にはしていますが、それ以外の数値は信頼に値しない数字だと考えています。

ですので、四半期別GDPを考えるときは「名目原系列前年同月比」を中心に記事を作成しているわけですが、一年で唯一、「1-3月期」、つまり2016年度であれば「2016年度第4四半期」の統計データが出て来た時だけは、「前年同月比」ではなく、「前年度比」という1年間を通じて、季節の変化まですべて反映された統計データを比較することができます。

「四半期別GDP」ではなく、「年度別GDP」で最大のマクロ指標、「GDP」を見ることができます。

内閣府


2016年度GDPの統計結果

【2016年度GDP(前年度比)】
名目GDP
全体 537.986 兆円(1.2%)

 民間最終消費支出 299.8 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 293.0 兆円(0.3%)
  除く持家の帰属家賃 243.1 兆円(0.3%)

 民間住宅 16.9 兆円(6.2%)
 民間企業設備 82.4 兆円(1.6%)

実質GDP
全体 523.4 兆円(1.3%)

 民間最終消費支出 297.0 兆円(0.6%)
 家計最終消費支出 289.3 兆円(0.6%)
  除く持家の帰属家賃 236.5 兆円(0.4%)

 民間住宅 16.0 兆円(6.5%)
 民間企業設備 81.3 兆円(2.3%)

こちらが「2016年度」のGDP統計結果です。


2016年度GDP評

政府が様々な経済政策に取り組んでいる理由は、こちらに掲載された「民間」の消費を伸ばすことにあります。
言い換えれば、これらの項目さえ伸びているのであれば、「政府最終支出」や「公的固定資本形成」などを気にする必要はありません。

上記指標の中で大切なのは「名目GDP」が伸びているのか、それとも下落しているのかということなのですが、見ての通りきれいにすべての項目でプラス成長を遂げています。そしてそれは名目だけでなく実質も同様です。

民間最終支出、家計最終消費支出の伸び率が0.3%とやや勢いを欠くように見えますが、カテゴリー 「物価」の見方 で散々追求してきた様に、これらの消費支出には「エネルギー価格」の大幅な下落、及び家電製品の下落が反映されており、逆に言えばそれにも関わらず消費支出全体としてはプラス成長を遂げたのだ、ということです。

物価サイドから見ると、エネルギーの消費者物価前年同月比がマイナスからプラスに転じるのは2017年2月から。
家計最終消費支出を四半期別に見ると、第3四半期(10-12月度)も第4四半期同様プラス成長していますが、この時はまだエネルギー価格は全体でマイナス。代わりに生鮮食品が高騰しました。

第4四半期に至ってようやくエネルギー物価が前年同月比プラスに転じますが、それでも実際にプラス成長しているのは1月~3月の3か月の内、2月、3月の2か月間。

2016年度1年間の名目GDPを見ますと、4月~6月の第一四半期、7月~9月の第二四半期の民間・家計最終消費支出は前年度割れしており、残る10月~12月の第3四半期、1月~3月の6か月間で年度全体をプラスに押し上げていることになります。

この時、年度後半の二四半期がプラス成長した理由が本当に経済成長したからなのか、それとも私が説明した様に、「エネルギー価格」の前年度比が第4四半期においてようやくプラスに転じ、かつ第3四半期に於いて生鮮食品の価格が高騰したことに伴う一時的な現象なのか。

これを判断するときに役に立つのが「実質GDP」なのです。


2016年度実質GDPの動向から見える2016年度の経済状況

既実質GDPは名目GDPを持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数で割ったものであり、名目も消費者物価指数も、元々人為的な計算方法を用いて算出されたものですから、人為的に算出された数字を人為的に算出された数字で割った「実質GDP」は、更に信憑性の薄いものとなります。

ですが、季節調整系列や年率換算に比べればまだ参考にはなる数字です。
実質GDPの捉え方は飽くまでその程度である、と念頭に置いた上で今後の文章は読んでいただければと思います。


前回の記事でも、第218回の記事 でもご説明しました様に、「実質GDP」とは消費された「数量」の事。名目GDPは消費された「合計金額」の事。

名目成長率と実質成長率は以下の様な数式で表すことができます。

 名目成長率-実質成長率=物価上昇率

この等式を頭に入れて2016年度名目GDPと実質GDPを見てみますと、とある特徴があることに気づかされます。
それは、全ての項目にわたって「実質成長率」が「名目成長率」を上回っているということです。

これは、言い換えると物価が下落しているということで、高橋洋一流に言えば「GDPデフレーターが下落している」ということで、「失われた20年や25年に戻った」ことになるのかもしれません。

ですが、そんな高橋洋一の説など詭弁にすぎません。
バブル崩壊以降の日本国経済は、「名目値が下落する中で物価が下落していた」のです。

ですが、2016年度に起きた経済現象は「物価が下落する中で、名目値は上昇していた」ということ。安倍内閣以前の経済とは全く事情が異なります。

言い方を変えれば、「物価は下落したが、販売総数は大幅に上昇し、結果として売上総額もプラス成長した」というのが2016年度のGDP評です。

一方で第3四半期に於いて生鮮食品の価格が高騰し、第4四半期に於いてエネルギー価格が前年度比でプラス成長したことが2016年度の家計最終消費支出を押し上げた最大の原因とは考えられるわけですが、2016年度第4四半期前年同月比に限定して数字を見てみますと、

【2016年度第4四半期GDP統計結果】
名目GDP
全体 0.8%

 民間最終消費支出 1.0%
 家計最終消費支出 1.0%
  除く持家の帰属家賃 1.2%

 民間住宅 8.0%
 民間企業設備 3.0%

実質GDP
全体 1.6%

 民間最終消費支出 1.0%
 家計最終消費支出 0.9%
  除く持家の帰属家賃 0.9%

 民間住宅 6.9%
 民間企業設備 3.0%

確かにGDP全体で見ると名目0.8%、実質1.6%、物価上昇率 -0.8% ですから、高橋洋一流に言えば「悪い状況」なのかもしれません。

ですが、よく見てみましょう。
民間最終消費支出は 名目1.0、実質1.0 の物価上昇率0%、
家計最終消費支出は 名目1.0、実質0.9 で +0.1% の物価上昇率。
除く持家の帰属家賃は 名目1.2、実質0.9 で +0.3% の物価上昇率。

民間住宅は 名目8.0、実質6.9%で1.1%の物価上昇率。
民間企業設備は 名目3.0、実質3.0で 0%の物価上昇率。

企業消費支出こそ0%と横ばいですが、家計、特に私が重視している「持家に帰属する家賃を除く家計」は0.3%のプラス成長、民間住宅は1.1%の物価上昇を果たしているわけです。

これ、本当に「悪い状況」なんですかね、高橋洋一さん。
確かに第4四半期は「エネルギー物価」がプラスに転じており、ひょっとするとそれが原因だったのかもしれません。

ですが、伸びているのは「名目」だけでなく「実質」も伸びています。エネルギー物価が上昇し、物価全体が上昇したにも関わらず、「名目」と同時に「実質」も上昇しているんですよ。

ではなぜ「GDP全体」では物価が下落したことになっているのか。
確かに「政府支出」が前年度割れしていることにも原因はあるのかも知れません。ですが、政府が経済政策を行う最大の理由は「GDPデフレーターをプラス成長させること」にあるのでしょうか?

違いますね。GDP統計で云うのなら、「家計最終消費支出(持家に帰属する家賃を除く)」ことにこそ政府が経済政策を行う理由はあります。

そして統計データとして、「輸出入デフレーター」に於いて、実質と名目で輸出入の前年同月比が逆転していることも忘れてはいけません

マネタリストたちの中では完全に「目的」と「手段」が入れ替わってしまっているのです。
GDP評で言うのなら、2016年度GDPは

「GDP、及び民間消費、設備投資に於いて名目成長率を実質成長率が上回る状態となったが、全ての項目に於いて名実ともにプラス成長することができた。

最新の2016年度第4四半期に於いては民間企業の物価成長率こそ横ばいだが家計においては名実、物価成長率すべてでプラス成長を果たしており、漸くアベノミクスの成果を家計に於いても実感できる状況が生れた」

とするのが正しいのではないでしょうか?

今後もGDP、賃金、物価、税収。これらの項目を中心に、引き続き詳細な政府統計の分析を行っていきたいと思いjます。



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年間に一度しか訪れないこの決定的瞬間。
私にとっては非常に楽しみな日でもあります。本日は2016年5月21日ですが、18日、2016年度GDPが発表されました。

あくまでも速報ベースではありますが、これは私が四半期ごとに追いかけてきたカテゴリー GDPの見方 の記事や、ほぼ毎月追いかけて来たカテゴリー 物価の見方 の記事の正当性が評価される瞬間でもあります。

分析屋としての私の情報が正しかったのか、それとも誤りだったのか。これが今回行われた年度別GDPの結果によって判断されます。


先ずは、ロイターによる報道から記事にしてみます。

【ロイター記事より】
1─3月期実質GDPは年率+2.2%、5四半期連続プラス成長=内閣府

[東京 18日 ロイター] - 内閣府が18日発表した2017年1─3月期国民所得統計1次速報によると、 実質国内総生産(GDP)は前期比プラス0.5%、年率換算でプラス2.2%となった。5四半期連続のプラス成長となった。

ロイターがまとめた民間調査機関の事前予測では1─3月期GDPの予測中央値は前期比プラス0.4%、 年率プラス1.7%だったが、これを上回った。   プラス成長に寄与したのは主に民間最終消費支出、外需だった。

GDPデフレーターは前年同期比マイナス0.8%だった。

この結果、2016年度の成長率は実質前年度比プラス1.3%、名目同1.2%となった。

私とすると、一番肝心なのは最後の文章一文なんですけどね。

私のブログを継続的にお読みいただいている皆さんには既にご存知のことかもしれませんが、GDP統計を見る中で私が一番重要だと思っているのは、「極力人為的な計算が行われていないこと」です。

もちろんこれを完全にやれ、何てのはまず不可能ですし、どうしても人為的な計算方法に頼らなければ算出できないのもGDPに代表されるマクロ指標の特徴です。

ですが、だからこそそんなマクロ指標の中でもより人為的な計算が加えられていない指標。即ち「名目値」が一番信頼に足る情報だと考えています。

で、今回引用しているロイター記事ですが、まあツッコミどころ満載、と。おそらく政府が発表した情報を何も考えることなくそのまま掲載したのでしょうが、

「1-3月期実質GDPは年率+2.2%」

と記されていますね?
一件、「めちゃめちゃいいじょうほうじゃん!」と大喜びしてしまいそうな情報ですが、

1.この数字はあくまでも「実質GDP」であり、名目値ではない。
2.「年率」とは年率換算の事であり、そもそも1-3月期と同じ成長率が1年間続くことなどありえないこと。
(年率換算に関しては、第140回の記事 をご参照ください)
3.年率換算が行われているということは同時に「季節調整」が行われており、その季節特有の状況を計算式で算出することなどそもそも不可能である

という3つの点から、まずこの数値そのものを私は相手にして居ません。
そもそも、ロイター記事文末に掲載されているとおり、「2016年度一年間を通じてのGDP」が既に出ているのに、なぜ一番大切な年間のGDPではなくわざわざ1-3月期の実質値を年率換算したものをタイトルとして選択するのか、私にはまったく理解できません。

ちなみにロイターだけでなく、他のほとんどの報道局が同様のタイトルを選択しています。


高橋洋一のデタラメなGDP解説

このことに関して、以下の動画内で、高橋洋一氏も同様の見解を述べているのですが、



私ははっきり言ってこの人が大っ嫌いです。
例えば動画内に於いて高橋洋一氏は、私と同じように「1-3月期実質GDPは年率+2.2%」という数字が名目値ではなく実質値であることを指摘し、「本当は名目値の方が生活実感に近く大切だ」と言っています。

彼のセリフを文章化してみます。
※読む価値ないんで、枠内はとりあえず読み飛ばしてください。後程ポイントとなる部分を解説します。
今のお話があったのは、実は実質っていうやつですね。

で、あの、実は経済っていうのは名目っていうのもあって、より実感に近いのは名目だと思いますよ。
で、名目の数字を見ますと、実は前期比の、年率換算っていうのを見ると、マイナス0.1%。ですね。えっと、前期比でやるとマイナス0%っていうことなんですけど、この値を4倍しまして0.1%っていうことになってますね。

で、こういう数字見るときにまあ、GDP速報ってたくさん数字があるんですけどね。私がいつも着目しているのは、実はGDPデフレータなんです。このGDPデフレーターっていうのは、消費者物価と卸売り物価を合わせたまあ、全部の物価みたいなイメージでいいです。

でそれが、1994年以降はず~っとマイナスだったんですよ。で、安倍政権になって1年くらいしてようやくプラスになりはじめて、プラスの2~3ぐらいまでうまく行ったときもあったんですね。それなんですけど今回この数字がまたマイナスになってしまったっていうのが私がすごく懸念しているところではあります。

このGDPデフレーターで今期の1-3月期を前の年と比べるとどうかっていうと、マイナス0.6%。っていう数字ですね。これよくないですね。ちょっとこの数字だけ見ますとデフレに戻っちゃったのかなと。そんなイメージっていうか、そういう事すらありますね。

安倍政権になってからこのデフレーターはずっとプラスになってたからよかったんじゃないかと思ってたんですけど、逆にこの、前の失われた20年か25年くらいに近い数字がちょっと出てきちゃった。

アナ
「実質でこの0.5%増っていうのは、ある意味で、物価が下がった分だけ上がった様に見えてるだけ」

そうそう。だから名目の方は実際は殆ど変わっていないってことは、実際実感はよくないと思いますね。

で、そのデフレーターの数字をまたあげますとね、2014年度はね、このデフレーターが2.5%だったわけなんですよ。
これは良い数字ですよ。

次がね、2015年度。これが、1.5%になっちゃった。

今度、2016年度、またマイナスになって、これすごく嫌な数字でマイナス0.2なんですよ。
で今もうちょっと、それより大きい数字でしょ?更にマイナスな数字でしょ?

これはね、悪い状況だと思うんですね。

アナ
「ここ3年見るとだから1%ずつデフレーターが下がってきちゃった」

これはね、そこの上のどんな変数がそこに関係しているかって見ると、その上の方に公的需要ってね、公的需要っていうと政府の消費と投資合わせた数字なんですけどね。その公的需要の数字を見ると2014年度、これが2.1。

それが2015年度、1.0。それで2016年度、マイナス0.6。なんか似てるじゃないですか、これ。

アナ
「これほど・・・」

動き同じでしょ。だからこういうの分析すると、これが悪いんじゃないのと、実は思えちゃう。同じような動きでしょ?
他の見ると同じような動きってないんですよ。だからこれがしぶちんになってて、緊縮財政なんですよ。

2014年度それすぐに税金巻き上げちゃったっていうのがあってその後。消費増税して、そして消費を崩して、その後段々消費は持ち返していくんですけど、その後の財政支出、2015年、16年度、この2年度で財政支出をしない。だから全然持ち上がらない。そんな感じ。

アナ
「決算見ると、確か2013年度がポンと上がったんですけどその後ってちょっとずつ減ってるんですよね。でそれが社会保障はどんどん増えてるから、実際使ってる真水がどんどん減っているような」

ですからね、財政の方がちょっと悪さしてて、オペレーションがちょっと間違ってるんじゃないかなっていう風にこの数字からは見えるんですね。ですから財政の方もうちょっと出してもいいと思うんですよね。

で今国債で私教育国債の話なんかしてますけどね。財政再建ができてなくて今でも財政危機だっていう人いるんですよ。それ、嘘ですよ。要するにマーケットに国債がない状態なんですよ。マーケットに1000兆あるんですけど、日銀が400兆円以上持ってるとか、ほんでほかの所にも手放せないなんて言ってもう、国債不足なんですよね。

こういう時に国債を出して、国債を出しつつ政府支出を出すっていうのがまあ常道なんですよね。王道なんでまあそれをやるべきってのがこの数字から見えてくるんじゃないかなって私は思ってるんですね。

アナ
「むしろ今千載一遇の好機っていうか」

ですよ。低金利っていうか、ゼロ金利でしょ?
こんな時に投資しない人いませんっていう話ですよ。こういう時にはどんどん投資しましょうと、

アナ
「これ、民間はこの金利に敏感だなっていうのが、民間住宅ってものすごく伸びてますよね。」

住宅金利があの、金利が安いから住宅ローンが安いからってからほとんどゼロとか0.何%ととか1%切ってるの多いじゃないですか。それはそれで出るんですよ。

でもね、民間はちょっと出にくいんですよ。住宅投資以外の設備投資だと先が不安なんですね。
今ちょっといいけど、この2~3年度どうなんですかっていうと不安なんですね。そういう時には先に出るのは実は政府です。

政府はそういうこと気にすることなくて、先に行って民間を呼び水の様にしたくなる。だから民間の呼び水になる、政府が出ていくって言うのがセオリーなんですけどね。それをちょっとしない、やらないっていうと、日本経済ちょっと、先行き不安ですね。

きりがないのでこのあたりで。

彼、「名目が大切だ」と言及した後で「私がいつも着目しているのは、実はGDPデフレータなんです」と発言しています。

私もGDPデフレータを見ることはは確かに大切だと思います。このことは、第218回の記事 でもご説明した通りです。

ですが彼、まずGDPデフレーターについて、以下の様に言及しています。

 「GDPデフレーターっていうのは、消費者物価と卸売り物価を合わせたまあ、全部の物価みたいなイメージでいいです」

いやいやいや・・・おたく、曲りなりににも経済学者を名乗ってるんでしょ? 全然違うんですけど。


高橋洋一のでたらめな実質GDP解説

「GDPデフレーター」っていうのは、そもそも「名目GDP」を「実質GDP」で割ったもの。
物価が下落すれば分母である実質GDPが上昇しますのでGDPデフレーターも下落しますし、逆に上昇すれば分母である実質GDPは下落しますので、GDPデフレーターは上昇します。

ではその「実質GDP」とは何ぞやと申しますと、「名目GDP」を「消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)」で割ったものです。GDPに於いて下落するとされる物価はこの「持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数」のことです。

実質GDPの分母に来るものが消費者物価指数ですから、物価である消費者物価指数が下落すれば実質GDPの値は大きくなり、消費者物価指数が上昇すれば実質GDPは小さくなります。

ですので、肝心なのはこの「消費者物価指数」が一体どのような理由で下落し、どのような理由で上昇したのか、という事。

例えばエネルギー以外の物価は上昇しているのに、エネルギーが大幅に下落したため消費者物価全体を引き下げてしまったとか、10-12期は生鮮食料品が高騰したけれども1-3月期は正常に戻っただとか、こういう特殊な事情がGDP統計では捕捉し切れていないんですね。

これは、私がカテゴリー 物価の見方 に於いてしつこいほど消費者物価指数の詳細を追いかけている理由の一つでもあります。

高橋洋一は、こういった消費者物価指数の側の事情をまったく把握せず、完全に憶測でGDP統計について口走っていますから、内容はとても経済学者の発言とは思えないほどに稚拙なものとなっています。


輸出入デフレーターを完全に無視する高橋洋一

輸出入に於ける実質値について影響を与えるのは国内の物価ではありませんし、為替変動も大きく影響してきますから、輸出入に関しては国内のGDPとは異なる算出方法が用いられます。

GDPを考える場合、輸出入に関しては、輸出はGDPに加算され、輸入はGDPからマイナスされます。

ですから、いくら輸出が増えたところで、輸入される品目の総額が輸出を上回れば、輸出入はGDPに対してマイナスの影響を与えます。日本国内の消費活動が活発で、いくら内需が活発であったとしても、輸入額が比較期間と比べて上昇すれば、GDPにはマイナスの影響を与えるのです。

例えば今回発表された2016年度1-3月期の輸出入を名目と実質で掲載してみます。

【2016年度1-3月期輸出入GDP】
名目輸出額
前期比 5%
前年同月比 7.5%

名目輸入額
前期比 7.9%
前年同月比 8..4%

実質輸出額
前期比 6.1%
前年同月比 2.1%

実質輸入額
前期比 1.3%
前年同月比 1.4%

解りますか?
1-3月期のデータとして、名目では前期比、前年同月比とも輸出よりも輸入の方が前年同月比が高くなっています。
つまり、輸出入の項目は名目GDPに対してはマイナスの影響を与えています。

所が、実質値ではその値が大きく逆転していますね?

前期比、前年同月比とも輸出が輸入を上回っているのです。つまり、輸出入の項目は実質GDPに関してはプラスの影響を与えているのです。年度全体に関しては事情が異なっていますが、1-3月期に於けるGDPデフレーターに関する高橋洋一氏の解説がいかに的外れなものかということはご理解いただけると思います。


高橋洋一のでたらめなGDPデフレータ解説

消費者物価指数や輸出入デフレーターの側面から考えても高橋洋一氏の言っていることがいかにめちゃくちゃな内容なのかということはご理解いただけると思うのですが、もう一つ。

彼は2016年度のGDPデフレーターに関して以下のような発言をしています。
GDPデフレーターで今期の1-3月期を前の年と比べるとどうかっていうと、マイナス0.6%。っていう数字ですね。これよくないですね。ちょっとこの数字だけ見ますとデフレに戻っちゃったのかなと。そんなイメージっていうか、そういう事すらありますね。

安倍政権になってからこのデフレーターはずっとプラスになってたからよかったんじゃないかと思ってたんですけど、逆にこの、前の失われた20年か25年くらいに近い数字がちょっと出てきちゃった。

ですが、ちょっと待ってください。

改めて2016年度1-3期のGDPを見てみましょう。
【2016年度1-3期GDP】

名目GDP
前年同月比 0.8% 
前期比 -0.0%

実質GDP
前年同月比 1.6%
前期比 0.5%

GDPデフレーター
前年同月比 -0.8%
前期比 -0.6%

年率換算に関してはフィクションの数字ですからここには掲載しません。冒頭でご説明しましたね?

さて、こちらのデータに関して、高橋洋一はアナのコメントに続いて以下のような解説をしています。
アナ
「実質でこの0.5%増っていうのは、ある意味で、物価が下がった分だけ上がった様に見えてるだけ」

そうそう。だから名目の方は実際は殆ど変わっていないってことは、実際実感はよくないと思いますね。


ここで、再度
を振り返って見ます。

「名目GDP」と「実質GDP」、そして「GDPデフレーター」の関係は、

名目GDP=購入総額
実質GDP=購入数量
GDPデフレーター=購入単価

を意味しています。日本国内にあるすべてのサービス・品目を同じ一つの単位で表すために「GDPデフレーター」というものが用いられ、その販売総数として「実質GDP」という値が用いられているのです。実質GDPに関しても、全てを同じ数量単位で表すことは出来ませんから、その数量という単位を「円」で表しているわけです。

このことを踏まえて2016年1-3月期の数字を振り返って見ますと、

「前期比」では
名目GDP(購入総額:-0.0%)=実質GDP(購入数量:0.5%)×GDPデフレーター(購入単価:-0.6%)

「前年同月比」では
名目GDP(購入総額:0.8%)=実質GDP(購入数量:1.6%)×GDPデフレーター(購入単価:-0.8%)

という計算式で考えることができます。
前期比の場合、確かに数値はマイナスがついていますから、決して好ましいものでありません。ですが、高橋洋一自身が言っている様に、あくまでもこの数字は「殆ど変わっていない」のです。

ですが、単価が下落したおかげで購入数量は増えきちんと前期とほぼ同等の金額が消費されているのです。
もし本当にこの数字を「実際実感はよくない」と消費者が感じたのであれば購入数量は減少するのではないでしょうか?

飽くまで私は様々な人為的な手が加えられた「実質値」など眉唾ものだと考えていますが、高橋洋一の土俵に上がって考えるとすればの話です。

その上で実質純輸入額が増えており、日本国内の実質値(消費数量)から差し引かれていますから、この輸入額分を差し引いて考えると日本国内で起きた消費数量は実際にはもっと多いはずです。当然これにデフレーター(消費単価)をかけた金額はプラスになります。

増して「前年同月比」で考えれば購入単価こそ下落していますが、「購入数量」も「購入総額」も共に増えています。前期比同様実質純輸入(消費数量)を差し引かれた上で、です。これを以て「実際実感はよくない」などという評論が果たして的を射ているのでしょうか?


日本の目指すヴィジョンのデタラメ解説

ここは、まず高橋洋一のデタラメヴィジョンを引用してみます。
財政の方がちょっと悪さしてて、オペレーションがちょっと間違ってるんじゃないかなっていう風にこの数字からは見えるんですね。ですから財政の方もうちょっと出してもいいと思うんですよね。

で今国債で私教育国債の話なんかしてますけどね。財政再建ができてなくて今でも財政危機だっていう人いるんですよ。それ、嘘ですよ。要するにマーケットに国債がない状態なんですよ。マーケットに1000兆あるんですけど、日銀が400兆円以上持ってるとか、ほんでほかの所にも手放せないなんて言ってもう、国債不足なんですよね。

こういう時に国債を出して、国債を出しつつ政府支出を出すっていうのがまあ常道なんですよね。王道なんでまあそれをやるべきってのがこの数字から見えてくるんじゃないかなって私は思ってるんですね。

常道に王道ねぇ。。。

この人、完全に「目的」と「手段」が入れ替わってますよね。
日本国が目指すべき将来、ヴィジョンとは、民間が政府に促されずとも、自ら受容を生み出して自立できる経済体制を築くことです。

これは高橋洋一自身も書いていますが、もし民間がこれができていないのであれば民間ではなく政府が「民間の呼び水になる、政府が出ていくって言うのがセオリー」となるわけです。

ですが・・・笑っちゃいたくなりますね。

では、2016年度の「民間消費支出前年度比」はどうなっているでしょう。

【2016年度民間最終消費支出】
民間最終消費支出前年度比
名目 0.3%
実質 0.6%
デフレーター -0.3%

家計最終消費支出
名目 0.3%
実質 0.6%
デフレーター -0.3%

家計最終消費支出(持家の帰属家賃を除く)
名目 0.3%
実質 0.4%
デフレーター -0.2%

この年度単位のGDPについて、高橋洋一は以下の様にも言っています。

そのデフレーターの数字をまたあげますとね、2014年度はね、このデフレーターが2.5%だったわけなんですよ。
これは良い数字ですよ。

次がね、2015年度。これが、1.5%になっちゃった。

今度、2016年度、またマイナスになって、これすごく嫌な数字でマイナス0.2なんですよ。
で今もうちょっと、それより大きい数字でしょ?更にマイナスな数字でしょ?

これはね、悪い状況だと思うんですね。

悪い状況ねぇ・・・。

例えば高橋洋一のいう2016年度の数字を私が解説すると、

 デフレーターが0.2%下落したおかげで名目GDPが1.2%上昇し、実質GDPは1.3%も成長したんですよ。
 特にこの成長を牽引しているのは民間の消費で、二年連続で名実ともにプラス成長を果たしたんです。

とこんな感じでしょうか。
特に民間住宅はその傾向が顕著で、名目で6.2%、実質で6.5%の前年度費を記録しています。これを高橋洋一はこんな風に表現しています。

住宅金利があの、金利が安いから住宅ローンが安いからってからほとんどゼロとか0.何%ととか1%切ってるの多いじゃないですか。それはそれで出るんですよ。

でもね、民間はちょっと出にくいんですよ。住宅投資以外の設備投資だと先が不安なんですね。
今ちょっといいけど、この2~3年度どうなんですかっていうと不安なんですね。

どうしてもアベノミクスの成果が出ていないことにしたいんでしょうかね?
言ってることがめちゃくちゃです。

例え金利が低いことが原因であったとしても、「住宅」って民間人が行う買い物の中では、人生の中で最も大きな消費物です。
金利が低くなっただけの理由でおいそれと購入するわけにはいかないんですよ。

で、「民間住宅」の消費が伸びているのに、なぜか高橋洋一は「民間はちょっと出にくいんですよ」と。は? 出てるのは民間住宅なんですが。で、返す刀で「住宅投資以外の設備投資だと先が不安なんですね」とか。

いやいやいや。「民間住宅」ってそもそも企業じゃなく「家計」からの支出の事なんですけど。
「民間企業」の支出は別に「民間企業設備」っていう項目があって、その数値も前年度比で2.3%を記録しているんですけど。

高橋洋一はどうしても「消費増税」が失敗であったことにしたくて仕方ないんですよ。

消費増税が失敗で、消費増税が行われて早まる3年経過しているにも関わらず、未だに消費増税の影響から抜け出せていなくて、国民の消費は低迷していて、民間の代わりに政府が消費を増やし、国債を発行しなければならない状況でなければ都合が悪いんでしょうね、何か。

民間の経済が活性化しつつあるのなら、政府が歳出を減らしても別に問題はないんですけど。
政府が歳出を減らしているにも関わらず、民間が発展できているのなら、それはまさにアベノミクスが成功していることをはっきり示しているんじゃないでしょうかね?

なんであんな奴が重宝されるのか、私にはまったく理解できません。


さて。次回は同じ情報を、今度は高橋洋一フィルターを外して、もう少しわかりやすくまとめてみたいと思います。



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一昨日(2017年3月8日)、2016年度(平成28年度)第3四半期速報が発表されましたので、今回はこの情報についての記事を掲載します。

一次速報の記事 でもご案内しましたように、2016年度第三四半期のGDP情報最大の特色は、「家計最終消費支出」がついに前年同月比でプラス成長を果たしたという事。

では、まずはこの「家計最終消費支出」について1次速報と2次速報を比較する形で情報を掲載いたします。

【名目家計最終消費支出】
1次速報原系列
 今年度 75,079
 昨年度 74,591
 成長率 0.65%

2次速報原系列
 今年度 75.124兆円
 昨年度 74.591兆円
 成長率 0.71%

持ち家の帰属家賃を除く1次速報原系列
 今年度 62.602兆円
 昨年度 62.113兆円
 成長率 0.78%

持ち家の帰属家賃を除く2次速報原系列
 今年度 62.647兆円
 昨年度 62.113兆円
 成長率 0.85%

【実質家計最終消費支出】
原系列
 今年度 73.823兆円
 昨年度 73.189兆円
 成長率 0.87%

2次速報原系列
 今年度 73.871兆円
 昨年度 73.189兆円
 成長率 0.92%

持ち家の帰属家賃を除く1次速報原系列
 今年度 60.597兆円
 昨年度 60.118兆円
 成長率 0.79%

持ち家の帰属家賃を除く2次速報原系列
 今年度 60.644兆円
 昨年度 60.118兆円
 成長率 0.87%

今回発表された二次速報と一次速報の比較です。
一次速報の時は、マスコミ報道との比較を行う為に敢えて季節調整系列や年率換算をデータとして掲載しましたが、本来あえて示す必要のあるデータではないので、今回の記事では割愛します。

その代り、季節調整系列や年率換算に比べるとよっぽど重要なデータであると考えられる、「持家に帰属する家賃を除く家計最終消費支出」を掲載しています。

なぜ季節調整系列や年率換算が重要ではないのかということは、私のGDPに関連した過去の記事 を、なぜ持家に帰属する家賃を除く消費支出の方が大切なのか、という情報については私の消費者物価指数に関連した過去の記事 をご覧ください。

さて。肝心のそれぞれの数字ですが、軒並み上方修正されていますね。
物価上昇率として考えますと、原系列は

0.71%-0.92%=-0.21%
で、0.21%の物価下落、持家に帰属する家賃を除く原系列では

0.85%-0.87%=-0.02%
で0.02%の物価下落となっています。

ただ、「持家に帰属する家賃」そのものが、実際には消費が行われていない架空の数字であり、これがマイナス成長していることから、より実態に近い成長率は当然「持家に帰属する家賃」を除く物価上昇率で、名実共に0.8%代後半の成長率を示す中での物価下落。

なぜ物価が下落しているのかという理由に就いては、皆さんもうご存知の通りですね。
「原油価格の下落に伴う物価下落」が原因であり、これは「輸入額の推移」を見ても明らかです。

第二四半期の二桁を超えるマイナス幅に比較すれば大分落ち着きましたが、それでも8.8%輸入額は前年度より下落しています。

ただ、おそらく12月の時点では輸入額はプラスに転じており、最終消費支出を下落させるためのファクターではなく、上昇させるためのファクターとして働いているはずです。

つまり、来期、第四四半期からは「実質消費支出」を下落させるためのファクターとして作用するはず。
私の過去の記事をご覧いただいている方はもう解ってはいらっしゃるでしょうが、私はこの「実質値」なるものをまともには信用していません。

ですが、それでも「原価」が増大し、「利益」を抑えるようなことが起きていないかどうかを見るためには、この「実質値」は大切な値になります。

名目値が増大する中で、同時に実質値も増大させることができるかどうか。これは第四四半期の家計最終消費支出(持家に帰属する家賃を除く)をみる上で、非常に大切な視点になります。


名目GDPと実質GDP

内閣府

さて。それでは改めて「名目GDP」と「実質GDP」。
一次速報と二次速報を比較してみましょう。

【名目GDP】
1次速報原系列
 今年度 140.425兆円
 昨年度 138.256兆円
 成長率 1.57%


2次速報原系列
 今年度 140.424兆円
 昨年度 138.241兆円
 成長率 1.58%

【実質GDP】
1次速報原系列
 今年度 134.394兆円
 昨年度 132.211兆円
 成長率 1.65%

2次速報原系列
 今年度 134,364
 昨年度 132,195
 成長率 1.64%

ふむ・・・。
名目原系列を見ますと、一次速報と二次速報の間で、二次速報の方が減少しているのですが、なぜか前年同月比は二次速報の方が大きくなる、という珍現象が起きてますね。

よく見てみますと、2016年全体でもそうなのですが、なぜか2015年の原系列までもが下方修正されています。
詳細に見てみますと、修正が行われているのはピンポイントで企業設備投資。

数値としては2016年度第三四半期の企業設備投資のみが上方修正され、2014年度第四四半期~2016年度第二四半期までトータルで下方修正されていますね。

で、その結果2016年度第三四半期の企業設備投資は一次速報の前年度比0.9%から二次速報では2.6%増と大幅な修正が行わています。

けれども、なぜか名目GDP原系列全体では一次速報より二次速報の方が減退。
詳細を見てみますと、民間・家計・持家に帰属する家賃を除く家計、民間住宅、そして先ほどお伝えした企業設備投資まで含めて、軒並み実数として増加しています。

代わりに下落しているのは「民間在庫」「政府消費支出」「公的資本形成」の3つ。
一次速報と二次速報との間での比較ですので、実際に何か物量の変化が起きているわけではありませんが、思ったより企業在庫が減っていて、政府消費支出と政府の設備投資費が減少していたという事。

つまり、「政府の力に頼らずとも、民間の力だけで経済成長を果たす」という理想の形に近づいている、ということですね。
ただ、なぜ2015年にまでさかのぼって企業の設備投資費が減少しているのかは・・・謎です。内閣府に直接聞いてみますかね。

それにしても、改めて2015年を暦年で見てみますと、経済成長という意味では非常に理想的な成長率を果たしていたんですね。
1-3は消費増税が行われた増税年度ですから、横においておくとしても、4-6が3.3%増、7-9が3.9%増、10-12が2.6%増

2016年になって1%を上回る程度の増加幅に落ち着きますが、よもや年間を通じて3%付近の成長率を果たしていたとは・・・。
実質で見ると消費増税の影響を受けていたはずの1-3が1.3%の実質成長率。4-6が0%、7-9が0.2%、10-12が-0.2%となっています。

そして2016年第三四半期は実質が名目を上回る「物価下落」の状況がみられる中で、名目そのものは1.5%を上回る成長率を果たしています。

「原油価格の下落やエネルギー価格の下落」に伴う物価下落は、決して日本国経済に対して悪い影響は与えておらず、むしろ好材料として作用していることを示す何よりもの証拠ですね。

ただ。原油価格がついに前年度をオーバーする数字となった以上、これからは「名目」がプラス成長を果たす中で、いかに実質値も合わせてプラス成長を果たしていくことができるのか。これが最大のポイントになります。

これを果たすことが、安倍内閣黒田日銀の目指す「2%物価成長率」を達成する上での必要最低条件です。
これからはもう「原油価格が前年度比で下落しているんだから」という理由は成り立たなくなります。

さて。「アベノミクス」の効果やいかに!



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<継承する記事>
第271回 2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報が公表されました

前回の記事では、2017年2月13日に発表された「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報」について、普通であれば全体から俯瞰して記事にするのですが、特徴的であった「個人消費(家計最終消費支出)」に着目して記事を作成してみました。

新聞各社、報道局の非常にねじ曲がった報道姿勢には本当に辟易しますね。

今回は、いつものように「GDP」を全体から見るスタンスで記事にしたいと思います。


2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報

繰り返しにはなりますが、「GDP」をはじめとする統計指標を見る際には、「実質」ではなく「名目」で見る癖をつけることがとても大切です。

「GDP」というのは、日本の経済統計指標の内で最大の「マクロデータ」となるわけですが、マクロデータを計測する際には、どうしても細部をを反映しきることができません(というよりまず不可能)ので、そこには「合成の誤謬」と言われる計測ミスが必然的に発生します。

第36回の記事 でも触れているのですが、改めて説明しますと、「合成の誤謬」というのは、

 「ミクロの世界で成り立つ現象が、マクロでは矛盾する現象」

の事を言います。
単位が違う、計測方法が違う、価値そのものが異なる様々な物やサービスを同じ一つの統計方法で集計しようとしているわけですから、当然です。出ない方がおかしい。

そして、同じGDPにも、「名目」と「実質」という二つの指標が存在します。

よく、「実質GDP」の事を、「物価変動による影響を取り除いたGDPの事」という説明をする人がいます(国語辞典ベースでもそういう説明です)が、実際にGDPから「物価変動による影響」を正確に取り除くことなどまず不可能です。

「実質GDP」とは、あくまでも「名目GDP」を「消費者物価指数総合(持家に帰属する家賃を除く)」という統計指標で割ったもの。
それ以上でも以下でもありません。

「名目GDP」も「消費者物価指数」も共に「マクロ指標」ですから、当然双方に「合成の誤謬」が発生しています。
「実質GDP」とは、つまり「合成の誤謬」というイレギュラーが含まれることが、予め解っている統計指標で割り算をしたデータだということになります。

つまり、「実質GDP」というのは、それほどに当てにすることができないデータだということなのです。
また更に、前回の記事でもお伝えした「季節調整系列」というデータは、そんないい加減な数字をもとに、「季節特有の影響」という、これまたフィーリング、感覚で決まるような情報を数値化し、そこからはじき出されたもの。

そして更に「年率換算」とは、そんないい加減な「季節調整系列」の「四半期別前期比」が1年間、合計4回継続したとしたら一体どんな数字になるのかという、既にフィクション。ファンタジーの世界に於ける数字です。

「名目GDP」自体に一種のフィクションのようなデータが含まれているわけですから、そこから算出される数字が非常に信頼性に乏しいデータとなることはまさしく「自明の理」。元々信頼性に欠けるデータであったとしても、それでも「名目」、特に「原系列」で見る癖が大切になるのは、そういう理由からです。

この考え方を念頭に於いて次にご紹介する「GDP」速報をご覧ください。

内閣府

【2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)】
名目GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 138.2(2.6%)
2016年
 1-3   133.2(1.2%)
 4-6   132.5(1.3%)
 7-9   131.1(1.0%)
 10-12 140.4(1.6%)

実質GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 132.2(1.1%)
2016年
 1-3   1308(0.1%)
 4-6   126.9(0.9%)
 7-9   129.6(1.1%)
 10-12 134.3(1.7%)

いかがでしょうか。
勿論お示ししている数字は全て「原系列」です。

さて、思い出して見てください。
安倍内閣がスタートしたのは2013年(正確には2012年12月)です。

安倍内閣によって組まれた予算(2012年度補正予算を除く)が執行されたのは2013年4月。
そして、2014年4月には「消費増税」が行われました。

「名目GDP」には、消費増税の影響も反映されますから、消費増税が行われれば当然名目GDPの数字も上昇します。
2013年は安倍内閣がスタートした月ですし、当然前年の民主党内閣と比較すれば、大幅に「名目GDP」の値も上昇しています。

2013年度(安倍内閣初年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 1.5%
第2四半期 2.7%
第3四半期 2.6%
第4四半期 3.4%

2014年度(増税年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 2.0%
第2四半期 0.9%
第3四半期 2.0%
第4四半期 3.3%

さて。安倍内閣初年度には「駆け込み需要」も発生していますし、当然大幅にGDPの影響が増大しています。
ただでさえ2013年度のGDPは急成長しているのに、2014年は「消費増税」の影響で更に「GDP」の値が上乗せされています。

安倍内閣初年度に急成長した上後、消費増税の影響で大打撃を受けているはずなので、当然2015年度の「名目GDP前年同月比」は反動で大幅に下落している・・・はずですよね?

2015年度(増税翌年度)名目GDP前年同月比
第1四半期 3.3%
第2四半期 2.9%
第3四半期 2.6%
第4四半期 1.2%

さて、いかがでしょう。消費増税の影響?何それ状態です。
第3四半期、第4四半期は「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)」の所でも掲載しています。

第4四半期で成長率にブレーキがかかっている様に見えますが、

【輸出額前年同月比の推移】

2015年度
第1四半期 5.7%
第2四半期 5.0%
第3四半期 -4.6%
第4四半期 -7.9%

2016年度
第1四半期 -9.4%
第2四半期 -10.7%
第3四半期 -1.5%

いかがでしょう。実は、「名目GDPの伸び率」を鈍化させていた最大の原因は、「輸出額の減少」。
これは日本国内の影響ではなく、海外の景気の影響によるものですから、その責任を日本経済に向けられても困りますね。

金額でいうと、

2015年度(前年比)
第3四半期 -1.1兆円
第4四半期 -1.9兆円

2016年度
第1四半期 -2.1兆円
第2四半期 -2.5兆円
第3四半期 -0.3兆円

となります。GDP全体で考えれば、2兆円は約0.4%、2.5%は0.5%に相当する金額です。
勿論それでも「GDPの伸び率が『鈍化した』」と言えなくはない数字ですが、「海外の景気の低迷によって輸出産業がダメージを受ける中」ででも1%を超える経済成長率を日本国内需は続けてきた、ということをこの数字は示しています。

この様な中で、「個人消費(家計最終消費支出)が伸びない」ことが指摘され続けていたわけですが、実は「輸出額」以上に「輸入額」は更に大きな減少幅を記録しており、
【輸出額前年同月比の推移】
2015年度
第1四半期 -3.8%
第2四半期 -6.0%
第3四半期 -12.1%
第4四半期 -14.8%

2016年度
第1四半期 -16.5%
第2四半期 -18.2%
第3四半期 -8.8%

金額でいえば、元も減少幅の大きかった2016年度第2四半期で4.3兆円のマイナスを記録しています。

実は、この数字を「個人消費」が吸収していましたので、見かけ上の「個人消費」はあたかも減少し続けているかのように見えていました。

ですが、実際には「原価」が減少していただけであり、企業の利益や私たち従業員の「給与所得」は増え続けていたのだと、こう考えることができます。

詳細は私の記事カテゴリーである「物価の見方」 や「実質賃金と名目賃金」をご参照ください。


それでは改めて・・・
改めて、「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)」を再掲します。

【2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報(単位:兆円)】
名目GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 138.2(2.6%)
2016年
 1-3   133.2(1.2%)
 4-6   132.5(1.3%)
 7-9   131.1(1.0%)
 10-12 140.4(1.6%)

実質GDP(前年同月比)
2015年
 10-12 132.2(1.1%)
2016年
 1-3   130.8(0.1%)
 4-6   126.9(0.9%)
 7-9   129.6(1.1%)
 10-12 134.3(1.7%)

特に昨年度第3四半期以降で見る限り、上昇しているのは「名目」だけでなく、「実質」の値も上昇していることが解ります。

計算式で表すと、「名目成長率=実質成長率+物価上昇率」で表すことができますから、

2015年度
第3四半期成長率
 名目 2.6%
 実質 1.1%
 物価 1.5%

第4四半期成長率
 名目 1.2%
 実質 0.1%
 物価 1.1%

2016年度
第1四半期成長率
 名目 1.3%
 実質 0.9%
 物価 0.4%

第2四半期成長率
 名目 1.0%
 実質 1.1%
 物価 -0.1%

第3四半期成長率
 名目 1.6%
 実質 1.7%
 物価 -0.1%

これが「名目成長率と実質成長率の推移」です。

「GDP」というのは私たちの生活の「豊かさ」を表すための指標です。
2016年度第2、第3四半期は物価が0.1%ずつ下落していますが、私たちの生活の豊かさを示す指標である「GDP」は「名実共」にプラス成長しています。

しかも1.5%を超える上昇率を記録しています。
更に「消費増税」を経て記録した「2015年度第3四半期」の成長率は名目2.6、実質1.1、物価1.5%と非常に理想的な上昇率を記録しており、例えば「前年度は減少しているんだから今年度上昇するのは当たり前だろ」的な屁理屈は全く通用しない状況です。

最早「個人消費が減少しているんだからアベノミクスは失敗したんだ!」という悲観論者たちの屁理屈は全く通用しません。
これが「アベノミクス」の成果です。


次回記事では、改めて「なぜ日本は第二次世界大戦(大東亜戦争)を起こしたのか のシリーズへと記事を戻してみたいと思います。



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今回は真珠湾攻撃の話題は少しお休みして、今朝公表されたばかりの「2016年度(平成28年)GDP第三四半期第一次速報」について記事にしたいと思います。

先ずは、公表されたGDPについてのニュースから。結構歪んでます。

【日本経済新聞 2017年2月13日】
10~12月の実質GDP、年率1.0%増 外需に伸び

内閣府

2017/2/13 8:50

 内閣府が13日発表した2016年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.2%増、年率換算では1.0%増だった。プラスは4四半期連続。輸出主導で外需が伸びた。個人消費は振るわなかったが補った。

 QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.3%増で、年率では1.0%増だった。

 生活実感に近い名目GDP成長率は前期比0.3%増、年率では1.2%増だった。名目も4四半期連続でプラスになった。

 実質GDPの内訳は、内需が0.0%分の押し下げ効果、外需の寄与度は0.2%分のプラスだった。項目別にみると、個人消費が0.0%減と、4四半期ぶりにマイナスだった。生鮮野菜の高騰が家計支出を抑制した。

 輸出は2.6%増、輸入は1.3%増だった。アジア向けや北米向けに需要が回復し輸出が拡大した。国内需要が伸び、輸入量が増加した。 設備投資は0.9%増と、2四半期ぶりにプラスだった。輸出増などを受けて生産活動が回復し、設備投資需要が高まった。住宅投資は0.2%増。公共投資は1.8%減。民間在庫の寄与度は0.1%のマイナスだった。

 総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてマイナス0.1%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.3%のマイナスだった。

 同時に発表した16年暦年のGDPは実質で前年比1.0%増、生活実感に近い名目で1.3%増となった。

代表して日本経済新聞記事から引用していますが、今回の報道はどこもこんな感じ。今回のGDP速報にて最も特徴的な部分を、どの報道機関もまったく報道していないのです。

しかも・・・記事内容、ほぼ「嘘」ですからね。
「嘘」というと語弊があるんですが、報道機関で共通して掲載しているのは

 「輸出主導で外需が伸びた。個人消費は振るわなかったが補った」

という内容です。これ、まったくの嘘。出鱈目です。
寧ろ今回の速報の特徴は「個人消費が」伸びた」事。

しかも「横ばい」だとか「微増」だとか、そんなレベルじゃなく、「名実共」に、はっきりと。

「GDP(支出側)」っていうのは、基本的に以下のような項目で構成されています。

国内総生産(支出側)

 民間最終消費支出
  家計最終消費支出
  除く持ち家の帰属家賃

 民間住宅

 民間企業設備

 民間在庫変動

 政府最終消費支出

 公的固定資本形成

 公的在庫変動

 財貨・サービス

 純輸出
  輸出
  輸入

この内、「個人消費」と呼ばれるのは、

  家計最終消費支出
  除く持ち家の帰属家賃

の2つ。
「持家の帰属家賃」っていうのは、本来GDPにすら加えるべきではない指標だと思うのですが、なぜか継続して掲載され続けています。

合わせて言えば、「民間住宅」も「個人消費」として考えることができます。

過去のGDPに関する記事で何度もお伝えしていることですが、改めて復習がてら、「GDP」について解説してみたいと思います。

「GDP」には「名目」と「実質」の2種類があります。

このうち、「名目」とは、全体で「何円」消費されたのかという「金額」を考えるための統計データ。
一方「実質」とは、全体で「何個」消費されたのかという「数量」を考える為の統計データのことです。

ただ、この世の中にある全てのサービスを「個数」で表現することなどとてもできません。不可能です。
「何リットル」という単位、「何グラム」という単位、「何人」という単位等々数多の「単位」が存在しますし、同じ単位でもサービスによってその価値は大幅に変化します。

「実質GDP」というのは、その本来であれば集計することが不可能なはずの「単位」を強引に統合し、唯一示すことの出来る共通の単位、「円」で表現したものです。

ですがそもそも、例えばGDPを「みかん」で考えると、

 「100円のみかんを10個、合計で1000円購入した」場合。

合計値である「1000円」が名目GDP、購入数量である「10個」が実質GDP、更に単価である「100円」が「GDPデフレーター」と呼ばれるものです。

本当にただこれだけの話。こんな単純な指標なんですよ、ほんとは。
「組み合わせ」のパターンが余りにも複雑なんでとても分かりにくく感じるかもしれませんが、単純化する「GDP」とはそういう指標なんです。

四半期別GDPを見る際に問題なのは、政府が集計している指標の中に、「原系列GDP」と「季節調整系列GDP」、そして「年率換算」という3つの指標が含まれていること。名実共にそれぞれの指標がありますから、合計で6つの「GDP」が存在することになります。

今回の速報の中で、特に着目していただきたいのは、当然「個人消費」ですから、今回の記事はこの「個人消費」に着目して記事を作成したいと思います。


家計最終消費支出

2016年度(平成28年)第三四半期家計最終消費支出

名目家計最終消費支出

原系列
 今年度 75,079
 昨年度 74,591
 成長率 0.65%

季節調整系列
 今年度 293,430
 昨年度 291,549
 成長率 0.65%

 前期比 0.3%
 年率換算 1.1%(持家に帰属する家賃を除くと1.4%)

実質家計最終消費支出

原系列
 今年度 73,823
 昨年度 73,189
 成長率 0.87%


季節調整系列
 今年度 289,275
 昨年度 286,764
 成長率 0.88%

 前期比 -0.0%
 年率換算 -0.1%(持家に帰属する家賃を除くと-0.4%)

さて。いかがでしょうか。

どの程度この統計の意味が理解できているのか、という点で見え方は変わってくるとは思うのですが、

 「名目原系列」では昨年と比較して「0.65%」成長しており、
 「季節調整系列」でも同様に「0.65%」成長。
 前期、2016年度第2四半期と比較しても0.3%成長。
 これを「年率換算」すると1.1%成長、
 更にここから「持家に帰属する家賃」を除くと1.4%成長しています。

一方実質でも、

 「原系列」は0.87%成長、
 「季節調整系列」でも0.88%成長

しているのですが、これがなぜか「前期比」となると-0.0%成長、これを「年率換算」すると-0.1%成長、持家に帰属する家賃を除くと-0.4%成長と、軒並み「減少している」ことになってしまうのです。

おかしいですよね、これ?

ちなみに「前年同月比」を昨年12月より合計5四半期の推移を見てみますと、

名目
2015年度第3四半期(10-12) -0.3%
2015年度第4四半期(1-3) -0.5%
2016年度第1四半期(4-6) -0.2%
2016年度第2四半期(7-9) -0.4%
2016年度第3四半期(10-12) 0.7%

実質
2015年度第3四半期(10-12) -0.3%
2015年度第4四半期(1-3) -0.3%
2016年度第1四半期(4-6) 0.3%
2016年度第2四半期(7-9) 0.3%
2016年度第3四半期(10-12) 0.9%

わかりますか?
実質個人消費のマイナス成長は今年度に入って以来解消されていたのですが、名目は昨年度第3四半期より継続して下落しており、今年度第2四半期まで継続していたのですが今期に入ってようやく解消され、プラス成長を果たしたのです。

然も(四捨五入してですが)0.7%成長。
マスコミが大好きな「季節調整系列 前期比 年率換算」ではなんと1.1%。持家に帰属する家賃を除くと1.4%成長となるわけです。

また更に、今期の特徴では「個人消費」に於いても「名目上昇率」を「実質成長率」が上回っているということ。
計算式からすると0.2%物価が下落したことになるわけですが(当然GDPデフレーターもマイナスになります)、名目GDPは上昇し、実質GDPはこれを更に上回る成長率を記録したのです。

先ほどのみかんの例で例えると、

 「100円のみかんを10個、合計で1000円購入」

という状況で、みかんの値段が例えば90円に値下がりするのですが、おかげで販売数量は12個に増え、販売総額は1080円に増えた・・・と、そんなイメージです。

実質賃金と名目賃金のページ でもお伝えした、

 「物価が下落したおかげで、『消費金額』も『消費量』も共に上昇した」

という状況。この状況は「賃金」だけでなく、実際の「個人消費」のケースでも同様の経済現象が起きていたことが、GDPデータにより証明された形です。

ですが、今回ご紹介した日経をはじめ、大手新聞社が掲載した情報は

 輸出主導で外需が伸びた。個人消費は振るわなかったが補った。

消費は増えたんです。外需が伸びたかどうかなど関係ありません。
寧ろ「前年同月」で見れば輸出はマイナスです。

「経済面」を担当する「日本経済新聞」の記者なんですよ、この記事を書いた人物は。どなたかは知りませんが。
どんだけ経済音痴なんだと真剣に罵倒したい気分です。

何が「個人消費は振るわなかった」だ。
もっと真剣に経済統計を見ろよ、と言ってやりたいですね、はっきり言って。

もちろんここには「前年同月比では下落し続けていた原油価格がようやく前年の価格と釣り合った」ことや、「生鮮食品が高騰したこと」なども含まれているわけですが、「実質値を季節調整し、『前期』と比較し、年率換算した数値」はそんな事すら反映できていないわけです。

いい加減人為的な計算式で算出した「実質値」「季節調整系列」「年率換算」などのまったく当てにならない指標に依存した飛ばし記事を書くのはやめてほしいですね。

ちなみに「名目」の「民間住宅」、つまり人間が一生のうちで購入する最も高額な商品であると言われる「住宅」はの2016年度第3四半期の前年同月比は「7.1%」。

第1四半期4.2、第二四半期5.3ですから、どんどん上昇していることが分かります。
「2%物価上昇率」を目指すのは、あくまでも考え方の一つであって、例えこれに追いついていないとしても、「名目」も「実質」も共に大幅なプラス成長を果たしているのなら、最早掲げる必要性すらない目標値です。

難関を超え、大手新聞社の「記者」となった人物なのに、この程度の情報に気づけないなんて、私には信じられません。


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実は9日に作成し、公開直前まで出来上がっていたのですが、公開寸前でなんとブラウザがクラッシュ。
文章がすべて消えてしまいました。非常にショックでしたが、気を取り直して再度記事作成に取り掛かります。

今回の記事は、2016年度四半期別GDP 第2四半期 二次速報についての記事になります。

内閣府

私は一次速報について記事にすることはよくありますが、今回の様に二次速報を記事にすることはおそらく初めてではないでしょうか。今回の二次速報は、実はそれほどに大きな意味のあるものです。

第192回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より①
第193回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より②
第194回 「財政投融資債」とは何か?/「一般会計」と「財政投融資会計」の違い
第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
第198回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より④

上記5回のシリーズにてご案内しましたように、今回の第二四半期二次速報より、GDPの算出方法が見直され、その見直し結果に基づいた統計データが公表されています。


今回の一次速報と二次速報の違い


GDP算出方法の改定の詳細は上記リンク先をご覧いただければと思います。
この中でも、今回のGDP公表データー(支出側GDP)に大きな影響を与えているのは以下の2記事です。
(※支出側GDPについての考え方は第164回の記事 をご参照ください)

1.産業関連表の見直し
2.研究開発費を「資産」として計上

第192回の記事 でもご説明したのですが、「産業関連表」とは、「商品」が私たちの手元に届くまでにたどった「流通経路」をその加工される前の段階にまでさかのぼって集計した、その「分配率」を計算するための元データのことです。

詳細はリンク先記事をご覧ください。
今回見直された「産業関連表」は、「2011年」の流通経路を参考に算出されています。2011年。今から5年前の流通経路です。

5年前というだけでも非常に古い様に感じるのですが、1次速報までの段階で用いられていた産業関連表は、なんと2005年。今から11年も前のデータを用いて算出されていました。

また2点目。「研究開発費の資産計上」に関しましては、第193回の記事 にてご説明しています。

この項目は主に「民間企業設備投資」という項目に影響を与えます。これまで「経費」として、「支出側」ではなく一部「生産側」GDPに計上されていたデータが、「研究開発費」として「支出側」に掲載されることになりました。

研究開発費については、計上する場所が変わっただけですので、ちょっとしたトリックのようなイメージがありますが、「産業関連表の見直し」は話が違います。

これまで、誤ったデータに基づいて算出されていたGDPが、より正確なものに近づくことになります。今回の記事では、特にこの「産業関連表の見直し」に関連した内容を記事にしてみます。


【名目GDPと実質GDP】

まずは、最大の基礎データである「GDP(総合)」から見てみます。

【名目GDP(原系列/前年同月比)】

 1次速報 123兆4619億円(0.8%)
 2次速報 130兆9934億円(0.9%)

【実質GDP(原系列/前年同月比)】

 1次速報 132兆8753億円(0.9%)
 2次速報 129兆5584億円(1.1%)
 
実質GDPがガクッと下落している様に感じるのは、基準年の見直しが行われたことによるものです。
産業関連表と同じく2005年から2011年へと変更されています。

前年同月比ベースで考えますと、共に名目GDPより実質GDPの成長率の方が大きくなっており、2016年度第二四半期は2015年度第二四半期よりも物価が下落していることが分かります。これをGDPデフレーターで見ますと、

【GDPデフレーター(指数/前年同月比)】

 1次速報 92.9(-0.1%)
 2次速報 101.1(-0.2%)

2次速報の方がマイナス幅が大きくなっていますので、二次速報の方が「物価下落率」が大きくなっていることになります。
(GDPデフレーターの見方は、第218回の記事 をご参照ください)

「物価」で考えた場合、GDPは全てのマクロ指標を包括したデータになりますから、その最大の原因と考えられるのはやはり「原油価格」の存在です。

そこで、「原油価格」の影響が反映されている「輸入額」についてみてみます。

【輸入額(名目原系列)/前年同月比)】

 1次速報 19兆2429億円(-18.5%)
 2次速報 19兆4399億円(-18.4%)

このあたりは、「算出方法の改定」とはあまり関係のない分野ですが、18%を超えるマイナス(金額にして役3.5兆円)のマイナスは大きいですね。


【「研究開発費」の影響】

次に、「研究開発費」の影響を考えてみます。

分野とすると「民間企業設備」という項目になります。

【名目民間企業設備(原系列)/前年同月比)】

 1次速報 17兆1636億円(-1.3%)
 2次速報 19兆8888億円(-0.5%)

勿論、この中には「産業関連表」の見直しに伴う変化も含まれているわけですが、合計で約2.7兆の違いが生れています。
では一方で、「産業関連表」のみの影響を受けて変動していると考えられる、「家計最終消費支出」についてみてみましょう。


【産業関連表の見直しに伴う変化】

【名目家計最終消費支出(原系列)/前年同月比)】

 1次速報 70兆8315億円(-0.9%)
 2次速報 72兆9116億円(-0.4%)

約2.08兆円の違いです。二次速報に占める割合で考えると、約2.8%の「誤差」です。
民間企業設備の「誤差」が約13.7%。約11%違うわけですが、この違いが「研究開発費の資産計上」による影響を受けたものと考えられます。


【年度ベースでの比較】

さて、ではこれを「年度ベース」で見るとどうでしょうか。

勿論2016年度はまだデータが出ていませんから、2015年度と、安倍内閣がスタートする前の2012年度の数字を比較してみます。

【名目GDP2012年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2012年度
  1次速報 474兆4037億円
  2次速報 494兆6744億円       
  1次速報-2次速報=20兆2707億円 

 2015年度
  1次速報 500兆6213億円
  2次速報 532兆1914億円       
  1次速報-2次速報=31兆5701億円 

いかがでしょう。この様なデータを示すと、「そもそも統計方法が違っているんだから、データが違うのは当たり前だろ!」

という意見が出るかもしれません。ですが、私が見てほしいのは、統計方法の改定により「いくらGDPが増えたのか」などという単純な話ではありません。

一番着目していただきたいのは、1次速報と2次速報の「誤差」です。
2012年度の誤差は20.27兆円であったものが、2015年度には31.57兆円に広がっています。

その差は約11.3兆円にも上ります。

例えば、「研究開発費」がデータとして加えられましたので、これを「研究開発費の伸びしろが影響している」と考える人もいるかもしれません。ですが・・・

【名目民間企業設備年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2012年度
  1次速報 64兆7979億円
  2次速報 71兆8342億円       
  1次速報-2次速報=7兆0363億円 

 2015年度
  1次速報 70兆995億円
  2次速報 81兆2078億円       
  1次速報-2次速報=11兆1083億円 

民間企業設備の「2012年度の誤差」と「2015年度の誤差」の開きは4兆0720億円と確かに大きいのですが、

【名目家計最終消費支出2012年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2012年度
  1次速報 281兆1680億円
  2次速報 283兆9824億円       
  1次速報-2次速報=2兆8144億円 

 2015年度
  1次速報 284兆7216億円
  2次速報 292兆3669億円       
  1次速報-2次速報=7兆4530億円 

民間家計最終消費支出の「2012年度の誤差」と「2015年度の誤差」の開きは4兆6386億円と、こちらも「民間企業設備」に負けず大きな開きとなっています。

2014年に消費増税もおこなれていますから、ここを問題にする人もいそうですが、では「消費増税後」の「2014年」と「2015年」を比較した場合はどうなのでしょうか。

【名目家計最終消費支出2014年度/2015年度比較(原系列/前年同月比)】

 2014年度
  1次速報 286兆1262億円
  2次速報 291兆5161億円      
  1次速報-2次速報=5兆3899億円 

 2015年度
  1次速報 284兆7216億円
  2次速報 292兆3669億円       
  1次速報-2次速報=7兆6453億円 

いかがでしょう。何度も言いますが、今回の二次速報より改定された改定内容は、「支出側GDP」で考えれば、「産業連関表の見直し」と「研究開発費の資産計上」の2点です。

この他、

A.「雇用者報酬の見直し」
B.「財政投融資債の計上方法の見直し」
C.「輸出入項目内訳の見直し」

が行われているわけですが、Aは生産(分配)側GDPの問題ですし、Bは政府の会計方法が見直されるだけで、金額そのものが変わるわけではありません。Cは名前の通り輸出入の問題ですから、今回主に掲載した「家計最終消費支出」や「民間企業設備」には関係がありません。

そして「研究開発費の資産計上」は「民間企業設備」にかかわる分野であり、「家計最終消費支出」がこの影響を受けることはありません。

つまり、「産業関連表」=「流通経路の見直し」が行われただけで、2015年度の「家計最終消費支出(名目)」は、2014年度と比較して、2005年度の古い産業関連表を用いて計算した計算結果では「1兆4046億円のマイナス」であったはずなのに、2011年度ベースの少し新しくなった産業関連表を用いただけで、8530億円のプラス成長に変わってしまったのです。

これは、私がこのブログを通じて、特に消費増税関連の問題で「消費増税が消費を減退させた」という論調に対して、「その評価は現状を正確に評価できていない」という考え方に基づいて、散々記事を記してきたことが証明されたに等しい内容です。

第53回 実質GDPへの疑惑
↑こちらの記事は、タイトルにある通り、「実質GDPの疑惑」について掲載したものです。

このころはまだ不勉強な部分もあったわけですが、記事中に掲載している「加重平均」やその結果算出された「ウェイト」については、実質GDPだけでなく、名目GDPや消費者物価指数を算出する済にも同じように用いられていますので、その後の記事で、私は「名目GDP」についても「消費者物価指数」についても、これが「当てにならない」ことを散々掲載してきました。

2015年度のGDPは、「速報ベース」ではなく、「確報ベース」の値です。
これが、「産業関連表の見直し」によって大幅に覆された結果となったのです。

「合成の誤謬」とはよく言ったものです。

この記事の作成方法として、私は実は今回の二次速報データを予め検証することをせず、私の頭の中にある予測を記事として書き記し、私の予測の中にある数字が出てくるかどうか、非常にワクワクしながら記事を作成しました。

その結果、内閣府統計データに記されていた数字が悉く私の予測通りの数字であったことは、非常にうれしく感じています。

来年中にはおそらくビッグデータを活用した、新たなる統計方法に基づいたGDPデータ が登場するはずです。

日本国内の経済の実態が、どの程度まで正確に反映された統計データが登場するのか、今からとても楽しみです。



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前回の記事 で少し触れましたが、一昨日(2016年11月14日)、2016年度第二四半期(7月~9月)のGDP一次速報が発表されましたので、今回はこの話題について記事にしたいと思います。

ニュース情報では、こんな感じで報道されています。

【日本経済新聞(2016/11/14 12:32)】
GDP実質2.2%増 7~9月年率、輸出・住宅伸びる

 内閣府が14日発表した2016年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.54%増、年率換算で2.2%増となった。プラスは3四半期連続。アジア向けを中心に輸出が伸び、国内でも住宅投資が堅調だった。一方、内需の2本柱である個人消費と設備投資はゼロ近傍で停滞した。

 実質GDPの増加率は、15年1~3月期(年率5.0%)以来の高い伸びとなった。市場の事前予測の中央値(年率0.8%、QUICK調べ)を大きく上回った。生活実感に近い名目GDPの増加率は0.2%、年率換算で0.8%だった。

 石原伸晃経済財政・再生相は同日の談話で「日本経済はこのところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との認識を示した。

 前期比0.54%伸びた実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度をみると、外需が0.45%分押し上げた。輸出は2.0%増えた。「iPhone7」など新型スマートフォン(スマホ)の増産のため、半導体製造装置や電子部品の輸出が伸びた。アジア経済の復調も輸出を押し上げた可能性がある。

 GDP統計で輸出に分類される訪日外国人(インバウンド)消費は9.4%増えた。熊本地震で訪日を見送るケースが相次いだ4~6月期の落ち込みを取り戻した。輸入は0.6%減少した。

 内需は実質GDPを0.09%分押し上げた。住宅ローン金利の低下が購買意欲を刺激し、住宅投資は2.3%増えた。個人消費は0.06%の伸びにとどまった。新型スマホの販売が好調だったが、台風など天候不順の影響でアルコールを含む飲料やガソリンの消費が落ち込んだ。

 設備投資は0.03%の増加にとどまった。米欧の自動車市場が堅調な輸送機械は伸びたが、農業機械やソフトウエアの新規投資は振るわなかった。収益が伸び悩むなか、企業が設備投資を様子見している。公共投資は0.7%減った。16年度当初予算などの前倒し執行が押し上げた4~6月期の反動が出た。

 物価の動きを総合的に示すGDPデフレーターは前年同期比0.1%低下した。13年10~12月期以来11期ぶりに前年を下回った。円高が物価の重荷になっている。収入の動きを示す雇用者報酬は名目ベースで前年同期比2.0%増えた。

 内閣府は12月8日に公表する7~9月期改定値から推計方法を見直す。これまで付加価値を生まない「経費」として扱った研究開発費を付加価値を生む「投資」と見なし、GDPに加算する。内閣府の試算では、新たな基準年となる11年の名目GDPは19.8兆円かさ上げされるという。

財務省

どの記事にも共通して記されていたのは、実質GDPが2.2%増加し、これが3四半期連続でのプラス成長である、ということです。

おさらいになりますが、「GDP」には「名目GDP」と「実質GDP」の二つの種類があります。

「名目」と「実質」の違いについて記載しますと、

「名目とは『金額ベース』の指標」であり、
「実質とは『数量ベース』の指標」であるということ。

分かりやすく言えば、「名目GDP」とは、「総額で何円の消費が起きたのか」という数字で、「実質GDP」とは「総数で何個消費されたのか」ということです。

データとして記載しますと、

2016年度第1四半期の名目GDP 125兆円(前年同月比 1.4%)
2016年度第1四半期の実質GDP 129兆円(前年同月比 0.6%)

であったのに対して、

2016年度第2四半期の名目GDP 123兆円(前年同月比 0.8%)
2016年度第2四半期の実質GDP 132兆円(前年同月比 0.9%)

となっています。
二次速報を間に挟んでいないので、第140回の記事 で掲載した内容とは若干内容が変わっています。

勿論数字は「名目、および実質」の「原系列」。
原系列以外に「季節調整系列」というものがあります。季節特有の現象を計算式を用いて除外するわけですが、人為的に操作された数字で、実はそれが正確であるという明確な根拠に乏しいため、私は全く信用していません。

季節調整が行われる理由は、「前年同月」ではなく「前期」と比較し、「年率換算」をして「同じ成長率が1年間継続したらどうなるか」というフィクションに基づいた結果を計算するためです。(詳しくは 第140回の記事 をご参照ください)

第一四半期から第二四半期にかけての経済成長率がまる1年間継続するわけがありませんから、はっきり言って「年率換算」の数字を用いて経済を考えるなど、『論外』ですね。

暴走しました。理想としては、名目2%、実質1%、物価上昇率1%の上昇としたいのですが、ともに前年同月を上回っており、まずまずというところではないでしょうか。


ちなみに、第140回の記事 でも掲載しています通り、名目GDP成長率、実質GDP成長率、物価上昇率の関係は

 名目GDP成長率=実質GDP+物価上昇率

となっています。
今回は名目成長率が0.8、実質成長率が0.9ですから、物価上昇率は-0.1。つまり、物価は下落していることになります。

これは「消費者物価指数」に関連した記事 でも散々お伝えしていますので、みなさんご存知の通りですね。

理由はこちら。

 2016年度第2四半期の輸入額 19.242兆円(前年同月比 -18.6%)

数値は勿論、名目の原系列です。
日本の輸入の大部分を占めているのはもちろん「原油」。

「輸入額」というのは、日本にしてみればそのまんま「原価=仕入れ価格」になりますから、輸入額は本来少なければ少ないほど良いのだ、と考えることができます。(ただし、『経済活動が滞っている』ことが理由である場合もあるので、他の経済指標との比較はとても大切なことですが)

分かりやすく表現するとすれば、「輸入額+付加価値」=「物価」ですから、利益の増加幅以上に輸入額が下落すれば、当然物価は下落します。GDPは「物価」の集合体ですから、付加価値以上に輸入額が下落すれば、GDPの伸び率も抑えられてしまうわけです。


しかし、「原油価格」っていうのは、元々「名目は減少しているのに原油価格が上昇するせいで『消費者物価指数』が上昇している様に見えることを批判し、「数字から輸入額が除外されている『GDPデフレーター』」で物価を見ることが正しい、と言っていたのに、今では事態が逆転してしまっています。

GDPデフレータでは「原油価格下落による名目値の動向」と「原油価格を含まない名目値の動向」が混在してわからなくなってしまっているため、「GDPデフレーター」よりも「消費者物価指数」で「費目・品目別」に見る習慣をつけることの方が大切になっています。


「家計最終消費支出」について

「家計最終消費支出」とは、国全体の消費支出の内、「政府」でも「企業」でもない「家計」が消費に回すことができた金額の合計値です。

この金額が大きければ当然「家計ベースでの消費が増えた」こととなるわけですが、

 2016年度第二四半期の「家計消費支出」は「前年同月比-0.9%」。

まあ、みなさんご想像の通りですね。私はこの数字は当然「原油価格の下落」が大きく影響していると考えています。
第140回の記事 と見解は一緒なのですが、やはり大きな特徴として、「民間住宅」への支出が伸びていることがその理由です。

これは日本経済新聞記事にも記していますね?
内需は実質GDPを0.09%分押し上げた。住宅ローン金利の低下が購買意欲を刺激し、住宅投資は2.3%増えた。個人消費は0.06%の伸びにとどまった。新型スマホの販売が好調だったが、台風など天候不順の影響でアルコールを含む飲料やガソリンの消費が落ち込んだ。

掲載内容は「実質値」に関する掲載です。ツッコミどころ満載なんですが、「住宅投資」に関する記載はその通りだと思います。

「住宅」って日本人が一生で起こす消費の内、最も大きな買い物です。
ちなみに「民間住宅」は名目の前年同月比で5.9%も上昇しています。

第一四半期が4.4%でしたから、これに輪をかけての上昇となりました。
GDP指標の内「民間住宅」という分野は、「住宅」という限定的な分野に絞られていますし、この分野が「原油価格下落」の影響を受けることはありません。ですから、他の分野と比較しても、より正確に「消費」が反映されていると考えられるのです。

一生で一番大きな買い物である「住宅」にこれだけの消費を行えるようになっているのに、それ以外の「最終消費」はマイナスであることに対して非常に疑問を感じるわけです。

過去の記事で述べています通り、「賃金」も上昇していますしね。


ただ、気にかかる分野として、「企業設備投資」が前年同月比-1.3%と減少しているのは少し気にかかるところです。第一四半期が-0.1%ですから、企業に少し元気がなくなっているのかな、と感じさせる数字です。

12月8日には、「二次速報」が上がってきます。
ここでは、ついに新しい「産業関連表」に基づいて製作された新しいGDPが登場します。

2008SNAの件もあるのですが、こちらは私たちがよく見る「支出側から見るGDP」に繁栄される要素は少ないかなと考えているので、一番大きいのは「産業関連表」の問題だと思います。

今回の一次速報も、第一四半期の情報も、過去までさかのぼって修正されるはずですので、どのような修正内容となるのか、今から楽しみです。


次回記事では、改めて「GDPデフレーター」について記事を記してみたいと思います。





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<継承する記事>第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
今回の記事では、「内閣府、GDP算出方法の改定」についてのシリーズ①~③までの記事内容を総括する記事を作成しようと思います。

まとめますと、今回内閣府が行う「GDP算出方法の改定」とは、まず一つ目に、これまで用いてきた「2005年度版産業関連表」から「2011年度版産業関連表」への変更を行うこと。
第192回記事 をご参照ください)

そして、これまで古い国際基準である「1993SNA」に対応して作成してきていたものを、新しい国際基準「2008SNA」に対応した内容に変更すること。
第193回記事 をご参照ください)

この2点です。

どちらにせよ、産業関連表は5年遅れ、SNA(国民経済計算の国際基準)は8年遅れですから、この更新を行うことで本当に国内の経済状況を正確にとらえられるのか、ということに関しては非常に疑問に感じる部分も大きいのですが、特に「産業関連表」に関しては、10年前の産業構造で現在を判断するよりは、さすがに5年前の状況で判断したほうが、まだましだろうとは思います。

データとしては恐らく過去に遡及した物を出してくるでしょうし、計測方法が変更されたため、データとしてかさ上げされることになりますので、本来の「国力」が上昇するわけではない、ということから、この変更内容の重要性については5段階あったとしたら、下から2番目くらいになるでしょうか。

重要度としては、第189回の記事 ~第191回の記事 にかけてご紹介した、「統計指標へのビッグデータの活用」の方がよほど大きいと思います。

この二つの改定に関しては、GDP算出方法の改定が今年度第2四半期(7月~9月)二次速報分から、ビッグデータを活用した指標の導入が早ければ来年度から、ということですから、時期がずれますので、変化の調査は行いやすいと思います。

ただ、GDP算出方法の改定に関連した内容としては、特に「非金融(実物)資産の範囲」という項目に関してはひょっとすると経済実態を計測する上で、大きな影響が出てくる可能性のある部分だとは考えています。
第193回の記事 に掲載してある内容です。

「研究開発費」が「資産」として残る・・・といってもイメージがしにくいかもしませんね。

【日本における研究開発費の研究主体別構成比】
「研究開発費」の内訳
※内閣府PDF

大部分が「企業」にはなっていますが、その他にも「大学」や「公的研究機関」なども含まれていますね?
想像しやすいのが、「ノーベル賞」などがこれに該当するのではないでしょうか。

青色発光ダイオードなどはイメージしやすいかもしれませんよね。
ノベール賞を受賞したのは研究者である中村修二教授だったのに、研究にお金を出したのは日亜化学工業だったという理由で、中村教授には報酬が経った2万円しか渡されず、中村教授激怒・・・という光景を覚えている方もいらっしゃると思います。

つまり、「青色発光ダイオード」という技術の開発にかかった費用(研究開発費)は日亜化学工業だったんだから、中村教授一人が偉いわけじゃない、みたいな理屈です。

この事例を持ち出したのは、この事件そのものについて言及したいわけではなく、「青色発光ダイオード」という技術(知的財産)にかけられた費用は、これまでのGDPではすべて「経費」として扱われ、この知的財団には何の価値も与えられていなかったわけです。

勿論「青色発光ダイオード」という技術開発にかけられた「研究費用」そのものがGDPに組み入れられることも大きいのですが、これは、日本の「財政政策」にとっても一つの新しい「可能性」が生れることを暗示しています。

次回記事に於きましては、ではこの「財政政策の可能性」とは何なのか。
これを「建設国債と赤字国債」というタイトルで掲載してみたいと思います。




タイトルで、なんとなく私の言わんとしていることに気づくことができた方は・・・さすがです。



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<継承する記事>第194回 「財政投融資債」とは何か?/「一般会計」と「財政投融資会計」の違い
記事は第194回の記事の続きです。

テーマは今回のタイトルにある、内閣府GDP算出方法の改定に関連した内容で、第193回の記事 に掲載した『国際基準「2008SNA」』より、

3.一般政府や公的企業の取扱精緻化
 ・一般政府と公的企業との間の例外的支払の取扱の精緻化 等

4.国際収支統計との整合
 ・財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底 等

という二つのテーマについてご説明することを目的にしています。

第149回の記事 では、とくに3番の「一般会計や公的企業の取扱精緻化」というテーマについてご説明する上で、先に「財政投融資」という言葉についてご理解いただいておくことが必要だと感じたため、これを記事にしました。

それでは、改めて、まずは

「3.一般政府や公的企業の取扱精緻化」というテーマについて記事を進めていきます。


【一般政府や公的企業の取扱精緻化とは?】

内閣府資料 では、「一般政府や公的企業の取扱精緻化」について、以下のように掲載しています。

「公的企業から政府への特別な支払(財政投融資特別会計から一般会計への繰入れ等)の記録変更により、これまで振れの大きかった財政収支について、より基調の動きを記録」

つまり、「一般政府や公的企業の取扱精緻化」とは、「財政投融資特別会計から一般会計への繰入れ等の記録を変更」しますよ、ということです。

第194回の記事 に於きまして、「財政投融資特別会計」が、『政府の「一般会計」との間で、横断的に資金の行き来を行いながら運用』しているとお伝えしました。

平成28年度財政投融資特別会計

こちらは今年度。2016年度予算ベースでの「財政投融資特別会計」なのですが、右側、「歳出」の中に、「公債等事務取扱費一般会計へ繰り入れ」という項目がありますね?

これがそれに該当します。

28年度はこれが7100万円ですから、微々たるものであるように見えるかもしれませんが、

【「例外的支払」の例(「公的企業⇒政府」)】
2006 年度 財政投融資特別会計⇒国債整理基金特別会計 12兆円

2007年度 日本郵政公社⇒一般会計 約1兆円

2008年度 財政投融資特別会計⇒一般会計、国債整理基金特別会計 計約11.3兆円

2009年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約7.3兆円

2010年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約4.8兆円

2011年度 財政投融資特別会計⇒一般会計 約1.1兆円
(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構⇒一般会計 約1.2兆円
(独)日本高速道路保有・債務返済機構⇒一般会計 約0.3兆円

財政投融資特別会計に限ったものではありませんが、2001年度以降に限定して、これだけの金額が、「公的企業」から「一般政府」に「例外的に支払い」されています。

この際、GDPへの記載としては、「資産移転」という名目で計上されており、一見するとこれだけの金額、政府資産が増えたかのように見えてしまいます。実際そうなんですが、税収が増えたわけでもなんでもないのに収入が増えたように見えてしまうため、政府の財政状況が改善されたかの様に見えてしまうのです。

財政投融資特別会計的には、これらの資金は元々財政投融資資金を運用した結果生まれた「積立金」であり、財政投融資の資金は元々原資が「財政投融資債」と呼ばれる「国債」ですので、余剰資金が生れれば(利子率の変動に備えた一定の予備資金以外)全額「国債整理基金特別会計」へと組み入れられてきました。

上表で、「国債整理基金特別会計へ繰り入れ」とされているのがその積立金です。
財政投融資債の運用利益は国債の返済資金としても活用されているんですね。

ところが、2008年に勃発したリーマンショックの影響を受け、この財政投融資特別会計の積立金が切り崩され、「国債整理基金特別会計」ではなく、「一般会計」へと資産移転が行われているのです。

これは、実際の経済活動に伴ったものではありませんので、これを「GDP指標」に割り当てて国内の経済力を計る指標と考えるのは、本来であれば間違っているはずなのです。

このやり方は、今回採用される「2008SNA」だけでなく、これまで採用されていた「1993SNA」でも用いられていなかった、日本独特のやり方です。

「2008SNA」では、これを「資産移転」ではなく「持分の引出し」として項目を分けて表示します。
つまり、外側から見てこれらの収入が元々政府が同年に収入として得たものではなく、別会計から引き出したものだ、ということが外目から判別できるようにするわけです。

このことで、トータルでのGDPが変化することはありませんが、政府の収支状況もより正確な判断ができるようになりますね。


【国際収支統計との整合とは?】

よく読んでみたのですが、この項目は少しわかりにくいですね。私も誤解のないようにお伝えできるかどうかが少し自信ありません。

「財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底」
とあります。

これ、要は日本が国外の生産地に対して、製造物等の「加工」を依頼した場合。
「財物」の移動があるかどうか、というところを重要視している様です。

つまり、車を1台製造するときに、車一台分、又はその一部を構成する材料が国境をまたいで移動した場合は確かに物の「輸出」と「輸入」が行われていますから、問題はありません。

ところが、製品が移動した後、物の移動がなくても、例えば電話で問い合わせをして、財物の移動が発生せずに問い合わせだけで依頼側の目的が完了したとしたら、これは当然「輸入」でも「輸出」でもありません。単に「サービス」の提供が行われただけです。

これまでは、この「サービス」についても輸入品、輸出品の金額に分配されていたわけですが、これを「財貨は財貨、サービスはサービスとして取扱なさい」という勧告を行っているのが2008SNAです。

まあ、どのみち「輸出入」に関連した部分ですので、日本国内の需要を計る指標としての重要性は薄い部分です。


次回記事に於きましては、①~③までの「GDP算出方法の改定内容」を総括する形で記事を締めくくりたいと思います。



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<継承する記事>第192回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より①
前回の記事の続きです。

内閣府が行うもう一つの改定基準、『新たな国際基準「2008SNA」』について。

「2008SNA」とは、日本語で正式名称を「2008年版国民勘定体系」という名称です。
こちらは2009年に、「国際連合」で合意された国民経済計算の「最新」の国際基準なのだそうです。

今更感マックスですが、つまり2009年に「国民経済計算(GDP)」の国際基準が改定されたのに、日本ではいまだにそれ以前の基準のものを用いていた、ということ。

内閣府資料によりますと、「2008年版国民勘定体系」とは、以下の様に掲載されています。

【国際基準「2008SNA」とは】
□国連で合意された国民経済計算に関する最新の国際基準

□前身の1993SNAからの変更事項は63項目にわたる

□1993SNAをベースに、90年代以降の経済・金融環境の変更を織り込んだ改定が中心。以下の4分野に集約

1.非金融(実物)資産の範囲の拡張等
 ・研究・開発(R&D)の資本化
 ・兵器システムの資本化 等

2.金融セクターのより精緻な記録
 ・雇用者ストックオプションの記録
 ・企業年金受給権の記録の改善 等

3.一般政府や公的企業の取扱精緻化
 ・一般政府と公的企業との間の例外的支払の取扱の精緻化 等

4.国際収支統計との整合
 ・財貨の輸出入における所有権移転原則の徹底 等

日本経済


【各国の以降状況】

この2008SNAの移行は、

・オーストラリア 2009年
・カナダ 2012年
・アメリカ 2013年
・ヨーロッパ各国 2014年
・韓国 2014年

と、日本以外の国はほぼ完了しており、日本はオーストラリアより7年、カナダより4年、アメリカより3年、欧州・韓国より2年遅れて導入するわけです。

これもまた、何だかなぁ・・・と思わざるを得ない部分ですね。


【金融セクターのより精緻な記録とは?】

2番は、同じ「国民経済計算」の中でも「分配側(生産側)GDP」の問題となります。

雇用者ストックオプションというのは、将来、一定の価格で雇用者が自社株を受け取ることができる権利のこと。
将来、権利を行使しようとしたときに、この「一定の価格」を株価が上回っていればこの雇用者は利益を得て、逆に下回っていればこの権利を放棄することができます。(上がるまで待つこともできます)

この、雇用者が手にした利益分を「雇用者報酬」これまでは計算に加えていなかったのですが、これを「雇用者報酬」に加えましょう、というのが「雇用者ストックオプション」に関する内容。

「企業年金」は所謂「国民年金」や「厚生年金」以外に企業に所属している従業員が積み立てている「上乗せ年金」のこと。
この受給権の記録を、これまでは上場企業にしか行っていなかったため、上場企業以外の企業にも導入しましょう、というのが「企業年金受給権」に関する内容です。


【非金融(実物)資産の範囲の拡張とは?】

この項目は、「生産側(分配側)」ではなく、「支出側」。つまり、私たちがよく見かけるあの「GDP」に関連する内容です。(生産側GDPと支出側GDPの違いについては、第164回の記事 をご参照ください)

「兵器システム」も同様だと思うのですが、「知的資本」。
ここでは「研究・開発」と記されています。今回の改定では、この「研究開発」という形を持たない成果物を生み出すためにかけられた費用を、「知的資本」として計上しましょう、ということになります。

「研究開発費」に該当するのは、

「人件費、原材料費、固定資産の減価償却費及び間接費の配賦額等、研究開発のために費消された全ての原価」

とされています。例えば「原材料費」であれば、その購入金額を「設備投資費」として企業は投資することができるわけですが、例えば「人件費」はこれがスタッフに対するお給料として発生していれば、これは「分配側(生産側)GDP」に計上されるものなので、支出側GDPには計上されません。

「固定資産の減価償却費」は読んで字のごとく減価償却されますので、固定資産の価値からマイナス計上されることになります。

「間接費の賦課額」というのは、例えば研究開発に直接関係のない、他の事業と共同で利用している設備の減価償却費であったり、研究開発は行わない、警備スタッフの人件費などを「研究開発費」として割り当てて原価計算する計算方法のことです。

従来、この様な費用は、「経費」としてそのまま処理されていたわけですが、今度の改定ではこのような経費を「研究開発費」として資産計上することとなります。

これまで計上されていなかった研究開発費が、GDP上「民間企業設備」という項目に計上されることになりますので、これがGDP全体を押し上げることになります。


次回記事では、「90年代以降の経済・金融環境の変更を織り込んだ改定」の内、残る2項目、その他改定内容についての解説を行っていきたいと思います。




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