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<継承する記事>第472回 明石順平氏説を妄信する皆様へ②~GDP改定と消費支出~

前回の記事 でもお伝えしました通り、本日は「統計で人を騙す方法」のタイトルで記事を作成してみます。

今回の内容がちょっとした続き物になってしまいましたので、連続して読めるよう、バックナンバーを張り付けておきます。

 第470回 明石順平氏説を妄信する皆様へ~実質賃金と実質消費の見方~
 第472回 明石順平氏説を妄信する皆様へ②~GDP改定と消費支出~

今回の記事が第三弾で「統計で人を騙す方法」となっております。


前回のダイジェスト

繰り返しになりますが、今回のシリーズはタイトルにもある明石順平氏(弁護士)が行った以下のツイート。



これに対して私が以下の投稿をしたところ

①実質消費支出は、二人以上世帯のみのデータで、二人以上の名目消費支出を一人世帯、及びその他の消費者まで含めた全体の消費者物価で割っているので、本来平行線となるべき実質消費支出に、本来含むべきではない一人世帯、及びその他の消費者の物価上昇が反映されている。
※①については正確ではなく、前回記事で訂正情報を掲載しています。

②「物価」は「価格」の増減のみで決まる訳ではなく、「消費量」が伸びなければ増加する事はない。つまり、消費者物価の伸びは、「価格」に関わらず消費量が増えている事を示している。

③給与所得者に限定すると、「物価」とは受け取った名目賃金の内、「消費」に回された額で決定するため、一部例外を除き、物価の伸び率が名目賃金の伸び率を上回る事はない。例外とは、給与所得以外の収入、過去に蓄積した貯蓄、借入の3つ。

④実質賃金とは、つまる所、給与所得者が受け取った賃金をどれだけ貯蓄に回す事ができたのか、その増減を示す数字なので、名目賃金が上昇する中で実質賃金が下落するという事は即ち消費が活性化しているという事。ちなみに物価が上昇すると実質賃金は過小評価され、下落すると過大評価される。

以上の事から、明石氏のグラフは黄色線のみがデタラメなデータであり、他のデータは安倍内閣に入って「消費」が活性化している事を証明しているグラフである。

明石順平氏から何の反論もなくブロックされた・・・というのが記事を作成し始めたきっかけとなっております。

で、特に「実質賃金」というキーワードに対し、おそらく次回参院選でこれを論点にしようと考えている政党を支持する皆様が「実質賃金の下落=アベノミクスの失敗」とする主張を盛んに行っているのが今のネット世論の現状です。

ですが、これまでの2回の記事でも散々ご説明させていただきました通り、名目賃金が上昇する中での実質賃金の下落は消費が活性化していることを意味しており、これはむしろアベノミクスが成功していることを示している数字です

で、私が行うこの様な実質賃金に関連した話題に対し、「消費はずっと縮小している」という反論がテンプレートのようにして返ってきます。

その根拠とされるのが先ほどお示しした明石順平氏のツイートです。特に投稿されている次の画像。

D5NqQqZUcAA7oYa.png

ここにある黄色のライン。明石氏が「実質世帯消費動向指数」として掲載しているグラフです。

このグラフは「世帯別消費動向指数」なので、国内の一つ一つの「世帯」ごとの消費支出を平均したデータになっています。これを「消費者物価指数(除く持家に帰属する家賃)」で割った実質のデータとなっていますから、物価が上昇する中では更に過小評価されたグラフです。

ですが、これを世帯ごとではなく、「全世帯」で合算して考えますと、次のような推移となります。

総消費動向指数(名目)

そう。特に安倍内閣がスタートした2013年以降で考えますと、2016年を除き、継続的に「消費」は増え続けていることがわかりますね?

世帯別と世帯合算でここまでの開きが出るのは「世帯数が増えた」からに他ならないわけですが、これに対し、テンプレートで返ってくる反論が、以下のグラフです。

20180501203523.png

「平成17年度(2005年度)」基準で作成した「家計最終消費支出」の動向を示したグラフです。名目か実質かまでは現時点では私にはわかりませんが。

「家計最終消費支出」とは、「GDP統計」の内「支出側GDP」の項目「民間最終消費支出」に含まれるデータです。

GDP統計は、2016年(平成28年)に改定が行われています。「総消費動向指数」は「全世帯の消費動向」を合算した数字なのですが、統計局のホームページにはこれが「GDP統計の『家計最終消費支出』」に当たることが記されています。

「総消費動向指数」とは、つまり「家計最終消費支出」を指数化したものなんですね。

特に総消費動向指数は平成28年のGDP改定に伴って新しく加えられたデータであり、相手方の主張としてはつまりこの統計が「安倍内閣の実績をよく見せるために、『かさ上げされた』統計データである」という主張を行っているのです。

で、またテンプレートのようにして張り付けられてきたのが以下のリンク先ブログ記事です。

モノシリンの3分でまとめるモノシリ話
明石順平氏のブログです。

正直申しますと、私はこの情報を示された時点では「消費動向指数」と、この指数が作成されるまで同じ情報として利用されていた「家計消費指数」の区別がついていませんでしたから、混同していたのは事実です。

「家計消費指数」についての何らかの修正が進んでいたことは知っていたのですが、私の頭の中の情報としては、「二人以上世帯について集計した『実質』を見るためのデータ」程度の認識しかありませんでした。

第165回の記事 で一度話題にしたことがあるのですが、元々日銀で「消費活動指数」というものが公表されていたので、私とするとこれと「家計消費指数」は似たようなもんだろう、という程度の認識でいたことは事実です。

ただ、おかげ様でこの「消費」に関するデータに関する知識を深めることができました。やはり議論はしてみるものだなと改めて思います。


少し話がそれました。先方が提示してきた明石順平氏のブログに掲載されていたのは「平成17年度基準の『家計最終消費支出』の推移を示したグラフでしたから、この時点で私はこれが2016年(平成28年)に行われたGDP改定に伴う変更であることはすぐにわかりました。

この改定とは、「産業関連表」に関する修正(第192回の記事 をご参照ください)で、2015年までは明石氏のグラフにあるように、「平成17年(2005年)基準」で作成された産業関連表が使用されていたのですが、2016年からは「平成23年(2011年)基準」で作成された産業関連表に更新されました。

明石氏のブログには、当然この「平成23年基準」の家計最終消費支出グラフも掲載されています。

20180501203934.png

2014年→2015年にかけてのグラフの勾配を見てみますと、17年基準のものは下落していますが、23年基準のものは上昇しています。

私に反論してきた皆さんは、この状況を以て「安倍内閣で行われた変更で、データがかさ上げされたのだ」という主張を行ってきました。つまり、そんな怪しいデータは信用できない、と。

私が作成した「総消費動向指数」のグラフは、23年基準の家計最終消費支出を指数化したものですから、基本的にグラフの勾配は同じ勾配になります。

ですが、そもそも17年(2005年)基準と23年(2011年)基準の違いは「産業関連表」の更新に伴う変更であり、むしろそれまで2005年基準のものが使用されていたことの方がおかしいわけです。

で、この主張を行うと何人かの人は私のタイムライン上から姿を消すわけですが、現時点で最も最近に議論した方から「明石氏のブログでは、そんな事は織り込み済みだ」という主張を行ってきたのです。

総消費動向指数は世帯別消費動向指数に世帯数を掛けたものなのだから、これと「家計最終消費支出」の間に違いが出るのはおかしい、とする主張です。

ここからが本日のテーマになります。


「統計」で人を騙す方法

私は正直言って明石氏のブログなど見る気は一切ありません。相手と議論を進める上で必要な情報に関しては見るわけですが、それも必要最小限です。

ですから、彼のブログに何が書いてあるのか、それほど理解することのないままに議論を進めていました。

私は相手の「総消費動向指数は世帯別消費動向指数に世帯数を掛けたものなのだから、これと『家計最終消費支出』の間に違いが出るのはおかしい」とする主張に対し、「家計最終消費支出」が「17年度基準」のものを言っていると思い込んでいますから、相手が

「消費動向指数とは家計最終消費支出を指数化したものである」

ということを理解していないのではないかと考え、そういった指摘を行います。

ですが、これに対し彼が提示してきたのは以下のグラフでした。

20180211161842.png

実はこのブログ、明石氏のブログの先ほどリンク先を張り付けた記事の中に掲載されていたのですが、最初この画像を相手がどこから引っ張ってきたのかが全く理解できませんでした。

そして、画像のURLを見て初めて、これが明石氏のブログに掲載されている画像だということがわかりました。

これは正直びっくりしました。私は「世帯数の推移」を示すデータは国勢調査のものしか存在せず、4年に一度集計されているものとばかり思っていましたから。

明石氏のブログの情報から検索を掛けてみますと、確かに統計局のHPに掲載されていました。
世帯数時系列データ(29年版)

この段階で私は初めて明石氏のブログを真剣に読み進めることとなりました。

先ほどの画像の箇所から画面をスクロールしますと、すぐに以下のようなグラフが登場します。

20180211163523.png

このグラフを見た段階で、私の頭の中はちょっとしたパニック状態になりました。

青いグラフは「家計消費指数(世帯別消費動向指数に相当)×世帯数」のグラフ。赤いグラフは「家計最終消費支出(総消費動向指数に相当)」のグラフです。正確に言えば、青いグラフは「家計最終消費支出」を「2002年基準で指数化」したもの。青いグラフは家計消費指数を「2002年基準に計算しなおしたもの」です。

確かにギャップが大きいんですね。ちなみにこのグラフのすぐ上には同じ比較を17年基準のものと行ったグラフがありました。

20180211163245.png

確かに17年基準のグラフだとその推移がリンクしているように見えます。

ここまでの開きが出る理由を必死に頭の中で考えていたのですが、全く答えが出てきません。つまり、これらのグラフを否定する理由が思いつかないわけです。

そこで私はまず同じグラフを自分でも作成してみようと考えました。

明石氏のブログにも掲載されているのですが、統計局の世帯数のデータには大規模災害が起きた際の世帯数が加算されていません。明石氏はそれぞれの年の世帯数に、各都道府県で公表されている世帯数を加算して「補正」を行っています。

この辺りはさすがだなと思いました。ですので、世帯数に関してはあえて私の手元で計算することはせず、明石氏のグラフに掲載されている世帯数をそのまま用いて作成しました。それが、次のグラフです。

総消費動向指数比較

このグラフは「世帯別消費動向指数×世帯数」と「総消費動向指数」を比較したもの。

いかがでしょう。簡易的に作成したもので、期間が短くなっていますので改めて明石氏のグラフと同じ、「2002年」からスタートするグラフも作成してみます。(※上グラフの2016年の数字が誤っていましたので下グラフでは修正しています

総消費動向指数比較

いかがでしょうか。グラフの配色も明石氏のものに合わせてみました。

            20180211163523.png

どうでしょう。全く印象が変わりませんか? 全く同じデータを用いて作成したグラフです。何が違うのでしょうか。

違うものが2つあります。

まずは一つ、ご覧いただきたいのは、私の作成したグラフの下部に示している「データテーブル」。

2015年のところをご覧いただくと、共に「100」になっていますね? これは、このグラフの「基準年」が2015年ですよということです。

ですので、2015年の「世帯数×世帯別消費動向指数」と「総消費動向指数」が共に100となっています。

明石氏のグラフでは、「2002年」が基準となっていますね? 私のグラフと明石氏のグラフの最大の違いはここです。

あと一つ、私のグラフは最終年が2017年になっていますが、明石氏のグラフでは2016年となっています。

明石氏のグラフでは2105年と2016年に矢印をつけることで、あたかも両年の世帯別集計と総消費との間にものすごい開きがあるかのように「印象操作」を行っていますが、この情報は全く正確ではなく、単に明石氏が基準年を2002年においてグラフを作成しているため、2015年になって突然開きが大きくなったかのように見えるだけ。

両年の「世帯別」の消費支出が下落しているのは事実ですが、明石氏はグラフの基準年を操作することによって「情報操作」を行っているのです。

更に、

      20180211163245.png

こちらのグラフは明石氏が作成した「2002年を基準年」とし、「2005年の統計方法」を用いて作成したグラフ。ややこしいですが、ここまで読んでいただいた方であればご理解いただけるのではないでしょうか?

このグラフを見ていただくと、最終年が2015年になっていることがわかりますね?

なぜ2015年までしか存在しないのか。簡単なことです。「2005年の統計方法を用いて作成した『家計最終消費支出』のデータ」が2015年のものまでしか存在しないからです。これは明石氏も把握しているはずです。

ですが、にも関わらず

            20180211163523.png

こちらのグラフでは、最終年が2016年。一年余分にデータが存在するのです。そして「17年基準」の資料には存在しないはずなのに、23年基準の資料では「2016年のデータ」にまで矢印をつけることによって、あたかも2015年~2016年の数字が23年基準では「かさ上げされている」かのように印象操作を行っているのです。

では、改めて両年のデータを「2015年基準」のデータで比較してみましょう。

総消費動向指数比較2

17年基準家計最終消費支出比較

いかがでしょう。私まで「印象操作」をしてしまわないよう、敢えてグラフ縦軸の最小値と最大値は同じ値にしています。

このようにしてみると、確かに17年基準の方が乖離が少ない様に見えますが、これも一種の「基準年のマジック」です。

2014年から2015年の変動を見ていただきますと、総消費動向指数(23年基準家計最終消費支出)は横ばいですが、17年基準では下落しています。

これだけの違いです。

逆に2012年から2013年の伸び率でみれば17年基準の方が23年基準よりも上昇率が大きくなっています。この事も23年基準のグラフの2015年基準で作成した場合の乖離が大きくなっている理由の一つです。

つまり、基準年を変えればグラフの印象などどの程度にでも操作できるということです。明石氏がこれを知ってやっているのか知らずにやっているのかは知りませんが、もし知ったうえでやっていたのだとすれば最悪ですね。これで書籍を売って利益を得ているんですから、はっきり言って詐欺師です。


もう一つの印象操作

気づいていらっしゃる方がいるかどうかはわかりませんが、先ほど私が作成したグラフ、世帯数に対し、共に「世帯別消費動向指数」を掛けて作成していますよね?

世帯別消費動向指数が登場したのは2018年の事です。これは過去にさかのぼって反映されているのですが、実は基準年である2015年以前のデータは「23年基準の家計消費指数」と同じ数字になっています。

そう。つまり私は両方のグラフで、「世帯数」に対し、「23年基準の家計消費指数」を掛けてグラフの青いラインを作成しています。

ですが、もちろんこの「23年基準の家計消費指数」にも、「家計最終消費支出」と同じように「17年基準の家計消費指数」が存在します。

もし「17年基準の家計消費指数」と「世帯数×家計消費指数」を比較するのであれば、当然「17年基準の家計消費指数」と比較するべきです。

ですが、なぜ私は17年基準の家計最終消費支出を比較する上で「23年基準の家計消費指数」を用いたのでしょう?

答えは簡単です。17年基準の「家計消費指数」は2011年(暦年)の第二四半期(4月~6月)までのものしか存在せず、年別のデータは2010年までのデータしか存在しないからです。

では、私はなぜデータが存在しないはずなのに、わざわざ「23年基準のデータ」まで用いて「17年基準の家計最終消費支出」と比較するためのグラフを作成したのでしょうか?

答えは簡単です。明石順平氏が、存在しないはずなのに、なぜか「2011年~2015年」までの「家計消費指数」と「世帯数」を掛けたデータで作成したグラフを、「23年基準で作成した家計消費支出がかさ上げされたデータである」とする根拠として作成し、公開していたからです。

とても不思議ですね? 明石順平氏の「2011年~2015年までの家計消費指数」のデータは、一体どこから湧いて出たのでしょうか?

答えは一つしかありません。明石順平氏は自ら「23年基準の『家計最終消費支出』」がかさ上げされたものであるといいながら、17年基準の家計最終消費支出と比較するための資料として23年基準の家計消費指数を用いているんですよ。

証拠? 証拠なら簡単に作成できます。

17年基準家計最終消費支出比較2

こちらが、私が作成した「17年基準の家計最終消費支出」と「世帯数×23年基準の家計消費指数」とを比較するグラフです。

20180211163245.png

一方、こちらが明石氏が作成した、「17年基準の家計最終消費支出」と「世帯数×家計消費指数」とを比較するグラフ。この家計消費指数が一体いつのものを参照して作成したのか、この時点ではわかりませんね?

では、次のグラフを見てみましょう。

17年基準家計消費指数×世帯数比較

着目していただきたいのは2007年~2008年にかけての部分。

明石のグラフでは2007年に茶色のライン、即ち「平成17年基準(家計最終消費支出)」のラインが上に来ていて、2008年では逆に青いライン、即ち「世帯数×家計消費指数」のラインが上にきていますね?

ですが、私が作成した「17年基準の家計消費指数」を世帯数に掛けたグラフでは、これが逆になっているのがわかると思います。

では、もう一度私が作成した「『17年基準の家計最終消費支出』と『世帯数×23年基準の家計消費指数』とを比較するグラフ」を見てみましょう。

17年基準家計最終消費支出比較2

いかがでしょうか? 明石氏のグラフと同じ状態になっているのがわかりますね?

即ち、明石氏は「23年基準の家計最終消費支出でかさ上げしたデータが用いられている」といいながら、自分自身が17年基準の家計消費支出と比較するためのデータとして、23年基準の家計消費指数のデータを用いているのです。

非常に矛盾していますよね? 詐欺師明石順平さん。

ではなぜ彼がこのような「印象操作」を駆使してブログ記事を作成したのか。この部分は私ではなく、この記事を読む皆さんに考えていただきたいと思います。


最後に・・・

長文になり申し訳ありません。

あと一つだけ軽く触れておきたいことがございます。

総消費動向指数比較

ここからは私自身が作成したグラフを用いて記事を進めていきます。

このグラフ中で、2015年~2016年にかけて、青いライン。即ち「世帯数×世帯別消費動向指数」が確かに急落しており、

 「ギャップの話は確かに言う通りかもしれないけど、消費は縮小しているのではないか」

と考える人もいるのではないかと思いますので、この部分につい少しだけ触れておきます。

「世帯別消費動向指数」という統計データでは、私が記事を作成している「消費者物価指数」同様、「10大費目別」のデータが掲載されています。

「10大費目別」、即ち

「食料」「住居」「光熱・水道」「家具・家事用品」「被服及び履物」「保健医療」「交通・通信」「教育」「教養娯楽」「その他の消費支出」

この10の「費目」です。

2015年~2016年にかけては、第225回の記事 などで散々話題にしましたように、ちょうど消費増税が行われた2014年7月頃から海外で原油価格が急落し、日本国内でもガソリンをはじめとするいわゆる「エネルギー価格」が急落した時期がありました。

通常「価格」が下落すると「物価」は上昇に転ずる傾向があるのですが、これは消費者物価指数全体で見ても物価上昇が追い付かないほどに急落しました。

「前年同月比」で見る限り、この傾向は2016年11月頃まで続き、同年12月になってようやく底を打った感じです。

「世帯別消費動向指数」を見ても同時期にこの傾向が見られ先ほどお示しした「10大費目」の中でも特に「住居」「光熱・水道」「交通・通信」にこの傾向が強く見られます。

特に2016年により顕著に表れています。

「住居がなぜ?」と思われるかもしれませんが、「住居」の中で大部分を占めるのが「家賃(持家に帰属する家賃を含む)」です。

直接関係があるかどうかは不明ですが、個人的には家賃の下落にエネルギー価格の下落は影響しているのではないかと考えています。

わたしの考えが正解である、と断言するつもりは毛頭ありませんが、そのような考え方もあるのだということはご承知いただければと思います。



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<継承する記事>第470回 明石順平氏説を妄信する皆様へ~実質賃金と実質消費の見方~

第470回の記事 の中で私、「明石順平」という人物についてご紹介しました。

私が彼についての記事を作成するきっかけとなったのは、彼がTwitterに投降した以下のツイートが原因です。



で、上記ツイートに対し私が

①実質消費支出は、二人以上世帯のみのデータで、二人以上の名目消費支出を一人世帯、及びその他の消費者まで含めた全体の消費者物価で割っているので、本来平行線となるべき実質消費支出に、本来含むべきではない一人世帯、及びその他の消費者の物価上昇が反映されている。
※①については正確ではなく、前回記事で訂正情報を掲載しています。

②「物価」は「価格」の増減のみで決まる訳ではなく、「消費量」が伸びなければ増加する事はない。つまり、消費者物価の伸びは、「価格」に関わらず消費量が増えている事を示している。

③給与所得者に限定すると、「物価」とは受け取った名目賃金の内、「消費」に回された額で決定するため、一部例外を除き、物価の伸び率が名目賃金の伸び率を上回る事はない。例外とは、給与所得以外の収入、過去に蓄積した貯蓄、借入の3つ。

④実質賃金とは、つまる所、給与所得者が受け取った賃金をどれだけ貯蓄に回す事ができたのか、その増減を示す数字なので、名目賃金が上昇する中で実質賃金が下落するという事は即ち消費が活性化しているという事。ちなみに物価が上昇すると実質賃金は過小評価され、下落すると過大評価される。

以上の事から、明石氏のグラフは黄色線のみがデタラメなデータであり、他のデータは安倍内閣に入って「消費」が活性化している事を証明しているグラフである。

という投稿を行ったところ、彼から一切の反論もなくブロックされた・・・ということをきっかけとして前回の記事を作成しました。

で、「実質賃金の下落」という情報を「アベノミクスの失敗だ」と盛んに吹聴している連中が少なからずおりまして、そいういった連中がまるで教祖のようにして崇めているのがこの明石順平という人物です。

で、なぜ実質賃金の下落=悪玉論者たちがここまでこの明石順平という人物を信奉するのか。今回の記事のテーマの中心はこの話題です。


「実質消費」が下落する理由

まずは前回のおさらいです。

明石氏の投稿で用いられている次のグラフ。

D5NqQqZUcAA7oYa.png

「実質消費動向指数」について、前回の記事ではその理由が独立して一人暮らしを始める世帯や、結婚して新婚生活を始める世帯が増えたため、世帯数は増えたものの、一世帯を構成する人数が減少したためだ、という情報を掲載しました。

その根拠としたのが以下のグラフです。

総消費動向指数(名目)

こちらは「総消費動向指数」というもので、一人暮らし~二人以上の全世帯を合算した、「消費」の動向を示したものです。

2012年以降で、増税年とその翌年を除けば「総消費動向」は上昇し続けていることがわかりますね。

「総消費動向指数」は「世帯数」に「世帯別消費動向指数」を掛けたものですから、「世帯別消費動向指数」が下落する中で「総消費動向指数」が上昇する原因は「世帯数」が増えていること以外にあり得ません。

明石氏の「世帯別消費動向指数」は「実質」ですが、これは名目で見ても同じ傾向がみられます。

総世帯別消費動向指数

「実質消費」とやらが減少する理由が「独立して一人暮らしを始める世帯や、結婚して新婚生活を始める世帯が増えたため」だということは、この二つのグラフを比較すれば一目瞭然です。

で、私の中ではここまでで決着がついていたのですが、Twitterの中で私が明石氏のツイートが上記のような理由で「デタラメである」との指摘を行うと、いくつかの反論が返ってきました。

そして、ほぼ100%の確率で示されたのが以下のブログ記事です。

モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

記事タイトル名は「おいおい,総務省統計局が怪しい数字を開発したぞ。みんな拡散して」となっています。

「総消費動向指数」と「家計最終消費支出」

彼らの指摘によれば、私の主張などこの記事の中で既に反論されている、いうわけです。

ブログの作者はもちろん彼らの教祖、「明石順平」です。

明石順平が同名のブログを作成していたことは前から知ってはいたのですが、何が書いているのか、大体想像がつくので、中まで入って読んだことはありませんでした。

ですが、私の主張が既に反論されている、とのことですから、少し見てみることにしました。で、現れたグラフが以下のグラフです。

20180501203523.png

私、前回の記事 で少し触れましたね。

「総世帯別消費動向指数」は、その名の通り、「世帯別」の消費動向指数です。ですが、「総消費動向指数」は、すべての世帯を合算した消費動向指数のこと。

GDPの項目で言えば、「家計最終消費支出」と同じものです。

計算式で言えば、「総世帯別消費動向」×「世帯数」を指数化したもの。

と。上記グラフのタイトルは、「平成17年基準家計最終消費支出」と書かれていますね。

これを見た瞬間、ピンときました。

今回と前回の記事は基本的に「実質賃金」や「実質消費」の正体を暴くことを目的としているわけですが、この話とは別に。

あちら側界隈で安倍内閣において「GDPのかさ上げ」が行われているとする論説をよく見かけることがありました。この事だな、と。

そう。「家計最終消費支出」とは、「GDP統計」の一項目である「民間最終消費支出」内に記されている項目のこと。私自身も記事を作成する際によく用いている数字です。「GDP統計の改定」については、実は私、改正が行われた段階で既に記事を作成しておりまして、

 第192回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より①
 第193回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より②
 第194回 「財政投融資債」とは何か?/「一般会計」と「財政投融資会計」の違い
 第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
 第198回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より④

以下の5つの記事の中で非常に「わかりやすく」ご説明しています。まあ、「わかりやすく」は私の自己満足なので、読む人によってはそう感じない方もいらっしゃるかもしれません。

作成した意義といたしましては、政府が作成した 地域経済分析システム「リーサス」 の開発などを前提に、いよいよ「ビッグデータ」を利用した、よりタイムラグの少ないGDP統計がスタートするんだなという期待感を受けてのものです。

私とすると、非常に前向きな期待感を以て作成をしたわけですが、この「GDP改定」があちら側の皆さんにとっては「安倍内閣によるかさ上げ」という判断になってしまうんですね。

「GDP統計」は実は「支出側」「生産側」「分配側」から見た3つのGDP統計がございまして、私たちがよく見かけるGDP統計は前期の内「支出側から見たGDP」になります。

今回の「指摘」を受けるまで、この 支出側GDPに関連したGDP改定は 第193回の記事 でご説明した「国際基準『2008SNA』」に関する改定だけだと思っていたのですが、実はこれ、明石氏のブログで説明されている「家計最終消費支出」には全く影響しない改定です。

2008SNAが導入されるまでは1993年の基準が導入されていて、何が変更になったかと申しますと、これまでは「生産側GDP」に「経費」として掲載されていた「研究開発費」を「支出側GDP」に計上されるようになった事。

「経費」として掲載されていた間は単年度で消え去ってしまっていたのですが、「支出側GDP」では「資産」として計上することができますので、一度掲載されると単年度で消え去ることはなく、所謂「減価償却」されるまでGDPに在庫として残っていくわけですね。

このように表現しますと、それこそまるで安倍内閣が都合よく基準変更したかのように思われてしまいそうですが、そもそも海外先進国では既にルール改正が行われています。まして1993年の基準を未だに使い続けていた方がおかしいのであって、特にGDPは海外の経済情勢と比較する目的で利用されることもありますから、ごく当然の改正だと私は思います。


「産業関連表」の更新

しかし、今回問題となったのはこの「2008SNA」に関する変更ではありません。

前述した通り、「2008SNA」が対象としているのは家計ではなく「企業」。ですから、「2008SNA」が変更されても「家計最終消費支出」が変動することはありません。

一瞬私も戸惑ったのですが、既に検証を終えている私としては原因を推察ことはそう難しいことではありません。私は「生産側GDP」の変動にしか影響を与えないと思い込んでいた、もう一つのGDP改定、即ち小タイトルにある「産業関連表」の変動です。

この事に関して、実は私自身の記事でも既に検証済みで、 第159回の記事 ではっきり書いています。

引用してみます。長文になりますので、読み飛ばしていただいても結構です。
【支出面から見たGDP】
「支出面から見たGDP」、つまり私たちが最も一般的に見ている「GDP」では、日本国の中で生産され販売された数多(あまた)の商品群の中から、代表的ないくつかの商品を抽出し、「加重平均」を取ることによって算出されています。
(「加重平均」の計算方法については第53回の記事 をご参照ください。)

第158回の記事 で「消費者物価指数」の「10大項目」のことを具にご紹介しましたが、消費者物価指数を算出する際も同じ方法がとられています。

ただ、「加重平均」を取る際に用いる「ウェイト」。

ウェイトとはすなわち、第157回の記事、第158回の記事 をそれぞれご参照いただければ「ウェイト」についてもイメージをしやすいと思うのですが、消費全体を10000と考えた場合、それぞれの項目の重要度が1万分のいくつになるのかということを指標化した数字のことです。

この「ウェイト」の決定方法として、「需要(支出)側から見たウェイト」と「供給(生産)側から見たウェイト」の二つの指標を用いて「支出側から見たGDP」は計算されています。よく名称として登場させている「コモディティーフロー法」とは、このうち「供給側から見たウェイト」を算出する際に用いられています。

「コモディティーフロー法」とは、「供給サイド」に於いて生産された「生産物」が、様々な流通過程。「運送」や「卸し」「小売り」等様々過程で発生する「経費」等を含めて、どのような経緯を経て消費者によって「消費」されるのか。

これを大本である「工業統計表」、「商業統計表」、「事業所統計表」(経済産業省)などから得られる基礎統計指標に、総務省が作成している「産業連関表」によって算出された「分配率」を各項目別にかけて算出された値が「供給(生産)側から見たウェイト」になります。この「供給(生産)側から見たウェイト」を算出するために用いられている計算方法を「コモディティーフロー法」といいます。

その品目数は工業統計表だけでも2000品目にも及ぶのだそうです。

一方、「需要(支出)側から見たウェイト」とは総務省が作成している「家計調査」や「家計消費状況調査」といった統計指標を用いて作成されます。

この二つの「ウェイト」を統合することによって名目GDPの内「家計最終消費支出」は算出されます。
統合の仕方としては、「支出側から見たウェイト」と「生産側から見たウェイト」の開き。これが大きければ「重要度が低い」と考えられ、ウェイトが少なめに、逆に開きが小さければ「需要度が高い」と考えられ、ウェイトも大きめに設定されます。

私自身が作成した記事ながら、よもやここまで詳細に記していたとは記憶していませんでした。ありがとう、昔の私。

引用記事中のページリンクは時間の都合上、ご容赦ください。

はっきり書いていますね。「産業関連表」が家計最終消費支出の作成に利用されていることが。

GDP改定において、この「産業関連表」が2005年基準のものから2011年基準のものに変更されたわけです。

で、明石氏のブログに掲載されていたグラフは、その「家計最終消費支出」に関連したグラフでしたので、私とすると、「ああ、あれか」とピンと来たわけです。

ですから私からすれば明石氏の主張などアベノミクスが失敗であったことにしたい連中の言いがかり以外の何者でもなく、今まで用いられていた2005年基準の産業関連表が2011基準の産業関連表に更新されただけの事。これを「アベノミクスのかさ上げ」と揶揄しているようにしか見えないわけです。

私が
総消費動向指数(名目)

こちらのグラフを理由に消費が活性化していることを提示。世帯別消費動向指数とのギャップは世帯数の増加にあり、一人暮らしや新婚生活を始める世帯が増えていることを指摘すると、

20180501203523.png

こちらのグラフを理由に「そんなかさ上げされたグラフなど信用できない」と反論をしてくる。テンプレートのようにしてこのパターンが繰り返されます。

ところが、最も最近議論した相手の方から、こんな指摘がありました。「明石氏のブログでは、『世帯数の増加』など織り込み済み」であると。

続きを記したいのですが、文章が長くなっており、若干仕事が入ってしまいましたので、本日の記事はここまで。

続きは「統計で人を騙す方法」というタイトルで記事を作成してみたいと思います。




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冒頭に記しておくと、今回の記事は、「実質消費動向指数」が下落しているからくりを明らかにすることを目的としています。

私自身としては、第457回の記事第458回の記事第459回の記事第463回の記事第464回の記事 において一通りの決着を見たつもりではいたのですが、やはりTwitterなどを見ていますと、「実質賃金の下落」を根拠として政権批判を行う投稿が後を絶ちません。

その終局的な目的には、やはり野党陣営の思惑があり、次期参院選にて「実質賃金の下落」を争点とし、安倍内閣を陥落、もしくは改憲を阻止できるところまで議席数を減らさせたいとする思惑があるのではないかと思います。

ですから、一部の投降者はこれを理由として、意図的にこの投降を行い続けているのではないかと思います。

私としては、このような誤った認識に基づく情報を意図的に拡散し、これを選挙に利用しようとする勢力があることはやはり我慢なりませんので、このような意見に対して意見を述べ、お互いにその交換を行うわけですが、何度納得させても同様の投稿が減りません。

多分私と議論して納得してくれるタイプの人は私が記しているような、「意図的に」投稿を繰り返しているタイプの人ではないのだと思います。

ですが、一部明らかにそうではない、私のアカウントを潰そうとする意図を持ったアカウントやそのグループによる攻撃を私自身も受けましたので、記事の終盤辺りでこの手法についても記事にしようと思います。


「実質賃金」の考え方

「実質賃金」に関しては、一部私と近いスタンスをとるユーザーさんの中にも、必ずしも正確とは言えない情報を広げている皆様がいらっしゃいますので、個人的にはこれも何とかしたいと思っています。

その大元となっているのは上念司氏が拡散している情報なのですが、私自身も 第38回の記事 にて同様の話題を記しています。

要は、景気の転換点で、就労者数が一気に増えた場合は、それまで無職者であって「給与所得者」にはカウントされなかった人たちが「給与所得者」となり、「低所得者」が激増するため、所謂「平均賃金」は一時的に下落しますよ、とする主張です。

ですが、そもそもこの考え方は名目賃金にのみ通用する考え方であり、実質賃金には通用しない考え方です。100%通用しないわけではないのですが(実質賃金の増減にかかわるのはその対象となる人が給与所得者である必要があるため)、特に「平均賃金」に絡めて述べる場合には通用しません。

実質賃金を考える場合のポイントとなるのは、名目賃金全体をひとくくりにして考えることではなく、名目賃金を「消費に回された部分」と「貯蓄に回された部分」に分けて考えることが必要になります。

復習を兼ねて、実質賃金の算出方法を図解入りで説明していきます。

【実質賃金の求め方】
① 名目賃金を同じ月に「消費された部分」と「貯蓄に回された部分」に分ける
実質賃金①

② Aを、同じ月に消費した物品やサービスの合計数で割る
実質賃金②


③ B を a で割る
実質賃金③


④A’とB’を足す
実質賃金④

「実質賃金」はこのような方法で算出することができます。これまでの記事でさんざんご説明してきた内容なのですが、どうでしょう。図解してみるとわかりやすいでしょうか?

皆さんのご家庭でもぜひチャレンジしてみていただけると嬉しいです。

上の図解説明の中で「1か月の給与所得総額」と記しているのがもちろん「名目賃金」、②で算出された「1万円」という数字が消費者物価に相当します。

で、図内にも記しています通り、名目賃金の内「消費した物品やサービスの数量(A’)」と消費に回さなかった名目賃金を使って「消費に回せる回数(B’)」を足すと「実質賃金」が出てきます。

このようなことを記すと、「政府が発表している方法と違う!」と大騒ぎする人が出てくるのですが、政府が発表している「実質賃金指数」の求め方、即ち

 実質賃金指数=名目賃金指数÷消費者物価指数(×100)

という式は、「指数」を求めるための計算式です。(なので最後に「×100」とついています)

ここから「指数」という言葉を削除すれば、当然「実数」を求めることができます。

上の図解図で、「名目賃金」は30万円、物価は2万円ですので、30万円を2万円で割れば15になります。私が上の事例で「実質賃金」だと言っている数字が同じ「15」という数字になっていますね?

ちなみに、実質賃金を他の年度と比較する場合、図解のA’の部分は変化しません。例えば昨年販売されていた10万円のテレビを今年は購入しなかったとしても、実質賃金を考える場合は「物価の変動を排除」しますので、

「昨年は10万円で1台購入したテレビを、今年は0円で1台購入した」

と考えます。ですから、実際に変動するのは上図の内、B’の部分。この人物が消費ではなく貯蓄に回された部分から算出される実質賃金のみです。

実質賃金としてカウントされるためには、この人が「給与所得者」である必要があるので、確かに昨年この人が無職者であった場合、「受け取った給与所得を一部貯蓄に回したことを前提として」実質賃金が増加することは事実ですが、この人が受け取った賃金をいくら貯蓄に回すのかはこの人次第ですから、実質賃金を考える場合、「就労率」を考慮することはナンセンスです。

むしろ就職が安定し、来年も労働者である保証が高くなれば、当然この人は消費を増やしますから、おのずと「実質賃金」は下落することになります。つまり、実質賃金の増減に「就労率」は本来考慮する必要はないということです。

この事を理解していない人がこの情報を拡散しようとしますので、これが「実質賃金下落悪玉論者」たちに餌を与えていることも事実なので、この誤った情報を拡散するのは正直やめてもらいたい・・・というのは私の本音です。


「消費者物価」は必ずしも「給与所得者」が起こした物価ではない

さて。先ほどの図解で、私はある特定の架空人物の「名目賃金」と「物価」から「実質賃金」を算出しました。

この人の「物価」が、ではすべての人に当てはまるかと申しますと、まず当てはまりません。この人が起こした、特定の「消費」からこの人物の「物価」は算出されます。

そして、この人物の「物価」から算出できる「実質賃金」は、この人物の「実質賃金」だけです。この考え方をまずご記憶ください。

政府が発表している「名目賃金」や指数は、「給与所得者」、つまり労働して給与所得を受け取っている国民のデータです。

ですが、「実質賃金」を算出する際、政府は「消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)」で名目賃金を割って算出しています。

このやり方は正しいのでしょうか?

先ほどの図解事例ですと、この架空人物の実質賃金は、この人物が取得した名目賃金を、この人自身の「消費活動」から生み出された「物価」で割ることによって算出しました。では、この人の「実質賃金」を算出するときに利用した「物価」を、この人物が居住する町民全体の「物価」を利用したとしたら、正確な「実質賃金」を算出することができるでしょうか?

答えはNoです。この架空人物が購入すらしていない物品やサービスは、この人物の「物価」には全く影響しません。

例えば、この人物はあるパン屋で100円のアンパンを購入したとします。ですが、町全体でもっとも多く売れたのが200円のアンパンだったとしたら、当然この町のアンパンの「物価」は上昇します。

ですが、この人物が購入したアンパンはあくまでも100円のアンパンが1つですから、それ以上に上昇することはありません。

つまり、実質賃金を計算するのであれば、その対象となる人物、もしくはカテゴリーに属さない人物、もしくはカテゴリーを「物価」から除外して考える必要があるのです。

では、「名目賃金」を「消費者物価」で割るという計算方法はいかがでしょうか?

もうお分かりだと思いますが、「消費者物価」の中には「給与所得者」ではないカテゴリーが含まれています。例えば学生であったり、年金生活者であったり、無職者の情報も含まれています。情報を出しているのは販売店のはずですから、販売店ベースではその消費が「家庭」の消費なのか、「企業」や「団体」の消費なのかもわかりません。

つまり、「名目賃金」を「消費者物価」で割るという計算方法では正確な「実質賃金」を算出することは不可能なのです。

実質賃金を考える場合は、この事も意識しておく必要があります。


「明石順平」とは何者か?

それでは本題です。タイトルに突然登場させた「明石順平」という人物。ご存じない方からは「誰?」というツッコミが入りそうですが、簡単に言えば、「実質賃金下落はアベノミクスの失敗だ!」と主張している人たちが軒並み妄信している人物です。

アベノミクスによろしく

こんな本を出している人物です。最近はこんな本も出したのだそうです。

明石2_

私のブログのタイトルに実によく似ているので、非常に心外です。こんなデータを見る能力もない人が、私のブログのタイトルをまるでパクったかのようなタイトルの本を出版しているのは、非常に心外です。

この本が出版されたのは今年の2月、とのことです。私のこのブログが始まったのは2105年ですから、当然私の方が早いです。パクったという表現は私の思い上がりでしょうが、タイトルが非常に似通っているのは事実。非常に心外ですね。

しかもこの人、経済学者でもなく、単なる弁護士にすぎないんですよね。にも拘わらず、あたかも経済学者でもあるかのようにふるまって、「データ」をデタラメに解釈した情報を配信するの、真剣にやめてほしいんですけど。


明石順平氏説のどこが「デタラメ」なのか?

対象となる情報は以下のツイートです。


で、私彼のツイートに、以下のようなコメントを投稿しました。

①実質消費支出は、二人以上世帯のみのデータで、二人以上の名目消費支出を一人世帯、及びその他の消費者まで含めた全体の消費者物価で割っているので、本来平行線となるべき実質消費支出に、本来含むべきではない一人世帯、及びその他の消費者の物価上昇が反映されている。

②「物価」は「価格」の増減のみで決まる訳ではなく、「消費量」が伸びなければ増加する事はない。つまり、消費者物価の伸びは、「価格」に関わらず消費量が増えている事を示している。

③給与所得者に限定すると、「物価」とは受け取った名目賃金の内、「消費」に回された額で決定するため、一部例外を除き、物価の伸び率が名目賃金の伸び率を上回る事はない。例外とは、給与所得以外の収入、過去に蓄積した貯蓄、借入の3つ。

④実質賃金とは、つまる所、給与所得者が受け取った賃金をどれだけ貯蓄に回す事ができたのか、その増減を示す数字なので、名目賃金が上昇する中で実質賃金が下落するという事は即ち消費が活性化しているという事。ちなみに物価が上昇すると実質賃金は過小評価され、下落すると過大評価される。

以上の事から、明石氏のグラフは黄色線のみがデタラメなデータであり、他のデータは安倍内閣に入って「消費」が活性化している事を証明しているグラフである。

すると・・・見事にブロックされました。

じゃあなぜ彼のツイートを張り付けられているのかと突っ込まれそうですが、第三者のリツイートから取得することができました。

彼がツイートそのものを削除されたらグラフは消えてしまうので、彼のグラフだけ拝借して貼り付けておきます。

D5NqQqZUcAA7oYa.png

このくらいのグラフであれば私も作成することはできますが、あくまでこのグラフを作成したのは私ではなく明石氏です。


明石氏のグラフのウィークポイント

このグラフには一つだけ、ここを切り崩せば明石氏説は一気に崩壊する・・・というウィークポイントがあります。

それがグラフの黄色線。「実質世帯消費動向指数」です。

これに対して私が指摘したのは、
①実質消費支出は、二人以上世帯のみのデータで、二人以上の名目消費支出を一人世帯、及びその他の消費者まで含めた全体の消費者物価で割っているので、本来平行線となるべき実質消費支出に、本来含むべきではない一人世帯、及びその他の消費者の物価上昇が反映されている。

という指摘です。

つい最近まで、この「世帯消費動向指数」に関しては、「総世帯数」というデータがなく、「二人以上世帯」と「単身世帯」がバラバラで掲載されていたんですよね。ひょっとすると私が見つけられていなかっただけかもしれませんが。

ですから、その認識で指摘させていただいたのですが・・・あるんです。改めて見てみますと、「総世帯」の消費動向指数が、名実共に。

これに気づいたのは別の方と議論していた時に「消費動向指数」を見る様にと指摘されたので、改めて見てみたことがきっかけです。

で、私は例によって「実質値」が大嫌いですので、実質ではなく「名目」の「原系列」を見てみますと、以下の通りです。

総世帯別消費動向指数

最も古いデータが2002年の情報でしたから、2002年からの情報にはなっているんですが・・・減ってますね。

明石氏のグラフは実質ですが、これは「二人以上世帯」か「総世帯」か、「実質」か「名目」かに関係なく、下落してますね。

私が彼への指摘に掲載させていただいた内容は決して間違いではありません。あくまで明石氏のグラフが「二人以上世帯」の情報であったという前提において、ですが。

実質は名目を消費者物価で割った値ですが、これは「消費動向指数」も同じです。ちなみに「消費動向指数」とは、世帯ごとの「消費支出」をデータ化したものです。

実質化する場合は、本来「世帯別」の物価指数を持ってくる必要があるのですが、もちろん統計データとしては分母に世帯別ではなく、「消費者物価」を持ってきていますので正確なものは出ません。

出ませんが、同じデータを「名目」でやり直した場合もそう変わらないデータが出ています。

これはおかしい、と。

何度も述べていますように、例えば「消費者物価」は消費が増えなければ上昇しません。消費増税などで食料品など不景気でも変わらず消費されるものまで含めて一気に、強制的に「価格」が引き上げられたようなケースを除けば、たとえ物の値段が上昇したとしても、「消費」が増えなければ物価は上昇しません。

つまり、物価が上昇しているということは「消費」が活性化していることを意味しているのです。

そして「名目賃金」が上昇する中で「消費」が活性化するということは、名目賃金から消費に回される金額が増えるということですので、当然「物価」は上昇します。

そして当然「貯蓄」に回される「割合」は減少しますし、かつ物価が上昇することで実質賃金は過小評価されますので、当然実質賃金も下落します。

つまり、明石氏のグラフで黄色いライン、「実質消費動向指数」以外、すべてのデータが安倍内閣に入って消費が活性化していることを示しているのに、なぜ「消費動向指数」だけが下落しているのか・・・。

実は私、この事に気づいていなかったわけではないのです。ですが、明確な「答え」にたどり着けていませんでしたので、見てみないふりをしていたのは事実です。

で、この問題に一つの「光」がさしたのは、図らずも先ほどの「消費動向指数」を見る様に指摘なさった方との議論を通じて、でした。


もう一つの「消費動向指数」

先ほどの議論を行う際、私は最初、誤って次のグラフをデータとして掲載してしまいました。

総消費動向指数(名目)
こちらは、「総消費動向指数」と呼ばれるものです。もちろん名目のデータです。

いかがでしょう。明らかに増えていますね?

先ほどの青いグラフですと継続して2011年まで下落し、12年、13年と上昇した後、再び下落に転じていましたが、こちらの赤いグラフはリーマンショック直前の2007年まで上昇し、リーマンショック後急落。2010年には一時的に持ち直すものの、2011年には再び下落。

ですが、その後2012年以降2015年まで上昇し、増税年に一時的に下落した後、再び上昇に転じています。

どちらもの同じ「消費動向指数」です。

では、一体何が違うのでしょうか?


「世帯別消費動向指数」が下落していた理由

多分、勘の良い方であれば、二つの「消費動向指数」の違いを目にした時点で、その理由を一瞬で思いつくはずです。

「総世帯別消費動向指数」は、その名の通り、「世帯別」の消費動向指数です。ですが、「総消費動向指数」は、すべての世帯を合算した消費動向指数のこと。

GDPの項目で言えば、「家計最終消費支出」と同じものです。

計算式で言えば、「総世帯別消費動向」×「世帯数」を指数化したもの。

「総世帯別消費動向」は下落しても「総消費動向指数」は上昇する理由。それはたった一つ、「世帯数」が増えたからです。

いかがでしょう。ここで頭にクエスチョンマークが多発した人物は、案外と賢い方かもしれません。今の日本は既に「人口減少社会」に突入しているはずです。

にもかかわらず「世帯数」は増えている。しかも下落する「総世帯別消費動向」を帳消しにする勢いで増えているわけです。

どういうこと? と、私も必死に悩みました。ですが、答えはそう難しくありません。

家庭が「分派」、つまり、「独立」しているということです。


「総世帯別消費動向」が下落し、世帯数が増加するということ

例えば、これまで将来的な不安を抱え、家族と一緒に暮らしていた人が、新しく就職し、一人暮らしを始めた。
将来が安定し、結婚するカップルが増え、新婚生活が増えた。

そうしますと、当然一世帯当たりの構成人数は減少しますし、当然世帯当たりの消費支出も減少します。

ですが、これはどちらかというと望ましい傾向ですよね?

「消費動向指数」の項目の中には消費者物価指数のように、「10大費目別」のデータも掲載されているのですが、世帯別消費動向指数の中で下落していたのが「住宅」。消費者物価指数と同じであれば、この「住宅」には新築は含まれません。一番大きな項目は「家賃」です。

恐らく「持家に帰属する家賃」も含まれているものと思われますが、戸建ての家賃よりはアパートなどの家賃の方が少ないはずですので、ここも納得できる話です。

そして増加していた費目は「家具・家事用品」。独立する世帯が増えれば当然家具・家電製品への需要が高まりますから、新生活には欠かせない「費目」です。

こう考えると非常につじつまが合いますね。

つまり、「世帯別消費動向指数」が下落しているのは、子供が独立する世帯が増え、新生活を営む世帯が増えていることを意味しているということがわかります。

つまり、明石氏が示しているグラフは、、「世帯別消費動向指数」のデータまで含めて、アベノミクスが非常にうまくいっている様子を示したデータであることがわかります。

明石氏は、「名目賃金(青)の伸びが物価の伸びを大きく下回った」とも書いていますが、本日の記事でも図解入りでご説明した通り、「物価」は名目賃金の内「消費に回された金額」から形成されていますから、一部の例外を除き、名目賃金の伸び率が物価の伸び率を上回ることはありません。

明石氏のグラフですと、あたかも物価上昇率が名目賃金の伸び率を上回っているかのように見えますが、厚労省データではなく国税庁データを使って「名目賃金指数」を作成し、消費者物価指数と比較しますと、以下のようになります。

給与所得と消費者物価比較

厚労省データと国税庁データの違いは、「常用雇用5名以下の事業所」が含まれているかいないか。含まれているのが国税庁、含まれていないのが厚労省です。

そして「消費者物価指数」には何度も申していますように、「給与所得者」ではない消費者が起こした「物価」も含まれていますから、上のグラフでも名目賃金指数と比較する上での「物価指数」は高めに出ています。

また、先ほど「一部例外を除く」とお伝えしましたが、「例外」とは以下の3つ。

・給与所得者が、給与所得以外の収入源を持っている
・給与所得者が、借り入れを起こした
・給与所得者が、これまでに貯蓄した賃金を切り崩して消費にあてた

の3つです。以上の様な情報を頭に入れて先ほどのグラフを見ていただきますと、「名目賃金の伸び率が物価の伸び率を上回ることはありません」という指摘が決して間違いではないこともご理解いただけると思います。


ツイッターを通じて私のアカウントが受けた攻撃

本日の記事、少し長めになっていますので、読みつかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、もう少しだけ本日の記事にお付き合いください。

冒頭にお伝えしましたように、私は複数の記事を通じて名目賃金が上昇する中での「実質賃金(指数)の下落」を、実は消費が活性化していることを意味しており、景気指標としてはむしろ好意的に受け止めるべき情報であることをお伝えしてきました。

私としてはその考え方を一人でも多くの人に理解していただきたいと思うと同時に、実質賃金の下落=悪であるという誤った認識の下、安倍政権批判を行う投稿を少しでも減らしたいと思い、ツイッター上で1か月ほど様々な人と議論を行ってきました。

で、議論をしてくれる人は最終的には納得をして下さるのですが、私と同じ考え方を持った人の議論をサポートする目的で、

 「中には意図的にやってる連中もいるはずですから。

ツイッターだけでなく、いろんなところで「世論」を作り上げて、時期参院選に利用する気満々なんだと思います。

だからこそ、その論点を是非に潰したい」

との投降を行ったところ、その直後くらいから私のアカウントに対する攻撃がスタートしました。

その手法をお伝えして、本日の記事は締めくくりたいと思います。


「アカウント潰し」に使われた手法

①過去のツイートの大量リツイート

最初、始まったのは私の過去の投稿の大量リツーイト、という方法です。

私も別に私の投稿がリツイートされることには抵抗はありませんし、むしろ「何がよかったのかな・・・」くらいの気持ちでそのリツイートされる様を見ていました。

悪い気は最初していなかったということは事実です。

そのうち、そのリツイートされた投降を更にリツイートする人が現れました。

これも私は悪い感じは覚えず、むしろ、やはりうれしく思いました。ただ、その中に私自身の顔を直接認識することはできないものの、表情を除く輪郭が把握できる投降や、また私が応援する地元の議員さんを撮影し、ツイートした写真なども拡散されており、少し変な感じはしていたのです。


③私の過去の投稿に対する批判

内容は、東京都議会選の折、とある著名人が安倍首相の「こんな人たち」発言を取り上げて批判していたものを私が逆に批判した投稿です。

東京都議会選挙なのに、やけに「市民」という言葉を連発していたので、それを「都議会選なのに、『都民』でもなく『国民』でもなく、『市民』」が安倍政権批判を行っていたと暴露している」という批判を行った投稿です。

本日は2019年5月ですから、もう2年近く前の投稿です。

「市民」という名称がフランス革命などの「市民革命」の時代から本当に「市」に住んではいない一般人に対しても使われている言葉であることは私も重々承知していますし、あえて揶揄する目的で行った投稿です。

ですが、この投降に対する執拗な批判がスタートしました。批判を行ってきたのは2名です。

最初は軽くあしらっていたのですが、何となく嫌な感触を覚えました。


私の輪郭が見える写真を用いた中傷

先ほどお伝えした私の写真が私の知らないところで拡散され、その写真を用いた中傷が行われていることがわかりました。これも「わざわざ」中傷が行われていることを伝えに来た人がいたからわかったんですが、その人もいわば「グル」。

私のアカウントを攻撃しているメンバーと同じ目的を持った人物です。

ハッとさせられたのはこの時です。先ほどの私の投稿に対する執拗な批判も、ツイートの異常な拡散もすべて私のアカウントを攻撃することを目的として行われていたことに気づきました。

彼ら、彼女らが拡散している情報の中には私が信頼し、応援している議員さんの情報も含まれています。このままだとその人たちにまで被害が及ぶのではないか、と感じさせられました。

また、私が行っている投降の中には、私自身が特定されてもおかしくない投稿があることも事実です。

例え特定されたとしても、特段問題があるわけではありませんが、相手の異常さを考えるとさすがにまずいのではないか、と感じたわけです。

一瞬ぞっとする感覚を覚え、まずは大量リツイートを行った人物をブロック、再リツイートを行った人物をブロック、写真の拡散を行った人物、またはそれらにいいねボタンを押していた人物まで含めて軒並みブロックした後、その時点で私に絡んできていた一名のみを窓口としてブロックせずに残し、その人物の私に対する投降を軒並み通報しました。


Twitter社はこのような身に危険を覚える行為に対して全く対応しません!!

最後に窓口と残していた人物は、更に私の過去の投稿をスクリーンショットをとって保存し、仮に私がブロックしたとしても拡散し続けられる体制を既にとっていました。

彼をブロックしなかった理由はそこにもあったのですが、これらの通報に対して、Twitter社からの回答は、「これらの投稿には全く問題ありません」という回答でした。

恐らく、私のアカウントを攻撃してきた連中はこのようなTwitter社の対応を既に把握していて攻撃してきていたのでしょう。

やむを得ず最後の窓口となっていた人物もブロックしたわけですが、私はSNSを利用していて初めてこのような恐怖を覚えました。


まとめ

冒頭で、
Twitterなどを見ていますと、「実質賃金の下落」を根拠として政権批判を行う投稿が後を絶ちません。

その終局的な目的には、やはり野党陣営の思惑があり、次期参院選にて「実質賃金の下落」を争点とし、安倍内閣を陥落、もしくは改憲を阻止できるところまで議席数を減らさせたいとする思惑があるのではないかと思います。

という内容を記しました。

そして、実際にTwitterにて同様の書き込みを行ったところ私のアカウントが一斉に攻撃を受けたことを考えますと、これはおそらく事実なのだと思います。

たかがTwitterというSNSツールですが、これほどに恐ろしい一面を秘めていたことを改めて実感させられました。

私の事例は取るに足らない、ほんの一部に過ぎないかもしれませんが・・・。

野党を支持しているのはそれこそ「こんな人たち」ということです。もちろん与党の議員が全員そんな聖人君子かというとそんなことはありません。ほとんどの議員がなにがしかゆすられると困るような傷を抱えているのだと思います。

ですが、こんな姑息なことをしてくる連中を私は与党議員やその支持者で見たことがありません。

私は私自身が正しいと思う情報をきちんと自らの手で分析し、発信しています。私自身の正義感に基づくものです。世の中がより良き方向へと導かれるよう、今後も負けずに情報発信を行っていきたいと思います。




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<継承する記事>第459回 実質賃金を日本一わかりやすく解説~勘違いからの脱却!~

「しつこい!」と言われそうですが・・・。

日本の将来に向けて、大切なことだと思いますので、私の頭の中で整理できてきたことを、改めて記事にしたいと思います。(大げさだ、思うかもしれませんが、その理由は文末に記します)

前回の記事 で、「完成版」と銘打って記事を作成したわけですが、頭の中で整理していますと、まだ「完成」にはどうやら至っていなかった様ですので、今度こそ、「完結編」として、本当に正しい「実質賃金の正体」について記事にしていきます。

前回の記事 では、以下の二つのグラフを用いて記事を作成しました。

名目賃金比較
実質賃金比較
(※実質賃金のグラフは正確なグラフではありません。何が正確ではないかといいう部分を捕捉すのが今回の記事の目的です)

上が「名目賃金」、下が「実質賃金」を示したものです。グラフは、「昨年」と「今年」を比較したものです。

今回は、前回作成した「名目賃金」のグラフを、項目ごとにもう少し詳細に分析しまして、「物価から見る名目賃金」と銘打って記事にします。


物価は世帯によって異なります。

たどり着いた最終結論はこれ。「物価は世帯によって異なる」ということです。

改めて、先ほどの「名目賃金」のグラフを見てみます。

名目賃金比較

名目賃金の総額が、昨年は25万円、今年は32万円となっています。

昨年の「名目賃金」の内訳は、以下のようになっています。

総額 25万円

 食料品 5万円
 授業料 5万円
 通信費 1万円
 電話代 1万円
 交通費 3万円
 その他 5万円

 消費に回さなかった金額 5万円

この内訳を、もう少し細かく見てみましょう。

総額 25万円

 食料品 5万円

  野菜 5品(キャベツ2玉、ニンジン5本、もやし1袋)
  肉類 3品(豚肉3パック)
  惣菜 10品
  カップラーメン 3個
  ポテトチップス 2袋
  チョコレート 4個
  外食 5回(20品)

 授業料 5万円

  パソコン教室授業料10か月分
  
 通信費 1万円

  インターネット接続料1か月分

 電話代 1万円

  携帯電話代1か月分

 交通費 3万円

  ガソリン代 90リットル
  船舶    1往復
  バス    9回

 その他 5万円

  散髪 1回
  パソコンの修理費 1回
  友人のお誕生日プレゼント 36品

 消費に回さなかった金額 5万円

詳細な内訳の金額はあえて記していません。あと、「物価」を集計するときの単位は詳しく知りませんので、私基準で上記のような単位を用いました。(お誕生日プレゼントは、後で数を分かりやすくするための数を多くしています。)

物価を出す場合は、各項目ごとに「加重平均」を行います。

例えば、「交通費」で考えてみます。

ガソリン代は1か月間、ずっと130円だったとします。その他、船舶が1往復15800円、バス代が1乗車辺り固定で2500円だったとします。高いとか安いとかいう判断はとりあえず無視します。

そうすると、まずガソリン代が総額で130円×90で11700円。船舶が21200円×1で15800円。バス代が2500円×9で22500円です。

ガソリン代、船舶、バス代の総額をすべて足すと5万円になりますね。

「加重平均」を行うときは、この5万円をガソリン代の購入総数60、船舶の購入総数1、バス代の購入総数6をすべて足したもので割ります。式は以下のようになります。

 {(130円×90)+(15800円×1)+(2500円×9)}÷(90+1+9)
=(7800円+21200円+21000円)÷100
=50000円÷100=500円

これが、この人の昨年の交通費の「物価」です。

同じような理屈で考えますと、他の「食料品」や「授業料」、「通信費」、「電話代」、「その他」の項目もすべて、大切なのは何円のものを消費したのか、ではなく、「何個」消費したのか、ということであることがわかりますね。

「食料品」であれば、「野菜」が合計で9。肉類が3、カップラーメンが同じく3、ポテトチップスが2、チョコが3、合計で20です。

食料品の消費額は合計で5万円、消費数量が50ですから、50000円÷50で1000円。
授業料・・・50000÷10=5000円
通信費及び電話代・・・・・10000÷1=10000円
その他・・・50000÷5=10000円。

これがそれぞれの項目の「物価」です。ここから、更に全体の「物価」を求めます。

名目賃金の内、「消費に回された額」は総額で20万円。アイテム数は食料品が50、授業料が10、通信費が1、電話代が1、交通費が100、その他が38。消費総数は50+10+1+1+100+38=200になります。

ということで、この人の昨年の「物価」は20万円÷200=1000円となります。

「物価」というと、政府が目指している物価が「消費者物価指数」という数字ですし、何となく全国一律なのではないか、とイメージしてしまいそうですが、実際には「一人ひとり」物価は異なります。

政府の「消費者物価指数」のホームページを見てみても、先行して「東京の消費者物価指数」の情報が掲載されています。この事から考えても、まず各地域ごとの「物価」が存在することはご理解いただけると思います。

ですが、実際には「地域」だけでなく、各世帯ごとの「物価」が本来存在するのです。


「実質賃金」は「金額」ではなく「数量」を表す数字です。

と、記しますと、意外に思われるでしょうか?

ですが、私は既に 前回の記事 におきまして、以下のように記しています。

「実質賃金」とは、では一体何なのかと申しますと、「受け取った名目賃金で、一体いくつ物やサービスを消費することができるのか」という、「個数」もしくは「量」で賃金を測る方法です。

と。

先ほどの物価の事例で示しました「昨年の物価」から昨年の「実質賃金」を考えてみます。

この人の昨年の「物価」は1000円でした。そして、この物価は名目賃金から「消費に回された金額」から計算しました。これは先ほど皆さんに見ていただいた通りです。

では、この人の、昨年の「実質賃金」はいくらになるのでしょうか?


実質賃金=名目賃金÷物価

そう。実質賃金とは、名目賃金を物価で割ったものです。

こんなことを言いますと、「いや、割るのは物価ではなく『消費者物価指数』だろう!」という人が現れそうですが、そうではありません。

あの公式は、あくまでも「実質賃金指数」を求めるための公式。

 『実質賃金指数=名目賃金指数÷消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く)』

です。私が何を言っているのかということも、も少ししたらご理解いただけると思います。

実質賃金を求めるための公式は、あくまで「実質賃金=名目賃金÷物価」ですから、この人の場合の実質賃金は、名目賃金である「25万円」を、この人の「物価」である「1000円」で割ったもの。

25万円÷1000円=250

これが、この人の「実質賃金」です。では、この「実質賃金」の単位は「円」なのでしょうか?

違いますね。この250というのは、この人が購入した商品やサービスの数を合計した、「品目数」です。

そして、もう一度思い出してみてください。この人の昨年の物価、1000円という数字は、この人が名目賃金から「消費に回した金額」から算出されましたね?

では、その金額はいくらだったでしょう。そう。「20万円」です。

では、この人が仮に20万円しか賃金を受け取っておらず、上記の事例と全く同じ「消費」を行っていたとしたら、「実質賃金」はいくらになるでしょうか?

そう。「20万円」÷「1000円」ですから、200です。

当たり前ですよね? この人が消費した「品目数」は合計で200だったのですから。では、残る50という「実質賃金」はどこから出てきたのでしょう?

いうまでもありません。この人が消費しなかった金額。つまり「貯蓄に回した金額」から出てきています。

ですが、仮にこの人が、20万円分を消費に回さなければ1000円という物価は生まれていません。そろそろご理解いただけたでしょうか?

20万円を消費に回した結果生まれた物価「1000円」で、消費に回されなかった5万円を割ったもの。これが「実質賃金の正体」です。

実質賃金は、厳密に言えば5万円を1000円で割った50という値に既に消費に回されたはずの200を加えていますから、250がこの人の「実質賃金」です。ですが、この計算結果から、「実質賃金」に求められている定義は、「その月に、消費者が消費に回さなかった賃金で、翌月にいくつその月と同じものを購入することができるのか」という定義です。


物価が高い月は過小評価され、物価が低い月は過大評価される「実質賃金」

ですが、個人的に、「賃金」と呼ぶ限りは、やはり実質賃金は「金額」で表記するべきだと思うのです。

ですので、「実質賃金」の正体が「受け取った名目賃金から消費に回されなかった金額」である以上、実質賃金は「貯蓄に回された額」であると、はっきり定義づけるべきだと思うのです。

もう一度、冒頭に掲載した「名目賃金」の事例を掲載します。

名目賃金比較

「今年」の名目賃金を見てみますと、賃金の額は32万円と増えていますが、その増えた賃金の一部を10万円の「テレビ」の購入に充てています。

もう一度詳細に事例を考えて計算してみても構わないのですが、ちょうど「今年」の消費額の内、「テレビ」の購入に回した10万円を除いた部分の金額が、昨年と同じ「20万円」ですので、今年も昨年と同じように、テレビ以外は200の品目が購入されており、物価も同じ1000円であったと考えます。

昨年と同じ20万円分の物価1000円に加えて、今年は新たに「テレビ」が加わっていますから、改めて「テレビ」を物価に加えてみます。

(1000円×200+10万円×1)÷(200+1)
=30万円÷201
≒1493円

これが、今年の「物価」です。

それでは今年の「実質賃金」はいくらになるでしょうか。

この年受け取った名目賃金は32万円ですから、この金額を物価である1493円で割ってみます。

32万円÷1493≒214

これが今年の「実質賃金」です。前回の記事でも検証していますから、当たり前ですね。当然、昨年より少なくなっています。

では、このうち「消費に回された部分」はいくらでしょうか?

そう。「201」です。214の内、201が消費に回された「実質賃金」。残る13が「消費に回されなかった実質賃金」です。

では、「消費に回されなかった名目賃金」はいくらかと申しますと、「32-30」で2万円。では、もし「消費に回されなかった名目賃金」が昨年と同じ5万円だったとするとどうでしょう?

「消費に回されなかった実質賃金」は、「5万円÷1493」ですから、約「33」になります。

昨年、「消費に回されなかった実質賃金」は「50」でしたね? 今年は10万円余分に消費したのに、なぜか実質賃金は昨年より少なくなってしまったのです。なぜでしょう?

そう。答えは簡単です。昨年に加えて10万円余分に消費を起こしたため、この人の「物価」が493円分高くなったからです。

ですが、既にお示ししましたように、「実質賃金の正体」。つまり、実質賃金に対して最も大きな影響を与えているのは賃金の内、「消費に回されなかった金額」です。

名目賃金が増え、消費を増やした上で、昨年と同じ金額貯蓄したとしても、「実質賃金」の世界ではなぜか昨年より貯蓄が減ったことになってしまっているのです。

これっておかしいですよね?

そう。物価が上昇すると、「実質賃金」は「過小評価」されてしまっています。逆に物価が下落すると実質賃金は「過大評価」されているのです。

このようなデータを用いて実質賃金が下落することを野党連中のように批判するのであれば、それは国民に「値段が高いものは消費するな」と言っているに等しい。

それではいつまでたっても国民の経済は成長しません。

また、「テレビ」の事例でもわかるように、高額商品は本来数年に一度しか購入しないようなものが多く、仮に「自動車の物価が高くなった」ことが理由で物価が上がったのだとしても、車なんで高価なものは、皆が毎月購入するようなものではありません。

一般家庭の生活には関係のないところで物価が上昇し、そのことが原因で実質賃金が下落したとしても、それは「世相を反映したもの」であるとはとても言えません。

物価が上昇したことは喜ぶべきことですが、これと実質賃金は分けて考える必要があるのです。


まとめますと、「実質賃金」は本来数量を表す数字ですので、それが「何円で売れたのか」ということは全く考慮されていません。

高価なものを購入すればおのずと跳ね上がるのが「物価」ですが、そんな高額な商品を毎月購入する人などそうはいません。

グラフに示した事例で考えますと、「今年」貯蓄に回された金額が2万円しか残らなかったのは、高額商品である「テレビ」を購入したことが理由です。

ですが、来月もまたテレビを購入するのかというと、そんなことは通常ありえません(ない、とは言えませんが)。

とすると、「実質賃金」を考える場合も、この人の「物価」から「テレビ」は取り除いて考えるのが本来あるべき姿なのではないでしょうか? ですが、実際は違います。こんな数字が「生活の実感に近い」と本当に言えるのでしょうか?

物価が上昇すれば「過小評価」され、下落すれば「過大評価」されているのが「実質賃金」の真実です。


私は当然自民党を応援していますし、安倍内閣を応援しています。安倍さんを党首とする自民党が目指す「憲法改正」。これを実現するには8月の参議院議員選挙でなんとしても、できれば自民党単独で議席の2/3を獲得する必要があります。

ですが、当然野党は次期参院選において自民党を攻撃する材料として私が記事にした「実質賃金」のネタを使ってきます。

しかし、私の記事を読んでいただければ、「実質賃金」にこだわって安倍内閣を批判し、国会を停滞させようとする行為が、いかに的外れであり、税金の無駄遣い以外に何者でもないのかということがご理解いただけるのではないでしょうか?

ぜひ私の記事をご一読いただき、安倍内閣を支持する皆さんが、憲法改正を実現したいと考える皆さんが、野党の的外れな批判に振り回されることなく、冷静に誤りを指摘できるようになることを、私は心の底から願っています。




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<継承する記事>第459回 実質賃金を日本一わかりやすく解説~勘違いからの脱却!~

どうしてもこの記事だけは作成しておきたかったので、第459回の記事に引き続き、作成することにしました。

第459回の記事で、実質賃金について、

 実質賃金=「月間手取り給与」-「月間消費支出」

という式で表すことができるのではないか、という私の考え方をお示ししました。ですが、記事中にも記しています通り、『ズブの素人の私の「憶測」』であり、私自身も記事にしながら完全な「確信」を持てずにいました。

「根拠」こそ示していますが、「証明」としては不十分だ感じていました。

で、ずっと頭の中検証を行っていたのですが、私の中で「腑に落ちる」答えにたどり着きましたので、459回の記事の「続編」という形で記事にしてみたいと思います。


実質賃金とは何か?

第39回の記事 でもふれたことがあるのですが、政府の統計データの中で、「実質賃金」という言葉が登場する厚労省の「毎月勤労統計」の中に、実は「実質賃金」という名称のデータは一つも登場していません。

多くの人が「実質賃金」だと思い込んでいるのは、実は「実質賃金」ではなく、「実質賃金指数」です。計測年の実質賃金を、「基準年」の実質賃金で割った数字です。

では、そもそも「実質賃金」とは何なのか。これを、第459回の記事 の中では、「手取り賃金総額-総消費支出」、つまり「貯蓄高」なのではないか、との予測を立て、これを検証しました。

結果として確かに「実質賃金指数」と「貯蓄高」の相関関係を見てみますと、一致性を見ることができました。

例えばA年とB年、C年を比較したとき、A>C>Bだったとすると、この順位が実質賃金指数と貯蓄高の間で逆転することはない、ということです。

A年よりB年、C年の貯蓄高が低ければ、同じように実質賃金指数も低くなっていますし、同じ順位の中でC年の貯蓄高がB年の貯蓄高を上回っているのであれば、これも逆転することはない、ということです。

ですが、どうもその上昇幅、または下落幅において、「貯蓄高」の方が、その傾向が大きく出ているような、そんな印象を抱いていました。これが実質賃金指数の計算式から生まれる「バイアス」なのかな、とも思っていたのですが、どうもしっくり来ていませんでした。


実質賃金の考え方

名目賃金比較

さて。こちらはある年に計測した、とある人の「名目賃金」と、その「支出」の内訳です。仮に今年、2019年2月に受け取った「名目賃金」とします。

「名目賃金」ですから、即ちこの人が2019年2月に受け取った「月間給与所得」です。単位は「万円」です。

左から順に、「テレビ」、「食料品」、「授業料」、「通信費」、「電話代」、「交通費」、「その他」、「貯蓄」と並んでいます。

いかがでしょう。例えばテレビの内訳を見ますと、今年は「10」となっていますが、昨年は「0」となっていますね。

これは単純に今年は10万円のテレビを購入しましたが、昨年は購入していませんよ、ということです。テレビなんて毎年買うもんじゃありませんからね。ずっと使い古していたテレビを、この人は今年、「買い換えよう」と思ったわけです。

一方、「授業料」の項目を見てみますと、昨年は「5」となっていますが、逆に今年は「0」となっています。この人、昨年は通信教育を受けて、年払いで2月に5万円、支払いました。昨年末でこの通信教育は終了しましたので、今年は通信教育の「授業料」が発生しなかったんですね。

「食料品」の金額は2万円ほど増えています。授業料がなくなったこともあるのでしょうが、何より給与所得の総額が増えたこともあり、この人、少しだけ食費に余分なお金を出す余裕が生まれたんですね。

その他、「交通費」は1万円ほど少なくなっていますが、それ以外の項目に対して4万円ほど余分に支出しています。

総額で比較すると、昨年は20万円しか支出に回していませんが、今年は30万円支出しています。その結果、昨年は貯蓄が5万円残りましたが、今年は2万円しか残りませんでした。


「実質賃金」における「物価」の考え方

「実質賃金」とは、では一体何なのかと申しますと、「受け取った名目賃金で、一体いくつ物やサービスを消費することができるのか」という、「個数」もしくは「量」で賃金を測る方法です。

つまり、

 名目賃金=実質賃金×物価

という式で表すことができるわけですが、肝心なのはこの時考えるべき「物価」です。「物価」は、「店頭にこの値段で陳列されているから、今月の物価はこの金額になるだろう」という「未来予測」の数字ではなく、

 「この月に、この店で、何円の商品がいくつ売れたからこの金額になった」

という、「過去を検証した数字」です。私がよく言う、「消費されなければ物価にならない」という言葉は、それを指したものです。

逆に言えば、「消費に回されていない賃金は、物価には反映されない」と言い換えることもできます。

なぜなら、消費に回されていない賃金が、仮に消費に回されていたとしたら、「物価」は変動するからです。単純な理由ですね。

さて。以上の考え方を下に、先ほどの「名目賃金」のグラフをもう一度見てみます。

名目賃金比較

色んな式を出して申し訳ないのですが、実質賃金指数を求める際、「名目賃金指数」を「消費者物価指数」で割りますね?

これは、どういう作業をしているのかと申しますと、「名目賃金」を構成する「物価」を、同じ年の「消費者物価指数」で割ることによって、「基準年の物価に戻す」という作業を行っていることになります。

消費者物価指数は、基準年の消費者物価指数を100と考え、1%成長したのであれば101、3%成長したのであれば103となります。

良く似た事例で考えますと、消費税についての考え方が非常ににわかりやすいかと思います。

例えば目の前に100円の商品があったとして、消費課税前の金額をだそうと思えば100%をかけますので、当然金額は100円になります。

課税後の金額を出そう思えば108%をかけますから、108円になります。

では、目の前に課税後、108円の商品があった場合。課税前の金額を出そうと思えばどの様にすればよいでしょう?

そうです。課税前の金額に108%をかければ課税後の金額が出るのであれば、当然課税後の金額を108%で割れば、課税前の金額がでてきます。

消費者物価指数は、基準年を100、これに物価上昇率を加えて調査年の消費者物価指数を出しています。

例えば今年の消費者物価指数が105であれば、基準年と比較して今年は5%物価が上昇したということです。そして、今年の物価を105で割る、ということは…

ここまで言えばお分かりですね。当然消費者物価指数が100であった基準年の値に戻されます。

上のグラフで考えるのなら、例えば今年、「テレビ」が売れていますが、昨年は売れていません。売れていないということは「0円」ですから、基準年の物価に戻しますと、10万円のテレビは「0円」になります。

基準年に存在しないものは、そもそも購入することができませんからね。(数学的に0で割ることはできない、という考え方はここでは無視します)

逆に、昨年は支出されていた「授業料」が、今年はなくなっていますが、これも同じ考えで、今年の授業料は「0円」ですが、昨年の授業料は5万円ですから、「5万円」に戻します。

「食料品」も「同じ金額の食糧が、同じ数消費された」と考えますので、やはり7万円を5万円に戻します。

「数も変わるのか」というツッコミを受けそうですが、これは第459回の記事 でも掲載しましたように、例えば昨年100円で7個売れたものが今年5個しか売れていないんだとしたら、減少した2個分は「0円で売れた」と考えます。

その上で「(100円×5+0円×2)÷7」で計算しますので、今年の物価が下落した、と考えます。ちなみに、このような計算方法を「加重平均」といいます。

逆もまた然りです。(消費者物価総額を計算した後、「10万分率」、つまり「消費者物価の合計値が10万であったら」という仮定で計算しなおされる際に調整されています)

もちろん、これは個人ベースで考えているので通用する計算方法です。実際にマクロベースで考えるときは、例えばAさんはテレビを購入しなかったとしても、BさんかCさんはテレビを購入している、と考えます。そしてその購入総数を「重要度(ウェイト)」と考えて、計算式の中に組みこまれています。


このように考えますと、当然「その他」という分野も結果的に消費に回された金額は昨年と同じ金額になります。

つまり、実質賃金を考える場合、既に消費された、今年の購入金額と昨年の購入金額は「同じ金額である」と考えるわけです。「消費者物価指数で割る」とは、即ちそういうことです。実質賃金指数を求める際には、「今年の賃金指数」にも「昨年の賃金指数」にも同じ処理が施されています。

このように記しますと、「じゃあどうして『実質賃金(指数)』は毎年違うんだ!」という怒りの声が上がってきそうですが、もう一度思い出していただきたい。

そう。私は、「消費に回されていない賃金は、物価には反映されない」とお伝えしていますね?

「消費に回されていない賃金」。即ち「貯蓄高」の事です。

実質賃金比較
(このグラフも、100%正しいグラフではありません。詳細を第464回の記事 にて補足しています。)

第459回の記事 では、私は実質賃金の事を、「名目賃金-総消費支出」であると記しました。

ですが、これは間違っていますね。正確には、「名目賃金-総消費支出」に、「比較年の総消費支出」を加えたものが「実質賃金」だということで間違いないと思います。実際の「実質賃金」は、この「名目賃金-総消費支出」の部分も消費者物価指数で割っていますが、割った後の金額よりもむしろ、割る前の金額の影響の方が大きいことはご想像いただけると思います。

結果的に、実質賃金のプラスマイナスを左右しているのは、「名目賃金の内、貯蓄に回すことができた額」であるということは間違いないのですが、=「実質賃金」だと表現すると、これは誤りであったと思います。失礼いたしました。
(※正確には、この「実質賃金」を更に「物価」で割る必要があります。この事を 第464回の記事 で補足しています)

ですので、名目賃金を上昇させた上で、更に実質賃金まで上昇させようと考えるのなら、賃金を増やした上で、更に貯蓄に回す金額まで増やせるようになってようやく実質賃金は安定して上昇し始めるということです。

ですが、私個人的な感想としては、わざわざそんな政策をあっせんすることに全く意味はないと思います。貯蓄高を増やさずとも、安心して消費を行うことができる社会を築くことこそ、本当に政府が求められている政策であると、私は思います。




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<継承する記事>第458回 実質賃金マイナス公表の見方~消費されなければ物価にはならない!~

先日より、2度に渡って記事を作成したこの「実質賃金」。私自身が作成した内容を頭の中で反芻し、シミュレートしていたんですが、その中で私、とあることに気づいてしまいました。

私を含め、多分ほとんどの人がこの「実質賃金」という言葉に騙されていたんじゃないかと思うのです。「実質賃金」ですから、どうしても皆さん、「実質的な賃金」と思い込んでしまいがちで、ついつい実質賃金を、「名目賃金を受け取った月に消費に回せるお金」だと思いこんでいたんじゃないかと思うのです。

前回前々回 の記事で、私はこの事に疑問を呈し、そもそも「消費しなければ物価にはならない」ということを散々訴えてきたわけです。

改めて考えていただきたいのは、この「消費しなければ物価にはならない」という言葉の意味です。

実質賃金指数の求め方は、「名目賃金指数÷持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」という式で求めることができます。


「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」とは何か?

「持家の帰属家賃」という言葉が乗っかっていますと、すごく難しいもののように感じるかもしれませんが、「持家の帰属家賃」とは、「日本国内では消費されていない物価」です。

シリーズ、「物価」の見方 では散々話題にしていますが、「持家の帰属家賃」とは、「海外の住宅事情と比較するために設けたフィクションの数字」です。詳しくは同シリーズを遡って読んでください。

日本国内では消費されていないわけですから、実質化する際の「物価」からは除外されます。当然ですね。

つまり、「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」とは、例えば1月であれば1月の間に「日本国内で消費された品物やサービスの物価指数」ということになります。

って表現するととてもわかりにくいですよね。そこで、もう少し砕いた表現をします。

「日本国内で消費された品物やサービスの物価」とは、「日本国内で、一人の人が消費した品物やサービスの平均単価」 です。

ですから、この数字に「消費された数」をかけると一人の人が一定の期間に消費した支出の「合計金額」が出てきます。


「実数」と「指数」

では、先ほどの「消費者物価指数」。ではこの値、どうやって算出しているのでしょう?

「名目値」=「実質値」×「物価」

という公式に当てはめれば、「消費者物価指数」は「名目値」を「実質値」で割る事で求められます。

ですが、消費者物価指数が気まなければ「実質賃金」を求めることはできませんから、上記の公式から「消費者物価指数」を求めることはできません。

「消費者物価指数」は、例えば今年の1月であれば、今年の1月の消費者物価を、「基準年の1月の消費者物価」で割ることで求めることができます。そう。今年の1月にも、基準年の1月にも、「消費者物価指数」以外に、「消費者物価」なるものが存在するはずなのです。

では、「名目賃金」と「名目賃金指数」の関係はどうでしょうか?

もちろん「名目賃金指数」は、今年の1月の名目賃金を基準年1月の名目賃金で割ることで求めることができます。





では、「実質賃金」と「実質賃金指数」は? 


「実質賃金」の正体

Aさんという人について考えてみましょう。

Aさんの今年度1月の名目賃金(手取り給与所得)が20万円だったとします。この月のAさんの総消費支出(平均単価×消費数)が15万円だったとします。

では、Aさんの「実質賃金」はいくらでしょう?

GDPの場合は、この場合「総消費支出」が名目GDP、「平均単価」がGDPデフレーター(物価)、「消費数」が実質GDPだと考えることができます。

では、「賃金」の場合は?


ここから後は、私の「憶測」です。数学者でも統計学者でもない、ズブの素人の私の「憶測」だと思ってご一読ください。

ですが、「根拠」がないわけではありません。

私は、「実質賃金」の正体は、「手取り賃金」を受け取った後、同じ月に行った「支出」を全額差し引いた残りこそ「実質賃金」なのではないかと考えているのです。

式で表すのなら、

実質賃金=「月間手取り給与」-「月間消費支出」


となります。

Aさんが1月給与所得を受け取った後、、1月に物品の購入やサービスに対する支出を行った後、手元にいくらお金が残っているのか、ということです。

つまり、1月の給与所得のうち、貯金に回すことができたお金こそ「実質賃金」なのだと。

実質賃金の正体

実質賃金=「月間手取り給与」-「月間消費支出」の根拠

例えば、「基準年」1月の名目賃金が20万円、総消費支出が15万円だったとします。この場合、貯蓄に回すことができる金額は5万円です。この場合の「実質賃金指数」は名目賃金÷総消費支出(×100)ですから、約133.3となります。

以降4年間の1月の賃金を以下のように設定してみます。

名目賃金
基準年 20万円
2年目 25万円
3年目 30万円
4年目 10万円
5年目 50万円

つづいて、「総消費支出」を以下のように設定してみます。
総消費支出
基準年 15万円
2年目 18万円
3年目 29万円
4年目 12万円
5年目 10万円

ここから、「貯蓄額」を計算します。
貯蓄額
基準年 5万円
2年目 7万円
3年目 1万円
4年目 -2万円
5年目 40万円

では、次に「実質賃金指数」を算出してみます。(小数点第2以下は切り捨てます)
実質賃金指数
基準年 133.3
2年目 138.8
3年目 103.4
4年目 83.3
5年目 500.0


着目していただきたいのは、「貯蓄額」と「実質賃金指数」の相関関係です。

数値の大きい順に並べ替えてみます。
貯蓄額
5年目 40万円
2年目 7万円
基準年 5万円
3年目 1万円
4年目 -2万円

実質賃金指数
5年目 500.0
2年目 138.8
基準年 133.3
3年目 103.4
4年目 83.3

人によると、「当たり前やん!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。数学が得意な方であれば、わざわざ私がこうやって計算し、並べなおすまでもないでしょう。

そう。「貯蓄額」と「実質賃金指数」の相関関係は全く一緒なんですね。その順序が崩れることはありません。

もし仮に、私の「推測」が誤りであったとしても、それぞれが同じ関係性を持つ数字であることは疑いようがありません。


「総消費支出」の内訳

では、こんなことを暴き出して、私が一体何を主張したいのかと申しますと、ここ。

 「総消費支出の内訳」

の話です。

 「実質賃金」=「名目賃金」-「総消費支出」

であることは証明させていただきました。※証明とするには足りない部分がございました。正確性を欠く内容となっていますので、改めて「正確な」実質賃金を 第463回の記事 にてまとめなおしていますのでご参照ください

問題となるのは、この式のうち、「総消費支出」。その内訳についてです。
(※以下の内容も、必ずしも「正しい」とは言えません。私自身の記事で、その着眼点は間違っていないと思いますが、不足する内容が多くありますので、繰り返しになりますが、第463回の記事、及び 第464回の記事 で保管していますので、必ず両記事にも目を通してください)

問題1
Aさんが受け取った名目賃金が、40万円だったとします。Aさんはこの月、20万円のパソコンを1台、5万円のゲーム機を1台、営業車でガソリン代を3万円、家庭用の灯油を2万円消費しました。

この月のAさんの「実質賃金」はいくらでしょう。


答えは、

 名目賃金(40万円)-総消費支出(20万円+5万円+3万円+2万円)=10万円。

つまりこの月のAさんの実質賃金は10万円です。

問題2
Aさんが受け取った名目賃金が15万円だったとします。Aさんはこの月営業車のガソリン代を3万円、食費に2万円消費しました。

この月のAさんの「実質賃金」はいくらでしょう。

もうわかりますね。この月のAさんの実質賃金もまた、10万円です。

問題1も、問題2も共に営業車のガソリン代を3万円消費していますが、問題1ではそれ以外にパソコンを1台、ゲーム機を1台購入していますね。つまり、「娯楽」のために消費活動を行っているのです。

ところが、問題2ではガソリン代以外に食費として2万円しか消費していません。この月は生活するのに精いっぱいだったことがわかります。

ですが、どちらの月も「実質賃金」は同じ10万円なのです。


現在、野党マスコミの皆さんは、厚労省の毎月勤労統計で不正が行われ、「実質賃金がマイナスであったことが隠されていた!」「アベノミクスは失敗だ!」と大騒ぎしています。

ですが、どうでしょう?

実質賃金がマイナスだったということは、本当に「アベノミクスの失敗」を意味しているのでしょうか?

国民は、そもそも何に対して「消費活動」を行ったのでしょうか?

「実質賃金がマイナス」という、一見するとネガティブな言葉にかみついて、具体的な内容を検証することもなく、批判するだけであれば国会議員である必要はありません。中学生でもできます。

本当に疑問です。彼ら、彼女らに「国会議員」である資格はあるんでしょうか?




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<継承する記事>第457回 「実質賃金がマイナスになった!」とバカ騒ぎする前に知るべき事

昨日(2019年1月31日)に引き続き、話題となっていたのが以下の記事。

【共同通信記事より 2/1(金) 2:00配信】
政府、賃金マイナス公表へ 18年実質、0.5%程度

 毎月勤労統計を巡り、厚生労働省が前年同期と比べた実質賃金の伸び率を実態に近い形で計算し、結果を来週にも国会に示す方針を固めたことが31日、分かった。現在示している「参考値」よりも2018年1~11月の平均で0.5%程度マイナスとなる。専門家から今の統計の数値が「実態に合わない」と批判が根強く、見直しは避けられないと判断した。

 アベノミクスの要である賃金の伸び悩みを認めれば安倍政権にとって大きな打撃となる。野党が「賃金偽装」との追及を強めるのは必至だ。政府は「勤労統計は景気判断の一要素にすぎない」とかわし、所得が改善しているとの見解を維持するとみられる。

記事だけ読むと、まるで厚労省が修正後の毎月勤労統計の内、実質賃金指数のみを公表せずに隠しているかのように読めますが、そんなことはありません。 前回の記事 でも掲載しましたように、厚労省は既に修正後のデータを、実質賃金指数まで含めて公表しています。

問題となっているのは、公表しているデータの対象となっている企業が17年と18年とで異なっているんじゃないか、ってことなんですが、共同通信社はこの事理解して記事にしているんでしょうかね?

で、17年までの企業と同じ企業を対象に算出した「参考値」が、名目賃金しか公表されておらず、実質賃金指数を公表しないのは、18年の実質賃金指数が18年と比較してほとんどの月でマイナスとなっているのを隠すことを目的としているんじゃないか、アベノミクスが失敗だったことを隠そうとしているんじゃないか、というのが野党の主張です。

代表的な事例が以下の通り。共産党、志位委員長のツイートを引用します。

前回の記事では、「実質賃金がマイナスになった」ことに関して、名目賃金側から見た捉え方と実質賃金が下落したそもそもの理由について記事にしました

捉え方として、

1.毎月勤労統計はそもそも常勤雇用者が5名以上の企業しか調査対象としておらず、その魅力は「速報性」にこそある。
2.厚労省の毎月勤労統計以外に、国税庁も給与所得に対する統計を公表しており、その対象は「従業員1名以上の企業」となっている。(国税庁データの方が厚労省データより正確である)
3.国税庁データによれば、2017年の「平均給与所得」は既にリーマンショックが起きた2008年を上回っている。

ということをお示ししました。ちなみに、厚労省の毎月勤労統計では、仮に調査対象を17年と同じ調査対象で比較したとしてもすべての月で名目値が2017年を上回っています。参考に前回の記事で使ったグラフをもう一度掲載しておきます。

給与所得比較

人によれば、「リーマンショックが起きた年なんだから、平均給与所得は元々低かったんじゃないか」と勘繰る人もいるかもしれませんが、グラフを見ていただければ、「リーマンショックが起きた年を上回っている」という言葉の意味をご理解いただけるのではないかと思います。

志位委員長は、『実質値では「今世紀最悪のレベル」』と言っていますが、一体何の資料を見てそんな大ぼらを吹いているんでしょうね。大ぼらを吹いているのはむしろあなただろう、と。

もちろん国税庁データは「名目値」になりますから、この情報を実質化すれば結果は異なりますが、名目値がリーマンショックが起きた年を上回ったのに、いくら何でも「今世紀最悪のレベル」という表現は悪質すぎると思います。

また更に、実質賃金が下落した理由として、「原油価格の上昇」が「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」を上昇させ、結果として実質賃金を下落させたんだ、ということを掲載しました。

前置きが長くなりましたが、今回の記事では、この「実質賃金の下落」の捉え方についてポイントを絞って記事を作成してみたいと思います。


「物価」とはそもそも何なのか?

当カテゴリー、「実質賃金と名目賃金」としては既に何度もお伝えしていると思うのですが、実質賃金が下落する要因となる「物価」について。

そもそも「物価」には、「消費されたもの」しか反映されません消費されていないものは「物価」には反映されないということです。

この考え方ってとても重要なんです。

例えば店頭に、「100円」と値札が付いているパンが販売されていたとします。ですが、この日はパンの売れ行きが悪く、パンがたくさん余ってしまったので、100円のパンを半額にして販売したところ、ようやく買ってもらえたとします。

すると、このパンの「物価」は「100円」ではなく「50円」になります。

当たり前じゃん、って思うかもしれませんが、これを理解できていない人って結構多いのではないでしょうか?ですから志位委員長みたいなバカな投降を平気で行える人がたくさんいるわけです。


更に深めてみます。100円のパンを半額に値引きして販売しましたが、結局買い手がつかず、このパンは廃棄されてしまったとしましょう。

では、このパンの物価は一体何円なのでしょうか? 100円? 50円? 違います。「0円」です。だって売れていないんですから。


家電製品で考えてみます。店頭に10万円の値札が付いたテレビが置いていたとします。

この日は決算セールで、大安売りをしていました。キャッチフレーズは「店頭の値札価格より更に50000円引き!」です。

この人は10万円と値札のついたテレビを5万円で購入することができました。では、このテレビの物価はいくらになるでしょうか?

そう。10万円ー5万円でこのテレビの「物価」は「5万円」です。


では、このテレビが決算セールの値段でも売り切れず、翌日も店頭にそのまま並べられていたとします。値札には「10万円」と書かれています。

では、このテレビの「物価」は一体いくらになるのでしょう。答えは簡単です。「0円」です。だって売れていないんですから。

「業者から仕入れてるじゃん」と考える人もいるかもしれませんが、業者から仕入れた価格は、業者から購入した時点で既に「物価」として計上されています。購入した後、店舗で単に保有しているテレビなんですから、やはり物価は「0円」です。

レジを通って、販売されて初めて「物価」として計上されるんです。


もちろん「物価」はこんなに簡単には決まりません。正確な「物価」の決まり方は改めてシリーズ、「物価の見方」を遡ってご一読いただければと思いますが、簡略化して、最も単純な決まり方をご説明しますと、上記の通りです。

私が何を言いたいのか。改めて同じことを繰り返しますが、「消費されていないものは『物価』には反映されない」ということです。


「名目賃金が上昇」して、「実質賃金が下落」するとは?

例えば、今年度12月の名目賃金が3%上昇し、物価が5%上昇した結果、実質賃金が2%下落したとします。

多分、多くの人が考えるのは、

「いくら名目賃金が上昇しても、実質賃金が下落したら景気は悪くなるじゃないか!」

ということだと思います。前回の記事で、私も実質賃金のと名目賃金の考え方を、

「名目値」とは、「もらった賃金のうち、何円が支出に回せるのか」という値。「実質値」とは、「受け取った給料でいくつ買えるのか」という値

と記しました。つまり、名目賃金が上昇した以上に物価が上昇したら、消費できるサービスが減るじゃないか、ということです。

例えばアルバイト従業員の給料がひと月に1万円だとして、先ほどの100円のパンの事例で言えば、物価が上昇する前は100円のパンが100個変えていたわけですが、物価が上昇した結果、パンの値段が120円に上昇した結果、同じパンが83個しか買えなくなるわけです。

さて。ここで質問です。この考え方は正しいでしょうか。間違っているでしょうか?


よく考えてみましょう。この記事で何度もご説明していますが、物価は、「消費」されなければ「物価」にはなりません。

このアルバイト従業員は、ひと月に1万円しか給料を受け取っていません。1万円の給料で購入できる120円のパンは83個です。では、このパンの物価は「120円」なのでしょうか?

思い出してみてください。私は「物価」の説明の中で、「売れていないものの物価は0円」だと説明しましたね?

パンの値段が100円の時は、100円のパンを100個購入することができていましたから、パンの消費量は「100個」です。

ですが、パンが120円に値上がりした結果、実際に購入することができたパンは83個で、残り17個のパンは消費されませんでした。

つまり、残り17個のパンの販売価格は「0円」です。

このアルバイト従業員が前年に消費したパンの数は100個で、単価が100円でしたから、このパンの物価は「100円」です。

ですが、今年に消費することができたパンの数は83個。単価が120円ですから、総額で9960円購入しています。ですが、店頭には消費されていない「0円のパン」が17個存在しています。

では、このパンのこの月の「物価」は一体いくらになるでしょう?

もうお分かりですね。計算式では9960÷100ですから、この月のこのパンの物価は99.6円です。単価は120円に上昇しましたが、物価は下落していますね。


「消費されていないものは物価には反映されない」という意味

私が何を言いたいのか、もうお分かりですね。100円のパンが120円に値上がりしたとしても、物価が120円となるためには、前年と同じ数消費されなければ120円にはならないということです。

では、月収10000円のアルバイト従業員が前年に100個消費した100円パンの物価が120円になるためには、どうすればよいでしょうか?

答えは簡単です。月収10000円のアルバイト従業員が120円のパンを前年同様100個消費すればいいだけのことです。

月収10000円のアルバイト従業員が、12000円お金を使えばこのパンの物価は120円になるのです。


ご理解いただけましたでしょうか?

「名目賃金」が上昇し、「実質賃金」が下落することができる状況は、実は3つしか存在しません。

1 昨年貯蓄に回した給与を支出に回した

2 給与の内、昨年までは貯蓄に回していた給与を消費に回す様になった

3 借り入れを起こしてでも消費する様になった

このような経済状況を、

 「貯蓄性向が減少し、消費性向が上がった」

と表現します。

中には、「それって貯金が減るってことじゃん!!」ということをいう人もいるかもしれませんが、そもそも貯金がなければ、受け取る給与以上に消費を増やすことはできませんから。

同じ月に、名目賃金が上昇した以上に物価が上昇していたのだとすれば、それはその月に受け取った給与所得以上に消費に回す余裕があったという事実に他なりません。

もしくは2番にあるように、昨年まで貯蓄に回していた給与を消費に回すゆとりが生まれたということ。

いかがでしょうか? 確かに今回厚生労働省が行った「不正」は、許してよいものではないのかもしれません。ですが、だからアベノミクスが失敗であったかのように喧伝するのはいかがなものでしょう。

志位委員長の様な人物が、いかに「経済」を分析する能力がないのか。このように考えるとよく理解できるのではないでしょうか。

本当に糾弾されるべきは、経済減少をまともに検証することもせず、思い込みだけで条件反射のように政権批判を行う、現在の特定野党の面々ではないのでしょうか?

あんな人たちになぜ議席が与えられるのか。私には全く理解できません。



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今朝、ネット情報をチェックしていますと、以下のようなニュースが話題になっていました。

【読売新聞ニュース 1/30(水) 21:55配信】
実質賃金、実は18年大半がマイナス…野党試算

 立憲民主、国民民主などの野党は30日、毎月勤労統計の不適切調査問題をテーマとした合同ヒアリングを国会内で開き、2018年1~11月の実質賃金の伸び率が大半でマイナスになるとの試算を示した。

 厚生労働省は23日、不適切調査問題を受けて再集計した実質賃金の伸び率を公表した。これによると、3、5~7、11の5か月で前年同月比がプラスだった。最もプラス幅が大きかったのは6月の2・0%。

 これに対し、野党の試算では、6月と11月を除き、すべて前年同月比でマイナスとなった。最もマイナス幅が大きかったのは1月で、1・4%だった。

 厚労省の調査は、前年の17年と18年で対象となる事業所を一部入れ替えている。野党は17、18年を通じて調査対象だった事業所のデータを試算に使った。

 厚労省の担当者は、野党の試算について「同じような数字が出ることが予想される」として事実上、追認した。野党は「政府が公表した伸び率は実際より高く出ている」と批判している。

大元となるのは、厚生労働省が民間企業の「賃金指数」を集計した「毎月勤労統計調査」において、

1.東京都における
2.500人以上の規模の事業所に対して
3.本来であれば全数調査にすべきところを
4.一部の企業のみを抽出して調査していた

という、「不正」が根源にあるわけですが、引用したニュースはこの事例について言及されているニュースではありません。


1月31日のニュースの概要

わかりにくいと思いますので、一つずつご説明します。

まず、厚生労働省は前記した「不正」に関して、既に修正を行っており、2019年1月23日に修正結果を毎月勤労統計調査のホームページに修正後のデータを公表しているわけですが、引用した記事で問題とされているのは、2018年度の毎月勤労統計調査において、対象とするサンプルを2017年度とは入れ替えていることにあります。

2017年度までは同じ対象となる企業について調査を行っているのですが、2018年度はその対象を入れ替えましたよ、ということです。

そして、今回の「不手際」が発覚したのは、その「対象の入れ替え」が行われた結果、17年度と比較して賃金指数が大きく跳ね上がったからです。

しかも、この「不正」が平成16年、西暦で2004年。小泉内閣当時から継続して行われていた・・・ということが発覚しました。

本来であればその「不正」について追求し、今後同じようなことが起こらないように厚生労働省に反省を促すのが本来の国会の在り方だと思うのですが例によって野党の皆さんは、この情報を安倍内閣を攻撃する材料として利用し始めています。

これが、引用した「実質賃金」に関するニュースです。


安倍内閣は、アベノミクスによる効果をねつ造するために対象企業を入れ替えた?

「賃金指数」の中で、誤って算出されていたのは「きまって支給する給与」で、軒並み公表されていた「月間平均給与」を再集計されたものが上回っています。

野党がピンポイントで着目したのは、その結果、2018年の「賃金指数」が、2017年と比較して伸びたのか下落したのかというところ。

政府が公表したデータは、もちろん「対象とする企業を入れ替えて」算出したもの。2018年は1月から最新の11月まで含めて前年を大きく上回っています。最大で6月の2.8%です。

しかし、当然野党はこう主張します。「サンプルが変わったから結果が変わったんだろう!」と。

そこで厚労省が示した、同一のサンプルを用いた場合の「参考値」が以下の通り(すべて前年同月比です)。

1月 0.3%
2月 0.8%
3月 0.2%
4月 0.4%
5月 0.3%
6月 1.4%
7月 0.7%
8月 0.9%
9月 0.1%
10月 0.9%
11月 1%

全月プラス成長となっていますが、この値は、すべて「名目値」です。

そう。野党やマスコミが大好きなのは「名目値」ではなく、「実質値」なんですね。

ちなみに、「名目値」とは、「もらった賃金のうち、何円が支出に回せるのか」という値。「実質値」とは、「受け取った給料でいくつ買えるのか」という値。

野党やマスコミは、「何円使えるか」より、「何個購入できるのか」ということの方が大事だ、と鉄板で主張します。

厚労省は「実質値」を出すのを渋るわけですが、実質値を出すための計算式は決まっていて、「名目賃金指数÷持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数」という公式で簡単に算出できます。私自身も計算してみましたが、野党の計算結果とほぼ同じ結果になりました。

実質賃金は、「6月」と「11月」以外、すべての月で実質賃金指数は前年度割れ、となっていたんですね。ちなみにサンプルを入れ替えた後だと1マイナスとなっているのは1月、2月、5月、8月、10月の5か月のみ。で、「サンプルを入れ替えたのは実質賃金がマイナスになっていることを隠すためだろう!!」と野党はわめき散らしているわけです。

データを入れ替えて集計を始めたのは2018年1月になってからで、その時に2月~11月までのデータなんてわかるわけがないんですけどね。超能力者でもない限り。


「実質賃金」がマイナスになると何か問題なのか?

実質賃金については私、シリーズ 実質賃金と名目賃金 において散々話題にしています。

第363回の記事 でも記していますが、実は私、元々厚労省の「毎月勤労統計」については全くあてにしていません。

参考程度にしかならないと思っていましたから、今回厚労省による不正が発覚したところで、「え、今更?」というのがニュースを見た第一印象でした。

というのも、そもそも厚労省のデータは「常勤雇用者数が5名以上の企業」しか対象としておらず、「常勤雇用者が5名未満の企業」は対象になっていません。

ですが、政府データには厚労省データとは別に、「国税庁」が公表している「従業員1名以上の企業」を調査対象としたデータがございまして、こちらの方が正確で、より実態に近い数字となっています。(参考:第43回 実質賃金と名目賃金⑤~厚労省データと国税庁データの違い~

なので、私は賃金の情報を見るときは、厚労省の毎月勤労統計ではなく、国税庁の「民間給与実態統計調査」の方を参考にしています。

このデータですと、業態別だけでなく、受け取っている給与階層別の労働者数なども見られますので、私はとても重宝しています。シリーズ、中間層の見方 で具体的に作成しましたね。今から3年以上前のデータにはなりますが。

ただ、国税庁データの欠点は、集計時間が長く、年に一度しか発表されないこと。昨年2018年のデータが掲載されるのが今年の9月です。

毎月勤労統計は、国税庁のデータほど正確ではないものの、その「速報性」にこそ魅力があるんですよね。

ちなみに、両方の統計データを比較すると、このようになります。

給与所得比較

厚労省データは平成19年(2007年)のデータが17年基準(20年以降は22年基準)のデータしかなかったので、私の手元で計算することは避け、空欄にしています。

厚労省データは「指数」、国税庁データは「年間平均給与所得」です。ともに年間のデータを用いています。「指数」も、基本的には「給与所得」実学をベースに算出されたものですので、単位は違いますが、伸び率や減少率はほぼ同じ基準で比較することができます。

ご覧いただくと一目瞭然ですが、平成29年(2017年)のデータと平成20年(2008年)のデータを比較した場合。「2008年」。つまり、リーマンショックが起きたその年です。

厚労省データは2008年が「103.6」で、2017年が「101.1」。割合にして2.4%、2017年の値が2008年の値を下回っています。

ところが、国税庁データでは2008年が429.6万円。2017年が432.2万円ですから、今度は2017年の値が0.6%、2008年の値を上回っています。

この違いはいくら経済感覚に疎い人にだって理解できるのではないでしょうか?厚労省データと国税庁データの違いは、「常勤雇用者5名未満の企業」が含まれているのか、含まれていないのか、その違いだけです。

2017年と比較して、2018年の「実質賃金」が下回っているからアベノミクスは失敗だ、と野党やその支援者たちはわめき散らしているわけですが、国税庁データによれば、2017年の実績は既にリーマンショックが起きた年の数字を上回っているんですよ?

更に、2018年は実質賃金こそ2017年を下回ったかもしれませんが、名目賃金指数においては2017年の給与所得を上回っています。

実質賃金が下回ったから、一体何だと言いたいのでしょう、彼らは?


今回の「実質賃金の下落」が意味すること

さて。それでは一体なぜ、名目賃金が上昇したにも関わらず、実質賃金指数が下落したのでしょう?

今更言うまでもありませんが、それは実質賃金の算出方法にからくりがあります。

既に掲載していますが、実質賃金指数は、

 実質賃金指数=名目賃金指数÷持家の帰属家賃を除く消費者物価指数

で算出されます。

名目賃金指数が上昇したのに実質賃金指数が下落した理由は単純で、持家の帰属家賃を除く消費者物価指数の上昇率が、名目賃金指数の上昇率を上回ったからです。

私のブログを読み込んでくださっている方であれば、私が次にどんな情報を持ち出すか、予想はついていらっしゃるかと思います。

そう。「消費者物価指数」の「十大費目別消費者物価指数」です。

物価が上昇するには、上昇する鳴りの理由があるんです。そしてこの「消費者物価指数」に関してもまた、私は散々シリーズ、「物価の見方」の中でご説明しましたね?

データは、あえて1年分を掲載しますから膨大になります。後で解説しますが、どの項目にプラスが多く、どの項目にマイナスが多いのか、ということに着目しながら、画面をザっとスクロールしてみてください。

平成30年(2018年)の消費者物価指数

【消費者物価指数(10大費目別)の前年同月比】
食料 ウェイト:2623
1月 3.2
2月 3.0
3月 1.9
4月 0.7
5月 0.8
6月 0.4
7月 1.4
8月 2.1
9月 1.8
10月 2.4
11月 0.5
12月 -1.1

 生鮮食品 ウェイト:414
 1月 12.5
 2月 12.4
 3月 6.3
 4月 -1.5
 5月 -0.7
 6月 -1.2
 7月 4.3
 8月 8.7
 9月 5.6
 10月 10.8
 11月 -1.4
 12月 -9.4

 生鮮食品を除く食料 ウェイト:2209
 1月 1.3
 2月 1.2
 3月 1.1
 4月 1.1
 5月 1.1
 6月 0.7
 7月 0.8
 8月 0.9
 9月 1.0
 10月 0.9
 11月 0.9
 12月 0.7

住居 ウェイト:2087
1月 -0.1
2月 -0.1
3月 -0.2
4月 -0.2
5月 -0.1
6月 -0.1
7月 -0.1
8月 -0.1
9月 -0.1
10月 -0.2
11月 -0.1
12月 -0.1

 持家の帰属家賃を除く住居 ウェイト:589
 1月 0.1
 2月 0.1
 3月 -0.1
 4月 0.0
 5月 0.1
 6月 0.1
 7月 0.1
 8月 0.1
 9月 0.1
 10月 -0.1
 11月 0.0
 12月 0.1

光熱・水道 ウェイト:745
1月 4.6
2月 4.3
3月 4.0
4月 3.6
5月 3.1
6月 3.3
7月 3.1
8月 3.4
9月 3.7
10月 4.4
11月 5.0
12月 5.0

家具・家事用品 ウェイト:348
1月 -1.2
2月 -1.7
3月 -1.4
4月 -1.5
5月 -1.5
6月 -1.0
7月 -1.1
8月 -1.1
9月 -1.0
10月 -1.0
11月 -0.7
12月 0.1

 家庭用耐久財 ウェイト:111
 1月 -2.0
 2月 -3.8
 3月 -3.3
 4月 -3.8
 5月 -3.5
 6月 -2.9
 7月 -2.1
 8月 -2.5
 9月 -2.0
 10月 -2.0
 11月 -0.6
 12月 0.5

被服及び履物 ウェイト:412
1月 0.5
2月 0.3
3月 0.0
4月 0.1
5月 0.1
6月 0.0
7月 0.3
8月 -0.1
9月 0.1
10月 0.1
11月 0.1
12月 0.1

保健医療 ウェイト:430
1月 1.6
2月 1.8
3月 1.7
4月 1.9
5月 1.9
6月 2.0
7月 2.0
8月 1.1
9月 1.0
10月 1.1
11月 1.2
12月 1.3

交通・通信 ウェイト:1476
1月 0.7
2月 1.5
3月 1.7
4月 1.1
5月 1.3
6月 1.4
7月 1.5
8月 2.0
9月 2.1
10月 1.9
11月 1.2
12月 -0.1

 自動車等関係費 ウェイト:836
 1月 2.0
 2月 2.6
 3月 1.8
 4月 2.1
 5月 2.7
 6月 4.0
 7月 4.3
 8月 4.2
 9月 4.5
 10月 4.6
 11月 3.3
 12月 1.3

教育 ウェイト:316
1月 0.4
2月 0.4
3月 0.3
4月 0.3
5月 0.3
6月 0.5
7月 0.5
8月 0.5
9月 0.5
10月 0.5
11月 0.5
12月 0.5

教養娯楽 ウェイト:989
1月 0.5
2月 1.3
3月 0.5
4月 0.2
5月 0.0
6月 0.8
7月 0.6
8月 1.6
9月 1.0
10月 1.4
11月 1.0
12月 0.9

 教養娯楽用耐久財 ウェイト:59
 1月 -1.1
 2月 -1.5
 3月 -2.5
 4月 -5.0
 5月 -3.8
 6月 -2.9
 7月 -2.4
 8月 -2.1
 9月 1.7
 10月 -0.3
 11月 -1.0
 12月 -0.3

諸雑費 ウェイト:574
1月 0.5
2月 0.6
3月 0.5
4月 0.1
5月 0.3
6月 0.4
7月 0.3
8月 0.0
9月 0.2
10月 0.8
11月 0.9
12月 0.8

段違いになっているところ、例えば「家具・家事用品」の下にある「家庭用耐久財」は、「家具・家事用品」の中に含まれる項目をピックアップしたものです。

「10大費目」とは、「食糧」「住居」「光熱・水道」「家具・家事用品」「被服及び履物」「保健医療」「交通・通信」「教育」「教養娯楽」「諸雑費」の10の項目の事。

この10の項目のうち、物価を大きく上昇させる要因となっている項目が「光熱・水道」であることがご覧いただけると思います。

この他、「食糧」の中の「生鮮食品」や、「交通」の中の「自動車関係費」。

「光熱・水道」や「自動車関係費」を上昇させる主要因となっているのは「原油価格」。特に2018年は大きく「円安」に物価が振れることもありませんでしたから、原油価格が上昇する原因は、「海外の原油取引価格の上昇」が原因です。アベノミクスとは全く関係ありませんね?

更に、「生鮮食品」が高値を付けているのはアベノミクスのせいではなく、「気象条件」が原因です。

つまり、海外や気象条件が要因となり、名目賃金の上昇率を上回る物価上昇を見せたため、実質賃金指数が下落することになった・・・というのが今回のデータの正しい見方です。

物価が下落する主要因となっているのは「家庭用耐久財」や「教養娯楽用耐久財」。つまり、「家電製品」の大安売りがそもそもの原因です。つまり、ジャ〇ネットタ〇タのせいですね。

このように、物価が下落するにも上昇するにも、きちんとした理由があります。確かにアベノミクスが目標に掲げているのは「生鮮食品を除く消費者物価指数の2%上昇」かもしれませんが、仮にこれが達成できなかったとしても、物価が下落して尚手取りが増えるのであれば、これほど喜ばしいことはないのではないでしょうか?

「アベノミクス」が本当に目指しているのは「自立した経済成長」です。「これがアベノミクスである」と訴えられている内容は、そのアベノミクスが目指す社会の一側面を示しているにすぎません。

その結果、アベノミクス目的として示していないところで経済成長の要素が見えたとして、何か問題があるのでしょうか?

・・・と、本来はこういう批判をしたいわけですよ。

なのになぜか今は「物価が上昇して生活が苦しくなっていることがわかったぞ!!どうしてくれるんだ!!」という主張のオンパレード。

いやいや、確かに原油価格の上昇が経済に悪影響を与えているかもしれないけど、家電製品と携帯電話、その通信料以外はちゃんと成長しているでしょ、と。成長しているから消費者物価指数は上昇するんですよ、と。

「木を見て森を見ず」・・・というか、「森を見て木を見ず」というか。「全体像」をきちんと把握せず、安倍内閣を批判することのできる経済現象が登場したからといって、そこに食らいついて安倍内閣を批判することに終始するのはいい加減やめてほしい。

「賃金が増えているんだから、その増えた賃金を消費に回すにはどのようにすればいいか」ということを全体で話し合える、そんな国会であってほしいと、私は切に願っております。



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今回のシリーズは2017年9月28日衆議院解散を受けまして、「アベノミクスの成果」を具体的にお示しすることを目的として作成しています。

記事としては、またしてもカテゴリーをまたぎ、第362回の記事 を引き継ぐ形での記事になります。

またこれとは別に、第361回の記事 で「国税庁データ」をベースに、2016年(暦年)1年間を通じた民間給与所得情報を記事にしましたが、これは従業員の数が1名以上の事業所をすべて対象としており、厚労省データと比較して正確性はあるものの、速報性に欠けるデータですので、

 「じゃあ今年度の給与はどうなんだ!」

という声も聞こえてきそうですから、この声にお応えする形で、「常勤雇用者数が5名以下の事業所のデータが含まれていない、正確性に欠ける」で^多ではあるものの、「速報性のあるデータ」として、厚労省データより、2017年8月度の「月間給与所得」に関連した記事を掲載しようとおもいます。


「賃金指数」の推移

賃金指数(総合)

こちらは、「賃金指数」の推移。ボーナスの金額も含んでますので、12月や7月の数字が大きくなっています。

2017年(暦年)に入って、これまで業種別に分かれていた項目が「総合」「一般」「パートタイム」の3項目で掲載されるようになっていますので、さかのぼってみることができる、2015年12月からの数字をグラフ化してみました。

「賃金指数」とは、今年度であれば2015年(暦年)の年間の平均賃金を100として、これに対する増減を指数化したものです。もちろん指数ではなく実額で掲載することもできるのですが、残念ながら実額は一覧では掲載されておらず、集計に膨大な時間を必要としますので、増減の割合に関しては実額と同様に正確に算出されている「賃金指数」で掲載してみました。

パートタイム=非正規、一般労働者=正規、というわけではありませんが、イメージはしやすい分け方だと思います。

賃金指数(きまって支給する給与)

一方こちらは「決まって支給する給与」の推移で、賞与(ボーナス)が含まれないものです。

「賞与」を含む推移でみると、7月の賃金指数は総合で前年比-0.6%、一般労働者で-0.7%となっていますが、これを賞与を含まない賃金指数の推移でみますと、総合は0.5%、と前年の給与所得よりも増加しています。

7月の賞与を含む賃金指数が前年度割れしている理由として、産業全体で7月に支払われた賞与が平均で10万9189円であるのに対して6月に支払われた賞与が17万1278円。

一方2016年7月に支払われた賞与は11万2637円(2017年+3448円)、17万0630円(2017年-648円)となっており、賞与が支払われたタイミングが2016年と2017年との間でずれたことがあげられると思われます。

また、決まって支給される給与を見てみますと、1月の賃金指数が総合で-0.1%、パートタイム労働者で-0.9%と前年割れしていますが、この月を除くときまって支給される給与は全体で14か月、特に「一般労働者」に限定すれば、少なくとも私がグラフに掲載をした期間すべての月で前年同月を上回っていることがわかります。

これは、賞与を含む「総合」でも同様の事が言えますね。

また、賞与を含む「総合」で見れば、特に2017年度(4月)に入って以降、「パートタイム労働者」の賃金が前年同月を大きく上回っていることもわかります。


「実質賃金指数」の推移

「実質賃金指数」は、前章で掲載した「賃金指数」、すなわち「名目賃金指数」を「持ち家の帰属家賃を除く総合」で割ったものです。

実質賃金指数(総合)

実質賃金指数(きまって支給する給与)

さて、いかがでしょう。両グラフとも、赤いラインが「前年同月比0%」を示すラインです。つまり、これを下回っていれば前年割れ、上回っていれば前年オーバーということになります。

2017年(1月)に入ってからの数字を見てみると、いかがでしょうか。両グラフとも、完全に「前年割れ」していますね。

共産党の志位さんや小池さん当たりに餌を与えてしまいそうな数字ですが、私の記事をよく読んでいる賢明な読者の方にはもう想像がついているかもしれませんね。

なぜこんなことになっているのか。答えは簡単です。「分母が『持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数』だから。

特に「きまって支給する給与」の実質賃金の推移をみるととてもよくわかると思います。9月から10月にかけて一気に値を下げていますね?

この時期に何があったのか。そう。

 「原油価格(前年同月比)の上昇」

です。例えば、「実質賃金」の分母から「エネルギー(及び生鮮食品)」を除くとこんな感じになります。

実質賃金(生鮮及びエネルギーを除く)

もちろん、ここまで単純に考えることはできません(エネルギー価格が上昇すれば、それだけ家計には負担になる)。

「実質賃金」とは、「消費者物価指数」が上昇すれば下落し、下落すれば上昇します。当然ですね。「消費者物価指数」は実質賃金の分母なんですから。

本当は、ここから「生鮮食品」を除くことができれば良いのですが、残念ながらそのような政府データはありませんから、生鮮食品の物価変動まで含まれた情報になります。

私がなぜこんなグラフを出したのかというと、理由は二つあります。

最新の2017年8月の実質賃金指数(きまって支給される)は99.8で、前年度、2016年8月よりも0.2ポイント下落しています。

一方、2017年8月の持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数は100.5で、2016年8月よりも0.8上回っています。
生鮮食品も0.8ポイント、エネルギーに関してはなんと7.0ポイントも前年同月を上回っています。

消費者物価指数が上昇すると実質賃金が下落するのは、賃金が同じでも、物価が上昇することによって購入できる物品の量が減少することに由来します。

つまり、生鮮食品やエネルギー(ウェイト⦅重要度⦆は両方合わせて1198)がこれだけ上昇しているわけですから、今年は昨年と比較すると、「消費」は起こしにくい状況にあったはずです。

逆に言えば、昨年の方が今年に比べて消費は起こしやすかった=実質賃金は多かったはずなのです。

ところが、先ほどのグラフの様に、実質賃金の分母である消費者物価指数から「生鮮食費」と「エネルギー」を除外して考えると、なんと実質賃金は前年同月よりも0.4ポイントも増加してしまっています。

つまり、「生鮮食品」と「エネルギー」が上昇し、消費者物価指数全体が上昇したため、本来であれば消費は抑圧される=実質賃金は下落するはずなのに、逆に生鮮食品及びエネルギー以外に割くことが可能な賃金の量は増えているわけです。

「生鮮食品及びエネルギー以外の物価が下落したんじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」は前年同月比で0.2%増加しています。

もちろんこの中には「持ち家の帰属家賃」が含まれていますから、これを除くとどうなのか、という声も聞こえてきそうですが、持ち家の帰属家賃は前年同月比で-0.2%。「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」と同じ絶対値です。

「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」のウェイトは8802、持ち家の帰属家賃のウェイトは1499ですから、いくら持ち家の帰属家賃のウェイトが大きいからと言って、それ単独で「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」の増加分を相殺することはできません。

つまり、「生鮮食品やエネルギーの物価が上昇」し、本来であれば国民の消費は圧迫され、生鮮食品及びエネルギー以外の実質賃金は減少しなければならないのに、逆に生鮮食品及びエネルギーを除外した実質賃金は増加しているということになります。


また、先ほどのグラフを掲載した二つ目の理由として、「エネルギー」は日本国内ではなく、むしろ「海外の需要の影響」を大きく受けるものであり、「生鮮食品」は「天候の変動の影響」を大きく受けるものです。

つまり、どちらも「アベノミクス」の失敗や成功の影響で増えたり減ったりするものではない、ということ。

実際に共産党の志位さんや小池さんがこの「実質賃金の下落」を「アベノミクスの失敗」の根拠としてあげるシーンを良く見かけますが、彼らは自分たちにとって都合の悪い情報には一切見向きもしていないということです。

「実質賃金」の側面から見ても、アベノミクスは非常に好調である。このことを立派に証明することができました。

次回記事では、続きまして今回話題にした「消費者物価指数」の側面からアベノミクスを検証してみたいと思います。



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本日は2017年10月。ですので、今更2016年の民間給与統計?、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、実はこの情報は最新情報だったりします。

昨年はこの情報を 第175回の記事 で掲載しました。

タイトルをご覧いただくとわかると思うのですが、「民間給与所得」を公表している政府機関は実は2カ所。

一つは厚生労働省。もう一つは国税庁です。

厚労省のデータは毎月公表されていまして、最新だと2017年7月の確報まで公表されています。

ですが、今回スポットを当てたいのは厚労省データではなく国税庁データ。国税庁データは年に1度、毎年9月に公表されています。

今回このタイトルでの記事を作成したのは、つまり、2016年のデータが先月、9月末に公表されたからです。


民間給与所得、厚労省データと国税庁データの違い

まずは復習です。同じ給与所得のデータでありながら、なぜ厚労省データと国税庁データが二つ存在するのか。

これは、第43回の記事 で一度ご説明しました。

賃金違い

この情報は、人事院のホームページ に掲載されています。

最大の違いは、その調査対象が、厚労省のデータは「常用労働者」の人数が「5人以上」いる事業所に限られていることに対して、国税庁データは常用雇用者であるか非常勤であるかに関係なく、「従業員」の人数が「1人以上」いる事業所をその対象としていることにあります。

わかりやすく言いますと、「速報性」を重視しているのが「厚労省データ」であり、その「正確性」を重視しているのが「国税庁データ」だということになります。


2016年給与所得者数の推移

給与所得者数2016(国税庁Ver)

国税庁データは、年間を通じたデータですから、「1年間を通じて働いた給与所得者」というデータが存在します。2016年12月末時点での給与所得者数です。

給与所得者の増加数だけを見ると、消費増税年度である2014年から翌2015年よりも、2015年から2016年にかけての増加数の方が多いことがわかりますね。

安倍内閣スタート前の2012年と比較すると、実に300万人を超える「年間を通じて働いた給与所得者」の数が増えていることがわかります。


2016年平均給与所得の推移

平均給与2016(国税庁Ver)

こちらは年間を通じて働いた給与所得者が受け取った、一人当たりの「平均給与所得」の総額です。月間ではなく年間の給与所得。単位を掲載し忘れていますが、単位は「千円」。ですから2016年の年間平均給与は421万6千円。

増加幅で見ると増税年度であった2014年から2015年の増加額が4万4千円であるのに対して、2015年から16年の増加額は1万2千円。増加幅が縮小しているようにも見えますが、2014年が増税年度であり、企業も支出を抑制していた可能性がありますから、その分2015年の増加幅は大きくなったのではないかとも考えられます。


2016年年間給与総額の推移

年間給与総額2016(国税庁Ver)

こちらのグラフは、すべての給与所得者が年間を通じて受け取った給与所得の総額を示したものです。

こうしてみると、もちろん2011年に発生した東日本大震災の影響がある、とはいうものの、2012年の給与所得総額の落ち込みがいかに激しいかがわかります。

一方2015年~2016年にかけては、特に給与所得者数の上昇幅が大きかったこともあり、2014年から2015年にかけての1.7兆円を上回り、実に3兆円を超える給与所得が2015年よりも上乗せして給与所得者に対して支払われていることがわかります。

安倍内閣誕生前の2012年と比較すると、実に17兆円の給与が上乗せして給与所得者に対して支払われていることになります。

年度ではなく、暦年ベースで見ますと、2016年の名目GDPは537.06兆円。2012年の名目GDPは494.95兆円でGDP全体で37兆円を超える伸び率を示していますが、このうち17兆円が企業から従業員に対して支払われた給与であることになります。

これが、「安倍内閣の成果」です。

よく野党の皆さんやアベノミクスに否定的な皆さんが安倍内閣における「給与所得」や「労働者数」の増加、そして「求人率」や「雇用率」の増加を批判する際、

 「高齢者が定年で退職したため、労働者の数が不足し、結果としてこれらの数字が増えているのだ」

という主張を行うシーンを良く見かけます。

ですが、高齢者が退職したことが雇用状況の『見かけ上の改善』に影響しているというのなら、少なくとも「労働者数(給与所得者数)」は減少していなければつじつまが合いません。

アベノミクスの結果として、高齢者が退職する数以上に現役の給与所得者数の数が増え、かつその年間の平均給与所得も増加している。これが「アベノミクス」がもたらした「成果」です。

本日は2017年10月5日。巷では「希望の党」なる政党が名を馳せ、代表である小池百合子氏を筆頭にアベノミクスがあたかも失敗であったかのように吹聴するシーンをよく見かけます。

「でもそれは2016年までの話で、今年は・・・」

という声が聞こえてきそうですが。実は今月冒頭には「2017年8月度税収」が公表されており、ここには2017年度に入って私たち国民が受け取る「給与所得」がさらに上昇している様子がはっきりと示されています。

次回記事では、この2017年8月度税収をベースに、記事を作成したいと思います。



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<継承する記事>
第276回 2016年(平成28年)12月名目賃金と実質賃金(速報)

21日に 速報値の記事 を掲載したばかりだったのですが、どうもその翌日に確報値が掲載されていたらしく、そしてまたその速報値とのギャップがなかなか鮮やかなので、今回は珍しく「速報値」と「確報値」を合わせて掲載します。


「速報値」と「確報値」の比較

【2016年(平成28年)12月現金給与総額速報値】
調査産業計(12月)

【2016年(平成28年)12月調査産業計確報値】
調査産業計-2

さて、いかがでしょう。

速報値では、名目が0.1%成長、実質が-0.4%成長であったわけですが、これが確報値では名目0.5%成長、実質0.1%成長と、実に理想的な形に変わっているではありませんか。

6月や7月の情況は、原油価格の下落に伴って国内の消費者物価が下落する中で起きた現象です。
「原油価格」が高騰して日本国内で利益を上げられる企業はまずありませんから、これが「下落」するだけで、その下落した分が他の「消費」または「貯蓄」へと回されることになります。

日本国内にとってみればこれは非常に理想的な状況なのですが、原油価格だっていつまでも下落し続けるわけではありません。
大切なのは、「輸入物価の下落」に頼らずともきちんと利益を上げていける経済構造。

そのためにはやはり「物価」が上昇する中で「実質」も上昇する構造が一番望ましいわけです。

例えば天候不順に伴う生鮮食品の価格高騰や、海外の投機的な動きに伴った輸入価格の上昇などが原因で物価が上昇する場合は、これは日本の企業の利益を圧迫しますから、仮に名目と物価が共に上昇したとしても、実質にはマイナス要因として作用します。

だからこそ、「生鮮食品」や「輸入価格(エネルギー価格)」の動向に頼らず、日本国内の「内需」に起因する経済動向で物価を上昇させ、同時に「実質値=消費量」をも上昇させるような経済構造が必要になります。

勿論今回の話題は「消費」ではなく「賃金」に於ける名目値と実質値の問題ですから、「消費」とは必ずしも同列には語れませんけどね。


「速報値」と「確報値」が乖離した理由

さて。では、今回の名目賃金と実質賃金が、「速報値」と「確報値」の値がここまで開いた理由とは一体なんだったのでしょう。

【2016年(平成28年)12月決まって支給する給与速報値】
決まって支給する給与(12月)


【2016年(平成28年)12月決まって支給する給与確報値】
決まって支給する給与(12月)-2


第276回の記事 でも記しましたが、「決まって支給する給与」とは、「基本給+時間外手当」のことです。
グラフで見る限り、この項目は速報値と確報値との間で大きな変化はありませんね。

【2016年(平成28年)12月所定内給与速報値】
所定内給与(12月)


【2016年(平成28年)12月所定内給与確報値】
所定内給与(12月)-2

こちらは、いかがでしょう。「所定内給与」、つまり「基本給」の事です。
こちらは残念ながら、「名目賃金指数」が前年度比0.5%から0.4%上昇にダウン。合わせて「実質賃金指数」も「0.0%上昇」から「0.1%の下落」へと転じています。

ただ、確かに実質値は下落に転じていますが、特に「賃金指数」で考える場合、まずは「名目」です。
「物価」や「消費」で考える場合は、確かに「何が原因で上昇したのか」または「下落したのか」ということを考える必要があるのですが、賃金の場合は違います。

賃金は企業が生まれた利潤を労働者に還元するものですから、「輸入物価が上昇した」としても賃金は増えません(物価や消費『額』は上昇します)。むしろ下落します。

名目賃金が上昇するということは、「起業の利潤が増えている」ということを表しているからです。


少し話が脱線しましたが、「決まって支給する給与」に変化がなく、「所定内給与」の上昇幅が縮小したということは、「現金給与総額」の賃金指数が名実共に改善している理由はこの二つの要因ではないとういことです。

寧ろ、、「決まって支給する給与」に変化がなく、「所定内給与」の上昇幅が縮小したのであれば、この二つの項目は「現金給与総額」の賃金指数を悪化させる要因として働いていることになります。

では、一体なぜ「調査産業計の賃金指数」は名実共に改善したのでしょうか。

第276回の記事 をお読みいただいたかたはもう気づいているかもしれませんね?

「現金給与総額の賃金指数」が名実共に改善した最大の理由は、「特別に支払われた給与」。つまり「ボーナス」です。

速報値の段階では、2016年12月に支払われたボーナスは従業員一人当たり平均で28万4327円。
前年、2015年12月のボーナスが28万4537円ですから、割合にして約0.1%のマイナス。名目値で前年度割れと試算されていました。

所が、確定値では2016年12月に支払われたボーナスは従業員一人当たり平均で28万6866円。
0.8%のプラス成長です。持家に帰属する家賃の消費者物価指数が0.5%ですから、実質値では0.3%のプラス成長になります。

そう。このボーナスの大幅改善こそが「速報値」と「確報値」を乖離させた最大の理由だったのです。

前回の記事で、仮にほぼすべての被雇用者の賃金が増えていたとしても、

 「平均賃金を下回る給与所得者の数」×「平均賃金を下回る給与所得者の平均賃金上昇額」

が、

 「平均賃金を上回る給与所得者の数」×「平均賃金を上回る給与所得者の平均賃金上昇額」

を上回っていた場合、平均賃金は下落する、という話をお伝えしました。
特に安倍内閣スタート時の様に、大量の無職者が有職者となるようなケースであれば、元々賃金が「0(ゼロ)」であった無職者が、一斉に賃金を手にするようになるわけですから、当然

 「平均賃金を下回る給与所得者の数」×「平均賃金を下回る給与所得者の平均賃金上昇額」

の値は急速に上昇します。ですから、無職者が減り、給与所得者全体の賃金が上昇したとしても、「名目賃金が下落する」という様な矛盾が公然に発生していました。

で、この現象は「基本給」にのみ起きる現象ではなく、当然「ボーナス」に関しても発生します。
つまり、

 「平均ボーナスを下回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを下回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」



 「平均ボーナスを上回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを上回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」

を上回っていれば、当然「平均ボーナス」の金額は減少します。
例え給与所得者全員のボーナスの額が増額していたとしても、です。

速報値の段階では、ボーナスの名目賃金指数が0.1%のマイナスでしたから、私は

 「平均ボーナスを下回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを下回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」



 「平均ボーナスを上回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを上回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」

を上回っている

から発生した現象である、と指摘したのですが、なんと確定値ベースではこの「名目前年同月比」が0.8%ものプラス上昇。
速報値を0.9%も上回る結果です。

私が、中間層の見方 によってお示しした様に、安倍内閣に入って以来、毎年継続して「低所得者」の数が下落し、「中間層」の水準がどんどん上昇している傾向はとても顕著となってきています。

ボーナスの傾向も逆転し、

 「平均ボーナスを上回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを上回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」



 「平均ボーナスを下回る給与所得者の数」×「平均ボーナスを下回る給与所得者の平均ボーナス上昇額」

を上回っている

という情況に変化したということですね。

これは今回の賃金指数の見方としては非常に特徴的な部分だと思います。
2016年(平成28年)12月賃金指数の総評としては、

「アベノミクスの効果が、ついにボーナスの分野でもはっきりと見えるようになった」

というのが今回の私の総評でございます。



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遅ればせながら・・・となるのでしょうか。
今月6日に2016年(平成28年)12月分「毎月勤労統計」が公表されておりまして、ここで12月度賃金指数が発表されておりますので、このことを本日の記事にしたいと思います。

前回の記事 で私の記事の検索結果掲載順位が下落し、ほぼすべてのページに関してアクセス数が下落した事をお伝えしました。

検索順位そのものは全体的に少しずつ回復しつつあるようなのですが、アクセス数は相変わらず・・・
むしろ更に下落しているくらいなのですが、ただ、そんな中でもやっぱりアクセス数が多いのは「名目賃金と実質賃金」に関する記事。

特に第156回の記事 については、ピーク時に比べると落ち込んではいるものの、毎日継続的なアクセスが見られます。

ただ、本日のアクセス状況を見ていると、同じ「名目賃金と実質賃金」に関する記事の中でも、第262回の記事 へのアクセスが目立ちます。

賃金に関する記事として「第262回の記事」の特徴は、現時点において、私の賃金に関する記事の中では「最新」であるという事。

ところが、データとしては11月のデータで、最新のデータとしては既に「2016年12月」のデータが出ていますので、ひょっとしてがっかりして帰らせてしまったのではないかな・・・と思いまして、今回の記事では改めて

 「2016年(平成28年)12月名目賃金と実質賃金(速報)」

について記事にしたいと思います。

2016年(平成28年)12月名目賃金と実質賃金(速報)

【2016年(平成28年)12月賃金指数推移(全体)】
調査産業計(12月)

こちらが「2016年度12月」までの「賃金指数」の推移。1年間の推移です。
さらに前年の推移もご覧になりたい方は先月の記事 をご覧ください。

9月の時点での賃金指数の特徴は、「名実逆転」。
「物価が下落する中で名目賃金」が上昇している(8.9月は0%、横ばいですが)為、名目の上昇率を実質が上回る・・・という歪な状況が続いていたわけですが、10月、11月で逆転状況が解消されましたよ、というのが11月の賃金指数をみる上での特徴でした。

ところが、今月「賃金指数」をグラフで見てみますと、名目が0.1%と辛うじて上昇している中で、「実質賃金」が-0.4%の下落に転じています。

最大の理由は、分母となる消費者物価指数の動向 です。

上記リンク先にて同月、12月の消費者物価指数に関して解説していますので、詳細はそちらをご覧ください。
一番大きな理由としては、「エネルギー価格の下落」がある程度落ち着き、特に「前年同月比」で見た場合、一部項目では上昇に転じているという事。

もちろんエネルギー価格だけではないのですが、この様な「消費者物価指数」の動向の影響を受け、実質賃金は下落に転じました。

この様な事を記すと、

「名目賃金はたった0.1%しか上昇していないし、物価が上昇したせいで『実質的な賃金』は下落したんだ!やっぱりアベノミクスは失敗だったんだ!」

という人が出てきそうですが・・・

実は、12月の「賃金指数」には、他の月にはない特別な数字が登場します。
それが「特別に支払われた給与」、つまり「ボーナス」のことです。


「賃金指数」の内訳

「賃金指数」とはそもそも、「基準年」を設定し、厚生労働省が企業に対して行ったアンケート結果をもとに算出した「現金給与総額」。

つまり、給与所得者が受け取っている賃金が、月額平均でいくらになるのか。これを金額で表したものを、基準年と比較して指数化したものの事を言います。

現在であれば、平成22年が「基準年」ですから、平成22年1年間の月額平均給与所得を平均化した上で、更に「100」に換算し、増えていれば100以上、減っていれば100以下になります。

12月はボーナス月ですので、他の月に比べると「賃金指数」そのものは跳ね上がります。
例えば2016年12月の賃金指数は「172.0」。基準年である平成22年年間を通じた平均月額給与所得より72%も上回っていることになります。

ですが、12月の賃金指数は毎月跳ね上がりますので、同じ数字を前年の171.9と比較すると、前年同月比では「0.1%」しか上昇していない、ということになるわけです。

「現金給与所得」=「決まって支給する給与」+「特別に支払われた給与」

という計算式で表すことができます。
そして、

「きまって支給する給与」=「所定内給与」+「所定外給与」

となります。

「特別に支払われた給与」とは「ボーナス」の事。
「所定内給与」とは「基本給」の事。
「所定外給与」とは「時間外手当」の事です。

そして、「基本給」と「時間外手当」を合わせた金額のことを「きまって支給する給与」と言います。


「きまって支給する給与」と「所定内給与」

【2016年(平成28年)12月賃金指数推移(決まって支給する給与)】
決まって支給する給与(12月)

【2016年(平成28年)12月賃金指数推移(所定内給与)】
所定内給与(12月)

2016年12月の「特別に支払われた給与」は、実は-0.1%と減少しています。
ですが、それ以上に「所定内給与」は上昇しており0.3%上昇。そして「所定内給与」は更に上昇していて「0.5%」の上昇。

「所定内給与」は6月以降、浮き沈みこそあれ、継続的に上昇しています。
しかもその「上昇幅」は12月が最も大きい、というのがこのグラフから読み取れる情報です。

「実質賃金」が下落しているのは、繰り返し述べますが、「消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)」が9月から10月にかけて下落から上昇に転じたことが最大の理由で、これは経済実態を表している、というよりも計算式上の、テクニカルな問題であると言った方が表現としては的を射ていると思います。

そしてそれも、「所定内給与」、つまり「基本給」に照らしてみると、確かに11月は実質賃金も下落していますが、12月は0まで戻しています。

確かに「ボーナス」も増えるに越したことはありません。
ですが、「名目値」で考える場合もう一つ頭に入れておく必要があるのは、「被雇用者数の推移」です。


「名目賃金指数」が下落する理由」

第38回の記事 でもご説明しましたが、名目賃金で考える場合、

 「給与所得者の数が増加すると平均賃金が下落する」

という「平均のマジック」を考慮に入れる必要があります。
計算式で考えると、

 「平均賃金を下回る給与所得者の数」×「平均賃金を下回る給与所得者の賃金上昇額」
   <「平均賃金を上回る給与所得者の数」×「平均賃金を上回る給与所得者の賃金上昇額」

とならなければ、「名目賃金」が上昇に転じることはありません。

これが「きまって支給する給与」と「所定内給与」についてはほぼクリアされているわけですが、「特別に支払われた給与」=「ボーナス」についてはまだ解消されていない、と考えられるわけです。

「ボーナス」は基本的に「基本給×〇カ月」と計算されるわけですから、基本給が上昇するのであれば普通「ボーナス」は上昇するはずです。

勿論かけられる側の「〇カ月」が減少するケースもありますから一概には言えませんが、基本給が上昇しているわけですから、一方的にボーナスのみが減少している、ということは考えにくいのではないでしょうか。ここは「推測」であって何か明確な根拠があるわけではありませんけどね。

一番考えられるのは、

「ボーナスの支給額が増えた人の数」は増えた

けれども、

「ボーナスの平均支給額を下回る人の数」×「ボーナスの平均支給額を下回る人のボーナス上昇額」

の方が

「ボーナスの平均支給額を上回る人の数」×「ボーナスの平均支給額を上回る人のボーナス上昇額」

よりも多かった、と考えるのが一番すんなり来る考え方だと思います。
そして、それでも「きまって支給する給与」と「ボーナス」を合算した金額は前年を上回っていた。

つまり、「きまって支給する給与」、この中でも「基本給」の上昇幅がボーナスの平均支給額の下落をカバーするほどに大きかった、というのが今回の「賃金指数」の見方です。

この様なデータを見るときは、「情報を砕いて見る癖」と「平均のマジックを考慮に入れる癖」を身に付けることが大切だと思います。



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第260回の記事 で少し話題にしましたが、今回は「賃金」データについて記事にしたいと思います。

私のブログ・・・一番最初に人気が出たのは第27回の記事 だったのですが、この記事を更に上回る記事として 第104回の記事 に人気が集まる様になりました。

勿論、第27回の記事の記事の閲覧数が減少した、とかそういうわけではなく、第27回の記事 の閲覧数はそのままに、これを更に上回る形で第104回の記事 の閲覧数が増加したのです。

共に「国債」に関連した記事だったのですが、ここ1~2か月の間、この2つの記事を更に上回る記事として、第156回の記事 に閲覧数が集まるようになりました。

まだまだ私のブログの閲覧数も自慢できるほどの数字ではありませんので詳細は掲載しませんが、一日当たりの閲覧数としては、第27回の記事 や第104回の記事 を一桁上回る数字です。

なぜこのような現象が起きたのか、というと、ツイッターをはじめ、何か所かで第156回の記事 を引用して掲載してくださった方がいたから。

関心が高かったのは7月の時点で名目賃金の上昇率が高い伸び率を記録する中で、「実質賃金」がこの数字を更に上回る成長率を示したこと。

「名目値」は金額を、「実質値」は消費量を表す数字ですから、この結果を受けて私が「日本国民の手取りが上昇している上に、手取りを上回るスピードで『消費量』も増えている」と掲載したことに多くの方が関心を持ってくださった様です。

「前年同月比」で見る限り、7月の時点ではまだ「原油価格」が下落する傾向にありましたから、企業の利益が増え、従業員の賃金が増え、名目賃金が上昇する中で更に原油価格の下落に伴って消費者物価が下落したことから発生した珍現象です。

第260回の記事 で「家電商品の物価」を例に「物価が減少したからと言って、この事を以て『アベノミクスは失敗した』というのは誤りだ」と表現しましたが、7月に起きた珍現象は、このことを象徴するような経済現象でした。


今回の記事では、この「名目賃金」と「実質賃金」の見方に付いて、現在確認できる最新のデータである、「2016年度11月賃金指数(確報)」データより過去2年間にわたる「前年同月比」の推移をグラフ化して、これを参考データとしながら記事を作成していきたいと思います。

【賃金指数前年同月比の推移(2014年12月~2016年11月)】
賃金指数前年同月比推移

水色が名目賃金指数、オレンジ色が実質賃金指数前年同月比の推移です。
物価が上昇していると水色のグラフ線が上に、、物価が下落しているとオレンジ色のグラフ線が上になります。

ちなみに計算式としては、

名目賃金指数÷消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)=実質賃金指数

または
名目指数上昇率-物価上昇率=実質指数上昇率

となります。
2015年3月まで、名目上昇率と実質上昇率の間に大きな開きがあるのは消費増税に伴う物価変動が原因です。

青がオレンジ色を上回る状況は2016年1月の物価上昇率0%を挟み、2016年2月まで継続します。

さて。問題になるのはその翌月、2016年3月の数字です。

私、第156回の記事では、

「名目が高い上昇率を示す中で、名目成長率を実質成長率が上回るという珍現象が発生したのは、おそらく初めてのことではないか」

と表示しましたが、違いましたね。かなり最近、2016年3月の時点で発生していましたね。

あくまでも賃金ベースでの話にはなりますが、名目賃金の前年同月比が1.5%と高い上昇率を示す中で、同時に実質成長率は1.6%と、名目を更に上回る上昇率を示しています。

これはどのような状況が起きているのかと申しますと、

「物価が下落したおかげで、『消費金額』も『消費量』も共に上昇した」

と、そういう事を示しています。
翌4月は名目賃金が0、翌5月は名目賃金が前年比-0.1と下落するわけですが、その翌月、6月にはまた再び、名目成長率が1.4%という高い成長率を示す中で、実質賃金成長率はなんと2.0%という伸び率。

そして翌7月の数字は第156回の記事 で話題にした通り。

8月、9月は名目成長率が0%となりますが、翌10月からは漸く歪な状況が解消され、実質を名目が上回るようになります。

まあ、これは生鮮食品高騰の影響もありますから、一概に称賛できる話ではありませんが、賃金指数の推移から物価を見てみますと、

「物価が下落しているということが必ずしも個人消費が下落していることを示しているわけではない」

ということがよくわかります。

まあ、何しろ「アベノミクス」が行われた結果、起きた経済現象がこれまでのセオリーの斜め上を行くものが多発した・・・ということでしょうか。

前年同月比で考える原油価格が漸く安定し、より正確に「物価」を図ることができるようになったわけですから、自称経済専門家の皆さまもぜひ、メディア上で「個人消費が減退している!」などというデマを用いて世論をかき乱すようなことをせず、客観的、公正な視点から経済評論を行ってもらいたいものです。



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前回の記事 に於きまして、「税収」の内、「源泉徴収分所得税」について少しお伝えしたと思います。

「源泉徴収」とは、所謂「給与所得者」が支払っている所得税ですから、この分野の所得税が減っているということは前年度と比較して「給与所得」総額が減少している可能性があることを示唆しています。

但し、あくまでも所得税が前年度割れをしているのは「累積」であって、8月単年度では前年比でプラスとなっています。
そこで、一体どのタイミングでマイナスになっているのか、ということを過去に遡って調べてみると、6月までは累計前年同月比で107.2%。つまり大幅なプラス成長。

ネックとなっているのは7月度の源泉分所得税収です。つまり、7月にある何か特別な出来事が原因である、ということ。
調べてみますと、源泉徴収の納付ルールの中に、「納期の特例」というルールがあり、特例の承認を受けている人は、今年の場合であれば2016年1月~6月までの支払い分を、一括して2016年7月11日に納付すればよい、ということになっています。

つまり、7月の納税額が極端に減少している理由として、昨年度(2015年度)1月~3月までの期間を含む特例期間に特例の承認を受けていた人の数が前年よりも減っていたことが理由としては考えられるようです。

今回の記事では、この内容に関連しまして、昨日(2016年10月7日)に厚生労働省より、名目賃金や実質賃金に関連した「毎月勤労統計」というものが発表されていますので、今年度8月の「賃金」に関連した情報を掲載できればと思います。


2016年8月分毎月勤労統計

賃金

あくまでもこのデータは、速報性を重視した、「常用雇用者数5名以上の事業所」の「サンプルデータ」となっていることを前提としてお伝えします。

ただ私、少し勘違いしていたのですが、「常用雇用者5名以上の事業所」であれば、その事業所に務める「常用雇用者以外の労働者」についてもデータとしては含まれている様です。

それでは改めまして、「2016年8月度毎月勤労統計」について。
ニュース等では、「実質賃金が0.5%増加しました」という情報がほぼタイトルとして取り上げられている様です。
ただ、「実質賃金」というデータは実際には存在しません。「実質賃金指数が増加した」というのが正確な情報です。

「実質賃金指数」は「名目賃金指数」を「消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)」で割った指数です。

第178回 以降のシリーズでお伝えしていますように、8月の消費者物価指数も相変わらず「エネルギー価格の下落」に伴う影響で、「消費者物価指数」そのものが下落していますから、物価が下落した分「消費できる量」は増えますから、当然「実質賃金」は増加します。

ですので、今回のデータとしては「実質賃金」よりも「名目賃金」が増加しているのかどうかとういことの方が重要になります。
仮に名目賃金が下落していれば、それは企業が「給与」としての支出を減らしているということになりますからね。

企業が支出を減らすケースとしては、「企業業績が悪化している」もしくは「利益が膨らんでいるのに内部留保を増加させている」かのどちらかです。名目賃金の増減は「企業業績」を図る指標ともなるわけです。


悪化している「名目賃金」

そう。実は2016年8月度の「名目賃金」は「前年同月比」を下回っているのです。
下落幅は0.1%。微々たるものですけどね。

金額は全事業所の平均で27万1676円。ですが、です。
この項目を少し分解してみてみると、ちょっと違う事情が見えてきます。

「名目賃金」は「現金給与総額」を最大枠として、「きまって支給する給与」と「特別に支払われた給与」の二つに分けられています。「きまって支給する給与」が所謂「月給」のこと。「特別に支払われた給与」が所謂「ボーナス」のこと。

2016年8月度の「きまって支給する給与」は25万8977円で前年同月比0.3%のプラス増加。
一方「特別に支払われた給与」は1万2699円で前年同月比マイナス7.7%と減少しています。

そうなんです。実は、2016年度8月の「現金給与総額=名目賃金」を下落させている主犯は「特別に支払われた給与=ボーナス」だったのです。

でも、考えてみてください。ボーナスの支給額で1万2699円って、少し少なすぎると思いません?
8月ですから、確かにボーナス支給月である企業もあるかもしれませんが・・・・

ということで一般的にボーナスが支給されるであろう7月のデータを見てみます。


【2016年7月に支払われたボーナス】

7月度の「特別に支払われた給与」を見てみますと、11万2637円で、前年同月比プラス3.7%となっています。
金額にして前年より4042円のプラス。8月に「特別に支払われた」給与は前年同月比でマイナス879円。

7月は「きまって支給する給与」も0.1%増えています。つまり、8月の平均給与所得が前月を下回った理由は、昨年8月に支給されていたボーナスが前倒しで7月に支給されたケースが増えたから、と考えるのが正確な見方だと思います。


【「所定内給与」と「所定外給与」】

「きまって支給する給与」は、さらに細分化されていて、「所定内給与」と「所定外給与」の二つで構成されています。

「きまって支給する給与」全体は前年同月比0.3%とプラス成長しているのですが、「所定外給与」は実は-1.9%と大幅なマイナスです。一方「所定内給与」は0.5%でプラス成長しており、ここから見えてくるのはこれまで残業や時間外労働で対応していた分野を「所定内労働」で対応するようになり、時間外労働を行わずとも賃金が上昇する傾向が生まれ始めていると考えることができます。


【「一般労働者」と「パートタイム労働者」】

「毎月勤労統計」では、労働者全体を「一般労働者」と「パートタイム労働者」という分類でも分けています。

この分野を見ますと、全体で「一般労働者」が前年同月比で0.0%なのに対し、パートタイム労働者の前年同月比は-1.9%と大幅に減少しています。

「パートタイム労働者」で見てみますと、ボーナスは-7.2%。所定外労働が-8.5%と共にマイナス要因としては大きくなっているのですが、「所定内労働」だけで見てみましても、-1.7%と大幅に減少しており、一見すると「パートタイム労働者の扱いがひどくなっているのではないか」と考えることもできます。

ただ、「就業形態別」の労働時間を見てみますと、常用雇用者の前年比-0.5と比較して、パートタイム労働者の労働時間は-2.4と大幅に減少していることから、これまでパート労働者に頼っていた分野を常用雇用者が担うようになってきたと考えることができるのではないでしょうか。


勤労統計全体で見ると、「ボーナス払い」の影響こそあるものの、全体としては順調に給与所得は増加している、と考えることができるのではないでしょうか。



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<継承する記事>第176回 就業者数と完全失業者数の推移(平均給与が増えない理由)

前回までの記事では、国税庁によって発表された「1年を通じて働いた人の平均給与所得」が3年間連続で上昇しましたよ、というニュースを受けて、国税庁が公表した「2015年民間給与実体統計」の解析を行ってきました。

非常に前向きな、明るいニュースなのですが、同じニュースに「共産党フィルター」をかけるとこんなニュースに変化します。


【新聞赤旗より】
働く貧困 3年連続1100万人超 第2次安倍政権発足後に増加
 国税庁が28日発表した2015年分の民間給与実態統計調査によると、1年を通して働いても年収が200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)は1130万人と3年連続で1100万人を超えました。

 第2次安倍晋三政権が発足した12年末以降、貧困層が急増したことになります。とりわけ賃金水準が低い非正規雇用の増加が貧困層の増加に拍車をかけています。

 年間賃金の平均額は420万4000円と前年にくらべて5万4000円増加しました。男女別にみると男性が前年比6万1000円増の520万5000円だったのに対し、女性は同3万8000円増の276万円で男女格差は広がりました。

 雇用形態別にみると、正規雇用労働者が同7万2000円増の485万円に対し、非正規雇用は171万円と同8000円の増加にとどまり、正規と非正規の格差も広がりました。

絶句ですね。

こちらは同じ記事中に赤旗が掲載しているグラフです。

【年収200万円以下層の推移】
赤旗200万


安倍内閣に入って、「完全失業者」と「非労働力人口」を合わせると、3年間のトータルで224.2万人減少しています。(その分「就業者」の数が増えています。)

ですが、同じ情報を、赤旗で掲載している内容より抜粋すると、

「国税庁が28日発表した2015年分の民間給与実態統計調査によると、1年を通して働いても年収が200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)は1130万人と3年連続で1100万人を超えました。第2次安倍晋三政権が発足した12年末以降、貧困層が急増したことになります」

と記されています。
安倍内閣がスタートする前年、2012年の「ワーキングプア層(年収200万円以下層)」は1090万人です。

同じ項目が、2015年には1130.8万人となっており、このことを共産党は「ワーキングプアが急増した」と言っています。
40万人増えていますから、確かに「急増した」と言えないことはないかもしれません。

ですが同じ年、給与所得者全体の数は5646.3名で、2012年と比較して、実に224.2万人増えています。
述べ勘定にはなりますが、この224.2万人の人たちは皆2012年には「就業者」ではありませんでしたから、収入はゼロ円でした。(重複している部分はご勘弁を。)

増加率だけでいえば、ワーキングプアの増加率は2012年比で37.4%なのに比べて、ワーキングプア以外の増加率は42.3%と、ワーキングプアの増加率を上回っています。


次に、以下のグラフをご覧ください。

【ワーキングプアおよび給与所得者数の増減幅(2011年比)】
給与所得者数(2011年比)の推移

こちらは、先ほどの「年収200万以下層」の推移を、「給与所得者」全体の数と比較したものです。

(各年の給与所得者数)-(2011年給与所得者数)
という計算式の計算結果をグラフ化しています。

緑がワーキングプア数、青が給与所得者総数の推移です。
2012年、民主党内閣時代は給与所得者総数が減少する中で、ワーキングプアの数のみが上昇しています。

安倍内閣がスタートしたときは、逆に就業者数が一気に増加しました。2012年と比較すると、就業者数が113.3万人の増加。ワーキングプアは29.9万人の増加です。増加したワーキングプアの増加した就業者数に占める割合は26.3%。

民主党内閣当時、無職であった113.3万人が就業者となり、残念ながらその内29.9万人は年収200万以下の収入しか得られていませんが、それでも彼らは安倍内閣がスタートするまでは「収入ゼロ円」だったわけです。

翌年、「給与所得者」は全体で56.9万人増えており、安倍内閣に入って通算で170.2万人就業者は増加しています。
ワーキングプアも同様に増加し、安倍内閣に入って通算で49.2名増加したことになりますが、では、2013年に「ワーキングプア」であった人たちは、2014年も継続して「ワーキングプア」だったのでしょうか。

2014年に新しく「就業者」となった無職者たちは、全員が全員年収200万以上手にしたとは考えられません。
となれば、ワーキングプアの内何割かは年収200万円以上を手にすることとなり、入れ替わりでこれまで「無職者」であった人たちがワーキングプアとなった、と考える方が正確でしょう。

また更に、2015年には更に54万人増え、安倍内閣に入って通算で224.1万人増加しています。
ところが、ついに「ワーキングプア」の数は前年を下回り、8.4万人の減少に転じています。

2015年の時点で、安倍内閣に入って増加した「就業者」の内、「ワーキングプア」に該当する人たちは高々18.2%に過ぎないのです。就業者全体の数字にはまったく着目せず、「ワーキングプア」の数字のみに着目して、

「働く貧困 3年連続1100万人超 第2次安倍政権発足後に増加」

というタイトルを付ける当り、さすが共産党フィルターですね。

ちなみに、先ほどと同じグラフを「2012年比」で作成するとこんな感じになります。

【ワーキングプアおよび給与所得者数の増減幅(2011年比)】
の給与所得者数(2012年比)の推移

給与所得者数(2011年比)の推移

2011年のものと比較すると、随分印象が変わりますね。
2015年のデータを以て、今更「安倍内閣に入ってワーキングプアが急増した」などと、とても表現できる資料ではありません。

就業者が増えるとき、ワーキングプアを増やさず、年収200万円以上の給与所得者のみを急増させる方法があるのなら、ぜひ共産党のみなさんに教えていただきたいものですね。




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<継承する記事>第175回 2015年民間給与統計(国税庁Ver.)が発表/3年連続の増加②er.)が発表/3年連続の増加
今回の記事を作成する理由は、「年間平均給与所得がリーマンショック前を上回らない理由」を解析することにあります。

前回の記事 に於きまして、私の中にこの理由を推察するコンセプトが存在することをお示ししました。ただ、現時点でもまだ本当に私の思った通りの解析結果を出せるのかどうかはまだ未確認です。この記事を作成しながら追いかけてみたいと思います。

まあ、いつも同じやり方をしているのですが。
今回利用する資料は、下記データです。

【就業者数/完全失業者数の推移】
就業者数・完全失業者数推移
左軸が「就業者数」、右軸が「完全失業者数」です。単位は「万人」です。

用語のご説明をしておきますと、「就業者数」とは読んで字のごとく、「就業している人」の数です。
その調査期間中、通年で働いた人の数です。

一方「完全失業者数」とは、対象期間中「労働する意欲」はあったけれども働けなかった人。
ハローワークに登録して求職活動を行っていたけれども結局就職できなかった人の数です。

この二つの数字を合わせて「労働力人口」といいます。
一方で、例えば学生であるとか、家事に専念している、などの理由で求職活動を行っていない人たちのことを「非労働力人口」といいます。

「非労働力人口」の中には、例えば定年で退職した人の他、例えば病気で働くことができない人、そもそも労働する意欲がなくて求職活動を行っていない人、又は本来であれば労働する意欲があるのに、求職活動を行うことをあきらめている人、なども含まれています。

それでは、先ほどのグラフに戻ります。

【再掲】
就業者数・完全失業者数推移

こちらには、「就業者数」と「完全失業者」、つまり「労働力人口」のみを掲載しています。
左軸が「就業者数」、右軸が「完全失業者数」です。単位は「万人」です。

考え方としては、仮に「労働力人口」に変化がない、と考えると、「完全失業者数」が減った分だけ「就労者数」が増えますし、「就労者数」が減った分だけ「完全失業者数」が増えることになります。

このグラフだと少しわかりにくいと思いますので、以下のようなグラフを用意しました。

【就業者数/完全失業者数 増減幅の推移】
就業者数・完全失業者数増減幅推移

ここに、前回の記事でお示しした「平均給与所得」のグラフも合わせて掲載してみます。

【平均給与所得の推移】

2015年国税庁平均給与推移

2005年~2007年にかけてのデータを見てみますと、完全失業者数の減少幅はほぼ一定なのに、就業者数は完全失業者数を上回るペースで増えていますね。2005人ですと8万人、2006年が14万人、2007年は20万人合計数=労働力人口が増えています。

つまり、これまで求職活動すら行ってきていなかった人が、3年間で合計32万人就業者になったということです。
例えば2005年の平均給与は438.6万円です。

これは「平均」ですから、2006年の就業者の年間平均給与-438.6万円がプラスになる人よりもマイナスになる人の数が多ければどうしても平均給与は下落します。2006年に増加した就業者の数は33万人で、往々にして増加した就業者の平均賃金は前年の平均賃金を下回っていますから、結果的に2006年の平均賃金を引き下げることになります。

ところが、これが2007年になりますと、就業者そのものも2006年を上回る38万人増加しているにも関わらず、平均給与は2006年を上回っています。これをどうとらえるのかは難しい処ですが、それだけ景気が良かった、と考えるべきなのかもしれません。

ところがその翌年。2008年になると、就業者と完全失業者のプラスマイナスが逆転します。リーマンショックの起きた年です。
平均給与所得も下落していますね。失業者が増え、就業者が減ったということですが、就業者の下落幅は完全失業者の上昇幅を上回っています。

考えられるのは、「定年退職者」の存在。リーマンショックを契機に、一気に解雇されたのかもしれません。
平均給与所得を引き上げる立場にあった人たちが一斉に職を失ったわけですから、一気に平均給与所得を引き下げてしまいます。

その翌年はさらに顕著です。95万人の人が職を失い、71万人の人が完全失業者となります。
その差が21万人。21万人の人は、求職者ですらなくなったということですね。生活保護受給者なども大幅に増加したのではないでしょうか。

言及を強いられた人も多いでしょうし、「雇用調整助成金」などを使った企業もあるでしょうから、そのような人たちは前年度標準課税月額の対象となる給与の66.6%にまで減給されることになります。

この後の3年間は「就業者」と「完全失業者」の数がともにマイナスを記録しています。
「完全失業者」の数が増えるということは、給与所得ゼロの人が増えていることを意味していますし、労働力人口から非労働力人口へと移行する人の数が増えるということもまた給与所得ゼロの人を増やしていることを意味しています。

平均給与所得もこの間減少し続けていますね?

リーマンショックと民主党政権の無策のおかげで、下落し続けた平均給与所得がベースとなって安倍内閣はスタートしました。
団塊の世代が定年を迎え始めた(65歳になり始めた)のがちょうど2013年。安倍内閣がスタートした年です。

定年退職者が最も増加したであろう年に、安倍内閣は年間で約8万円平均給与所得を上昇させました。
しかもこれまで無職であった人たちが、一気に40万人も就業者となったその年に、です。

前述しましたが、無職者が就業者となった年は、往々にして前年の平均給与所得を下回る所得しか受け取ることはできません。
つまり、就業者となった無職者たちは、平均給与所得を引き下げる要因でしかないのです。

平均給与所得を増加させる最も手っ取り早い方法は、無職者の数のみを減らし、就業者数を安定させることです。
その典型的な事例が2015年のデータです。

過去10年間の中で、特に景気が良かったはずの2005年~2007年と比較して、完全失業者の減少幅も、就業者数の上昇幅もともに最も狭くなっていますが、「平均給与所得」の上昇幅は14.6万円と、過去10年間で最も大きくなっています。

完全失業者少なければ、本来就業者数の上昇幅も狭くなるはずです。
完全失業者の減少幅が狭いにも関わらず、就業者の上昇幅のみが大きくなる社会とは、「働けるのに働こうとしない人」が多く存在することを意味しています。

さあ。「完全失業者」の数も安定し始め、就業者数も落ち着いてきたわけですから、これからは「既存の就業者の平均給与所得」の上昇に専念できますね。

というより、必然的にそうなるはずです。「安倍内閣において、平均給与所得はいまだにリーマンショック以前の水準に戻っていない」とわめく人もいるかもしれません。

ですが、そういう人たちに限って「高給取り」をディスります。例えば、「日本共産党」の様に。

【次回テーマ】
次回記事では、前回、前々回、そして今回とテーマにした「国税庁データ『平均給与所得』」について、『共産党フィルター』をかけてみるとどうなるのか、ということを記事にしてみたいと思います。



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<継承する記事>第174回 2015年民間給与統計(国税庁Ver.)が発表/3年連続の増加①
それでは、改めまして2015年民間給与実態統計の調査結果についてご説明いたします。

【給与所得者数の推移(国税庁データより)】
2015年国税庁給与所得者数推移

こちらは国税庁が集計した「給与所得者数」の推移です。
あくまでも「年度」ではなく「暦年」ベースですが、見ての通りの右肩上がり。

安倍内閣が誕生した2013年に2%増加して以降、2年連続で1%の増加です。

ちなみに同じ資料で、「1年を通じて働いた給与所得者」の推移を示したデータもあります。
グラフ化はしませんが、2013年前年同月比2.0%、2014年2.4%、2015年0.8%増となっています。

伸び率が少し落ち着いてきているのは気にかかるところです。
ちなみに「非正規」は2013年5.3%増、14年4.9%増、15年3.0%増高い前年比で増加している一方でその伸び率そのものには減少傾向がみられる中で、正規は13年1.5%、14年1.6%、15年1.2%増と比較的あんていした伸び率を示しています。

しかし、15年。正規1.2、非正規3.0と上昇しているのに、なぜか給与所得者全体では0.8%しか増えてないことになっていますね。
つまり、「正規」でも「非正規」でもない人たちが減っているということ・・・どのような位置づけなのでしょうか。疑問です。


【給与総額の推移】
2015年国税庁給与総額推移

こちらは「給与総額」の推移。つまり、企業全体が「給与」として、合計でいくら支出を行ったのか、という数字です。
過去に同様の情報を掲載したと思いますが、安倍内閣2年目、2014年の時点でリーマンショック以前の数字を超えています。

消費増税が行われ、「消費が減退した」はずなのですが。消費が増えていないのに、企業間取引だけでここまで国民に給与を支払えるほど経済を成長させることができた、とでもいうでしょうか。

2015年は、さらにその2014年の数字を上回っていますね。
伸び率でいえば2013年、安倍内閣が誕生した直後が4.8%。2014年が1.4%、2015年が0.8%。

民主党内閣当時の数字があまりにも低すぎましたので、2103年の上昇幅が大きいのは当たり前なのですが、2015年の数字。もう少し頑張ってもらいたいところです。

但し、こちらを先ほどと同様に「年間を通じて働いた人」に対して支払われた給与として考えると少し違った様子が見えてきます。

年間を通じて働いた人に対して支払われた給与の総額を見ると、2013年3.4%、2014年2.7%、2015年2.1%となっています。
確かに伸び率の幅こそ減少していますが、実に毎年2%を超える上昇は場を記録しています。

これを正規・非正規で見ますと、非正規が2013年5.2%、2014年6.0%、2015年3.5%と、特に2015年の伸び率の幅が縮小しているのに対して、正規は2013年2.5%、2014年2.7%、と安倍内閣に入って以来、連続で上昇し続けています。

ちなみに安倍内閣以前のデータはそもそも「正規」「非正規」の区分そのものが行われていません。
民主党の皆さんは安倍内閣の「非正規労働者」について必死に攻撃していますが、彼らが政権についていた当時はその集計そのものを行っていなかったとか・・・。

ただ、誤解なきように言っておきますと、厚労省データとしては「4半期別」データとしては存在します。
飽くまで「5名以上の事業所」の「常用雇用者」に限定したデータにすぎませんけどね。


【1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与所得の推移】
2015年国税庁平均給与推移

ということで、こちらがタイトルにもなっている「平均民間給与所得」の推移を示したグラフです。
国税庁データは、飽くまで年に1度だけ更新されるデータですので、平均給与所得は延べではなく「年間を通じて働いた労働者」の給与に限定されたものが示されています。

このあたりは逆に厚労省データの方がより現実を反映できていると考えられないこともありません。
月別のデータですからね。

ただ、国民の生活そのもののことを考えると、1か月1か月がどうかということより、やはり年間を通じて安定して所得を得られていいるか、ということの方が大切でしょうから、国税庁データを使って考えることに意味はあると思います。

私は速報性はないものの、現実をリアルに反映できているという点で国税庁データの方が好みです。

話が逸れました。この「平均給与」。ここだけは未だにリーマン以前の水準を上回ることができていませんね。
確かに2013年、2014年、2015年と3年連続で平均給与は上昇しており、特に2015年は26年の0.3%を大幅に上回る1.3%の上昇を果たしているわけですが、それでもリーマン前と比べると・・・とても悲しい有様ですね。

ですが、これにもきちんとした「理由」があります。
過去の記事を読んでくださっている方にはすでに想像はついていると思いますが。

勿論、私はこのことを証明するために現時点でのデータを具に把握しているわけではありませんので、ひょっとすると私の推測は間違っているかもしれませんが・・・。

【次回テーマ】
次回記事に於きましては、国税庁ベースの「平均給与」が伸び悩み、未だにリーマン前の水準をしたまっわっているという理由につきまして、私の頭の中にある創造とリアルなデータが果たして同じ結果を指し示すのか。

このことを証明できるデータをお示ししたいと思います。



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先日、2016年9月28日、国税庁より「民間給与実態統計調査」結果が発表されました。

民間給与実態統計調査

第43回の記事でご案内したことがあるのですが、日本国政府が公表している「賃金」に関するデータは、「厚生労働省」によって示されるものと、「国税庁」によって示される2種類のデータがあります。

厚労省が出しているデータは「毎月勤労統計調査」、国税庁から出されているデータが「民間給与実態調査」となります。

「違い」という意味でいえば、厚労省データが対象としているのはじ「常用労働者5人以上」の事業所のみであるのに対して、国税庁データは「従業員一人以上」の事業所を対象としています。

共にサンプルデータです。
厚労省は、対象企業に以下のような調査票を配って毎月調査を行っています。

【厚労省毎月労働統計調査票】
毎月勤労統計調査票

一方で国税庁は、こんな感じ。

【国税庁民間給与実態統計調査票】
国税庁 給与実態統計調査票

こちらを、厚労省は「5人以上の企業」と「3人以上の企業」で様式を分け、国税庁は「源泉徴収者」と「給与所得者」に分けて調査しています。

厚労省が「全労働者人数」をカテゴリー化の対象としているのに対して、国税庁は「資産の規模」をカテゴリー化の対象としていますね。
また厚労省が「常用労働者」のみの人数を聞いているのに対し、国税庁は労働者の区別をせず、「給与所得者」の数を聞いていますね。

厚労省が「パートタイム労働者」の数を聞いているのに、国税庁では聞いていなかったりと、いくつかの違いはあるものの、調査方法はよく似た調査方法を取っています。

当然サンプル対象も異なりますので、双方のデータには「サンプルバイアス」も発生します。

ただ、それでもどちらのデータがあてになるのかというと、従業員数5名以上の企業の、しかも常用労働者の数しか調査を行っていない厚労省データよりも、従業員の労働形態を区別せず、全労働者に対する調査を行っている国税庁データの方が参考になる、と思います。

厚労省データはその速報性が、国税庁データはその正確性がそれぞれのデータの「魅力」なんでしょうね。

次回記事では、改めまして今回国税庁より公表されたデータの詳細について分析を行いたいと思います。



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私の記事の中でアクセス数の多い記事は、日本国債に関連した情報 と 実質賃金と名目賃金に関連した情報 の二つです。

2015年通年の資料については掲載したのですが、昨日2016年7月次データが発表されたこともあり、時期がすでに半年以上経過していますので、最新のデータについても掲載したいと思います。

賃金


【本日のテーマ】
ということで、本日のテーマはタイトルの通り、「名目賃金と実質賃金2016年7月速報」について。

実質賃金6カ月連続プラス 7月、2.0%増 (9/5 日経新聞)

今回はこちらのニュースをベースに記事を進めてみたいと思います。

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<前回の記事 第86回 本当のアベノミクス

例によってまだまとまった時間が取れていませんので、今回も記事の作りやすい経済関係の情報で記事を作ります。

私のブログで、最もよく閲覧されている記事は、こちらの記事。
第42回 実質賃金と名目賃金④~続実質賃金の正体~

キーワードは「名目賃金 実質賃金」、「実質賃金の推移」「名目賃金の推移」「実質賃金指数」などのキーワードから訪問していただいています。

ただ、内容としては第43回の記事の方が参考にはなるのですが、どうも「実質賃金」についての説得力がいまいちだな・・・と考えているわけです。

例えばこんな記事

実質賃金0.9%減 15年、物価上昇に賃上げ追いつかず

を呼んだ人が私のブログを読んだときに、「なるほど、実質賃金には統計のマジックがあって正確な経済状況を反映できていないんだな」と思っていただけるかというと、どうもそこまでの自信はございません。

ですので、今回の記事は「実質賃金」というテーマに対するリベンジを行うことが目的です。

賃金指数推移(2015)


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