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先日、本年度第一四半期のGDPの一時速報が発表されましたので、本日はこの内容について記事にしてみたいと思います。

いつもGDPが速報がなされる時にはあちら側界隈の皆さんが大騒ぎしているのですが、どうも今回はその雰囲気がありません。まるで発表がなされなかったかのように、本当に静かなまま一日が過ぎていきました。

理由はただ一つ。公表された結果が好調だったからです。

【日本経済新聞 2019/08/9より】
GDP1.8%増、消費堅調で想定外の伸び 4~6月年率

内閣府が9日発表した2019年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.4%増、年率換算では1.8%増だった。プラス成長は3四半期連続。改元に伴う大型連休で個人消費が伸びたほか、設備投資も増えた。米中貿易摩擦の影響で輸出は停滞が続いたが、内需が経済を下支えした。

4~6月期は大型連休や天候による消費押し上げ効果が大きかった。QUICKがまとめた民間エコノミストによる事前予測の中心値(前期比年率0.4%増)を大きく上回った。

GDPの半分以上を占める個人消費は前期比0.6%増で、3四半期連続のプラスとなった。4月末から5月にかけての10連休で、旅行などレジャー関連の消費が盛り上がった。新型車の発売が相次いだ自動車の販売も好調だった。5~6月に気温が高めに推移したことで、エアコンが早めに売れ出したこともプラスに働いた。

内需のもう一つの柱である設備投資は1.5%増えた。建設関連の需要が強く、1~3月期の0.4%増から上昇幅が拡大した。サービス業を中心に人手不足に伴う省力化投資も引き続き活発だ。

公共投資は1.0%の増加。18年度の補正予算が執行段階に入り、伸びにつながった。GDPの伸びに対する内需の寄与度は全体で0.7ポイントのプラスだった。

外需は中国や欧州など海外経済の減速で弱い動きが続いた。輸出は0.1%減で、2四半期連続のマイナスだった。米中の貿易摩擦などから海外での需要が減速し、半導体製造装置や金属加工機械などの中国向け輸出が落ち込んだ。

輸入は1.6%増で、2四半期ぶりに増加したが、1~3月期(4.3%減)からの戻りは鈍い。輸出から輸入を差し引く外需のGDPへの寄与度は0.3ポイントのマイナスだった。海外経済の不透明感の高まりから、貿易活動が全体に縮小している可能性がある。

4~6月期のGDPは生活実感に近い名目でみると前期比0.4%増。年率換算では1.7%増だった。4~6月期は物価が伸びず、名目の成長率が実質をわずかに下回った。

日本経済は2018年7~9月期に自然災害が相次ぎ、マイナス成長に転落。続く10~12月期には、堅調な個人消費を支えにプラス成長に戻った。19年1~3月期は中国経済減速の影響で輸出や生産が減少した。ただ、輸入が輸出を上回って急減したため、計算上はGDPを押し上げ、年率2.8%の高い成長率となっていた。

今回の日経記事には、1か所だけ評価したい部分がございまして、それが次の画像です。

日経2019第一四半期

いつも掲載していますように、私はそもそも「年率換算」などといったフィクションの数字など全くあてにならないと思っていますし、「前期比」という数字は「季節調整」というその計算方法すら説明することが難しいような計算式が用いられていますので、その信憑性は非常に薄いと思っています。

上記画像はまさしく私が日頃痛烈に批判しています、その「季節調整」が行われた数字と、加えてGDP全体に関してのみ「年率換算」が行われた数字も掲載されています。

ですが、私がそれでも「評価したい」とする理由は、この表を見れば「実質」と「名目」をきちんと比較することができるからです。

季節調整列と前期比の数値としての信憑性はさておき、「年率換算」をクローズアップせず、「前期比」まででとどめていることももう一つ評価できる点です。年率換算なんて完全にフィクションの数字ですから、これを経済指標として用いることなど頭がおかしいとしか思えませんからね。

またもう一つ、4-6の第一四半期だけでなく、比較された昨年度の第4四半期の増減率も掲載されていますので、どのくらい成長したのかという事がよりわかりやすい表現にはなっていると思います。

記事全体も「年率換算」などというトンデモ数字で語ることはなく、「前期比」までできちん留めていまして、計算式によって生まれるバイアスが、より小さくとどまる様になっています。


GDP速報が全く騒がれなかった訳

さて。今回のGDP速報、マスコミ報道等で全く騒がれなかったわけですが、なぜ誰も騒がなかったのか。

理由は、マスコミがやけにクローズアップしています、「季節調整系列」「年率換算」「前期比」で、特に「個人消費」に該当する値があまりにも好調だったから。

例えば「民間最終消費支出」全体で前期比2.5%増。「家計最終消費支出」で2.5%。ここからさらなるフィクションの数字である「持家の帰属家賃」を取り除くとなんと2.7%増。

もちろん、このような数字が算出されたのは今回が初めてではないのですが、消費低迷を謳いたいマスコミやあちら側の人たちとしては歯ぎしりしたくなるほどの消費の好調さを示す数字がこれでもかというほどに並んでいるわけです。米中貿易摩擦、日韓関係悪化などで、どうしても消費は低迷していてほしかったわけですからね。

いい加減気づけばいいのに、と思います。「年率換算」や「前期比」の異常さに。


2019年度GDP第1四半期1次速報「前年同月比」

という事で、ここからは私の視点で「GDP統計」を見ていきます。

【2019年度GDP第一四半期第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 138.357 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出 76.125 兆円(1.5%)
 家計最終消費支出 74.071 兆円(1.4%)
  除く持家の帰属家賃  61.537 兆円(1.6%)

 民間住宅  4.051 兆円(3.7%)
 民間企業設備 21.099 兆円(2.8%)

実質GDP
全体  132.460 兆円(1.2%)

 民間最終消費支出 74.448 兆円(1.0%)
 家計最終消費支出 72.480 兆円(1.0%)
  除く持家の帰属家賃  58.920 兆円(0.9%)

 民間住宅 3.702 兆円(2.9%)
 民間企業設備  20.477 兆円(2.4%)

内閣府


私が大切にしているのは「実質」よりも「名目」。「季節調整年率換算」よりも「原系列」。「前期比」よりも「前年同月比」。

なぜかと申しますと、すべての項目で前者よりも後者の方が計算式によって生まれるバイアスが少ないから。ゼロとは言いませんけどね。

計算式が少ない分、より実態に近い統計結果となっているんです。

それでも「実質」の情報を掲載しているのは、あくまでも参考のため。両方の伸び率を差し引くことで「物価上昇率」を算出することができますから。

その視点で申しますと、物価上昇率は

全体 0.4%

 民間最終消費支出 0.5%
 家計最終消費支出 0.4%
  除く持家の帰属家賃  0.6%

 民間住宅  0.8%
 民間企業設備 0.4%

となります。

政府が目指している物価上昇率は2%ですから、それを考えると「物価の伸び悩み」となるのかもしれません。

ただ、個人的には名目がきちんと成長しているのであれば、そこまで物価上昇率にこだわる必要はないと思います。

特に、「民間住宅」では名目が3.7%も成長しているんですから。物価が上昇していないんだから経済が~~という理屈にはならないと思います。国民がそれだけお金を使っているわけですからね。

日経の記事の中で、悔しさが感じられるのは文末の

日本経済は2018年7~9月期に自然災害が相次ぎ、マイナス成長に転落。続く10~12月期には、堅調な個人消費を支えにプラス成長に戻った。19年1~3月期は中国経済減速の影響で輸出や生産が減少した。ただ、輸入が輸出を上回って急減したため、計算上はGDPを押し上げ、年率2.8%の高い成長率となっていた。

どうしても日本国経済が不調であることにしたいんでしょうか?

わざわざ昨期の統計まで持ち出して日本国経済をディスっていますね。

ですが、まず「日本経済は2018年7~9月期に自然災害が相次ぎ、マイナス成長に転落」と記しています。

ですが、名目の「原系列」で見てみますと、確かに2018年7-9月の全体のGDPは-0.3%と前年度割れしていますが、内需でマイナスを記録しているのは「民間住宅」のみ。家計消費は1.4%、企業の設備投資は2.1%の前年度越えです。

7-9月のGDPが昨年度を割り込んだ理由は7-9月期の「純輸出高(輸出高-輸入高)」が前値年度を大きく下回ったから。自然災害が相次いだことは、全く関係ありません。

また、「続く10~12月期には、堅調な個人消費を支えにプラス成長に戻った」とありますが、これも誤りで10-12月の名目GDP原系列は横ばい。わずかながらマイナス成長で、しかも「個人消費」の成長率は7-9月期を下回っています。最大の理由は「純輸出高」が前年度を下回り、むしろマイナス成長していることが理由です。

また、「19年1~3月期は中国経済減速の影響で輸出や生産が減少した。ただ、輸入が輸出を上回って急減したため、計算上はGDPを押し上げ、年率2.8%の高い成長率となっていた」ともありますが、実は下落幅は輸入を輸出が大きく上回っており、これも日経の記事は全く逆の情報を記事としてあげています。

また更に、19年1~3月期は個人消費が0.8%増、企業の設備投資費に至っては3.4%増ですから、いかに日経の記事が的外れな内容となっているのかという事がとてもよくわかります。

今回、「前期比」という統計のバイアスがより多くかかるデータとは言え、「実質」と「名目」をきちんと比較できる形にし、更に昨期の情報まで比較できる形で情報を掲載したことは評価できますが、これほどに的外れな内容となっていることは、やはり私としては理解しかねる問題です。

「前期比」よりも「前年同月比」に着目し、きちんとした記事を作成してくれる新聞社が登場することを、私は願ってやみません。




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<継承する記事>第480回 年金に対する私の認識の誤りを「厚生年金勘定」から検証


第477回 改めて分析する基礎年金勘定~誤っていた私の分析結果~
第478回 年金制度に対する私の誤った分析結果を再検証します
第479回 年金に対する私の認識の誤りを「基礎年金勘定」から検証
第480回 年金に対する私の認識の誤りを「厚生年金勘定」から検証

上記4つの記事に続く第5弾目の記事です。

きっかけとなったのは第477回の記事 でお伝えしました通り、私が正しいと信じていた従来の「年金制度の仕組み」が誤っていたという事。

内容は重複しますのでここには記しませんが、その誤り方。どのように誤っていたのか。ではそれを検証したうえで、それでも年金制度は破綻しないと言い切れるのか。この点を検証しようと思いまして、今回のシリーズを作成しています。

一番大きなポイントとしては、国民年金勘定や厚生年金勘定に繰り入れられることなく、「基礎年金勘定」のみで運用されている「基礎年金」が存在したという事。

この部分が仮に国民年金勘定や厚生年金勘定に繰り入れられていたとしたら収支状況はどのようになっていたのかを示したグラフが次の二つ。

国民年金収支(基礎年金勘定分を含む)
厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

国民年金勘定については、2009年まで赤字でしたが、それ以降は黒字になっています。
厚生年金勘定については、赤字幅が狭まってこそいるものの、収支全体としては赤字です。

最新、2017年の収支状況で5.12兆円の赤字です。

ただし、このデータは私の独自の計算方法を用いて作成したものであり、厚生年金勘定については特に本来国民年金勘定に振り分けられるべきものも含まれていることから、データとしては必ずしも正確なものではないことをもお伝えしました。

また次に、「厚生年金勘定」の内、ここから基礎年金部分を全額取り除き、「厚生年金部分」のみをピックアップしてその推移を示したのが次のグラフ。

厚生年金部分収支推移

支出がほぼ増加しておらず、収入のみが増加しているため、収支差額こそ狭まっていますが、最新の2017年の段階でさえ0.54兆円の赤字。一貫して収支差額は赤字であったことがわかります。

ただし、私が作成したグラフとしては、

・「基礎年金部分から繰り入れ」られている部分がその年に亡くなる人の数までは考慮されておらず、「収入」から多めにマイナスされている事
・厚生年金加入者(納付者)の数が期首より期末の方が増えている事
・厚生年金納付者(納付企業)の中にも「未納者」は存在する事。

主にこの3つの理由が加味されていませんので、必ずしも正確な結果を現したものではありません。ですので、このグラフだけを以て、(現時点において)厚生年金部分収支が本当に赤字なのかどうか。これを断言するのは少し急ぎすぎかと思います。

今回の記事では、これらの前提条件を下に、今度は各年金勘定における「年金積立金」の推移を検証することで、では本当に年金会計は全体として危険な状態にあるのかどうか。その部分を検証してみたいと思います。


基礎年金勘定「積立金」から見る年金の財政状況

この部分に関しては第479回の記事 におきまして、記事としては既に取り上げていますね。

基礎年金勘定積立金+剰余金推移

こちらが基礎年金勘定の「積立金」の推移です。

「積立金+余剰金」としているのは、積立金にはその年度末時点での金額であり、その年に発生した「余剰金」は含まれていません。ですので、その年の「余剰金」と「積立金」を加えることで、翌年度の期首(4月時点)での各年金会計の正確な余剰資金を算出することができます。この事が理由です。

2011年までは順調に増加していた基礎年金勘定の「積立金」が翌12年、更に13年と減少しているその理由として、第479回の記事 におきまして、「基礎年金の国庫負担分」の引き上げのための財源を民主党内閣で震災復興のための予算として流用してしまったからだとお伝えしたと思います。

基礎年金勘定収支推移

こちらがその時にお示しした基礎年金勘定全体の収支状況です。今更ですが、私の年金に関する資料は、基本的に収入は「保険料収入」及び「国庫負担分」、支出は「保険料給付費」のみしか計算に加えていません。

年金収支にはそれ以外の項目もあるのですが、それを入れてしまうと焦点がぼやけてしまい、本当に「年金のシステム」だけでクロが出ているのか、もしくは赤字なのかという部分が見えてきにくいと思いますので、そのような方法をとっています。

ただし、「年金積立金」に関してだけはそのような算出方法が難しいので、すべての項目の収支が合算された結果の数字となっております。

基礎年金勘定の収支を見てみますと、12年、13年の収入が少なくなっていることがわかるともいます。ですので、この不足分が「積立金」をより繰り入れられたものと考えられます。

ただし、その上で更に2016年度、2017年度の基礎年金勘定の収支を見てみますと、2016年で296.87億円、2017年で1105.34億円それぞれ赤字出していて、基礎年金勘定積立金においてもその分マイナスが出ています。

単純に考えますと、基礎年金勘定ではその年に「納付される」ことが予測される金額が全額国民年金及び厚生年金勘定より繰り入れられています。

その年に亡くなった方へは給付がなされませんので、その分「基礎年金勘定」では資金が余ることになるはずなのですが、それでも尚積立金を削らざるを得ない状況であった、という事でしょうか?

2017年度は10月より年金の受給に必要な納付機関が25年から10年に短縮されましたので、これに伴う歳出の増加も原因として考えられますが、2016年に関してはそれでは説明が付きません。

制度として、基礎年金勘定で運用されているのは「昭和61年以降に受給者となった人」のみです。最も高齢の方で92歳を過ぎたあたりでしょうか?

厚生労働省が公表している最新の「簡易生命表」によりますと、男性の25%、女性の50%程度が90歳までは生きているのだそうです。

簡易生命表

その割合も年々増えているようですので、この辺りが想定を超えてきたのでしょうか?

これが「基礎年金勘定」の積立金を見た時点での、現時点での私の「予測」です。


国民年金勘定「積立金」から見る年金の財政状況

気を付けていただきたいのは、ここは「未納者」が多い項目で、その分余計に「年金積立金」から切り崩されて運用されている項目だという事です。

国民年金積立金+剰余金推移

動きとしますと、「基礎年金勘定」の積立金の推移とよく似た動き方をしていますね。

ただし、リーマンショックが起きた2008年と、その翌年の2009年を見ますと、順調に積立金が増えていた基礎年金部分とは異なる動きがみられます。

これは、リーマンショックに関連した動向で、「失業者」が増えた事。この事で年金を支払う事の出来ない「未納者」が一気に増えたのではないかと予測されます。

加えて2012年、2013年の落ち込み方も同様ですね。ここもおそらくは国庫負担増加に伴う財源を民主党内閣で年金ではなく震災復興のために使ってしまったことが一つの原因と考えられます。

ただ、震災に伴って失業者が増加し、同時に「未納者」が増えた事もその理由として考えられると思います。

もう一つ、「国民年金加入者」は毎年減少していて、国民年金勘定での「収入」は未納者の増減に関わらず減少していると考えられますので、安倍内閣以降の伸び悩みの理由の一つとして考えられなくはないかと思います。

ただし、「基礎年金勘定」の動向とも一致が見られることから、それ以外になにがしかの理由が考えられるのではないか、とも思います。


厚生年金勘定「積立金」から見る年金の財政状況

さて。回りくどく記事を書いてきましたが、実は私の中である一定の「結論」は出ています。

それが示されているのがこの「厚生年金勘定」における積立金の推移から見えてきます。

厚生年金積立金+剰余金推移

本心とすれば、実は2007年以前のデータも欲しいなと思っています。ただ、今の仕事の都合上、中々まとまった時間が取れませんので、現時点でわかっているデータから検証を進めていきます。

いかがでしょうか? このグラフを見ますと、安倍内閣以前と安倍内閣以後の「動向」が非常にわかりやすく見えてきませんか?

「厚生年金勘定」での積立金の推移を見てみますと、2013年を谷として、それ以前とそれ以後で明らかに動向が異なりますね。

2013年までは積立金が切り崩されており、2014年以降は逆に積み足されていることがわかります。

もう一度こちらのグラフをご覧ください。

厚生年金部分収支推移

こちらは厚生年金勘定の内、「厚生年金部分」の推移を示したグラフです。少なくとも見かけ上は「赤字」でしたね?
もちろん、「厚生年金積立金+剰余金推移」のグラフにはこの「厚生年金部分」のデータも含まれています。

では、先ほどの「厚生年金積立金+剰余金推移」のグラフから、「厚生年金部分」を取り除いてみるとどのようになるでしょうか。

厚生年金積立金(厚生年金部分を除く)

これが、「厚生年金積立金」から「厚生年金部分収支」を取り除いた「厚生年金積立金」の推移です。

ややこしいと思われるかもしれませんが、厚生年金全体の「積立金」から、「基礎年金部分以外の厚生年金保険料(+国庫負担分)」を加え、更に「厚生年金部分の給付費」をマイナスしたデータです。

つまり、もし年金制度が「基礎年金部分」だけで運用されていて、厚生年金会計における「2階部分」がなかったとしたら厚生年金勘定はプラスになるのか、マイナスになるのかというデータです。

ご覧の通り、厚生年金会計全体の収支同様基礎年金部分だけの収支も2013年以降プラスで推移していることがわかります。つまり、「厚生年金部分(二階部分)」では確かに年金会計は赤字かもしれませんが、それを差し引いても「厚生年金会計」全体では安倍内閣以降の収支はプラスだってことです。

こんなことを言うと、「厚生年金だけでいえば確かにそうかもしれないけど、年金会計全体ではどうせ赤字なんでしょ?」

という人もいるかもしれません。では、最後に「年金会計」全体の積立金の収支を見てみましょう。


年金勘定「積立金」全体から見る年金の財政状況

年金積立金+剰余金総額推移

いかがでしょうか? 厚生年金勘定の動きと同様、2013年まで減少し、それ以降は増加に転じていることがわかりますね?

年金積立金総額(厚生年金部分を除く)

こちらは年金積立金総額から「厚生年金部分」を取り除いた動きです。

いうまでもありませんが、当然「年金積立金総額」と全く同じ動きを見せています。

ちなみに、私が示している「年金積立金」にはGPIFによって運用された「運用益」は含まれていません。

最新の2017年のデータで、GPIFの運用を含まない積立金の総額は基礎年金部分まで含めて総額で122兆円ですが、GPIFの運用益をふくめると164兆円です(基礎年金部分は含みません)から、その違いは明らかですね。

ちなみに、安倍内閣がスタートした2013年の私ベースの年金積立金は108.56兆円。最新の2017年が正確には121.77兆円ですから、GPIFの運用に頼らずとも安倍内閣では年金制度全体で12.9兆円の「運用益」を増やしているってことです。GPIFではこれに加えて更に43兆円の利益が生まれているという事です。

5回に渡りまして、非常に回りくどい記事を作成しましたが、これが「結論」です。

もちろん将来にわたって確実に破綻しないかのような私の言い方は決して正しかったとは言えません。これは本当にお詫びしなければならない部分だと思います。

今回の調査で、「第二号被保険者」を増やし、年金会計を安定させていくことがいかに大切な事なのかという事がとてもよくわかりました。そのことは、私の記事にコメントをいただいた さの 様のおっしゃる通りです。

改めまして、私のこれまでの記事を信頼し、ひょっとすると情報ソースとしてご利用いただいたのではないかと思われる皆様に心よりお詫びを申し上げます。

結論としましては、現在の年金の運用方法に従って丁寧に運用していけば、年金制度は決して破綻を過度恐れる必要はないシステムだという事がわかりました。ただし、条件として「第二号被保険者」の数を増やしていくこと。そして安定させていくことが最低条件です。

改めて現在の安倍内閣の政策がいかに正しい政策を実行しているのかという事も実感させられています。

今後、新らしい記事を作成しながら、並行してという事にはなりますが、私の過去の年金に関連した記事で必要な部分を随時修正していきたいと思います。

今後とも、私のブログをどうぞ、よろしくお願いいたします。




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<継承する記事>第479回 年金に対する私の認識の誤りを「基礎年金勘定」から検証

第477回 改めて分析する基礎年金勘定~誤っていた私の分析結果~
第478回 年金制度に対する私の誤った分析結果を再検証します
第479回 年金に対する私の認識の誤りを「基礎年金勘定」から検証

の3つの記事に引き続き、私の年金制度に対する認識の誤りを検証し、また更にではどのように誤っていたのか、終局的な目的として、年金は本当に破綻しないと言い切れるのか。この事を目的とした記事としては第4段目。

今回は「厚生年金勘定」を分析することによって、年金の収支を測定する上での「ノイズ」を一つ取り除いてみたいと思います。

前回の記事では『次回以降記事では他会計の「積立金」も含めて、全体で年金収支の検証を行ってみます。』と記したのですが、もう一つ前置きとして今回の記事を作成しています。


「厚生年金勘定」のノイズ

「国民年金勘定」も「基礎年金勘定」も共に年金制度の1階部分。
年金制度2

上図でいう「国民年金(基礎年金)」部分の会計収支のみを現したものですが、「厚生年金勘定」では、この所謂「1階部分」に加えて「厚生年金部分」。つまり「二階部分」が含まれる特殊な年金勘定です。

厚生年金勘定がそもそも黒字なのか、赤字なのか。この事をきちんと算出するために、まずはこの厚生年金勘定の「ノイズ」である「厚生年金部分」に集中して記事を作成してみます。

厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

参考資料としてまずは厚生年金の「保険料」と「給付費」を私独自の計算方法を用いて比較した資料。上表をご覧ください。

この資料で見る限り、厚生年金を「基礎年金勘定+厚生年金部分」で合算して考えると、厚生年金勘定は「赤字」なのではないかとする推測が容易に成り立ちます。

ただし、このグラフの内、「基礎年金部分」に関しては、厚生年金受給者の内に、「国民年金のみを収めていた期間が含まれる受給者」も含まれていますので、単純にこれを「赤字である」と決めつけるわけにもいきません。

ですが、これを「厚生年金部分」に絞れば、ここには重複する受給者は含まれませんから、純粋に厚生年金収支における「厚生年金部分」が赤字であるか、黒字であるのかという事を図ることができます。

もったいぶることはしません。まずは結論から表示します。

厚生年金部分収支推移
※グラフとしてはまだ「未完成」ですから、転用はしないでください。どのように未完成なのかは後述します。

青が保険料収入。

(厚生年金保険料収入+国庫負担分)-基礎年金勘定へ繰入

という式です。計算式に国庫負担分が含まれていますが、これは「基礎年金勘定」へ全額繰り入れられています。


一方で、緑が給付費。

「厚生年金保険料給付費-基礎年金勘定より繰入」

という式です。つまり、長い間赤字だったという事・・・。

基礎年金勘定より繰り入れられた額がそのまま「基礎年金」として給付されますので、その差額が厚生年金部分となります。ただし、「基礎年金部分」には繰り入れられた後、同期間中に受け取り者がいなくなる部分がございます。

その部分は当然浮いてしまうことになりますが、厚生年金勘定としては一体ですので、給付者がいなくなった部分は厚生年金部分の不足部分に充てられていると考えられます。

ただし、グラフ中ではその「多めに見積もって繰り入れられている繰入分」を保険料全体からマイナスしていますので、「収入」の側は少しだけ少なめに算出されています。

ちなみに、「厚生年金収支」の赤字幅は以下のようになっています。これは第478回の記事 でお示ししましたね。

2007年 -7.18兆
2008年 -7.3兆
2009年 -8.04兆
2010年 -7.84兆
2011年 -7.42兆
2012年 -8.32兆
2013年 -8.28兆
2014年 -6.98兆
2015年 -6.32兆
2016年 -5.72兆
2017年 -5.12兆

では、同じ「厚生年金」の内、「厚生年金部分」の赤字幅はどのように推移しているでしょうか?

2007年 -5.92兆
2008年 -5.63兆
2009年 -6.63兆
2010年 -6.95兆
2011年 -5.70兆
2012年 -4.69兆
2013年 -4.35兆
2014年 -3.67兆
2015年 -2.65兆
2016年 -1.28兆
2017年 -0.54兆

リーマンショックの起きた2008年、翌2009年に赤字幅が大きく膨らんでいますが、その原因は受給額が減ったことではなく、給付費が急増したこと。

理由は現時点では不明です。

赤字幅としては厚生年金勘定全体よりも、厚生年金部分の赤字幅の方が縮小幅が大きく、近々黒字化してもおかしくないような状況にはなっていますね。

まあ・・・今の私の心境としては誤った情報を長年配信し続けた罪悪感でいっぱいです。

もう一つの視点いたしましては、年金の加入者数の推移。

第478回の記事 でお示ししました通り、厚生年金の加入者の数は、平成19(2007)年度まで増加し、20年、21年の2年間減少。

22年より再び増加に転じ、以降現在に至るまで毎年増え続けています。

「基礎年金勘定への繰り入れ」は毎年の期首、つまり4月に、前年3月末時点での年金加入者数から1年間に納付されると考えられる保険料の総額を予測して基礎年金勘定に繰り入れられるものです。

ですが、昨年度の期首の厚生年金加入者よりも昨年度期末の厚生年金加入者の数の方が多くなっているわけですから、昨年度に納付された保険料の総額は、昨年度期末の厚生年金加入者の数から予測される保険料の納付額よりも少なくなってしまいます。(加入者数が減少した2年間は取り除いて考えます)

この事から、当然今年度の期首に厚生年金勘定より引き出される「基礎年金部分」の金額は、昨年に納められた厚生年金の「基礎年金部分」の総額よりも多くなってしまいますので、必然的に前年までの厚生年金勘定の資産を切り崩して支払わざるを得ません。

その財源として平成25(2013年)までは厚生年金勘定の「年金積立金」が切り崩されていました。

ですが、2014年以降は、実は厚生年金勘定では「年金積立金」より1銭たりとも財源を受け入れていません。

つまり、2014年以降は、わざわざ年金積立金を切り崩すことをせずとも「厚生年金加入者が増えることによって不足する『基礎年金勘定へ繰入』るための財源」を単年度会計の中で賄えるようになっている、という事がわかります。

またもう1点。「厚生年金」に「未納者」はいない。私はこれを前提として今まで記事を作成してきましたが、厚生年金にも、支払い義務を負った企業がこれを支払わず、場合によってはそのまま倒産してしまうケースもありますから、当然「未納額」も存在します。

上記グラフには、これらの情報が加味されていませんから、単純にこのグラフだけを配信する事だけはご遠慮願いたいと思います。

更にもう一点。厚生年金勘定において「基礎年金勘定」より受け入れている額は、「昭和60年以前に年金受給者となった人」への支給額ですから、当然毎年減少しています。(私が勘違いをして誤った情報配信を行っていた部分です)

にもかかわらず、毎年国庫負担分を含む保険料収入が毎年増え続けているという事はきちんと評価すべきだと思います。

後は、年金の受給年齢が毎年上がっている事。

年金支給開始年齢の引き上げ

上図にある「定額部分」、これが基礎年金部分、「報酬比例部分」、ここが厚生年金部分です。

基礎年金部分に関しては既に受け取り開始年齢の引き上げが終わっていますが厚生年金部分に関してはまだこれから。上図で見る限り、42年までは継続します。

このような状況を考えますと、少なくとも現時点において厚生年金制度の「破綻」を危惧するような状況にはないのではないか、と私は思います。

それでは、次回記事こそ、「積立金」の部分にポイントを絞り、年金制度の新たな解明に向けて、記事を作成していければと思います。




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<継承する記事>第478回 年金制度に対する私の誤った分析結果を再検証します

前回に引き続き、

 「基礎年金給付費」 と 「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」

の認識について、私の誤った部分を全面的に認めさせていただいた上でその検証を続けさせていただきます。

前々回の

第477回 改めて分析する基礎年金勘定~誤っていた私の分析結果~

という記事から継続しての訂正、及び再検証を目的とした記事です。

また繰り返しになりますが、私の認識の誤りによって影響を受ける記事が少なからず存在しますが、私のブログの方針として、それらの記事を削除することは致しません。

なぜならば、それらの記事を下に何らかの分析をなさった方がいらっしゃるかもしれませんし、あるいはなにがしかの「情報ソース」として掲載なさっていた方もいらっしゃるかもしれないからです。

検証が完了後、極力影響を受ける全ての記事に対し、訂正記事の紹介文を掲載し、できれば誤っている部分に対して赤字で訂正を入れていきたいと思っています。掲載した文章は削除ではなく、訂正線を入れて赤字訂正を行う予定です。


改めて行う「基礎年金勘定」の分析

前回までの記事では、「基礎年金勘定」と各「年金勘定」を合算してグラフ化した次の2枚のグラフ。

国民年金収支(基礎年金勘定分を含む)
厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

を通じて、確かに「国民年金勘定」はこれまでの私の主張より時期こそ遅れているものの、「破綻」とは程遠い状況になりつつあること、加えて「厚生年金勘定」については計算式上、実は赤字となっており、とても「破綻しない」と言い切れるほどの状況ではなかったことをお伝えしました。

ですが、この2枚のグラフを作成する際、その計算式に用いた数字は、私がオリジナルの計算式を用いてはじき出した数字を用いていて、必ずしも「正解」とは言えないことをお示ししました。

その上で最終的にたどり着いた結論として、「基礎年金勘定」「国民年金勘定」「厚生年金勘定」の3つの会計において、「積立金がどのように推移し、減っているのか、増えているのかを検証することが、「年金会計」全体の収支状況を見る上で大切でなのではないか、とする考え方に現在たどりつきました。

ところが、分析を進めていますと、どうも年金の収支状況に関しまして、非常に歪な部分が出てきましたので、そちらをまずは優先して解析していきます。

加えてこの解析の結果、私の認識の誤りをもう1か所訂正する必要が生まれる可能性があることをあらかじめお伝えしておきます。

基礎年金勘定収支推移

検証に用いるのはこちらのグラフ。

基礎年金勘定の収支の推移です。このグラフを見て、1か所。正確には2か所、いびつな部分があることがわかるでしょうか?

キーワードとなるのは「東日本大震災」。東日本大震災が勃発したのは2011年3月ですが、その翌年と翌々年。つまり2012年と2013年の「国民・厚生年金会計より繰入」の部分が、明らかに減少しているのがわかりますね?

私がこのブログで取り上げたことはあるはずなのですが、どの記事で取り上げたのか、検証する時間がございませんので、直接この記事で説明いたします。


基礎年金部分国庫負担割合1/3→1/2引き上げの経緯

基礎年金部分は、麻生内閣当時まで1/3を国庫にて負担していたのですが、小泉内閣当時の計画に従い、麻生内閣においてこの国庫負担分を1/3から1/2に引き上げました。

ですので平成21年度(2009年度)からは年金の国庫負担分が1/2となっています。

2019年7月の参院選において、福山哲郎が年金国庫負担を1/3から1/2に引き上げたのは自分たちだ、とのデマを振りまいていましたが、民主党政権が誕生したのは2009年9月の事。

同年の予算は前年に決められますし、民主党政権が誕生した時点で既に「平成21年度(2009年度)」はスタートしていましたから、民主党内閣が2009年度からの基礎年金国庫負担分の増額を決めることは物理的に、時系列的に不可能です。タイムマシンをあいつらが持っていたとしても不可能です。

で、年金国庫負担分を引き上げるという事は、当然新たなる財源を必要とします。自民党では、この財源を平成23年(2011年)分まできちんと確保していました。

制度上は「将来の消費増税分を財源として充てる」ことが記されていたわけですが、自民党はこれに頼らない財源を毎年きちんとねん出していたんですね。

例えば平成23年度(2011年度)の財源は以下の通りです。

・ (独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構特例業務勘定の利益剰余金(1.2 兆円)
・ 財政投融資特別会計財政融資資金勘定の積立金・剰余金(1.1 兆円)
・ 外国為替資金特別会計の剰余金(進行年度分:0.2 兆円)

総額2.5兆円分です。

この金額が、平成23年度(2011年度)末に国民年金勘定、厚生年金勘定へそれぞれ繰り入れられ、平成24年度(2012年度)分の基礎年金部分の財源として充てられることが決められていました。

ところが、2011年3月に勃発したのが東日本大震災。この財源として民主党政権では前記した2.5兆円分の年金の為の財源を復興に回してしまいましたから、当然年金会計全体では2.5兆円分の財源が失われてしまいます。

この事を意識して先ほどの基礎年金勘定の収支推移を見ていただきたいわけですが、2011年度に納められるはずの保険料国庫負担分が納められませんでしたので、2014年度分が「財源不足」に陥ります。

その結果、不足した財源が「国民・厚生」両会計か繰り入れられることはありませんでした。

その結果、両年度は基礎年金勘定としては「赤字」になっています。

では、この事を意識しながら次の「基礎年金勘定積立金」の推移グラフを見てみます。

基礎年金勘定積立金+剰余金推移

2011年まで上昇の一途をたどっていた「基礎年金勘定」の積立金(+剰余金)の額が、2012年、2013年と急落していることがわかりますね。これは、不足した基礎年金勘定の給付分を賄うため、基礎年金勘定の「積立金」が削られて支給に回されたことを意味しています。

そして2012年(平成24年)11月に「年金特例国債」が平成24年、25年分と発行されることが決められ、両年に年金特例国債がそれぞれ2.5兆円ずつ発行されています。

ただ、この事を考慮しますと、安倍内閣初年度にも同様に基礎年金勘定の「積立金」が削られている様子が見られますので、この事は別途検証が必要かと思います。

また、これとは別に安倍内閣において2016年度、2017年度も共に基礎年金勘定の「積立金」が削られており、更にその削られる幅が増えていますので、この事も別途検証してみます。

少し前置き記事を含む形となりましたが、次回以降記事では改めて他会計の「積立金」も含めて、全体で年金収支の検証を行ってみます。

年金特例国債の発行額がどのように吸収されているのかという部分も含めて検証してみたいと思います。



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<継承する記事>第477回 改めて分析する基礎年金勘定~誤っていた私の分析結果~

前回の記事に引き続き、「基礎年金勘定」に関する私の認識の誤りを検証し、その結果から過去の記事をどう訂正していくべきなのか。これを検証することを目的とした記事を作成します。

前回の記事をまとめますと、年金会計全体の内、国民年金の全額、及び厚生年金の基礎年金部分を管理するために設けられている「基礎年金勘定」。

ここには二つの「支出項目」があります。

一つが 

 「基礎年金給付費」。

もう一つが

 「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」

です。指摘をいただくまでの私の認識としては、年金を給付する際、「基礎年金部分」を全額基礎年金勘定から国民年金勘定、及び厚生年金勘定に繰り入れ、そこから受給者に対して支払われていたと思い込んでいました。

年金制度2

このグラフを見ていただくとご理解いただきやすいでしょうか。

年金受給者は「第一号被保険者」「第二号被保険者」「第三号被保険者」に別れており、第一号被保険者とは全ての保険者の内、「国民年金(基礎年金)」しか受け取ることができない人。

自営業者や学生さんなどがこれに該当します。その他、就労することができない人、もしくは就労していても厚生年金が適用されていない人なども含まれていますが、自営業者以外は基本的に「免除」もしくは「減額」が適用されていると考えられます。収入がなくて支払うことができませんからね。

「国民年金勘定」で管理されているのはこの第一号被保険者の皆さん。

第二号被保険者の人は国民年金以外に「厚生年金」を受け取っている人。「被雇用者(労働者)」の事です。

厚生年金部分はその1/2を企業が負担しています。

厚生年金勘定で管理されているのはこの「第二号被保険者」の事。この他、第二号被保険者の配偶者の事を「第三号被保険者」といいます。ポイントとなるのは、「第二号被保険者」は「厚生年金」だけでなく、同時に「国民年金」の加入者でもあるという事。

現在の制度では、第一号被保険者、第二号被保険者(+第三号被保険者)共に「国民年金(基礎年金)部分」を一旦両年金勘定から引き出し、「基礎年金勘定」という別の会計帳簿に繰り入れ、そこで一括して支払われているという事です。


「基礎年金給付費」と「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」

改めて両項目の違いですが、「基礎年金勘定」という仕組みが導入された昭和61年よりも前に年金受給者であった人に対して支払われている「年給付費」が「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」と記されている項目で、この項目は給付される前に再び「国民年金勘定」、及び「厚生年金勘定」に繰り戻され、そこから受給者に対して支払われています。

しかし、昭和61年以後に受給者となった人は、これが他会計に繰り戻されることはなく、第一号~第三号までひっくるめて「基礎年金勘定」から支払われています。それが「基礎年金給付費」です。

私が誤っていたのは、この認識がなかったという事。

自分で調べてたどり着いた結果であり、私自身色んな資料を比較して検証をしていた「つもり」だったのですが、一番肝心な部分を考察することなく思い込んだまま情報として「確定」させてしまっていたという事。

これは改めて読者の皆様にお詫びさせていただきます。


基本に戻って考える

誤ってこそいましたが、ではだからと言って「誤っていました、ごめんなさい」で終わらせるわけにはいきません。

要はどこがどのように誤っていたのか、そしてその結果全体にどのような影響を与えることになるのか。そして終局の目的として、「年金は破綻しない」とする私の主張がそもそも間違っていたのか、それともそうではなかったのか。これを検証しなければ私のブログとしての役割を果たすことができません。

そこで、まずは「基本に立ち返って」考えることが大切かと思います。

私としますと、「国民年金勘定」及び「厚生年金勘定」において収入が減る中で給付費が減っていた(と思い込んでいた)ことを「発見」しましたので、これを「年金が破綻しない」最大の根拠であると考えていました。

それが次のグラフです。

国民年金収支

厚生年金収支

逆に言えば、この数字を下に「破綻するわけがない」と思い込んでいますから、それ以上の検証を行っていない状況でもあります。

ですが、実際には

国民年金収支(基礎年金勘定分を含む)
厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

こちらの方が現在の年金収支状況としては「正解に近い」姿ですから、私のこれまでの根拠が「年金が破綻しない理由」とはなりえていないわけです。

とはいえ、「国民年金」に関しては次期が私のかつての認識と比較すると非常に遅れてはいますが、「破綻はしない」という状況には近づいているかと思います。

問題は「厚生年金」の収支です。前回も示しましたが、赤字幅がどのように推移しているのかと申しますと、以下の通り。

2007年 -7.18兆
2008年 -7.3兆
2009年 -8.04兆
2010年 -7.84兆
2011年 -7.42兆
2012年 -8.32兆
2013年 -8.28兆
2014年 -6.98兆
2015年 -6.32兆
2016年 -5.72兆
2017年 -5.12兆

年々その額を縮小させているとは言うものの、5兆円という額は決して小さいものではありません。ちなみに国民年金の収支状況はと申しますと、以下の通り。

2007年 -4.4兆
2008年 -4.26兆
2009年 0.08兆
2010年 0.04兆
2011年 0.47兆
2012年 1.11兆
2013年 1.37兆
2014年 1.5兆
2015年 1.6兆
2016年 2.13兆
2017年 2.25兆

と、プラス幅を増やしてこそいますが、とても厚生年金の赤字幅を相殺する段階には至っていません。最新の状態で2.87兆円ほどの赤字です。

ただ、今回お示ししている数字の根拠としているのは、「年金受給者」の数とその割合から、私が計算式によって作り出した数字ですので、これが「正しい数字」と言えるのかどうかと申しますと、必ずしもそうだと言い切ることはできません。

という事で、ここからは私の計算式を加えることなく、政府が公表している数字のみを用いて、年金会計の収支全体で考えてみます。


国民年金勘定と厚生年金勘定の考え方

まずはこの部分から。

「国民年金勘定」とは、大きく分けて

 収入 「国民年金保険料」「国庫負担分」「基礎年金勘定より受入」
 支出 「基礎年金勘定へ繰入」「年金給付費」

という項目で構成されています。その他事務費や運用益、積立金などもありますが、それらは考慮せずに進めていきます。

公的年金保険者数の推移

できたらグラフくらいは自分で作成したかったんですが、時間の都合上、厚労省の資料をそのまま掲載します。

「公的年金保険者数」、つまり年金を国に納めている人たちの数を年経で示したグラフです。

「第一号被保険者(国民年金加入者)」の数を見ますと、平成25年以降、年々減少していることがわかると思います。

という事は、つまり昨年年金を収めた人の数よりも、今年年金を収めた人の数の方が少ないという事。

国民年金の運用では、毎年4月、その年度が始まる一番最初の月に、前年度に納められた保険料の総額から、「今年納められると予測される保険料の総額」を引き出して、「基礎年金勘定」に繰り入れています。

ですが、その「保険者数」が年々減少していますので、当然「昨年納付された保険料の総額」よりも4月の段階で「今年納付されると予測される保険料の総額」の方が少なくなります。

ですから、当然「国民年金勘定」の中にはそこから引き出されることなく、国民年金勘定に残ったままの金額が発生します。

ところが、「国民年金」は個人が意識的に納めるものですから、中には国民年金を収めようとしない「未納者」もいます。

そのことで基礎年金勘定に繰り入れるための保険料が不足することがありますので、その場合は「年金積立金」の中から不足する分を引き出します。ですが、その保険料は「未納」であり、本来受け取り者のいない保険料ですので、その金額は将来給付されることなく「基礎年金勘定」に蓄積されることになります。

混乱するといきませんので、こちらの図を頭に入れながら考えてみてください。

年金システムのからくり

一方、「厚生年金勘定」を考える場合、先ほどの「公的年金保険者数の推移」を見ていただきますと、厚生年金の保険者の数は年々増えていることがわかります。

ちなみに増加に転じたのは、微増ではありますが平成22年から。遡ると平成19年までは継続して増加しています。保険者数全体で見ますと平成28年から増加に転じていますね。

この事が何を意味するのかと申しますと・・・というより、この点に関しては私も思い込んでいた部分があったのですが、保険者数が減少する国民年金勘定とは異なり、保険者数が増加していますので、「基礎年金勘定」の部分に関しては昨年度末に納付が完了した金額より、今年度に納付が予測される金額の方が多くなってしまいます。

そう。「未納者」の存在にかかわらず、厚生年金勘定では「基礎年金部分に繰り入れ」なければならない金額が不足する仕組みになっているんですね。これは盲点でした。

ですから、必然的に「年金積立金」は切り崩されることになります。

ですが、その「切り崩された」積立金も、「年金積立金」の項目から「基礎年金勘定」の項目に移動するだけで、年金会計全体で考えると当然「納付者」が増えているわけですから、収入全体としては増えていることになりますね。


国民年金勘定と厚生年金勘定の「支出」について

一方の「支出」に関しては、国民年金・厚生年金とも、「基礎年金部分」に関しては「基礎年金勘定」より「期首(4月)に年度を通じて必要となると考えられる給付費」が一体いくらになるのかという事が想定され、これが「基礎年金勘定」より繰り入れられ、それぞれの年金会計で給付に回されています。

冒頭でお伝えした通り、「国民年金勘定」「厚生年金勘定」にそれぞれ繰り入れられている金額は「昭和60年までに受給者となった人」の給付費のみであり、昭和61年以降の「基礎年金」は「基礎年金勘定」より支出されています。

国民年金勘定、厚生年金勘定ではそれぞれ、年度末に受給者が死亡し、給付が必要とならなかった金額が必ず残りますから、これが「積立金」として蓄積されていくことになります。厚生年金会計ではこれ以外に、「厚生年金部分」に関する管理が独自になされていますから、もしそこで給付費が不足するのであれば「積立金」の中から切り崩されることとなります。


このようにしてみていきますと、「国民年金」「厚生年金」はそれぞれ貸借対照表上は支出と収入の間ではバランスしているはずですから、何を見ることが大切なのかと申しますと、結果的に両会計から繰り入れられた金額で運用されている「基礎年金勘定」において一体いくら「積立」もしくは「切り崩し」が発生しているのか。

厚生年金勘定にはそれ以外に独自に運用されている「厚生年金部分」が存在しますから、これが積立金を切り崩すことで運用されているのか、それとも逆に積立金が加算されているのか。

「国民年金」はそもそも積立が減少する要素が「未納分」以外には存在しませんから、では一体いくら積み立てられているのか。

そして、最終的に「積立金」は一体総額でいくらになっているのか。これを所謂「運用益」を加味せずに見てみますと、その全容が見えてくるのではないかと思われます。

という事で、私の時間が来てしまいましたので、次回記事では、この「積立金」の収支推移を見ながら年金運用についての「解明」を行っていきたいと思います。



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今回の記事、私としては非常に不本意な記事になります。

タイトルにある通り、私が長年主張していた年金の考え方について、一部ですが、私の年金問題に対する主張全体に大きな影響を与えるほどに誤った部分があったことがわかりました。

私のブログの記事を読んで、参考にしてくださっていた方もいると思う中で、これは本当に申し訳ない思いがします。私自身としてもショックでしたし、非常に恥ずかしい思いがしています。

きっかけは本年(2019年)6月24日、以下の記事に読者の方からお寄せいただいたコメントです。(本日は同年7月26日です)

第476回 マクロ経済スライド調整率改定の意義~年金崩壊説の崩壊~

コメントそのものを抜粋いたします。
初めまして!恥ずかしながら最近になってようやく年金について興味を持ち始めた者です。
年金特別会計を見ていると「基礎年金給付費等基礎年金勘定へ繰入」という項目があり、検索してみるとこちらのサイトに出会いました。
記事を読み一旦は理解した気になってましたが、どうもおかしいような気がして確認のためコメントさせていただきます!

今のところの理解としては、
国民年金勘定では付加年金、死亡一時金などの給付を行い、残りを基礎年金勘定に入れます。
厚生年金勘定では報酬比例の年金、障害年金等を給付し、残りを基礎年金勘定に入れます。
基礎年金勘定では国民年金勘定、厚生年金勘定から受け取ったお金で基礎年金給付費、基礎年金相当給付費を支払います。

給付額は平成29年ですと基礎年金勘定22,408,941、国民年金勘定554,147、厚生年金勘定23,666,851で合計約46兆くらい
保険料は国民年金勘定1,396,425、厚生年金勘定30,944,165で合計約32兆
国庫負担は国民年金勘定1,939,211、厚生年金勘定9,481,945の約11兆
その他いろいろな歳入歳出があり(理解できてない項目が沢山あります)、結果としては何とか黒字で積立金に移行。
こう理解してます。
こちらのサイトでは基礎年金勘定を考慮されていないように見えました。

前回の財政検証では平成30年あたりまで赤字でしたが、厚生年金加入者が増えたのでしょうずっと黒字です。
それはいいのですが、マクロ経済スライドがデフレのせいでほぼ発動しておらず(今回何とか発動)所得代替率が思うほど下がりません。この調子ですと少子化による大赤字が待っています。
このままだと本当に破綻してしまうのではないでしょうか?
ちなみに私の破綻の定義は積立金が無くなり多額の赤字を所得代替率を大幅に下げること(30%くらい)で保つようにすることです。

長くなってしまい申し訳ありません!よろしくお願いします!

難しいと感じるかもしれませんので、まずは私のこちらの記事をご覧ください。

第117回 公的年金制度の仕組みをわかりやすく図解入りで解説いたします。

記事の中で、年金の運用が「年金特別会計(厚生・国民)」、「基礎年金勘定」、「年金積立金」の3つの財布を使って、トータルで運用されていることをお示ししています。

年金システムのからくり

問題となるのは、この内「基礎年金勘定」に関する説明です。

①年金会計の中から、前年に受け取った国民の「年金保険料」の中から、本年に納付されると考えられる保険料を全額引き出し、「基礎年金勘定」に繰り入れる
②「基礎年金勘定」から同年に給付に回されると考えられる年金受給額を全額引き出し、「年金会計」に繰り入れる
③「年金会計」の中から、その年に受給者がいなくなった金額を「年金積立金」に繰り入れる

という説明を私は行っているのですが、この内の②、コメントをくださったチダ様のご指摘では、基礎年金勘定から年金会計に繰り入れられている額は、「全額ではないのではないか」とおっしゃっられています。

私としては、全く想定していませんでしたから、最初自分が何を言われているのかが理解できていなかったのですが、改めて基礎年金勘定の会計収支を見ると、確かに他の年金会計に繰り入れられている金額以外に、「基礎年金給付費」なるものが設定されていて、最新の使用で繰り入れられている額の20倍近い金額が歳出として計上されていたのです。

思い込みは怖い話で、私は私の説が誤っているとこれっぽっちも思っていませんでしたから、改めてこの「基礎年金勘定」を見直す機会を自分自身の中に設けていなかったわけですね。

項目の中に、「基礎年金給付費」という項目と、「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」という二つの項目があるのです。

恐らく私は最初に調べたときに、これを同じものである、と大きな勘違いをしていたのだと思います。

かつ、国民年金や厚生年金の収支をグラフで作成する際に参考としていた「基礎年金勘定」から繰り入れられた金額は、それぞれの年金勘定で「基礎年金勘定より繰り入れ」と記されているもののみを参考にしていましたので、よもや基礎年金勘定の側に繰り入れられていない金額が残っているとは思っていなかった、という事です。

今回だけで完結させられるかは自身がありませんが、訂正記事によって影響を受けるのは、私が年金勘定は「国民・厚生共に黒字だ」と主張している部分、及びその証拠として作成しているグラフ、またその運用制度そのものを説明した記事が軒並み影響を受けます。

全く影響を受けないのは「マクロ経済スライド」に関する説明のみです。ですが、マクロ経済スライドの「キャリーオーバー」に関して作成した記事は、「キャリーオーバーすべきではない」理由として年金収支に関する情報を用いているはずですので、こちらも訂正が必要になってくるかと思います。

ただ、私のブログのスタイルとして、記事を削除することはいたしません。記事を削除せず、記事中でどこが間違っていたのか、赤字で訂正文を加える形で修正を行っていきます。

現時点で、いくつかの資料を既に作成しておりまして、これから作成する記事の目的としては、まずは誤りをきちんと訂正する事。

その上で、現在の年金の収支状況が、基礎年金勘定から年金積立金まで含めて、全体で見てどのような収支状況にあるのか。この事を改めてきちんと検証していきたいと思います。


「基礎年金給付費」と「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」の違い

まずはこのご説明から。私は、基礎年金勘定帳簿に掲載されていた「基礎年金給付費」が、そのまま国民年金勘定、厚生年金勘定へと繰り入れられている金額だと思い込んでいました。

最大の原因は実は次の画像。

590cb2d042fffb1fe742825cd5ddcff4.jpg

今は同じ資料を厚労省のホームページから検索しようとしても出てこないと思います。

野田政権時代に、私が「年金財政は安全だ」ということを裏付けるために資料を作成していたのですが、その時に見つけていた資料で、ここに「基礎年金勘定へ繰入」という項目と「基礎年金勘定より繰入」という二つの項目があるのがわかると思います。

元々は、ここに掲載さ入れていた「基礎年金勘定」とは何ぞやというところから私の基礎年金勘定の検証はスタートしました。当時、この「基礎年金勘定」に着目してデータを作成している人などいませんでしたから、私としてはそれにたどり着いたとき、「これだ!」と心の中で快哉を叫んだ記憶がありますよ。

本当はこの時に、もう少し深く「基礎年金勘定」の事を調べておかなければならなかったのでしょうね。

あれから既に7年ほどたちます。今になって気づくとは・・・

ガッカリしても仕方ありませんね。記事を進めていきます。

では、サブタイトルにある

 「基礎年金給付費」と「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」の違い

について。この二つの項目が生まれた理由は、昭和61年に行われた年金制度の改正。要は、この時に初めて「基礎年金勘定」なるものが生まれたんですね。

これまで国民年金は国民年金、厚生年金は厚生年金として運用されていたものが、基礎年金部分を一旦「基礎年金勘定」へ全額繰り入れ、ここで別枠で運用することで、仮に国民年金が財源不足に陥ったとしても厚生年金受給者が納める基礎年金で国民年金を運用できるように改正された仕組みです。

昭和61年に改正された年金制度が実行されましたので、60年までの年金受給者と、60年以降の年金受給者の間で運用の仕組みに違いが生まれます。

と、ここまで記せば何となくわかるんじゃないかと思いますが、昭和60年までに年金受給者となった人の基礎年金年金給付費が「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」、それ以降に受給者となった人の基礎年金給付費が 「基礎年金給付費」。

60年までに受給者となった人の基礎年金は基礎年金勘定から国民・厚生両年金勘定に「繰入」られて運用されていますが、それ以降に受給者となった人の基礎年金は、繰り入れられることなく、一括して「基礎年金勘定」の中で運用されていた・・・という事。

これに気づけなかったことは、私のブログ記事に大きな誤りを生んでしまいました。私のブログを信頼し、参考にしていただいた方へは、心の底よりお詫びを申し上げたいと思います。


「国民年金」及び「厚生年金」の収支に「基礎年金勘定」分を加えると・・・

あらかじめ申し上げておきますと、以下のグラフは私の推測に基づく計算式で作成したデータを含めていますので、参考にしていただいても構いませんが、それぞれのグラフを根拠として単独で利用することだけはやめてください。

【国民年金収支推移】
国民年金収支(基礎年金勘定分を含む)

【厚生年金収支推移】
厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

これまで利用してきた以下のグラフ
【A】
国民年金収支
【B】
厚生年金収支

にそれぞれ基礎年金勘定から繰り入れられることなく、基礎年金勘定内で「国民年金受給者」及び「厚生年金受給者」にそれぞれ給付されている給付費を加算したものです。

基礎年金勘定内でわざわざ分けて掲載されているわけではありませんから、ここは計算式によって私が算出したデータを用いています。

計算式として用いた数字は

①基礎年金給付費
②(重複を含まない)年金受給者数
③厚生年金受給者数(共済年金等受給者も含む)
④国民年金受給者数(②-③)

の4つです。ここから

⑤厚生年金受給者数の(重複を含まない)年金受給者全体に占める割合(③÷②)
⑥国民年金受給者数の(重複を含まない)年金受給者全体に占める割合(④÷②)

を算出し、それぞれを①に掛けた値を⑤は厚生年金収支に、⑥は国民年金収支にそれぞれ加算しています。

このグラフで見ますと、国民年金給付費に関しては基礎年金給付費を加えようが加えまいが、年金受給者の数は年々減っており、収支で見てもプラスになっていることがわかります。

一方で、厚生年金給付費に関してはトータルで見ると給付費は増加しており、保険料+国庫負担分も増加してこそいるものの、給付費の増加に追い付くことはできず、トータルで見ると毎年赤字なっていることがわかります。

ちなみに、どの程度の赤字額かと申しますと、

2007年 -7.18兆
2008年 -7.3兆
2009年 -8.04兆
2010年 -7.84兆
2011年 -7.42兆
2012年 -8.32兆
2013年 -8.28兆
2014年 -6.98兆
2015年 -6.32兆
2016年 -5.72兆
2017年 -5.12兆

の赤字です。額がまあまあ太いですね。

ただ、これらの数字の母体となっている厚生年金受給者とは、「厚生年金受給資格者者」の事であり、この人達が皆一生を通じて厚生年金加入者であったわけではありません。ですから、本来は「国民年金受給者」に加えるべき部分も含まれた受給者について掲載したグラフだという事だけはご認識いただければと思います。

また、私があくまでも独自の計算式によって求めた「概算」ですから、これが正しいかどうかは証明することすらできません。

まずは「概算でこのような結果が出た」という事実だけを把握していただければと思います。

という事で、今回は私に時間が無くなってきましたので、この記事は一旦ここで終了にします。あまりにも記事を作成しない期間が長くなると、コメントをいただいたチダ様にも申し訳ないと思いまして、急ぎ作成したのが本日の記事です。

次回記事では、では今回のように私独自の計算式を加えず、「基礎年金勘定」「国民年金勘定」「厚生年金勘定」をそれぞれ加工しない数字を用いて検証するとどうなるのか。年金制度全体での収支状況を検証してみます。



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年金問題に関するシリーズ において私、たびたび話題にしているとは思うのですが、この「年金崩壊論者」たちの話題。

最近また復活しつつあるので、私のブログでもこの話題を取り上げたいと思います。

火をつけたのは朝日新聞。

朝日の記事を以下に引用します。
人生100年時代の蓄えは? 年代別心構え、国が指針案

金融庁データ朝日加工

 人生100年時代に向け、長い老後を暮らせる蓄えにあたる「資産寿命」をどう延ばすか。この問題について、金融庁が22日、初の指針案をまとめた。働き盛りの現役期、定年退職前後、高齢期の三つの時期ごとに、資産寿命の延ばし方の心構えを指摘。政府が年金など公助の限界を認め、国民の「自助」を呼びかける内容になっている。

 報告書案「高齢社会における資産形成・管理」として、金融審議会で示した。

 平均寿命が延びる一方、少子化や非正規雇用の増加で、政府は年金支給額の維持が難しくなり、会社は退職金額を維持することが難しい。老後の生活費について、「かつてのモデルは成り立たなくなってきている」と報告書案は指摘。国民には自助を呼びかけ、金融機関に対しても、国民のニーズに合うような金融サービス提供を求めている。

 報告書案によると、年金だけが収入の無職高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)だと、家計収支は平均で月約5万円の赤字。蓄えを取り崩しながら20~30年生きるとすれば、現状でも1300万~2千万円が必要になる。長寿化で、こうした蓄えはもっと多く必要になる。

 まず、現役期は「少額からでも資産形成の行動を起こす時期」と説明。生活資金を預貯金で確保しつつ、長期・分散・積み立て投資を呼びかけた。具体的な方法として、年40万円まで20年間非課税で投資できる「つみたてNISA」や、個人型の確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」などをあげた。出産や住宅購入などの生活設計に応じた預貯金の変化や家計収支を「見える化」することも、効果的な対応として触れた。

 定年退職者のほぼ半数は、退職時点か直前まで退職金額をわかっていないのが実情だ。このため、退職前後の時期は、退職金がいくらかや使い道などのマネープランの検討を勧める。

 高齢期は、資産の計画的な取り崩しを考えるとともに、取引先の金融機関の数を絞ったり、要介護など心身が衰えた場合にお金の管理をだれに任せるかなどを考えたりしておくことを、課題としてあげている。

 65歳以上の認知症の人は2012年の462万人から30年に830万人となる見込みだ。それに伴う課題にも触れた。認知症の人が持つ金融資産は、計200兆円超にも及ぶことになる。認知症になった場合にも生活を維持できるよう、お金の管理を親族や成年後見人らに任せることを考える心構えを訴えた。

 資産寿命を延ばしたい顧客の要望にこたえるため、金融機関に対しては商品のわかりやすい説明や手数料の明確化などを求めている。(山口博敬、柴田秀並)

問題なのは、この記事の内、次のフレーズ。

 『政府が年金など公助の限界を認め、国民の「自助」を呼びかける内容になっている』

 『報告書案によると、年金だけが収入の無職高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)だと、家計収支は平均で月約5万円の赤字。蓄えを取り崩しながら20~30年生きるとすれば、現状でも1300万~2千万円が必要になる。長寿化で、こうした蓄えはもっと多く必要になる』

という部分です。


朝日新聞による「印象操作」

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
↑こちらは金融庁のHPに掲載されている原文になっています。

同じ資料で、朝日新聞の「印象操作」部分と比較する上で重要な部分を抽出してツイートしている方がいらっしゃいましたので、そちらの資料をお借りしてまずは記事を作成ていきます。
金融庁HPより抽出分

前述の通り、夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額はは単純計算で1300万円~2000万円になる。

この金額はあくまで平均の不足額から導き出したものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。

当然不足しない場合もありうるが、これまでよりん學生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。


重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均寿命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければならない金額がどの程度になるか、考えてみることである。

それを考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・分散投資による資産形成の検討を、リタイヤ期前後であれば、自身の就労状況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理をどう行っていくかなど、生涯にわたる計画的な長期の資産形成・管理の重要性を認識することが重要である。

では、改めて先ほどの朝日新聞によって表現の書き換えが行われた文章と、これに該当する表記を比較して並べてみます。

【朝日新聞の文章】
報告書案によると、年金だけが収入の無職高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)だと、家計収支は平均で月約5万円の赤字。蓄えを取り崩しながら20~30年生きるとすれば、現状でも1300万~2千万円が必要になる。長寿化で、こうした蓄えはもっと多く必要になる

【金融庁の原文】
夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額はは単純計算で1300万円~2000万円になる。

この金額はあくまで平均の不足額から導き出したものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。

当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。

いかがでしょう。ずいぶん印象が違うのではないでしょうか。

そもそもこのモデルは前提として、「夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯」の内、実収入が20万9198円の世帯に限定した、モデルケースであるということ。この20万9198円という数字も政府が把握している様々な統計データから、計算式によって算出したものにすぎません。

また更に、この世帯の支出が26万3718円である、とされていますが、これはおそらく私が 第473回の記事 などで話題にしました、「消費動向指数」などから算出したものだと考えられます。

内訳を見てみます。

【夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯の平均の消費支出】

総額 263718円
1.食料 64444円
2.住居 13656円
3.水道・光熱 19267円
4.家具・家事用品 9405円
5.被覆及び履物 6497円
6.保健・医療 15512円
7.交通・通信 27576円
8.教育 15円
9.教養娯楽 25077円
10.その他消費支出 54028円
11.非消費支出 28240円

そう。私のブログをよくご覧になっている方には非常におなじみの「内訳」。消費者物価指数のシリーズなどで頻繁に登場させている、「10大費目別」の内訳です。

もう少し詳細な品目別にサンプルデータを収集し、「加重平均」に「加重平均」を繰り返し合算した上で「ウェイト」を算出。更に万分率で割り戻し、ウェイトを掛けて指数化したもの・・・。

正確な表現ではありませんが、このようにしてサンプルデータから計算式によって算出したものがこの「10大費目別」のデータです。

更に、「年代」までは同じ資料でも計算できるのかもしれませんが、これが「夫65歳、妻60歳以上の夫婦」に限定するとなるととても消費動向指数の統計データだけでは足りるわけがありません。

対象となるサンプルも計算式も異なる全く別の統計手法を用いて算出されたデータと合算して算出されたものがこの統計資料だと考えられます。

そもそも、「収入」の方は統計局の仕事ではないはずですから、そもそもが全く異なる資料から算出されたものが掲載されているはずです。「参考にはなるがあてにはできない」データの典型的なものです。

「じゃあなんでそんなあてにならないデータを」という人もいるかもしれませんが、そもそもそういう計算方法を用いて収集するしか統計を取る方法がありませんし、あてにはならないかもしれませんが、世間の実態を推測する上では必要なデータなんです。

私自身がこのブログでそういった方法を用いて数多く資料を作成していますから、そのことはとてもよく理解できます。

ですが、そのような非常にアバウトなデータであり、更にピンポイントで実収入が20万9198円の世帯に限定して算出されたデータであるも関わらず、マスコミや野党の皆さんは、特に「2000万円」という数字のみをクローズアップして、「将来の不安」を煽るのみならず、更に年金制度があたかも崩壊してしまうかのような表現を用い国民に対して誤った情報を拡散している。

これが現在の状況です。


立憲民主党蓮舫による印象操作



こちらの動画は、6月10日、国会決算委員会において蓮舫氏が、前記した金融庁が公開した、金融調査委員会の資料に関して行った質疑の模様です。

この動画において、麻生さんや安倍首相は、非常に大切なことを答弁しています。

ですが、そのことをクローズアップして報道しているマスコミは皆無。質疑している蓮舫や背後にいる立憲民主党をはじめとする野党の連中はそれを深めようとするどころかむしろ大声を立てて答弁を妨害し、そのことをむしろ説明させないように必死になっている様子が見てわかります。

まず、冒頭から蓮舫氏により、安倍首相に次のような質問が投げかけられます。

総理、日本は一生懸命働いて、給料もらって、勤めあげて、退職金をもらって、年金をいただいて、それでも65歳から30年生きるとの、2000万円ないと生活が行き詰る、そんな国なんですか?

ここまで私の文章を読んでいただいている方にはもうご理解いただいていると思いますが、2000万円必要だとされたのは、あくまでも夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯の内、「実収入が20万9198円」の世帯に限定して行われた試算の結果です。

かつ支出に関しては「消費動向指数」などのデータから計算式によって算出した、世間の実態を推察する上で、参考程度にしかならないデータです。

このような、非常にアバウトな計算に基づいて作成された資料を、あたかも事実であるかのようにして蓮舫は表現し、安倍首相に質問しています。

これに対して安倍首相はこう答えます。

「これは、不正確であり、誤解を与えるものであった」と。

更に麻生さんがその答弁に応じるわけですが、以下のように答弁を行っています。

いろいろな高齢者の生活は極めて多様であって、それぞれの方が望ましいと考える生活水準の働き方や、希望収入資産、当然のこと様々なんですが、今ありましたご指摘の報告書というのは、これは更に豊かな老後を送るためには、個々人の置かれた状況に応じてより上手な資産形成ができる様にすると、いうことも大切ではないか、との見方が述べられたものではないかと理解いたしております。

いうことを込めて考えたんだと申し上げております。

しかし高齢者の家計については、貯蓄や退職金を活用しているということに触れることなく、家計調査の結果に基づく単純計算で老後に月5万円、30年で2000万円の赤字であるかのように表現したという点につきましては、これは国民の皆さまに誤解や不安を広げる不適切な表現であったと私どもは考えております。

公的年金については老後の生活を支える柱でして、将来にわたり持続可能な制度を確保しております。

更に医療・介護といった社会保障制度は全体として、国民の高齢期に対する包括的なセイフティネットとして機能も致しております。

また 本年10月から、低年金の方へ年間最大6万円の年金生活者支給給付金を支給し、セイフティネットにおいて更に充実させていくということにいたしております、というんで、我々は人生100年時代において誰もが安心して暮らすことのできる社会を実現するために老後生活を支える柱である年金生計をはじめとして、働き方や改革や予防健康づくりなど、丁寧に議論してまいりたいと考えております

ここで麻生さん、非常に重要な事をおっしゃっていますね。

今年10月より、年間6万円ですから、それほど多い金額であるとは言えないかもしれませんが、低年金者の生活を直接支援するための給付金が支給されることに言及しているのです。

ですが、麻生さんがこの話題に言及し始めたあたりから急に野党の外野席がざわめき始め、麻生さんにこの答弁をさせないよう、大きな声で妨害を始めていることがわかると思います。(→この辺り です)

これ、こんな2000万円が云々といった話より、余程重要な内容だと思いますが、蓮舫氏はこの話題について深めることを全く使用としないどころか、外野の野党は麻生さんの答弁を妨害しようとする始末。

野党の役割って、本来国民が知っておくべきことを国会で質問し、答弁させることで国民に知らしめることにあるはずだと私は思っているんですが明らかに野党がやっていることは真逆。蓮舫をはじめとする野党はこの事を国民に知らせたくないわけですよ。

蓮舫はこれに対し、次のように質問をします。
今麻生大臣は、あたかも赤字だと表現したのは不適切だった、豊かな生活を送るための25万円に5万円足りない。これ前回の会見でも言ってるんですけどこの認識は変わっていないんですね?

そう。蓮舫は麻生さんの答弁を全く聞いていないんです。

麻生さんは当然次のように答えます。
一番冒頭に申し上げたと思いますが、各年金生活者、老齢を送っておられる生活者は非常にいろいろな条件がありますので一概に一律にこの方ってワンパターン化するには不可能だと思っております。

はい。当然です。

あくまで夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯の平均値ではありますが、実収入が20万9198円の世帯に限定したケースが、あたかもすべての世帯に当てはまるかのように言い換えて質問している蓮舫は非常に悪質だと思います。

ここから更に蓮舫は次のように質問します。

「この報告書、読みました?」

と。これに対し、麻生さんは次のように答えます。

「冒頭の部分、一部分目を通させていただきました。全体に目を通しているわけではありません」

と。これに対し、更に蓮舫次のように質問します。

これだけ国民の間に怒りが蔓延して大問題になってる、読んだら5分で終わる報告書を読んでいない。このどこに豊かな暮らしのために5万円足りないって書いてありますか?

ほんと殴ってやりたい・・・

「読んでいる」と「理解している」では全く話が異なります。蓮舫ははっきりいって5分読んだら終わる報告書全体に目を通しているはずなのに、そこに書かれてある内容を全く理解していないのです。

一方の麻生さんは、もちろん官僚からレクは受けているでしょうし、答弁書そのものは官僚が作成したのかもしれませんが、少なくとも蓮舫よりは間違いなく報告書の内容を理解しています。

麻生さんが「豊かさ」に言及しているのは
これは更に豊かな老後を送るためには、個々人の置かれた状況に応じてより上手な資産形成ができる様にすると、いうことも大切ではないか、との見方が述べられたもの

と表現しているのであって、そんなピンポイントで、実収入が20万9198円の世帯に対して言及しているわけではありません。

報告書全体に対して言及しているのです。麻生さんはこれに対し、次のように答えます。
私どもは最初から申し上げていますのは、これは年金の、これを勉強するグループで出されてきたものを挙げられた採用だと私ども理解しておりますので、そういった意味では私どもは挙げられたすぐ後に今の中で申し上げているようないろいろな表現の中にある中で、少なくともそういったものを目的としてやろうとしているということを申し上げております

ここで麻生さんが言っている「そういったもの」というのが「更に豊かな老後を送るためにはどうしたらよいのか」ということに言及した内容に当たります。

これに対する蓮舫の答弁は次の通り。

間違っています。二つの意味で。

一つ。勉強するためのグループが話したものじゃなくて、麻生大臣が諮問をした審議会のワーキンググループですよ?

でそしてこの報告書には、豊かな老後のために25万円いるから5万円足りないとは1行も書いていません。

その問題認識が甘い。

このおばちゃんには「比喩」とか「たとえ」といった表現は全く通じないんでしょうね。まずは日本語をきちんと勉強するところから始めてほしい。日本語を理解出来ない人がなぜ国会議員をやっているのだとマジで言いたい。

麻生さんは自身が諮問をした審議会のワーキンググループの事を聞いている人にも理解しやすい様に「年金の、これを勉強するグループ」と言い換えているにもすぎませんし、このグループそのものが豊かな老後を送るためにはどうすればよいのかということを研究することを目的としたグループだと散々言っているのに、そのことが全く理解できていない。

ハッキリ言ってこんなおばちゃんに答弁させるなんて私たちの大切な税金の「無駄遣い」以外の何者でもありません。

記事が長くなってしまいますので、今回、私が本来お伝えしたい内容に移ります。


マクロ経済スライド調整率改定の意義

さて。先ほどからご紹介している動画ですが、この動画の内、一番大切な部分は、麻生さんが軒並み答弁を終えた後。安倍さんが答弁に入った後の内容です。

例によって野党陣営がわぁわぁわぁわぁ騒いで必死に安倍さんの答弁を妨害しています。



ここからですね。文字起こししていきます。

あの、先ほど麻生大臣はですね。えぇ、老後に月5万円、30年で2000万円の赤字であるかのように表現した点については、国民の皆さんに誤解は不満を広げる不適切な表現であったと考えているという風に述べたはずでございまして、えぇ、先ほどもそのように述べておられたと、こう思います。

まあ、事実そのように書いて、そのような誤解を与えたと思います。

まあそこでですね、そこで、そこでまああの、100年安心という事について申し上げますと、これはですね、高齢期の生活は多様であってですね、それぞれの方が望ましいと考える生活水準や働き方の希望収入、資産の状況なども様々であります。

まぁ現在でも、ですね。国民の老後所得は公的年金を中心としつつ、ですね。しつつ、えぇ、稼働所得、そして仕送り、企業年金、個人年金、財産所得などが組み合わさっているのが実態であると、こう我々は理解しております。(この辺りで外野がざわめきます)

まぁその上で、ですね。この上において、年金、年金100年安心が嘘であったというご指摘がございますが、そうではないという事を今申し上げさせておきたいと、これ重要な点でありますから申し上げたいと思いますが、

まぁこの国民の老後所得の中心となる公的年金制度についてはですね、将来世代の負担を加重にしないために、保険料水準を固定した上で、長期的な給付と負担の均衡を図るマクロ経済スライドによりですね。一定の給付水準を確保する事を前提にこれ、持続可能な、えぇ制度に改めたものであります。

まぁこれは、平成16年の大改革でありまして、マクロ経済スライドを導入する、つまり平均余命が長くなれば当然給付が増えいく。一方、同時にですね。えぇ被保険者の数がどうか。これ減っていけば、(ここで再び外野がざわめき始めます)当然これは、収入も減っていく。でそのバランスが大切であると、それがマクロ経済スライドであります。(ここで蓮舫が安倍さんの答弁を止めようとします。外野はざわめき続けます)

こっからが大切なんですよ。で、そこで、ですね(外野のざわめき具合は絶好調。マイクを通してですら安倍さんの答弁が聞き取れないほどのざわめきっぷりです)、アベノミクスの進展によってもはやデフレではないという状況を反映し、今年度の年金は0.1%も・・・

さあ。ここでついに安倍さんは答弁を止め、外野のざわめきを止めに入ります。

ええこれ、ですね、年金についてはちゃんと説明しなければ、不安を煽るだけの結果になっていくんですよ。(マイクを通してでも非常に聞こえにくい状況です)

こうやって説明させないという態度はおかしいと思いますよ。

ここで、委員長から「速記を止めてください」との静止入りますが、安倍さんにも既に聞こえない状況にあるのか、安倍さんはそのまま答弁を続けます。
これはですね、これまで未調整だった分を含めて、将来世代のため、マクロ経済スライド調整を行った上で尚、まぁ現在の給付額はプラスの改定と今年度はなったわけでありまして、現在の受給者、将来せ・・・

ここで委員長より、「速記を起こしてください」のアナウンスが入ります。これに対し、安倍さんは「あ、今止まってたんですか?今まで、止まってたの?」と返しています。

そう。外野がうるさすぎて、委員長のアナウンスが安倍さんに届いてさえいないんですね。ここで蓮舫より、「委員長、指導してください」との声が入っていますが、その前にまず外野のおっさんたちを注意しろよ、と思います。

ここで安倍さんが言っている事、かなり重要な内容なんです。

いや、これはですね。いやしかし・・・100年安心がね。100年安心が、ではないという事をおっしゃったわけでありますから、政府としては

ここで委員長より再び「速記を止めてください」のアナウンスが。しかし安倍さん、かまわず続けます。

大切な事でありますから、大切な場でありますから、当然反論させていただきたいと、こう思います。

で、こ・・・えっ?速記止まってたの?

ここで正式に速記が止まり、各政党の陣営が委員長席の周りに集まり、安倍さんは着席。

委員長の「速記を起こしてください」の声を受け、安倍さんは挙手し、再び委員長の氏名を受けて答弁に移ります。

あ、いや、今、委員長から、委員長から・・・(委員長から「静粛にしてください」とのアナウンス)

皆さんね、年金というのは制度の説明ですから。少しは時間がかかるんですよ。スローガンを言い合うことではないんですよ。で100年安心ではないという非常に重要な点を指摘されましたから、それに対して反論するのはですね、不安を煽らないためにも大切ではないでしょうか。

でそこでですね、簡単にお答えをいたします。簡単にいたします。アベノミクスの進展によってですね、もはやデフレではないという状況ができたことを反映してですね。今年度の年金は0.1%増額改定となりました。

でこれはですね、これは未調整だった分も含めて(委員長より、発言者のためにもご静粛にお願いします、とのアナウンス)将来世代のためのマクロ経済スライド調整を行った上で尚、現在の受給額がプラスの改定になったものであり・・・

これですね、皆さんにとって都合の悪い説明だと遮るんですか?皆さんにとって都合の悪い説明だと遮る・・・

で、これはですね・・・いいですか?、いいですか?

で、私が答えますから、いいですか?(蓮舫より、続けてください、どうぞ、との声)

これは、これまで未調整だった分も含めてまぁ将来世代のための、マクロ経済スライド調整を行った上で尚、現在の受給額プラスの改定となった。ものでありまして、現在の受給者、将来世代の相互にとってプラスとなるものであります。(委員長より「ご答弁は簡潔にお願いします」とのアナウンス)

で今、正確に制度についてですね、説明させていただいているんですが、『とめろよ』とか、ですね、『やめろよ』とかですね、大きな声出すのは皆さん、やめましょうよ。

で、尚デフレが・・・尚、ですね。(委員長より「ご答弁は簡潔に」とのアナウンス)

すみません委員長ですね、委員長ああいう大きな声出されてですね・・・・・・・・あ、いや私がですね、答弁し始めて10秒くらいたった段階でそうやって大きな声出されたら、説明できないじゃないですか。

これ皆さんにとって都合が悪い答弁だからですか?(蓮舫よりどうぞお話になってください、との声)

じゃ、じゃあよろしいですか? いや、つまりですね、マクロ経済スライドによって、マクロ経済スライドによって100年安心という、そういう年金制度ができたという事なんです。それ給付、いいですか、これ給付と負担のバランスですから。それを調整するものができた。

そして今年度においてはプラス改正ができた。かつマクロ経済スライドも発動された、マクロ経済スライドが発動されたという事が、大きなポイントであるという事は、これ、多くの方々ご理解いただいてないんで申し上げさせていただきたいと、こう考えております。

いやぁ・・・ひどい。安倍さん、ほとんど発言させてもらえていませんね。

当然繰り返し同じ文言を述べることになりますから、必然的に答弁も長くなっているのがわかると思います。

そう。実はこの「マクロ経済スライドが発動された」という話題、これ、本当にとても大切な事なんです。

と言ってもこの記事を読んでいる皆さんの中で、この「マクロ経済スライド」の事を正確にご理解していらっしゃる方がどの程度いらっしゃるでしょうか?

実は、今回の安倍さんの答弁を拝聴していて、私自身も本当の意味でこの「マクロ経済スライド」のことを理解できていなかったんだ、という事を思い知らされました。

私自身、この「マクロ経済スライド」については

第112回 マクロ経済スライドをわかりやすく~デフレ時・インフレ時のマクロ経済スライド~
第184回 マクロ経済スライドの改定内容をわかりやすくご説明いたします。①
第185回 マクロ経済スライドの改定内容をわかりやすくご説明いたします。②
第401回 年金と消費者物価指数~マクロ経済スライドの終焉~
第402回 マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーを中止すべきもう1つの理由

という5つの記事で話題にしてきました。

「マクロ経済スライド」についてわかりやすく簡潔にご説明しますと、そもそも日本の年金制度には、「物価・賃金スライド」という制度が反映されていることが前提となります。

「賃金スライド」に触れると説明が煩雑になるので、「物価スライド」のみを説明しますと、年金を受給する際、前年度と比較して物価(持家の帰属家賃を除く消費者物価指数)が下落すると年金は下落し、逆に上昇すると年金も上昇する、という単純な仕組みです。

ところが、2004年度に行われた改定以降、「物価スライド」において物価が上昇する場合、ここに「マクロ経済スライド」という新たな仕組みが導入されることになりました。

スライド調整率

この仕組みは、物価が上昇した際、「スライド調整率」というものを設け、物価がこのスライド調整率を上回らない限り年金は上昇しない、という仕組みです。

このスライド調整率は0.9と設定されていて、つまり物価が前年同月比で0.9を超えなければ年金が上昇することはありません。

スライド調整率の計算式としては、

 「公的年金全体の被保険者数の減少率(3年平均)に平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)」

とされており、つまりスライド調整率が0.9という事は、「公的年金全体の被保険者数の減少率」が0.6%だという事。

つまり、物価上昇率が1%だった場合、1%から0.9%を引いた0.1%が年金の上昇率だということになります。

更に30年度より、このマクロ経済スライドが反映されなかった割合が翌年に持ち越されることとなり、例えば物価上昇率が0.6%であった場合、0.3%分はスライド調整率を下回っていますから、翌年に持ち越されることとなったのです。

つまり、31年度に年金が上昇するためには、本来のスライド調整率である0.9%に昨年のスライド調整率未反映分0.3%が加算され、物価上昇率が1.2%を上回らなければ年金は上昇することはない・・・という非常にあくどい状況となっていた・・・はずだったんです。

ところが、です。


スライド調整率の引き下げ 0.9%→0.2%に

そう。今回の決算委員会における蓮舫との質疑応答の中で最も重要な情報はこちら。

私、安倍さんの口からこの話題が出たとき、一瞬画面を二度見しましたよ。一瞬のけぞったほどです。

文字起こししてみます。



先ほど申し上げましたように、100年安心というのはまさにマクロ経済スライドが発動される、という事でございますが、そのマクロ経済スライドについてはですね、平成28年までは、0.9だったものがですね、31年度においては0.2まで下がった。

これ、0.2まで下がったという事はですね、被保険者、つまり働き始めた人が増えた事によってですね、保険料収入が上がって、0.9が0.2に下がったわけでございますから、こういうものも含めて、プラス改定が可能になったという事でございますので、年金体制を支える経済基盤はより確かなものとなったという事は確認したいと思います。

びっくりですよ、はっきりいって。

私が真っ先に感じたのは、「スライド調整率って変わるんだ・・・」という、まさにその一言です。

しかも0.2って・・・(;'∀')

ほんと、びっくりしました。安倍さんは28年までは0.9だったといっていますが、0.9だったのは平成30年度まで。今年度から変更となっています。

加えて安倍さんが盛んに言っている「未調整だった分も含めて将来世代のためのマクロ経済スライド調整を行った」というのは、つまり平成30年度に反映しきれなかったスライド調整率分が31年度にキャリーオーバーされ、このキャリーオーバー分も吸収した上で0.1%増という受給率の改定が行われたと、つまりそういう意味です。

ちなみに30年度からキャリーオーバーされたスライド調整率は0.3。新しく改定されたスライド調整率が0.2。その上で受給率の改定が0.1という事ですから、つまり昨年度と比較して今年度の物価上昇率は0.6%だったってことですね。

スライド調整率が改定されていないままだったらキャリーオーバーされた0.3にスライド調整率0.9が加算された1.2から0.6をマイナスして、更に0.6が来年にキャリーオーバーされていたことになりますね・・・。

ちなみに安倍さんも言ってますけど、スライド調整率が改定されたのは、30年度と比較して公的年金の加入者の数が増えたから。

「公的年金全体の被保険者数の減少率(3年平均)に平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)」

というのが計算式ですから、スライド調整率が0.2%になったという事は減少率がマイナスになったという事。

0.3%から更に0.1%減少していますので、逆位言えば公的年金の加入者が0.1%増えたってことです。

特にその増加幅が顕著なのは「厚生年金」で最新のデータとして平成30年2月の厚生年金加入者(被保険者)の数が3916万人、安倍内閣初年度の加入者が3527万人ですから人数としては389万人の増加ですね。約9.9%の増加です。

その代わり、国民年金加入者は減っていますので、トータルで0.1%の増加という事になっています。

まぁ・・・しかしびっくりしました。

私、

第401回 年金と消費者物価指数~マクロ経済スライドの終焉~
第402回 マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーを中止すべきもう1つの理由
の二つの記事で年金局の人をまぁまぁディスってしまいましたが、こういう事だったんですね。改めて、お詫びを申し上げたいと思います。

蓮舫は安倍さんがこれほど大切な説明をしたことなど全く理解できていませんから、これに対して「全く誠実に答えていただけないことに本当に憤りを感じるんですが」と答えた上で話題を別の話題に切り替えています。

憤りを感じる前にまず年金制度のことくらい勉強してから安倍さんや麻生さんに質問しろ、とマジで言ってやりたいです。

本日は長くなりました。この記事の内容、ご理解いただけたでしょうか。「安倍内閣の成果」とは何なのか。

是非皆さんのお知り合いにもこの事をぜひ「シェア」していただければ幸いです。






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本日は2019年5月21日です。昨日2018年度のGDP速報(1次速報)が公表されました。

そう。公表されたのは「2018年度(平成30年度)」のGDP速報のはずなのです。ところが・・・

【日本経済新聞】2019/5/20 8:50
1~3月GDP、年率2.1%増 個人消費は0.1%減

内閣府が20日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.1%増だった。2四半期連続のプラス成長となった。10~12月期は年率換算で1.6%増だった。住宅投資や公共投資の増加がプラス成長に寄与した。QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.1%減で、年率では0.3%減だった。

生活実感に近い名目GDPは前期比0.8%増、年率では3.3%増だった。名目でも2四半期連続のプラスになった。

実質GDPの内訳は、内需が0.1%分のプラス、外需の寄与度は0.4%分のプラスだった。

項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。

輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。

個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが影響した。

設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。

総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.2%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.3%のプラスだった。

同時に発表した2018年度のGDPは実質で前年比0.6%増、生活実感に近い名目で0.5%増だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

経済に関連する記事なので、日経から記事は引っ張ってきました。

・GDP、年率2.1%増 1~3月期 輸入の落ち込み影響(朝日新聞)
・1~3月期GDPはプラス 市場の予想覆す 年率2.1%増 輸入減が押し上げ(毎日新聞)
・1~3月期実質GDP、年率換算2・1%増(読売新聞)
・1~3月期GDP 輸入急減、見かけ上プラス(東京新聞)

その他、主要各紙の記事タイトルは上記の通り。そう。どこにも「2018年度(平成30年度)」のGDPが公表された、と記している記事は存在しないんですね。

もちろん、2018年度第一四半期(4-6月)~第三四半期(10-12月)までのGDPは既に公表されていますから、「何をいまさら」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、にも関わらずなぜか「第四四半期(1-3月)の四半期別GDP」を「季節調整」し、更に「年率換算」した「年率GDP成長率」は掲載されています。

私、この傾向ははっきり言って異常じゃないかと思うんです。

「年率換算」に関しては、第140回の記事 にて、かなり詳細にご説明させていただいたことがあるのですが、これを転記する形で改めて皆さんにご理解いただきたいと思います。

【年率換算の計算方法】
1.第1四半期を前期、つまり前年度の第4四半期のGDPと比較して成長率を出します。
 第1四半期の成長率を1Q、前年度の第4四半期のGDPを4Q’とします。

第1四半期を前期比と比較した成長率
=(1Q-4Q')/4Q' この計算式を①とします。

2.①は「成長率」ですので、本体である4Q'に、1+①をかけたものが第1四半期のGDPになります。
第1四半期のGDP=4Q'×(1+①)×100

3.「年率換算」を行うときは、第一四半期の成長率が、第2四半期~第4四半期まで継続して続く、と考えるので

第2四半期のGDP=4Q'×(1+①)×(1+①)
第3四半期のGDP=4Q'×(1+①)×(1+①)×(1+①)
第4四半期のGDP=4Q'×(1+①)×(1+①)×(1+①)×(1+①)=4Q'(1+①)^4(^=乗数のことです)

となります。「年率換算」とは、この様な計算方法によって算出された第4四半期のGDPを前年度の第4四半期と比較した結果を算出するための計算方法です。

ですので、第1四半期の「前期比」を「年率換算」した計算結果は

{4Q'(1+①)^4-4Q'}÷4Q’×100={(1+①)^4-1}×100

これが「年率換算」の計算結果です。
もう少しわかりやすく表現すると、

〔{(1+第一四半期の成長率(前期比)}の4乗-1〕×100(%)

これが「年率換算」です。

私自身、かなり久しぶりに見ましたが、計算式を見るだけで脳がわきそうになりますね。

しかも検算をして1か所誤りを発見してしまいましたので、引用元の第140回の記事に赤で訂正を入れております。今回の記事では正しい計算式に修正しています。

そう。「年率換算」とはこのような計算式を用いて計算された、単なる計算結果に過ぎないということをぜひ覚えていていただきたいのです。

で、このような計算式に基づいて計算された「2018年度第四四半期」の「実質GDP」を「季節換算」したものの「2019年度の第四四半期」のGDPが「2018年度の第三四半期」と比較して2.1%増しになっています・・・という予言を行っているのがこの「年率換算」というものです。

ちなみに2017年度第四四半期の実質GDPの「年率換算」を行った値は-0.1%でした。

では、まる1年たった今、2018年度の第四四半期の「実績」と2017年度第四四半期の「実績」を比較するとどうでしょう。

2018年度第四四半期四半期を2017年度第四四半期と比較した実質GDPの「前年同月比」は0.8%です。

昨年の同じ時期に行われた実質GDP成長率は-0.1%であると予言されましたが、実際の結果は0.8%でした。

そうです。そもそもたった3か月間の「経済成長率」がまる1年間、同じペースで継続することなどまずありえないのです。にも関わらず、こんな「予言」がまるで事実であるかのようにして大騒ぎし、アベノミクスが成功だ、失敗だと大騒ぎしている連中に言いたい。

一体あんたたちは今年度当初に大騒ぎした厚労省による「毎月勤労統計調査」のデータ不正問題で一体何を学んだのだ、と。

あれだってそもそもその結果には「常勤雇用5名未満」の事業所のデータは全く含まれていない、「速報性」のみを重要視した、統計データとして参考程度にしかならないデータであることはあの事件が起こる以前からわかっていたことです。

ほんと、私からすれば今更感が半端ない事件でしかありませんでした。

あの事件から何も学べない人達がこの国では大多数を占めているのかと考えると、本当にうんざりする思いがします。体制派に対しても、反体制派に対しても同じことを感じます。せめてもう少し過去から学ぶ姿勢を身に着けてほしい、と。

ということで、私の発表する「GDP速報」は、

1.名目値、原系列を最重要視する。
2.季節調整、年率換算はフィクションにすぎないので検証する必要はない。
3.名目値に比較すると信頼性は落ちるが、物価を見る上で「参考」にはなるので実質値も検証はする。

という姿勢で記事を作成していきます。

数値は基本的に「名目値」「原系列」で、捕捉データとして「実質値」「原系列」を掲載します。


2018年(平成30年)度GDP第四四半期1次速報

【2018年度GDP第四四半期第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 137.893 兆円(0.9%)

 民間最終消費支出 75.806 兆円(0.4%)
 家計最終消費支出 74.132 兆円(0.4%)
  除く持家の帰属家賃  61.608 兆円(0.4%)

 民間住宅  4.211 兆円(2.6%)
 民間企業設備 25.364 兆円(2.4%)

実質GDP
全体  135.632 兆円(0.8%)

 民間最終消費支出 74.785 兆円(0.4%)
 家計最終消費支出 72.983 兆円(0.3%)
  除く持家の帰属家賃  59.448 兆円(0.2%)

 民間住宅 3.852 兆円(1.2%)
 民間企業設備  24.665 兆円(1.6%)

内閣府


さて、いかがでしょうか。日経新聞の記事に目を通してみますと、

・項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。

・輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。

・個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが影響した。

・設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。

との内容が記されています。もちろんすべて「実質値」に対する記事なんですが、私が受容視するのは実質値ではなく名目値です。

名目値を算出する際でさえ、詳細なデータ把握ができているのPC、デジカメ程度のもので、それ以外の消費額はすべて計算式によって人為的に算出されたもので、はっきり言ってデータとしては疑ってかかるべきデータだと私は考えています。それを最初から信用し、真に受ける方がおかしい。

だからこそそのデータを検証し、どの程度信頼性があるのかと検証すべきもの、それが「名目GDP」です。

もちろん年率換算や季節調整されたものとは違い、全くのデタラメのデータではありませんから、「原系列」で数字を追いかけることには意味があると私は思っています。

ですが、「実質値」とは、そんな信憑性に疑いの余地があるデータを、更に「消費者物価指数」というまた新たに計算式を用いて算出されたもので割って求めたデータです。(※消費者物価指数で割って算出するのは『民間最終消費支出』内のデータに限ります)

そして、

 「名目値」=「売上(または消費)総額」
 「実質値」=「売上(または消費)数量」
 「GDPデフレーター」=「売上(または消費)単価」

のそれぞれ最大値であることを考えると、日本国全体の「支出」を見るためのデータである「支出側GDP」を、その消費単価(デフレーター)を全く考慮せず、単に消費数量(実質値)だけで考えることは非常に意味がないと考えていますので、はっきり言って名目値よりも実質値が重要視される現状もまた異常だと私は考えています。

ですが、マスコミ側の意図は実質値こそ生活の実感に近いという誤った意識の下、更に計算方法すら明確に説明することができない「季節調整系列」を用いた予言の数字である「年率換算」を行った数字が現在の日本の「現状を示している」という意図をもって記事を記していますので、私が正しいと考える「日本の現状」とそれを比較する形で記事を作成していきます。


・項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。

住宅投資は2.6%増です。記事では三四半期連続のプラスと記されていますが、四半期別で考えるのなら、住宅投資は五四半期連続でマイナスでした。実に1年と1四半期ぶりのプラス成長です。

ですが、それ以前の上昇幅が6%や7%といった非常に大きな幅での上昇率を8四半期連続で記録していますので、その反動だったと考えることができます。

公共投資、即ち「公的資本形成」は-0.7%。実は四四半期連続の前年度割れです。ただ、それ以上に民需が活発ですから、ここに着目して言及することは控えたいと思います。


・輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。

なんだかあたかも「輸出減」が突然問題になったかのような記事の作成の仕方ですが、実は第三四半期において、GDPが前年度割れを起こしていたのですが、その最大の理由は「輸入額の上昇幅を輸出額の上昇幅が上回ったこと」でした。

17年(暦年)は輸出額が前年度比で10%を超えるペースだったものが、18年(暦年)に入って上昇幅を縮小し始め、これが18年度第四四半期に入って下落に転じた、というのが本当のところです。

今期、「輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している」などともっともらしいことを記すのなら、のなら、なぜマスコミは第三四半期、他の項目は民間住宅以外全てプラスなのに、輸入額の上昇幅が輸出額の上昇幅を大幅に上回ったためにGDP全体としては前年度割れを起こしたことを全く騒がなかったのでしょうか?(第460回の記事 参照)

私には不思議でなりません。ちなみに今期の統計データで前年度割れを起こしているのは「公的資本形成」「輸出額」「輸入額」の3項目のみで、他の項目はすべて前年度を上回っています。

毎日新聞は「1~3月期GDPはプラス 市場の予想覆す 年率2.1%増 輸入減が押し上げ」などと、さも輸入額の減少ににGDPが上昇した原因があるかのように記していますが、

輸入額の減少幅など5260億円にすぎません。輸出額から輸入額を差し引いた「純輸出高」は7090億円、2017年度第四四半期の純輸出高は1.102兆円ですから、これと比較すると3930億円のマイナス。純輸出高でみれば、輸出入額はむしろGDP全体を押し下げる働きをしています。

にも関わらずGDP全体では昨年同期と比較して1.3兆円成長した、というのが2018年度第四四半期の「輸出入」に対する正しい評価です。


個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが影響した。

もうお解りですね。個人消費、つまり「家計最終消費支出」は「持家の帰属家賃」を除いたものとともに前年度比0.4%の上昇です。

実に2年1四半期連続の前年度増しです。

ちなみに「消費者物価指数」で見すと、確かに「被覆及び履物」の費目の内「衣料」が1月△0.3、2月△0.8、3月△0.4と前年度割れ、食料全体に関しても1月△1.5、2月△1.4、3月△0.3と前年度割れが続いていますが、ここから「生鮮食品」を取り除くと1月0.6、2月0.6、3月0.8と前年度を上回っており、「食糧及びエネルギーを除く総合」で見ても三か月連続で0.4と前年度越え。

これを見て「消費意欲が冷え込んだ」と言えるのか、私には非常に疑問です。

「消費者物価指数」は消費者の消費状況が反映されたものです。

「消費者物価指数」を算出する際に用いられる「連鎖指数」が前年のものを用いているため、消費者物価指数が急激な「価格変動」を反映しきれていないことは事実ですが、それがもし負担となるのならば他の費目の物価が影響を受けるはずです。

ですが、そうなっていない以上、「消費が冷え込んだ」とする日経のコメントは誤っているのではないか、と私は思います。


設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。

設備投資費・・・マイナスですか?

前年度と比較して実に2.4%の前年度増し。前期の4.8%には及びませんが、実に2年1か月連続の「前年度増し」です。設備投資を控えてますかね?

ちなみに1月は決算期だからでしょうか。他の項目は12月が含まれる第三四半期の数字がすべて大きくなっているんですが、「設備投資費」だけは第四四半期の数字が毎年度大きくなっているんです。

そう。つまり企業設備投資費に限れば、第四四半期の数字は第三四半期の数字よりも大きいんです。これは実質値で見ても同じ傾向がみられます。

にも関わらず、これを「前期比」で見ると名実共にマイナスとなっています。

前年度を2.4%も上回っていて、原系列で見れば12月を含む「前期」を上回っている「企業設備」が「季節調整、年率換算」を行うとなぜか名目で4%、実質で1.2%のマイナス成長になる・・・という非常に不思議な現象となっております。

こんな数字をまともに相手にする方がいかれてます。一体どんな計算式なんでしょうね、「季節調整」って。ほんと、謎すぎます。


2018年(平成30年)度GDP第1次速報

さて。それではいよいよ「2018年(平成30年)度」全体でのGDP速報です。
【2018年度GDP第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 550.098 兆円(0.5%)

 民間最終消費支出 305.397 兆円(0.7%)
 家計最終消費支出 297.200 兆円(0.6%)
  除く持家の帰属家賃  247.149 兆円(0.7%)

 民間住宅  16.767 兆円(△2.6%)
 民間企業設備  89.648 兆円(4.1%)

実質GDP
全体  535.186 兆円(0.6%)

 民間最終消費支出  300.048 兆円(0.4%)
 家計最終消費支出  291.923 兆円(0.3%)
  除く持家の帰属家賃 237.985 兆円(0.2%)

 民間住宅  15.367 兆円(△4.2%)
 民間企業設備 87.124 兆円(3.2%)

内閣府


いかがでしょうか。


民間住宅について

既にお伝えしています通り、「民間住宅」に関しては第一四半期~第三四半期までの数字が前年度を大きく下回っていますので、トータルで見ても名目で2.6、実質で4.2%の前年度割れとなっています。

ただし、「物価上昇率」で考えますと、物価上昇率=名目(△2.6)-実質(△4.2)=1.6%の物価上昇となっています。

ミクロベースで表現するとすれば、売上総額、売上数量とも前年度を大きく下回りましたが、売り上げ単価としては前年度を1.6%上回る売り上げであった、との表現になります。


「個人消費」について

個人消費については「家計最終消費支出」を見ます。第470回472回473回 の記事でも取り上げた話題です。

「家計最終消費支出」に関しては、全体では「持家の帰属家賃」というフィクションの数字が含まれていますので、「除く持家の帰属家賃」で考えます。

名目が0.7%の前年度越え、実質が0.2%ですから、物価上昇率は0.5%。

昨年度が名目1.7%、実質1.1%、0.6%の物価上昇率でしたから、やや減速はしていますが、消費総額としては前年度を上回る値で完了しました。

目標として「2%の物価上昇」を目指す項目ですが、「物価」も「消費数量」も前年度を上回り、同時に「消費総額」も前年度を上回ったわけですから、安定した経済成長を遂げたといえるのではないでしょうか。


企業設備投資

こちらは名目が4.1%、実質が3.2%増で0.9%の物価上昇率となっていますから、これは大成長と言ってもよいのではないでしょうか?

「大企業ばかりがもうかって、労働者には回ってこない」と主張する輩もたくさんいますが、私がシリーズ 中間層の見方 でお示ししましたように、各所得層を100万円ごとに切ってみても、その「所得層」の水準が上昇してきていることがわかります。

引用したシリーズは27年までのデータしか掲載していませんが、最新で平成29年までの情報が既に公表されており、引用シリーズに掲載した状況は未だに継続しています。

「中間層の見方」に関しての記事は近いうちに更新したいと思います。

このような傾向からも、「大企業ばかりがもうかって・・・」という理屈は既に通用しなくなっているのではないかと私は思います。


GDP全体を通じて

まとめに入ります。

GDP全体で見ますと名目で前年度比0.5%とそう大きく伸びていないように見えるかもしれません。

ですが、名目全体で見ても下落しているのは「民家住宅」と「公的資本形成」の2項目のみ。それ以外はすべてプラス成長しています。

GDPを引き下げる要因として大きく働いているのはやはり「純輸出額」の下落。2017年度の4.934兆円から9875億円に下落しており、下落幅としては4兆円近くの下落幅。

GDP全体が550兆円ですから、GDPに対する割合としては0.7%に上ります。

このような状態にも関わらずGDP全体としては0.5%成長したということを考えれば、実に堅調な経済成長であったということができるのではないでしょうか。

「年率換算」などというフィクションの未来予測の数字に大騒ぎするのではなく、一つ一つ、今起きている現状を正確に判断できる冷静な視点を持つことこそ、私たち「国民」に求められている視点なのではないかと、そう思えてなりません。




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<継承する記事>第472回 明石順平氏説を妄信する皆様へ②~GDP改定と消費支出~

前回の記事 でもお伝えしました通り、本日は「統計で人を騙す方法」のタイトルで記事を作成してみます。

今回の内容がちょっとした続き物になってしまいましたので、連続して読めるよう、バックナンバーを張り付けておきます。

 第470回 明石順平氏説を妄信する皆様へ~実質賃金と実質消費の見方~
 第472回 明石順平氏説を妄信する皆様へ②~GDP改定と消費支出~

今回の記事が第三弾で「統計で人を騙す方法」となっております。


前回のダイジェスト

繰り返しになりますが、今回のシリーズはタイトルにもある明石順平氏(弁護士)が行った以下のツイート。



これに対して私が以下の投稿をしたところ

①実質消費支出は、二人以上世帯のみのデータで、二人以上の名目消費支出を一人世帯、及びその他の消費者まで含めた全体の消費者物価で割っているので、本来平行線となるべき実質消費支出に、本来含むべきではない一人世帯、及びその他の消費者の物価上昇が反映されている。
※①については正確ではなく、前回記事で訂正情報を掲載しています。

②「物価」は「価格」の増減のみで決まる訳ではなく、「消費量」が伸びなければ増加する事はない。つまり、消費者物価の伸びは、「価格」に関わらず消費量が増えている事を示している。

③給与所得者に限定すると、「物価」とは受け取った名目賃金の内、「消費」に回された額で決定するため、一部例外を除き、物価の伸び率が名目賃金の伸び率を上回る事はない。例外とは、給与所得以外の収入、過去に蓄積した貯蓄、借入の3つ。

④実質賃金とは、つまる所、給与所得者が受け取った賃金をどれだけ貯蓄に回す事ができたのか、その増減を示す数字なので、名目賃金が上昇する中で実質賃金が下落するという事は即ち消費が活性化しているという事。ちなみに物価が上昇すると実質賃金は過小評価され、下落すると過大評価される。

以上の事から、明石氏のグラフは黄色線のみがデタラメなデータであり、他のデータは安倍内閣に入って「消費」が活性化している事を証明しているグラフである。

明石順平氏から何の反論もなくブロックされた・・・というのが記事を作成し始めたきっかけとなっております。

で、特に「実質賃金」というキーワードに対し、おそらく次回参院選でこれを論点にしようと考えている政党を支持する皆様が「実質賃金の下落=アベノミクスの失敗」とする主張を盛んに行っているのが今のネット世論の現状です。

ですが、これまでの2回の記事でも散々ご説明させていただきました通り、名目賃金が上昇する中での実質賃金の下落は消費が活性化していることを意味しており、これはむしろアベノミクスが成功していることを示している数字です

で、私が行うこの様な実質賃金に関連した話題に対し、「消費はずっと縮小している」という反論がテンプレートのようにして返ってきます。

その根拠とされるのが先ほどお示しした明石順平氏のツイートです。特に投稿されている次の画像。

D5NqQqZUcAA7oYa.png

ここにある黄色のライン。明石氏が「実質世帯消費動向指数」として掲載しているグラフです。

このグラフは「世帯別消費動向指数」なので、国内の一つ一つの「世帯」ごとの消費支出を平均したデータになっています。これを「消費者物価指数(除く持家に帰属する家賃)」で割った実質のデータとなっていますから、物価が上昇する中では更に過小評価されたグラフです。

ですが、これを世帯ごとではなく、「全世帯」で合算して考えますと、次のような推移となります。

総消費動向指数(名目)

そう。特に安倍内閣がスタートした2013年以降で考えますと、2016年を除き、継続的に「消費」は増え続けていることがわかりますね?

世帯別と世帯合算でここまでの開きが出るのは「世帯数が増えた」からに他ならないわけですが、これに対し、テンプレートで返ってくる反論が、以下のグラフです。

20180501203523.png

「平成17年度(2005年度)」基準で作成した「家計最終消費支出」の動向を示したグラフです。名目か実質かまでは現時点では私にはわかりませんが。

「家計最終消費支出」とは、「GDP統計」の内「支出側GDP」の項目「民間最終消費支出」に含まれるデータです。

GDP統計は、2016年(平成28年)に改定が行われています。「総消費動向指数」は「全世帯の消費動向」を合算した数字なのですが、統計局のホームページにはこれが「GDP統計の『家計最終消費支出』」に当たることが記されています。

「総消費動向指数」とは、つまり「家計最終消費支出」を指数化したものなんですね。

特に総消費動向指数は平成28年のGDP改定に伴って新しく加えられたデータであり、相手方の主張としてはつまりこの統計が「安倍内閣の実績をよく見せるために、『かさ上げされた』統計データである」という主張を行っているのです。

で、またテンプレートのようにして張り付けられてきたのが以下のリンク先ブログ記事です。

モノシリンの3分でまとめるモノシリ話
明石順平氏のブログです。

正直申しますと、私はこの情報を示された時点では「消費動向指数」と、この指数が作成されるまで同じ情報として利用されていた「家計消費指数」の区別がついていませんでしたから、混同していたのは事実です。

「家計消費指数」についての何らかの修正が進んでいたことは知っていたのですが、私の頭の中の情報としては、「二人以上世帯について集計した『実質』を見るためのデータ」程度の認識しかありませんでした。

第165回の記事 で一度話題にしたことがあるのですが、元々日銀で「消費活動指数」というものが公表されていたので、私とするとこれと「家計消費指数」は似たようなもんだろう、という程度の認識でいたことは事実です。

ただ、おかげ様でこの「消費」に関するデータに関する知識を深めることができました。やはり議論はしてみるものだなと改めて思います。


少し話がそれました。先方が提示してきた明石順平氏のブログに掲載されていたのは「平成17年度基準の『家計最終消費支出』の推移を示したグラフでしたから、この時点で私はこれが2016年(平成28年)に行われたGDP改定に伴う変更であることはすぐにわかりました。

この改定とは、「産業関連表」に関する修正(第192回の記事 をご参照ください)で、2015年までは明石氏のグラフにあるように、「平成17年(2005年)基準」で作成された産業関連表が使用されていたのですが、2016年からは「平成23年(2011年)基準」で作成された産業関連表に更新されました。

明石氏のブログには、当然この「平成23年基準」の家計最終消費支出グラフも掲載されています。

20180501203934.png

2014年→2015年にかけてのグラフの勾配を見てみますと、17年基準のものは下落していますが、23年基準のものは上昇しています。

私に反論してきた皆さんは、この状況を以て「安倍内閣で行われた変更で、データがかさ上げされたのだ」という主張を行ってきました。つまり、そんな怪しいデータは信用できない、と。

私が作成した「総消費動向指数」のグラフは、23年基準の家計最終消費支出を指数化したものですから、基本的にグラフの勾配は同じ勾配になります。

ですが、そもそも17年(2005年)基準と23年(2011年)基準の違いは「産業関連表」の更新に伴う変更であり、むしろそれまで2005年基準のものが使用されていたことの方がおかしいわけです。

で、この主張を行うと何人かの人は私のタイムライン上から姿を消すわけですが、現時点で最も最近に議論した方から「明石氏のブログでは、そんな事は織り込み済みだ」という主張を行ってきたのです。

総消費動向指数は世帯別消費動向指数に世帯数を掛けたものなのだから、これと「家計最終消費支出」の間に違いが出るのはおかしい、とする主張です。

ここからが本日のテーマになります。


「統計」で人を騙す方法

私は正直言って明石氏のブログなど見る気は一切ありません。相手と議論を進める上で必要な情報に関しては見るわけですが、それも必要最小限です。

ですから、彼のブログに何が書いてあるのか、それほど理解することのないままに議論を進めていました。

私は相手の「総消費動向指数は世帯別消費動向指数に世帯数を掛けたものなのだから、これと『家計最終消費支出』の間に違いが出るのはおかしい」とする主張に対し、「家計最終消費支出」が「17年度基準」のものを言っていると思い込んでいますから、相手が

「消費動向指数とは家計最終消費支出を指数化したものである」

ということを理解していないのではないかと考え、そういった指摘を行います。

ですが、これに対し彼が提示してきたのは以下のグラフでした。

20180211161842.png

実はこのブログ、明石氏のブログの先ほどリンク先を張り付けた記事の中に掲載されていたのですが、最初この画像を相手がどこから引っ張ってきたのかが全く理解できませんでした。

そして、画像のURLを見て初めて、これが明石氏のブログに掲載されている画像だということがわかりました。

これは正直びっくりしました。私は「世帯数の推移」を示すデータは国勢調査のものしか存在せず、4年に一度集計されているものとばかり思っていましたから。

明石氏のブログの情報から検索を掛けてみますと、確かに統計局のHPに掲載されていました。
世帯数時系列データ(29年版)

この段階で私は初めて明石氏のブログを真剣に読み進めることとなりました。

先ほどの画像の箇所から画面をスクロールしますと、すぐに以下のようなグラフが登場します。

20180211163523.png

このグラフを見た段階で、私の頭の中はちょっとしたパニック状態になりました。

青いグラフは「家計消費指数(世帯別消費動向指数に相当)×世帯数」のグラフ。赤いグラフは「家計最終消費支出(総消費動向指数に相当)」のグラフです。正確に言えば、青いグラフは「家計最終消費支出」を「2002年基準で指数化」したもの。青いグラフは家計消費指数を「2002年基準に計算しなおしたもの」です。

確かにギャップが大きいんですね。ちなみにこのグラフのすぐ上には同じ比較を17年基準のものと行ったグラフがありました。

20180211163245.png

確かに17年基準のグラフだとその推移がリンクしているように見えます。

ここまでの開きが出る理由を必死に頭の中で考えていたのですが、全く答えが出てきません。つまり、これらのグラフを否定する理由が思いつかないわけです。

そこで私はまず同じグラフを自分でも作成してみようと考えました。

明石氏のブログにも掲載されているのですが、統計局の世帯数のデータには大規模災害が起きた際の世帯数が加算されていません。明石氏はそれぞれの年の世帯数に、各都道府県で公表されている世帯数を加算して「補正」を行っています。

この辺りはさすがだなと思いました。ですので、世帯数に関してはあえて私の手元で計算することはせず、明石氏のグラフに掲載されている世帯数をそのまま用いて作成しました。それが、次のグラフです。

総消費動向指数比較

このグラフは「世帯別消費動向指数×世帯数」と「総消費動向指数」を比較したもの。

いかがでしょう。簡易的に作成したもので、期間が短くなっていますので改めて明石氏のグラフと同じ、「2002年」からスタートするグラフも作成してみます。(※上グラフの2016年の数字が誤っていましたので下グラフでは修正しています

総消費動向指数比較

いかがでしょうか。グラフの配色も明石氏のものに合わせてみました。

            20180211163523.png

どうでしょう。全く印象が変わりませんか? 全く同じデータを用いて作成したグラフです。何が違うのでしょうか。

違うものが2つあります。

まずは一つ、ご覧いただきたいのは、私の作成したグラフの下部に示している「データテーブル」。

2015年のところをご覧いただくと、共に「100」になっていますね? これは、このグラフの「基準年」が2015年ですよということです。

ですので、2015年の「世帯数×世帯別消費動向指数」と「総消費動向指数」が共に100となっています。

明石氏のグラフでは、「2002年」が基準となっていますね? 私のグラフと明石氏のグラフの最大の違いはここです。

あと一つ、私のグラフは最終年が2017年になっていますが、明石氏のグラフでは2016年となっています。

明石氏のグラフでは2105年と2016年に矢印をつけることで、あたかも両年の世帯別集計と総消費との間にものすごい開きがあるかのように「印象操作」を行っていますが、この情報は全く正確ではなく、単に明石氏が基準年を2002年においてグラフを作成しているため、2015年になって突然開きが大きくなったかのように見えるだけ。

両年の「世帯別」の消費支出が下落しているのは事実ですが、明石氏はグラフの基準年を操作することによって「情報操作」を行っているのです。

更に、

      20180211163245.png

こちらのグラフは明石氏が作成した「2002年を基準年」とし、「2005年の統計方法」を用いて作成したグラフ。ややこしいですが、ここまで読んでいただいた方であればご理解いただけるのではないでしょうか?

このグラフを見ていただくと、最終年が2015年になっていることがわかりますね?

なぜ2015年までしか存在しないのか。簡単なことです。「2005年の統計方法を用いて作成した『家計最終消費支出』のデータ」が2015年のものまでしか存在しないからです。これは明石氏も把握しているはずです。

ですが、にも関わらず

            20180211163523.png

こちらのグラフでは、最終年が2016年。一年余分にデータが存在するのです。そして「17年基準」の資料には存在しないはずなのに、23年基準の資料では「2016年のデータ」にまで矢印をつけることによって、あたかも2015年~2016年の数字が23年基準では「かさ上げされている」かのように印象操作を行っているのです。

では、改めて両年のデータを「2015年基準」のデータで比較してみましょう。

総消費動向指数比較2

17年基準家計最終消費支出比較

いかがでしょう。私まで「印象操作」をしてしまわないよう、敢えてグラフ縦軸の最小値と最大値は同じ値にしています。

このようにしてみると、確かに17年基準の方が乖離が少ない様に見えますが、これも一種の「基準年のマジック」です。

2014年から2015年の変動を見ていただきますと、総消費動向指数(23年基準家計最終消費支出)は横ばいですが、17年基準では下落しています。

これだけの違いです。

逆に2012年から2013年の伸び率でみれば17年基準の方が23年基準よりも上昇率が大きくなっています。この事も23年基準のグラフの2015年基準で作成した場合の乖離が大きくなっている理由の一つです。

つまり、基準年を変えればグラフの印象などどの程度にでも操作できるということです。明石氏がこれを知ってやっているのか知らずにやっているのかは知りませんが、もし知ったうえでやっていたのだとすれば最悪ですね。これで書籍を売って利益を得ているんですから、はっきり言って詐欺師です。


もう一つの印象操作

気づいていらっしゃる方がいるかどうかはわかりませんが、先ほど私が作成したグラフ、世帯数に対し、共に「世帯別消費動向指数」を掛けて作成していますよね?

世帯別消費動向指数が登場したのは2018年の事です。これは過去にさかのぼって反映されているのですが、実は基準年である2015年以前のデータは「23年基準の家計消費指数」と同じ数字になっています。

そう。つまり私は両方のグラフで、「世帯数」に対し、「23年基準の家計消費指数」を掛けてグラフの青いラインを作成しています。

ですが、もちろんこの「23年基準の家計消費指数」にも、「家計最終消費支出」と同じように「17年基準の家計消費指数」が存在します。

もし「17年基準の家計消費指数」と「世帯数×家計消費指数」を比較するのであれば、当然「17年基準の家計消費指数」と比較するべきです。

ですが、なぜ私は17年基準の家計最終消費支出を比較する上で「23年基準の家計消費指数」を用いたのでしょう?

答えは簡単です。17年基準の「家計消費指数」は2011年(暦年)の第二四半期(4月~6月)までのものしか存在せず、年別のデータは2010年までのデータしか存在しないからです。

では、私はなぜデータが存在しないはずなのに、わざわざ「23年基準のデータ」まで用いて「17年基準の家計最終消費支出」と比較するためのグラフを作成したのでしょうか?

答えは簡単です。明石順平氏が、存在しないはずなのに、なぜか「2011年~2015年」までの「家計消費指数」と「世帯数」を掛けたデータで作成したグラフを、「23年基準で作成した家計消費支出がかさ上げされたデータである」とする根拠として作成し、公開していたからです。

とても不思議ですね? 明石順平氏の「2011年~2015年までの家計消費指数」のデータは、一体どこから湧いて出たのでしょうか?

答えは一つしかありません。明石順平氏は自ら「23年基準の『家計最終消費支出』」がかさ上げされたものであるといいながら、17年基準の家計最終消費支出と比較するための資料として23年基準の家計消費指数を用いているんですよ。

証拠? 証拠なら簡単に作成できます。

17年基準家計最終消費支出比較2

こちらが、私が作成した「17年基準の家計最終消費支出」と「世帯数×23年基準の家計消費指数」とを比較するグラフです。

20180211163245.png

一方、こちらが明石氏が作成した、「17年基準の家計最終消費支出」と「世帯数×家計消費指数」とを比較するグラフ。この家計消費指数が一体いつのものを参照して作成したのか、この時点ではわかりませんね?

では、次のグラフを見てみましょう。

17年基準家計消費指数×世帯数比較

着目していただきたいのは2007年~2008年にかけての部分。

明石のグラフでは2007年に茶色のライン、即ち「平成17年基準(家計最終消費支出)」のラインが上に来ていて、2008年では逆に青いライン、即ち「世帯数×家計消費指数」のラインが上にきていますね?

ですが、私が作成した「17年基準の家計消費指数」を世帯数に掛けたグラフでは、これが逆になっているのがわかると思います。

では、もう一度私が作成した「『17年基準の家計最終消費支出』と『世帯数×23年基準の家計消費指数』とを比較するグラフ」を見てみましょう。

17年基準家計最終消費支出比較2

いかがでしょうか? 明石氏のグラフと同じ状態になっているのがわかりますね?

即ち、明石氏は「23年基準の家計最終消費支出でかさ上げしたデータが用いられている」といいながら、自分自身が17年基準の家計消費支出と比較するためのデータとして、23年基準の家計消費指数のデータを用いているのです。

非常に矛盾していますよね? 詐欺師明石順平さん。

ではなぜ彼がこのような「印象操作」を駆使してブログ記事を作成したのか。この部分は私ではなく、この記事を読む皆さんに考えていただきたいと思います。


最後に・・・

長文になり申し訳ありません。

あと一つだけ軽く触れておきたいことがございます。

総消費動向指数比較

ここからは私自身が作成したグラフを用いて記事を進めていきます。

このグラフ中で、2015年~2016年にかけて、青いライン。即ち「世帯数×世帯別消費動向指数」が確かに急落しており、

 「ギャップの話は確かに言う通りかもしれないけど、消費は縮小しているのではないか」

と考える人もいるのではないかと思いますので、この部分につい少しだけ触れておきます。

「世帯別消費動向指数」という統計データでは、私が記事を作成している「消費者物価指数」同様、「10大費目別」のデータが掲載されています。

「10大費目別」、即ち

「食料」「住居」「光熱・水道」「家具・家事用品」「被服及び履物」「保健医療」「交通・通信」「教育」「教養娯楽」「その他の消費支出」

この10の「費目」です。

2015年~2016年にかけては、第225回の記事 などで散々話題にしましたように、ちょうど消費増税が行われた2014年7月頃から海外で原油価格が急落し、日本国内でもガソリンをはじめとするいわゆる「エネルギー価格」が急落した時期がありました。

通常「価格」が下落すると「物価」は上昇に転ずる傾向があるのですが、これは消費者物価指数全体で見ても物価上昇が追い付かないほどに急落しました。

「前年同月比」で見る限り、この傾向は2016年11月頃まで続き、同年12月になってようやく底を打った感じです。

「世帯別消費動向指数」を見ても同時期にこの傾向が見られ先ほどお示しした「10大費目」の中でも特に「住居」「光熱・水道」「交通・通信」にこの傾向が強く見られます。

特に2016年により顕著に表れています。

「住居がなぜ?」と思われるかもしれませんが、「住居」の中で大部分を占めるのが「家賃(持家に帰属する家賃を含む)」です。

直接関係があるかどうかは不明ですが、個人的には家賃の下落にエネルギー価格の下落は影響しているのではないかと考えています。

わたしの考えが正解である、と断言するつもりは毛頭ありませんが、そのような考え方もあるのだということはご承知いただければと思います。



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<継承する記事>第470回 明石順平氏説を妄信する皆様へ~実質賃金と実質消費の見方~

第470回の記事 の中で私、「明石順平」という人物についてご紹介しました。

私が彼についての記事を作成するきっかけとなったのは、彼がTwitterに投降した以下のツイートが原因です。



で、上記ツイートに対し私が

①実質消費支出は、二人以上世帯のみのデータで、二人以上の名目消費支出を一人世帯、及びその他の消費者まで含めた全体の消費者物価で割っているので、本来平行線となるべき実質消費支出に、本来含むべきではない一人世帯、及びその他の消費者の物価上昇が反映されている。
※①については正確ではなく、前回記事で訂正情報を掲載しています。

②「物価」は「価格」の増減のみで決まる訳ではなく、「消費量」が伸びなければ増加する事はない。つまり、消費者物価の伸びは、「価格」に関わらず消費量が増えている事を示している。

③給与所得者に限定すると、「物価」とは受け取った名目賃金の内、「消費」に回された額で決定するため、一部例外を除き、物価の伸び率が名目賃金の伸び率を上回る事はない。例外とは、給与所得以外の収入、過去に蓄積した貯蓄、借入の3つ。

④実質賃金とは、つまる所、給与所得者が受け取った賃金をどれだけ貯蓄に回す事ができたのか、その増減を示す数字なので、名目賃金が上昇する中で実質賃金が下落するという事は即ち消費が活性化しているという事。ちなみに物価が上昇すると実質賃金は過小評価され、下落すると過大評価される。

以上の事から、明石氏のグラフは黄色線のみがデタラメなデータであり、他のデータは安倍内閣に入って「消費」が活性化している事を証明しているグラフである。

という投稿を行ったところ、彼から一切の反論もなくブロックされた・・・ということをきっかけとして前回の記事を作成しました。

で、「実質賃金の下落」という情報を「アベノミクスの失敗だ」と盛んに吹聴している連中が少なからずおりまして、そいういった連中がまるで教祖のようにして崇めているのがこの明石順平という人物です。

で、なぜ実質賃金の下落=悪玉論者たちがここまでこの明石順平という人物を信奉するのか。今回の記事のテーマの中心はこの話題です。


「実質消費」が下落する理由

まずは前回のおさらいです。

明石氏の投稿で用いられている次のグラフ。

D5NqQqZUcAA7oYa.png

「実質消費動向指数」について、前回の記事ではその理由が独立して一人暮らしを始める世帯や、結婚して新婚生活を始める世帯が増えたため、世帯数は増えたものの、一世帯を構成する人数が減少したためだ、という情報を掲載しました。

その根拠としたのが以下のグラフです。

総消費動向指数(名目)

こちらは「総消費動向指数」というもので、一人暮らし~二人以上の全世帯を合算した、「消費」の動向を示したものです。

2012年以降で、増税年とその翌年を除けば「総消費動向」は上昇し続けていることがわかりますね。

「総消費動向指数」は「世帯数」に「世帯別消費動向指数」を掛けたものですから、「世帯別消費動向指数」が下落する中で「総消費動向指数」が上昇する原因は「世帯数」が増えていること以外にあり得ません。

明石氏の「世帯別消費動向指数」は「実質」ですが、これは名目で見ても同じ傾向がみられます。

総世帯別消費動向指数

「実質消費」とやらが減少する理由が「独立して一人暮らしを始める世帯や、結婚して新婚生活を始める世帯が増えたため」だということは、この二つのグラフを比較すれば一目瞭然です。

で、私の中ではここまでで決着がついていたのですが、Twitterの中で私が明石氏のツイートが上記のような理由で「デタラメである」との指摘を行うと、いくつかの反論が返ってきました。

そして、ほぼ100%の確率で示されたのが以下のブログ記事です。

モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

記事タイトル名は「おいおい,総務省統計局が怪しい数字を開発したぞ。みんな拡散して」となっています。

「総消費動向指数」と「家計最終消費支出」

彼らの指摘によれば、私の主張などこの記事の中で既に反論されている、いうわけです。

ブログの作者はもちろん彼らの教祖、「明石順平」です。

明石順平が同名のブログを作成していたことは前から知ってはいたのですが、何が書いているのか、大体想像がつくので、中まで入って読んだことはありませんでした。

ですが、私の主張が既に反論されている、とのことですから、少し見てみることにしました。で、現れたグラフが以下のグラフです。

20180501203523.png

私、前回の記事 で少し触れましたね。

「総世帯別消費動向指数」は、その名の通り、「世帯別」の消費動向指数です。ですが、「総消費動向指数」は、すべての世帯を合算した消費動向指数のこと。

GDPの項目で言えば、「家計最終消費支出」と同じものです。

計算式で言えば、「総世帯別消費動向」×「世帯数」を指数化したもの。

と。上記グラフのタイトルは、「平成17年基準家計最終消費支出」と書かれていますね。

これを見た瞬間、ピンときました。

今回と前回の記事は基本的に「実質賃金」や「実質消費」の正体を暴くことを目的としているわけですが、この話とは別に。

あちら側界隈で安倍内閣において「GDPのかさ上げ」が行われているとする論説をよく見かけることがありました。この事だな、と。

そう。「家計最終消費支出」とは、「GDP統計」の一項目である「民間最終消費支出」内に記されている項目のこと。私自身も記事を作成する際によく用いている数字です。「GDP統計の改定」については、実は私、改正が行われた段階で既に記事を作成しておりまして、

 第192回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より①
 第193回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より②
 第194回 「財政投融資債」とは何か?/「一般会計」と「財政投融資会計」の違い
 第197回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より③
 第198回 内閣府、GDP算出方法の改定/2016年第二四半期二次速報より④

以下の5つの記事の中で非常に「わかりやすく」ご説明しています。まあ、「わかりやすく」は私の自己満足なので、読む人によってはそう感じない方もいらっしゃるかもしれません。

作成した意義といたしましては、政府が作成した 地域経済分析システム「リーサス」 の開発などを前提に、いよいよ「ビッグデータ」を利用した、よりタイムラグの少ないGDP統計がスタートするんだなという期待感を受けてのものです。

私とすると、非常に前向きな期待感を以て作成をしたわけですが、この「GDP改定」があちら側の皆さんにとっては「安倍内閣によるかさ上げ」という判断になってしまうんですね。

「GDP統計」は実は「支出側」「生産側」「分配側」から見た3つのGDP統計がございまして、私たちがよく見かけるGDP統計は前期の内「支出側から見たGDP」になります。

今回の「指摘」を受けるまで、この 支出側GDPに関連したGDP改定は 第193回の記事 でご説明した「国際基準『2008SNA』」に関する改定だけだと思っていたのですが、実はこれ、明石氏のブログで説明されている「家計最終消費支出」には全く影響しない改定です。

2008SNAが導入されるまでは1993年の基準が導入されていて、何が変更になったかと申しますと、これまでは「生産側GDP」に「経費」として掲載されていた「研究開発費」を「支出側GDP」に計上されるようになった事。

「経費」として掲載されていた間は単年度で消え去ってしまっていたのですが、「支出側GDP」では「資産」として計上することができますので、一度掲載されると単年度で消え去ることはなく、所謂「減価償却」されるまでGDPに在庫として残っていくわけですね。

このように表現しますと、それこそまるで安倍内閣が都合よく基準変更したかのように思われてしまいそうですが、そもそも海外先進国では既にルール改正が行われています。まして1993年の基準を未だに使い続けていた方がおかしいのであって、特にGDPは海外の経済情勢と比較する目的で利用されることもありますから、ごく当然の改正だと私は思います。


「産業関連表」の更新

しかし、今回問題となったのはこの「2008SNA」に関する変更ではありません。

前述した通り、「2008SNA」が対象としているのは家計ではなく「企業」。ですから、「2008SNA」が変更されても「家計最終消費支出」が変動することはありません。

一瞬私も戸惑ったのですが、既に検証を終えている私としては原因を推察ことはそう難しいことではありません。私は「生産側GDP」の変動にしか影響を与えないと思い込んでいた、もう一つのGDP改定、即ち小タイトルにある「産業関連表」の変動です。

この事に関して、実は私自身の記事でも既に検証済みで、 第159回の記事 ではっきり書いています。

引用してみます。長文になりますので、読み飛ばしていただいても結構です。
【支出面から見たGDP】
「支出面から見たGDP」、つまり私たちが最も一般的に見ている「GDP」では、日本国の中で生産され販売された数多(あまた)の商品群の中から、代表的ないくつかの商品を抽出し、「加重平均」を取ることによって算出されています。
(「加重平均」の計算方法については第53回の記事 をご参照ください。)

第158回の記事 で「消費者物価指数」の「10大項目」のことを具にご紹介しましたが、消費者物価指数を算出する際も同じ方法がとられています。

ただ、「加重平均」を取る際に用いる「ウェイト」。

ウェイトとはすなわち、第157回の記事、第158回の記事 をそれぞれご参照いただければ「ウェイト」についてもイメージをしやすいと思うのですが、消費全体を10000と考えた場合、それぞれの項目の重要度が1万分のいくつになるのかということを指標化した数字のことです。

この「ウェイト」の決定方法として、「需要(支出)側から見たウェイト」と「供給(生産)側から見たウェイト」の二つの指標を用いて「支出側から見たGDP」は計算されています。よく名称として登場させている「コモディティーフロー法」とは、このうち「供給側から見たウェイト」を算出する際に用いられています。

「コモディティーフロー法」とは、「供給サイド」に於いて生産された「生産物」が、様々な流通過程。「運送」や「卸し」「小売り」等様々過程で発生する「経費」等を含めて、どのような経緯を経て消費者によって「消費」されるのか。

これを大本である「工業統計表」、「商業統計表」、「事業所統計表」(経済産業省)などから得られる基礎統計指標に、総務省が作成している「産業連関表」によって算出された「分配率」を各項目別にかけて算出された値が「供給(生産)側から見たウェイト」になります。この「供給(生産)側から見たウェイト」を算出するために用いられている計算方法を「コモディティーフロー法」といいます。

その品目数は工業統計表だけでも2000品目にも及ぶのだそうです。

一方、「需要(支出)側から見たウェイト」とは総務省が作成している「家計調査」や「家計消費状況調査」といった統計指標を用いて作成されます。

この二つの「ウェイト」を統合することによって名目GDPの内「家計最終消費支出」は算出されます。
統合の仕方としては、「支出側から見たウェイト」と「生産側から見たウェイト」の開き。これが大きければ「重要度が低い」と考えられ、ウェイトが少なめに、逆に開きが小さければ「需要度が高い」と考えられ、ウェイトも大きめに設定されます。

私自身が作成した記事ながら、よもやここまで詳細に記していたとは記憶していませんでした。ありがとう、昔の私。

引用記事中のページリンクは時間の都合上、ご容赦ください。

はっきり書いていますね。「産業関連表」が家計最終消費支出の作成に利用されていることが。

GDP改定において、この「産業関連表」が2005年基準のものから2011年基準のものに変更されたわけです。

で、明石氏のブログに掲載されていたグラフは、その「家計最終消費支出」に関連したグラフでしたので、私とすると、「ああ、あれか」とピンと来たわけです。

ですから私からすれば明石氏の主張などアベノミクスが失敗であったことにしたい連中の言いがかり以外の何者でもなく、今まで用いられていた2005年基準の産業関連表が2011基準の産業関連表に更新されただけの事。これを「アベノミクスのかさ上げ」と揶揄しているようにしか見えないわけです。

私が
総消費動向指数(名目)

こちらのグラフを理由に消費が活性化していることを提示。世帯別消費動向指数とのギャップは世帯数の増加にあり、一人暮らしや新婚生活を始める世帯が増えていることを指摘すると、

20180501203523.png

こちらのグラフを理由に「そんなかさ上げされたグラフなど信用できない」と反論をしてくる。テンプレートのようにしてこのパターンが繰り返されます。

ところが、最も最近議論した相手の方から、こんな指摘がありました。「明石氏のブログでは、『世帯数の増加』など織り込み済み」であると。

続きを記したいのですが、文章が長くなっており、若干仕事が入ってしまいましたので、本日の記事はここまで。

続きは「統計で人を騙す方法」というタイトルで記事を作成してみたいと思います。




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冒頭に記しておくと、今回の記事は、「実質消費動向指数」が下落しているからくりを明らかにすることを目的としています。

私自身としては、第457回の記事第458回の記事第459回の記事第463回の記事第464回の記事 において一通りの決着を見たつもりではいたのですが、やはりTwitterなどを見ていますと、「実質賃金の下落」を根拠として政権批判を行う投稿が後を絶ちません。

その終局的な目的には、やはり野党陣営の思惑があり、次期参院選にて「実質賃金の下落」を争点とし、安倍内閣を陥落、もしくは改憲を阻止できるところまで議席数を減らさせたいとする思惑があるのではないかと思います。

ですから、一部の投降者はこれを理由として、意図的にこの投降を行い続けているのではないかと思います。

私としては、このような誤った認識に基づく情報を意図的に拡散し、これを選挙に利用しようとする勢力があることはやはり我慢なりませんので、このような意見に対して意見を述べ、お互いにその交換を行うわけですが、何度納得させても同様の投稿が減りません。

多分私と議論して納得してくれるタイプの人は私が記しているような、「意図的に」投稿を繰り返しているタイプの人ではないのだと思います。

ですが、一部明らかにそうではない、私のアカウントを潰そうとする意図を持ったアカウントやそのグループによる攻撃を私自身も受けましたので、記事の終盤辺りでこの手法についても記事にしようと思います。


「実質賃金」の考え方

「実質賃金」に関しては、一部私と近いスタンスをとるユーザーさんの中にも、必ずしも正確とは言えない情報を広げている皆様がいらっしゃいますので、個人的にはこれも何とかしたいと思っています。

その大元となっているのは上念司氏が拡散している情報なのですが、私自身も 第38回の記事 にて同様の話題を記しています。

要は、景気の転換点で、就労者数が一気に増えた場合は、それまで無職者であって「給与所得者」にはカウントされなかった人たちが「給与所得者」となり、「低所得者」が激増するため、所謂「平均賃金」は一時的に下落しますよ、とする主張です。

ですが、そもそもこの考え方は名目賃金にのみ通用する考え方であり、実質賃金には通用しない考え方です。100%通用しないわけではないのですが(実質賃金の増減にかかわるのはその対象となる人が給与所得者である必要があるため)、特に「平均賃金」に絡めて述べる場合には通用しません。

実質賃金を考える場合のポイントとなるのは、名目賃金全体をひとくくりにして考えることではなく、名目賃金を「消費に回された部分」と「貯蓄に回された部分」に分けて考えることが必要になります。

復習を兼ねて、実質賃金の算出方法を図解入りで説明していきます。

【実質賃金の求め方】
① 名目賃金を同じ月に「消費された部分」と「貯蓄に回された部分」に分ける
実質賃金①

② Aを、同じ月に消費した物品やサービスの合計数で割る
実質賃金②


③ B を a で割る
実質賃金③


④A’とB’を足す
実質賃金④

「実質賃金」はこのような方法で算出することができます。これまでの記事でさんざんご説明してきた内容なのですが、どうでしょう。図解してみるとわかりやすいでしょうか?

皆さんのご家庭でもぜひチャレンジしてみていただけると嬉しいです。

上の図解説明の中で「1か月の給与所得総額」と記しているのがもちろん「名目賃金」、②で算出された「1万円」という数字が消費者物価に相当します。

で、図内にも記しています通り、名目賃金の内「消費した物品やサービスの数量(A’)」と消費に回さなかった名目賃金を使って「消費に回せる回数(B’)」を足すと「実質賃金」が出てきます。

このようなことを記すと、「政府が発表している方法と違う!」と大騒ぎする人が出てくるのですが、政府が発表している「実質賃金指数」の求め方、即ち

 実質賃金指数=名目賃金指数÷消費者物価指数(×100)

という式は、「指数」を求めるための計算式です。(なので最後に「×100」とついています)

ここから「指数」という言葉を削除すれば、当然「実数」を求めることができます。

上の図解図で、「名目賃金」は30万円、物価は2万円ですので、30万円を2万円で割れば15になります。私が上の事例で「実質賃金」だと言っている数字が同じ「15」という数字になっていますね?

ちなみに、実質賃金を他の年度と比較する場合、図解のA’の部分は変化しません。例えば昨年販売されていた10万円のテレビを今年は購入しなかったとしても、実質賃金を考える場合は「物価の変動を排除」しますので、

「昨年は10万円で1台購入したテレビを、今年は0円で1台購入した」

と考えます。ですから、実際に変動するのは上図の内、B’の部分。この人物が消費ではなく貯蓄に回された部分から算出される実質賃金のみです。

実質賃金としてカウントされるためには、この人が「給与所得者」である必要があるので、確かに昨年この人が無職者であった場合、「受け取った給与所得を一部貯蓄に回したことを前提として」実質賃金が増加することは事実ですが、この人が受け取った賃金をいくら貯蓄に回すのかはこの人次第ですから、実質賃金を考える場合、「就労率」を考慮することはナンセンスです。

むしろ就職が安定し、来年も労働者である保証が高くなれば、当然この人は消費を増やしますから、おのずと「実質賃金」は下落することになります。つまり、実質賃金の増減に「就労率」は本来考慮する必要はないということです。

この事を理解していない人がこの情報を拡散しようとしますので、これが「実質賃金下落悪玉論者」たちに餌を与えていることも事実なので、この誤った情報を拡散するのは正直やめてもらいたい・・・というのは私の本音です。


「消費者物価」は必ずしも「給与所得者」が起こした物価ではない

さて。先ほどの図解で、私はある特定の架空人物の「名目賃金」と「物価」から「実質賃金」を算出しました。

この人の「物価」が、ではすべての人に当てはまるかと申しますと、まず当てはまりません。この人が起こした、特定の「消費」からこの人物の「物価」は算出されます。

そして、この人物の「物価」から算出できる「実質賃金」は、この人物の「実質賃金」だけです。この考え方をまずご記憶ください。

政府が発表している「名目賃金」や指数は、「給与所得者」、つまり労働して給与所得を受け取っている国民のデータです。

ですが、「実質賃金」を算出する際、政府は「消費者物価指数(持家に帰属する家賃を除く)」で名目賃金を割って算出しています。

このやり方は正しいのでしょうか?

先ほどの図解事例ですと、この架空人物の実質賃金は、この人物が取得した名目賃金を、この人自身の「消費活動」から生み出された「物価」で割ることによって算出しました。では、この人の「実質賃金」を算出するときに利用した「物価」を、この人物が居住する町民全体の「物価」を利用したとしたら、正確な「実質賃金」を算出することができるでしょうか?

答えはNoです。この架空人物が購入すらしていない物品やサービスは、この人物の「物価」には全く影響しません。

例えば、この人物はあるパン屋で100円のアンパンを購入したとします。ですが、町全体でもっとも多く売れたのが200円のアンパンだったとしたら、当然この町のアンパンの「物価」は上昇します。

ですが、この人物が購入したアンパンはあくまでも100円のアンパンが1つですから、それ以上に上昇することはありません。

つまり、実質賃金を計算するのであれば、その対象となる人物、もしくはカテゴリーに属さない人物、もしくはカテゴリーを「物価」から除外して考える必要があるのです。

では、「名目賃金」を「消費者物価」で割るという計算方法はいかがでしょうか?

もうお分かりだと思いますが、「消費者物価」の中には「給与所得者」ではないカテゴリーが含まれています。例えば学生であったり、年金生活者であったり、無職者の情報も含まれています。情報を出しているのは販売店のはずですから、販売店ベースではその消費が「家庭」の消費なのか、「企業」や「団体」の消費なのかもわかりません。

つまり、「名目賃金」を「消費者物価」で割るという計算方法では正確な「実質賃金」を算出することは不可能なのです。

実質賃金を考える場合は、この事も意識しておく必要があります。


「明石順平」とは何者か?

それでは本題です。タイトルに突然登場させた「明石順平」という人物。ご存じない方からは「誰?」というツッコミが入りそうですが、簡単に言えば、「実質賃金下落はアベノミクスの失敗だ!」と主張している人たちが軒並み妄信している人物です。

アベノミクスによろしく

こんな本を出している人物です。最近はこんな本も出したのだそうです。

明石2_

私のブログのタイトルに実によく似ているので、非常に心外です。こんなデータを見る能力もない人が、私のブログのタイトルをまるでパクったかのようなタイトルの本を出版しているのは、非常に心外です。

この本が出版されたのは今年の2月、とのことです。私のこのブログが始まったのは2105年ですから、当然私の方が早いです。パクったという表現は私の思い上がりでしょうが、タイトルが非常に似通っているのは事実。非常に心外ですね。

しかもこの人、経済学者でもなく、単なる弁護士にすぎないんですよね。にも拘わらず、あたかも経済学者でもあるかのようにふるまって、「データ」をデタラメに解釈した情報を配信するの、真剣にやめてほしいんですけど。


明石順平氏説のどこが「デタラメ」なのか?

対象となる情報は以下のツイートです。


で、私彼のツイートに、以下のようなコメントを投稿しました。

①実質消費支出は、二人以上世帯のみのデータで、二人以上の名目消費支出を一人世帯、及びその他の消費者まで含めた全体の消費者物価で割っているので、本来平行線となるべき実質消費支出に、本来含むべきではない一人世帯、及びその他の消費者の物価上昇が反映されている。

②「物価」は「価格」の増減のみで決まる訳ではなく、「消費量」が伸びなければ増加する事はない。つまり、消費者物価の伸びは、「価格」に関わらず消費量が増えている事を示している。

③給与所得者に限定すると、「物価」とは受け取った名目賃金の内、「消費」に回された額で決定するため、一部例外を除き、物価の伸び率が名目賃金の伸び率を上回る事はない。例外とは、給与所得以外の収入、過去に蓄積した貯蓄、借入の3つ。

④実質賃金とは、つまる所、給与所得者が受け取った賃金をどれだけ貯蓄に回す事ができたのか、その増減を示す数字なので、名目賃金が上昇する中で実質賃金が下落するという事は即ち消費が活性化しているという事。ちなみに物価が上昇すると実質賃金は過小評価され、下落すると過大評価される。

以上の事から、明石氏のグラフは黄色線のみがデタラメなデータであり、他のデータは安倍内閣に入って「消費」が活性化している事を証明しているグラフである。

すると・・・見事にブロックされました。

じゃあなぜ彼のツイートを張り付けられているのかと突っ込まれそうですが、第三者のリツイートから取得することができました。

彼がツイートそのものを削除されたらグラフは消えてしまうので、彼のグラフだけ拝借して貼り付けておきます。

D5NqQqZUcAA7oYa.png

このくらいのグラフであれば私も作成することはできますが、あくまでこのグラフを作成したのは私ではなく明石氏です。


明石氏のグラフのウィークポイント

このグラフには一つだけ、ここを切り崩せば明石氏説は一気に崩壊する・・・というウィークポイントがあります。

それがグラフの黄色線。「実質世帯消費動向指数」です。

これに対して私が指摘したのは、
①実質消費支出は、二人以上世帯のみのデータで、二人以上の名目消費支出を一人世帯、及びその他の消費者まで含めた全体の消費者物価で割っているので、本来平行線となるべき実質消費支出に、本来含むべきではない一人世帯、及びその他の消費者の物価上昇が反映されている。

という指摘です。

つい最近まで、この「世帯消費動向指数」に関しては、「総世帯数」というデータがなく、「二人以上世帯」と「単身世帯」がバラバラで掲載されていたんですよね。ひょっとすると私が見つけられていなかっただけかもしれませんが。

ですから、その認識で指摘させていただいたのですが・・・あるんです。改めて見てみますと、「総世帯」の消費動向指数が、名実共に。

これに気づいたのは別の方と議論していた時に「消費動向指数」を見る様にと指摘されたので、改めて見てみたことがきっかけです。

で、私は例によって「実質値」が大嫌いですので、実質ではなく「名目」の「原系列」を見てみますと、以下の通りです。

総世帯別消費動向指数

最も古いデータが2002年の情報でしたから、2002年からの情報にはなっているんですが・・・減ってますね。

明石氏のグラフは実質ですが、これは「二人以上世帯」か「総世帯」か、「実質」か「名目」かに関係なく、下落してますね。

私が彼への指摘に掲載させていただいた内容は決して間違いではありません。あくまで明石氏のグラフが「二人以上世帯」の情報であったという前提において、ですが。

実質は名目を消費者物価で割った値ですが、これは「消費動向指数」も同じです。ちなみに「消費動向指数」とは、世帯ごとの「消費支出」をデータ化したものです。

実質化する場合は、本来「世帯別」の物価指数を持ってくる必要があるのですが、もちろん統計データとしては分母に世帯別ではなく、「消費者物価」を持ってきていますので正確なものは出ません。

出ませんが、同じデータを「名目」でやり直した場合もそう変わらないデータが出ています。

これはおかしい、と。

何度も述べていますように、例えば「消費者物価」は消費が増えなければ上昇しません。消費増税などで食料品など不景気でも変わらず消費されるものまで含めて一気に、強制的に「価格」が引き上げられたようなケースを除けば、たとえ物の値段が上昇したとしても、「消費」が増えなければ物価は上昇しません。

つまり、物価が上昇しているということは「消費」が活性化していることを意味しているのです。

そして「名目賃金」が上昇する中で「消費」が活性化するということは、名目賃金から消費に回される金額が増えるということですので、当然「物価」は上昇します。

そして当然「貯蓄」に回される「割合」は減少しますし、かつ物価が上昇することで実質賃金は過小評価されますので、当然実質賃金も下落します。

つまり、明石氏のグラフで黄色いライン、「実質消費動向指数」以外、すべてのデータが安倍内閣に入って消費が活性化していることを示しているのに、なぜ「消費動向指数」だけが下落しているのか・・・。

実は私、この事に気づいていなかったわけではないのです。ですが、明確な「答え」にたどり着けていませんでしたので、見てみないふりをしていたのは事実です。

で、この問題に一つの「光」がさしたのは、図らずも先ほどの「消費動向指数」を見る様に指摘なさった方との議論を通じて、でした。


もう一つの「消費動向指数」

先ほどの議論を行う際、私は最初、誤って次のグラフをデータとして掲載してしまいました。

総消費動向指数(名目)
こちらは、「総消費動向指数」と呼ばれるものです。もちろん名目のデータです。

いかがでしょう。明らかに増えていますね?

先ほどの青いグラフですと継続して2011年まで下落し、12年、13年と上昇した後、再び下落に転じていましたが、こちらの赤いグラフはリーマンショック直前の2007年まで上昇し、リーマンショック後急落。2010年には一時的に持ち直すものの、2011年には再び下落。

ですが、その後2012年以降2015年まで上昇し、増税年に一時的に下落した後、再び上昇に転じています。

どちらもの同じ「消費動向指数」です。

では、一体何が違うのでしょうか?


「世帯別消費動向指数」が下落していた理由

多分、勘の良い方であれば、二つの「消費動向指数」の違いを目にした時点で、その理由を一瞬で思いつくはずです。

「総世帯別消費動向指数」は、その名の通り、「世帯別」の消費動向指数です。ですが、「総消費動向指数」は、すべての世帯を合算した消費動向指数のこと。

GDPの項目で言えば、「家計最終消費支出」と同じものです。

計算式で言えば、「総世帯別消費動向」×「世帯数」を指数化したもの。

「総世帯別消費動向」は下落しても「総消費動向指数」は上昇する理由。それはたった一つ、「世帯数」が増えたからです。

いかがでしょう。ここで頭にクエスチョンマークが多発した人物は、案外と賢い方かもしれません。今の日本は既に「人口減少社会」に突入しているはずです。

にもかかわらず「世帯数」は増えている。しかも下落する「総世帯別消費動向」を帳消しにする勢いで増えているわけです。

どういうこと? と、私も必死に悩みました。ですが、答えはそう難しくありません。

家庭が「分派」、つまり、「独立」しているということです。


「総世帯別消費動向」が下落し、世帯数が増加するということ

例えば、これまで将来的な不安を抱え、家族と一緒に暮らしていた人が、新しく就職し、一人暮らしを始めた。
将来が安定し、結婚するカップルが増え、新婚生活が増えた。

そうしますと、当然一世帯当たりの構成人数は減少しますし、当然世帯当たりの消費支出も減少します。

ですが、これはどちらかというと望ましい傾向ですよね?

「消費動向指数」の項目の中には消費者物価指数のように、「10大費目別」のデータも掲載されているのですが、世帯別消費動向指数の中で下落していたのが「住宅」。消費者物価指数と同じであれば、この「住宅」には新築は含まれません。一番大きな項目は「家賃」です。

恐らく「持家に帰属する家賃」も含まれているものと思われますが、戸建ての家賃よりはアパートなどの家賃の方が少ないはずですので、ここも納得できる話です。

そして増加していた費目は「家具・家事用品」。独立する世帯が増えれば当然家具・家電製品への需要が高まりますから、新生活には欠かせない「費目」です。

こう考えると非常につじつまが合いますね。

つまり、「世帯別消費動向指数」が下落しているのは、子供が独立する世帯が増え、新生活を営む世帯が増えていることを意味しているということがわかります。

つまり、明石氏が示しているグラフは、、「世帯別消費動向指数」のデータまで含めて、アベノミクスが非常にうまくいっている様子を示したデータであることがわかります。

明石氏は、「名目賃金(青)の伸びが物価の伸びを大きく下回った」とも書いていますが、本日の記事でも図解入りでご説明した通り、「物価」は名目賃金の内「消費に回された金額」から形成されていますから、一部の例外を除き、名目賃金の伸び率が物価の伸び率を上回ることはありません。

明石氏のグラフですと、あたかも物価上昇率が名目賃金の伸び率を上回っているかのように見えますが、厚労省データではなく国税庁データを使って「名目賃金指数」を作成し、消費者物価指数と比較しますと、以下のようになります。

給与所得と消費者物価比較

厚労省データと国税庁データの違いは、「常用雇用5名以下の事業所」が含まれているかいないか。含まれているのが国税庁、含まれていないのが厚労省です。

そして「消費者物価指数」には何度も申していますように、「給与所得者」ではない消費者が起こした「物価」も含まれていますから、上のグラフでも名目賃金指数と比較する上での「物価指数」は高めに出ています。

また、先ほど「一部例外を除く」とお伝えしましたが、「例外」とは以下の3つ。

・給与所得者が、給与所得以外の収入源を持っている
・給与所得者が、借り入れを起こした
・給与所得者が、これまでに貯蓄した賃金を切り崩して消費にあてた

の3つです。以上の様な情報を頭に入れて先ほどのグラフを見ていただきますと、「名目賃金の伸び率が物価の伸び率を上回ることはありません」という指摘が決して間違いではないこともご理解いただけると思います。


ツイッターを通じて私のアカウントが受けた攻撃

本日の記事、少し長めになっていますので、読みつかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、もう少しだけ本日の記事にお付き合いください。

冒頭にお伝えしましたように、私は複数の記事を通じて名目賃金が上昇する中での「実質賃金(指数)の下落」を、実は消費が活性化していることを意味しており、景気指標としてはむしろ好意的に受け止めるべき情報であることをお伝えしてきました。

私としてはその考え方を一人でも多くの人に理解していただきたいと思うと同時に、実質賃金の下落=悪であるという誤った認識の下、安倍政権批判を行う投稿を少しでも減らしたいと思い、ツイッター上で1か月ほど様々な人と議論を行ってきました。

で、議論をしてくれる人は最終的には納得をして下さるのですが、私と同じ考え方を持った人の議論をサポートする目的で、

 「中には意図的にやってる連中もいるはずですから。

ツイッターだけでなく、いろんなところで「世論」を作り上げて、時期参院選に利用する気満々なんだと思います。

だからこそ、その論点を是非に潰したい」

との投降を行ったところ、その直後くらいから私のアカウントに対する攻撃がスタートしました。

その手法をお伝えして、本日の記事は締めくくりたいと思います。


「アカウント潰し」に使われた手法

①過去のツイートの大量リツイート

最初、始まったのは私の過去の投稿の大量リツーイト、という方法です。

私も別に私の投稿がリツイートされることには抵抗はありませんし、むしろ「何がよかったのかな・・・」くらいの気持ちでそのリツイートされる様を見ていました。

悪い気は最初していなかったということは事実です。

そのうち、そのリツイートされた投降を更にリツイートする人が現れました。

これも私は悪い感じは覚えず、むしろ、やはりうれしく思いました。ただ、その中に私自身の顔を直接認識することはできないものの、表情を除く輪郭が把握できる投降や、また私が応援する地元の議員さんを撮影し、ツイートした写真なども拡散されており、少し変な感じはしていたのです。


③私の過去の投稿に対する批判

内容は、東京都議会選の折、とある著名人が安倍首相の「こんな人たち」発言を取り上げて批判していたものを私が逆に批判した投稿です。

東京都議会選挙なのに、やけに「市民」という言葉を連発していたので、それを「都議会選なのに、『都民』でもなく『国民』でもなく、『市民』」が安倍政権批判を行っていたと暴露している」という批判を行った投稿です。

本日は2019年5月ですから、もう2年近く前の投稿です。

「市民」という名称がフランス革命などの「市民革命」の時代から本当に「市」に住んではいない一般人に対しても使われている言葉であることは私も重々承知していますし、あえて揶揄する目的で行った投稿です。

ですが、この投降に対する執拗な批判がスタートしました。批判を行ってきたのは2名です。

最初は軽くあしらっていたのですが、何となく嫌な感触を覚えました。


私の輪郭が見える写真を用いた中傷

先ほどお伝えした私の写真が私の知らないところで拡散され、その写真を用いた中傷が行われていることがわかりました。これも「わざわざ」中傷が行われていることを伝えに来た人がいたからわかったんですが、その人もいわば「グル」。

私のアカウントを攻撃しているメンバーと同じ目的を持った人物です。

ハッとさせられたのはこの時です。先ほどの私の投稿に対する執拗な批判も、ツイートの異常な拡散もすべて私のアカウントを攻撃することを目的として行われていたことに気づきました。

彼ら、彼女らが拡散している情報の中には私が信頼し、応援している議員さんの情報も含まれています。このままだとその人たちにまで被害が及ぶのではないか、と感じさせられました。

また、私が行っている投降の中には、私自身が特定されてもおかしくない投稿があることも事実です。

例え特定されたとしても、特段問題があるわけではありませんが、相手の異常さを考えるとさすがにまずいのではないか、と感じたわけです。

一瞬ぞっとする感覚を覚え、まずは大量リツイートを行った人物をブロック、再リツイートを行った人物をブロック、写真の拡散を行った人物、またはそれらにいいねボタンを押していた人物まで含めて軒並みブロックした後、その時点で私に絡んできていた一名のみを窓口としてブロックせずに残し、その人物の私に対する投降を軒並み通報しました。


Twitter社はこのような身に危険を覚える行為に対して全く対応しません!!

最後に窓口と残していた人物は、更に私の過去の投稿をスクリーンショットをとって保存し、仮に私がブロックしたとしても拡散し続けられる体制を既にとっていました。

彼をブロックしなかった理由はそこにもあったのですが、これらの通報に対して、Twitter社からの回答は、「これらの投稿には全く問題ありません」という回答でした。

恐らく、私のアカウントを攻撃してきた連中はこのようなTwitter社の対応を既に把握していて攻撃してきていたのでしょう。

やむを得ず最後の窓口となっていた人物もブロックしたわけですが、私はSNSを利用していて初めてこのような恐怖を覚えました。


まとめ

冒頭で、
Twitterなどを見ていますと、「実質賃金の下落」を根拠として政権批判を行う投稿が後を絶ちません。

その終局的な目的には、やはり野党陣営の思惑があり、次期参院選にて「実質賃金の下落」を争点とし、安倍内閣を陥落、もしくは改憲を阻止できるところまで議席数を減らさせたいとする思惑があるのではないかと思います。

という内容を記しました。

そして、実際にTwitterにて同様の書き込みを行ったところ私のアカウントが一斉に攻撃を受けたことを考えますと、これはおそらく事実なのだと思います。

たかがTwitterというSNSツールですが、これほどに恐ろしい一面を秘めていたことを改めて実感させられました。

私の事例は取るに足らない、ほんの一部に過ぎないかもしれませんが・・・。

野党を支持しているのはそれこそ「こんな人たち」ということです。もちろん与党の議員が全員そんな聖人君子かというとそんなことはありません。ほとんどの議員がなにがしかゆすられると困るような傷を抱えているのだと思います。

ですが、こんな姑息なことをしてくる連中を私は与党議員やその支持者で見たことがありません。

私は私自身が正しいと思う情報をきちんと自らの手で分析し、発信しています。私自身の正義感に基づくものです。世の中がより良き方向へと導かれるよう、今後も負けずに情報発信を行っていきたいと思います。




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<継承する記事>第459回 実質賃金を日本一わかりやすく解説~勘違いからの脱却!~

「しつこい!」と言われそうですが・・・。

日本の将来に向けて、大切なことだと思いますので、私の頭の中で整理できてきたことを、改めて記事にしたいと思います。(大げさだ、思うかもしれませんが、その理由は文末に記します)

前回の記事 で、「完成版」と銘打って記事を作成したわけですが、頭の中で整理していますと、まだ「完成」にはどうやら至っていなかった様ですので、今度こそ、「完結編」として、本当に正しい「実質賃金の正体」について記事にしていきます。

前回の記事 では、以下の二つのグラフを用いて記事を作成しました。

名目賃金比較
実質賃金比較
(※実質賃金のグラフは正確なグラフではありません。何が正確ではないかといいう部分を捕捉すのが今回の記事の目的です)

上が「名目賃金」、下が「実質賃金」を示したものです。グラフは、「昨年」と「今年」を比較したものです。

今回は、前回作成した「名目賃金」のグラフを、項目ごとにもう少し詳細に分析しまして、「物価から見る名目賃金」と銘打って記事にします。


物価は世帯によって異なります。

たどり着いた最終結論はこれ。「物価は世帯によって異なる」ということです。

改めて、先ほどの「名目賃金」のグラフを見てみます。

名目賃金比較

名目賃金の総額が、昨年は25万円、今年は32万円となっています。

昨年の「名目賃金」の内訳は、以下のようになっています。

総額 25万円

 食料品 5万円
 授業料 5万円
 通信費 1万円
 電話代 1万円
 交通費 3万円
 その他 5万円

 消費に回さなかった金額 5万円

この内訳を、もう少し細かく見てみましょう。

総額 25万円

 食料品 5万円

  野菜 5品(キャベツ2玉、ニンジン5本、もやし1袋)
  肉類 3品(豚肉3パック)
  惣菜 10品
  カップラーメン 3個
  ポテトチップス 2袋
  チョコレート 4個
  外食 5回(20品)

 授業料 5万円

  パソコン教室授業料10か月分
  
 通信費 1万円

  インターネット接続料1か月分

 電話代 1万円

  携帯電話代1か月分

 交通費 3万円

  ガソリン代 90リットル
  船舶    1往復
  バス    9回

 その他 5万円

  散髪 1回
  パソコンの修理費 1回
  友人のお誕生日プレゼント 36品

 消費に回さなかった金額 5万円

詳細な内訳の金額はあえて記していません。あと、「物価」を集計するときの単位は詳しく知りませんので、私基準で上記のような単位を用いました。(お誕生日プレゼントは、後で数を分かりやすくするための数を多くしています。)

物価を出す場合は、各項目ごとに「加重平均」を行います。

例えば、「交通費」で考えてみます。

ガソリン代は1か月間、ずっと130円だったとします。その他、船舶が1往復15800円、バス代が1乗車辺り固定で2500円だったとします。高いとか安いとかいう判断はとりあえず無視します。

そうすると、まずガソリン代が総額で130円×90で11700円。船舶が21200円×1で15800円。バス代が2500円×9で22500円です。

ガソリン代、船舶、バス代の総額をすべて足すと5万円になりますね。

「加重平均」を行うときは、この5万円をガソリン代の購入総数60、船舶の購入総数1、バス代の購入総数6をすべて足したもので割ります。式は以下のようになります。

 {(130円×90)+(15800円×1)+(2500円×9)}÷(90+1+9)
=(7800円+21200円+21000円)÷100
=50000円÷100=500円

これが、この人の昨年の交通費の「物価」です。

同じような理屈で考えますと、他の「食料品」や「授業料」、「通信費」、「電話代」、「その他」の項目もすべて、大切なのは何円のものを消費したのか、ではなく、「何個」消費したのか、ということであることがわかりますね。

「食料品」であれば、「野菜」が合計で9。肉類が3、カップラーメンが同じく3、ポテトチップスが2、チョコが3、合計で20です。

食料品の消費額は合計で5万円、消費数量が50ですから、50000円÷50で1000円。
授業料・・・50000÷10=5000円
通信費及び電話代・・・・・10000÷1=10000円
その他・・・50000÷5=10000円。

これがそれぞれの項目の「物価」です。ここから、更に全体の「物価」を求めます。

名目賃金の内、「消費に回された額」は総額で20万円。アイテム数は食料品が50、授業料が10、通信費が1、電話代が1、交通費が100、その他が38。消費総数は50+10+1+1+100+38=200になります。

ということで、この人の昨年の「物価」は20万円÷200=1000円となります。

「物価」というと、政府が目指している物価が「消費者物価指数」という数字ですし、何となく全国一律なのではないか、とイメージしてしまいそうですが、実際には「一人ひとり」物価は異なります。

政府の「消費者物価指数」のホームページを見てみても、先行して「東京の消費者物価指数」の情報が掲載されています。この事から考えても、まず各地域ごとの「物価」が存在することはご理解いただけると思います。

ですが、実際には「地域」だけでなく、各世帯ごとの「物価」が本来存在するのです。


「実質賃金」は「金額」ではなく「数量」を表す数字です。

と、記しますと、意外に思われるでしょうか?

ですが、私は既に 前回の記事 におきまして、以下のように記しています。

「実質賃金」とは、では一体何なのかと申しますと、「受け取った名目賃金で、一体いくつ物やサービスを消費することができるのか」という、「個数」もしくは「量」で賃金を測る方法です。

と。

先ほどの物価の事例で示しました「昨年の物価」から昨年の「実質賃金」を考えてみます。

この人の昨年の「物価」は1000円でした。そして、この物価は名目賃金から「消費に回された金額」から計算しました。これは先ほど皆さんに見ていただいた通りです。

では、この人の、昨年の「実質賃金」はいくらになるのでしょうか?


実質賃金=名目賃金÷物価

そう。実質賃金とは、名目賃金を物価で割ったものです。

こんなことを言いますと、「いや、割るのは物価ではなく『消費者物価指数』だろう!」という人が現れそうですが、そうではありません。

あの公式は、あくまでも「実質賃金指数」を求めるための公式。

 『実質賃金指数=名目賃金指数÷消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く)』

です。私が何を言っているのかということも、も少ししたらご理解いただけると思います。

実質賃金を求めるための公式は、あくまで「実質賃金=名目賃金÷物価」ですから、この人の場合の実質賃金は、名目賃金である「25万円」を、この人の「物価」である「1000円」で割ったもの。

25万円÷1000円=250

これが、この人の「実質賃金」です。では、この「実質賃金」の単位は「円」なのでしょうか?

違いますね。この250というのは、この人が購入した商品やサービスの数を合計した、「品目数」です。

そして、もう一度思い出してみてください。この人の昨年の物価、1000円という数字は、この人が名目賃金から「消費に回した金額」から算出されましたね?

では、その金額はいくらだったでしょう。そう。「20万円」です。

では、この人が仮に20万円しか賃金を受け取っておらず、上記の事例と全く同じ「消費」を行っていたとしたら、「実質賃金」はいくらになるでしょうか?

そう。「20万円」÷「1000円」ですから、200です。

当たり前ですよね? この人が消費した「品目数」は合計で200だったのですから。では、残る50という「実質賃金」はどこから出てきたのでしょう?

いうまでもありません。この人が消費しなかった金額。つまり「貯蓄に回した金額」から出てきています。

ですが、仮にこの人が、20万円分を消費に回さなければ1000円という物価は生まれていません。そろそろご理解いただけたでしょうか?

20万円を消費に回した結果生まれた物価「1000円」で、消費に回されなかった5万円を割ったもの。これが「実質賃金の正体」です。

実質賃金は、厳密に言えば5万円を1000円で割った50という値に既に消費に回されたはずの200を加えていますから、250がこの人の「実質賃金」です。ですが、この計算結果から、「実質賃金」に求められている定義は、「その月に、消費者が消費に回さなかった賃金で、翌月にいくつその月と同じものを購入することができるのか」という定義です。


物価が高い月は過小評価され、物価が低い月は過大評価される「実質賃金」

ですが、個人的に、「賃金」と呼ぶ限りは、やはり実質賃金は「金額」で表記するべきだと思うのです。

ですので、「実質賃金」の正体が「受け取った名目賃金から消費に回されなかった金額」である以上、実質賃金は「貯蓄に回された額」であると、はっきり定義づけるべきだと思うのです。

もう一度、冒頭に掲載した「名目賃金」の事例を掲載します。

名目賃金比較

「今年」の名目賃金を見てみますと、賃金の額は32万円と増えていますが、その増えた賃金の一部を10万円の「テレビ」の購入に充てています。

もう一度詳細に事例を考えて計算してみても構わないのですが、ちょうど「今年」の消費額の内、「テレビ」の購入に回した10万円を除いた部分の金額が、昨年と同じ「20万円」ですので、今年も昨年と同じように、テレビ以外は200の品目が購入されており、物価も同じ1000円であったと考えます。

昨年と同じ20万円分の物価1000円に加えて、今年は新たに「テレビ」が加わっていますから、改めて「テレビ」を物価に加えてみます。

(1000円×200+10万円×1)÷(200+1)
=30万円÷201
≒1493円

これが、今年の「物価」です。

それでは今年の「実質賃金」はいくらになるでしょうか。

この年受け取った名目賃金は32万円ですから、この金額を物価である1493円で割ってみます。

32万円÷1493≒214

これが今年の「実質賃金」です。前回の記事でも検証していますから、当たり前ですね。当然、昨年より少なくなっています。

では、このうち「消費に回された部分」はいくらでしょうか?

そう。「201」です。214の内、201が消費に回された「実質賃金」。残る13が「消費に回されなかった実質賃金」です。

では、「消費に回されなかった名目賃金」はいくらかと申しますと、「32-30」で2万円。では、もし「消費に回されなかった名目賃金」が昨年と同じ5万円だったとするとどうでしょう?

「消費に回されなかった実質賃金」は、「5万円÷1493」ですから、約「33」になります。

昨年、「消費に回されなかった実質賃金」は「50」でしたね? 今年は10万円余分に消費したのに、なぜか実質賃金は昨年より少なくなってしまったのです。なぜでしょう?

そう。答えは簡単です。昨年に加えて10万円余分に消費を起こしたため、この人の「物価」が493円分高くなったからです。

ですが、既にお示ししましたように、「実質賃金の正体」。つまり、実質賃金に対して最も大きな影響を与えているのは賃金の内、「消費に回されなかった金額」です。

名目賃金が増え、消費を増やした上で、昨年と同じ金額貯蓄したとしても、「実質賃金」の世界ではなぜか昨年より貯蓄が減ったことになってしまっているのです。

これっておかしいですよね?

そう。物価が上昇すると、「実質賃金」は「過小評価」されてしまっています。逆に物価が下落すると実質賃金は「過大評価」されているのです。

このようなデータを用いて実質賃金が下落することを野党連中のように批判するのであれば、それは国民に「値段が高いものは消費するな」と言っているに等しい。

それではいつまでたっても国民の経済は成長しません。

また、「テレビ」の事例でもわかるように、高額商品は本来数年に一度しか購入しないようなものが多く、仮に「自動車の物価が高くなった」ことが理由で物価が上がったのだとしても、車なんで高価なものは、皆が毎月購入するようなものではありません。

一般家庭の生活には関係のないところで物価が上昇し、そのことが原因で実質賃金が下落したとしても、それは「世相を反映したもの」であるとはとても言えません。

物価が上昇したことは喜ぶべきことですが、これと実質賃金は分けて考える必要があるのです。


まとめますと、「実質賃金」は本来数量を表す数字ですので、それが「何円で売れたのか」ということは全く考慮されていません。

高価なものを購入すればおのずと跳ね上がるのが「物価」ですが、そんな高額な商品を毎月購入する人などそうはいません。

グラフに示した事例で考えますと、「今年」貯蓄に回された金額が2万円しか残らなかったのは、高額商品である「テレビ」を購入したことが理由です。

ですが、来月もまたテレビを購入するのかというと、そんなことは通常ありえません(ない、とは言えませんが)。

とすると、「実質賃金」を考える場合も、この人の「物価」から「テレビ」は取り除いて考えるのが本来あるべき姿なのではないでしょうか? ですが、実際は違います。こんな数字が「生活の実感に近い」と本当に言えるのでしょうか?

物価が上昇すれば「過小評価」され、下落すれば「過大評価」されているのが「実質賃金」の真実です。


私は当然自民党を応援していますし、安倍内閣を応援しています。安倍さんを党首とする自民党が目指す「憲法改正」。これを実現するには8月の参議院議員選挙でなんとしても、できれば自民党単独で議席の2/3を獲得する必要があります。

ですが、当然野党は次期参院選において自民党を攻撃する材料として私が記事にした「実質賃金」のネタを使ってきます。

しかし、私の記事を読んでいただければ、「実質賃金」にこだわって安倍内閣を批判し、国会を停滞させようとする行為が、いかに的外れであり、税金の無駄遣い以外に何者でもないのかということがご理解いただけるのではないでしょうか?

ぜひ私の記事をご一読いただき、安倍内閣を支持する皆さんが、憲法改正を実現したいと考える皆さんが、野党の的外れな批判に振り回されることなく、冷静に誤りを指摘できるようになることを、私は心の底から願っています。




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<継承する記事>第459回 実質賃金を日本一わかりやすく解説~勘違いからの脱却!~

どうしてもこの記事だけは作成しておきたかったので、第459回の記事に引き続き、作成することにしました。

第459回の記事で、実質賃金について、

 実質賃金=「月間手取り給与」-「月間消費支出」

という式で表すことができるのではないか、という私の考え方をお示ししました。ですが、記事中にも記しています通り、『ズブの素人の私の「憶測」』であり、私自身も記事にしながら完全な「確信」を持てずにいました。

「根拠」こそ示していますが、「証明」としては不十分だ感じていました。

で、ずっと頭の中検証を行っていたのですが、私の中で「腑に落ちる」答えにたどり着きましたので、459回の記事の「続編」という形で記事にしてみたいと思います。


実質賃金とは何か?

第39回の記事 でもふれたことがあるのですが、政府の統計データの中で、「実質賃金」という言葉が登場する厚労省の「毎月勤労統計」の中に、実は「実質賃金」という名称のデータは一つも登場していません。

多くの人が「実質賃金」だと思い込んでいるのは、実は「実質賃金」ではなく、「実質賃金指数」です。計測年の実質賃金を、「基準年」の実質賃金で割った数字です。

では、そもそも「実質賃金」とは何なのか。これを、第459回の記事 の中では、「手取り賃金総額-総消費支出」、つまり「貯蓄高」なのではないか、との予測を立て、これを検証しました。

結果として確かに「実質賃金指数」と「貯蓄高」の相関関係を見てみますと、一致性を見ることができました。

例えばA年とB年、C年を比較したとき、A>C>Bだったとすると、この順位が実質賃金指数と貯蓄高の間で逆転することはない、ということです。

A年よりB年、C年の貯蓄高が低ければ、同じように実質賃金指数も低くなっていますし、同じ順位の中でC年の貯蓄高がB年の貯蓄高を上回っているのであれば、これも逆転することはない、ということです。

ですが、どうもその上昇幅、または下落幅において、「貯蓄高」の方が、その傾向が大きく出ているような、そんな印象を抱いていました。これが実質賃金指数の計算式から生まれる「バイアス」なのかな、とも思っていたのですが、どうもしっくり来ていませんでした。


実質賃金の考え方

名目賃金比較

さて。こちらはある年に計測した、とある人の「名目賃金」と、その「支出」の内訳です。仮に今年、2019年2月に受け取った「名目賃金」とします。

「名目賃金」ですから、即ちこの人が2019年2月に受け取った「月間給与所得」です。単位は「万円」です。

左から順に、「テレビ」、「食料品」、「授業料」、「通信費」、「電話代」、「交通費」、「その他」、「貯蓄」と並んでいます。

いかがでしょう。例えばテレビの内訳を見ますと、今年は「10」となっていますが、昨年は「0」となっていますね。

これは単純に今年は10万円のテレビを購入しましたが、昨年は購入していませんよ、ということです。テレビなんて毎年買うもんじゃありませんからね。ずっと使い古していたテレビを、この人は今年、「買い換えよう」と思ったわけです。

一方、「授業料」の項目を見てみますと、昨年は「5」となっていますが、逆に今年は「0」となっています。この人、昨年は通信教育を受けて、年払いで2月に5万円、支払いました。昨年末でこの通信教育は終了しましたので、今年は通信教育の「授業料」が発生しなかったんですね。

「食料品」の金額は2万円ほど増えています。授業料がなくなったこともあるのでしょうが、何より給与所得の総額が増えたこともあり、この人、少しだけ食費に余分なお金を出す余裕が生まれたんですね。

その他、「交通費」は1万円ほど少なくなっていますが、それ以外の項目に対して4万円ほど余分に支出しています。

総額で比較すると、昨年は20万円しか支出に回していませんが、今年は30万円支出しています。その結果、昨年は貯蓄が5万円残りましたが、今年は2万円しか残りませんでした。


「実質賃金」における「物価」の考え方

「実質賃金」とは、では一体何なのかと申しますと、「受け取った名目賃金で、一体いくつ物やサービスを消費することができるのか」という、「個数」もしくは「量」で賃金を測る方法です。

つまり、

 名目賃金=実質賃金×物価

という式で表すことができるわけですが、肝心なのはこの時考えるべき「物価」です。「物価」は、「店頭にこの値段で陳列されているから、今月の物価はこの金額になるだろう」という「未来予測」の数字ではなく、

 「この月に、この店で、何円の商品がいくつ売れたからこの金額になった」

という、「過去を検証した数字」です。私がよく言う、「消費されなければ物価にならない」という言葉は、それを指したものです。

逆に言えば、「消費に回されていない賃金は、物価には反映されない」と言い換えることもできます。

なぜなら、消費に回されていない賃金が、仮に消費に回されていたとしたら、「物価」は変動するからです。単純な理由ですね。

さて。以上の考え方を下に、先ほどの「名目賃金」のグラフをもう一度見てみます。

名目賃金比較

色んな式を出して申し訳ないのですが、実質賃金指数を求める際、「名目賃金指数」を「消費者物価指数」で割りますね?

これは、どういう作業をしているのかと申しますと、「名目賃金」を構成する「物価」を、同じ年の「消費者物価指数」で割ることによって、「基準年の物価に戻す」という作業を行っていることになります。

消費者物価指数は、基準年の消費者物価指数を100と考え、1%成長したのであれば101、3%成長したのであれば103となります。

良く似た事例で考えますと、消費税についての考え方が非常ににわかりやすいかと思います。

例えば目の前に100円の商品があったとして、消費課税前の金額をだそうと思えば100%をかけますので、当然金額は100円になります。

課税後の金額を出そう思えば108%をかけますから、108円になります。

では、目の前に課税後、108円の商品があった場合。課税前の金額を出そうと思えばどの様にすればよいでしょう?

そうです。課税前の金額に108%をかければ課税後の金額が出るのであれば、当然課税後の金額を108%で割れば、課税前の金額がでてきます。

消費者物価指数は、基準年を100、これに物価上昇率を加えて調査年の消費者物価指数を出しています。

例えば今年の消費者物価指数が105であれば、基準年と比較して今年は5%物価が上昇したということです。そして、今年の物価を105で割る、ということは…

ここまで言えばお分かりですね。当然消費者物価指数が100であった基準年の値に戻されます。

上のグラフで考えるのなら、例えば今年、「テレビ」が売れていますが、昨年は売れていません。売れていないということは「0円」ですから、基準年の物価に戻しますと、10万円のテレビは「0円」になります。

基準年に存在しないものは、そもそも購入することができませんからね。(数学的に0で割ることはできない、という考え方はここでは無視します)

逆に、昨年は支出されていた「授業料」が、今年はなくなっていますが、これも同じ考えで、今年の授業料は「0円」ですが、昨年の授業料は5万円ですから、「5万円」に戻します。

「食料品」も「同じ金額の食糧が、同じ数消費された」と考えますので、やはり7万円を5万円に戻します。

「数も変わるのか」というツッコミを受けそうですが、これは第459回の記事 でも掲載しましたように、例えば昨年100円で7個売れたものが今年5個しか売れていないんだとしたら、減少した2個分は「0円で売れた」と考えます。

その上で「(100円×5+0円×2)÷7」で計算しますので、今年の物価が下落した、と考えます。ちなみに、このような計算方法を「加重平均」といいます。

逆もまた然りです。(消費者物価総額を計算した後、「10万分率」、つまり「消費者物価の合計値が10万であったら」という仮定で計算しなおされる際に調整されています)

もちろん、これは個人ベースで考えているので通用する計算方法です。実際にマクロベースで考えるときは、例えばAさんはテレビを購入しなかったとしても、BさんかCさんはテレビを購入している、と考えます。そしてその購入総数を「重要度(ウェイト)」と考えて、計算式の中に組みこまれています。


このように考えますと、当然「その他」という分野も結果的に消費に回された金額は昨年と同じ金額になります。

つまり、実質賃金を考える場合、既に消費された、今年の購入金額と昨年の購入金額は「同じ金額である」と考えるわけです。「消費者物価指数で割る」とは、即ちそういうことです。実質賃金指数を求める際には、「今年の賃金指数」にも「昨年の賃金指数」にも同じ処理が施されています。

このように記しますと、「じゃあどうして『実質賃金(指数)』は毎年違うんだ!」という怒りの声が上がってきそうですが、もう一度思い出していただきたい。

そう。私は、「消費に回されていない賃金は、物価には反映されない」とお伝えしていますね?

「消費に回されていない賃金」。即ち「貯蓄高」の事です。

実質賃金比較
(このグラフも、100%正しいグラフではありません。詳細を第464回の記事 にて補足しています。)

第459回の記事 では、私は実質賃金の事を、「名目賃金-総消費支出」であると記しました。

ですが、これは間違っていますね。正確には、「名目賃金-総消費支出」に、「比較年の総消費支出」を加えたものが「実質賃金」だということで間違いないと思います。実際の「実質賃金」は、この「名目賃金-総消費支出」の部分も消費者物価指数で割っていますが、割った後の金額よりもむしろ、割る前の金額の影響の方が大きいことはご想像いただけると思います。

結果的に、実質賃金のプラスマイナスを左右しているのは、「名目賃金の内、貯蓄に回すことができた額」であるということは間違いないのですが、=「実質賃金」だと表現すると、これは誤りであったと思います。失礼いたしました。
(※正確には、この「実質賃金」を更に「物価」で割る必要があります。この事を 第464回の記事 で補足しています)

ですので、名目賃金を上昇させた上で、更に実質賃金まで上昇させようと考えるのなら、賃金を増やした上で、更に貯蓄に回す金額まで増やせるようになってようやく実質賃金は安定して上昇し始めるということです。

ですが、私個人的な感想としては、わざわざそんな政策をあっせんすることに全く意味はないと思います。貯蓄高を増やさずとも、安心して消費を行うことができる社会を築くことこそ、本当に政府が求められている政策であると、私は思います。




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この記事のカテゴリー >>日本国債の問題


今回は久しぶりに国債情報を分析したものを記事にしてみます。

タイトルを見て、わかる人にはわかるとは思うのですが、今回の記事には、

 第104回 本当の国債発行額と国債発行残高の推移

の「更新版」としての役割を担ってもらおうと思っています。

同記事を作成したときには、第27回 国債を返済する仕組み~60年償還ルール~ が最も人気のある記事、だったのですが、現時点ではこの104回の記事 が圧倒的に私のブログで第一位のアクセス数を誇っております。

日本で発行される国債の基本的な考え方は、第27回の記事 に掲載しています通りで、日本国の国債が破綻しない最大の理由は、この「60年償還ルール」にある、という考え方に基づいて当ブログは構成されています。

で、60年償還ルールで日本国債が破綻しない理由については、「第359回の記事」でその分析結果を掲載しています。

では、なぜ今になって第104回の記事の更新版を掲載しようと思ったのか。これは、私の「60年償還ルール」に関する考え方を証明するような経済指標が見つかったから。

といっても、別にこれまで掲載してきた記事とは異なる、新しい情報が出てきたわけではありません。これまで掲載してきた情報の、「最新情報」がこれを示していたということです。

「結論から入る」タイプの人には、私の記事は読みにくい、もしくは煩わしく思われるかもしれませんが、このような記事の作り方が私のスタイルですので、どうぞお付き合いいただければと思います。


3つの「国債発行額」の推移

結論から入るタイプの方のために、あらかじめこの記事で掲載する内容をここで掲載しておきます。

1.「一般会計における国債(建設国債+赤字国債)」発行額の推移
2.「借換債」発行額の推移
3.国債発行残高総額の推移

この3つです。それぞれ、2006年度から2019年度まで、過去14年分の「国債発行額」を掲載します。

ここから何が読み取れるのかは順次掲載していきます。

1 一般会計における国債発行額の推移
一般会計における国債発行額

2.「借換債」発行額の推移
借換債発行額

3.国債発行残高総額の推移国債発行残高の推移

2018年度は補正予算を組んだ後の予算、2019年度は当初予算ベースとなっています。

徐にこのグラフを掲載されたところで、皆さんからすれば、「で?」という一言で終わってしまうかもしれません。

例えば第104回の記事 では、2016年までの数字をグラフ化していますが、2016年度には補正予算が含まれていないため、今回のグラフとは多少違っています。

で、そのあたりを見て「2019年もどうせ予算ベースでしょ。また補正予算組んだら増えるんだから意味ないじゃん」とおっしゃる人もいるかもしれません。

ですが、私が見ていただきたいのはそんな1番の表面上の数字ではなく、2番と3番。特に3番の「国債発行残高の増加幅」を見ていただきたいのです。

では、次にその「国債発行残高の増加幅」をグラフではなく、表形式で掲載してみます。

国債発行残高前年差額 : 一般会計前年度差額(単位:兆円)
2006年度 4.8 : -3.8
2007年度 9.8 : -2.1
2008年度 4.5 :  7.8
2009年度 48.0 : 18.8
2010年度 42.3 : -9.7
2011年度 33.6 :  0.5
2012年度 35.1 :  4.7
2013年度 38.9 : -6.6
2014年度 30.2 : -2.4
2015年度 31.3 : -3.6
2016年度 25.2 :  3.1
2017年度 22.6 : -4.5
2018年度 27.0 :  1.8
2019年度 16.5 : -2.7

年度→国債発行残高の増加幅→一般会計における国債発行額の増加幅の順で掲載しています。

この表を下に、私が何を言いたいのか、ご推察いただけるでしょうか?


「60年償還ルール」の満期

私のブログでは、「国債が破綻しない理由」として、この「60年償還ルール」を中心に記事を作成しています。

60年償還ルールとは、日本国政府が発行した国債は60年分割で返済することが可能となっていること。

日本ではこのルールの下に、償還期を迎えた国債はいったん全額償還されるのですが、償還期を迎えた国債のうち、まだ償還する必要のない国債については、「借換えても良い」ことになっています。

「借換債」とは、この「借り換えてもよい国債」に対して発行されているのですが、戦後、日本で初めて国債が発行されたのは、昭和40(1966)年の事。その額1972億円です。

更に調べてみますと、60年償還ルールが決まったのはその3年後、昭和43年(1968年)の事。

で、同年国債発行額の内、1000億円に対してこの60年償還が行われたのが60年償還の始まりだったようです。

では、60年償還が始まった1968年から数えて60年後、とは一体何年になるでしょう。

単純に1968年に60を足した年。つまり、2028年がその60年目となります。


今年が2019年ですから、もうすでに10年を切っています。満期になれば残額は0円になりますから、それ以上借換債を発行する必要はありません。

仮に1968年に発行された国債の借換債が、仮に毎年発行されていたとすれば、最後の借換債が発行されるのは、2017年。

これが償還されれば、1968年に発行された国債の「国債発行残高」は0円になります。

今年は52年分の借換債を含む「国債」が、飛んで2023年には56年分、2024年には57年分、2025年には58年分、2026年には59年分、2027年には60年分の「国債」が、発行されます。

ですが、2028年には1968年に発行された国債の借換債は発行されませんから、前年と同じ60年分の「国債」しか発行されません。

詳しくは第359回の記事 を読んでいただきたいのですが、つまり国債発行残高の「増加」に歯止めがかかるのです。


満期を迎える国債内訳(2018年12月末)

こちらは、財務省が公表している、「国債発行残高」の満期別内訳です。一番左が2018年度、つまり今季で満期を迎える国債の内訳。来年、再来年と右に向かってグラフは進んでいきます。

このグラフを見ますと現在、借換債を含めた国債は、「10年」「5年」「2年」「1年」物の国債が、それぞれほぼ同じ割合で発行されているようです。

先ほどお示しした、1968年債の満期に関する事例は、あくまでも借換債が毎年発行されていたと仮定した場合の事例です。

では、もし「借換債」が毎回「10年物国債」で発行されていたとしたらどうでしょう。1968年、最初に発行された国債が10年物であったとすると、この年に発行された国債の「借換債」が最後に発行されるのは満期を迎える2028年から10年前。2018年には既に発行されている事になります。

この事例で申しますと、2018年には、既に「60年分の国債」が発行されている事になります。遡って17年に59年分、16年に58年分、発行されていることになりますが、2019年には既に60年償還初年度である1968年債の借換債は発行されていないことになりますね。

つまり、借換債が10年物で発行されていた場合に限定すれば、2019年度以降は、借換債の発行年数には既に「上限」が訪れていることになり、「年数ベース」ではこれ以上は増えることはない、ということになります。

借換債の中には「超長期国債」といって、10年を上回る償還期限の国債も発行されており、例えば31年に償還期限を迎える国債の中には、「15年債」や「20年債」が含まれていることがグラフからもわかると思います。

当然ですが、「60年償還ルールベースで考えますと、既にこれらの国債の中には「満期分の借換債」が含まれていることが考えられるわけです。

そこで、再度先ほどの表を見てみます。

国債発行残高前年差額 : 一般会計前年度差額(単位:兆円)
2006年度 4.8 : -3.8
2007年度 9.8 : -2.1
2008年度 4.5 :  7.8
2009年度 48.0 : 18.8
2010年度 42.3 : -9.7
2011年度 33.6 :  0.5
2012年度 35.1 :  4.7
2013年度 38.9 : -6.6
2014年度 30.2 : -2.4
2015年度 31.3 : -3.6
2016年度 25.2 :  3.1
2017年度 22.6 : -4.5
2018年度 27.0 :  1.8
2019年度 16.5 : -2.7


18年度の国債発行残高の「増加幅」が比較的大きく、また一般会計における国債、つまり「新規発行債」の発行額が18年度よりも減少していることが理由として挙げられるとは思いますが、それにしても「16.5兆円」しか「国債発行残高」は増加していません。

リーマンショック前、2007年、2008年に次ぐ水準です。ちなみに2008年の増加幅が小さくなっているのは、ここに占める「財政投融資債」の発行額が前年よりも下落していることにありますので、単純な比較はできません。

そういう意味で言うと、2009年の国債発行残高が大きく増加していますが、これは単に「リーマンショックによる国債発行額の増加」が大きかったということだけではなく、この年に償還期を迎えた国債が多く存在し、「借換債」の発行額が増えていたことが理由として挙げられます。

少し余分なことを記しましたが、それにしても2019年度の国債発行残高の増加幅が極端に少なくなっているように思いませんか?

また、この縮小傾向は、実は2014年から継続しています。18年が極端に上昇しているだけで。

借換債の発行額の推移ももう一度見てみます。

借換債発行額

13年から14年にかけて、一時的に増加していますが、それ以降、19年までの5年間、継続して減少していますね?

このことは、60年償還ルールにおける「最終発行年」を過ぎた国債がそろそろ姿を見せ始めたことが原因なのではないか、と私は思うのです。

「日本国債が破綻する」とか、「日本国債はいくらでも発行していいんだ!」とか、極端な意見が巷では目立ちますが、国債発行残高はそろそろ「増加しにくい状況」へと変わり始めます。

ひょっとすると「減少」に転じてもおかしくはない状況がやってきているわけです。

プライマリーバランス(財政均衡)がどうとか、そういった緊縮云々には全く関係なく、です。

日本の国債発行残高がなぜ増え続けるのか。その本当の「答え」。私の説が正しいかどうかが証明される時期が、そろそろ訪れるのではないでしょうか。




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先日(2019年2月14日)2018年度GDP第3四半期(10~12月)1次速報が公表されましたので、本日はこの話題を取り上げます。冒頭にお伝えしておきますが、引用したニュース記事は枠で囲っています。枠で囲っている部分は私の記事に一通り目を通していただいた後でチラ見する程度でかまわないと思います。

サブタイトルを二つスルーすると本編がスタートします。


では、まずはこちらのニュースをご覧ください。

【日本経済新聞記事(2019/2/14 8:53)より】
GDP実質1.4%増、10~12月年率 2期ぶりプラス

内閣府が14日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.3%増だった。年率換算では1.4%増。年率2.6%減だった7~9月期から、2四半期ぶりのプラスとなった。18年夏の自然災害による個人消費の落ち込みが解消され、内需が全体の成長率押し上げに寄与した。

前期比0.3%増の成長率のうち、0.6%分は国内需要を表す内需が寄与した。内訳をみると、GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.6%増と、7~9月期の0.2%減から回復。飲食や宿泊、航空などレジャー関連の回復が目立った。自然災害が個人消費を下押ししていたが10~12月期は回復。自動車販売も堅調だった。

住宅投資は1.1%増。2四半期連続でプラスを確保した。住宅投資は工事の進捗状況に応じてGDPに計上しており、4~6月期以降の着工の伸びが寄与した。民間の設備投資も2.4%増と全体を押し上げた。生産用機械の伸びが寄与した。

一方、外需は0.3%分、成長率を押し下げた。中国経済の鈍化により情報関連財の輸出が伸びず、輸出全体の伸びを抑えた。輸入は堅調な内需を背景に増加。外需の寄与度は、輸出の寄与度から輸入の寄与度を引いて算出する。前期からの伸び率は輸入が輸出を上回り、全体に対する外需の寄与度はマイナスとなった。

18年10~12月期のGDP成長率は名目で見ると0.3%増。年率換算では1.1%増だった。名目値は実質値に物価分を上乗せして算出するため、物価が上がれば名目値は上がる仕組みだ。10~12月期は物価上昇率が鈍く、名目の成長率が実質を下回った。

収入の動きを示す雇用者報酬は名目の前年同期比で3.2%増。7~9月期の2.6%増から伸び率が拡大した。

18年暦年の成長率は実質0.7%増、名目で0.6%増。いずれも12年以降、7年連続のプラス成長となった。成長率はともに17年を下回った。18年の名目GDPは548兆円と17年の545兆円を上回り、過去最高を更新した。

記事内容としては、比較的マトモ。なのですが、私としてはやはり主張したい。「なぜ実質GDPで判断するのか!」と。

ちなみにNHKはこの話題を以下のように報道しています。

【2019年2月14日 15時30分】
GDP 2期ぶりプラスも中国経済の減速が業績に影

2期ぶりにプラス成長を取り戻したGDP。しかし、回復の勢いは力強さに欠けています。大きな要因は中国経済の減速です。

北九州市に本社がある「安川電機」は、産業用のロボットやモーターなどを手がけています。
省力化のための設備投資の需要が底堅いこともあって、今月までの1年間の決算では、売り上げ、最終利益ともに過去最高を更新する見通しです。
しかし、全体の売り上げの2割を占める中国での経済の減速が、業績に影を落としています。

主力商品の1つは、半導体を製造する装置などに組み込まれるモーターです。

ところが、去年の秋以降、“巨大市場”の中国で、スマホの売り上げが低迷。アメリカと中国の貿易摩擦の激化という要因も加わって、モーターを組み込んだ製品の中国向けの輸出が落ち込み、モーターの受注も減っているのです。このため、去年10月と先月、2度にわたって業績予想を見直し、営業利益を当初から20%近く下方修正しました。

このように、中国経済の減速などを背景に業績予想を下方修正する企業が相次いでいます。

SMBC日興証券の今月8日時点のまとめでは、東証1部で決算発表を終えた企業のうち、来月までの年間の業績予想で、営業利益を下方修正した企業は155社に上り、上方修正した92社を大きく上回っています。

安川電機はヨーロッパでのビジネスを強化するため、現地に新たな生産拠点を設けたほか、食品工場向けなど新たな需要を掘り起こすなどして中国市場の落ち込みを補いたいとしています。

安川電機の小笠原浩社長は「米中の貿易摩擦がどのように動くかが1つのカギになるが、長い目で見て中国が思い切り減速することはないと思う。中国は市場としても大きいので、その動きをきちんと見て対応していきたい」と話しています。
中国減速が段ボールにも
中国経済の減速は、段ボールの材料となる古紙を取り扱う業界にも影響を与えています。

関東地方の古紙業者の組合は、中国向けに、段ボールにリサイクルされる古紙を輸出しています。
去年の夏から秋にかけて引き合いが強くなり、買い取り価格が2割ほど上昇しました。米中の貿易摩擦で、去年8月、中国が、アメリカから輸入する古紙に追加の関税を課したため、代替品として、日本の古紙に需要が集中したためです。
ところが、こうした状況は長くは続かず、年末になると状況が一変しました。取り引きを続けてきた中国の7つの業者のうち6社からの注文が途絶え、残る1社もピーク時の半額程度の買い取り価格を提示してきたのです。

景気減速で、中国国内の製造業の生産が鈍り、製品をこん包する段ボールの需要も大きく落ち込んだことが要因の一つだとみられています。

組合では、採算が合わないことなどから、去年12月から3か月連続で中国への輸出を見送ることにしました。このため埼玉県にある業者の工場には、およそ500トンの段ボール用の古紙が積まれたままになっています。

「関東製紙原料直納商工組合」の大久保信隆理事長は、「中国国内の生産が鈍っていることは間違いなく、その経済的影響が古紙業界にも来ている。中国は世界最大の古紙の消費国なので、今後、生産が戻るよう願うしかない」と話しています。
春節終えたデパートも警戒感
中国経済の減速に対する警戒感は、中国の旧正月、「春節」の商戦を終えたデパートからも出ています。

「三越伊勢丹」は、「春節」に合わせた今月4日から10日までの大型連休の期間中、外国人旅行者向けの売り上げが、グループ全体で去年の同じ時期に比べておよそ4%減りました。

このデパートではことしの春節商戦に合わせて、中国の企業が手がけるスマートフォンの決済サービス、「アリペイ」を全国すべての店舗に導入し、中国人の買い物客の取り込みを図りました。
しかし、宝飾品など比較的高額な商品の売り上げが伸び悩んだということです。

その一方で、中国語を話せるスタッフを増やすなど接客サービスを強化した店舗は売り上げが増えたということです。
このため、このデパートでは、日本の「おもてなし」をより充実させて、消費の減少を防ぎたいとしています。

三越伊勢丹の販売戦略部の堀井大輔さんは「春節商戦の売り上げの減少が短期的なものなのか、それとも中長期的なものなのか、注意深く見ていきたい」と話していました。

NHKとすると、「実質GDP」がプラス成長したことがよほど悔しかったのでしょうか。記事全体をざっくりと要約すると、「確かに実質GDPは1.4%成長したが、中国経済の成長率が減速しており、楽観視することはできない」という内容の記事が書かれています。


「季節調整系列」と「年率換算」

それでは、ここからこの「GDP実質1.4%増」という話題に、記事作成者である私、「のんき」のフィルターをかけていきます。

いつもお話ししている内容ではありますが、まずこの「実質GDP1.4%」という数字は、「季節調整された実質GDPの『前期比』を『年率換算』したフィクションの数字」です。

私、この「季節調整」だけは、未だにどのような計算方法が用いられているのかということを全く理解することができません。春夏秋冬、もしくは季節催事における独特な要素を排除しているのですが、そんな事人間業でできるのか、という疑問をずっと抱き続けています。

そんな「人為的」な方法を用いて算出された結果に、どれほどの「信憑性」があるのか。全く信用できません。

なぜそんな計算が行われるのかというと、「連続する二つの期間」、つまり春と夏、夏と秋、秋と冬といった異なる季節を同じ基準で比較するために行われているのですが、わざわざそんな計算をすることに何か意味があるのでしょうか?

それよりもむしろ、「今年の春と昨年の春」を比較してどうなのか、「今年の夏と昨年の夏」を比較してどうなのか。同じ季節同士を比較すれば、そんな信憑性に非常に疑いのある結果が出てくるとは思えません。もちろん、私は「GDP」の算出方法そのものに疑問を抱いていますので、前年同期と比較した「だけ」でその払拭できるわけではありません。

ですが、それでも人為的な計算式を用いて「季節調整」が行われた数字よりは「なんぼかまし」、です。

更に「年率換算」とは、そんないい加減な「季節調整」が行われた後の「前期比」の成長率が、「もし1年間継続したらどうなるのか」という、完全にフィクションの数字です。

時間があるかたがいらっしゃったらぜひ計算してみてください。季節調整が行われた「前期比」から1年後の「実質GDP成長率」が1年前の「前期比」と同じ・・・もしくは「近似値」になっている四半期なんてたったの1度もありませんから。

にも関わらず、なんでマスコミはそれほどに「年率換算」の数字を重宝したがるのか、私には全く理解できません。


「実質GDP」と「名目GDP」

あともう一点。「実質GDP」と「名目GDP」について。

この話題は 第218回の記事 で詳細に掲載していますので、改めてご覧いただければと思いますが、

・「名目GDP」とは、「一定の期間に総額で何円の消費が行われたのか」という値。
・「実質GDP」とは、「一定の期間に全部で何個消費されたのか」という値

です。

500円のみかんが4個売れたのか、それともケース売り1Kg2000円のみかんが1ケース売れたのか。実質GDPからそんな情報は一切読み取ることはできません。

私は日本国中で一体「何個分」の「消費」が行われたのかということよりも、日本国中で「総額何円」の消費が行われたのかという情報の方が大切だと思うのですが、なんでマスコミは「実質GDP」に執着するのでしょうか?

私の記事でも「実質GDP」の値は掲載しますが、あくまでもこれは「参考値」。マスコミが必死に「季節調整、年率換算」の数字ばかりをPRしますから、そんなフィクションの数字ではなく、「実際の実質GDPはどうなのか」ということを皆様に知っていただくために掲載しています。この辺りを踏まえて、いかに掲載内容をご覧ください。

もちろん私が掲載する情報はすべて、「原系列、前年同期比」です。


2018年(平成30年)度GDP第3四半期1次速報

【2018年度GDP第3四半期第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 142.310 兆円(-0.3%)

 民間最終消費支出 78.831 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 76.273 兆円(1.1%)
  除く持家の帰属家賃  63.760 兆円(1.3%)

 民間住宅 4.373 兆円(-0.7%)
 民間企業設備 22.322 兆円(4.3%)

実質GDP
全体 136.299 兆円(-0.0%)

 民間最終消費支出 76.834 兆円(0.8%)
 家計最終消費支出 74.528 兆円(0.7%)
  除く持家の帰属家賃  61.000 兆円(0.6%)

 民間住宅 3.987 兆円(-2.3%)
 民間企業設備 21.606 兆円(3.4%)

内閣府

どうでしょう?

マスコミ報道とは違った光景が見えてきませんか?

マスコミ報道では実質GDPが「1.4%」成長していたはずなんですが、上記データでは「横這い」になっていますね。厳密に言えば「下落」しています。

名目GDPに至っては0.3%のマイナス。厳密に言わずとも「下落」しています。

では、日本経済は「悪化」しているのでしょうか?

その内訳に目を通していただきたいのですが、実は私たち民間人の経済活動に関して言えば、前年割れを起こしているのは「民間住宅」のみ。これは名実共に前年割れしています。

ですが、それ以外の項目はいかがですか?

ご覧の通り、すべての項目で「名実共に」上昇しています。

私、日本経済新聞記事に対し、「記事内容としては、比較的マトモ」と記していますが、それは上記の通り、「原系列前年同期比」でみても同じ結果が生まれているからです。

偶然ですが、「原系列前年同期比」と「季節調整系列前期比」に、比較的近い構造となっています。

ただ、同じ記事には「GDPの5割超を占める個人消費が前期比0.6%増と、7~9月期の0.2%減から回復」「自然災害が個人消費を下押ししていたが10~12月期は回復」と記されていますが、ここは全くのデタラメ。「前年同期比」でみれば、7~9月の「個人消費」は名目で1.4%、実質で0.5%上昇しています。

自然災害の中でも、個人消費は「昨年の同じ季節に比べて」ちゃんと上昇しています。「下押し」なんてされていません。

また、「住宅投資は1.1%増。2四半期連続でプラスを確保した」と記されていますが、ここも違います。今期も昨期も共に住宅投資は前年割れを起こしています。今期よりマイナス幅が減少しているだけで、前年割れを起こしているという状況は変わりません。

2期連続・・・どころか、5期連続で名実ともに住宅投資は前年割れしてるんです。なんでここをきちんと報道しないんでしょうね?

もちろん、それまでの「住宅投資」が急激に上昇しすぎていましたので、そのことが原因かとは思うのですが、きちんと分析すれば、マスコミ側から政府側に、きちんとした政策提言ができると思うんですが。マスコミの役割ってそういうことじゃないんでしょうかね?


内需が上昇しているのに、なぜGDPは前年割れを起こしているのか?

そう。今回のGDP統計の最大の問題点はここです。

答えは・・・深く考えるまでもありませんね。内需が好調なのに、GDPが前年割れしている原因は「外需」にあります。

ということで、「輸出入データ」を見てみましょう。

【2018年度輸出入第3四半期第1次速報(2018年度:2017年度:前年同期比)】

名目輸出額 25.926兆円 25.728兆円(0.8%)
名目輸入額 26.698兆円 24.559兆円(8.7%)
名目純輸出額 -0.771兆円 1.169兆円(-166.0%)

実質輸出額 23.667兆円 23.599兆円(0.3%)
実質輸入額 24.877兆円 24.015兆円(3.6%)
実質純輸出額 -1.199兆円 -415.8兆円(-99.7%)

「純輸出高」に「前年同期比」という値はないのですが、あえて計算してみました。

「純輸出高」とは、「輸出高」から「輸入高」を引いた金額です。GDPにはこの「純輸出高」が加算されています。つまり、「輸入高」はGDPからマイナスされている、ということです。

NHKの記事では、中国への輸出産業の売り上げが減退しているという記事と、中国からの来訪者が日本国内で起こす消費額が減少している、という記事を合わせて掲載することで、あたかも日本の輸出産業が減退しているかのような記事を掲載していますが、ご覧の通り第三四半期の「輸出額」は名実共に上昇していますね?

では、一体なぜGDPは前年割れしているのか。

いうまでもありませんね。答えは「輸入額の上昇」です。

日本の輸入品目の中で、実にその1/4を占めるのが「鉱物性燃料」。この中で最も大きなシェア率を誇っているのが「原油及び粗油」。石油製品まで合わせると輸入品目全体の15%くらいのシェア率です。

また、第457回の記事 で2018年の「消費者物価指数」の推移を10費目別に表にしてお示ししましたが、その中でも「光熱・水道」の分野が大幅な前年比伸び率を示していることもご確認していただけると思います。

つまり、日本の「GDP」の足を引っ張っているのは「原油価格の高騰」だということ。決して中国経済のせいではありませんね?

ということでタイトルにある「実質1.4%上昇は本当か?」という問いかけですが・・・もちろんデタラメです。

「いやいや、それは『前年同月比』ではないだけで・・・」という方もいらっしゃるかもしれませんが、もう一度記事を最初から見直してください。1.4%という数字は、「季節調整系列を年率換算」した数字で、完全な「未来予測」です。フィクションの数字です。

もし、万が一4期後の数字が実質1.4%を記録したとしても、それは単なる偶然にすぎません。「実質1.4%」という数字は、かなり適当な「未来予測」の数字です。

ですから、決して現在の日本経済の「現状」を反映した数字ではありません。


しかし、いい加減こんなフィクションの数字があたかも現在の日本経済の現状を指示しているかのように思いこませる記事を書くの、マスコミもやめるべきだと思うんですが。




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<継承する記事>第458回 実質賃金マイナス公表の見方~消費されなければ物価にはならない!~

先日より、2度に渡って記事を作成したこの「実質賃金」。私自身が作成した内容を頭の中で反芻し、シミュレートしていたんですが、その中で私、とあることに気づいてしまいました。

私を含め、多分ほとんどの人がこの「実質賃金」という言葉に騙されていたんじゃないかと思うのです。「実質賃金」ですから、どうしても皆さん、「実質的な賃金」と思い込んでしまいがちで、ついつい実質賃金を、「名目賃金を受け取った月に消費に回せるお金」だと思いこんでいたんじゃないかと思うのです。

前回前々回 の記事で、私はこの事に疑問を呈し、そもそも「消費しなければ物価にはならない」ということを散々訴えてきたわけです。

改めて考えていただきたいのは、この「消費しなければ物価にはならない」という言葉の意味です。

実質賃金指数の求め方は、「名目賃金指数÷持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」という式で求めることができます。


「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」とは何か?

「持家の帰属家賃」という言葉が乗っかっていますと、すごく難しいもののように感じるかもしれませんが、「持家の帰属家賃」とは、「日本国内では消費されていない物価」です。

シリーズ、「物価」の見方 では散々話題にしていますが、「持家の帰属家賃」とは、「海外の住宅事情と比較するために設けたフィクションの数字」です。詳しくは同シリーズを遡って読んでください。

日本国内では消費されていないわけですから、実質化する際の「物価」からは除外されます。当然ですね。

つまり、「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」とは、例えば1月であれば1月の間に「日本国内で消費された品物やサービスの物価指数」ということになります。

って表現するととてもわかりにくいですよね。そこで、もう少し砕いた表現をします。

「日本国内で消費された品物やサービスの物価」とは、「日本国内で、一人の人が消費した品物やサービスの平均単価」 です。

ですから、この数字に「消費された数」をかけると一人の人が一定の期間に消費した支出の「合計金額」が出てきます。


「実数」と「指数」

では、先ほどの「消費者物価指数」。ではこの値、どうやって算出しているのでしょう?

「名目値」=「実質値」×「物価」

という公式に当てはめれば、「消費者物価指数」は「名目値」を「実質値」で割る事で求められます。

ですが、消費者物価指数が気まなければ「実質賃金」を求めることはできませんから、上記の公式から「消費者物価指数」を求めることはできません。

「消費者物価指数」は、例えば今年の1月であれば、今年の1月の消費者物価を、「基準年の1月の消費者物価」で割ることで求めることができます。そう。今年の1月にも、基準年の1月にも、「消費者物価指数」以外に、「消費者物価」なるものが存在するはずなのです。

では、「名目賃金」と「名目賃金指数」の関係はどうでしょうか?

もちろん「名目賃金指数」は、今年の1月の名目賃金を基準年1月の名目賃金で割ることで求めることができます。





では、「実質賃金」と「実質賃金指数」は? 


「実質賃金」の正体

Aさんという人について考えてみましょう。

Aさんの今年度1月の名目賃金(手取り給与所得)が20万円だったとします。この月のAさんの総消費支出(平均単価×消費数)が15万円だったとします。

では、Aさんの「実質賃金」はいくらでしょう?

GDPの場合は、この場合「総消費支出」が名目GDP、「平均単価」がGDPデフレーター(物価)、「消費数」が実質GDPだと考えることができます。

では、「賃金」の場合は?


ここから後は、私の「憶測」です。数学者でも統計学者でもない、ズブの素人の私の「憶測」だと思ってご一読ください。

ですが、「根拠」がないわけではありません。

私は、「実質賃金」の正体は、「手取り賃金」を受け取った後、同じ月に行った「支出」を全額差し引いた残りこそ「実質賃金」なのではないかと考えているのです。

式で表すのなら、

実質賃金=「月間手取り給与」-「月間消費支出」


となります。

Aさんが1月給与所得を受け取った後、、1月に物品の購入やサービスに対する支出を行った後、手元にいくらお金が残っているのか、ということです。

つまり、1月の給与所得のうち、貯金に回すことができたお金こそ「実質賃金」なのだと。

実質賃金の正体

実質賃金=「月間手取り給与」-「月間消費支出」の根拠

例えば、「基準年」1月の名目賃金が20万円、総消費支出が15万円だったとします。この場合、貯蓄に回すことができる金額は5万円です。この場合の「実質賃金指数」は名目賃金÷総消費支出(×100)ですから、約133.3となります。

以降4年間の1月の賃金を以下のように設定してみます。

名目賃金
基準年 20万円
2年目 25万円
3年目 30万円
4年目 10万円
5年目 50万円

つづいて、「総消費支出」を以下のように設定してみます。
総消費支出
基準年 15万円
2年目 18万円
3年目 29万円
4年目 12万円
5年目 10万円

ここから、「貯蓄額」を計算します。
貯蓄額
基準年 5万円
2年目 7万円
3年目 1万円
4年目 -2万円
5年目 40万円

では、次に「実質賃金指数」を算出してみます。(小数点第2以下は切り捨てます)
実質賃金指数
基準年 133.3
2年目 138.8
3年目 103.4
4年目 83.3
5年目 500.0


着目していただきたいのは、「貯蓄額」と「実質賃金指数」の相関関係です。

数値の大きい順に並べ替えてみます。
貯蓄額
5年目 40万円
2年目 7万円
基準年 5万円
3年目 1万円
4年目 -2万円

実質賃金指数
5年目 500.0
2年目 138.8
基準年 133.3
3年目 103.4
4年目 83.3

人によると、「当たり前やん!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。数学が得意な方であれば、わざわざ私がこうやって計算し、並べなおすまでもないでしょう。

そう。「貯蓄額」と「実質賃金指数」の相関関係は全く一緒なんですね。その順序が崩れることはありません。

もし仮に、私の「推測」が誤りであったとしても、それぞれが同じ関係性を持つ数字であることは疑いようがありません。


「総消費支出」の内訳

では、こんなことを暴き出して、私が一体何を主張したいのかと申しますと、ここ。

 「総消費支出の内訳」

の話です。

 「実質賃金」=「名目賃金」-「総消費支出」

であることは証明させていただきました。※証明とするには足りない部分がございました。正確性を欠く内容となっていますので、改めて「正確な」実質賃金を 第463回の記事 にてまとめなおしていますのでご参照ください

問題となるのは、この式のうち、「総消費支出」。その内訳についてです。
(※以下の内容も、必ずしも「正しい」とは言えません。私自身の記事で、その着眼点は間違っていないと思いますが、不足する内容が多くありますので、繰り返しになりますが、第463回の記事、及び 第464回の記事 で保管していますので、必ず両記事にも目を通してください)

問題1
Aさんが受け取った名目賃金が、40万円だったとします。Aさんはこの月、20万円のパソコンを1台、5万円のゲーム機を1台、営業車でガソリン代を3万円、家庭用の灯油を2万円消費しました。

この月のAさんの「実質賃金」はいくらでしょう。


答えは、

 名目賃金(40万円)-総消費支出(20万円+5万円+3万円+2万円)=10万円。

つまりこの月のAさんの実質賃金は10万円です。

問題2
Aさんが受け取った名目賃金が15万円だったとします。Aさんはこの月営業車のガソリン代を3万円、食費に2万円消費しました。

この月のAさんの「実質賃金」はいくらでしょう。

もうわかりますね。この月のAさんの実質賃金もまた、10万円です。

問題1も、問題2も共に営業車のガソリン代を3万円消費していますが、問題1ではそれ以外にパソコンを1台、ゲーム機を1台購入していますね。つまり、「娯楽」のために消費活動を行っているのです。

ところが、問題2ではガソリン代以外に食費として2万円しか消費していません。この月は生活するのに精いっぱいだったことがわかります。

ですが、どちらの月も「実質賃金」は同じ10万円なのです。


現在、野党マスコミの皆さんは、厚労省の毎月勤労統計で不正が行われ、「実質賃金がマイナスであったことが隠されていた!」「アベノミクスは失敗だ!」と大騒ぎしています。

ですが、どうでしょう?

実質賃金がマイナスだったということは、本当に「アベノミクスの失敗」を意味しているのでしょうか?

国民は、そもそも何に対して「消費活動」を行ったのでしょうか?

「実質賃金がマイナス」という、一見するとネガティブな言葉にかみついて、具体的な内容を検証することもなく、批判するだけであれば国会議員である必要はありません。中学生でもできます。

本当に疑問です。彼ら、彼女らに「国会議員」である資格はあるんでしょうか?




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<継承する記事>第457回 「実質賃金がマイナスになった!」とバカ騒ぎする前に知るべき事

昨日(2019年1月31日)に引き続き、話題となっていたのが以下の記事。

【共同通信記事より 2/1(金) 2:00配信】
政府、賃金マイナス公表へ 18年実質、0.5%程度

 毎月勤労統計を巡り、厚生労働省が前年同期と比べた実質賃金の伸び率を実態に近い形で計算し、結果を来週にも国会に示す方針を固めたことが31日、分かった。現在示している「参考値」よりも2018年1~11月の平均で0.5%程度マイナスとなる。専門家から今の統計の数値が「実態に合わない」と批判が根強く、見直しは避けられないと判断した。

 アベノミクスの要である賃金の伸び悩みを認めれば安倍政権にとって大きな打撃となる。野党が「賃金偽装」との追及を強めるのは必至だ。政府は「勤労統計は景気判断の一要素にすぎない」とかわし、所得が改善しているとの見解を維持するとみられる。

記事だけ読むと、まるで厚労省が修正後の毎月勤労統計の内、実質賃金指数のみを公表せずに隠しているかのように読めますが、そんなことはありません。 前回の記事 でも掲載しましたように、厚労省は既に修正後のデータを、実質賃金指数まで含めて公表しています。

問題となっているのは、公表しているデータの対象となっている企業が17年と18年とで異なっているんじゃないか、ってことなんですが、共同通信社はこの事理解して記事にしているんでしょうかね?

で、17年までの企業と同じ企業を対象に算出した「参考値」が、名目賃金しか公表されておらず、実質賃金指数を公表しないのは、18年の実質賃金指数が18年と比較してほとんどの月でマイナスとなっているのを隠すことを目的としているんじゃないか、アベノミクスが失敗だったことを隠そうとしているんじゃないか、というのが野党の主張です。

代表的な事例が以下の通り。共産党、志位委員長のツイートを引用します。

前回の記事では、「実質賃金がマイナスになった」ことに関して、名目賃金側から見た捉え方と実質賃金が下落したそもそもの理由について記事にしました

捉え方として、

1.毎月勤労統計はそもそも常勤雇用者が5名以上の企業しか調査対象としておらず、その魅力は「速報性」にこそある。
2.厚労省の毎月勤労統計以外に、国税庁も給与所得に対する統計を公表しており、その対象は「従業員1名以上の企業」となっている。(国税庁データの方が厚労省データより正確である)
3.国税庁データによれば、2017年の「平均給与所得」は既にリーマンショックが起きた2008年を上回っている。

ということをお示ししました。ちなみに、厚労省の毎月勤労統計では、仮に調査対象を17年と同じ調査対象で比較したとしてもすべての月で名目値が2017年を上回っています。参考に前回の記事で使ったグラフをもう一度掲載しておきます。

給与所得比較

人によれば、「リーマンショックが起きた年なんだから、平均給与所得は元々低かったんじゃないか」と勘繰る人もいるかもしれませんが、グラフを見ていただければ、「リーマンショックが起きた年を上回っている」という言葉の意味をご理解いただけるのではないかと思います。

志位委員長は、『実質値では「今世紀最悪のレベル」』と言っていますが、一体何の資料を見てそんな大ぼらを吹いているんでしょうね。大ぼらを吹いているのはむしろあなただろう、と。

もちろん国税庁データは「名目値」になりますから、この情報を実質化すれば結果は異なりますが、名目値がリーマンショックが起きた年を上回ったのに、いくら何でも「今世紀最悪のレベル」という表現は悪質すぎると思います。

また更に、実質賃金が下落した理由として、「原油価格の上昇」が「持家の帰属家賃を除く消費者物価指数」を上昇させ、結果として実質賃金を下落させたんだ、ということを掲載しました。

前置きが長くなりましたが、今回の記事では、この「実質賃金の下落」の捉え方についてポイントを絞って記事を作成してみたいと思います。


「物価」とはそもそも何なのか?

当カテゴリー、「実質賃金と名目賃金」としては既に何度もお伝えしていると思うのですが、実質賃金が下落する要因となる「物価」について。

そもそも「物価」には、「消費されたもの」しか反映されません消費されていないものは「物価」には反映されないということです。

この考え方ってとても重要なんです。

例えば店頭に、「100円」と値札が付いているパンが販売されていたとします。ですが、この日はパンの売れ行きが悪く、パンがたくさん余ってしまったので、100円のパンを半額にして販売したところ、ようやく買ってもらえたとします。

すると、このパンの「物価」は「100円」ではなく「50円」になります。

当たり前じゃん、って思うかもしれませんが、これを理解できていない人って結構多いのではないでしょうか?ですから志位委員長みたいなバカな投降を平気で行える人がたくさんいるわけです。


更に深めてみます。100円のパンを半額に値引きして販売しましたが、結局買い手がつかず、このパンは廃棄されてしまったとしましょう。

では、このパンの物価は一体何円なのでしょうか? 100円? 50円? 違います。「0円」です。だって売れていないんですから。


家電製品で考えてみます。店頭に10万円の値札が付いたテレビが置いていたとします。

この日は決算セールで、大安売りをしていました。キャッチフレーズは「店頭の値札価格より更に50000円引き!」です。

この人は10万円と値札のついたテレビを5万円で購入することができました。では、このテレビの物価はいくらになるでしょうか?

そう。10万円ー5万円でこのテレビの「物価」は「5万円」です。


では、このテレビが決算セールの値段でも売り切れず、翌日も店頭にそのまま並べられていたとします。値札には「10万円」と書かれています。

では、このテレビの「物価」は一体いくらになるのでしょう。答えは簡単です。「0円」です。だって売れていないんですから。

「業者から仕入れてるじゃん」と考える人もいるかもしれませんが、業者から仕入れた価格は、業者から購入した時点で既に「物価」として計上されています。購入した後、店舗で単に保有しているテレビなんですから、やはり物価は「0円」です。

レジを通って、販売されて初めて「物価」として計上されるんです。


もちろん「物価」はこんなに簡単には決まりません。正確な「物価」の決まり方は改めてシリーズ、「物価の見方」を遡ってご一読いただければと思いますが、簡略化して、最も単純な決まり方をご説明しますと、上記の通りです。

私が何を言いたいのか。改めて同じことを繰り返しますが、「消費されていないものは『物価』には反映されない」ということです。


「名目賃金が上昇」して、「実質賃金が下落」するとは?

例えば、今年度12月の名目賃金が3%上昇し、物価が5%上昇した結果、実質賃金が2%下落したとします。

多分、多くの人が考えるのは、

「いくら名目賃金が上昇しても、実質賃金が下落したら景気は悪くなるじゃないか!」

ということだと思います。前回の記事で、私も実質賃金のと名目賃金の考え方を、

「名目値」とは、「もらった賃金のうち、何円が支出に回せるのか」という値。「実質値」とは、「受け取った給料でいくつ買えるのか」という値

と記しました。つまり、名目賃金が上昇した以上に物価が上昇したら、消費できるサービスが減るじゃないか、ということです。

例えばアルバイト従業員の給料がひと月に1万円だとして、先ほどの100円のパンの事例で言えば、物価が上昇する前は100円のパンが100個変えていたわけですが、物価が上昇した結果、パンの値段が120円に上昇した結果、同じパンが83個しか買えなくなるわけです。

さて。ここで質問です。この考え方は正しいでしょうか。間違っているでしょうか?


よく考えてみましょう。この記事で何度もご説明していますが、物価は、「消費」されなければ「物価」にはなりません。

このアルバイト従業員は、ひと月に1万円しか給料を受け取っていません。1万円の給料で購入できる120円のパンは83個です。では、このパンの物価は「120円」なのでしょうか?

思い出してみてください。私は「物価」の説明の中で、「売れていないものの物価は0円」だと説明しましたね?

パンの値段が100円の時は、100円のパンを100個購入することができていましたから、パンの消費量は「100個」です。

ですが、パンが120円に値上がりした結果、実際に購入することができたパンは83個で、残り17個のパンは消費されませんでした。

つまり、残り17個のパンの販売価格は「0円」です。

このアルバイト従業員が前年に消費したパンの数は100個で、単価が100円でしたから、このパンの物価は「100円」です。

ですが、今年に消費することができたパンの数は83個。単価が120円ですから、総額で9960円購入しています。ですが、店頭には消費されていない「0円のパン」が17個存在しています。

では、このパンのこの月の「物価」は一体いくらになるでしょう?

もうお分かりですね。計算式では9960÷100ですから、この月のこのパンの物価は99.6円です。単価は120円に上昇しましたが、物価は下落していますね。


「消費されていないものは物価には反映されない」という意味

私が何を言いたいのか、もうお分かりですね。100円のパンが120円に値上がりしたとしても、物価が120円となるためには、前年と同じ数消費されなければ120円にはならないということです。

では、月収10000円のアルバイト従業員が前年に100個消費した100円パンの物価が120円になるためには、どうすればよいでしょうか?

答えは簡単です。月収10000円のアルバイト従業員が120円のパンを前年同様100個消費すればいいだけのことです。

月収10000円のアルバイト従業員が、12000円お金を使えばこのパンの物価は120円になるのです。


ご理解いただけましたでしょうか?

「名目賃金」が上昇し、「実質賃金」が下落することができる状況は、実は3つしか存在しません。

1 昨年貯蓄に回した給与を支出に回した

2 給与の内、昨年までは貯蓄に回していた給与を消費に回す様になった

3 借り入れを起こしてでも消費する様になった

このような経済状況を、

 「貯蓄性向が減少し、消費性向が上がった」

と表現します。

中には、「それって貯金が減るってことじゃん!!」ということをいう人もいるかもしれませんが、そもそも貯金がなければ、受け取る給与以上に消費を増やすことはできませんから。

同じ月に、名目賃金が上昇した以上に物価が上昇していたのだとすれば、それはその月に受け取った給与所得以上に消費に回す余裕があったという事実に他なりません。

もしくは2番にあるように、昨年まで貯蓄に回していた給与を消費に回すゆとりが生まれたということ。

いかがでしょうか? 確かに今回厚生労働省が行った「不正」は、許してよいものではないのかもしれません。ですが、だからアベノミクスが失敗であったかのように喧伝するのはいかがなものでしょう。

志位委員長の様な人物が、いかに「経済」を分析する能力がないのか。このように考えるとよく理解できるのではないでしょうか。

本当に糾弾されるべきは、経済減少をまともに検証することもせず、思い込みだけで条件反射のように政権批判を行う、現在の特定野党の面々ではないのでしょうか?

あんな人たちになぜ議席が与えられるのか。私には全く理解できません。



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今朝、ネット情報をチェックしていますと、以下のようなニュースが話題になっていました。

【読売新聞ニュース 1/30(水) 21:55配信】
実質賃金、実は18年大半がマイナス…野党試算

 立憲民主、国民民主などの野党は30日、毎月勤労統計の不適切調査問題をテーマとした合同ヒアリングを国会内で開き、2018年1~11月の実質賃金の伸び率が大半でマイナスになるとの試算を示した。

 厚生労働省は23日、不適切調査問題を受けて再集計した実質賃金の伸び率を公表した。これによると、3、5~7、11の5か月で前年同月比がプラスだった。最もプラス幅が大きかったのは6月の2・0%。

 これに対し、野党の試算では、6月と11月を除き、すべて前年同月比でマイナスとなった。最もマイナス幅が大きかったのは1月で、1・4%だった。

 厚労省の調査は、前年の17年と18年で対象となる事業所を一部入れ替えている。野党は17、18年を通じて調査対象だった事業所のデータを試算に使った。

 厚労省の担当者は、野党の試算について「同じような数字が出ることが予想される」として事実上、追認した。野党は「政府が公表した伸び率は実際より高く出ている」と批判している。

大元となるのは、厚生労働省が民間企業の「賃金指数」を集計した「毎月勤労統計調査」において、

1.東京都における
2.500人以上の規模の事業所に対して
3.本来であれば全数調査にすべきところを
4.一部の企業のみを抽出して調査していた

という、「不正」が根源にあるわけですが、引用したニュースはこの事例について言及されているニュースではありません。


1月31日のニュースの概要

わかりにくいと思いますので、一つずつご説明します。

まず、厚生労働省は前記した「不正」に関して、既に修正を行っており、2019年1月23日に修正結果を毎月勤労統計調査のホームページに修正後のデータを公表しているわけですが、引用した記事で問題とされているのは、2018年度の毎月勤労統計調査において、対象とするサンプルを2017年度とは入れ替えていることにあります。

2017年度までは同じ対象となる企業について調査を行っているのですが、2018年度はその対象を入れ替えましたよ、ということです。

そして、今回の「不手際」が発覚したのは、その「対象の入れ替え」が行われた結果、17年度と比較して賃金指数が大きく跳ね上がったからです。

しかも、この「不正」が平成16年、西暦で2004年。小泉内閣当時から継続して行われていた・・・ということが発覚しました。

本来であればその「不正」について追求し、今後同じようなことが起こらないように厚生労働省に反省を促すのが本来の国会の在り方だと思うのですが例によって野党の皆さんは、この情報を安倍内閣を攻撃する材料として利用し始めています。

これが、引用した「実質賃金」に関するニュースです。


安倍内閣は、アベノミクスによる効果をねつ造するために対象企業を入れ替えた?

「賃金指数」の中で、誤って算出されていたのは「きまって支給する給与」で、軒並み公表されていた「月間平均給与」を再集計されたものが上回っています。

野党がピンポイントで着目したのは、その結果、2018年の「賃金指数」が、2017年と比較して伸びたのか下落したのかというところ。

政府が公表したデータは、もちろん「対象とする企業を入れ替えて」算出したもの。2018年は1月から最新の11月まで含めて前年を大きく上回っています。最大で6月の2.8%です。

しかし、当然野党はこう主張します。「サンプルが変わったから結果が変わったんだろう!」と。

そこで厚労省が示した、同一のサンプルを用いた場合の「参考値」が以下の通り(すべて前年同月比です)。

1月 0.3%
2月 0.8%
3月 0.2%
4月 0.4%
5月 0.3%
6月 1.4%
7月 0.7%
8月 0.9%
9月 0.1%
10月 0.9%
11月 1%

全月プラス成長となっていますが、この値は、すべて「名目値」です。

そう。野党やマスコミが大好きなのは「名目値」ではなく、「実質値」なんですね。

ちなみに、「名目値」とは、「もらった賃金のうち、何円が支出に回せるのか」という値。「実質値」とは、「受け取った給料でいくつ買えるのか」という値。

野党やマスコミは、「何円使えるか」より、「何個購入できるのか」ということの方が大事だ、と鉄板で主張します。

厚労省は「実質値」を出すのを渋るわけですが、実質値を出すための計算式は決まっていて、「名目賃金指数÷持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数」という公式で簡単に算出できます。私自身も計算してみましたが、野党の計算結果とほぼ同じ結果になりました。

実質賃金は、「6月」と「11月」以外、すべての月で実質賃金指数は前年度割れ、となっていたんですね。ちなみにサンプルを入れ替えた後だと1マイナスとなっているのは1月、2月、5月、8月、10月の5か月のみ。で、「サンプルを入れ替えたのは実質賃金がマイナスになっていることを隠すためだろう!!」と野党はわめき散らしているわけです。

データを入れ替えて集計を始めたのは2018年1月になってからで、その時に2月~11月までのデータなんてわかるわけがないんですけどね。超能力者でもない限り。


「実質賃金」がマイナスになると何か問題なのか?

実質賃金については私、シリーズ 実質賃金と名目賃金 において散々話題にしています。

第363回の記事 でも記していますが、実は私、元々厚労省の「毎月勤労統計」については全くあてにしていません。

参考程度にしかならないと思っていましたから、今回厚労省による不正が発覚したところで、「え、今更?」というのがニュースを見た第一印象でした。

というのも、そもそも厚労省のデータは「常勤雇用者数が5名以上の企業」しか対象としておらず、「常勤雇用者が5名未満の企業」は対象になっていません。

ですが、政府データには厚労省データとは別に、「国税庁」が公表している「従業員1名以上の企業」を調査対象としたデータがございまして、こちらの方が正確で、より実態に近い数字となっています。(参考:第43回 実質賃金と名目賃金⑤~厚労省データと国税庁データの違い~

なので、私は賃金の情報を見るときは、厚労省の毎月勤労統計ではなく、国税庁の「民間給与実態統計調査」の方を参考にしています。

このデータですと、業態別だけでなく、受け取っている給与階層別の労働者数なども見られますので、私はとても重宝しています。シリーズ、中間層の見方 で具体的に作成しましたね。今から3年以上前のデータにはなりますが。

ただ、国税庁データの欠点は、集計時間が長く、年に一度しか発表されないこと。昨年2018年のデータが掲載されるのが今年の9月です。

毎月勤労統計は、国税庁のデータほど正確ではないものの、その「速報性」にこそ魅力があるんですよね。

ちなみに、両方の統計データを比較すると、このようになります。

給与所得比較

厚労省データは平成19年(2007年)のデータが17年基準(20年以降は22年基準)のデータしかなかったので、私の手元で計算することは避け、空欄にしています。

厚労省データは「指数」、国税庁データは「年間平均給与所得」です。ともに年間のデータを用いています。「指数」も、基本的には「給与所得」実学をベースに算出されたものですので、単位は違いますが、伸び率や減少率はほぼ同じ基準で比較することができます。

ご覧いただくと一目瞭然ですが、平成29年(2017年)のデータと平成20年(2008年)のデータを比較した場合。「2008年」。つまり、リーマンショックが起きたその年です。

厚労省データは2008年が「103.6」で、2017年が「101.1」。割合にして2.4%、2017年の値が2008年の値を下回っています。

ところが、国税庁データでは2008年が429.6万円。2017年が432.2万円ですから、今度は2017年の値が0.6%、2008年の値を上回っています。

この違いはいくら経済感覚に疎い人にだって理解できるのではないでしょうか?厚労省データと国税庁データの違いは、「常勤雇用者5名未満の企業」が含まれているのか、含まれていないのか、その違いだけです。

2017年と比較して、2018年の「実質賃金」が下回っているからアベノミクスは失敗だ、と野党やその支援者たちはわめき散らしているわけですが、国税庁データによれば、2017年の実績は既にリーマンショックが起きた年の数字を上回っているんですよ?

更に、2018年は実質賃金こそ2017年を下回ったかもしれませんが、名目賃金指数においては2017年の給与所得を上回っています。

実質賃金が下回ったから、一体何だと言いたいのでしょう、彼らは?


今回の「実質賃金の下落」が意味すること

さて。それでは一体なぜ、名目賃金が上昇したにも関わらず、実質賃金指数が下落したのでしょう?

今更言うまでもありませんが、それは実質賃金の算出方法にからくりがあります。

既に掲載していますが、実質賃金指数は、

 実質賃金指数=名目賃金指数÷持家の帰属家賃を除く消費者物価指数

で算出されます。

名目賃金指数が上昇したのに実質賃金指数が下落した理由は単純で、持家の帰属家賃を除く消費者物価指数の上昇率が、名目賃金指数の上昇率を上回ったからです。

私のブログを読み込んでくださっている方であれば、私が次にどんな情報を持ち出すか、予想はついていらっしゃるかと思います。

そう。「消費者物価指数」の「十大費目別消費者物価指数」です。

物価が上昇するには、上昇する鳴りの理由があるんです。そしてこの「消費者物価指数」に関してもまた、私は散々シリーズ、「物価の見方」の中でご説明しましたね?

データは、あえて1年分を掲載しますから膨大になります。後で解説しますが、どの項目にプラスが多く、どの項目にマイナスが多いのか、ということに着目しながら、画面をザっとスクロールしてみてください。

平成30年(2018年)の消費者物価指数

【消費者物価指数(10大費目別)の前年同月比】
食料 ウェイト:2623
1月 3.2
2月 3.0
3月 1.9
4月 0.7
5月 0.8
6月 0.4
7月 1.4
8月 2.1
9月 1.8
10月 2.4
11月 0.5
12月 -1.1

 生鮮食品 ウェイト:414
 1月 12.5
 2月 12.4
 3月 6.3
 4月 -1.5
 5月 -0.7
 6月 -1.2
 7月 4.3
 8月 8.7
 9月 5.6
 10月 10.8
 11月 -1.4
 12月 -9.4

 生鮮食品を除く食料 ウェイト:2209
 1月 1.3
 2月 1.2
 3月 1.1
 4月 1.1
 5月 1.1
 6月 0.7
 7月 0.8
 8月 0.9
 9月 1.0
 10月 0.9
 11月 0.9
 12月 0.7

住居 ウェイト:2087
1月 -0.1
2月 -0.1
3月 -0.2
4月 -0.2
5月 -0.1
6月 -0.1
7月 -0.1
8月 -0.1
9月 -0.1
10月 -0.2
11月 -0.1
12月 -0.1

 持家の帰属家賃を除く住居 ウェイト:589
 1月 0.1
 2月 0.1
 3月 -0.1
 4月 0.0
 5月 0.1
 6月 0.1
 7月 0.1
 8月 0.1
 9月 0.1
 10月 -0.1
 11月 0.0
 12月 0.1

光熱・水道 ウェイト:745
1月 4.6
2月 4.3
3月 4.0
4月 3.6
5月 3.1
6月 3.3
7月 3.1
8月 3.4
9月 3.7
10月 4.4
11月 5.0
12月 5.0

家具・家事用品 ウェイト:348
1月 -1.2
2月 -1.7
3月 -1.4
4月 -1.5
5月 -1.5
6月 -1.0
7月 -1.1
8月 -1.1
9月 -1.0
10月 -1.0
11月 -0.7
12月 0.1

 家庭用耐久財 ウェイト:111
 1月 -2.0
 2月 -3.8
 3月 -3.3
 4月 -3.8
 5月 -3.5
 6月 -2.9
 7月 -2.1
 8月 -2.5
 9月 -2.0
 10月 -2.0
 11月 -0.6
 12月 0.5

被服及び履物 ウェイト:412
1月 0.5
2月 0.3
3月 0.0
4月 0.1
5月 0.1
6月 0.0
7月 0.3
8月 -0.1
9月 0.1
10月 0.1
11月 0.1
12月 0.1

保健医療 ウェイト:430
1月 1.6
2月 1.8
3月 1.7
4月 1.9
5月 1.9
6月 2.0
7月 2.0
8月 1.1
9月 1.0
10月 1.1
11月 1.2
12月 1.3

交通・通信 ウェイト:1476
1月 0.7
2月 1.5
3月 1.7
4月 1.1
5月 1.3
6月 1.4
7月 1.5
8月 2.0
9月 2.1
10月 1.9
11月 1.2
12月 -0.1

 自動車等関係費 ウェイト:836
 1月 2.0
 2月 2.6
 3月 1.8
 4月 2.1
 5月 2.7
 6月 4.0
 7月 4.3
 8月 4.2
 9月 4.5
 10月 4.6
 11月 3.3
 12月 1.3

教育 ウェイト:316
1月 0.4
2月 0.4
3月 0.3
4月 0.3
5月 0.3
6月 0.5
7月 0.5
8月 0.5
9月 0.5
10月 0.5
11月 0.5
12月 0.5

教養娯楽 ウェイト:989
1月 0.5
2月 1.3
3月 0.5
4月 0.2
5月 0.0
6月 0.8
7月 0.6
8月 1.6
9月 1.0
10月 1.4
11月 1.0
12月 0.9

 教養娯楽用耐久財 ウェイト:59
 1月 -1.1
 2月 -1.5
 3月 -2.5
 4月 -5.0
 5月 -3.8
 6月 -2.9
 7月 -2.4
 8月 -2.1
 9月 1.7
 10月 -0.3
 11月 -1.0
 12月 -0.3

諸雑費 ウェイト:574
1月 0.5
2月 0.6
3月 0.5
4月 0.1
5月 0.3
6月 0.4
7月 0.3
8月 0.0
9月 0.2
10月 0.8
11月 0.9
12月 0.8

段違いになっているところ、例えば「家具・家事用品」の下にある「家庭用耐久財」は、「家具・家事用品」の中に含まれる項目をピックアップしたものです。

「10大費目」とは、「食糧」「住居」「光熱・水道」「家具・家事用品」「被服及び履物」「保健医療」「交通・通信」「教育」「教養娯楽」「諸雑費」の10の項目の事。

この10の項目のうち、物価を大きく上昇させる要因となっている項目が「光熱・水道」であることがご覧いただけると思います。

この他、「食糧」の中の「生鮮食品」や、「交通」の中の「自動車関係費」。

「光熱・水道」や「自動車関係費」を上昇させる主要因となっているのは「原油価格」。特に2018年は大きく「円安」に物価が振れることもありませんでしたから、原油価格が上昇する原因は、「海外の原油取引価格の上昇」が原因です。アベノミクスとは全く関係ありませんね?

更に、「生鮮食品」が高値を付けているのはアベノミクスのせいではなく、「気象条件」が原因です。

つまり、海外や気象条件が要因となり、名目賃金の上昇率を上回る物価上昇を見せたため、実質賃金指数が下落することになった・・・というのが今回のデータの正しい見方です。

物価が下落する主要因となっているのは「家庭用耐久財」や「教養娯楽用耐久財」。つまり、「家電製品」の大安売りがそもそもの原因です。つまり、ジャ〇ネットタ〇タのせいですね。

このように、物価が下落するにも上昇するにも、きちんとした理由があります。確かにアベノミクスが目標に掲げているのは「生鮮食品を除く消費者物価指数の2%上昇」かもしれませんが、仮にこれが達成できなかったとしても、物価が下落して尚手取りが増えるのであれば、これほど喜ばしいことはないのではないでしょうか?

「アベノミクス」が本当に目指しているのは「自立した経済成長」です。「これがアベノミクスである」と訴えられている内容は、そのアベノミクスが目指す社会の一側面を示しているにすぎません。

その結果、アベノミクス目的として示していないところで経済成長の要素が見えたとして、何か問題があるのでしょうか?

・・・と、本来はこういう批判をしたいわけですよ。

なのになぜか今は「物価が上昇して生活が苦しくなっていることがわかったぞ!!どうしてくれるんだ!!」という主張のオンパレード。

いやいや、確かに原油価格の上昇が経済に悪影響を与えているかもしれないけど、家電製品と携帯電話、その通信料以外はちゃんと成長しているでしょ、と。成長しているから消費者物価指数は上昇するんですよ、と。

「木を見て森を見ず」・・・というか、「森を見て木を見ず」というか。「全体像」をきちんと把握せず、安倍内閣を批判することのできる経済現象が登場したからといって、そこに食らいついて安倍内閣を批判することに終始するのはいい加減やめてほしい。

「賃金が増えているんだから、その増えた賃金を消費に回すにはどのようにすればいいか」ということを全体で話し合える、そんな国会であってほしいと、私は切に願っております。



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この記事のカテゴリー >>GDPの見方


本日、2018年度GDP第二四半期速報が発表されたようですので、今回はこちらの記事を作成したいと思います。

ドイツに関連したシリーズ はお休みです。

例によって、今回も新聞報道の引用からスタートします。

【日本経済新聞2月10日記事より】
GDP、年率2.5%減に下方修正 7~9月改定値

内閣府が10日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%減、年率換算では2.5%減だった。速報値(前期比0.3%減、年率1.2%減)から下方修正となった。法人企業統計など最新の統計を反映した。

QUICKがまとめた民間予測の中央値は前期比0.5%減、年率2.0%減となっており、速報値から下振れすると見込まれていた。

生活実感に近い名目GDPは前期比0.7%減(速報値は0.3%減)、年率は2.7%減(同1.1%減)だった。

実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比0.2%減(同0.1%減)、住宅投資は0.7%増(同0.6%増)、設備投資は2.8%減(同0.2%減)、公共投資は2.0%減(同1.9%減)。民間在庫の寄与度はプラス0.0ポイント(同マイナス0.1ポイント)だった。

実質GDPの増減への寄与度をみると、内需がマイナス0.5ポイント(同マイナス0.2ポイント)、輸出から輸入を差し引いた外需はマイナス0.1ポイント(同マイナス0.1ポイント)だった。

総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは、前年同期に比べてマイナス0.3%(同マイナス0.3%)だった。

ということで、記事としては非常に象徴的なので、今回は日本経済新聞からの引用です。

どの報道も、軒並みこのタイトルです。発表は「二次速報」で、もちろん「一次速報」も存在していたのですが、私としてはあえて二次速報まで待ってみていたところもあります。

一次速報の時から気づいてはいたんですよね。この、「デタラメ報道」のひどさに。


2018年(平成30年)度GDP第2四半期第2次速報

GDPの記事は、→こちらのシリーズ で継続して記事にしています。

マスコミ報道は基本的に、「季節調整」した「実質GDP」の「前期比」を「年率換算」したものを報道しています。

ですが、散々記事にしている通り、そもそも「実質GDP」の算出方法そのものが非常に信憑性の薄いものである上、これを更に信憑性の低い計算方法を用いて「季節調整」する意味が私には理解できません。

更に、「前期比」をなぜ「年率換算」しなければならないのでしょう?

「年率換算」とは、季節調整された実質GDPを前記と比較した「経済成長率」が「もし仮に1年間続いたらどの程度の成長率になるのか」というフィクションの数字です。過去の四半期別GDPデータを軒並み探っても構いませんが、おそらくそんな推測が当たった年度など、過去に1度たりとも存在しないのではないでしょうか?

よしんばもし存在したとしても、それは単なる「まぐれ」にすぎません。

そんな博打の様な統計データにしがみついてGDP報道をせずとも、たんに「前年の、同じ季節」と比較したデータを用いれば済む話です。

ですので、私が用いるGDP統計データは、GDP統計に一切人為的な手を加えていない「原系列」を「前年同期」と比較したものを用います。唯一参考程度に「実質GDP」は用いますが、重要視しているのはあくまでも「名目GDP」です。

【2018年度GDP第2四半期第2次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 133.382 兆円(-0.3%)

 民間最終消費支出 76.012 兆円(1.2%)
 家計最終消費支出 74.032 兆円(1.2%)
  除く持家の帰属家賃  61.520 兆円(1.4%)

 民間住宅 4.274 兆円(-5.2%)
 民間企業設備 21.341 兆円(2.1%)

実質GDP
全体  131.956 兆円(0.0%)

 民間最終消費支出  74.962 兆円(0.6%)
 家計最終消費支出  72.851 兆円(0.6%)
  除く持家の帰属家賃  59.388 兆円(0.5%)

 民間住宅  3.935 兆円(-6.4%)
 民間企業設備  20.767 兆円(1.2%)

内閣府

これが本当の「GDP統計」です。

で、皆さんきっと頭に疑問符が浮かぶはずなんです。私が掲載している項目のうち、「マイナス成長」しているのは「民間住宅」のみで、それ以外は全て「名実共」成長しています。

にも拘わらず、なぜか「名目GDP」の統計全体が前年同月を割り込んでいて、実質は0%成長で横ばい。おかしいなぁって、思いますよね?

ちなみに冒頭に掲載した日経記事によれば、実質ベースで「個人消費は0.2%減」、「住宅投資は0.7%増」、「設備投資は2.8%減」と記されていますが、「前年同期」と比較すればこれがいかに情報をミスリードしているかがわかりますね。本来比較すべきなのは「前期」ではなく、「前年同月」です。そうすればわざわざ「年率換算」する必要も、「季節調整」する必要もないんです。

個人消費(家計最終消費支出)は昨年と比較すれば名目で1.2%のプラス、実質で0.6%のプラスです。ここからフィクションの数字である「持家に帰属する家賃」を除くと名目で1.4%のプラス、実質で0.5%のプラスです。

昨年と比較してこれだけ増加しているんです。

季節調整系列の前期比は「年率換算」することが前提となっていますから、マスコミが報道する「個人消費」を年率換算すると、実質では-0.8(持家の帰属家賃を除くと-1.2%)。

ですが、これってものすごくざっくりとした言い方をすると、「今年の実質GDPは昨年と比較すると0.6%成長しているのですが、来年度は1.2%のマイナスになるはずです」という、非常時矛盾したことを言っていることになります。

ちなみに、この「季節調整の年率換算」。「名目GDP」で見ますと、個人消費ではなんと0.7%のプラス(持家の帰属家賃を除くと0.8%のプラス)となっています。

おかしいですね。「実質GDPの季節調整系列の前期比」以外はすべて好調なデータが出ているのに、なぜか前年度割れした実質GDPとその詳細項目、そして「名目GDPの全体の数字」だけが報道され、その他の数字は一切報道されていないという・・・。

一応、「ログイン」をすればその記事の続きを見ることができるわけですが、わざわざそんなことをしてまで記事の続きを見る人はよっぽどの人です。


なぜこんな歪な統計結果が算出されているのか

不思議ですよね。家計、及び企業ともに名目で1%を超える経済成長率を記録しており、唯一「民間住宅」のみがマイナスを記録していますが、その金額は所詮2.35億円程度。

GDP全体から見れば吹いて飛ぶような数字です。にも拘わらず、なぜか名目はマイナス成長。実質でも同じような状況が生まれています。

実はGDP統計全体を見てみますと、前年同月と比較しまして、前年度割れしている項目が2つあるのです。

それが、政府の「公的資本形成」、つまり「公共事業費」と「純輸出高」。

政府の公共事業費は、数字から見れば1410億円程度ですので影響はそれほど大きくないのですが、問題なのはもう一つの「純輸出高」。

名目だけでお話ししますが、昨年度第2四半期の「輸出高」は23.983兆円、「輸入高」は22.205兆円で、純輸出高(輸出高-輸入高)は1.778兆円だったのですが、今年度は輸出高は24.701兆円と1兆円を上回る上昇幅を記録したものの、輸入高も24.565兆円と、金額で言えば2.36兆円を超える上昇幅を記録しています。

この事で、「純輸出高」が1361億円と大幅に下落。下落幅は1.6兆円を超えています。

民間の需要も、企業の設備投資費も成長しており、全体に大きく影響を与えているのはこの部分以外には存在しません。

では、なぜ「輸入高」はこれほどまでに上昇したのか。考えられるのは、「原油価格の高騰」です。原油価格に関してはまだ詳細に検証していませんのでそれが正しいのかどうかはわかりませんが、これは日本国に原因があるわけではなく、海外に原因のある現象です。

にも拘わらず、あたかも日本国経済が減退しているかのような記事をきれいに作り上げてしまうマスコミ各社。

とくに「経済」の専門紙であるはずの日経まで。この新聞に、「経済新聞」を名乗る資格があるのでしょうか?

確かにこの情報を流したのは政府側かもしれませんが、これを全く検証することもなく、流されたとおりに報道するのでは、それがマスコミである必要性など全くないと思います。

一民間人にすぎない私でさえ、パッと見ただけでわかることです。

ほんと。いい加減にしてほしいですね、マスコミの皆様。



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このところ、ドイツの話題 が私の中でも風通しがよくなり、あまりにも筆が進むもので、定例で掲載している経済関連の記事もすっ飛ばして記事を進めておりました。

気持ちとすると「早く先が知りたい」という私のわがままでもあります。

ですが、今回の平成30年度第1四半期二次速報あたりから、おそらくこの情報を求めたアクセスなのではないか、と感じるアクセスが多く見られますので、さすがに検索をかけてくれた皆さんに悪いな、と思いまして、定例通り記事を作成しようと思ったわけです。

とはいえ、既に一次速報はスルーしていますので、今回のGDP速報に関連した情報がすでに出回っている状況下での記事の作成になります。

内閣府


まずは基本から

検索等でこの記事にたどり着いた方にとっては、私のGDP情報と出会うのは初めてになると思いますので、まずは私の「GDP」に関する考え方から記事を進めてみたいと思います。

特に、私のGDP情報の掲載の仕方は大手マスコミ等で出ている見方とは異なりますので、「それでいいのか!」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。


そもそも「GDP」とは?

日本語では「国内総生産」といいます。

では、「GDPとは何か」と申しますと、「ある一定期間に日本で生産された付加価値の合計値」ですね。情報が多くなりすぎると内容を理解することが難しくなると思いますので、今回は「支出側GDP」の情報で記事を作成いたします。

「支出側GDPって何のこと?」と思う方はぜひ、

第164回 生産側のGDPと支出側のGDP/統計上の不突合とは?

を読み込んでみてください。私たちが一番見る機会の多い「GDP」はこの「支出側GDP」です。

こんな風に記すと難しく感じられると思うのですが、例えば皆さんがコンビニで100円のチョコレートを合計で10枚購入したとします。計算式で表すと以下の通り。

チョコレートの単価 100円×購入数量 10個=購入総額 1000円

となります。「支出側GDP」から見ると、100円のチョコレートは、販売されて初めて100円という「付加価値」が生まれます。

このチョコレートが、合計で10個販売されていますので、この店では合計「1000円の付加価値」が生まれました。

これを、国レベルで考えた場合、ある一定期間に日本国内で購入された全ての物やサービスの「平均単価」に相当するものが「GDPデフレーター」、日本国内で購入された全ての物やサービスの「購入数量」に相当するものが「実質GDP」、日本国内で購入された全ての物やサービスの「購入総額」に相当するものが「名目GDP」です。

この情報の詳細は

第218回 GDPデフレーターとは何か?/日本一わかりやすく考える

をご覧いただければと思います。


「GDP」はあくまでも「推測」にすぎず、「真実」ではない!

GDPそのものは、いくつかの項目で構成されており、大きなくくりで言うと「家庭のGDP」「企業のGDP」「政府のGDP」「輸出入GDP」の4つです。(「家計」という表現のほうが一般的だと思いますが、今回の記事ではあえて「家庭」と表現します。)

この中で、「家庭のGDP」に該当するGDPは、政府の統計表では「家計最終消費支出」及び「民間住宅」という名称で掲載されています。

このうち、「家計最終消費支出」では、これを実質化する際、その分母として「消費者物価指数」が用いられています。「消費者物価指数」に関しては、私の記事の中でも具に記事にしています。(シリーズ 「物価」の見方

この消費者物価指数の算出方法として、詳細な費目ごとに「加重平均」という計算方法が用いられています。(参考:第53回 実質GDPへの疑惑

参照記事の中に記していますが、しかしこの加重平均の分母に用いられる「ウェイト(重要度)」はその根拠が「消費量」ではなく「消費金額」にあることなど、その信憑性に私は非常に懐疑的です。

分母もいわゆる「サンプル指数」が用いられているなど、必ずしもこれは正確であるとは言えないものです。

このようにして出来上がった「消費者物価指数」で「家計最終消費支出」を割ることでできるのが「家計最終消費支出」の実質値です。「実質GDP」とは、このような「計算式によって作り上げられた『推測値』」の集合体にすぎないことをまずは頭においていただきたいと思います。

「名目GDP」も基本的にサンプル指数を用いて作成されているわけですが、それでもまだ「実質GDPに比べればまし」です。


なぜ「前期比」の「季節調整値」の「年率換算」が重宝されるのかが理解できない!

ニュースでよく見かける「GDP」は、基本的に「季節調整を行った実質GDPを年率換算した値の前期比」です。

意味が分かりませんよね。冒頭でコンビニで販売されるチョコレートを参考に「GDP」の考え方をお示ししましたが、

 「実質GDP」×「GDPデフレーター」=「名目GDP」

という公式考えますと、「実質GDP」とは、所詮日本国中で消費者(および企業・政府)が支払った物やサービスの「平均単価」にすぎません。そして先ほどの章でもお伝えしましたように、そもそも「実質GDP」の計算式の正確性には疑問があるのです。

新聞は「日本国内全体で一体何円消費が起きたのか」ということよりも、「日本国内で一体いくつ、ものやサービスが利用されたのか」ということのほうが大切だと言っているのです。その正確性にすら疑問があるというのに。

また、「季節調整」は春と夏、夏と秋、秋と冬など、異なる季節同士を比較するため、素人では誰もその根拠を理解することのできないような計算式(指数)を使って行われています。季節調整系列とは、「人為的な手の加えられた、信憑性に乏しい」指数だということをご理解いただきたいと思います。

その季節特有の状況を計算式で算出することなどそもそも不可能です。もし比較するのならば、なぜ前年の同じ季節と比較しないのでしょうか? なぜ無理に「前期」と比較しようとするのでしょうか。

また、さらに大手メディアではこれを「年率換算」したものを記事に用いています。

「年率換算」とは、「もし仮に、『季節調整が行われた数字同士を比較した前期比』が、仮に1年間続いたとしたら、1年後の経済状況はどうなっているのか」という、完全なフィクションの数字です。

私はGDP分析を長らく行っていますが、あらゆる時期の『年率換算された実質GDP』がぴたりと一致したことなどただの一期たりともありません。実質だけでなく名目もそうですが。

当たり前です。今回であれば「2018年度第一四半期(4月~6月)のGDPを2017年度第4四半期(1月~3月)のGDPと比較したGDP成長率」が、今から9か月後まで継続しているわけがありません。充てられたとしたらそれはまさしく超能力。「予言者」です。

にも関わらず、なぜそんなフィクションの数字で新聞は一喜一憂しようとするのか。私にはまったく理解できません。


もう一つのフィクション「持家の帰属家賃」

これは、物価の見方 の中で散々記事にしているのですが、GDP統計の中には、本来加えるべきではない、「持家の帰属家賃」というものが数字として加えられています。

「持家の帰属家賃」とは、「もし自分がいま保有している持家が持家ではなく借家だったとすると家賃はいくらになるのか」という全く意味の理解できない数字です。

なぜこのような数字があるのかというと、海外では日本のように持家に住んでいる人が少ないため、海外の家賃と比較するために、わざわざ「持家の帰属家賃」という全く意味の分からない情報を計算式によって算出し、これをGDP統計にわざわざ加えているのです。

これだけは全く理解できません。

ですが、これは同じようなことを考えている人がいるということだと思います。GDP統計のうち、「家計最終消費支出」の中には、「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」という項目がわざわざ掲載されています。


前置きが非常に長くなりましたが、以上の理由から、私のブログでは、

1.実質GDPではなく名目GDPを大切にする
2.前期比ではなく前年同月比で成長率を見る
3.家計を見る場合は「家計最終消費支出」ではなく、「持家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」でみる

ということを大切にしています。ですので、基本的にはニュースから引用する場合を除いて私のブログには「前期比」に相当する情報は出てきませんので、ここをご理解いただきたいと思います。

長くなりますので、記事は次に分けます。

後編はこちら


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