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平成29年度7-9月期GDP第一速報が出ましたので、今回はこの内容で記事を作成してみます。(2017年11月16日)

この件に関する今回のニュースは軒並みこんな感じです。

【朝日新聞デジタル】(2017年11月15日09時48分)
実質GDP7─9月期年率+1.4%、16年ぶりの7期連続プラス成長

[東京 15日 ロイター] - 内閣府が15日に発表した2017年7─9月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比0.3%増、年率換算1.4%増と、7四半期連続のプラス成長となった。7四半期連続の成長は99年4─6月期からの8四半期連続以来、16年ぶり。ロイター予測の年率1.3%増に沿う結果となった。内需がけん引役だった4─6月期と異なり、外需が全体を押し上げた。

 民間消費は同0.5%減と7四半期ぶりにマイナスとなった。4─6月に極めて高い伸びとなった反動が出たほか、長雨や台風など天候不順が旅行や外食などを下押し。自動車や携帯電話という耐久財も減少した。

 設備投資は同0.2%増と4四半期連続の増加。前期より減速したが、企業の高収益や低金利などの環境が後押しし、船舶や汎用機械、パソコンなどが増加に寄与。一方、工作機械やソフトウエアなどは減少した。

 外需は前期から一転してプラス寄与となった。海外経済の回復が続く中、アジア向けIT関連や米国向け自動車・資本財の輸出が寄与。他方で輸入がエネルギーを中心に減少。スマートフォンの輸入も供給不足で下押しした。

 この結果、内需の寄与度はマイナス0.2%、外需はプラス0.5%となった。

 内閣府幹部は「均してみれば緩やかな回復」とみている。ただ、企業収益が強い割に賃金の伸びが弱く、消費や内需全体の力強さに欠ける面が大きいとしている。

 GDPデフレータは前年同期比プラス0.1%と5四半期ぶりにプラスに浮上。前期比でもプラス0.3%だった。名目GDPは前期比年率プラス2.5%だった。

内閣府

 ポイントとなるのは、

 ・2017年度第2四半期実質GDPが「季節調整系列」「年率換算」で「1.4%」上昇した。
 ・内需がけん引役だった4─6月期(第一四半期)と異なり、外需が全体を押し上げた。

この2点です。毎日新聞だとこの内容が以下の様になっています。

【毎日新聞】2017年11月15日 11時58分
GDP 消費の弱さ、輸出が支え 年1.4%増

 2017年7~9月期の実質GDP成長率は、年率換算で1.4%増と7四半期連続のプラス成長を維持した。だが、個人消費の落ち込みを輸出がカバーし、輸出主導の成長に逆戻りした形。景気拡大は続いているものの、消費回復は依然、おぼつかないことが浮き彫りとなった。

 7~9月期は、4~6月期に大幅な伸びを示した個人消費が一転、7四半期ぶりに減少した。4~6月期の反動減や天候不順による外食関連の落ち込みなどが要因とみられ、市場では「落ち込みは一時的」との見方が多い。だが、9月の実質賃金が前年同月比0.1%減となるなど賃上げのペースが鈍いことに加え、年金など将来不安を背景に消費者の財布のひもは固いのが実情だ。

 一方、7~9月期の「外需」が全体の成長を下支えしたのは、米国などの景気拡大で輸出が増加したことが背景にある。しかし、輸入は減少。スマートフォンの輸入減など一時的な要因もあるが、振るわない内需を反映した可能性もある。

 実質GDPが7四半期以上のプラスとなったのは、1999年4~6月期から01年1~3月期までの8四半期連続以来。当時は、世界的なIT景気の追い風で景気が拡大した。

 今回のプラス成長が始まった16年1~3月期は、14年4月の消費税増税による影響を脱した時期。円安などを追い風に企業業績は回復し、有効求人倍率が高度成長期並みの水準となるなど雇用情勢も改善した。しかし、今回の景気回復も世界経済の回復に支えられた面が大きい。

 安倍晋三首相は10月の衆院選で国内の経済指標改善を「アベノミクスの成果」とアピールしたが「景気拡大の実感に乏しい」との指摘は根強い。消費を底上げして力強い成長を維持するには、賃上げにつながる成長戦略などの着実な実行が求められている。【井出晋平】

私はこの記事に異を唱えたい!!!

今回ほど「季節調整」や「年率換算」が全くあてにならないことが示されたGDP速報はないと思います。いや、実際にはあるんでしょうが、久々だと思います。

シリーズGDPの見方 を遡ってみていただければよくわかりますが、私は一貫して

 「季節調整系列」という数字も、「年率換算」という数字も私自身は全く信用していません。

とお伝えしていますね? 今回のGDP統計は、これが露骨に示された結果となりました。


2017年度GDP第二四半期第一次速報統計結果

私が毎回お示ししているGDP統計は、必ず

 「名目原系列、前年同月比」

です。

【2017年度GDP第二四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 133.277 兆円(1.7%)

 民間最終消費支出  75.469 兆円(0.9%)
 家計最終消費支出 73.565 兆円(0.8%)
  除く持家の帰属家賃  61.072 兆円(1.0%)

 民間住宅 4.505 兆円(4.0%)
 民間企業設備 20.708 兆円(4.2%)

実質GDP
全体  131.593 兆円(1.7%)

 民間最終消費支出 74.783 兆円(0.7%)
 家計最終消費支出  72.757 兆円(0.7%)
  除く持家の帰属家賃  59.432 兆円(0.6%)

 民間住宅  4.201 兆円(1.5%)
 民間企業設備 20.308 兆円(3.0%)

いかがでしょう?毎日新聞が報道している「消費の弱さ」を示しているのは、「民間最終消費支出」の事を言っています。

これも毎回お伝えしていることですが、「実質GDP」とは、「名目GDP」を「持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数」で割ったものです。

シリーズ物価の見方 の中で、私は毎月この「消費者物価」についても記事にしていますが、第53回の記事 で記していますように、私は実質化する際に用いられる「加重平均」という計算方法そのものに疑問を持っています。

ただ、それでも参考にはなるので記事にしているわけです。

ですから、「実質GDP」という数字そのものもまともには信じていませんが、それでも原系列で見る限りは「季節調整系列」や「年率換算」よりマシ。

ですが、マスコミがこぞって重要視するのはなぜか「名目GDP」ではなくこの「実質GDP」(「季節調整系列」「年率換算」)なのです。

さて。そんな実質GDP(原系列)ですが、今月で見れば全体が1.7%、民間消費支出が0.7%、家計のうち持ち家の帰属家賃を除くものが0.6%と、民間消費支出はGDP全体を引き下げる方向に働いてはいます。

ですが、それでも「消費」を見るうえで一番大切な持ち家の帰属家賃を除く家計で0.6%とプラス方向に上昇しており、「消費の弱さ」と銘打つほど消費が弱いと言えるのでしょうか?

また更に言えば、実質は「民間」「家計」全体を「持ち家の帰属家賃を除く家計」が下回っていますが、名目だと逆に上回っています。名目はGDP全体では実質と同じ1.7%成長ですが、持ち家の帰属家賃は実質より0.4%多い1.0%成長。

もう言うまでもありませんが、マスコミの情報がここまでネガティブな理由は、マスコミが用いている情報は「実質GDP」を「季節調整」して「年率換算」した「前期比」を用いているからです。

では、そのマスコミが用いているデータを掲載してみます。


2017年度GDP第二四半期第一次速報統計結果(マスコミベース)

【2017年度GDP第二四半期第一次速報季節調整系列(前期比/年率換算)】
名目GDP
全体 545.819 兆円(0.6%)

 民間最終消費支出  302.864 兆円(-0.4/-1.8%)
 家計最終消費支出 295.048 兆円(-0.5/-1.9%)
  除く持家の帰属家賃  245.068 兆円(-0.6/-2.3%)

 民間住宅 17.550 兆円(-0.2/-0.6%)
 民間企業設備 84.916 兆円(0.6/2.4%)

実質GDP
全体  530.796 兆円(0.3%/1.4%)

 民間最終消費支出 299.374 兆円(-0.5%/-1.8%)
 家計最終消費支出 291.526 兆円(-0.5%/-1.9%)
  除く持家の帰属家賃  238.217 兆円(-0.6%/-2.6)

 民間住宅  16.349 兆円(-2.6%)
 民間企業設備 83.054 兆円(0.2%)

こうやって見てみると、なぜマスコミがネガティブな記事を連発しているのか、よくわかりますね。

そう。「原系列、前年同月比」で見ると民間消費は軒並みプラス成長しているんですが、「季節調整系列、前期比」で見るとマイナス成長しているんですね。

しかも、その「季節調整系列、前期比」を「年率換算」すると、そのマイナス幅は更に誇張されてデータとして出てきます。

ちなみに「年率換算」を行うための計算式は第140回の記事 に詳細に記しています。

「年率換算」とは、「季節調整を行ったGDP同士を比較したGDPの『前期比』が1年間続いたらどうなるのか」という、全くの虚構の数字です。

たった3か月間の経済成長率が1年間も継続して続くわけがありませんし、何より「前年同期比」という前年度と比較した「実績」が既に存在するのに、なぜそんな「年率換算」などという架空の数字と比較したがるのか、私にはまったく理解できません。

例えば

「前年同期と比較すると〇〇%の成長率だが、前期比と比較すると〇〇%である。このままの経済成長が続けば1年後には〇〇%となるので今のうちに早急な経済対策が必要だ」

といった趣旨の記事を記すのであれば理解できます。

ですが、現在年率換算を用いた各社の記事を私なりに意訳するとすれば、

「現在の日本の経済は、1年後の未来には〇〇%となることが予言されている。これは経済政策が失敗したことを意味している」

と言っているのに等しいのです。未来に〇〇%となるという予言を行った上で、「だから経済政策は失敗だ!」と言われて、なんで誰も疑問を持たないんでしょうか?

では、マスコミが「今の経済をけん引している」と言って憚らない「輸出入GDP」を見てみましょう。パーセントで見ると実態を見失いかねないので、実額で見てみます。


2017年度輸出入GDP第二四半期第一次速報統計結果

【2017年度7-8月期輸出入GDP(原系列:前年比増減幅/年率:前期比増減幅】
名目輸出原系列 23.819兆(+2.946兆)
名目輸出年率 96.644兆(+2.792兆)

名目輸入原系列 22.131兆(+2.599兆)
名目輸入年率 89.96兆(-0.3992兆)

名目純輸出(輸出-輸入)原系列 1.688兆(+0.355兆)
名目純輸出(輸出-輸入)年率 6.684兆(+3.191兆)

実質輸出原系列 22.194兆(+1.333兆)
実質輸出年率 89.424兆(+1.303兆)

実質輸入原系列 22.265兆(+0.505兆)
実質輸入年率 89.771兆(-1.454兆)

実質純輸出(輸出-輸入)原系列 -0.071兆(+0.818兆)
実質純輸出(輸出-輸入)年率 -0.347兆(+2.757兆)

「原系列」では名目・実質とも増減幅は「前年同期」からの増加幅になっています。
「年率」は言うまでもなく季節調整系列を年率換算したもので前期からの増加幅になっています。

輸出入GDPを考えるときに大切なのは「純輸出」を見る習慣です。表に記しているように「輸出」から「輸入」をマイナスしたもの。

原系列で考えますと、

 名目 0.355兆増 実質0.818兆増。

年率換算で考えると

 名目 3.191兆増 実質2.757兆増

となります。

年率換算の場合は民間消費支出が民間住宅まで含めてマイナスになっていますから、名実とも確かに「輸出(外需)がけん引している」と言えなくもありません。

ですが、原系列で考えるとどうでしょう?


「原系列」と「季節調整系列」で異なる輸出入GDPのGDP全体への影響

原系列で考えると、例えば「民間最終消費支出」は名目で0.647兆、実質で0.517兆増加しています。

「持ち家の帰属家賃を除く家計」で見ると名目は0.581兆、実質で0.331兆増加しています。

特に大きいのは「民間企業設備」で、こちらは実質だと0.593兆円ですが、実質では0.827兆円増加しています。

実質の純輸出GDPは前期比で0.818兆増えていますから民間企業設備の0.593兆を上回っています。
ですが、これが「名目」になると逆に純輸出GDPの増加幅はは0.355兆に留まり、民間企業設備は0.827兆円増得ていますから、金額にして約2700億円ほど民間企業設備の方が上回っています。

更に名目は民間消費が0.647兆円、個人消費は0.581兆円ですから、民間全体の消費も、ここから企業の消費を除いた個人消費もともに「輸出入GDP」の増加幅を上回っているわけです。

これを見て、どうして毎日新聞は「消費の弱さ、輸出が支え」などという記事を書くことが出来るのでしょうか?


「季節調整系列」とは、「季節特有の経済現象(クリスマス夏休み、お正月など)を除外する」ことを目的として、「人為的」に数字をコントロールした数字です。

前年と比較する場合は「季節特有の経済現象」と比較する必要はありませんので、わざわざ季節調整を行う必要はありません。

ですから、「季節調整系列」とは「異なる季節同士」を比較するためにコントロールされているもので、主に経済成長率の「前期比」を比較するために用いられています。実際の経済活動に基づかない、人為的な計算式に基づいて算出されているものですので、はっきり言って「参考程度」にしかならない数字です。架空の数字と言っても言い過ぎではないと思います。

そして繰り返しになりますが、「年率換算」とは、そんな架空の数字である「季節調整系列」が、「もし仮に1年間続いたとしたら1年後のGDPは年間でいくらになるのか」という、「架空の数字を利用して算出した未来予測を行うための数字」にすぎないのです。

例えば、「5年後に日本の平均気温は今と比較して3度上昇する」という予測がなされたとして皆さんは信じるでしょうか?
「ひょっとするとそうなるかもしれないよね」とは思うかもしれません。そうならないために温暖化対策を今から行っておきましょう、という程度のものだと思います。

では、「昨年の平均気温は一昨年と比較して0.1度下がりました。ですが5年後は3度上昇します」といわれたらどうでしょうか?

普通、一気にその信ぴょう性は下がるんじゃないですか?

今回のGDP統計、例えば「持ち家の帰属家賃を除く家計消費」で考えるのなら、

 「今期の持ち家の帰属家賃を除く家計は一昨年と比較して1%上昇しています。ですが、このままの経済政策を続けるのなら、1年後の家計消費は前年と比較して2.3%下落します」

と言われているようなもの。

もっと言えば、「輸出入GDP」に関してもそうです。

日本の過去の原系列の事例から見れば、基本的に「輸出」が増えるときは同時に「輸入」も増えますから、結果的に「純輸出GDP」が輸出側、輸入側どちらかに偏って大幅に変化することはありません。あり得るとすれば海外で大きな経済危機が発生した場合。もしくは大幅な為替変動が発生した場合です。

ですが、例えば今回の年率換算で言えば、1年後の輸出は12.4%増え、輸入は1.8%下落することになっています。

実は、マスコミがこぞって「外需がけん引した」という報道を行っている最大の理由はここにあるんですね。
しかしそんな「12.4%」などという数字は、所詮計算式から算出されたフィクションの数字にすぎません。

少なくとも「前年同期比」で見る限り、今期の純輸出GDPの増加幅は「民間消費」全体どころか、持ち家の帰属家賃を除いた「家計消費」すら下回っており、とても「輸出が支えになっている」と言える状況になどないことは歴然としています。

今回の第二四半期GDPを支えてしているのは間違いなく「企業設備投資」であり、「民間消費」であり、果ては「家計消費」が支えているのです。

更に。名目原系列全体で見るのなら、実は今年度第一四半期のGDPを第二四半期のGDPは下回っています。

ですが、「企業」も、「家計」も、そして「輸出入」もすべて第一四半期を上回っています。

実は、GDP全体に対するマイナス要因として作用しているのは「政府最終消費支出」、そして「企業在庫変動」の二つ。

安倍内閣が目指している最終的な消費形態は「政府がサポートせずとも、民需だけで自律的に回転する経済」です。
また「在庫変動」が減少しているということは、それだけ「新規商品が消費されており、在庫が蓄積されていない」ことを示しています。

つまり、安倍内閣は明らかに安倍内閣が進めようとしている方向に向けて、着実に歩みを進めていることを如実に示した統計結果なんです、今回のGDP速報は。

マスコミさん、少しは統計資料を読み取る力を身につけましょうよ、ほんと。

政府が発表した通りに記事を作るくらいだったらマスコミがマスコミである必要なんて全くありませんよ?、ほんと。


この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


先月末。10月31日に、9月分の「消費者物価指数」が公表されています。(本日は11月5日です)

第364回の記事 で8月分の情報も掲載したのですが、先月は衆院選選挙月だったこともあり、いつものような詳細な情報ではなく、大枠で「アベノミクスの成果」をうかがうことのできる記事に仕上げました。

ですが、先月より「消費者物価指数」の状況が少し「改善」する気配を見せていて、私個人的には「面白い状況」になっています。


平成29年(2017年)度8月/7月の消費者物価指数

【消費者物価指数(総合)の前年同月比】※( )内は2017年8月/7月の前年同月比です。
総合(ウェイト:10000)
0.7(0.7/0.4)

生鮮食品を除く総合(ウェイト:9586)
0.7 (0.7/0.5)

持家の帰属家賃を除く総合(ウェイト:8501)
0.9(0.8/0.6)

持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合(ウェイト:8087)
0.9(0.8/0.6)

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(ウェイト:8802)
0.2 (0.2/0.1)

先月詳細な情報を掲載しませんでしたので、今回は先月の前年同月に加えて、7月度の前年同月比も併せて掲載しています。

この中でどの数字を一番重要視すべきかと申しますと、「海外の物価動向(エネルギー)」と「天候に左右される物価動向(生鮮食品)」を取り除いた数字、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が一番重要な数字になります。

0.2%の物価上昇ですから、まだまだ伸び悩んでいる状況は改善なされていませんが、そんな中で

 「持ち家の帰属家賃を除く総合」

が7月度の0.6%から8月が0.8%、そして9月は0.6%と、順調に回復しているのがまず第1の「面白い状況」です。

私のブログでは何度もお伝えしていますが、

 「持ち家の帰属家賃」

というのは、

 「もし持ち家が持ち家でなく借家だったとしたらいったいいくら支払っていることになるのか」

という、なぜそんな数字をわざわざカウントしなければならないのかが全く理解できないフィクションの数字ですから、日本の経済成長を知るためには本来不必要な数字です。

消費者物価指数総合が、

 7月:0.4%、8月:0.7%、9月:0.7%

と推移する中で、持ち家の帰属家賃を除いた総合は

 7月:0.6%、8月:0.8%、9月:0.9%

と推移していますので、本来フィクションの数字であるはずの持ち家の帰属家賃が、CPI全体を約0.2%も押し下げていることがわかります。

この理屈を「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」に当てはめて考えてみますと、

 7月:0.3%、8月:0.4%、9月:0.4%

といった様子で動いていることが推察されます。この0.4%という数字も、これは本来政府が目指している数字からすればまだまだ低いわけですが、2017年3月に-0.1%前年割れし、4月、5月、6月と0%成長を続けてきた状況から考えると、やはりこの0.4%という数字は期待を抱かせる数字ですね。

もちろん、本年3月、4月、5月、6月の前年同月比にも「持ち家の帰属家賃」が含まれていますから、ここから0.2%足した前年同月比を本来は想定しておくべきだとは思いますが。


【消費者物価指数(10大費目別)の前年同月比】
※( )内は2017年8月-7月の前年同月比です。
食料 ウェイト:2623
0.1(0.9-0.6)

 生鮮食品 ウェイト:414
 1.2(0.8/△1.1)
 生鮮食品を除く食料 ウェイト:2209
  1.0(0.9/0.9)

住居 ウェイト:2087
△0.2(△0.2/△0.2)

 持家の帰属家賃を除く住居 ウェイト:589
  0.0(0.0/△0.1)

光熱・水道 ウェイト:745
6.0 (5.2/4.3)

家具・家事用品 ウェイト:348
△0.2(△0.2/△0.4)

被服及び履物 ウェイト:412
△0.3(0.6/0.0)

保健医療 ウェイト:430
1.8(1.8/0.1)

交通・通信 ウェイト:1476
0.0(△0.4/0.1)

教育 ウェイト:316
0.4(0.4/0.4)

教養娯楽 ウェイト:989
0.2(0.4/0.0)

諸雑費 ウェイト:574
0.1(0.3/0.1)

念のためにお伝えしておきますと、「ウェイト」というのは「重要度」の事。消費者物価指数全体に対する影響度を数字化したものです。つまり、この数字が大きいほど物価全体に対する影響が大きい、ということになります。

一つだけネガティブな情報を載せておきますと、この10大費目のうち「被服及び履物」の費目が下落していることは少し残念な印象を私は受けています。

「エネルギー物価」の下落の影響を受けて、消費者物価指数全体がなかなか上昇できずにいる中で、「被服及び履物」の費目は安倍内閣スタート以来、永続的に前年度をオーバーし続けており、「物価の優等生」だったのですが、このところ上昇幅が頭打ちになったことも感じていました。

昨年までの上昇に勢いがありすぎた、ということもあるのでしょうか。

個人的には「物価上昇率」は1%程度が健全であると考えていますので、このあたりで落ち着くのも一つの選択肢なのかもしれないな、とも思っています。


【家具・家事用品の前年同月比】
さて。今回の「消費者物価指数」10大費目の中で、私が一番「面白い!」と感じているのは、この「家具・家事用品」の分野です。

前年度比△2.0%ですから、「前年度割れしてるやん!」っていう声が聞こえてきそうですが、それでも今回着目すべきはここ。

家具・家庭用品CPI(~2017年9月)

「被服及び履物」がこれまでずっと安倍内閣の物価をけん引してきた物価の優等生であったのなら、この「家具・家事用品」は真逆で物価の足を引っ張り続けてきた劣等生。

平成26年は消費増税年ですから、4月に一気に物価が上昇しているのは消費増税が行われたことによるものです。

ただ、とはいえ翌平成27年4月にいったんは前年度割れするものの、同年12月まで前年同月比では上昇を続け、最終的に2.3%まで物価上昇を果たしました。

ところが、年明けの1月から急速にその上昇幅が縮小し、28年6月に前年度割れ。以来本年、平成29年9月まで前年度を割り込み続けているのです。

その、「主犯」ともいえるのが「家庭用耐久財」の前年度割れです。ピーク時には平成28年(2016年)9月の前年同月比-6.8%まで落ち込んでいました。

エネルギー物価の前年度割れは日本国内ではなく、海外の要因が大きいですので、日本国内の努力でどうにかしろ、と言われてもこれは無理な話です。ですからCPI総合から「エネルギー物価」を除いた消費者物価指数が存在するわけですが、

CPI(前年同月比)推移

こちらのグラフが示す黄色のライン。すなわち「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が2016年(平成28年)2月以降、その上昇幅が縮小する一つの原因としてこの「家具・家事用品」の低迷が完全な「主犯」となっていました。

【家具・家事用品の前年同月比】
※( )内は2017年8月/7月の前年同月比です。
家具・家事用品 ウェイト:348
△0.2(△0.2/△0.4)

 家庭用耐久財 ウェイト:111
 1.2(1.0/0.0)
 室内装備品 ウェイト:25
 △1.8(△4.7/△4.7)
 寝具類 ウェイト:27
 △0.6(0.0/△0.2)
 家事雑貨 ウェイト:72
 0.8(1.1/1.1)
 家事用消耗品 ウェイト:86
 △2.3(△1.7/△1.4)
 家事サービス ウェイト:27
 0.1(0.1/0.1)

お気づきになりましたでしょうか?

「家具・家事用品」の中で、足を引っ張っている最大の要因はどの分類費目だったか覚えていますか?

そう。「家庭用耐久財」です。ウェイトが86と比較的多きい「家事用消耗品」が代わりに低迷し始めた様子が気にはかかりますが、それ以上に長い間足を引っ張り続けていた「家庭用耐久財」がようやく上昇に転じたことは、私にとって「非常に面白い」ことです。

家具・家事用品 ウェイト:348
△0.2(△0.2/△0.4)

 家庭用耐久財 ウェイト:111
 1.2(1.0/0.0)

  家事用耐久財(ウェイト:57)
  0.7(△1.1/△3.0)

   電子レンジ(ウェイト:4)
   △6.8(△5.1/△14.9)

   電気炊飯器(ウェイト:11)
   13.3(4.5/2.6)

   ガステーブル(ウェイト:3)
   5.3(6.2/6.3)

   電気冷蔵庫(ウェイト:16)
   △7.6(△9.7/△10.5)

   電気掃除機(ウェイト:9)
   2.2(6.8/3.8)

   電気洗濯機(全自動洗濯機)(ウェイト:7)
   3.5(△0.1/1.5)

   電気洗濯機(洗濯乾燥機)(ウェイト:7)
   △4.2(△1.1/△2.5)

   冷暖房用器具(ウェイト:37)
   2.2(3.7/2.9)

    ルームエアコン(ウェイト:30)
    3.2(4.1/3.3)

    温風ヒーター(4)
    △1.1(△1.1/△1.1)

    空気清浄機(3)
    △4.3(7.7/4.5)

  一般家具(18)
  0.7(1.5/2.8)

   整理だんす(5)
   2.2(2.1/3.4)

   食堂セット(9)
   0.0(1.2/1.0)

   食器戸棚(4)
   0.2(1.2/1.0)

改めて過去の記事を振り返ってみますと、7月の記事 でも同様の趣旨の内容を記事にしていましたね。

7月の記事 では、この費目が0%になったことを話題として取り上げましたが、その数字がなんと前年同月比で1.2%にまで回復しているわけです。

やはり季節ものである「エアコン」の動きが好調であることと、「電気炊飯器」の影響が大きいですね。

それだけではなく、物価が下落している項目でも8月、7月と比較するとその下落幅が縮小していることなども影響しており、これで「家事用消耗品」の動きがもう少し堅調であれば、「家具・家事用品」全体がプラスに転じていたんだろうな・・・と思うと、少し悔しい思いもしますね。

ちなみに「家事用消耗品」で上昇しているのは洗剤や紙製品など、「原油精製品」がほとんどです。原油自体は物価が上昇しているのに・・・少し不思議な感覚です。

このほか、物価上昇率0%となっている「交通・通信」の分野では、ウェイト224の「交通(運賃など)」が昨対0%、ウェイト836の「自動車等関係費」が昨対1.7%に対して、ウェイト416の「通信」が△3.5となっており、ガソリン代の物価上昇も含む「自動車等関係費」の物価上昇率を相殺する形になっています。

自動車等関係費の中で、「ガソリン」は確かに昨対7.1%と大きな物価上昇率を記録していますが、それだけではなく、肝心の「自動車」の項目も全体で0.2%の物価上昇率。このうち唯一「軽自動車」のみが前年同月比△1.1%と物価下落を記録していますが、「小型乗用車」が国産・外車とも0.7%、普通自動車が国産0.4%、外車0.3%と物価上昇を記録しており、動きとしては良い傾向です。

一歩で「通信」の足を引っ張っているのは携帯電話の「通信費」です。ウェイト230、物価下落率5.4%となっています。

そのほか、「教養娯楽」では「教養娯楽用耐久財」のうち「テレビ」が4.3%の物価下落、デスクトップ型パソコンが3.7%の下落、ノート型が4.8%の下落となるなど、教養娯楽全体が0.2%と物価上昇する中で、これが伸び悩む原因となっています。

「消費者物価指数」のうち、私が大切にしている「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は昨対0.2%と、まだまだ伸び悩む状況にはありますが、アベノミクスが目指す「物価上昇」に向けて、少しずつ明るい兆しが見え始めたのではないでしょうか?

って書くと、あたかもアベノミクスの効果があまり発揮されていなかったかのように誤解されてしまいそうですが、「物価」が上昇するにもいろんな理由があります。携帯電話料金の様にもともと高すぎる物価が下落してくれれば、当然その差額を他の消費に回すことができるようになります。

安倍内閣で「なかなか物価が上昇しない」と思っている皆さん。改めて「なぜ上昇しないのか」。関心をもって分析してみると、意外と面白い情報が見えてきたりしますよ。

この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


考えれば1か月も早いですね。月初恒例の「月別税収」が公表されました。今月は9月分の税収です。昨日(10月31日)は同じく9月分の消費者物価指数も公表されていますので、こちらも後ほど記事にしたいと思います。


2017(平成29)年度9月分税収

2017年9月分税収
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【2017(平成29)年度8月分税収】※(  )内は前年同月比です。
所得税全体 9月分 0.95兆(100.7%) 累計 7.89兆(106.0%)

 源泉分 9月分 0.93兆(100.9%) 累計 7.38兆(106.0%)
 申告分 9月分 0.017兆(88.7%) 累計 0.50兆(98.8%)

法人税 9月分 0.188兆(105.1%) 累計 0.696兆(218.9%)

消費税 9月分 1,149兆(105.4%) 累計 4.33兆(100.5%)

一般会計全体 9月分 3.18兆(103.7%) 累計 16.81兆(105.4%)

先月の数字 では桁が間違っていたものが一部あったようなので、後ほど訂正しておきます。


【法人税評】

先月もお伝えしましたが、法人税の申告期限は「事業年度終了の日の翌月から2か月以内」となっています。

ですので、今月の法人税は本年度7月に収められたものが大部分だと考えられます。8月決算の企業もあるかと思いますが、その数字は来月に出てくるのではないかと考えられます。

ただ、その「進捗状況」。つまり、法人税の納税状況が本年度予算に対してどの程度のペースで進んでいるのか、ということを見てみますと、昨年度の10月時点での進捗状況が5.6%。今年度は9月の時点で5.5%の進捗状況となっていますので、法人税収はなかなかのペースで回収されているということがわかります。

前年同月で見ても、8月の169%・・・とまではいきませんでしたが、それでも昨対105%。累計でもいまだ218%を記録しており、その好調さがうかがえます。


【所得税評】

8月はこの数字が「本丸」であるとして記事を作成しましたが、今月は少しおとなしめ。源泉分が昨対100.9%、申告分が88.7%となっています。

「申告分」の納税期限は3月15日、予定納税が行われるのは8月1日、11月30日の2回ですから、今回昨対割れをしていることはあまり意識する必要はないと思われます。

源泉分も、大人締め、とは言え9月単独で昨対100.9%。累計でも106%を維持していますので、いまだにその好調っぷりが衰えたわけではありません。

できれば・・・このまま維持してほしいですね。

所得税全体でも9月分が100.7%、累計は105.5%。予算ベースを3.6%上回る状況が続いています。


【消費税評】

今月の本命はここですね。

7月 も同様にここをポイントとして提示いたしました。

毎月繰り返しにはなりますが、「消費納税額」は「昨年度の納税状況」を参考として納税されています。

ですから、今年度の消費納税額を参考にすると、昨年度の消費納税額を推察することができるわけです。

そして、その納税額が9月もまた単月で105.4%。昨年度の納税額を参考にしているわけですから、略一律となるのは当然と言えば当然ですが、その納税額ががいよいよ累計でも昨年度をオーバーしてきました。

6月までは前年度への還付が行われていたため、消費納税額がマイナス計上されていたことが先月までの累計額が昨年度を下回っていた理由ですが、その累計額がいよいよ昨年度を上回ってきたわけです。

来月は10月。これまでは納税ペースが毎月、または3か月に1度の企業が納税していたわけですが、10月には半年に一度の企業、そして決算月を8月に迎えた企業が納税を行います。

つまり、いよいよ昨年度ではなく、今年度の消費状況を反映した納税が行われるわけですが、9月までの好調っぷりが維持されるのか、今からハラハラドキドキしますね。


【一般会計税収評】

一般会計税収全体としましては、8月の単月で111%という納税状況から比較すれば見劣りはするものの、9月の前年同月比は103.7%と前年度を3.7%オーバー。累計でも105.4%で、予算を1.4%上回る状況が続いています。

10月にはいよいよ8月決算を迎える企業の納税状況が反映される結果が登場します。

税収は日本の景気のバロメーター。

ぜひ良い結果であってほしいものですね。


この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


今回も第363回の記事 同様、カテゴリーとしては 「物価」の見方 としてはいるものの、本日2017年10月15日(日)、来週末10月22日(日)の第48回衆議院総選挙を控え、第363回の記事 を継承する形で2012年12月に成立して以来、4年10か月の「安倍内閣の成果」を今回は「消費者物価指数」の視点から見てみます。

改めての復習ですが、「物価」というと皆さん店頭で並んでいる商品の「売価」をイメージされるかもしれませんが、それは単なる「店頭表示価格」であり、「物価」ではありません。

例えばA店の店頭で10万円のエアコンと20万円のエアコンが並んでいる様子を考えます。

多くの人は、「10万円」も「20万円」もそれぞれエアコンの「物価」だと考えるかもしれません。ですが、それは違います。

A店において10万円のエアコンしか売れなければA店のエアコンの物価は10万円。逆に20万円のエアコンしか売れなければ20万円がA店のエアコンの「物価」です。

つまり、店頭でいくらの値段がついて販売されていようが、実際にその商品が購入されなければ、それは「店頭価格」であって「物価」にはなりません。消費者が購入して初めて「物価」になるのです。

実際にはエアコンは1台しか売れないわけではないでしょうし、ひょっとすると10万円のエアコンが10台、20万円のエアコンが20台、なんていう売れ方をするかもしれません。

この場合は販売された台数を「ウェイト=重要度」と考え、

 {(10万×10)+(20万×20)}÷(10+20)=16万円

となり、この16万円がA店におけるエアコンの「物価」となります。

このような計算方法を「加重平均」と言い、この「加重平均」を繰り返し行うことで最終的な「消費者物価指数」は算出されています。(加重平均の詳細は 第53回の記事 をご覧ください)

ですから、例えば安倍内閣で本当に賃金が伸びず、消費者が安いものしか購入することができていないのであれば、いくら店頭における「店頭売価」が上昇していたとしても、本当にその商品が購入されていなければそれは「物価」としては計上されません。

消費者物価指数が上昇しているということは即ち消費者が店頭で実際に支払った「購入金額」が上昇していることになります。


この「消費者物価指数」の中には、先ほどご説明した、「店頭で実際に購入された金額」が物価として計上されていくわけですが、同じ物価でも、その上昇する理由が国民のお財布事情に関係なく上昇する場合があります。

その代表的なものが「原油」。そして「生鮮食品」です。

原油の相場を決めているのは、日本国内の消費事情ではなく、主に「投機市場」。つまり、日本国内ではなく海外で、原油が「投資対象」として売り買いされた際の相場価格によって原油の値段はきまっていきます。

ですから、いくら日本国民が安い原油を買おうと思っても、海外で販売される原油価格が日本国民が望む金額よりも高く取引されていれば、必然的に「原油」の物価は高くなります。これが日本国内で販売される「ガソリン」や「灯油」、そして原油を原料として生み出される製品の価格に反映されることとなるのです。


「エネルギー」CPIの影響

「消費者物価指数」は、略称で「CPI」と呼ばれます。CPIは大枠で、すべての物価を含んだ「総合」、「生鮮食品」を除いた「コアCPI」、「食料及びエネルギーを除く総合」という2つの「CPI」が存在し、それぞれ「CPI」「コアCPI」「コアコアCPI」と呼ばれています。

「生鮮食品」が除かれるのは、生鮮食品が天候の影響を受けやすく、日本国内の景気動向とは異なる動きをすることが理由です。

そして、安倍内閣や日銀が目指している「物価上昇率」はこの3つのCPIのうち「コアCPI」の2%上昇を目指しているのですが、ここには「エネルギーCPI」が含まれています。前述した通り、エネルギーCPIは日本国内ではなく、「海外」のしかも「投機動向」の影響が反映されることから、いくら日本国内で頑張ったところで、海外で原油価格が大幅に下落したのでは意味がありません。

そこで、生鮮食品に加えてこの「エネルギー価格」を除いた物価動向を示す数字が欲しいところなのですが、今年度がスタートするまで、実はこの「生鮮食品及びエネルギー価格を除く総合」という指標は存在しませんでした。

正確には「日銀版コア」と呼ばれ、2015年11月より日銀によって公表されていた、統計局データとしては存在していませんでした。

代わりに、存在したのが「食料」全体とエネルギーを除く総合=「コアコアCPI」であったのですが、「食料」の中には天候の変動を受けないものも多く存在し、項目の重要度を示す万分率に換算された「ウェイト」は生鮮食品の414/10000に対し、生鮮食品を含まない食料は2209/10000ですから、食料全体のCPIを取り除くことは決して適切ではありません。

このことから、今年度に入って統計局は正式に「日銀版CPI」をこれまでの「コアコアCPI」と同じ位置での掲載を始めました。事実上、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が「コアコアCPI」としてのポジションを獲得した形になります。

【消費者物価指数(前年同月比)の推移/2014年1月~2017年8月】
CPI(前年同月比)推移
※少し小さくて見えづらいかもしれませんが、クリックしていただきますと画像は大きくなります。

こちらの画像は、これまで政府・日銀が物価目標としていた「生鮮食品を除く総合」と新しく指標として登場した「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」、そして「ガソリンCPI」の3つを示しています。

ガソリンではなくエネルギー全体で表してもよいかな、とは思ったのですが、電気代等はどちらかというと電気代の自由化の影響で日本国内の事情も反映されていることもありますので、あえて「ガソリンCPI」の動向に絞ってみました。

赤い横線が前年同月比0%、青い縦のラインは「ガソリンCPI」の前年同月比が0%を割り込んでから再び0%を上回るまでの期間を示しています。

グラフは、消費増税が行われた2014年度が始まる直前。2014年1月から最新の2017年8月までの推移を示しています。ガソリンの動向が激しいので、コアCPI、新コアコアCPIは左軸に、ガソリンCPIは右軸に数値を掲載しています。

黄色のラインが「生鮮食品を除く総合」、オレンジのラインが「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」、そしてグリーンのラインが「ガソリンCPI」です。

「前年同月比」の推移を示していますので、グラフが右下がりになっていますと、あたかも前年度より物価が下落しているかのような錯覚に襲われますが、実際には0%赤い横ラインを下回るまでは物価は上昇し続けています。

特に、2014年度に「消費増税」がおこなれて以来、あたかも消費者物価が伸び悩み、むしろ下落し続けているかのような印象を私たちはマスコミ報道等を通じて刷り込まれてはいないでしょうか?

まず第一に、増税が行われた後も、増税年度である2014年7月まで、政府日銀が物価目標としています、「コアCPI」は上昇し続けています。7月から8月、9月にかけて、ガソリンCPIの「前年同月比」が8.7%から2%に急落しますが、それでも「コアCPI」は前年度割れなどしていませんね?

7月の1.6%から1.3%に、「緩やかに下落」しただけです。

この間、「新コアコアCPI」は、増税以来7月に一時的に「1.1%」に物価上昇率が上昇しはしていますが、10月まで「1%の物価上昇率を維持」しています。

そして10月から11月にかけて、ついにガソリンCPIが前年度割れを起こすのですが、これに伴って「物価上昇率」が下落するのは「コアCPI」のみであり、確かに「新コアコアCPI」は11月、一時的に1.0%から0.8%に、2015年3月から4月にかけてさらに0.6%に「物価上昇率が下落」するものの、それ以降「新コアコアCPI」の物価上昇率は上昇し、同年11月には1.3%まで上昇しているのです。

どうもこの「物価上昇率」に関しては、政府日銀が示した「2%の物価上昇」という言葉が独り歩きし、あたかも安倍内閣に入って物価が下落し続けているような錯覚を皆さん起こしているのではないかと思うのですが、けっしてそんなことはない、ということをこのグラフを見ればご理解いただけるのではないでしょうか?

確かに「コアCPI」を見ると2015年7月に0%を付けた後、11月、12月と一時的にプラスに転じはするものの、ガソリンCPIがプラスに転じる2016年12月、その翌2017年1月を迎えるまで前年度割れを続けているのですが、その間も「新コアコアCPI」は上昇し続けていますね?

「物価上昇率」こそ縮小してはいるものの、決して下落などしていないことがわかります。


私たちが本当に問題にしなければならないこと

ただ、私がこのブログで問題にしているのは、2017年3月、ちょうどガソリンCPIが前年同月比20.4%と最高値を記録した月、ついに前年度割れを起こしていることです。

特に2016年度に入って以降、新コアコアCPIは物価上昇率を縮小させ続けているのです。

では、この時肝心の国会は何をやっていたのでしょうか?

そう。「モリカケ問題」です。そして、防衛相の隠ぺい問題。

国会がモリカケ問題でこの世の終わりでもあるかのようにして大騒ぎしている間、安倍内閣が目指す「物価上昇率」のうち、肝心な「新コアコアCPI」はその物価上昇率を縮小させ続けていたのです。

もし、私が野党の立場にいて、本当に安倍内閣を攻撃したいのであれば、私ならこの「新コアコアCPIが急速に縮小していること」をまず槍玉にあげますね。そしてこういいます。

「アベノミクスの『効果』もそろそろ限界に来ているんじゃないですか?」

と。

その方がよほど説得力がありますよね?

そして、さらにこの様に言います。

「アベノミクスも、同じことばかりやっていたのでは長期的にその効果は頭打ちになります。

経済指標がその限界を示しているのですから、今こそ新たなる『経済政策』に手を打つべきではありませんか?」

と。その財源はもちろん

 「国債」

です。

さて、では。安倍内閣は私が主張するようなこの「新たなる経済政策」は何も実施していないのでしょうか?

実はそんなことはありません。

2016年第二次補正


ちゃんと実行しているんですね。
しかも私が言ったように「国債(建設国債)」を2.7兆円発行した上で。

このような経済政策の「効果」はすぐに出るもんじゃありません。ですが、第362回の記事 でお示しした、特に「源泉分所得税」の動向をみるとこれは一目瞭然なのではないでしょうか。

野党の皆さんは、「アベノミクスはもう限界に来ているんです!」と言いながら、このような新たなる経済政策の事は一切話題にせず、必死に「モリカケ暴き」に終始していましたね?

では、もし本当にこのモリカケに専念してこの新たなる経済政策に手を付けなかったら、いったいどうなっていたのでしょうか?

共産党も、元民進=希望の党&立憲民主党も「モリカケは税金の無駄遣いだ!」と言います。

ですが、モリカケに精一杯国会審議の時間を費やし、経済政策に全く手を付けず、結果として税収が2017年度も減収していたとしたら、これは一体どちらが「税金の無駄遣い」なんでしょう。

私は、2016年度の税収が減収に転じた理由の一つとして、一部を除く野党の皆さんが、まったくと言っていいほど本当に日本の国にとって必要な議論を行わず、まともな政策を提示しようとしなかったことに原因があるのではないかと思っています。

特に加計問題に関して言えば、あれはむしろ「国家戦略特区制度」を活用することで、今治市の地域経済を活性化することを目的とした政策です。

財源は今治市が学園都市構想を実現するため、小泉内閣下で実施された「合併特例債」を活用して積み立てた40億円の「合併振興基金」。土地は同じく学園都市構想を実現するために、1983年に造成された土地。残る24億円を今治市が、32億円を愛媛県が、96億円は加計学園自身が拠出しますので、日本国政府にとっては痛くも痒くもありません。

国家予算について審議する場」で、地方である今治市の、しかも民間の大学をつぶすための議論を繰り返していたのがあのモリカケ問題の真相です。

日本の経済を将来に向けて継続して成長させ続けるための議論を行わなければならない場で、まったく逆の議論を審議するためにあれだけの莫大の時間と経費が費やされていたわけです。

もちろん「経済」は政府が手を施さずとも、地方や企業の力だけで自律的に回転していけるに越したことはありません。

ですが、それが足踏みしそうなのであれば間髪入れず、速やかに政府が次の一手を施せる仕組みこそが日本国経済を成長させるために本当に必要な政策です。

「消費者物価指数からみるアベノミクスの成果」。毎月「物価」に関してはもう少し細かい記事を作成しているのですが、今回はあえて基本に立ち戻り、総論としての「物価」に関する記事を作成してみました。

政府を批判することは自由です。ですが、同じ批判をするのでも、誤った情報で誤った批判を行うのではなく、正確な情報で、的確な批判を行うことこそ、これは「野党」だけでなく、私たち一般国民にも求められている姿なのではないでしょうか?


この記事のカテゴリー >>実質賃金と名目賃金


今回のシリーズは2017年9月28日衆議院解散を受けまして、「アベノミクスの成果」を具体的にお示しすることを目的として作成しています。

記事としては、またしてもカテゴリーをまたぎ、第362回の記事 を引き継ぐ形での記事になります。

またこれとは別に、第361回の記事 で「国税庁データ」をベースに、2016年(暦年)1年間を通じた民間給与所得情報を記事にしましたが、これは従業員の数が1名以上の事業所をすべて対象としており、厚労省データと比較して正確性はあるものの、速報性に欠けるデータですので、

 「じゃあ今年度の給与はどうなんだ!」

という声も聞こえてきそうですから、この声にお応えする形で、「常勤雇用者数が5名以下の事業所のデータが含まれていない、正確性に欠ける」で^多ではあるものの、「速報性のあるデータ」として、厚労省データより、2017年8月度の「月間給与所得」に関連した記事を掲載しようとおもいます。


「賃金指数」の推移

賃金指数(総合)

こちらは、「賃金指数」の推移。ボーナスの金額も含んでますので、12月や7月の数字が大きくなっています。

2017年(暦年)に入って、これまで業種別に分かれていた項目が「総合」「一般」「パートタイム」の3項目で掲載されるようになっていますので、さかのぼってみることができる、2015年12月からの数字をグラフ化してみました。

「賃金指数」とは、今年度であれば2015年(暦年)の年間の平均賃金を100として、これに対する増減を指数化したものです。もちろん指数ではなく実額で掲載することもできるのですが、残念ながら実額は一覧では掲載されておらず、集計に膨大な時間を必要としますので、増減の割合に関しては実額と同様に正確に算出されている「賃金指数」で掲載してみました。

パートタイム=非正規、一般労働者=正規、というわけではありませんが、イメージはしやすい分け方だと思います。

賃金指数(きまって支給する給与)

一方こちらは「決まって支給する給与」の推移で、賞与(ボーナス)が含まれないものです。

「賞与」を含む推移でみると、7月の賃金指数は総合で前年比-0.6%、一般労働者で-0.7%となっていますが、これを賞与を含まない賃金指数の推移でみますと、総合は0.5%、と前年の給与所得よりも増加しています。

7月の賞与を含む賃金指数が前年度割れしている理由として、産業全体で7月に支払われた賞与が平均で10万9189円であるのに対して6月に支払われた賞与が17万1278円。

一方2016年7月に支払われた賞与は11万2637円(2017年+3448円)、17万0630円(2017年-648円)となっており、賞与が支払われたタイミングが2016年と2017年との間でずれたことがあげられると思われます。

また、決まって支給される給与を見てみますと、1月の賃金指数が総合で-0.1%、パートタイム労働者で-0.9%と前年割れしていますが、この月を除くときまって支給される給与は全体で14か月、特に「一般労働者」に限定すれば、少なくとも私がグラフに掲載をした期間すべての月で前年同月を上回っていることがわかります。

これは、賞与を含む「総合」でも同様の事が言えますね。

また、賞与を含む「総合」で見れば、特に2017年度(4月)に入って以降、「パートタイム労働者」の賃金が前年同月を大きく上回っていることもわかります。


「実質賃金指数」の推移

「実質賃金指数」は、前章で掲載した「賃金指数」、すなわち「名目賃金指数」を「持ち家の帰属家賃を除く総合」で割ったものです。

実質賃金指数(総合)

実質賃金指数(きまって支給する給与)

さて、いかがでしょう。両グラフとも、赤いラインが「前年同月比0%」を示すラインです。つまり、これを下回っていれば前年割れ、上回っていれば前年オーバーということになります。

2017年(1月)に入ってからの数字を見てみると、いかがでしょうか。両グラフとも、完全に「前年割れ」していますね。

共産党の志位さんや小池さん当たりに餌を与えてしまいそうな数字ですが、私の記事をよく読んでいる賢明な読者の方にはもう想像がついているかもしれませんね。

なぜこんなことになっているのか。答えは簡単です。「分母が『持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数』だから。

特に「きまって支給する給与」の実質賃金の推移をみるととてもよくわかると思います。9月から10月にかけて一気に値を下げていますね?

この時期に何があったのか。そう。

 「原油価格(前年同月比)の上昇」

です。例えば、「実質賃金」の分母から「エネルギー(及び生鮮食品)」を除くとこんな感じになります。

実質賃金(生鮮及びエネルギーを除く)

もちろん、ここまで単純に考えることはできません(エネルギー価格が上昇すれば、それだけ家計には負担になる)。

「実質賃金」とは、「消費者物価指数」が上昇すれば下落し、下落すれば上昇します。当然ですね。「消費者物価指数」は実質賃金の分母なんですから。

本当は、ここから「生鮮食品」を除くことができれば良いのですが、残念ながらそのような政府データはありませんから、生鮮食品の物価変動まで含まれた情報になります。

私がなぜこんなグラフを出したのかというと、理由は二つあります。

最新の2017年8月の実質賃金指数(きまって支給される)は99.8で、前年度、2016年8月よりも0.2ポイント下落しています。

一方、2017年8月の持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数は100.5で、2016年8月よりも0.8上回っています。
生鮮食品も0.8ポイント、エネルギーに関してはなんと7.0ポイントも前年同月を上回っています。

消費者物価指数が上昇すると実質賃金が下落するのは、賃金が同じでも、物価が上昇することによって購入できる物品の量が減少することに由来します。

つまり、生鮮食品やエネルギー(ウェイト⦅重要度⦆は両方合わせて1198)がこれだけ上昇しているわけですから、今年は昨年と比較すると、「消費」は起こしにくい状況にあったはずです。

逆に言えば、昨年の方が今年に比べて消費は起こしやすかった=実質賃金は多かったはずなのです。

ところが、先ほどのグラフの様に、実質賃金の分母である消費者物価指数から「生鮮食費」と「エネルギー」を除外して考えると、なんと実質賃金は前年同月よりも0.4ポイントも増加してしまっています。

つまり、「生鮮食品」と「エネルギー」が上昇し、消費者物価指数全体が上昇したため、本来であれば消費は抑圧される=実質賃金は下落するはずなのに、逆に生鮮食品及びエネルギー以外に割くことが可能な賃金の量は増えているわけです。

「生鮮食品及びエネルギー以外の物価が下落したんじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」は前年同月比で0.2%増加しています。

もちろんこの中には「持ち家の帰属家賃」が含まれていますから、これを除くとどうなのか、という声も聞こえてきそうですが、持ち家の帰属家賃は前年同月比で-0.2%。「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」と同じ絶対値です。

「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」のウェイトは8802、持ち家の帰属家賃のウェイトは1499ですから、いくら持ち家の帰属家賃のウェイトが大きいからと言って、それ単独で「生鮮食品及びエネルギーを除く消費者物価指数」の増加分を相殺することはできません。

つまり、「生鮮食品やエネルギーの物価が上昇」し、本来であれば国民の消費は圧迫され、生鮮食品及びエネルギー以外の実質賃金は減少しなければならないのに、逆に生鮮食品及びエネルギーを除外した実質賃金は増加しているということになります。


また、先ほどのグラフを掲載した二つ目の理由として、「エネルギー」は日本国内ではなく、むしろ「海外の需要の影響」を大きく受けるものであり、「生鮮食品」は「天候の変動の影響」を大きく受けるものです。

つまり、どちらも「アベノミクス」の失敗や成功の影響で増えたり減ったりするものではない、ということ。

実際に共産党の志位さんや小池さんがこの「実質賃金の下落」を「アベノミクスの失敗」の根拠としてあげるシーンを良く見かけますが、彼らは自分たちにとって都合の悪い情報には一切見向きもしていないということです。

「実質賃金」の側面から見ても、アベノミクスは非常に好調である。このことを立派に証明することができました。

次回記事では、続きまして今回話題にした「消費者物価指数」の側面からアベノミクスを検証してみたいと思います。


この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


記事としては、カテゴリー「税収の見方」 の一記事であり、先月掲載した 2017年7月分税収記事 を引き継ぐものとなっているわけですが、何しろ今月(2017年10月)は衆議院解散総選挙の月となっております。

ですので、今回の記事は「アベノミクスの成果」を掲載する意味合いも含まれており、

 第361回 2016年版民間給与統計(国税庁Ver.)が公表されました

の内容も引き継ぐ記事としたいと思います。

第361回の記事 では、厚労省データと比較してより詳細な民間給与所得情報である2016年(暦年)の「国税庁データ」が先月9月に公表されたことを受け、「給与所得者数」「一人当たり平均年間給与」「給与所得者総合の年間給与総額」の3つの面から「アベノミクスの成果」としての民間給与所得情報を解析してみました。

今回はその後。2017年度に入ってからの給与所得状況を「税収」の側面から解析してみたいと思います。
また、併せてその他の「税収」に関連した情報も掲載いたします。


2017(平成29)年度8月分税収

2017年8月税収
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【2017(平成29)年度8月分税収】※(  )内は前年同月比です。
所得税全体 8月分 1.32兆(112.3%) 累計 6.93兆(106.2%)

 源泉分 8月分 1.29兆(112.5%) 累計 6.45兆(106.8%)
 申告分 8月分 0.02兆(103.3%) 累計 0.48兆(99.2%)

法人税 8月分 0.63兆(169.4%) 累計 0.49兆(370.3%)

消費税 8月分 1,78兆(101.6%) 累計 3.18兆(98.9%)

一般会計全体 8月分 4.56兆(111.0%) 累計 13.62兆(105.8%)


【法人税評】

おさらいですが、法人税の申告期限は「事業年度終了の日の翌月から2か月以内」となっています。

今回掲載しているのは8月の税収ですので、仮に8月決算の企業があったとしても、その申告は10月に行われるものが多くなると推察されます。

その上で、8月の法人税収を見てみると、8月単月での税収が6300億円。累計で4900億円となっています。

単月の数字よりも累計の方が少なくなっているのは、7月までの数字がマイナスだったから。つまり納付される額よりも還付される額の方が多かったから、ということになります。

納税する側の気持ちから考えると、決算状況が苦しければ、税金の支払いは先に延ばして、その額で他の支払いに回そうとする心理が働くのではないかと考えられます。このことを考えると、8月単月での納税額が前年度比で169%オーバーということは、8月決算の企業が10月に納税するはずの税収に関してもある程度期待ができるのではないでしょうか。


【所得税評】

今回の本丸はここですね。

「所得税」でも特に「源泉分」の所得税に対する評価です。

他の税制度と異なり、源泉分の所得税納税申告期限は「翌月10月」がその申告期限とされており、「源泉分」ですから、この税金は企業が一般の従業員に対して支払った給与から源泉徴収されたものです。

ということは、ここの金額は2017年7月に企業が従業員に対して支払った給与総額がそのまま反映されているということ。「所得税」や「消費税」、または「申告分所得税」と比較しても、この時点での源泉分所得税の納税額は、直近の日本の景気状況を最も反映したものである、ということができるのではないでしょうか。

その額が、 8月単月で1.29兆で前年同月比112.5%、累計でも6.45兆で前年同月比106.8%増しとなっており、少なくとも企業活動がより活発になっていることをきれいに反映していると考えることができます。

また、「源泉所得税」が増えているということは、考えられる状況は3つ。

 1.「給与所得者の数」が増えた
 2.「一人当たりの平均給与所得」が増えた
 3.「1」と「2」の両方が増えた

この3つのどれかです。源泉所得税は、4月分が前年度からマイナスされているため、現時点では累計で106.8%となっていますが、

5月分前年同月比 111%
6月分前年同月比 112.3%
7月分前年同月比 103.1%
8月分前年同月比 112.3%

となっており、その好調さがとてもよく反映されています。

第361回の記事 におきまして、昨年(2016年:暦年)の「給与所得者」と「平均給与所得」がともに上昇していることから、「高齢者の現役引退」は安倍内閣における雇用状況の改善を批判する材料とはならないことを示しましたが、本年8月分の状況からみても、その状況は今年も継続していることがとてもよくわかります。

とはいえ、年度ベースでは昨年度の源泉徴収分は前年度を割り込みましたから、それを100%否定するものとはならないのかもしれません。


【消費税評】

先月はここを「本命」として記事を作成しました。

「消費税」は「前年度の納税額」を参考に納税されますから、今年度の納税額は、2018年3月を迎え、さらに4月分、5月分のデータが出てくるまでは必ずしも今年度の消費状況を反映したものとはなりえません。

ですが、消費税はあくまで「消費されたもの」に対して加算される税制度であり、消費税納税額の推移をみることは、その「消費状況」を見るデータとしては役に立つものです。

そして、今年度の消費税納税額は「昨年度」の消費納税額を反映したものですから、つまり今年度納税された消費税額を見れば、昨年度の国内の消費状況をうかがうことができます。

このことを念頭において今月の消費納税額を見ますと、

8月単月で8月分1,78兆(前年度比101.6%)。累計で3.18兆(前年度比98.9%)となっています。

消費税納税額が累計で前年度割れを起こしているのは6月まで消費税納税額がマイナス計上(還付)されていたことが理由です。プラス計上が始まったのは7月からで、

 7月分前年同月比 105.2%
 8月分前年同月比 101.6%

となっていますから、少なくとも昨年度がスタートした当初消費状況は悲観するほど悪かったわけではなかったと考えることができます。消費税の申告期限も、前年度の納税額によって異なるとは言うものの、基本的に申告月より2か月以内となっていますから、7月分は昨年の5月分、8月分は6月分の消費状況を反映していると考えることができます。


【一般会計税収評】

さて。それでは最後に「一般会計税収」全体に対する評価について。

単月では前年度比111%、累計で105.8%となっていますから、税収全体としても非常に好調であることがわかります。
一般会計税収全体も4月はマイナスから入り、6月までは消費税と法人税両方のマイナス分の影響を、7月は法人税単独でのマイナス分の影響を受けています。

そのうえで、各々単月の前年度比は

 5月 96.9%
 6月 104.6%
 7月 106.1%
 8月 111.0%

となっています。8月累計の前年度比は105.8で金額は13.62兆円となっています。

予算ベースで考えますと、一般会計税収全体の前年度比は104.0%で組んでいますから、8月の時点で1.8%予算を上回っていることになります。

金額で考えると2318億円の「上振れ」です。

「源泉分所得税納税額」の推移から考えると、今年度の消費状況も、昨年度と比較すると「大幅に」改善するのではないか、と考えられます。

さて。これはあくまで私の「推測」にすぎませんが、今年度の「税収」は一体どうなるんでしょうか。現時点でも非常にワクワクさせられる数字です。


さて、いかがだったでしょうか。「税収」って、確かにタイムラグの発生する数字で、期間が終了するまでは正確性に欠ける数字でもあります。ですが、他の経済指標と異なり、あくまでも「実数」ですから、税収の持つ「意味」さえきちんと理解していれば、より実態に近い状況が反映されています。

この数字をもとに「アベノミクスの成果」を考えますと。特に今年度の数字はいよいよその大成功を予感させるものとなっているように思えてなりません。

今回の記事では、「源泉分所得税」の推移を参考に、「給与所得者数×平均給与所得」の総額の推移を見てみました。
ですが、これでもまだ、「単に給与所得者の数は増えたかもしれないが、給与は減っているんじゃないか」とか、逆に「一人当たりの給与は増えているが、格差が広がっているんじゃないか」といった意見を言う人がいるかもししれません。

次回の記事では、では「給与所得者数の推移」や「平均給与所得」は一体どうなっているのか。

第361回の記事 では「国税庁データ」ベースで昨年(暦年)の給与所得状況を分析しましたが、次回記事では厚労省データより、あくまでも「速報」レベルではありますが、今年度の給与所得状況について記事にしたいと思います。


この記事のカテゴリー >>実質賃金と名目賃金


本日は2017年10月。ですので、今更2016年の民間給与統計?、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、実はこの情報は最新情報だったりします。

昨年はこの情報を 第175回の記事 で掲載しました。

タイトルをご覧いただくとわかると思うのですが、「民間給与所得」を公表している政府機関は実は2カ所。

一つは厚生労働省。もう一つは国税庁です。

厚労省のデータは毎月公表されていまして、最新だと2017年7月の確報まで公表されています。

ですが、今回スポットを当てたいのは厚労省データではなく国税庁データ。国税庁データは年に1度、毎年9月に公表されています。

今回このタイトルでの記事を作成したのは、つまり、2016年のデータが先月、9月末に公表されたからです。


民間給与所得、厚労省データと国税庁データの違い

まずは復習です。同じ給与所得のデータでありながら、なぜ厚労省データと国税庁データが二つ存在するのか。

これは、第43回の記事 で一度ご説明しました。

賃金違い

この情報は、人事院のホームページ に掲載されています。

最大の違いは、その調査対象が、厚労省のデータは「常用労働者」の人数が「5人以上」いる事業所に限られていることに対して、国税庁データは常用雇用者であるか非常勤であるかに関係なく、「従業員」の人数が「1人以上」いる事業所をその対象としていることにあります。

わかりやすく言いますと、「速報性」を重視しているのが「厚労省データ」であり、その「正確性」を重視しているのが「国税庁データ」だということになります。


2016年給与所得者数の推移

給与所得者数2016(国税庁Ver)

国税庁データは、年間を通じたデータですから、「1年間を通じて働いた給与所得者」というデータが存在します。2016年12月末時点での給与所得者数です。

給与所得者の増加数だけを見ると、消費増税年度である2014年から翌2015年よりも、2015年から2016年にかけての増加数の方が多いことがわかりますね。

安倍内閣スタート前の2012年と比較すると、実に300万人を超える「年間を通じて働いた給与所得者」の数が増えていることがわかります。


2016年平均給与所得の推移

平均給与2016(国税庁Ver)

こちらは年間を通じて働いた給与所得者が受け取った、一人当たりの「平均給与所得」の総額です。月間ではなく年間の給与所得。単位を掲載し忘れていますが、単位は「千円」。ですから2016年の年間平均給与は421万6千円。

増加幅で見ると増税年度であった2014年から2015年の増加額が4万4千円であるのに対して、2015年から16年の増加額は1万2千円。増加幅が縮小しているようにも見えますが、2014年が増税年度であり、企業も支出を抑制していた可能性がありますから、その分2015年の増加幅は大きくなったのではないかとも考えられます。


2016年年間給与総額の推移

年間給与総額2016(国税庁Ver)

こちらのグラフは、すべての給与所得者が年間を通じて受け取った給与所得の総額を示したものです。

こうしてみると、もちろん2011年に発生した東日本大震災の影響がある、とはいうものの、2012年の給与所得総額の落ち込みがいかに激しいかがわかります。

一方2015年~2016年にかけては、特に給与所得者数の上昇幅が大きかったこともあり、2014年から2015年にかけての1.7兆円を上回り、実に3兆円を超える給与所得が2015年よりも上乗せして給与所得者に対して支払われていることがわかります。

安倍内閣誕生前の2012年と比較すると、実に17兆円の給与が上乗せして給与所得者に対して支払われていることになります。

年度ではなく、暦年ベースで見ますと、2016年の名目GDPは537.06兆円。2012年の名目GDPは494.95兆円でGDP全体で37兆円を超える伸び率を示していますが、このうち17兆円が企業から従業員に対して支払われた給与であることになります。

これが、「安倍内閣の成果」です。

よく野党の皆さんやアベノミクスに否定的な皆さんが安倍内閣における「給与所得」や「労働者数」の増加、そして「求人率」や「雇用率」の増加を批判する際、

 「高齢者が定年で退職したため、労働者の数が不足し、結果としてこれらの数字が増えているのだ」

という主張を行うシーンを良く見かけます。

ですが、高齢者が退職したことが雇用状況の『見かけ上の改善』に影響しているというのなら、少なくとも「労働者数(給与所得者数)」は減少していなければつじつまが合いません。

アベノミクスの結果として、高齢者が退職する数以上に現役の給与所得者数の数が増え、かつその年間の平均給与所得も増加している。これが「アベノミクス」がもたらした「成果」です。

本日は2017年10月5日。巷では「希望の党」なる政党が名を馳せ、代表である小池百合子氏を筆頭にアベノミクスがあたかも失敗であったかのように吹聴するシーンをよく見かけます。

「でもそれは2016年までの話で、今年は・・・」

という声が聞こえてきそうですが。実は今月冒頭には「2017年8月度税収」が公表されており、ここには2017年度に入って私たち国民が受け取る「給与所得」がさらに上昇している様子がはっきりと示されています。

次回記事では、この2017年8月度税収をベースに、記事を作成したいと思います。


この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


<継承する記事>
第359回 60年償還ルールで財政が破綻しない理由

前回の記事はカテゴリーを 日本国債の問題 とし、今回は 日本の税収の見方 としていますので、連続性が失われていますが、 政府データ(経済指標の見方) から見ていただきますと、連続した記事としてご覧いただくことができます。

前回の記事では、今回の記事、「それでも消費増税を行わなければならない理由」を記す前提条件として、あくまでの日本国債はまず破綻することはありませんよ、と、この理由を「60年償還ルール」を用いることで解説させていただきました。

で、今回の記事は「それでも消費増税を行わなければならない理由」。

このタイトルって、現在のコアな安倍内閣支持者からは袋叩きに合いそうなタイトルなんですが、私は このブログを始める前に作成していたブログ の時代から、一貫して消費増税の必要性は主張してきました。

ですが、そもそも旧ブログを作成した当時の私は、10%増税を前提として、私たち一般国民が強いられる負担は15兆円、GDPを500兆円と考えると、ちょうど3%分の増税額となることから、「民間給与所得を平均で3%増加させること」を増税の条件として掲載していました。もちろん名目です。

麻生さんは、麻生内閣当時、さらにこの名目3%成長を3年間、同時に実質2%、物価上昇率1%成長を3年間連続で果たすことを明確な条件として提示していました。

「景気回復に全治3年。私たちは3年間経済成長をさせることに専念しますので、これを達成した暁には増税させてください」

という、国民としても非常にわかりやすい形でした。ですが、麻生内閣は2009年8月、たった1年で倒閣してしまい、民主党鳩山内閣が誕生。以後2012年12月までの地獄の3年数か月がスタートしました。

この間、民主党政権は麻生内閣当時に実施された経済政策以外、何一つとして明確な経済成長戦略を実施せず、結果として超円高の大不景気が日本全土を覆った・・・というのがあの時の状況でした。

麻生さんは2008年を含めた3年間、景気回復に向けた集中的な経済政策に専念し、3年連続で経済成長を果たした後、速やかに消費増税の議論に入る、としたのです。
(※枠内は長文になりますので、最初は読み飛ばしてください)

【所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)(抄)】

附則
(税制の抜本的な改革に係る措置)

第104条
政府は、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ、平成20年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。

この場合において、当該改革は、2010年代(平成22年から平成31年までの期間をいう。)の半ばまでに持続可能な財政構造を確立することを旨とするものとする。


前項の改革を具体的に実施するための施行期日等を法制上定めるに当たっては、景気回復過程の状況、国際経済の動向等を見極め、予測せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みとするものとし、当該改革は、不断に行政改革を推進すること及び歳出の無駄の排除を徹底することに一段と注力して行われるものとする。


第1項の措置は、次に定める基本的方向性により検討を加え、その結果に基づいて講じられるものとする。

個人所得課税については、格差の是正及び所得再配分機能の回復の観点から、各種控除及び税率構造を見直し、最高税率及び給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに、給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組みその他これに準ずるものをいう。)の検討を含む歳出面も合わせた総合的な取組の中で子育て等に配
慮して中低所得者世帯の負担の軽減を検討すること並びに金融所得課税の一体化を更に推進すること。

法人課税については、国際的整合性の確保及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意しつつ、課税ベース(課税標準とされるべきものの範囲をいう。第5号において同じ。)の拡大とともに、法人の実効税率の引下げを検討すること。

消費課税については、その負担が確実に国民に還元されることを明らかにする観点から、消費税の全額が制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用に充てられることが予算及び決算において明確化されることを前提に、消費税の税率を検討すること。その際、歳出面も合わせた視点に立って複数税率の検討等の総合的な取組を行うことにより低所得者への配慮について検討すること。

自動車関係諸税については、簡素化を図るとともに、厳しい財政事情、環境に与える影響等を踏まえつつ、税制の在り方及び暫定税率(租税特別措置法及び地方税法(昭和25年法律第226号)附則に基づく特例による税率をいう。)を含む税率の在り方を総合的に見直し、負担の軽減を検討すること。

資産課税については、格差の固定化の防止、老後における扶養の社会化の進展への対処等の観点から、相続税の課税ベース、税率構造等を見直し、負担の適正化を検討すること。

納税者番号制度の導入の準備を含め、納税者の利便の向上及び課税の適正化を図ること。

地方税制については、地方分権の推進及び国と地方を通じた社会保障制度の安定財源の確保の観点から、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人課税の在り方を見直すことにより、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を進めること。

低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化(環境への負荷の低減に資するための
見直しをいう。)を推進すること。

これが、麻生内閣において取り決められた消費増税法である、「附則104条」と呼ばれるものです。

ただ、結果的に民主党内閣では何一つとして「景気回復に向けた集中的な取組」は行われれず、「経済状況を好転させること」はありませんでした。

ですが、にも関わらず2012年8月に民主党内閣下における消費増税法が成立し、ここに「景気付帯条項第18条第3項」があるにも関わらず、2013年(平成25年)10月、安倍内閣において増税が決定し、翌年2014年4月に消費増税が実施されました。
(※枠内は長文になりますので、最初は読み飛ばしてください)

【景気付帯条項第18条】
第18条 消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。

2 税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。

3 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前二項の措置を踏まえつつ、経済況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ず等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。

そもそも「消費増税」が大バッシングを受けたのはこの時のことです。


そもそもなぜ「消費増税」が必要とされるのか?


私のブログではすでに説明済みですが、これは福田内閣~麻生内閣にかけて行われた「社会保障国民会議」によって話し合われた内容がルーツとなっています。

社会保障国民会議

この会議を通じて

「2025年には、「医療・介護」にかかる医療費が、凡そ15兆円ほど、2008年当時の状況より増額する」

ことが試算されました。このための財源として、

「景気の良し悪しに左右されにくく、毎年安定して一定の税収が期待できる財源」

である「消費税」にスポットが当てられたのです。


※厚労省ホームページより一般会計税収推移

上図は、一般会計税収の総額、および三大税収である所得税、法人税、消費税の動きを示したものです。
見ていただくとわかると思いますが、所得税や法人税は「リーマンショック」などの経済危機に見舞われると大幅に税収を落としていますが、消費税だけはそう大きな増減はなく、ほぼ横ばいで一定の税収を確保していることがわかると思います。

赤いラインはそれぞれ増税のタイミングを示していますが、3%→5%、5%→8%に引き上げたとき、それぞれ消費税収が大幅に上昇していることがわかります。

「消費税」とは、そもそも景気がよかろうが悪かろうが、必ず消費されるものに対して課税されることがその税収が安定している最大の理由で、税率を引き上げれば引き上げただけ税収が上昇している理由でもあります。

「社会保障」は特に、景気がよかろうが悪かろうが、必ず必要となってくる「経費」です。景気が悪くなったから医療費は自己負担してください・・・というわけにはいかないのが「社会保障」です。

そこで、景気の変動を受けにくい税収として「消費税」にスポットが当てられたわけです。


「消費増税」はなぜ批判されるのか

消費増税が批判される理由として、よく言われるのが、「消費増税を行えば、国民の生活に負担をかけ、かえって消費を冷え込ませる」という内容です。

この根拠としてよく用いられるのが、先ほどの一般会計税収の推移を示したグラフで、1997年(平成9年)に行われた、いわゆる「橋本増税」です。

もう一度同じグラフを掲載します。
一般会計税収推移

見ていただきたいのは、「一般会計税収」総額の推移です。

5%増税が行われる前。1996年の税収は52.1兆円。増税年である1997年は53.9%と、唯一増税前の税収を上回るのですが、翌1998年が49.4兆円、その翌年が47.2兆円。

安倍内閣において増税が行われた2014年に至るまでの間で最も税収が多かったのが第一次安倍内閣当時(2007年)の51兆円で、増税年以降、増税前の1996年の一般会計税収を上回った年度が1年もない(増税年は除く)のです。

つまり、1997年に増税し、消費税収が増えたのは良いが、税収全体を見ると却って増税前を下回っており、増税は失敗だったのではないか・・・というのが消費増税が批判される最大の理由です。


税収が減退したのは本当に消費増税が原因だったのか?

勘違いをしていただきたくないのですが、私自身、8%増税が行われる前は、「私たちの所得が増税による物価上昇幅を上回るまでは消費増税を行うべきではない」と主張していましたし、前章で記した「消費増税を行うべきではない理由」は、実は私は誰かの情報を見て気づいたわけではなく、私自身が自ら発見しました。

もちろん私が発見する以前にもこのことに気づいていた人はいたでしょうが、私は旧ブログにこの情報を掲載していて、少なくともその記事を掲載する前にネット上でこの情報を投稿していたとはいなかったのではないかと思います。(リンクを張ろうと思ったのですが、記事数が多く見つけられませんでした)

つまり、橋本増税以降、一般会計税収が増税前を上回ったことが一度もない、という情報の発信元は私だったのではないか・・・とすら考えているわけです。(思い上がりだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私の気持ちの問題なのでご容赦ください)

私が言いたいのは、私は元々「私たちの所得が増税による物価上昇幅を上回る前の消費増税」には反対していた人間だということです。

ですが、「消費増税」を批判するのであれば、公平な情報に基づいて、偽りではなく正確な情報を用いて批判するべきだと私は考えています。

例えば、橋本増税において「税収が減退した」ことを私は記していますが、これが本当に橋本増税のせいだったのかというと、これにはいささか疑問があります。というのも、第14回の記事 にて掲載しましたように、橋本増税が行われた年も、7月までは順調に経済は成長しており、同年7月に「アジア通貨危機」が勃発したため橋本内閣までの日本が抱えていた課題が一気に噴出した、というのがその後の税収減退の理由としては正しいのではないかと考えているからです。

もちろん旧ブログに前章の情報を掲載した時にはそのことには気づいていませんでしたから、一方的に橋本増税悪玉論を私自身掲げていましたが、それは必ずしも正しい意見ではなかった、と現時点では思っています。


8%増税によって本当に日本国内の「消費」は減退したのか?

安倍内閣において行われた消費増税により、「景気に水を差した」とする主張を行う人を良く見かけます。
その理由として、「消費者物価指数」の減退が掲げられています。

消費者物価指数2013年~2017年8月

安倍内閣が目指す消費者物価指数は本来「生鮮食品を除く総合=コアCPI」なのですが、上図ではあえて「総合」と「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を掲載しています。

期間は安倍内閣が誕生した2012年12月~最新の2017年8月までを掲載しています。消費増税に伴う物価上昇がおおよそ1.7%に相当しますから、これを除外した数字で示しています。

この数字が、安倍内閣では2%を目指しているわけですが、これが増税年度である2014年5月に達成するものの、これ以降下落を続け、翌15年9月には0%、1月には前年度割れ。2月にふたたびプラスに戻りはするものの、3月の0%以降2016年10月まで前年度割れを継続するわけです。

もちろん私は赤いライン=総合の話をしています。

ですが、青いライン=「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を見てみますと、少し違った状況が見受けられますね?

このグラフは、あくまでも「前年同月比」を示していますので、0%を上回れば物価は上昇し続けていることを示しているので、そこだけは勘違いなされないようにしてほしいのですが、この「前年同月比」のうち、赤いライン=「総合」が見かけ上急落し始める2014年6月以降も、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は横ばい、もしくは上昇を続け、特に2015年度、11月までは総合が下落する中で「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は上昇していることがわかります。

この理由として、シリーズ「「物価」の見方」の中で、海外で急落し始めた「原油相場」が最大の原因であり、これを除けば物価は継続的に上昇し続けていたこと。

これ以外に「持ち家の帰属家賃」や「家電製品の店頭売価」が物価を下落させている要因であることを具体的な数字とともにお示しし続けました

その上で昨年度末、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が昨対0%、3月にはマイナスをつけたことを受け、「新たなる経済対策が必要なんじゃないでしょうか」、と訴えたわけです。モリカケでわちゃわちゃやってる暇はないでしょう、と。

もちろん消費増税の影響がなかったとか、そういうことを言いたいわけではありません。ですが、消費増税によって本当に「消費」が減ったのかどうか。「減った」という人たちに対して私は「そうではないでしょう?」という記事を作り続けていました。

「批判を行うのなら、公平に行いましょう」と私が言っているのはすなわちそういうことです。


それでも消費増税を行わなければならない理由

では、8%増税は行うべきだったのでしょうか、それともやめるべきだったのでしょうか?

再来年には10%に引き上げられるわけなのですが、これは取りやめるべきなのでしょうか、それとも実施するべきなのでしょうか。それとも、「5%に戻すべき」なのでしょうか?

増税をやめるべきだ、または増税前の状態に戻すべきだ、とする立場の人たちはこのように主張します。「増税よりも、経済成長戦略に専念すれば、経済成長によって新たなる税収が生れるはずだ」と。

ですが、そもそも「消費税」は「社会保障のための財源」として本来充てられるべき税金です。経済成長によって、確かに税収は増えるかもしれません。ですが、逆もまたあり得るわけです。現在はアベノミクスの効果もあり、経済は順調に成長し続けているわけですが、例えば「リーマンショック級の経済危機」が訪れたとしたらどうでしょうか?

民主党時代の2012年から安倍内閣が誕生した2013年にかけて、消費増税を行う前であったにもかかわらず、税収は3兆円増加しています。ですが、これはあくまでもそれまでの経済政策がダメすぎたことと、そして増税前の「駆け込み需要」があったこと。を忘れてはならないと思います。

ではもし「そうではない状況」が生れたとき、その財源は一体どこから捻出するのでしょうか。不足するのであれば、その方法は一つしかありません。「国債」を発行して財源を賄うという方法です。


「日本国債の信認」と「労働する意欲」

はっきりといえば、社会保障の財源が不足するのであれば、バンバン国債を発行して銀行に購入させることで消費増税どころか、消費税を全額撤廃したとしてもその社会保障費を完全に賄うことができます。

既に掲載している通り、「60年償還ルール」を利用して運用すれば、元本次第で「国債発行残高総額」は増加しますが、この増加額には限度があります。仮に毎年60兆円ずつ国債を発行したとしても、80兆円ずつ国債を発行したとしても、60年経過すれば頭打ちになり、ある一定額以上は上昇しなくなります。

これは、第359回の記事 で解説した通りです。

もしそれでも、なにがしかの理由で日本国債が破綻するというのであれば、最終的に日本国政府が55%の最大株主である日銀が日銀券を発行し、日本国債を全額買い取り、日本国政府と日銀の会計帳簿を連結し、日本国政府の負債である国債と、日銀の資産である国債を相殺すれば日本の国債など一瞬で0円になります。


現在安倍内閣を支持する人の中でも、消費税率を10%に引き上げることに反対する人、または8%から5%に引き下げるべきだという人の主張として、「増税は消費を抑制し、却って税収を冷え込ませてしまう」という意見があります。

すでに述べていますように、確かに橋本増税では消費増税が行われた後、アジア通貨危機が勃発したこともあり、結果的に日本国内の消費を冷え込ませ、税収を増税以前と比較しても大幅に減退させてしまう結果となってしまいました。

ですが、安倍内閣において行われた8%増税はどうだったのでしょうか。

消費者物価指数2013年~2017年8月

8%増税において、あたかも消費が減退しているように見えるのは、「原油価格の下落」などに伴うエネルギー相場の減退が最大の理由であり、これを取り除けば毎月「前年同月」を上回っていたことは既にお伝えした通りです。昨年度末に初めて前年度割れを起こしましたが、それまではプラス成長を続けています。

一般会計税収推移

また「税収」に関しても同様です。確かに昨年度は税収が前年度割れを起こしていますが、それでも増税前、2013年度の税収と比較すれば、9兆円近い税収増を果たしており、橋本増税の時とは状況が異なっていることがわかると思います。

リーマンショック前年、2007年度の51兆円と比較しても、5兆円近く税収が増えていることになります。

また一方で、高齢者医療、介護の増加に伴い、2025年には2008年当時と比較して15兆円の財源が不足すると試算されています。

平成29年度一般会計予算

こちらは予算ベースですが、本年度、2017年度の歳入歳出を示した円グラフです。

歳入の内、国債発行額が34.3兆円、歳出のうち国債の償還額が23.5兆円。両歳費の差額、10.8兆円分が現時点の一般会計予算で不足している金額です。(国債の償還のために国債が発行されていることを批判なさりたい方は第359回の記事 をご覧ください)

29年度の税収は予算ベースで57.7兆円ですから、このうち32.4兆円が年金・医療・介護等の社会保障費に、残る25.3兆円がその他の財源に充てられることになります。

また残る税収のうち、15.5兆円は地方交付税・交付金として当てられており、税収の中で政府や国の行政機関が自分たちのために使っているお金は10兆円程度だということになります。

では、この10兆円が一体何のために使われているのかというと、公共事業費や防衛費を含む公共サービスを私たち一般国民に行うために用いられているわけです。(公務員の給料も当然含まれていますが、これも公共サービスの一環だと考えます)

2017年度に発行されている予定の、償還費以外の10兆円の国債は、このような政府や国の行政機関が私たち国民に施すための行政サービスのための資金が不足するために発行されている、ということになります。


2014年の8%増税に対して私が賛成なのかどうかと言われれば、必ずしも積極的に「賛成」だとは言えません。ですが、それでも「社会保障の財源は、国債の発行に頼らず、きちんとした裏付けを示すことが必要だ」と考えています。

今後、社会保障のための財源が今以上に不足することとなれば、おのずと私たちが政府や行政機関から受けているサービスの質が低下していくことを示しています。

もしも行政サービスの質を落とさず、ある一定以上の予算を確保しようと考えるのであれば、政府が

 「社会保障に不足する財源を補填するため、国債を発行して賄います」

と宣言すれば、それで事足りる話ではあります。ですが、私が危惧しているのは、ではこのような社会保障費のために政府が国債を発行します、といった場合、日本国民の

 「労働する意欲」

を担保することができるのかどうか、という話です。

生活保護受給者数の推移

こちらのグラフは、第28回の記事 で掲載した、生活保護者の数と、前年度と比較した伸び率を掲載したグラフです。

情報としては最新のものではないのですが、リーマンショック後、平成22年1月まで急激に生活保護受給者数が増加した後、前年同月比で生活保護受給者の伸び率は減退するものの、生活保護受給者の数そのものは減少していないことを示しています。

「社会保障費」って、きちんとしたルールの中で運用されていて、現役時代によく働いた人ほど老後により多くの社会保障費を享受することができるようになっています。その代表的なものが「年金」です。

ですが、現役時代に意図的に労働を行わず、または労働する意欲があったとしても定職に就くことができなかった人のうち、年金の免除申請を行わなかった人は、その「年金」を受け取る資格がありませんから、当然老後の生活費がなくなってしまいます。

そのような人たちがどのような手段をとるのかというと、それは「生活保護」という最終的なセイフティネットを利用することになります。このような人たちは、確かに家賃光熱費は保護費の中から支払いますが、例えば「医療費」も自己負担せず、全額国費で治療を受けることができます。

もしも政府が

 「あなたたちが現役時代に働こうが働くまいが、あなた方の老後の生活はすべて政府が面倒を見ますよ」

と宣言してしまった場合、私は上記に掲載したように、「労働」することを放棄し、行政サービスに頼りっぱなしになる人が増えるのではないか、と考えているのです。

その結果、日本国内では「生産力」が衰退し、物資を海外からの輸入に頼るようになり、日本国内の物価が海外の情勢や為替変動に左右されるような、そんな社会が訪れるのではないかと考えているわけです。

 「そんなことはない。ルール整備をきちんとすればいい」

という人はいるでしょうが、いつまでも現在の政権が続くとは限りません。経営者をサポートすることを批判し、労働者や非正規労働者、もしくは無職者の支援を重視する政府が現れれば、全くない、といえる話ではありません。

社会保障のサービスを安定して提供し、かつ日本国内の「労働する意欲」を担保しようとするのであれば、やはり、特に「老後」の社会保障費は財源の裏付けを明確にした上で運用するべきだ、というのが私の考えです。


私にだって、消費増税は凍結すべきだとか、繰り延べるべきだという人たちの意見が理解できないわけではありません。それも一つの考え方だと思いますし、逆に消費増税を行うことで日本国民の労働する意欲を減退させてしまう、という意見も当然あるでしょう。

また、第358回の記事 でもお示ししましたように、もともと高齢化に伴う社会保障費の自然増に伴う財源に充てるつもりであった消費増税分を幼児教育無償化等の他の政策に充てる余裕が出てきたということは、高齢化に伴う自然増の伸び率が思ったほど深刻ではなかったのではないか、とも私は考えています。

であればその分の伸び率を抑えるという方法もあるんじゃないか、という考え方も当然できると思います。

このように考えると、「消費増税」もまた数多くの政策判断の中の一つであり、これだけを理由で安倍内閣をたたいたり、掌を返したりする姿勢は果たしてどうなのかと私は思います。

中には消費増税を肯定する立場の人を貶したり、罵倒したりする意見を見ることもあります。もし消費増税に反対なのであれば、政府をきちんと納得させられる意見を持った人に票を投じ、または当選した議員さんを通じて政府に自分自身の意見を届けるような努力を行うのが本来のあるべき姿なのではないでしょうか。

ましてこのように将来のヴィジョンを描くこともせず、

 「政府が国債を発行し、日銀が金融緩和を行い続ければいつかは日本の景気は良くなるはず」

といった無責任な意見を述べることは果たしてどうなのでしょうか?

本当に日本の事を思い、自分自身の主張を行うのは正しいことだと思います。ですが、そのような自分の意見を通したいからと言って、「マクロ指標」を「ブレイクダウン」せず、つまり例えば「消費者物価」が下落している理由が消費増税のせいだと思い込み、誤った情報を根拠として現在の政策の批判を行うやり方はいただけません。

私は現在の安倍内閣を支持しています。それは「経済」だけでなく、「外交」や「防衛」、そして「憲法改正」の考え方も含めた、全体像としての安倍内閣を支持しているということです。

もちろん各論としてそれは違うんじゃないか、と思う部分も多々としてありますが、であればその部分を「おかしい」といえばよいのであって、だから安倍内閣はおかしい、ということにはなりません。まして誤った情報を下に安倍内閣を叩くのははっきりって間違いだと思います。

本日は長文になりましたが、「批判する」のであれば、情報をきちんと分析したうえで、現時点で自分場一番正しいと判断している情報を下に批判するのが政治家だけでなく、私たち日本国民も含めて本来の「あるべき姿」だと思います。

そして一方的に批判するのではなく、きちんと相手の意見にも耳を貸し、全否定をせず、正しいと思ったことは受け入れる姿勢を持つことこそ、日本を世界に誇れる国とするために、本当に必要なことなのではないでしょうか?


この記事のカテゴリー >>日本国債の問題


私のブログにおきまして、もはやその代名詞ともなっているのが以下の記事です。

第27回 国債を返済する仕組み~60年償還ルール~

第358回の記事 では、「次回記事では改めて『それでも消費増税を行わなければならない理由』について、改めて記事にしてみたいと思います」と掲載しました。

ですがその前に、改めて「60年償還ルールで財政が破綻しない理由」についてご説明しておきたいと思います。

60年償還ルールを端的にご説明しますと、
日本国債を60分割で返済するためのルール

です。ここは今更解説するまでもありませんね。
(※60年償還ルールそのものがわからない、という人は第27回 国債を返済する仕組み~60年償還ルール~ の方へどうぞ)

問題となるのは、ではなぜ「60年償還ルール」を用いれば日本国債は破綻しないのか、ということ。この理由を端的に説明しますと、
60年償還ルールとは、国債を1円でも発行すれば、60年間は永続的に国債発行残高は上昇し続け、60年目を迎えた時点で増加額が頭打ちになるルールだから

ということになります。

逆に言えば、国債を1円でも発行する限り、国債発行残高は増え続けなければおかしい、とも言えます。

で、「60年目を迎えた時点で増加額が頭打ちになる」と掲載しましたが、これは何も60年目を迎えれば、国債発行残高が1円も増えなくなるとか、そういうことを言っているわけではありません。60年目を迎えると、あとはその年に発行された新規国債の額がいくらなのか、ということに左右されることになりますよ、ということです。

といってもやはりわかりにくいかもしれませんね。実際にこのことを巡ってとあるSNS上で議論になりましたので、この内容をシェアしてみたいと思います。


60年償還ルールの基本的な考え方

重ねてご説明しますと、60年償還ルールとは、今年発行された新規国債を、60年間分割払いにすることを可能としたルールの事です。

事例としてわかりやすくするため、今年発行された新規国債が仮に30兆円であったとします。

今年(2017年)に30兆円の国債を発行した場合、2018年にはいったん全額返済し、29.5兆円分の「借換債」を発行します。つまり、0.5兆円だけ返済したことになります。

2019年にはまた更に0.5兆円のみを返済し、29兆円分の借換債を発行。2020年には28.5兆円、2021年には28兆円の借換債を発行し、60年経過すると全額返済されることになります。


では、仮に2年目も同額、つまり30兆円分の「新規国債」を発行したとするとどうでしょう。

実際には「新規発行国債」として最も多く発行されている国債は「長期国債」と呼ばれる10年物国債で発行されていますので、毎年10年物国債が30兆円ずつ発行され続けると考えます。

そうすると10年後にはこんな感じになります。


60年償還ルール①

10年間、1円も返済されないまま国債が発行され続けますから、1年目に発行さえた国債が償還期を迎える時には30兆円×10年分、つまり300兆円の「国債発行残高」が蓄積されることになります。

11年目を迎えますと、1年目に発行された国債は、本来であれば1年間に、30兆円の1/60である0.5兆円を返済する必要がありますが、これを返済しないまま10年間経過していますので、0.5兆円×10年分=5兆円を返済する必要があります。

60年償還ルール②

ですので、政府はいったん30兆円全額返済した後、25兆円の借換債を発行します。
11年目も30兆円分の新規国債は発行されていますから、300兆分の「国債発行残高」は蓄積されたまま。ここに、新たに25兆円分の「国債発行残高」が蓄積されることとなります。

借換債は償還期が1年の、いわゆる「短期証券」で発行される場合が多いですから、25兆円の「借換債」の償還期は仮に1年であると考えます。


60年償還ルールのマジック

では、12年目はどのようになるのでしょうか。面白いのはここからです。

12年目に発行される国債(A)は、

1.新規発行国債30兆円
2.2年目に発行された国債の借換債25兆円
3.1年目に発行された国債の借換債24.5兆円

の3つ。


12年目に返済される国債(B)は

1.2年目に発行された国債の償還額30兆円
2.1年目に発行された国債の償還額25兆円

の2つ。

です。数学が得意な人なんかは「なんでそんなに難しく考えるんだ!」という突込みが入りそうですが、あえてこのような考え方をします。

よく見ていただきたいのですが、発行される国債Aの1番と返済される国債Bの1番、そして発行される国債Aの2番と返済される国債Bの2番が同じ金額になっていますね?

つまり、A-1とB-1、A-2とB-2は全く同じ金額になりますから、お互いに相殺されてしまいます。

A-1+B-1=0円
A-2+B-2=0円

となるわけです。残ったのはA-3番。「1年目に発行された国債の借換債24.5兆円」のみです。
つまり、12年目に増えた国債発行残高は、1年目に発行された国債のための借換債として発行された24兆円分の国債だけだということになります。

13年目はどうでしょう?
13年目に発行される国債(A’)は、

1.新規発行国債30兆円
2.3年目に発行された国債の借換債25兆円
3.2年目に発行された国債の借換債24.5兆円
4.1年目に発行された国債の借換債24兆円

の4つ。


13年目に返済される国債(B’)は

1.3年目に発行された国債の償還額30兆円
2.2年目に発行された国債の償還額25兆円
3.1年目に発行された国債の償還額24.5兆円

の3つ。

13年目もやはり

 A'-1=B'-1
 A'-2=B'-2
 A'-3=B'-3

となっており、唯一A'-4、つまり「1年目に発行された国債の借換債」の金額だけが上積みされていることがわかりますね?


では、14年目はどうでしょう・・・・と、もう言うまでもないですね。

14年目もやはり1年目に発行された国債の借換債分である23.5兆円だけが上積みされることになります。
ということは・・・と私が述べるまでもありませんね。1年目に発行された国債が60年目を迎え、償還額0円となった時点で、「国債発行残高」が上積みされることはなくなります。

もっと言いますと、上積みされる金額そのものも、1年目に発行された国債の「残高」に依存するわけですから、1年目に発行された国債は毎年残高も毎年縮小している以上、その増加幅は毎年縮小することになります。


国債発行残高はいつまで増加し続けるのか?

SNS上で議論になった内容として、相手方が主張していたのは60年償還ルール初年度の新規国債発行額と今年度発行されている国債発行残高の「ギャップ」の話です。

現憲法下の日本において、初めて「国債」が発行されたのは今から53年前。昭和40年(1965年)の事です。
この時に発行された国債は1972億円でした。

今年発行される国債は、仮に補正で発行されなければ34兆3698億円になります。

実に34兆円を大幅に上回る「ギャップ」があるのです。

相手方が主張していたのは、これだけのギャップがあるのに、私の言う「60年目で償還額が頭打ちになる」という理屈はおかしいんじゃないか、という主張です。

これには2つの側面からの反論が存在します。


1.「国債」は単年度に全額返済されるわけではない。

これが、一つ目の反論です。

この記事のタイトルそのものがそうですが、そもそも「国債」は60年間で分割されて返済されます。

では、昭和40年に発行された1972億円の国債は、60年経過して、最後の償還期を迎えたとき、いったいいくらになっているのでしょうか。

1972億円÷60年=33億円
34兆3698億円÷60年=5728億円

いかがでしょう?

1972億円という初年度に発行された国債は、毎年33億円ずつ額は減らすものの、母体となる金額は60年間存在し続けています。

34兆3698億円という数字も一緒です。5728億円毎年その額を減らし続けるものの、その母体となる金額は60年存在し続けるのであり、60年経過する前に、ある日突然特別会計の会計帳簿上から消えてなくなるわけではありません。

そしてそれぞれの数字は、60年間経過すると1972億円は33億円に、34兆3698億円は5728億円にまでその額を減らしています。

一般の生活をしていれば、額が大きすぎてあまりイメージしにくいかもしれませんが、当初34兆円もギャップがあったはずの額も、60年経過すると5000億円を上回る程度の金額にまで縮小しているのです。

もっと言えば、昭和40年に発行された国債は、1年に33億円しかその額を減らしませんが、平成29年度に発行された国債は毎年5728億円ずつその額を減らし続けるのです。その影響はどちらが大きいのかは一目瞭然ですね。


国債発行額は、償還期が隣接する年度との間で相殺される

もう一度、「毎年30兆円の長期国債が新規で発行された続けた場合の13年目」の国債の発行及び償還状況を見てみます。
13年目に発行される国債(A’)は、

1.新規発行国債30兆円
2.3年目に発行された国債の借換債25兆円
3.2年目に発行された国債の借換債24.5兆円
4.1年目に発行された国債の借換債24兆円

の4つ。


13年目に返済される国債(B’)は

1.3年目に発行された国債の償還額30兆円
2.2年目に発行された国債の償還額25兆円
3.1年目に発行された国債の償還額24.5兆円

の3つ。

このケースでは、

 「1年目に発行された国債の償還額」と「2年目に発行された国債の借換債」

 「2年目に発行された国債の償還額」と「3年目に発行された国債の借換債」

そして

 「3年目に発行された国債の償還額」と「新規国債」

との間で金額がバランスしていることがわかります。

では、この「バランス」はどのような場合に崩れるのでしょうか?
答えは簡単です。

例えば「1年目に発行された国債」とバランスが取れているのは「2年目に発行された国債」ですから、1年目と2年目の間で発行額に相違があれば、これが「国債発行残高」全体に影響を与えることになります。

つまり、考えなければならないのは「昭和40年に発行された国債」と「平成29年度に発行された国債」との関係性ではなく、昭和40年であれば翌年の昭和41年、平成29年であれば前年の平成28年、または来年発行される国債とのバランスだということになります。


昭和40年と平成29年を比べてみると・・・

それでは改めて考えてみましょう。

昭和40年目に発行された国債が13年目を迎えた時

発行される国債(A)

1.昭和53年の新規国債10兆6740億円
2.昭和42年に発行された国債の借換債5793億円
3.昭和41年に発行された国債の借換債5325億円
4.昭和40年に発行された国債の借換債1545億円

返済される国債(B)は

1.昭和42年に発行された国債の償還額7094億円
2.昭和41年に発行された国債の償還額5436億円
3.昭和40年に発行された国債の償還額1578億円

昭和40年の国債を考えるとこんな感じです。それ以外の期間のものはまだ償還期を迎えていない、と考えますので必要な数字はこれだけです。

A-1とB-1、A-2とB-2、A-3とB-3が本来バランスべきポイントです。

A-1-B-1=9兆9646億円
A-2-B-2=357億円
A-3-B-3=3747億円

合計10兆3750億円

一方、今年の国債で考えると、
発行される国債(A)

1.平成29年の新規国債34兆3698億円
2.平成18年に発行された国債の借換債22兆4338億円
3.平成17年に発行された国債の借換債25兆152億円
4.平成16年に発行された国債の借換債27兆8005円

返済される国債(B)は

1.昭和18年に発行された国債の償還額27兆4707億円
2.昭和17年に発行された国債の償還額25兆5364億円
3.昭和16年に発行された国債の償還額28兆3920億円

となります。

A-1とB-1、A-2とB-2、A-3とB-3が本来バランスべきポイントとなりますので。

A-1-B-1=6兆8991億円
A-2-B-2=-3兆1026億円
A-3-B-3=-5915億円

合計3兆2020億円



いかがでしょうか。意外かもしれませんが、「国債発行残高への影響」だけで考えると、国債発行初年度である昭和40年以降13年間の影響よりも、最新年度である平成29年度より過去13年の影響の方が、より少ないことがわかります。

合計10兆3750億円 と 3兆2020億円

ですから、その差は歴然としています。

もちろん計算式自体がここまで単純ではありませんから、あくまでも一つの「例」として考えていただければと思います。


念のため、下となる数字は政府が公表しているデータを用いていますし、前提として、

「新規国債が必ず10年物国債で発行され、借換債が必ず1年物国債として発行された場合」

としています。新規債がすべて10年物で発行されるわけがありませんし、借換債も必ず1年物で発行されるわけはありませんから、このあたりも誤解なさらぬよう、お願いいたします。

このほか、一般会計において毎年「利息」だけは全額返済されていますので、このあたりも誤解なさらぬよう。


「国債が破綻しない理由」はこれ以外にもたくさんあります。ですが、60年償還ルール以外の「破綻しない理由」は、抽象的なものも多いので、破綻論者を一撃で黙らせるためには「数字」できちんと把握することのできる60年償還ルールが一番効果的だと私は思っています。

何が言いたいのかといいますと、私はここまで具体的に日本国債が破綻しない理由を説明できる人間である、ということです。ですが、そんな私でも「消費増税」が必要だと考えているわけです。

もちろんいつ増税するのかとか、増税する前にやることがあるだろうとか、そういったことはすべて踏まえた上で、です。

次回記事ではそんな私が考える「それでも消費増税を行わなければならない理由」。これを記事にしたいと思います。


この記事のカテゴリー >>アベノミクスを問う


さて。いよいよ行われましたね、衆議院解散会見。

【安倍首相、衆院解散を表明【記者会見ノーカット】/産経ニュース】
(※引用文は長文になります。ピックアップするポイントは後ほど掲載しますので、まずは読み飛ばしてください)


【安倍総理冒頭発言】
 5年前、国民の皆様のお力を得て政権を奪還しました。当時、私たちが公約に掲げた大胆な金融政策には大変な批判がありました。しかし、総選挙で勝利したからこそ実行に移すことができた。アベノミクス三本の矢を放つことで日本経済の停滞を打破し、マイナスからプラス成長へと大きく転換することができました。

 今、日本経済は11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長。内需主導の力強い経済成長が実現しています。雇用は200万人近く増加し、この春、大学を卒業した皆さんの就職率は過去最高です。この2年間で正規雇用は79万人増え、正社員の有効求人倍率は調査開始以来、初めて1倍を超えました。正社員になりたい人がいれば、必ず1つ以上の正社員の仕事がある。

 この5年近く、アベノミクス改革の矢を放ち続け、ようやくここまで来ることができました。今こそ最大の壁にチャレンジするときです。

 急速に少子高齢化が進むこの国が、これからも本当に成長していけるのか。この漠然とした不安にしっかりと答えを出してまいります。それは、生産性革命、そして人づくり革命であります。この2つの大改革はアベノミクス最大の勝負です。国民の皆様の支持を頂き、新しい経済政策パッケージを年内に取りまとめる考えであります。

 4年連続の賃金アップの流れを更に力強く、持続的なものとする。そのためには生産性を高めていくことが必要です。ロボット、IoT、人工知能、生産性を劇的に押し上げる最先端のイノベーションが今、世界を一変させようとしています。この生産性革命を我が国がリードすることこそ、次なる成長戦略の最大の柱であります。2020年度までの3年間を生産性革命集中投資期間と位置づけ、中小・小規模事業も含め、企業による設備や人材への投資を力強く促します。大胆な税制、予算、規制改革。生産性革命の実現に向かってあらゆる施策を総動員してまいります。

 生産性を押し上げ、今年より来年、来年より再来年と、皆さんの所得を大きく増やしていく。デフレ脱却へのスピードを最大限まで加速してまいります。

 もう1つの最大の柱は人づくり革命です。子供たちには無限の可能性が眠っています。どんなに貧しい家庭に育っても、意欲さえあれば専修学校、大学に進学できる社会へと改革する。所得が低い家庭の子供たち、真に必要な子供たちに限って高等教育の無償化を必ず実現する決意です。授業料の減免措置の拡充と併せ、必要な生活費を全て賄えるよう、今月から始まった給付型奨学金の支給額を大幅に増やします。

 幾つになっても、誰にでも学び直しと新しいチャレンジの機会を確保する。人生100年時代を見据え、その鍵であるリカレント教育を抜本的に拡充します。こうしたニーズに応えられるよう、大学改革も強力に進めていかなければなりません。

 幼児教育の無償化も一気に進めます。2020年度までに3~5歳まで、全ての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化します。0~2歳児も、所得の低い世帯では全面的に無償化します。待機児童解消を目指す安倍内閣の決意は揺らぎません。本年6月に策定した子育て安心プランを前倒しし、2020年度までに32万人分の受皿整備を進めます。

 2020年代初頭までに、50万人分の介護の受皿を整備する。最大の課題は、介護人材の確保です。これまで自公政権で月額4万7,000円の改善を実現してきましたが、他の産業との賃金格差をなくしていくため、さらなる処遇改善を進めます。

 子育て、介護。現役世代が直面するこの2つの大きな不安の解消に大胆に政策資源を投入することで、我が国の社会保障制度を全世代型へと大きく転換します。急速に少子高齢化が進む中、国民の皆様の支持を得て、今、実行しなければならない、そう決意しました。2兆円規模の新たな政策を実施することで、この大改革を成し遂げてまいります。

 しかし、そのつけを未来の世代に回すようなことがあってはならない。人づくり革命を力強く進めていくためには、その安定財源として、再来年10月に予定される消費税率10%への引上げによる財源を活用しなければならないと、私は判断いたしました。2%の引上げにより5兆円強の税収となります。現在の予定では、この税収の5分の1だけを社会保障の充実に使い、残りの5分の4である4兆円余りは借金の返済に使うこととなっています。この考え方は、消費税を5%から10%へと引き上げる際の前提であり、国民の皆様にお約束していたことであります。この消費税の使い道を私は思い切って変えたい。子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当し、あわせて財政再建も確実に実現する。そうした道を追求してまいります。増税分を借金の返済ばかりでなく、少子化対策などの歳出により多く回すことで、3年前の8%に引き上げたときのような景気への悪影響も軽減できます。

 他方で、2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成は、困難となります。しかし、安倍政権は財政再建の旗を降ろすことはありません。プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標自体はしっかりと堅持します。引き続き、歳出・歳入両面からの改革を続け、今後達成に向けた具体的な計画を策定いたします。

 少子高齢化という最大の課題を克服するため、我が国の経済社会システムの大改革に挑戦する。私はそう決断いたしました。そして、子育て世代への投資を拡充するため、これまでお約束していた消費税の使い道を見直すことを、本日、決断しました。国民の皆様とのお約束を変更し、国民生活に関わる重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わねばならない。そう決心いたしました。28日に、衆議院を解散いたします。

 国民の皆様は、北朝鮮の度重なる挑発に対して、大きな不安を持っておられることと思います。政府として、いついかなるときであろうとも危機管理に全力を尽くし、国民の生命と財産を守り抜く。もとより当然のことであります。

 他方、民主主義の原点である選挙が、北朝鮮の脅かしによって左右されるようなことがあってはなりません。むしろ私は、こういう時期にこそ選挙を行うことによって、この北朝鮮問題への対応について国民の皆さんに問いたいと思います。

 我が国を飛び越える弾道ミサイルの相次ぐ発射、核実験の強行、北朝鮮による挑発はどんどんエスカレートし、その脅威は正に現実のものとなっています。こうした中で、私は、国際社会の連帯をより強固なものとするため、米国、韓国はもちろんのこと、中国、ロシア、インド、欧州、中東、アジアの首脳たちと対話や協議を重ねてきました。そして先般、国連安保理が原油や石油製品の輸出制限を含む厳格な制裁措置を全会一致で決定しました。まず、これを完全に履行する。さらに、北朝鮮がその政策を変更しないのであれば、国際社会と共に一層圧力を強化してまいります。

 北朝鮮には勤勉な労働力があり、資源も豊富です。北朝鮮が正しい道を歩めば、経済を飛躍的に伸ばすこともできる。しかし、拉致、核・ミサイル問題の解決なくして、北朝鮮に明るい未来などあり得ません。北朝鮮にその政策を変えさせなければならない。そのための圧力であります。

 圧力の強化は北朝鮮を暴発させる危険があり、方針転換して対話をすべきではないかという意見もあります。世界中の誰も紛争などを望んではいません。しかし、ただ対話のための対話には、意味はありません。

 この20年間、我が国を始め国際社会は六者協議など対話による平和的解決の努力を重ねてきました。その中で北朝鮮は2度にわたり、核・ミサイルの放棄を約束しましたが、結果としてそれらはことごとく裏切られ、核・ミサイル開発が継続されていた。

 対話の努力は時間稼ぎに利用されました。北朝鮮に全ての核、弾道ミサイル計画を完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法で放棄させなければならない。そのことを北朝鮮が受け入れない限り、今後ともあらゆる手段による圧力を最大限まで高めていく他に道はない。私はそう確信しています。

 そして、拉致問題の解決に向けて、国際社会でリーダーシップを発揮し、全力を尽くしてまいります。

 北朝鮮が意図的に緊張をあおっている今だからこそ、私たちはぶれてはならない。北朝鮮の脅かしに屈するようなことがあってはなりません。私はこの選挙で国民の皆さんから信任を得て、力強い外交を進めていく。北朝鮮に対して、国際社会と共に毅然(きぜん)とした対応を取る考えであります。

 さきの国会では、森友学園への国有地売却の件、加計学園による獣医学部の新設などが議論となり、国民の皆様から大きな不信を招きました。私自身、閉会中審査に出席するなど、丁寧に説明する努力を重ねてまいりました。今後ともその考えに変わりはありません。

 この選挙戦でも、野党の皆さんの批判はここに集中するかもしれない。こうした中での選挙は厳しい、本当に厳しい選挙となる。そのことはもとより覚悟しています。しかし、国民の信任なくして国論を二分するような大改革を前に進めていくことはできない。我が国の国益を守るため、毅然とした外交を推し進めることはできません。国民の皆様の信任を得て、この国を守り抜く決意であります。

 少子高齢化、緊迫する北朝鮮情勢、正に国難とも呼ぶべき事態に強いリーダーシップを発揮する。自らが先頭に立って国難に立ち向かっていく。これがトップである私の責任であり、総理大臣としての私の使命であります。苦しい選挙戦になろうとも、国民の皆様と共にこの国難を乗り越えるため、どうしても今、国民の声を聞かなければならない。そう判断いたしました。

 この解散は、国難突破解散であります。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。北朝鮮の脅威に対して、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を、私は全身全霊を傾け、国民の皆様と共に突破していく決意であります。

 私からは以上であります。

ポイントとなるのは

1.2019年10月に引き上げられる消費増税分を、当初の予定より変更し、増税分を借金の返済ばかりでなく、少子化対策などの歳出により多く回す。

2.北朝鮮問題への対応について。

この2つでしょうか。

1番の項目の記し方については、いろいろな表現方法があるでしょうが、私としてはあえてこのような表現方法を選択してみました。

私として影響が大きいのは良い意味でも悪い意味でも「消費税」の問題だと考えています。

8%に増税した段階で、これまで安倍内閣を支持していた多くの人が、この「消費増税」というシングルイシューを理由に掌を返したことが私の中では非常に大きな記憶に残っています。私の信頼する麻生さんの評価が一転し、世間一般でが大きく下落したのもこの時でした。

ですが、少なくともこの会見の中で、安倍さんは消費増税が行われることを「前提条件」として話をしています。

私としてはこちらのシリーズ↓
日本の税収の見方

においてずっと「消費増税」を肯定する立場から記事を作り続けてきました。もともと「消費増税の味方」というタイトルをこのカテゴリーには付けていました。

ですから、同シリーズでずっと過去の記事をさかのぼっていただくと、私が「増税後の消費税収予測」で大敗北したことを含めた記事を見ることができます。

ですが、少なくとも「ネット民」の中の安倍内閣支持者の多くは消費増税に反対する立場の方が多いため、この選択肢を巡ってひょっとすると自民党の得票数に影響を及ぼすことになるかもしれません。

ただ、私としても、8%のまま据え置いた方がいい、凍結すべきだとする立場の人たちの意見も理解できないわけではありません。

第27回の記事 でお示ししましたように、日本国では「60年償還ルール」というルールに基づいて財政運営が行われている限り、「財政」が破綻することはまずありません。

このルールに基づけば、国債発行額残高は60年間は増え続けなければおかしいルールとなっており、、60年経過すればその増加はストップし、後は横ばいになる仕組みがこの60年償還ルールです。

最終的には日本国政府の55%株主である日銀に全額国債を市場から買い取らせて、日本国政府と日銀の会計処理を連結させれば、一瞬で日本国債の発行残高など0円になってしまいます。

ですから、例えば今回テーマとして挙がっている「少子化対策」にしても、国債を発行して対応すれば簡単に対処できてしまいます。

ですが、それでも社会保障に関しては「国債」で対応すべきではない、とするのが私の考え方です。既に過去の記事でこの理由は述べていますが、後日改めてこのことは記事にしてみます。

安倍首相会見


安倍内閣における「消費税」の使途は本当に変更されるのか?

さて。今回記事を作成した目的は、実はここにあるわけではありません。

まず見ていただきたいのはこちらの二つの画像。

消費税予算表

消費税財源グラフ

上図の内容を転載してみます。
〈28年度消費税増収分の内訳 〉
《増収額計:8.2兆円》
1.基礎年金国庫負担割合2分の1 3.1兆円
(平成24年度・25年度の基礎年金国庫負担割合2分の1の差額に係る費用を含む)

2.社会保障の充実 1.35兆円
・子ども・子育て支援の充実
・医療・介護の充実
・年金制度の改善

3.消費税率引上げに伴う社会保障4経費の増 0.37兆円
・診療報酬、介護報酬、年金、子育て支援等についての物価上昇に伴う増

4.後代への負担のつけ回しの軽減 3.4兆円
・高齢化等に伴う自然増を含む安定財源が確保できていない既存の社会保障費

このデータがどこに掲載されているのかというと、実は内閣府の公表している、平成28年度予算案における 子ども・子育て支援新制度の状況について」という資料に掲載されています。

「28年度消費税増収分の内訳」とは記されていますが、要は平成26年(2014年)に増税された後に増えた消費税収を8.2兆円と見積り、この金額をこのような用途で利用しますよ、いう内容が掲載された内容です。

あえてそれぞれの項目に番号を振ってみました。

下側のグラフは、左側が8%増税時の予算内訳。右側が10%増税時の内訳です。グラフで水色の部分は1番、「基礎年金国庫負担分」が麻生内閣において1/3から1/2に引き上げられたことに伴って増加する国庫負担分。

赤が2番、「社会保障の充実」となっており、この部分が増税前にはなかった予算となります。

黄色は3番で、増税に伴う社会保障サービスの物価上昇に充てられる金額。

緑は「高齢化等に伴う自然増を含む安定財源が確保できていない既存の社会保障費」とされています。

1番は8%時 3.1兆円→10%時 3.2兆円
2番は8%時 1.35兆円→10%時 2.8兆円
3番は8%時 0.37兆円→10%時 0.8兆円
4番は8%時 3.4兆円→10%時 7.3兆円

となっていますね。では、もう一度安倍首相の会見を振り返ってみましょう。
再来年10月に予定される消費税率10%への引上げによる財源を活用しなければならないと、私は判断いたしました。

2%の引上げにより5兆円強の税収となります。

現在の予定では、この税収の5分の1だけを社会保障の充実に使い、残りの5分の4である4兆円余りは借金の返済に使うこととなっています。

この考え方は、消費税を5%から10%へと引き上げる際の前提であり、国民の皆様にお約束していたことであります。この消費税の使い道を私は思い切って変えたい。

さて。わかりますでしょうか。安倍さんは「2%の引上げにより5兆円強の税収」となると発言し、

「この税収の5分の1だけを社会保障の充実に使い、残りの5分の4である4兆円余りは借金の返済に使うこととなっています」

と発言していますね。「借金の返済」=「国債の返済」です。
ですが、どうでしょう。先ほどの資料を見る限り、どこにも消費増税分が「国債の返済に充てられる」などと記されていませんね?

4番に「後代への負担のつけ回しの軽減」と記されており、これが一見すると国債の返済に充てられるように思われるのですが、ここには「高齢化等に伴う自然増を含む安定財源が確保できていない既存の社会保障費」としか記されていません。

そう。「消費税収」は元々「国債の返済」になど充てられることにはなっていないのです。

つまり、これは完全な「フェイクニュース」だということです。安倍さんが会見で言っているのは、

「消費税は増税したとしても、これまでと同じ用途にしか利用しません。ですが、増えた税収のうち、2番の財源に割り当てる金額を増やします」

と言っているのです。割り当てられることによって減らされるのは4番。

 「後代への負担のつけ回しの軽減」

に用いられるとされている部分です。私なりに言い換えますと、

「高齢化に伴って不足する財源が7.3兆円になると考えられていたのですが、実はそこまでは不足しないことが明らかになりました。ですからその余剰財源を子育て拡充に充当します」

と安倍さんは言っているわけです。私なりの意訳ですが、おそらく間違ってはいないでしょう。

元々国債の返済に充てる額など消費増税分には含まれていないわけですから、当然このことによって「プライマリーバランス」が影響を受けることなどありません。

さて。それでは以下のニュースを見てみてください。

【東京 26日 ロイター】
PB目標「困難は確か」と麻生財務相、達成時期2─3年先送り示唆

麻生太郎

麻生太郎財務相は26日の閣議後会見で、2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化目標の達成が困難になったことを認めた上で、達成時期を見直す考えを表明した。黒字化目標そのものは堅持するが、達成時期を22年度や23年度などに先送りする選択肢も示した。

麻生財務相は、消費税率を10%に引き上げた際の増収分の使い道を変更する安倍晋三首相の方針に関し、「福祉や教育は抜本的につくりかえる必要がある」と述べ、借金返済に充てる予定の財源を政策原資に活用する考えに同調した。

2012年の3党合意では、消費増収分のうち、社会保障の充実と借金返済に回す割合を1対4にすることが決まっていた。麻生財務相は配分比率について「2対3とか、そのくらいまでしていかないといけない」と指摘した。

一方、財政健全化の取り組みが後退するのは決定的となる。政府は20年度のPB黒字化目標を掲げるが、麻生財務相は「なかなか(達成が)出来にくくなった」とした上で「2022年とか23年など、そういったものを作り上げないといけない」と達成時期の先送りを示唆した。

安倍首相は25日の記者会見で、「生産性革命」の実現に向けた税制の活用に言及した。麻生財務相は、企業の内部留保が400兆円超ある現状を踏まえ「それを積極的に使ってくれている企業を優遇するなど、いろんな考え方がある」との見方を示した。
ええ。明らかにこれも「フェイクニュース」だと私は思います。

麻生は、本当に「役者」だと思います。分かっているんですね。増税をずっと主張し続けてきていたのは誰でしたか?

そう。麻生さんです。

PB目標(財政歳入出バランス)にずっと言及し続けていたのは誰でしたか?

そう。麻生さんです。麻生さんは、このことでプライマリーバランス目標達成のために財政支出を抑えなければならない状況に歯止めをかけたんですね。5兆円の税収分をどのくらいの割合で子育て政策に回すのかはわかりませんが、その金額がそっくりそのまま「財政出動」に、しかも永続的に充てられ続けられることを確定させてしまったわけです。

60年償還ルールでは年間に発行しなければならない借換債の発行額はあらかじめ決められているわけですが、現時点でもすでにこの金額を前倒しで返済されるケースも出てきているようです。

どこからその財源が生れているのか。それは当然増えた税収分です。

後半の北朝鮮に関するスピーチは安倍さんの本心がひしひしと感じられますが、経済に関する部分には麻生さんのにおいがプンプンと漂ってきますね。

私としては実に「見事な」会見だったと思っています。

次回記事では改めて「それでも消費増税を行わなければならない理由」について、改めて記事にしてみたいと思います。


この記事のカテゴリー >>アベノミクスを問う


本日(2017年9月18日)の記事は、先日より報道されている安倍首相の衆議院解散決断のニュースを受けての記事になります。

ソースはこちらから。

【産経ニュースより 2017.9.17 07:01】
安倍晋三首相、衆院解散を決断 10・29衆院選が有力
北朝鮮情勢の緊迫化で方針転換 「安保法制の意義問い直す」 創価学会も緊急幹部会


安倍首相(解散報道)

安倍晋三首相は、28日の臨時国会召集から数日以内に衆院を解散する方針を固めた。

11月上旬にトランプ米大統領の来日が予定されていることから、衆院選は10月17日公示-10月29日投開票が有力だが、10月10日公示-10月22日投開票となる可能性もある。

首相は今月18~22日に訪米するため、帰国後に政府・与党で最終調整する構え。

記事事態にもっと詳細も記されているのですが、大切なのはこの部分のみかな、と思いますので、残る詳細はリンク先にてご確認ください。

野党第二党である民進党のゴタゴタ、前原氏が新党首に選ばれたことから、共産党との連携に軋轢が生れた事。
世間で話題になっている都民ファーストの全国版の準備が整っていないこと。私個人的にいえば民進を離脱した面々と若狭氏との連携が報道されていることから、その信頼性に疑惑が生れつつあること。

そして北朝鮮に関する問題を抱え、解散を来年の満期まで見送ると今以上に重大な状況における政治的空白を生みかねないことなど、戦略的な問題と国内外が抱える問題の両方の側面から安倍さんは解散を視野に入れ始めたわけです。

まだはっきりと安倍さん自身が解散を決断したわけではありませんから解散が確定したわけではありませんが、現在の報道内容より、これはほぼ間違いのではないかと考えられます。


改めて問う森友加計問題

さて。ここに至って私の記事のタイトルは「改めて問う森友加計問題」と銘打っています。

私の記事にたどり着いて、かつ信頼していただいていると思える皆さんの考え方からすれば、「もっと大切なことがあるだろう!」とおっしゃりたい方もいらっしゃるかもしれませんが、私がこのタイトルを選んだ理由は明確です。

この森友加計問題を今回の総選挙において「論点にすべきではない」と考えているからです。

もっと言えば、今回の記事内容は、「森友加計問題を総選挙において論点とすべきではない理由」を記すこととなります。

というのも、これらの問題は既に「結果」が出ています。


森友問題の真相

森友学園

森友問題の真相に関しては、 第345回の記事において既に私が検証し、結果を出している通りで、

1.森友に売却した土地は元々土壌にヒ素などの危険物質が含まれる「特別危険地域」であった。

2.この地域から危険性を取り除き、危険物等を撤去するための総額は、もともと森友が要望していた金額の10倍近くかかること

3.算定されており、土壌工事そのものは必要最低限にとどめた。

4.当初の工事にかかった費用は1億3200万円であり、これが森友に売却する時点での土地評価額の基準となった。

5.ところが、実際に売買交渉に入る段階になって、土地の地下より、「新たなるごみ」が発見された。

6.森友側は、新たなるごみが発見されたことを理由に、当初の土地評価額1億3200万円よりも更に値引きすることを要求してきた。

7.財務局側は新たなるごみ撤去にかかる費用を8億4000万円と査定し、撤去後の売却費用として1億3200万円に8億4000万円を上乗せした9億6000万円になることを森友側に伝えた。

8.更にこのごみ撤去は「森友側で行ってもらっても構わないし、その時の撤去額がいくらになろうとも政府側は何も文句は言わない」と伝えた。

9.結果、国は1億3400万円で森友側に売却し、さらにこの後新たなるごみが発見されたとしても、開学が遅れ、森友側に損害が発生したとしても、国側は一切責任を負わない「瑕疵担保責任免責特約」をつけさせた。

10.森友は8億4000万円分のごみを撤去しないまま工事を進め、開学に向けての準備を始めた。

これが「森友問題」のすべてです。どこにも政府側の「瑕疵」など見当たりませんね?


加計問題の真相

加計学園獣医学部

この問題は、実は当初、いわゆる「石破4条件」を加計学園が満たしていないのではないか、とする「疑惑」からスタートしています。

【石破4条件】
①現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化

②ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになること

③既存の大学・学部では対応が困難な場合

④近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討

というのも、

 そもそもこの石破4条件のうち③は、獣医学会側からの要望で、「どんな大学が要望してきたとしても、獣医学部の新設を絶対に認めさせないため」の条件としてねじ込まれたはずの条件

であったからです。

このことは、第333回の記事 で私が記している通りで、すべて獣医学会のホームページに詳細に記されています。

そして、第331回の記事 でも掲載しましたように、その後

 文科省内にいた前川元文科省事務次官の所より、次々に「今治市が国家戦略特区に認定された後の文科省と内閣府の間でやり取りされた内容をまとめたメモ書き」

が出てきます。

そしてその内容を元に

 加計学園認定の過程において「総理のご意向があったのではないか」とする議論

が巻き起こっていきました。

ですが、

 これらの内容はすべて今治市が国家戦略特区に認定された後にやり取りされた内容であり、今治市が認定される過程におけるやり取りを示したものではない

こと。そして国家戦略特区構想の特徴として、

「申請主体(今治市)が国家戦略特区構想の条件を満たしているのかどうかを証明するのは申請主体側ではなく、申請された側にある」

ということが閣議決定されていることが前川氏や加戸前愛媛県知事などを招致して行われた「閉会中審査」において次々と明らかにされていきます。

ですから、「石破4条件」に関してもこれ今治市がこれに適合していないというのであれば、いないという証拠を申請された側である「文科省」が行わなければならないことになるわけです。

文科省はその立証責任が文科省ではなく内閣府にあるとしてこの立証責任を果たさず、内閣府からの再三の要請にも応じなかったため、結果として今治市は獣医学部新設特区として認定

されることになりました。

つまり、政府側には何ら瑕疵は存在せず、安倍首相から「お友達」である加計学園理事長に対して何一つ「働きかけ」を行うことができるプロセスが存在しないことが証明されていくわけです。


「政府」から「今治市」へ

このころから、姿を見せるようになるのが今治市大三島で農業経営者だと自称しているとある青年です。

彼は「今治加計獣医学部問題を考える会」の共同代表を務める人物で、今回の加計問題に関する一連の情報を民主党側や自由党に流していた人物です。

政府側で加計学園の疑惑を追及することが難しくなると、疑惑追及の舞台は政府から今治市へとシフトします。

この時、一番大きな問題とされたのが次のニュース。

【週刊朝日(AERA)2017.6.19 20:04より】
今治市がたった一日で即決した96億の補助金 安倍首相が会見でスルーした加計疑惑が再燃

 大学設置認可申請書の締切日にあたる今年3月31日、加計学園が今治市に対し、96億円の補助金申請をし、菅良二・同市長はなんと即日に交付を決定。

 加計学園に対し、通知していたことを示す、公文書を筆者は入手した。

 地元では「96億円は市の歳出の12%に相当するのにずさん過ぎる。あまりに露骨だ」と非難の声が上がっている。

 獣医学部の建設予定地約16.8ヘクタール(評価額36億7500万円)は、今治市から加計学園へ無償譲渡されることが決まっているが、さらに県と市から補助金として大学校舎、施設整備費など192億円の半額、96億円を出すことが決定。

 筆者が入手した<今治市大学立地事業費補助金交付決定通知書>という文書によると、加計学園の加計晃太郎理事長名義で<申請書>が出されたのは、3月31日。そして今治市が<交付決定通知書>を出したのも3月31日。申請にかかる書類が起案されたのも、3月31日だ。

ここで筆者とされるのは、AERAの記者である今西憲之という人物です。

「筆者が入手した」としていますが、実際にこの文書を入手したのは「今治加計獣医学部問題を考える会」の共同代表であるK氏。まあ、すでに名前は知れ渡っていますから、私が伏字にする必要もないでしょうけどね。

彼がこのAERAの記者に渡した・・・というよりネット上で共有した資料です。

抜粋しますと、
「96億円は市の歳出の12%に相当するのにずさん過ぎる。あまりに露骨だ」と非難の声が上がっている。

 獣医学部の建設予定地約16.8ヘクタール(評価額36億7500万円)は、今治市から加計学園へ無償譲渡されることが決まっているが、さらに県と市から補助金として大学校舎、施設整備費など192億円の半額、96億円を出すことが決定。

この部分です。

決定されたスピードがどうだったのか、という問題は置いておくとして、問題としたいのは金額の部分。総額192億円のうち、その半分を今治市と愛媛県が出すことが決定したんですよ、という部分です。


今治市が決定した92億円という補助金の金額は適正だったのか?

この当時議論になっていたのはこの部分です。

特に、千葉県銚子市の千葉科学大学(加計学園系列)において、銚子市がほぼ同額の拠出を行い、結果として銚子市が300億円近い負債を背負うことになった・・・とする事例をあげ、加計学園も同様の道を歩むのではないか、とする論調を所謂「反対派」は用いていました。

私は千葉科学大学の事など調査したこともありませんから、この情報そのものの信ぴょう性も全く把握していませんので、銚子市の事例について言及することは致しませんが、こういった文章を読むと、あたかも今治市が借金をして96億円を捻出し、加計学園側に渡したかのような印象を受けるわけです。


加計学園補助金の「財源」

それでは今治市が加計学園のために捻出したこの「補助金」の「財源」は一体どこから出てきたのでしょうか?

市町村の財政の事ですから、国の財政を調べるほど簡単にはいきません・・・と思っていたのですが、やはり情報通はいるものですね。今回は以下のツイートを参考にしました。

omochikun‏  氏のツイート】
1975年【今治市】
大学誘致を目指す「学園都市構想」を決定
1983年【今治市】
建設予定地を土地造成
1983年〜【今治市】
高等教育施設を誘致する目的で、合併振興基金として40億円を積み立て
2006年頃【今治市】
獣医学部の誘致を始める

コピペ等を使われたのかと思われ、若干誤っている部分はありますが、内容としてはなるほどな、と思わされた内容です。
ポイントとなるのは

「1983年〜【今治市】 高等教育施設を誘致する目的で、合併振興基金として40億円を積み立て」

という部分。このうち、1983年~の部分は、おそらく上の項目である「1983年【今治市】 建設予定地を土地造成」という部分から「1983年【今治市】」という部分をコピペして再利用し、修正し忘れたのではないか、と思われまして、実は年代としては誤りがあるわけですが、ポイントとなるのは実はこの内容です。

ここに、「合併振興基金」という言葉がありますね?この言葉を調べてみますと、今回の「加計問題」の「財源」の全容が見えてきました。


「合併振興基金」という財源

合併振興基金」というのは、1995年以降、特に「2005〜06年」。小泉内閣時代に行われた、いわゆる「平成の大合併」に関連した基金です。

今治市でも「平成の大合併」の際に他の11の町村との間で合併が行われており、12市町村が合併されたのが平成17年(2005年)1月の事。

この時、「平成の大合併による新市町村建設計画の事業費として特例的に起債できる地方債」である「合併特例債」が発行されました。

もちろん「特例債」といっても立派な地方債=借金ですから、当然今治市は貸主に対して返済していく必要があります。
ですが、この「合併特例債」。実は特別なルールが設定されていまして、

 発行そのものは今治市側で行うわけですが、その償還にあたって、その70%を政府が今治市に代わって支払う

というもの。

 ・今治市はこの時発行された40億円の「合併特例債」を積み立てて、
 ・「高等教育施設の誘致を目的」とした「合併振興基金」を創設


しました。2005年の事です。

このうちの70%を政府が負担するわけですから、実質的な今治市の負担分はこのうち12億円。しかも基金として積み立てられていたわけですから、今治市一般会計の簿外で管理されていたわけです。

しかも

 「高等教育施設の誘致を目的」

として。
そして

 この40億円を「財源」として加計学園の誘致は決定

されました。

総額96億円ですから、40億円では足りないじゃないか、という人もいるかと思います。
ですが、この96億円の内1/3である32億円は愛媛県が負担しますので、実際に今治市側が拠出するのはこのうちの64億円分。

そしてこの64億円のうち40億円が合併特例基金より拠出されるわけです。

ですので、今治市一般会計の中から拠出されるのはこのうち24億円

これが10年間に分割されて加計学園に対して拠出されることになります。

ですから、1年あたりの拠出金額は2億4千万円ですね。

そしてこの金額に加えて

 1975年に起草された「学園都市構想」に基づいて、1983年に学園建設のために造成された土地

が加計学園に譲渡されたわけです。


この経緯をどう感じるか。それでもやっぱり96億円という拠出金額は大きいと感じるのか、それは読者の判断に一任する部分です。私は今治市に居住する人間ではありませんから、このことに対して云々できる立場にはありません。

最終的な判断もやはり今治市の方が行うべき部分です。

現在反対派の連中はこの96億円が「適正ではなかった」ことにするため、「不正な方法でK氏が入手した加計学園設計書の初期図面」を元に必死に「デマ」をばらまいています。

例えばこの初期図面では「ワインセラー」が設置されることが掲載されていることから、「獣医学部にワインセラーが設置されるのはおかしい」ということが一時話題になりましたが、実際にはこのワインセラーは30万円程度の「冷蔵庫」に相当するサイズのものであったことが明らかになっていますし、最新の図面では設置そのものが見送られていることも明らかになっています。

また、K氏の試算により、加計学園獣医学部の坪単価が150万円であるとされ、他の事例と比較して「高すぎる」との情報も話題となりましたが、これに対しては加計学園自身が、以下のような回答を行っています。

加計学園坪単価FAX

加計学園の回答によると、K氏の試算では、本来坪単価に含まれないはずの「外構工事費」や「設計管理料」なども含まれているため、実際の坪単価より高くなっていることが指摘されています。「外構」つまり、大学の建物の外にある構造物の事ですね。

また、同じFAX資料において、「P3実験室」の事が記されています。

「P3実験室」とは、「病原体」等の研究を行うための施設で、K氏らはこの施設の気密性が問題であるとし、「簡単に病原体が室外に漏れ出す構造になっており、非常に危険である」としました。

この「P3実験室」の件で象徴的なものは、「陰圧構造」という問題です。

「陰圧構造」と聞くと非常に難しく感じられるかもしれませんが、部屋の中の気圧を部屋の外よりも低くするための構造、と考えていただくとわかりやすいと思います。

空気は気圧の高いところから低いところに流れていきますから、部屋の中の気圧が外よりも低くなっていれば、病原体が室外に流出する危険性は抑えられます。

ところが、K氏は加計学園獣医学部の資料には、この「陰圧構造に関する記述が記されていない」というデマをばらまきました。

K氏とズブズブの関係にある日刊ゲンダイでは、以下のような記事を掲載しています。

【日刊ゲンダイ 2017年8月23日】
加計獣医学部図面から浮上 バイオハザード施設に重大欠陥

 加計学園が愛媛・今治市に建設中の岡山理科大獣医学部。日刊ゲンダイは先週、計52枚に及ぶキャンパスの建築図面を入手した。獣医学部棟最上階の7階大会議室は、ワインセラーやビールディスペンサーを完備した配膳室の真横。さながら“パーティー会場”だが、問題はそれだけではない。図面から浮かび上がるのは、「世界に冠たる先端ライフサイエンス研究」を行う施設としての重大欠陥だ――。

 加計学園が獣医学部新設の目玉としているのが、バイオセーフティーレベル3(BSL3)の研究施設だ。狂犬病や結核菌、鳥インフルエンザなど、人体に感染したら重篤化の恐れのある病原体を扱う実験室で、WHOの指針によると、<実験室は、建物内の交通が制約されていない区域と切り離されなければならない>と定められている。

 つまり、自由に人が行き来できる場所から遮断する必要があるのだが、今治キャンパスの獣医学部棟に設置されるBSL3施設は、研究エリアやディスカッションスペースのすぐ横に造られる予定だ。WHOの指針を完全に逸脱している。

 万が一の感染リスクについて専門家はどう評価するのか。元国立感染症研究所主任研究員の新井秀雄氏は「病原体を取り扱う以上、人為的ミスや機器の故障などによる実験室内の感染発生の確率はゼロとは言えません」と指摘した上でこう続ける。

「いざという時の処置として、他の人に感染が波及しないように設計上の配慮が求められます。しかし図面を見る限り、学生や教職員が行き来する同一フロア内に、BSL3施設が置かれ、管理区域として区別されていません。実験室感染の対応設備として緊急シャワーが設置されていますが、実験室の前室内ではなく、学生が自由に行き来できるオープンスペースの一角に位置している。これは理解不能です。設計図だけを見ても、感染拡大が懸念されます」

■「1週間で感染者が出る」

 通常ならば、実験室内部は病原体の外部飛散を防ぐために「陰圧構造」になっているが、それも確認できないという。

「感染症の研究を知らない人が設計に携わったような印象を受けます」(新井秀雄氏)

 専門家が見れば一目瞭然。シロート同然の設計なのだ。こんな欠陥施設のために評価額36億円の広大な土地を無償で払い下げ、さらに最大96億円という破格の補助金まで支払われるのだ。締めて、約133億円――。おまけに獣医学部内の事故によってパンデミックが起こっても何ら不思議ではないのだから、害悪施設を税金で建てるようなものだ。

「図面を見た国立研究所の安全管理専門委員のひとりは、このまま研究を始めたら『1週間で感染者が出る』と指摘しています。加えて、実験室の吸気や排気がどうなっているのか分からず、配管設備も不明のまま。病原体に触れた廃棄物がきちんと処理されるのか不安です」(「今治加計獣医学部問題を考える会」共同代表の黒川敦彦氏)

 本当に獣医学部を新設したいのなら、学園側のトップである加計孝太郎理事長は市民に対して、感染リスクの予防についてきちんと説明する必要がある。

 それをせずに逃げていては、先端ライフサイエンス研究なんて“夢のまた夢”だ。

対象となる部分にはアンダーラインを引いています。抜粋します。
 通常ならば、実験室内部は病原体の外部飛散を防ぐために「陰圧構造」になっているが、それも確認できないという。

「感染症の研究を知らない人が設計に携わったような印象を受けます」(新井秀雄氏)

ですが、これは完全な「デマ」。

以下の引用元はあくまで素人の方が作成したブログですので、「信ぴょう性が薄いのではないか」といわれるかもしれませんが、掲載されている資料は「本物」ですから、ここに対して異論をはさむ余地はないと思います。

以下略ちゃんの逆襲 ツイッターGOGOよりの資料引用

加計学園実験室

2加計学園実験

上図面に「室圧ダンバー制御フロー系統図」と記されています。要は、この図面がP3実験室の室圧に関して記された図面だということです。

そして、下図面に赤丸で囲った部分で「+10Pa」「-20Pa」「-50Pa」と記されていますね?
プラスであれば「陽圧」、マイナスであれば「陰圧」であることを示しているのだそうです。つまり、「-20Pa」「-50Pa」の2つの数字が「陰圧」になっていることを示している部分。

「-50Pa」となっているのが「P3実験室」の室圧で、「-20Pa」となっているのがエアロック室。「+10Pa」となっているのが室外ということになります。

つまり、この図面こそまさにP3実験室が「陰圧構造」となっていることを示す図面であり、文中で「新井秀雄氏」という人物の言葉を引用する形で、「通常ならば、実験室内部は病原体の外部飛散を防ぐために『陰圧構造』になっているが、それも確認できないという」

文面が全くのデマであることがわかります。

これらの資料の流出元は完全にK氏。彼がすべての資料や情報を流出させています。

民進党、自由党を含む彼らが政府たたきから今治市たたきにシフトチェンジした理由は、すでに政府レベルでは批判する根拠すら見当たらないからです。そして民進党PT(プロジェクトチーム)が政府を批判するために用いていた情報の流出元はすべてK氏。

そしてその情報は軒並み「デマ」です。


今回の総選挙で安倍内閣が争点とすべきこと

今回安倍首相が衆議院の解散を言及するにあたって、前原代表を筆頭に「森友隠し、加計隠し」という言葉をいう民進党議員をTV上でもご覧になったと思います。

ですが、これらの情報は既に政府側に何一つ問題がなかったことが明らかとなっており、これを選挙の争点とすることははっきり言って時間の無駄。政府が国民に訴えなければならないことはそんなことではないはずです。

個人的には、

1.「アベノミクス」とはいったい何なのか。これを今一度国民に分かりやす形で提示すること。

もちろん「成果」も含めてです。しっかり国民が理解し様にかみ砕いて説明すること。

そしてもう一つ、

2.「改憲」

を、そろそろ明確な争点として打ち出すべきなのではないでしょうか。

自民党ではなく、安倍内閣として明確な方向性を示したうえで、どのように改正すべきなのかという具体的な内容を争点にすべきだと思います。

そして次に

3.北朝鮮問題を含む安全保障の問題

この3つを争点にするだけでも十分に解散総選挙を行い、改めて国民に「信を問う」価値が生まれるのではないかと、私はそう思っています。


この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


税収に関しましては、実は毎月発表されていまして、今年度に入ってからも既に4月分、5月分、6月分と公表されています。

項目は複数あるわけですが、私の記事ではこの中でも特に「所得税」「法人税」「消費税」の3つの税収を追いかけています。

これらの税金にはそれぞれ申告期限に関するルールがありまして、
【所得税の申告期限】
源泉徴収分 毎月翌10日

 納期の特例を受けている場合(平成28年度の場合)
 1月~6月分・・・7月11日 7月~12月分・・・1月20日

確定申告分 3月15日

 予定納税 第1期・・・8月1日 第2期・・・11月30日


【法人税の申告期限】
事業年度終了の日の翌月から2か月以内


【消費税の申告期限】
前年度の申告額が

①・48万円以下・・・確定申告1回
②・~400万円・・・中間申告1回、確定申告1回
③・~4800万円・・・中間申告3回、確定申告1回
④・4800万円超・・・中間申告11回、確定申告1回

※申告日の翌月からの2カ月以内

となっています。

「消費税」の「中間申告」は、これを行うことが義務付けられているわけですが、例えば②の場合、1年間の納税額を2回に分けて納税してください、というものです。

ですが、実際に1年間の納税額がいくらになるか、など分かりませんから、「昨年度の納税額を参考」することになってます。
つまり、昨年度のトータルでの納税額を2分割、4部活、12分割して納税するわけです。

嘗ての記事で私はこの理屈を知らないまま記事を作成していたので、年間の消費納税予想額を大幅に外してしまい、結果的に誤った情報をばらまいてしまった・・・という苦い思い出があります。

また、消費税や法人税は、前年度余分に納税した納税額が「還付」という形で納税者に返還されますので、消費税と法人税は-~スタートします。

以上の内容を踏まえると、先ず「所得税」の内、「確定申告分」は年1回、予定納税を合わせても3回しか納税される機会がありません。

「法人税」もまた各事業所ごとの申告月1回分しか納税される機会がありませんし、消費税に至っては昨年度の実績が反映されることになりますので、はっきりと言えば各年度3月~5月を迎えるまでの納税額は正確性を欠くことになります。

ただ、それでも特に「消費税」に関して考えますと、ここに「昨年度の税収」が反映されるわけですから、一昨年と昨年を比較して、実際の納税額がどうであったのか・・・ということを参考にすることが可能になります。

正確ではないかもしれませんが、一昨年の「消費」と昨年の「消費」を比較する一つの指標になるのではないか、と私は考えています。今年度の経済指標としては弱いかもしれませんが、私の「娯楽」にぜひお付き合いください。


2017(平成29)年度7月分税収

2017年7月度税収
PDFダウンロードはこちら

昨年度まではWeb画面上+PDFデータで掲載されていたのですが、今年度からはPDFデータ+エクセルデータに変更されていますので、こんな白黒画面となっています。

【2017(平成29)年度7月分税収】※(  )内は前年同月比です。
所得税全体 7月分 3.7兆(102.8%) 累計 5.6兆(104.9%)

 源泉分 7月分 3.22兆(103.1%) 累計 5.15兆(105.5%)
 申告分 7月分 0.48兆(100.9%) 累計 0.46兆(98.9%)

法人税 7月分 △0.013兆(-%) 累計 △0.013兆(-%)

消費税 7月分 1,75兆(105.2%) 累計 1,39兆(95.7%)

一般会計全体 7月分 6.169兆(103.4%) 累計 9,.057兆(104.0%)


【法人税評】

法人税収はまだマイナスをつけていますが、それでもマイナス幅は前年度を下回っていますので、トータルに対する影響は前年度よりも少なくなります。


【所得税評】

また、「所得税」「法人税」「消費税」の中で唯一今年度の「現状」を表している数字が「所得税『源泉分』」です。

勿論ここも「納期の特例を受けている場合」という例外こそあるものの、基本的には今年度の給与所得者全体に対して、実際に支払われた「給与」にかけられた税金ですから、「現状」を表しているという状況に変わりはありません。

そして、その「所得税『源泉分』」の「前年同月比」が7月分で103.1%、累計で105.5%となっています。絶好調ですね。

ちなみにこの「所得税『源泉分』」ですが、昨年度は通年で前年同月比-98.1%と振るわなかった部分でもあります。
日本国民全体に支払われた給与総額が前年割れしたことを示す数字になります。

この部分が4月~7月までの累計で前年同月比105.5%でしたよ、ということです。ちなみに昨年は一昨年と比較すると96.9%。
では一昨年はどうであったのか、と申しますと、累計で4.37兆円。今年度は一昨年と比較して1.02%増加しています。

昨年が振るわなかった分、一昨年の数字をも上回って今年度が実績を上げていることは、やっぱりうれしいですね。


【消費税評】

さて。これが本命ともいえる「消費税」の評価です。
すでにお伝えしています通り、この数字は「昨年度の納税額」を参照して行われている納税額です。

つまり、この数字を見ると、一昨年と昨年の「消費」をリアルに比較することができます。

6月まではこの額がマイナスであり、つまり「納税額」を「還付額」が上回る状態にあったわけですが、7月からはようやくプラスに転じています。

そして、その「7月単月」での消費納税額が前年同月比105.2%だったわけです。この数字が何を表しているのかと申しますと、飽くまで参考値ではあるものの、「一昨年の納税額を昨年の納税額が上回っている」ことを意味します。

勿論7月納税ですから、冒頭にお示しした一覧表で考えますと、昨年の納税額が4800万円を超えていた事業者に限られるわけではありますが。

ちなみに6月分までがマイナスでしたから、消費納税額の7月単月分を7月までの累計が下回るという逆現現象が起きています。
累計では95.7%ですが、これは前年度納税額に対する還付分の影響が大きいと思いますので、現時点ではこの値を深めて考えることに意味はありません。


【一般会計税収評】
さて。それでは最後に一般会計税収全体に対する評価を行ってみたいと思います。

7月分が全体として調子が良かったものですから、一般会計税収トータルでも7月単月での前年同月比はなんと106.1%増となっています。累計でも103.4%増。

ちなみにこの数字、前年度決算ベースで見てみますと、前年同月比98.5%、0.816兆円の前年度割れとなっています。
これを前年度7月の数字で見てみますと、7月単月が5.819兆円、7月迄累計が8.767兆円。

今年度は7月分が6.169兆、一昨年比106.01% 累計 9,.057兆、一昨年比103.3%となっています。

今年度の特徴は、やはり「所得税『源泉分』」が累計ベースで前年度を105.5%と大幅に、更に一昨年も102.1%と上回っている部分にあるのではないでしょうか。

消費税率が5%から8%に引き上げられたのが2014年度(平成26年度)の事。

昨年度(2016年度)の消費税収や所得税収が一昨年度(2015年度)を下回ったことから、「消費増税の影響」を指摘する声もありましたが、今年度の実績を見るとどうもそうではなさそうだ、という様子が見えてきます。

今年度の実績も既に4か月目。「所得税『源泉分』」ですが、実は6月分は単月で前年同月比112.3%、5月分が111.0%となっており、この現象がどうも今月単独の現象ではないらしいということことが分かります。

昨年度の実績が反映されている「消費税収」等、今年度の実績とは呼べない部分も含まれたデータではありますが、「2017(平成29)年度7月分税収」。

中々幸先の良い出足ではないでしょうか?


この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


本日は2017年9月5日で、公表されたのは先月末ですので、少し期間が経過していますが、ほんの少しだけですが、状況が変化していますので、記事にしてみたいと思います。

おなじみになったかと思いますが、私が「消費者物価指数」を見る際のルールを改めて掲載しておきます。
・海外需要の影響を受けやすい「エネルギー」の物価は除外する必要がある

・天候によって、「需要」とは関係のない指標が出る「生鮮食品」の物価は除外する必要がある

・海外の水準と比較するために設定された、実際には存在しない数字である「持家の帰属家賃」は除外する必要がある。

不明な文言等ございましたら、同シリーズの過去の記事 をご参照ください。

それでは、改めまして2017年7月度の消費者物価指数を掲載したいと思います。

平成29年(2017年)度7月の消費者物価指数

【消費者物価指数(総合)の前年同月比】※( )内は2017年6月の前年同月比です。
総合(ウェイト:10000)
0.4(0.4)

生鮮食品を除く総合(ウェイト:9586)
0.5 (0.4)

持家の帰属家賃を除く総合(ウェイト:8501)
0.6(0.5)

持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合(ウェイト:8087)
0.6(0.5)

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(ウェイト:8802)
0.1 (0.0)

この中で、私が最重要視すべきだと考えている情報は「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」です。
これと同様に、「持家の帰属家賃を除く総合」もまた重要視しています。

「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」と「生鮮食品を除く総合」を比較した時、前年同月比で0.4%の差が生まれていますが、この0.4%の違いがエネルギー物価の変動を意味しています。

私、6月度の記事は作成しませんでしたが、その先月も含めて、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が3月に初めて-0.1%を付けて以来、前年同月比がずっと横ばい(0.0%)を続けていましたので、ここがわずかでもプラスに転じていることは、 久しぶりに安心できる材料が登場したということだと思います。

【消費者物価指数(10大費目別)の前年同月比】※( )内は2017年6月の前年同月比です。

食料 ウェイト:2623
0.6(0.8)

 生鮮食品 ウェイト:414
 -1.1(0.5)
 生鮮食品を除く食料 ウェイト:2209
  0.9(0.9)

住居 ウェイト:2087
-0.2(-0.2)

 持家の帰属家賃を除く住居 ウェイト:589
  -0.1(0.0)

光熱・水道 ウェイト:745
4.3 (3.5)

家具・家事用品 ウェイト:348
-0.4(-0.8)

被服及び履物 ウェイト:412
0.0(0.2)

保健医療 ウェイト:430
0.1(0.0)

交通・通信 ウェイト:1476
0.1(-0.1)

教育 ウェイト:316
0.4(0.4)

教養娯楽 ウェイト:989
0.0(-0.1)

諸雑費 ウェイト:574
0.1(-0.1)

このうち、「エネルギー物価」を含むのが「光熱・水道」、「交通・通信」の2費目ですので、ここを分解してみます。
光熱・水道 ウェイト:745
4.3 (3.5)

 電気代 ウェイト:356
 6.1(4.9)
 ガス代 ウェイト:181
 1.4(0.1)
 他の光熱 ウェイト:41
 21.2(23.0)
 上下水道料 ウェイト:167
 0.6(0.4)

交通・通信 ウェイト:1476
0.1(-0.1)

 交通 ウェイト:224
 0.0(-0.3)
 自動車等関係費 ウェイト:836
 1.5(1.4)
 通信 ウェイト:416
 -2.8(-3.1)

「その他光熱費」は「灯油」の事ですので、灯油の物価が特に大きく上昇していることが分かります。

また「電気代」に関してましても「電力自由化」や「原油価格の下落」の関係で3月まで22カ月間連続で前年を割り続けていたのですが、4月より上昇に転じ、7月は前年同期比6.1%にまで上昇していますね。

「交通・通信」の中ではやはり「通信」の分野が下落を続けており、うぃとも小さくはありませんので、物価全体の足を引っ張っている様子がうかがえます。

一方で「交通・通信」分野の中でエネルギー価格が含まれているのは「自動車等関係費」ですから、ここをもう少し砕いてみます。
自動車等関係費 ウェイト:836
1.5(1.4)

 自動車 ウェイト:199
 0.3(0.3)

  軽乗用車 ウェイト:40
  -0.9(-0.1)
  小型乗用車A ウェイト:55
  0.7(0.4)
  小型乗用車B ウェイト:5
  0.7(0.7)
  普通乗用車A ウェイト:80
  0.5(0.5)
  普通乗用車B ウェイト:20
  1.3(-0.2)

 自転車 ウェイト:9
 2.0(2.3)
 自動車等維持 ウェイト:628
 1.9(1.8)

  ガソリン ウェイト:206
  6.3(6.1)

ガソリンの物価上昇幅はさすがに大きくなっていますが、これ以外にも「自動車」が全体で0.3%上昇。
特に「軽乗用車」のみ物価が下落する中で、他の費目(Aは国産、Bは外国産)は全て上昇しています。

「自動車等維持費」は費目数が多いのでガソリン以外は割愛しましたが、「自賠責保険料(▲6.5%)」や「レンタカー代(▲2.1%)」が大きく前年割れしている以外は目立って物価が下落している費目はありません。

家具・家事用品に起きた変化

私のブログではおなじみかもしれませんが、この「家具・家事用品」の分野。長らく物価の足を引っ張り続けてきた分野なのですが、実は少し変が起きています。

【消費者物価指数(家具・家庭用品)の前年同月比】※( )内は2017年6月の前年同月比です。
エアコン

家具・家事用品 ウェイト:348
-0.4(-0.8)

 家庭用耐久財(ウェイト:111)
 0.0(-1.0)

  家事用耐久財(ウェイト:57)
  -3.0(-5.1)

   電子レンジ(ウェイト:4)
   -14.9(-13.7)

   電気炊飯器(ウェイト:11)
   2.6(-1.6)

   ガステーブル(ウェイト:3)
   6.3(6.5)

   電気冷蔵庫(ウェイト:16)
   -10.5(-10.9)

   電気掃除機(ウェイト:9)
   3.8(10.3)

   電気洗濯機(全自動洗濯機)(ウェイト:7)
   1.5(-14.8)

   電気洗濯機(洗濯乾燥機)(ウェイト:7)
   -2.5(-2.7)

   冷暖房用器具(ウェイト:37)
   2.9(3.3)

    ルームエアコン(ウェイト:30)
    3.3(3.8)

    温風ヒーター(4)
    -1.1(-1.1)

    空気清浄機(3)
    4.5(5.1)

  一般家具(18)
  2.8(1.8)

   整理だんす(5)
   1.7(2.3)

   食堂セット(9)
   3.2(1.9)

   食器戸棚(4)
   1.0(-0.1)

足を引っ張っていたのは「家庭用耐久財」の内「家事用耐久財」です。もちろん7月度も▲3.0%ですから、決して「改善した」わけではありません。ですが、「家庭用耐久財」全体で見るとついに前年同月比が0%まで回復したわけです。

2月に一度0.6%を付けていますから、それ以来ということになります。

特にその影響が大きかったのは「全自動洗濯機」の1.5%、そして「ルームエアコン」の3.8%だったのではないでしょうか。
ルームエアコンに関しては6月も3.8%と大きく改善しており、継続的に物価が下落し続ける状況から回復しつつある状況が伺えます。

またそれ以上に大きいのは「一般家具」の2.8%かもしれません。一般家具の物価上昇率は比較的優秀で、これで9カ月連続の物価上昇となります。

第348回の記事 で2017年度4-6月期のGDPについて記事を記しましたが、私たち一般国民の景気状況を見る上で最も大切なのが「家計最終消費支出」という項目です。

この項目を構成しているのが今回のきじで取り上げた「消費者物価指数」。
4-6期GDPは巷の予想を大きく上回り、大幅な上昇幅を記録したわけですが、ニュース等の解説を見ていると、季節ものの動きが鈍く、第二四半期(7-9月期)は第1四半期程の上昇を期待することは出来ないのではないか、とする報道を見かけましたが、「ルームエアコン」は季節ものの中でも代表的なアイテムです。

この様な動きを見ていると、やはり第二四半期のGDPにも大いに注目したいですね。


この記事のカテゴリー >>GDPの見方


第一四半期ですので、4月~6月期GDP速報になります。
ニュースではこんな感じですね。関心がある方は全文目を通してみてください。

GDP、年4.0%増=11年ぶり6期連続プラス-内需堅調で・4~6月期 (共同通信社記事より)
 内閣府が14日発表した2017年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%増、この成長ペースが1年続くと仮定した年率換算では4.0%増だった。

 個人消費や民間の設備投資など国内需要が堅調で、輸出の落ち込みを補い、11年ぶりに6四半期連続のプラス成長となった。年率の伸びは15年1~3月期(4.8%増)以来の大きさ。

 物価変動の影響を反映し、生活実感に近い名目GDPは前期比1.1%増、年率4.6%増。16年後半以降の輸出主導型の経済成長が内需主導型に切り替わりつつある。

 茂木敏充経済再生担当相は記者会見で、「良い数字だが、消費はまだ力強さに欠ける」と指摘した。景気の先行きについては「緩やかに回復していくことが期待される」と語り、安倍政権が掲げる「人づくり革命」や生産性向上などの重点課題に取り組むことで、内需主導の持続的な成長を目指す考えを示した。

 実質GDPを項目別に見ると、個人消費は前期比0.9%増と6期連続のプラス。雇用・所得環境の改善から飲食・サービスが好調で、買い替え需要などで自動車販売やエアコン、冷蔵庫も伸びた。

 設備投資は2.4%増。人手不足を背景に、建設業や小売業などで省力化投資が伸びた。住宅投資は戸建て、貸家ともに底堅く1.5%増。公共投資は、16年度第2次補正予算の執行が本格化したことに伴い5.1%増。伸び率は第2次、第3次安倍政権を通じ最大の13年7~9月期(5.0%増)を上回った。

 輸出は0.5%減と4期ぶりのマイナス。統計上は輸出に分類される訪日外国人の消費は増えたが、アジア向けのスマートフォン関連部品の需要一服などが響いた。輸入は原油・天然ガスの価格上昇から1.4%増えた。

 実質GDPの増減にどれだけ影響したかを示す寄与度は内需がプラス1.3%。一方、外需はマイナス0.3%で、6期ぶりのマイナスだった。(2017/08/14-11:46)

内閣府

要約すると、2017年度第一四半期GDPの内、季節調整を行った実質GDPの前月比が1%上昇し、これを年率換算すると4%の上昇率になりますよ、ということになります。

ただ、私のブログにおいて、GDPに関連する記事では繰り返しお伝えしています通り、そもそも

 ・「名目GDP」そのものがサンプルデータを用いて人為的に作成されたデータであること
 ・「実質GDP」はこの数字を更にサンプルデータを用いて人為的に作成した「持家に帰属する家賃を除く消費者物価指数」で割ったものであること
 ・この実質GDPを更に人為的に作成した公式に当てはめて計算した数字が「季節調整系列」であること。
 ・更に「年率換算」は前述した方法によって算出された「季節調整系列前月比」が「仮に4半期連続で継続したとしたらいくらになるのか」というありえない予測に基づいて算出されたフィクションの数字であるということ

以上の様な理由により、「季節調整系列」という数字も、「年率換算」という数字も私自身は全く信用していません。

一つ目の、「名目値」に関するバイアスだけは解消することができないけれども、他のバイアスに関しては解消することが可能である、「名目原系列、前年同期比」を検証することが一番大切なことだと私は考えています。

ということで、私のGDP速報は、この「名目原系列、前年同月比」を中心に記事を進めてみたいと思います。


2017年度GDP第一四半期第一次速報統計結果

【2017年度GDP第一四半期第一次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 134.556 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出  75.012 兆円(1.9%)
 家計最終消費支出 73.095 兆円(1.8%)
  除く持家の帰属家賃  60.613 兆円(2.2%)

 民間住宅 4.185 兆円(7.3%)
 民間企業設備 19.407 兆円(6.4%)

実質GDP
全体  129.498 兆円(2.0%)

 民間最終消費支出 73.808 兆円(1.8%)
 家計最終消費支出  71.948 兆円(1.8%)
  除く持家の帰属家賃  58.674 兆円(2.0%)

 民間住宅  3.935 兆円(5.6%)
 民間企業設備 19.070 兆円(5.8%)

実質を合わせて掲載しているのは、確かにその信憑性に関しては疑問があるものの、それでも一つの指標にはなるということと、名目と実質の数字を用いることでそれぞれの項目における「物価上昇率」を見ることが出来るからです。

項目としては、基本的に日本区全体の「GDP」をまずは掲載しているのですが、続いて家計最終消費支出者、つまり民間人と民間企業を合算した「消費支出」、続いて「家計」の最終消費支出、ここから更に「持家に帰属する家賃」を除いた消費支出を掲載しています。

続いて掲載している「民間住宅」は民間人が住宅におこなった投資金額(購入額)、民間企業設備は民間企業が行った設備投資費の事です。

安倍内閣が目指している経済社会とは、政府支出におんぶにだっこ、何時まで経っても民間で稼ぐことのできないような社会ではなく、民間が政府の力に頼らずとも、自ら自力で回転していけるような社会です。

この情報をきちんと吸い上げて統計化しているのが上記枠内のデータです。


2017年度GDP第一四半期第一次速報への評価

ニュース記事でも書かれているのですが、今回のGDP評として一番大きいのはやはり「内需」の拡大です。

特に注意してみるべき箇所は民間最終消費支出の内、「持ち家の帰属家賃を除く家計最終消費支出」の動向です。

これも何度も言っている様に、「持ち家の帰属家賃」とは、「もし今住んでいる持ち家が借家だった場合、家賃はいくらになるのか」という非常に意味の解らないフィクションの数字ですから、本来GDPには加えるべきではない数字です。

この数字が名目で前年同期比2.2%、実質で2.0%、物価上昇率0.2%という形で上昇しています。これは非常に理想的な形ですね。

また一方で、「企業設備投資費」に関しても前年同期比で名目が6.4%、実質が5.8%、0.6%の物価上昇率を記録しており、これは完全に「デフレから脱却した」と言っても問題がないような状況となっています。

政府日銀が目指している部下上昇率は2.0%ですから、まだまだじゃないか、という声も聞こえてきそうですが、私としてはその物価上昇率には無理があると考えており、やはり麻生内閣時代の名目3%、実質2%、1%の物価上昇率を目指す事こそ一番理想的な経済成長ではないかと考えています。

2%の物価上昇率というのは、どちらかというと安倍内閣誕生時に安倍さんの周辺を取り巻いていたマネタリストたちの非現実的な妄想が招いた政策の弊害だと私は考えています。


もう一つの視点(輸出入GDP)

ただ、ではアベノミクスはついに成功したのか、と単純に考えるのは実は時期尚早だと思います。

いや、アベノミクスは十分成功していると私は思っているのですが、今回の数字をぬか喜びしてよい数字なのかどうか、という点で1点だけ注意してみておくべき点がある、ということを申し上げたいのです。

それは、「輸入額」の事です。
重ねて輸出額も掲載します。

【2017年度GDP第一四半期第一次速報(輸出入GDP統計)】
2016年度輸入額 19.655 兆円
2017年度輸入額  22.178 兆円
輸入額前年度差額(前年同期比) 2.523 兆円(12.8%)

2016年度輸出額 20.890 兆円
2017年度輸出額 23.038 兆円
輸出額前年度差額(前年同期比) 2.148 兆円(10.3%)

額、率とも輸入が輸出を上回っていますので、輸出入GDPはGDP全体を縮小させる要因として働いています。

ですが、それは輸出入全体にいえることであって、消費支出を初めとする各項目の数字の中には輸出入GDPの内「輸入額」が含まれているわけです。

昨年の記事を読み返していただくとわかると思いますが、2016年度は原油価格が前年同月を大幅に下回る状況にありましたから、原油額が大半を占める「輸入額」は消費支出等各項目を前年に対して下落させる要因として働いていました。

ところが、今年度2017年度は原油価格が前年度を上回っていますので、これが今度は各項目を上昇させる要因として働いています。

勿論、輸入額増加額2.5兆円の内、その全てが原油額というわけではありませんし、今月輸入した原油額がそのまま今月の消費者物価に反映されるのかというと、そういうわけでもありません。

ですが、例えば持家に帰属する家賃を除く家計最終消費支出は前年同期と比較して1.3兆円増えたわけですが、これがそのまま内需に起因する上昇額となるわけではない、ということです。


これらの要素を踏まえて統計データを見る必要はあるわけですが、少なくとも今年度第一四半期のGDPデータは、私たちの想像を上回るほど上昇しました。

またGDP全体で見ますと、輸入額が輸出額を上回っており、GDPに対してはネガティブに作用しているにも関わらず、名目GDP全体は1.6%の上昇率を記録しています。

繰り返しますが、「輸入額」が「輸出額」を上回っていますので、名目GDPの上昇幅は明らかに「原油額の上昇幅を差し引いた内需」に起因するものです。

この事をポジティブな要素としてきちんと受け止めることが大切です。

ポジティブな情報は、「期待インフレ率」として作用し、経済を成長させる大きな起爆剤となりますからね。


この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


情報としては遅ればせながら・・・という形にはなりますが、2016年度税収がついに決定しました。最終的には7月に決算額として正式なものが発表されるわけですが、2016年4月~2017年5月まで追いかけ続けてきた「2016年度税収」がついに決定しました。

内容としては、

【2016年度(平成28年度)税収】
一般会計総額 55.46兆円(前年比98.5%)

所得税 計 17.6兆円(前年比98.9%)
 内源泉分 14.48兆円(前年比99.3%)
 内申告分 3.1兆円(前年比104.7%)

法人税収 10.3兆円(前年比95.4%)

消費税収 17.2兆円(前年比98.9%)

とまあ、軒並み前年度割れをする惨憺たる結果となってしまいました。

勿論原因はきちんと検証する必要があるわけですが、今回の記事では私がこの「税収」に着目して統計を集めるきっかけとなった、「消費税収」に着目して分析をしてみたいと思います。


消費増税によって本当に消費は減ったのか?

「消費税収」とは、基本的に「消費されたもの」に対して課せられる税金です。
私はこの「税収」以外に「消費者物価」についても着目して記事を作成していますが、それもこれも安倍内閣に於ける「消費」が実際に増えたのか減ったのか、これを分析するためです。

というのも、1997年におこなわれた当時の橋本龍太郎内閣5%消費増税において、橋本増税が行われて以来、それこそ安倍内閣が誕生するまで橋本龍太郎内閣以前の一般会計税収を上回った年度は1年度たりともありませんでした。

理由として、「消費増税が行われたことにより消費が減退し、この事が企業の業績にも悪影響を与えた」という理由が一般的です。

そして2014年、安倍内閣において8%増税が行われた際、「増税は消費に悪影響を及ぼす」として橋本増税の悪影響が再び日本を押そうかの様な主張が日本全国で行われました。

この主張は今でも一般的に行われており、2016年度に消費税収も含めて一般会計税収全体が前年度割れを起こしたことを受けて、これを「2014年度消費増税の影響だ」という説がまことしやかに行われています。

特に強いのは、実は野党を中心とする安倍内閣否定派ではなく、内閣参与まで務めた一部元官僚を含め、現在の安倍内閣を支持ししている人の中での論調です。

ですが、2014年度に消費増税が行われたことにより、本当に2016年度の「消費」は減退したのでしょうか?


2016年度消費税収が前年度割れした理由

さて。既に記していますように、2016年度の消費税収は98.9%と前年度割れしています。

既に述べていますように、「消費税」とは、実際に起きた「消費」に対してかけられるもので、この理屈だけから考えると、消費税収が前年度割れしているということは、2016年度の消費が2015年度の消費を下回ったことを意味しています。

ですが、この理屈は本当に正しいのでしょうか?


【消費税が納税される仕組み】

中間申告の方法

こちらは過去の記事で何度かお示ししたことがあると思うのですが、消費税を納税する際の「中間申告」について示した図表です。

企業の前年度の納税額に応じて1年間の中間申告を含めた申告回数を

1回 2回 4回 12回

に分け、より多く納税した企業ほど中間申告を行える回数が多くなっています。

ですが、その企業が1年間にどれくらい収入を挙げられるかは分かりませんから、中間申告を行う際、企業は「前年度の収入を参考に」消費納税を行うことができます。

確定申告を含めた申告回数が12回であれば、前年度の納税額を12等分し、これを本年度に1か月分ずつ納税していくやり方です。

前年度の納税額が1億2000万円だったとすれば、今年度はこれを12等分し、1カ月に1000万円ずつ納税します。

最終的に確定申告を行う際、不足していれば不足する分を支払いますから当然申告月の納税額は前年を上回る(100%以上)ことになりますし、逆に多く納税しすぎていれば前年を下回る(100%以下)ことになります。


【2016年度消費納税額に感じていた違和感】


【2016年度月別消費納税額前年同月比】
4月 (前年、本年共マイナス)
5月 (前年、本年共マイナス)
6月 (前年プラス、本年マイナス)
7月 95.1%
8月 100.3%
9月 94.7%
10月 92.9%
11月 91.5%
12月 101.8%
1月 102.8%
2月 98.7%
3月 100.4%
4月 101.9%
5月 111.7%

上記図表は、月別の前年同月比です。4、5、6月の実数がマイナスになっているのは、前年度、海外に向けて販売を行った業者が消費納税額の「還付」を受けていることが原因です。

では、私が何に対して「違和感」を感じていたのかと申しますと、前述致しました通り、基本的に「中間申告」は前年度の実績を参考に納税されますから、通常であれば前年度と今年度の申告額は「同額」でなければおかしいはずなのです。

勿論、消費納税には2か月間の猶予がありますから、当月に納めたのか、1カ月後に納めたのか、2カ月後に納めたのかによって多少の誤差は生まれると思います。ですが、例えば特に10月や11月の様に10%近くも前年度割れすることには違和感を覚えます。

そして、消費税の納税方法として、
前年度の納税額に応じて中間申告を行う。
中間申告を行う際、本年度の納税額は本年度が終了するまでわからないため、前年度の納税額を参考にして納税を行う。

という方法がとられます。そして、

確定申告時、中間申告時の納税額が不足していれば不足する分を余分に納める為、確定申告時の納税額は前年度の納税額を上回る

為、中間申告時の納税額を本年度が昨年度を上回れば、年度最終付きの納税額は前年同月比で100%を上回ることになります。

企業によって決算月が異なりますが、最も多くの企業が決算月を迎えるのが政府会計年度末である3月。
そして、消費税納税は2カ月の遅延が認められていることから、年度で最も多くの企業が納税する月は3月より2カ月後、5月になります。

と、ここまでお伝えすれば察しの良い方はもうお気づきかもしれませんね。
2016年度最終付きである5月の消費税納税額は前年同月比111.7%。4月が101.9%、3月が100.4%となっていますね。

これは即ち、2016年度の消費税納税額が2015年度を上回っていることを示しています。

では、なぜ消費税納税額はトータルで前年度を下回っているのでしょうか?


消費税還付金の罠


【2016年度4月~6月の消費納税額】※( )内は2015年度の納税額です
4月 -360億円(-197億円)
5月 -344億円(-318億円)
6月 -1343億円(+222億円)

いかがでしょう。4月~6月までの間で、納税もされていないうちからマイナスされている金額。これは前年度の「還付金」であると考えられます。

例えば、増税年度の2014年から経年で消費税納税額の推移を見てみます。

【2014年度~2016年度の消費税納税額】
2014年 16.03兆円
2015年 17.42兆円
2016年 17.22兆円

ですが、4月~6月にマイナスされている額は、本来それぞれの年度に加えるべきではない数字ですから、2015年度の数字に515億円、2016年度の数字に2060億円をそれぞれ加えます。

2015年 17.47
2016年 17.43

また、2016年4月~6月にマイナスされていた2060億円という数字は本来2015年度分からマイナスされるべき数字ですから、17.47兆円から2060億円をマイナスします。

2015年 17.27兆円
2016年 17.43兆円

という数字が出てきます。ただ、2016年度もまた2017年度分からマイナスされることになりますので、この計算式はまだ途中経過だということになります。

勿論、ここに見えていない還付額もまだあるはずですから、この数字が正しいと言い切ることは出来ませんが、2016年度分の消費納税額が本当に2015年度分と比較して減っているのかということはまだ定かではありません。

また、2014年度の消費税納税総額が16.03兆円ですから、これと比較すれば仮に2015年の納税額を仮に下回っていたとしても、増税年度に比較すれば1兆円を上回る納税額を記録していることが分かります。


さて。ただ、とはいえ「2%の物価上昇」を目指す政府としては、やはり「消費の伸び」は欠かせない部分があります。「横ばい」ではだめです。

物価の記事 でもお示ししましたが、そろそろ「アベノミクスマジック」にも限界が見え始めていることは確かです。

だからこそ、本来の「安倍内閣」の魅力である「経済」についての効果を国民が感じられるよう、切れ目のない政策を打つことがとても大切です。ほんと、森友だ、加計だと大騒ぎしている暇なんてないんですけどね・・・。

今が「正念場」ですよ、安倍さん。


この記事のカテゴリー >>アベノミクスを問う


このところ、安倍自民党を支持する私たちとしては本当に心が重たくなるニュースが続いていますが、そんな中で久しぶりに胸がスッとするニュースが届きました。それが、タイトルにもある「至公会」の誕生です。

記事は産経新聞より、全文を転載いたします。当然長文になりますから、枠内は読み飛ばしていただいても大丈夫です。

【産経ニュース 2017.7.3 17:39】
麻生太郎会長「安倍政権を力強く支えていく」
新派閥「志公会」設立記者会見詳報


至公会
新派閥「志公会」の設立記者発表で発言する副総理兼財務相の麻生太郎会長=3日午後、東京・虎ノ門のホテルオークラ東京(酒巻俊介撮影)

 自民党の麻生派や山東派などが合流した新派閥「志公会」が3日、正式に発足し、都内のホテルで記者会見を開いた。会長に就任した麻生太郎副総理兼財務相は「安倍(晋三)政権を力強く支えていく」と述べ、派閥として安倍政権支持の姿勢を強く打ち出した。記者会見の詳報は次の通り。



 麻生太郎会長「本日、新しい政策集団として『志公会』を立ち上げる。名称については真言宗高野山、東山大僧正からお話をいただき、志を高く持たねばならないという話もあった。

 国会議員として議員になるのはただの手段であって、自分の立てた志を果たすために議員になっているわけなので、志を高く持たねばならない。志の在り方としては、基本的にどの方向に志を持つのかは個々人の話だが、公というものをきちんと腹に収めてやってもらいたいという思いもあったので志公会という名前にした次第だ。

 新たな政策集団を立ち上げる趣旨については、過日の5月15日の合意文書に書いているし、あのときも話したので重ねて申し上げるつもりはない。とにかく数を拡張する、数合わせ等々に興味があるのではないということも過日説明した通りだ。

 われわれは今、安倍政権を力強く支えていくことが国益につながっていくと、そう思っている。ここにいるほとんどの者は今から約5年前、自民党の総裁選にあたって、マスコミでは3番目といわれた安倍晋三を抱えて1番にした。あのときの主力メンバーが今ここにいるメンバーでもある。

 高村(正彦)先生、甘利(明)先生等々、多くのメンバーが当時から一緒にやってきた仲間だ。新しく政策集団として立ち上げたが、今の安倍政権をど真ん中で支えていくということには一点の乱れもない。

 今、都議選等々いろいろな話が昨日の選挙の結果としていわれているが、私どもは少なくとも国政の中において引き続き安倍政権をきっちり支えていく。その真ん中で頑張っていく。その決意を新たにしている」

 山東昭子会長代行「いよいよ新しい政策集団が誕生したわけだが、今国民が政治家に求めているものは何だろうか。一番はやはり信頼であると思っている。

 4月の時点で1億2693万人といわれている日本の人口。その中で国会議員は選ばれた722人。であるからこそ、やはり国会議員としての一挙手一投足が本当に重要になってくる。

 ときには、せっかく多くの皆さん方の協力によって築き上げた自民党政権を揺るがせるようなことにもつながりかねない。

 たった一人の政治家の重みは、一人一人がきちんと考え、行動するということ。これが一番大切ではないかと思っている。そんなことで新たな政策集団、あらためて国民のために、国益を考えながら政策立案に全力を尽くしていきたい」

 佐藤勉会長代理「私ども昨年来、麻生先生、そしていろいろ紆余曲折あったが谷垣(禎一)先生のもとでのいろいろな情報等々を鑑みて合流にこぎつけた。

 私は当然、吸収合併という思いをしていたら、麻生会長が、派閥をつくった上で合流をするというご意思だった。少ない私どもを一つの派閥として認め、合流というのはこの政界長くあっても今回が初めてだという思いに非常に共感をする。二大政党制がなかなかうまくいかなくなった中で、私どもの派閥がどういう役割を果たすかが非常に重要ではないか。

 いろいろな場面で、間違いなくこの集団が力を発揮するという思いの中で麻生会長、山東先生を中心とするこの会でしっかりと私ども、頑張っていかなければいけないとこの集団に参加した。

 若輩の私を集団に組み入れていただいた皆さま方に心から感謝を申し上げ、その恩に報いるためにも、この集団をきらりと光る集団にしたい」

 --都議選の結果、自民は厳しい状況にある。今だからこそ志公会が取って代わって自民党を引っ張っていくという考えは

 麻生氏「取って代わっての定義は?」

 --今後、内閣改造・党役員人事を見据えて政権の中枢として引っ張っていこうと

 麻生氏「今でも政権の中枢にあるのが、ここにいるメンバーのほとんどだという自覚はある。5年前に初めて安倍内閣ができるというのを予想したときは、おたくの新聞(朝日新聞)では確か安倍は3着だったよな? 君が書いたのではないかもしれないが、そう書いてあったろ? 結果的には1着になった。その1着を支えたのはここにいる60人が支えてきたと。俺たちはそう思っている。

 だから今でもど真ん中。これからもど真ん中。新しい派閥ができたから変わるというわけではない」

 --都議選の結果をどう受け止めているか

 麻生氏「国会議員の発言が地方選挙に大きな影響を与えたことは間違いない事実であって、それは謙虚に反省せにゃいかんし、受け止めなければいけないということははっきりしているのでは。

 明らかに国会議員の影響で都議会議員が被害ということにもなろうかと思う。それは事実だから、端的に自分で反省すべきところは反省すべきであって。気の緩みとかいろいろな表現もあると思うが、やっぱり5年前、当時野党で安倍総裁を生んだあの時代と比べ、5年近くたっているが気分的な緩みがあるのではないか等々、真摯に受け止めるということはみんなよく使う。真摯という言葉がどういう意味で使っているのかよく分からんところがないわけではないが、私どもはそういった点は率直に認めた上できちんとした今後の対応をしていかなければいけない」

 山東氏「安倍首相はやはり高い支持率に守られてきた。答弁不足、答弁に納得ができないという世論の、いわゆる森をちょっとよく見なかったのではないか。その結果がこの選挙に表れているという気がする。本当に原点に返って、しっかりと自民党が立ち直っていかなければいけない」

 佐藤氏「結果は謙虚に受け止めなければいけないと思う。少なくとも国対で長く仕事をしてきた者としては、こういう会を通じて後輩の指導育成をしっかりとやっていくということをやらなければ、なかなかああいう発言等々収まっていかないのでは。

 言論を封じるということではなくて礼儀をしっかりと持っていただく。そして国会議員としての矜持をしっかりと持っていただくという教育の場を、私どもがしっかりと担っていくということではないかと思っている」

 --大宏池会構想という話もあって、岸田派との連携や合流は

 麻生氏「大宏池会の定義って? 大宏池会って、宏池会知らないだろ、基本的に? その若さだと。よほど勉強していない限り知っているはずないから。大宏池会の定義は?」

 --昔分かれた河野グループや谷垣グループなど、そういう勢力がもう一度結集するという…。今回ちょっと枠組みは違うかもしれないが、岸田派との合流はどう考えているか

 麻生氏「大宏池会というのではなくて、この派閥と岸田派が合併するかしないかと聞いた方がわかりやすいやね。大宏池会という誰かが使っているようなことをいい加減に使わない方がいいよ。知らないんだからね。知らないことは知らないと謙虚に反省してだな。

 岸田(文雄)さんのところがどうされるかについては、私どもとして今、岸田さんがどう考えているかはよく分からないので何ともお答えのしようがない。ただ現在、岸田さんと直接合併の話をしているということはない」

 --昨晩、安倍首相と菅(義偉)官房長官、麻生氏、甘利氏で会食したようだが、新派閥について総理と長官から何か言葉はあったか。安倍政権を支えていくというが、具体的にどういう政策で支えていくのか

 麻生氏「派閥立ち上げにあたっては『期待しているからね』と励ましてもらった。それ以外にはない。

 2つ目は、ど真ん中で支えるというのは政権が安定したが故にわれわれはこれまでの経済政策をこれだけうまくやれた。これは世界が認めている。(質問者の)産経新聞はどうか知らないけど。資産デフレーションによる不況からの脱却にわれわれは主眼を置いてやってきて、それがこれだけうまく成功できたのは経済政策に継続性が持たせられた(からだ)。

 すなわち経済政策を安定して続けることができたということは政権が安定したから。それに尽きる。政権の安定以上に経済政策に貢献した政策はなかったといってもいいくらいだ。

 基本として今、政権の真ん中にあってきちんとした経済政策を引き続き継続させていくことで国民生活のより安定、より繁栄というものをやっていくということだと理解してもらえればいい」

どこを切り取ってもこの記事の価値をさげてしまいそうなので、あえて全文を掲載しました。
記事の中で、私の中で特に熱く思ったのは、以下の部分です。

--昨晩、安倍首相と菅(義偉)官房長官、麻生氏、甘利氏で会食したようだが、新派閥について総理と長官から何か言葉はあったか。安倍政権を支えていくというが、具体的にどういう政策で支えていくのか

 麻生氏「派閥立ち上げにあたっては『期待しているからね』と励ましてもらった。それ以外にはない。

 2つ目は、ど真ん中で支えるというのは政権が安定したが故にわれわれはこれまでの経済政策をこれだけうまくやれた。これは世界が認めている。(質問者の)産経新聞はどうか知らないけど。資産デフレーションによる不況からの脱却にわれわれは主眼を置いてやってきて、それがこれだけうまく成功できたのは経済政策に継続性が持たせられた(からだ)。

 すなわち経済政策を安定して続けることができたということは政権が安定したから。それに尽きる。政権の安定以上に経済政策に貢献した政策はなかったといってもいいくらいだ。

 基本として今、政権の真ん中にあってきちんとした経済政策を引き続き継続させていくことで国民生活のより安定、より繁栄というものをやっていくということだと理解してもらえればいい」

文章としては一番最後のパーツですね。

以外に思われるかもしれませんが、このパーツの中で、まず最初にピンと来たのは産経記者の質問で、

 昨晩、安倍首相と菅(義偉)官房長官、麻生氏、甘利氏で会食したようだが、
 新派閥について総理と長官から何か言葉はあったか。


この部分、多くの方は以下のようなニュースでご覧になっているのではないでしょうか?

惨敗・自民 安倍首相が麻生、菅両氏らと仏料理店で会談 内閣改造・自民党役員人事へ
(サンケイビジネスより)

敢えてタイトルのみ引用しましたが、TVのニュースでも、

 「東京都議選に於ける惨敗を受けて、安倍さんが麻生副総理、菅官房長官らとフランス料理店で会談」

といった趣旨で報道されていたように思います。


第二次安倍内閣の原点

多くの方は忘れていらっしゃるかもしれません。
私の記憶からも薄れつつあったくらいですし。

第二次安倍内閣は、「安倍・麻生・菅」そして、「甘利」。この4人から始まったんです。

第54回 甘利特命担当大臣、本当にお疲れさまでした m(_ _)m

TPP交渉に於いて、正(まさ)しく「死ぬような思い」をして日本の為に邁進した甘利 明さんの存在です。
記者質問を読んだとき、私は本当にうれしい思いがしました。ああ、あの場に甘利さんがいたんだ・・・と。

そして、彼のその「功績」に泥を塗ったのもまた「マスコミ」でした。

今回の都議選までに至るマスコミと野党の「党利党略」のみを優先させた陰湿な嫌がらせを見ていると、麻生内閣が崩壊したあの過程を見ている様で、本当に怒りを覚えます。

麻生さんもきっとあの時に自分自身が味わった屈辱を彷彿しているのではないでしょうか。だからこそ、第二次安倍内閣に同じ思いをさせない様、本当に一生懸命なんだと思います。


オレたちは麻生派!

また、ピックアップした部分に、

 2つ目は、ど真ん中で支えるというのは政権が安定したが故にわれわれはこれまでの経済政策をこれだけうまくやれた。

 これは世界が認めている。(質問者の)産経新聞はどうか知らないけど。

 資産デフレーションによる不況からの脱却にわれわれは主眼を置いてやってきて、それがこれだけうまく成功できたのは経済政策に継続性が持たせられた(からだ)。


とあります。

私の中にある「政治」の原点は、何時だって麻生さんです。
所謂「保守層」の方たちに対して、あえて誤解を恐れずに述べるとしたら、「憲法」や「防衛」の問題も確かに確かに大切かもしれません。ですが、それよりも何よりも、やっぱり安倍内閣の最大の魅力は「経済」にあると思うのです。

勿論「憲法」や「防衛」の問題も蔑ろにしてよいとは思っていませんし、特に「憲法」に関しては安倍内閣でなければ実現できないことも沢山あると思います。

ですが、それよりも何よりも「経済」の安定。そしてその「繁栄」を私たち国民が本当の意味で「実感」出来ることこそ、本当に安倍内閣が求められているものなのではないでしょうか?

そしてその中心に、ついに麻生さんが着座しました。

だれが何と言おうが、私たちは「麻生派」です。
そして今回の記事に快哉を叫んだのは、そんな「麻生派」を「勝手に」自認している皆さんなのではないでしょうか?

もう一度あの「麻生内閣」を再現してほしい。それを心から願っているのは私だけではないはずです。
そして、現在の安倍内閣はこれを実現することができるはずです。

安倍内閣「第三の矢」は、構造改革ではありません。あくまでも「民間投資を喚起する成長戦略」なのです。

国民の目から見て「面白い!」とワクワクすることができるような新たなる経済政策をぜひ、麻生さんを中心に私たち国民に披露してもらいたいと、そう心から願っています!!

あの時の夢をもう一度!! 期待してますよ、麻生さん(*^^)v


この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


毎度おなじみとなりました、月末の消費者物価指数に関する記事です。

原油価格が消費者物価指数を引き下げる起因となる時代は終わり、物価を見る際の不必要な「勘違い」もされなくなりましたので、記事の重要度としてはランクが下がったとは思っているのですが、それでも私たち日本国民の生活水準を正確に理解する上では必要な一つの「指標」である消費者物価指数。

2017年度5月の統計データが発表されましたので、改めて記事にしたいと思います。

私が消費者物価指数を見る際に大切にしている基本情報を冒頭に記しておきます。

・海外需要の影響を受けやすい「エネルギー」の物価は除外する必要がある

・天候によって、「需要」とは関係のない指標が出る「生鮮食品」の物価は除外する必要がある

・海外の水準と比較するために設定された、実際には存在しない数字である「持家の帰属家賃」は除外する必要がある。

これが私の大切にしている物価水準の基本情報です。

同じカテゴリー 「物価」の見方 の中で何度も記していますように、2017年(2016年度)1月の消費者物価指数 より、これまで「食料及びエネルギーを除く総合」として掲載されていた「コアコアCPI」が、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」に変わりました。

これによってこれまでのコアコアCPIよりもより私たちの経済状況を反映した結果を「消費者物価」としてみることができる様になりました。ただ、それでも「持家の帰属家賃」というノイズが入っていますから、注意してみる必要があります。


平成29年(2017年)度5月の消費者物価指数

【消費者物価指数(総合)の前年同月比】※( )内は2017年4月の前年同月比です。
総合(ウェイト:10000)
0.2(0.3)

生鮮食品を除く総合(ウェイト:9586)
0.4 (0.3)

持家の帰属家賃を除く総合(ウェイト:8501)
0.5(0.5)

持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合(ウェイト:8087)
0.6(0.4)

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(ウェイト:8802)
0.0 (0.0)

5月度の課題は4月度と一緒ですね。「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が横ばいです。
横ばいというのは4月と比較してもそうなのですが、「前年同月比」で0.0%ですから、前年度と比較しても横ばい。つまり、「消費者物価指数」で見る限り、「物価」が成長できていないということです。

4月度の消費者物価指数 の記事でも同様な内容を述べたとは思うのですが、この「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」。

今年の2月までは辛うじてプラス成長を続けていたのですが、3月に至ってついに前年度割れ。4月、5月とマイナス成長こそ避けられているものの、0.0%の横ばい。

実は「物価」ベースで見る限り、アベノミクスは「深刻」とまでもは言わないまでも、「次の一手」を打ちつ必要がある状況にまでは来ているのです。「金融緩和」による期待インフレ率の維持にも限界がありますからね。

ちょっと愚痴みたいになりますが、ほんとに今は森友だ加計だとお騒ぎしている暇など本当はないんです。このままアベノミクスによる経済成長を失速させてしまわない様、本当に国会予算委員会で話し合わなければならない課題はここにあります。

念のために申し上げておきますと、3月のマイナス成長は「持家の帰属家賃」を除けばプラス成長しています。

4月はエネルギー価格と持家に帰属する家賃、生鮮食品のノイズを全て除くとおそらくマイナス成長していますが、その理由は「衣類」の内の季節もの、そして家電の内「エアコン」などの季節ものの影響が大きかったですから、物価が下落しているにはしているなりのきちんとした理由があります。

ただ、それでもかつてのような勢いがなくなっていることは確かです。だからこそ「次の一手」が必要なんですけどね。


【消費者物価指数(10大費目別)の前年同月比】※( )内は2017年4月の前年同月比です。
食料 ウェイト:2623
0.8(0.9)

 生鮮食品 ウェイト:414
 0.4(1.8)
 生鮮食品を除く食料 ウェイト:2209
  0.8(0.8)

住居 ウェイト:2087
-0.2(-0.2)

 持家の帰属家賃を除く住居 ウェイト:589
  0.1(0.1)

光熱・水道 ウェイト:745
2.2 (0.9)

家具・家事用品 ウェイト:348
-1.1(-0.9)

被服及び履物 ウェイト:412
0.1(-0.1)

保健医療 ウェイト:430
0.3(0.2)

交通・通信 ウェイト:
0.3(0.3)

教育 ウェイト:316
0.6(0.7)

教養娯楽 ウェイト:989
0.6(0.6)

諸雑費 ウェイト:574
0.1(0.2)

4月度に昨対マイナスを付けた「被服及び履物」ですが、今月は無事プラスに回復。とはいえ未だ前年同月比0.1%と勢いに陰りが見えることは事実です。

【消費者物価指数(被服及び履物)の前年同月比】※( )内は2017年3月の前年同月比です。

ファッション

被服及び履物(ウェイト:412)
0.1(-0.1)

 衣料(ウェイト:174)
 0.2(-0.2)

  和服(ウェイト:6)
  0.2(0.2)
  洋服(ウェイト:167)
  0.2(-0.2)

 シャツ・セーター・下着類(ウェイト:123)
 -0.6(-0.7)

  シャツ・セーター類(ウェイト:87)
  -1.1(-1.2) 
  下着類(ウェイト:36)
  0.6(0.5)

 履物類(ウェイト:58)
 0.8(1.3)

 他の被服(ウェイト:34)
 -0.3(-0.2)

 被服関連サービス(ウェイト:24)
 0.8(0.8)

被服及び履物全体で見ますと、「衣料」の内、主力である「洋服」が-0.2から0.2に回復しており、これが被服及び履物全体をひきあげる主要因となっています。

一方、「シャツ・セーター類」が衣類物価を下落させる要因となっていますが、ここには季節ものである「セーター」が含まれていますので、大きく気に掛ける必要はないように思います。

「洋服」の回復が待たれるところですね。

【消費者物価指数(家事用耐久財)の前年同月比】※( )内は2017年3月の前年同月比です。
エアコン

家庭用耐久財(ウェイト:111)
-2.2(-2.2)

 家事用耐久財(ウェイト:57)
 -4.0(-3.7)

  電子レンジ(ウェイト:4)
  -10.3(-14.9)

  電気炊飯器(ウェイト:11)
  2.2(4.7)

  ガステーブル(ウェイト:3)
  5.0(4.2)

  電気冷蔵庫(ウェイト:16)
  -7.7(-8.4)

  電気掃除機(ウェイト:9)
  6.6(12.0)

  電気洗濯機(全自動洗濯機)(ウェイト:7)
  -18.6(-19.7)

  電気洗濯機(洗濯乾燥機)(ウェイト:7)
  -3.3(-5.1)

  冷暖房用器具(ウェイト:37)
  -1.7(-2.3)

   ルームエアコン(ウェイト:30)
   -2.6(-3.1)

   温風ヒーター(4)
   -1.1(-1.1)

   空気清浄機(3)
   7.7(4.7)

  一般家具(18)
  2.0(2.7)

   整理だんす(5)
   1.7(2.3)

   食堂セット(9)
   2.9(3.5)

   食器戸棚(4)
   0.2(1.6)

物価の足を引っ張る主要因となっている「家具・家事用品」の内、「家事用耐久財」。
ですが、4月度に物価マイナス成長を記録していた家電製品も、5月は軒並みそのマイナス幅を縮小させています。

「家事用耐久財」が0.3%悪化した理由としては、物価が下落する品目よりも、物価が上昇している品目の上昇幅が縮小しているところに原因があるようです。ただ、それでも殆どの品目が1%を超える物価上昇を記録していますから、物価が上昇している品目の事を気にする必要はないかと思います。

やはりネックとなるのは「家電製品」たちですね。


この他、「住居」がマイナスを記録していますが、「持家に帰属する家賃」を除けば0.1%のプラス成長を記録しており、今回の「10大費目」に於いてマイナスを記録したのは「家具・家事用品」のみ。

ただ、それでも全体として「伸び悩んでいる」のは明らかで、安倍内閣らしい「新たなる一手」を本当に心待ちにしています。

国民の生活の基盤は、「森友」や「加計」の「忖度」を問題視するのではなく、その「忖度」こそがまさに「地方創生」としての役割をになっており、私たち日本国民の生活水準を引き上げる為の大きな役割を果たしていることを認めることにこそあります。

「野党」の役割は国会をひっちゃかめっちゃかにかき乱すことにあるのではなく、政府の政策を私たち一般国民が理解できるように質疑を行い、本当に問題なのは何なのかということをわかりやすくするためにあります。

「党利党略」しか頭にない三流野党には、さっさと「国会」という舞台から消え去ってほしいですね。


この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


<継承する記事>
第326回 2017年度(平成29年度)4月分消費者物価指数が発表されました。

第326回の記事では、2017年度(平成29年度)4月分CPI(消費者物価指数)を全体から俯瞰(ふかん)した上で、「消費者物価指数(総合)」の内、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が横ばいであること、そしてここから更に「持ち家の帰属家賃」の影響を除外して尚上昇していないことを理由に、今が「アベノミクスの正念場」であることをお伝えしました。

ただ、一般紙のニュースでは生鮮食品を除く総合(コアCPI)が前年比で上昇していることを理由に、

 「4月の全国消費者物価、0.3%上昇 4カ月連続プラス 」

というタイトルでの記事がほぼすべてでした。ですが、ここには「エネルギー物価の上昇」が含まれており、エネルギー物価の上昇は日本国経済に対してデメリットしか与えませんから、本来「エネルギー物価」を取り除いた数字で比較することが大切です。

その数字こそが「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」なのですが、このことをタイトルに上げ、記事の中心にしている一般紙はありません。取り上げていない、というわけではないのですが、余り着目されていない、ということです。

もし私が新聞記者であり、安倍内閣を叩きたいのであれば、今がまさにそのポイントで、タイトルとして全面的に取り上げていると思うのですが、そこは所詮マスコミ、というところでしょうか。


ただ、その理由として前回の記事では全体が伸び悩んではいるものの、特に「家具・家事用品」と「被服及び履物」が前年度割れしており、影響が大きいこと、そしてこれまで「物価の優等生」であった「被服及び履物」の物価下落はこれまで見られない状況であったため、特にこの「被服及び履物」の消費者物価について大きく取り上げました。

今回の記事では、もう一つ物価を伸び悩ませている理由、「家具・家事用品」について記事として取り上げてみたいと思います。


「家具・家庭用品」の消費者物価指数

【消費者物価指数(家具・家庭用品)の前年同月比】※( )内は2017年3月の前年同月比です。
家具・家事用品(ウェイト:348)
-0.9(-0.8)

 家庭用耐久財(ウェイト:111)
 -2.2(-1.6)▲0.6

 室内装備品(ウェイト:25)
 -3.8(-3.4)▲0.4

 寝具類(ウェイト:27)
 1.3(2.2)

 家事雑貨(ウェイト:72)
 1.4(1.4)

 家事用消耗品(ウェイト:86)
 -1.4(-2.3)

 家事サービス(27)
 0.1(0.1)

今回のタイトルにある、「2017年度(平成29年度)4月分CPIが伸び悩む理由」としては、前回記事にした「被服及び履物」の大幅な下落が最大の理由で、それ以外の項目に関しては今回記事にする「家具・家事用品」の物価下落よりも、その他の項目の「上昇幅の縮小」の方が理由としては大きいのですが、それでもこの「家具・家事用品」が下げ止まりさえすれば物価が持ち為す事も事実です。

今月の「家具・家事用品」の傾向としては、全体で-0.9から-0.8に前年同月比マイナス幅が縮小している形にはなります。
「家具・家事用品」を構成する6つの中分類品目の内、前年度割れを記録しているのは「家庭用耐久財」・「室内装備品」・「家事用消耗品」の3つ。

この内「室内装備品」に関しましては、消費増税が行われた増税年度を省き、平成6年以来継続して前年度割れを記録していますので、これは今月に起きている特色ではない、と考えますので、今回の対象からは省きます。ちなみに「室内装備品」の物価を大きく下落させている最大の理由は「照明器具」の-15.9%、カーペットの-0.5%です。

「家事用消耗品」に関してはトイレットペーパーやティッシュペーパー、洗剤類など、石油精製品の影響が大きく見られます。

ということで、毎度おなじみの様になりましたが、「家事用耐久財」の消費者物価指数です。

エアコン

【消費者物価指数(家事用耐久財)の前年同月比】※( )内は2017年3月の前年同月比です。
家庭用耐久財(ウェイト:111)
-2.2(-1.6)▲0.6

 家事用耐久財(ウェイト:57)
 -3.7(-3.8)

  電子レンジ(ウェイト:4)
  -14.9(-26.0)

  電気炊飯器(ウェイト:11)
  4.7(2.0)

  ガステーブル(ウェイト:3)
  4.2(3.0)

  電気冷蔵庫(ウェイト:16)
  -8.4(-5.5)▲2.9

  電気掃除機(ウェイト:9)
  12.6(12.0)

  電気洗濯機(全自動洗濯機)(ウェイト:7)
  -19.7(-18.4)▲1.3

  電気洗濯機(洗濯乾燥機)(ウェイト:7)
  -5.1(-2.1)▲3.0

  冷暖房用器具(ウェイト:37)
  -2.3(-0.4)▲1.9

   ルームエアコン(ウェイト:30)
   -3.1(-0.7)▲2.4

   温風ヒーター(4)
   -1.1(1.0)▲1.9

   空気清浄機(3)
   4.7(0.1)

  一般家具(18)
  2.7(2.9)

   整理だんす(5)
   2.3(3.2)

   食堂セット(9)
   3.5(3.3)

   食器戸棚(4)
   1.6(1.6)


全体を見てマイナス幅を拡大させているのは電気冷蔵庫、電気洗濯機(全自動洗濯機)、電気洗濯機(洗濯乾燥機)、冷暖房用器具の4項目。「ウェイト(=重要度)」を見ますと、冷蔵庫が16、全自動洗濯機が7、洗濯乾燥機が7、そして冷暖房用器具が37となっています。

特に「冷暖房用器具」の内、「ルームエアコン」は30。

こうしてみますと、2017年度4月の消費者物価指数を下落させたのは「ルームエアコン」そして「衣類」だということが分かりますね。

「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」から更に「持ち家の帰属家賃」の影響を除外して考えますと、3月の「生鮮食品及びエネルギー及び持ち家の帰属家賃を除く総合」が0.1%から4月は0.0%に、0.1%成長から横ばいへと縮小しているのではないか、と私は考えています。

で、その0.1%の伸び率を縮小させた最大の理由が「衣類」と「ルームエアコン」。共に「季節もの」を代表するような品目です。

勿論4月度の「家事用耐久財」全体の前年同月比が「-2.2」と大幅に下落しており、消費者物価全体に対してネガティブな要素となっていますから、ここが改善することで初めてアベノミクスの求める「物価上昇」は漸く現実味を帯びてくることとなります。

ただ、4月度の伸び悩みは、どうやら「季節もの品目」の買い渋り、もしくはクリアランスセール等の影響ではないかと推測されます。

それにしても「加計問題」で大騒ぎしていますがあれ、本当日本国にとってデメリットしかないと思います。
もっと大切な問題はたくさんあります。CPIを上昇させるためにもう一段階アクセルをふかすような「財政政策」もそろそろ必要になるのではないでしょうか。

エネルギー物価が上昇に転じている今、まさに絶好のタイミングだと思います。

そういった前向きな議論がまったくできない。もしくは「させない」ためにわざとやっているのかどうかは知りませんが、それにしても民進党の面々はいい加減にしてほしいですね。


この記事のカテゴリー >>「物価」の見方


さて、いよいよ統計データも2016年度から2017年度へと年度替わりをいたしました。
本日は2017年6月5日なのですが、消費者物価指数が公表されたのは5月31日。5日遅れの記事になります。

消費者物価指数をみる際のおさらいですが、

1.消費者物価指数「総合」を見る際は、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を見ること。
2.消費者物価指数「総合」を見る際は、「持家の帰属家賃及びエネルギーを除く総合」を合わせて参照すること。
3.「食料」は「生鮮食品を除く食料」の動向を見ること。
4.「住居」を見る際は「持家の帰属家を除く住居」を見ること。
5.「エネルギー価格」が含まれる項目(特に交通・通信)はエネルギー価格以外の物価にも着目すること。

この5原則を守ってデータを見る事が大切です。理由は 「物価」の見方 の過去記事をご参照ください。

それでは先ず「2017年度(平成29年度)4月分消費者物価指数」を「総合」と「十代費目別」でそれぞれ見てみます。


2017年度(平成29年度)4月分消費者物価指数
【消費者物価指数(総合)の前年同月比】※( )内は2017年3月の前年同月比です。
総合(ウェイト:10000)
0.2(0.3)

生鮮食品を除く総合(ウェイト:9586)
0.4 (0.2)

持家の帰属家賃を除く総合(ウェイト:8501)
0.5(0.3)

持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合(ウェイト:8087)
0.4(0.4)

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(ウェイト:8802)
0.0 (-0.1)

こちらは、「総合」を構成する項目です。既にお伝えした様に、この中で私が一番大切にしたい指数は「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」です。

残念ながら前年同月比 0% と横ばいになっています。ただ、原則の2番目にありますように、この数字には「持家の帰属家賃」が含まれていますから、この「持家の帰属家賃」が含まれていない指数、即ち「持家の帰属家賃及び生鮮食品を除く総合」も参考にします。

そうしますと、その数値は0.4%とプラス成長していることが分かります。ただ、ここには今度は「エネルギー」が含まれていますので、できればエネルギーを除いたものも見てみたい・・・と私は常に思っています。

ちなみに、このイレギュラー項目である「持家の帰属家賃」と「エネルギー」は以下の通りです。

持ち家の帰属家賃(ウェイト:1499)
-0.3(-0.4)

エネルギー(ウェイト:784)
4.5(3.9)

改めてご説明いたしますと、「ウェイト」とは各項目の「重要度」の事。最大が「総合」の10000で、各項目がこの10000の内一体どの程度の重要度を占めているのか、という数字です。

持ち家の帰属家賃とエネルギーを比較しますと、エネルギーの方がウェイトは低いのですが、前年同月比で1.6%も増加しています。

一方持家の帰属家賃は4月も3月も前年度比でマイナスを記録していますが、4月は3月より0.1ポイント改善しています。

「総合」で見ますと、「生鮮食品を除く総合」が0.2%から0.4%と0.2ポイント改善していますが、ここからエネルギーを除いた値は-0.1から0.0%と、0.1ポイントの改善となっています。同じく「持家の帰属家賃」を除いた値は0.4%から0.4%と横ばい。

「生鮮食品を除く総合」の3月の前年同月比が0.2%、更にエネルギーを除いた値が-0.1ですから、3月の「総合」の内約0.3%がエネルギーによって占められていることになります。

一方4月を見てみますと、「生鮮食品を除く総合」の4月の前年同月比が0.4%、更にエネルギーを除いた値が0.0ですから、4月の「総合」の内約0.4%がエネルギーによって占められていることになります。

「生鮮食品を除く総合」から更に「持家に帰属する家賃」を除いた前年同月比が3月、4月とも0.4%ですから、ここからエネルギーによって占められていると考えられる割合を差し引くと「生鮮食品、エネルギー、及び持家に帰属する家賃を除く総合」は前年同月比0.1%から0.0%に下落しているのではないか・・・と推測することができます。

あくまでも非常にざっくりとした概算ですが。

安倍内閣、及び日銀が取り組んできた「アベノミクス」ですが、いよいよ正念場を迎えたのではないか、というのが私がこの月の消費者物価指数を見た現時点での印象です。

【消費者物価指数(10大費目別)の前年同月比】※( )内は2017年3月の前年同月比です。
食料 ウェイト:2623
0.9(0.5)

 生鮮食品 ウェイト:414
 1.8(-0.4)
 生鮮食品を除く食料 ウェイト:2209
  0.8(0.7)

住居 ウェイト:2087
-0.2(-0.2)

 持家の帰属家賃を除く住居 ウェイト:589
  0.1(0.2)

光熱・水道 ウェイト:745
0.9 (-0.8)

家具・家事用品 ウェイト:348
-0.9(-0.8)

被服及び履物 ウェイト:412
-0.1(0.6)

保健医療 ウェイト:430
0.2(0.5)

交通・通信 ウェイト:
0.3(0.2)

教育 ウェイト:316
0.7(1.0)

教養娯楽 ウェイト:989
0.6(0.7)

諸雑費 ウェイト:574
0.2(0.4)

軒並み、先月の前年同月比を下回っていますね。
勿論、実際に前年の実績を下回っているのは「家具・家庭用品」及び「被服及び履物」の2項目だけですから、実績として悪化している、とは言えないと思います。

これまで「物価の優等生」であり続けた「被服及び履物」がマイナスへと転じていることは一番大きな部分かもしれませんね。
では、この「被服及び履物」の項目を少し深堀してみます。

ファッション


被服及び履物の消費者物価指数

【消費者物価指数(被服及び履物)の前年同月比】※( )内は2017年3月の前年同月比です。
被服及び履物(ウェイト:412)
-0.1(0.6)

 衣料(ウェイト:174)
 -0.2(0.2)▲0.4

  和服(ウェイト:6)
  0.2(0.0)
  洋服(ウェイト:167)
  -0.2(0.2)▲0.4

 シャツ・セーター・下着類(ウェイト:123)
 -0.7(1.0)▲1.7

  シャツ・セーター類(ウェイト:87)
  -1.2(0.9)▲2.1 
  下着類(ウェイト:36)
  0.5(1.1)

 履物類(ウェイト:58)
 0.5(1.1)

 他の被服(ウェイト:34)
 -0.2(-0.1)

 被服関連サービス(ウェイト:24)
 0.8(0.9)

見てみますと、被服及び履物の物価を大きく引き下げているのが「洋服」そして「シャツ・セーター類」の2項目であることが解ります。では、この項目をもう少し深堀してみましょう。

【消費者物価指数(洋服)の前年同月比】※( )内は2017年3月の前年同月比です。
洋服(ウェイト:167)
-0.2(0.2)▲0.4

 男子用洋服(ウェイト:51)
 0.3(0.1)

  背広服(春夏物,中級品)(ウェイト:6)
  1.2(2.4)
  背広服(春夏物,普通品)(ウェイト:4)
  2.3(0.5)
  背広服(秋冬物,中級品)(ウェイト:6)
  -3.8(-3.8)
  背広服(秋冬物,普通品)(ウェイト:4)
  1.0(1.0)

  男子用上着(ウェイト:7)
  1.0(1.0)

  男子用ズボン(春夏物)(ウェイト:7)
  0.4(-1.6)
  男子用ズボン(秋冬物)(ウェイト:6)
  1.4(1.4)
  男子用ズボン(ジーンズ)(ウェイト:2)
  1.2(1.4) 

  男子用コート(ウェイト:5)
  -1.6(-1.6)
  男子用学校制服(ウェイト:5)
  1.0(1.2)

 婦人用洋服(ウェイト:95)
 0.6(1.2)

  婦人用スーツ(春夏物,中級品)(ウェイト:6)
  -3.2(-3.6)
  婦人用スーツ(春夏物,普通品)(ウェイト:3)
  -0.2(0.4)
  婦人用スーツ(秋冬物,中級品)(ウェイト:4)
  0.9(0.9)
  婦人用スーツ(秋冬物,普通品)(ウェイト:3)
  4.0(4.0)

  ワンピース(春夏物)(ウェイト:7)
  -3.8(-0.4)▲3.4 
  ワンピース(秋冬物)(ウェイト:6)
  -0.6(-0.6)

  婦人用上着(ウェイト:11)
  6.7(10.1) 

  スカート(春夏物)(ウェイト:4)
  0.4(-1.5)
  スカート(秋冬物)(ウェイト:4)
  2.4(2.4)

  婦人用スラックス(秋冬物)(ウェイト:12)
  6.6(6.6)
  婦人用スラックス(ジーンズ)(ウェイト:16)
  -4.4(-4.6)

  婦人用コート(ウェイト:14)
  -0.3(0.3)

  女子用学校制服(ウェイト:5)
  2.1(2.3)

 子供用洋服(ウェイト:21)
 -5.4(-4.2)▲1.2 

 男児用ズボン(ウェイト:7)
 -5.5(-6.1)

 女児用スカート(ウェイト:11)
 -6.6(-4.3)▲2.3

 乳児服(ウェイト:3)
 -0.1(1.0)▲0.9

マイナス幅の大きな品目もありますが、3月のマイナス幅と比較する上で傾向として大きいのは、子ども向け洋服の物価が全体的に大きく値を下げているイメージがありますね。

私自身は子供服を買う機会がありませんので実感がありませんが、全体的に値段が下がる傾向があるのでしょうか?
別途調査が必要な分野なのかもしれません。この傾向は2年近く続いている様です。

「被服及び履物は物価の優等生」という印象が強かったですから、私のチェックしていなかった分野ですね。

【消費者物価指数(シャツ・セーター・下着類)の前年同月比】※( )内は2017年3月の前年同月比です。
シャツ・セーター・下着類(ウェイト:123)
 -0.7(1.0)▲1.7

 シャツ・セーター類(ウェイト:87)
 -1.2(0.9)▲1.3

  男子用シャツ・セーター類(ウェイト:26)
  0.7(1.9)

  婦人用シャツ・セーター類(ウェイト:54)
  -2.1(0.6)▲1.5

  ブラウス(長袖)(ウェイト:4)
  0.5(-0.5)▲1.5
  ブラウス(半袖)(ウェイト:7)
  -2.2(0.7)▲1.5
  婦人用Tシャツ(長袖)(ウェイト:10)
  -2.3(-0.8)▲1.5
  婦人用Tシャツ(半袖)(ウェイト:14)
  -2.2(0.6)▲2.8
  婦人用セーター(長袖)(ウェイト:15)
  -2.1(1.2)▲3.3
  婦人用セーター(半袖)(ウェイト:4)
  -3.5(2.7)▲6.2

 子供用シャツ・セーター類(ウェイト:7)
 -1.5(-0.1)▲-1.4

  子供用Tシャツ(長袖)(ウェイト:3)
  -1.8(-3.2)
  子供用Tシャツ(半袖)(ウェイト:3)
  -1.2(2.9)▲4.1

 下着類(ウェイト:123)(ウェイト:36)
 0.5(1.1)

  男子用下着類(ウェイト:123)
  1.3(2.2)
  婦人用下着類(ウェイト:123)
  -0.2(0.2)▲-0.4
  子供用下着類(ウェイト:123)
  1.8(2.2)

この項目を見ますと、特に女性用のシャツ・セーター類のマイナス幅が大きいですね。
季節の変わり目で、買い控えが起きている様にも見えますね。

季節特有の現象である可能性もありますので、5月、6月と引き続き動向を追いかけてみる必要はありそうです。
10大費目別の物価で、エネルギー関連を除けば軒並み上昇幅が減少している中ではありますが、特に4月の特徴としてこの「被服及び履物」の分野がもたらしている影響は大きいですから。

次回記事では、もう一つ物価を下落させているポイントである、「家具・家事用品」について調査してみたいと思います。
何となく結果は見えてますけどね。


この記事のカテゴリー >>日本の税収の見方


さて。本日は2017年6月4日ですが、6月の月初に、2016年度4月分税収が公表されています。

第317回の記事 でお伝えしましたが、2016年度9月まで、ほぼ毎月記事にしていた税収の話題なのですが、消費税の納税方法の観点から、毎月記事を更新することそのものに意味がないことに気づかされてしまったため、それ以降は税収に関連した記事を中断していました。

理由は 第317回の記事 をご参照いただければと思います。

ただ、いよいよ先月、2016年度3月より、2016年度の実績に伴った消費納税が本格的に行われ始めたのではないか、と推測されるため、先月より再び記事を作成しています。

政府会計年度に於ける2016年度は実際には3月で終了するのですが、税収に関しては特に法人税、及び消費税の申告期限が、「事業年度終了の日の翌日から2か月以内」となっていますので、税収の会計年度は5月迄継続します。

他の税収に関しましても、遅れて納税されるケースもありますので、他の税収に関しても5月迄納税額は増加しています。

さて、それでは2016年度4月税収を見てみましょう。

【2016年度4月分税収】
2016年度4月分税収


私がこの「税収」にこだわるのは、私がこのブログで年間を通じて掲載している「GDP」や「消費者物価」、「賃金」などの統計に比べて、この「税収」という項目は、正確な「実数」であるから。

GDPや消費者物価、賃金等あくまでも「アンケート結果」に基づいて計測し、統計的手法を用いて算出した「概数」でしかありません。その数字が本当にあっているのかどうかを知る方法など、政府機関も含めて誰も持ち合わせていないのです。

ところが、この「税収」だけは違います。
実際に企業が営業活動に応じて手にした売り上げや利益の中から、実際に納税した金額を集計して計測した「実数」なのです。

もちろん納税する側が正確に申告し、納税しているのかという問題はありますが、その部分を除けば「税収」ほどその年度内の経済状況を正確に反映しているものはありません。私が統計指標として「税収」を大切にしている最大の理由はこれです。

また、同時に既に述べていますように、「税収」はその項目によって集計方法や納税するためのルールが異なりますから、最終月、5月の時点で大どんでん返しがあることもありますので、税収からその年度の景気を予測する私としましては、本当にこのデータを示すのは、「戦々恐々」です。

では、4月度の税収の内、3大税収である「所得税」「法人税」「消費税」をピックアップしてみましょう。

【2016年度3月分税収】
所得税合計
4月分 2,654,259 前年同月比 100.9←117.2
累計 17,535,996 前年同月比  98.9←98.5
予算前年度比 99.5% 進捗 99.0% 前年度 99.6%

 源泉徴収分
 4月分 1,142,385 前年同月比 102.6←123.8
 累計 14,475,021 前年同月比  98.1←97.7
 予算前年度比 99.2% 進捗 98.8% 前年度 98.1%

 確定申告分
 4月分 363,233 前年同月比 99.6←111.5
 累計 1,511,874 前年同月比 103.0←106.5
 予算前年度比 100.7% 進捗 100.2% 前年度 98.0%

法人税 
4月分 411,243 前年同月比 91.6←110.6
累計 5,593,693 前年同月比 94.1←94.3
予算前年度比 102.9% 進捗 53.9% 前年度 58.9%
消費税
4月分 1,795,323 前年同月比 101.9←100.4
累計 14,250,596 前年同月比 96.6←95.8
予算前年度比 96.4% 進捗 84.8% 前年度 84.7%

一般会計税収総額
4月分 5,510,848 前年同月比  100.2←101.5
累計 47,580,778 前年同月比  97.9←97.7
予算前年度比 99.2% 進捗 85.2% 前年度 86.3%

さて。中々微妙な数字ですね・・・。
「所得税」に関しましては、年間を通じて最も大きな数字が出てくる月が4月、つまり今回の統計結果となっています。
前年度比として0.4%足りていませんが、5月度でどこまでこの数字をカバーできるかが肝ですね。

「所得税」の中でも確定申告分は累計で前年度比103%を達成しており、所得税の予算前年度比が100.7%、この数字に対する進捗割合が100.2%となっていますので、既に前年度をオーバーしていることが確定しています。

「法人税」と「消費税」の税収が年間で最も大きくなるのは次月である5月。

一般会計税収総額は前年度比97.9%。その額は約1兆円です。
法人税が▲3746億円、消費税▲5090億円。

所得税源泉徴収分差額が▲2871億円所得税申告分が+882億円。所得税全体としては▲1988億円。
所得税5月分は毎年全体で700億円~800億円ですから、どう頑張っても所得税全体でのマイナス分を取り返すことは難しいと思われます。

つまり、所得税収は前年度割れ。この理由として、私が居住する四国の所得税状況として、事業主が納める申告分所得税は増えたものの、投資から生まれる所得税が減少したため、前年度割れをした、との報道がありました。つまり、実体経済によらない、金融頼みで収益を得ていた人たちの所得が減収したということです。

これを見ても、私がさんざんお伝えしている通り、「金融頼み」ではなく、「労働の対価」として支払われる「給与」や「経営」によって所得を得ることが大切であることがよくわかります。

話が少しそれましたが、所得税で落とすことがほぼ確定している税収分を果たして法人税及び消費税で賄うことが出来るのか。この差額を5月一月で解消できるのか、という部分が見所ですね。

ちなみに、2015年度5月のデータによりますと、法人税収は4兆5889億円。消費税収は4兆1253億円。共に4兆円を上回る税収です。この2税で、4月分で前年度割れしている1兆円分を補てんすることが出来るのか。

本当にドキドキものです。


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