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この記事のカテゴリー >>ナチスドイツは一体なぜ誕生したのか?


<継承する記事>第471回 ヴェルサイユ条約と敗戦後ドイツの「ハイパーインフレーション」

私自身の多忙さと年金の話題を挟みましたので、少し和数が飛びましたが、改めて ドイツ近代史のシリーズ を再開してみたいと思います。

時系列的には 第468回の記事 でスパルタクス団蜂起について記した上で、当時のドイツの共産主義の象徴であったカール=リープクネヒトとローザ=ルクセンブルクが処刑されたことを、第471回の記事 で戦後ドイツでハイパーインフレーションをもたらす直因となった「ヴェルサイユ条約」について、第475回の記事 で「ナチス政権を誕生させることなった」ワイマール憲法について記事にしました。

時系列的に記しますと、

1919年1月5日 スパルタクス団蜂起
1919年1月15日 リープクネヒトとルクセンブルク、処刑
1919年6月28日 ヴェルサイユ条約調印
1919年8月11日 ワイマール憲法制定
1919年8月14日 ワイマール憲法公布・施行
1920年1月10日 ヴェルサイユ条約発効
1923年1月 フランス・ベルギーによるルール占領

このような流れになります。スパルタクス団はその残党により、3月にも暴動を起こすのですが、1月の蜂起を鎮圧したグスタフ・ノスケにより鎮圧。

グスタフは更に1919年4月6日にバイエルンで樹立した「バイエルン・レーテ共和国」も打倒します。(1919年5月3日)


バイエルン・レーテ共和国とアドルフ・ヒトラー

バイエルン・レーテ共和国の面白いところは、非常に短期間の間に「ブルジョワによる革命」→「プロレタリアによる革命」という経緯をたどっているという事。

一応、皆様ご存じだとは思いますが、ドイツにおけるバイエルンの位置はこちらです。

バイエルン州


バイエルン共和国の誕生

バイエルンにおける革命は三度発生しているようで、まずは1918年11月7日夜半。「バイエルン王国」であった時代に、独立社会民主党の指導者であるクルト・アイスナーがバイエルンの王家であるヴィッテルスバッハ王家の廃止とバイエルン共和国の樹立を宣言。

ベルリンでフィリップ・シャイデマンがドイツ共和国樹立を宣言したのが1918年11月9日ですから、それに先駆けてバイエルン共和国が誕生したことになります。

アイスナーの特徴的だったのは、ベルリン政府(プロイセン)に対して反発的な姿勢を見せた事。

バイエルンは、普仏戦争によってビスマルクがドイツを統一 した後も、法制度的にはプロイセンには合流せず、「自由都市」としての立場を貫きましたね?

第426回の記事 で、元々南ドイツには北ドイツとの統合に否定的な「分離主義者」が多かったことを記しました。

ビスマルク自身もそれを認識していて、南ドイツで主に信仰されていたカトリック。その信者によって構成されていた「ドイツ中央党」の動きを抑えることを目的としてカトリックを弾圧していました。(文化闘争)

しかし、1873年恐慌の勃発を受け、自由貿易から保護貿易への転換が必要であると直感したビスマルクは、中央党を味方に引き入れるため、中央党との和解を図ることとなりました。

このような経緯から見てもご理解いただけると思いますが、バイエルン人の中には元々プロイセンに対する反発心が内在していたんですね。自分たちは「ドイツ人」ではなく「バイエルン人」である、と。

ですから、第一次世界大戦に対しても、「プロイセン王(ヴィルヘルム二世)が勝手に起こした戦争」であり、バイエルンがこれに巻き込まれたという意識を持っていた人も少なくはなかったわけです。

ただ、アイスナー自身も確かに独立社会民主党の党員であったものの、共産主義者たちが目指す「プロレタリア独裁政府の誕生」とは距離を取っていて、このようなアイスナーのあいまいな姿勢は社会主義者たちからも反発を買うことになりました。

アイスナーを支持した社会主義者たちは彼の下から離反し、代わりに1919年1月の選挙では、カトリックによって構成される保守的な「バイエルン人民党」が第一党となり、独立社会民主党はわずか3議席しか取れずに敗北。アイスナー自身は右派の青年将校によって暗殺されてしまいます。

しかし、この暗殺事件がかえって独立社会民主党と社会民主党の結束を深め、政権を維持することとなりました。


バイエルン=レーテ共和国の誕生

独立社会民主党と社会民主党が結束を深め、政権を維持することとなったわけですが、アイスナーから離反し、共産党を結成した面々や、その他の左派連中からはこの事が好ましくは思われませんでした。

そして1919年4月6日、独立社会民主党のエルンスト・トラーと無政府主義者(アナキスト)のグスタフ・ランダウアーが中心となって革命が勃発。首相であった社会民主党ヨハネス・ホフマンはミュンヘンを追われ、バイエルン・レーテ共和国が誕生しました。

ですが、更にその1週間後、今度はこの事に不満を持った共産党が、ロシア出身のオイゲン・レヴィーネを中心としてエルンスト・トラーらが作ったレーテ共和国を打倒。改めてバイエルン・レーテ共和国の樹立が宣言されました。

共産主義者の理想は

1.ブルジョワ革命による貴族政権の打倒
→2.プロレタリア革命によるブルジョワ政権の打倒
→3.プロレタリアによる独裁政権の樹立

にあるわけですから、これほど理想的な共産主義政権の誕生の仕方はありません。

当時はロシアでレーニンらによるソビエト政権が誕生した直後で、第三インターナショナル(コミンテルン)が樹立され、世界中で共産主義革命を起こすこと(世界革命)が目論まれていましたから、レーニンらにとってみればこれは快哉を叫ぶ思いだったかと思います。


政治家、アドルフ・ヒトラーの登場

さて、このようにロシア共産党(コミンテルン)に指導される形で、「ドイツ共産党」の主導で誕生した「バイエルン・レーテ共和国」。

当然その運営は「レーテ(評議会)」によって行われます。

バイエルン・レーテ共和国が誕生したのは1919年4月13日。その2日後、4月15日に、ミュンヘンのレーテ予備大隊評議員の選挙が行われました。

この時、当選者の一人として名前があったのがあの「アドルフ・ヒトラー」です。

アドルフ・ヒトラー

ヒットラーが初めて政治の場に姿を現した瞬間でもありました。


バイエルン・レーテ共和国の滅亡

さて。このようにして誕生した「バイエルン・レーテ共和国」ですが、冒頭にも記しました通り、ドイツ国中央政府のグスタフ・ノスケ国防相率いるワイマール共和国軍他、ドイツ義勇軍によって1919年5月1日~5月3日の3日間にかけてあっという間に占領されてしまいます。

崩壊する寸前、共産党は人質としてとらえた人々を虐殺。その後、レーテ共和国は滅亡します。

その後、政権は再び共産党によってミュンヘンから追い出されたはずのヨハネス・ホフマンの下へと戻ることになるのですが、政権は事実上、中央政府軍の下に置かれることとなります。

で、その占領軍による「レーテ共和国にかかわったもの似たいする」「残虐行為」が多発したのだとか・・・。

ロシアからやってきたオイゲン・レヴィーネは7月5日に処刑。エルンスト・トラーは1925年まで投獄されることとなりました。

一方、この時ヒットラーは占領軍により「革命調査委員会」の委員として任命されます。革命調査委員会に、クーデターの最中に政治活動をしていた人物に共産主義の傾向があるかどうかを調べる役割が与えられていました。

ヒットラーは、この時の働きが認められて「帰還兵への政治教育を行う啓発教育部隊」に配属されることとなりました。


この後、バイエルンでは「右傾化」が進み、数多くの右翼政党が誕生することになりました。その中の一つに、「ドイツ労働者党(後の国家社会主義ドイツ労働者党=ナチス)があります。

ただし、「我が闘争」を読み進める限り、この「ドイツ労働者党」は元々左翼政党であったはずなんですよね。ここにヒットラーが加入することにより、徐々に「右傾化」していったという事でしょうか。

これは、「我が闘争」に関連した記事を記すときに明らかにしていってみたいと思います。

次回記事では、第351回の記事 と多少話題が重なるのですが、この後、ベルリンで起きる「カップ一揆」以降の話題を深めていきたいと思います。


次回備忘録 ヴァルター・フォン・リュトヴィッツ

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この記事のカテゴリー >>GDPの見方


先日、本年度第一四半期のGDPの一時速報が発表されましたので、本日はこの内容について記事にしてみたいと思います。

いつもGDPが速報がなされる時にはあちら側界隈の皆さんが大騒ぎしているのですが、どうも今回はその雰囲気がありません。まるで発表がなされなかったかのように、本当に静かなまま一日が過ぎていきました。

理由はただ一つ。公表された結果が好調だったからです。

【日本経済新聞 2019/08/9より】
GDP1.8%増、消費堅調で想定外の伸び 4~6月年率

内閣府が9日発表した2019年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.4%増、年率換算では1.8%増だった。プラス成長は3四半期連続。改元に伴う大型連休で個人消費が伸びたほか、設備投資も増えた。米中貿易摩擦の影響で輸出は停滞が続いたが、内需が経済を下支えした。

4~6月期は大型連休や天候による消費押し上げ効果が大きかった。QUICKがまとめた民間エコノミストによる事前予測の中心値(前期比年率0.4%増)を大きく上回った。

GDPの半分以上を占める個人消費は前期比0.6%増で、3四半期連続のプラスとなった。4月末から5月にかけての10連休で、旅行などレジャー関連の消費が盛り上がった。新型車の発売が相次いだ自動車の販売も好調だった。5~6月に気温が高めに推移したことで、エアコンが早めに売れ出したこともプラスに働いた。

内需のもう一つの柱である設備投資は1.5%増えた。建設関連の需要が強く、1~3月期の0.4%増から上昇幅が拡大した。サービス業を中心に人手不足に伴う省力化投資も引き続き活発だ。

公共投資は1.0%の増加。18年度の補正予算が執行段階に入り、伸びにつながった。GDPの伸びに対する内需の寄与度は全体で0.7ポイントのプラスだった。

外需は中国や欧州など海外経済の減速で弱い動きが続いた。輸出は0.1%減で、2四半期連続のマイナスだった。米中の貿易摩擦などから海外での需要が減速し、半導体製造装置や金属加工機械などの中国向け輸出が落ち込んだ。

輸入は1.6%増で、2四半期ぶりに増加したが、1~3月期(4.3%減)からの戻りは鈍い。輸出から輸入を差し引く外需のGDPへの寄与度は0.3ポイントのマイナスだった。海外経済の不透明感の高まりから、貿易活動が全体に縮小している可能性がある。

4~6月期のGDPは生活実感に近い名目でみると前期比0.4%増。年率換算では1.7%増だった。4~6月期は物価が伸びず、名目の成長率が実質をわずかに下回った。

日本経済は2018年7~9月期に自然災害が相次ぎ、マイナス成長に転落。続く10~12月期には、堅調な個人消費を支えにプラス成長に戻った。19年1~3月期は中国経済減速の影響で輸出や生産が減少した。ただ、輸入が輸出を上回って急減したため、計算上はGDPを押し上げ、年率2.8%の高い成長率となっていた。

今回の日経記事には、1か所だけ評価したい部分がございまして、それが次の画像です。

日経2019第一四半期

いつも掲載していますように、私はそもそも「年率換算」などといったフィクションの数字など全くあてにならないと思っていますし、「前期比」という数字は「季節調整」というその計算方法すら説明することが難しいような計算式が用いられていますので、その信憑性は非常に薄いと思っています。

上記画像はまさしく私が日頃痛烈に批判しています、その「季節調整」が行われた数字と、加えてGDP全体に関してのみ「年率換算」が行われた数字も掲載されています。

ですが、私がそれでも「評価したい」とする理由は、この表を見れば「実質」と「名目」をきちんと比較することができるからです。

季節調整列と前期比の数値としての信憑性はさておき、「年率換算」をクローズアップせず、「前期比」まででとどめていることももう一つ評価できる点です。年率換算なんて完全にフィクションの数字ですから、これを経済指標として用いることなど頭がおかしいとしか思えませんからね。

またもう一つ、4-6の第一四半期だけでなく、比較された昨年度の第4四半期の増減率も掲載されていますので、どのくらい成長したのかという事がよりわかりやすい表現にはなっていると思います。

記事全体も「年率換算」などというトンデモ数字で語ることはなく、「前期比」までできちん留めていまして、計算式によって生まれるバイアスが、より小さくとどまる様になっています。


GDP速報が全く騒がれなかった訳

さて。今回のGDP速報、マスコミ報道等で全く騒がれなかったわけですが、なぜ誰も騒がなかったのか。

理由は、マスコミがやけにクローズアップしています、「季節調整系列」「年率換算」「前期比」で、特に「個人消費」に該当する値があまりにも好調だったから。

例えば「民間最終消費支出」全体で前期比2.5%増。「家計最終消費支出」で2.5%。ここからさらなるフィクションの数字である「持家の帰属家賃」を取り除くとなんと2.7%増。

もちろん、このような数字が算出されたのは今回が初めてではないのですが、消費低迷を謳いたいマスコミやあちら側の人たちとしては歯ぎしりしたくなるほどの消費の好調さを示す数字がこれでもかというほどに並んでいるわけです。米中貿易摩擦、日韓関係悪化などで、どうしても消費は低迷していてほしかったわけですからね。

いい加減気づけばいいのに、と思います。「年率換算」や「前期比」の異常さに。


2019年度GDP第1四半期1次速報「前年同月比」

という事で、ここからは私の視点で「GDP統計」を見ていきます。

【2019年度GDP第一四半期第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 138.357 兆円(1.6%)

 民間最終消費支出 76.125 兆円(1.5%)
 家計最終消費支出 74.071 兆円(1.4%)
  除く持家の帰属家賃  61.537 兆円(1.6%)

 民間住宅  4.051 兆円(3.7%)
 民間企業設備 21.099 兆円(2.8%)

実質GDP
全体  132.460 兆円(1.2%)

 民間最終消費支出 74.448 兆円(1.0%)
 家計最終消費支出 72.480 兆円(1.0%)
  除く持家の帰属家賃  58.920 兆円(0.9%)

 民間住宅 3.702 兆円(2.9%)
 民間企業設備  20.477 兆円(2.4%)

内閣府


私が大切にしているのは「実質」よりも「名目」。「季節調整年率換算」よりも「原系列」。「前期比」よりも「前年同月比」。

なぜかと申しますと、すべての項目で前者よりも後者の方が計算式によって生まれるバイアスが少ないから。ゼロとは言いませんけどね。

計算式が少ない分、より実態に近い統計結果となっているんです。

それでも「実質」の情報を掲載しているのは、あくまでも参考のため。両方の伸び率を差し引くことで「物価上昇率」を算出することができますから。

その視点で申しますと、物価上昇率は

全体 0.4%

 民間最終消費支出 0.5%
 家計最終消費支出 0.4%
  除く持家の帰属家賃  0.6%

 民間住宅  0.8%
 民間企業設備 0.4%

となります。

政府が目指している物価上昇率は2%ですから、それを考えると「物価の伸び悩み」となるのかもしれません。

ただ、個人的には名目がきちんと成長しているのであれば、そこまで物価上昇率にこだわる必要はないと思います。

特に、「民間住宅」では名目が3.7%も成長しているんですから。物価が上昇していないんだから経済が~~という理屈にはならないと思います。国民がそれだけお金を使っているわけですからね。

日経の記事の中で、悔しさが感じられるのは文末の

日本経済は2018年7~9月期に自然災害が相次ぎ、マイナス成長に転落。続く10~12月期には、堅調な個人消費を支えにプラス成長に戻った。19年1~3月期は中国経済減速の影響で輸出や生産が減少した。ただ、輸入が輸出を上回って急減したため、計算上はGDPを押し上げ、年率2.8%の高い成長率となっていた。

どうしても日本国経済が不調であることにしたいんでしょうか?

わざわざ昨期の統計まで持ち出して日本国経済をディスっていますね。

ですが、まず「日本経済は2018年7~9月期に自然災害が相次ぎ、マイナス成長に転落」と記しています。

ですが、名目の「原系列」で見てみますと、確かに2018年7-9月の全体のGDPは-0.3%と前年度割れしていますが、内需でマイナスを記録しているのは「民間住宅」のみ。家計消費は1.4%、企業の設備投資は2.1%の前年度越えです。

7-9月のGDPが昨年度を割り込んだ理由は7-9月期の「純輸出高(輸出高-輸入高)」が前値年度を大きく下回ったから。自然災害が相次いだことは、全く関係ありません。

また、「続く10~12月期には、堅調な個人消費を支えにプラス成長に戻った」とありますが、これも誤りで10-12月の名目GDP原系列は横ばい。わずかながらマイナス成長で、しかも「個人消費」の成長率は7-9月期を下回っています。最大の理由は「純輸出高」が前年度を下回り、むしろマイナス成長していることが理由です。

また、「19年1~3月期は中国経済減速の影響で輸出や生産が減少した。ただ、輸入が輸出を上回って急減したため、計算上はGDPを押し上げ、年率2.8%の高い成長率となっていた」ともありますが、実は下落幅は輸入を輸出が大きく上回っており、これも日経の記事は全く逆の情報を記事としてあげています。

また更に、19年1~3月期は個人消費が0.8%増、企業の設備投資費に至っては3.4%増ですから、いかに日経の記事が的外れな内容となっているのかという事がとてもよくわかります。

今回、「前期比」という統計のバイアスがより多くかかるデータとは言え、「実質」と「名目」をきちんと比較できる形にし、更に昨期の情報まで比較できる形で情報を掲載したことは評価できますが、これほどに的外れな内容となっていることは、やはり私としては理解しかねる問題です。

「前期比」よりも「前年同月比」に着目し、きちんとした記事を作成してくれる新聞社が登場することを、私は願ってやみません。




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この記事のカテゴリー >>日本の年金


<継承する記事>第480回 年金に対する私の認識の誤りを「厚生年金勘定」から検証


第477回 改めて分析する基礎年金勘定~誤っていた私の分析結果~
第478回 年金制度に対する私の誤った分析結果を再検証します
第479回 年金に対する私の認識の誤りを「基礎年金勘定」から検証
第480回 年金に対する私の認識の誤りを「厚生年金勘定」から検証

上記4つの記事に続く第5弾目の記事です。

きっかけとなったのは第477回の記事 でお伝えしました通り、私が正しいと信じていた従来の「年金制度の仕組み」が誤っていたという事。

内容は重複しますのでここには記しませんが、その誤り方。どのように誤っていたのか。ではそれを検証したうえで、それでも年金制度は破綻しないと言い切れるのか。この点を検証しようと思いまして、今回のシリーズを作成しています。

一番大きなポイントとしては、国民年金勘定や厚生年金勘定に繰り入れられることなく、「基礎年金勘定」のみで運用されている「基礎年金」が存在したという事。

この部分が仮に国民年金勘定や厚生年金勘定に繰り入れられていたとしたら収支状況はどのようになっていたのかを示したグラフが次の二つ。

国民年金収支(基礎年金勘定分を含む)
厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

国民年金勘定については、2009年まで赤字でしたが、それ以降は黒字になっています。
厚生年金勘定については、赤字幅が狭まってこそいるものの、収支全体としては赤字です。

最新、2017年の収支状況で5.12兆円の赤字です。

ただし、このデータは私の独自の計算方法を用いて作成したものであり、厚生年金勘定については特に本来国民年金勘定に振り分けられるべきものも含まれていることから、データとしては必ずしも正確なものではないことをもお伝えしました。

また次に、「厚生年金勘定」の内、ここから基礎年金部分を全額取り除き、「厚生年金部分」のみをピックアップしてその推移を示したのが次のグラフ。

厚生年金部分収支推移

支出がほぼ増加しておらず、収入のみが増加しているため、収支差額こそ狭まっていますが、最新の2017年の段階でさえ0.54兆円の赤字。一貫して収支差額は赤字であったことがわかります。

ただし、私が作成したグラフとしては、

・「基礎年金部分から繰り入れ」られている部分がその年に亡くなる人の数までは考慮されておらず、「収入」から多めにマイナスされている事
・厚生年金加入者(納付者)の数が期首より期末の方が増えている事
・厚生年金納付者(納付企業)の中にも「未納者」は存在する事。

主にこの3つの理由が加味されていませんので、必ずしも正確な結果を現したものではありません。ですので、このグラフだけを以て、(現時点において)厚生年金部分収支が本当に赤字なのかどうか。これを断言するのは少し急ぎすぎかと思います。

今回の記事では、これらの前提条件を下に、今度は各年金勘定における「年金積立金」の推移を検証することで、では本当に年金会計は全体として危険な状態にあるのかどうか。その部分を検証してみたいと思います。


基礎年金勘定「積立金」から見る年金の財政状況

この部分に関しては第479回の記事 におきまして、記事としては既に取り上げていますね。

基礎年金勘定積立金+剰余金推移

こちらが基礎年金勘定の「積立金」の推移です。

「積立金+余剰金」としているのは、積立金にはその年度末時点での金額であり、その年に発生した「余剰金」は含まれていません。ですので、その年の「余剰金」と「積立金」を加えることで、翌年度の期首(4月時点)での各年金会計の正確な余剰資金を算出することができます。この事が理由です。

2011年までは順調に増加していた基礎年金勘定の「積立金」が翌12年、更に13年と減少しているその理由として、第479回の記事 におきまして、「基礎年金の国庫負担分」の引き上げのための財源を民主党内閣で震災復興のための予算として流用してしまったからだとお伝えしたと思います。

基礎年金勘定収支推移

こちらがその時にお示しした基礎年金勘定全体の収支状況です。今更ですが、私の年金に関する資料は、基本的に収入は「保険料収入」及び「国庫負担分」、支出は「保険料給付費」のみしか計算に加えていません。

年金収支にはそれ以外の項目もあるのですが、それを入れてしまうと焦点がぼやけてしまい、本当に「年金のシステム」だけでクロが出ているのか、もしくは赤字なのかという部分が見えてきにくいと思いますので、そのような方法をとっています。

ただし、「年金積立金」に関してだけはそのような算出方法が難しいので、すべての項目の収支が合算された結果の数字となっております。

基礎年金勘定の収支を見てみますと、12年、13年の収入が少なくなっていることがわかるともいます。ですので、この不足分が「積立金」をより繰り入れられたものと考えられます。

ただし、その上で更に2016年度、2017年度の基礎年金勘定の収支を見てみますと、2016年で296.87億円、2017年で1105.34億円それぞれ赤字出していて、基礎年金勘定積立金においてもその分マイナスが出ています。

単純に考えますと、基礎年金勘定ではその年に「納付される」ことが予測される金額が全額国民年金及び厚生年金勘定より繰り入れられています。

その年に亡くなった方へは給付がなされませんので、その分「基礎年金勘定」では資金が余ることになるはずなのですが、それでも尚積立金を削らざるを得ない状況であった、という事でしょうか?

2017年度は10月より年金の受給に必要な納付機関が25年から10年に短縮されましたので、これに伴う歳出の増加も原因として考えられますが、2016年に関してはそれでは説明が付きません。

制度として、基礎年金勘定で運用されているのは「昭和61年以降に受給者となった人」のみです。最も高齢の方で92歳を過ぎたあたりでしょうか?

厚生労働省が公表している最新の「簡易生命表」によりますと、男性の25%、女性の50%程度が90歳までは生きているのだそうです。

簡易生命表

その割合も年々増えているようですので、この辺りが想定を超えてきたのでしょうか?

これが「基礎年金勘定」の積立金を見た時点での、現時点での私の「予測」です。


国民年金勘定「積立金」から見る年金の財政状況

気を付けていただきたいのは、ここは「未納者」が多い項目で、その分余計に「年金積立金」から切り崩されて運用されている項目だという事です。

国民年金積立金+剰余金推移

動きとしますと、「基礎年金勘定」の積立金の推移とよく似た動き方をしていますね。

ただし、リーマンショックが起きた2008年と、その翌年の2009年を見ますと、順調に積立金が増えていた基礎年金部分とは異なる動きがみられます。

これは、リーマンショックに関連した動向で、「失業者」が増えた事。この事で年金を支払う事の出来ない「未納者」が一気に増えたのではないかと予測されます。

加えて2012年、2013年の落ち込み方も同様ですね。ここもおそらくは国庫負担増加に伴う財源を民主党内閣で年金ではなく震災復興のために使ってしまったことが一つの原因と考えられます。

ただ、震災に伴って失業者が増加し、同時に「未納者」が増えた事もその理由として考えられると思います。

もう一つ、「国民年金加入者」は毎年減少していて、国民年金勘定での「収入」は未納者の増減に関わらず減少していると考えられますので、安倍内閣以降の伸び悩みの理由の一つとして考えられなくはないかと思います。

ただし、「基礎年金勘定」の動向とも一致が見られることから、それ以外になにがしかの理由が考えられるのではないか、とも思います。


厚生年金勘定「積立金」から見る年金の財政状況

さて。回りくどく記事を書いてきましたが、実は私の中である一定の「結論」は出ています。

それが示されているのがこの「厚生年金勘定」における積立金の推移から見えてきます。

厚生年金積立金+剰余金推移

本心とすれば、実は2007年以前のデータも欲しいなと思っています。ただ、今の仕事の都合上、中々まとまった時間が取れませんので、現時点でわかっているデータから検証を進めていきます。

いかがでしょうか? このグラフを見ますと、安倍内閣以前と安倍内閣以後の「動向」が非常にわかりやすく見えてきませんか?

「厚生年金勘定」での積立金の推移を見てみますと、2013年を谷として、それ以前とそれ以後で明らかに動向が異なりますね。

2013年までは積立金が切り崩されており、2014年以降は逆に積み足されていることがわかります。

もう一度こちらのグラフをご覧ください。

厚生年金部分収支推移

こちらは厚生年金勘定の内、「厚生年金部分」の推移を示したグラフです。少なくとも見かけ上は「赤字」でしたね?
もちろん、「厚生年金積立金+剰余金推移」のグラフにはこの「厚生年金部分」のデータも含まれています。

では、先ほどの「厚生年金積立金+剰余金推移」のグラフから、「厚生年金部分」を取り除いてみるとどのようになるでしょうか。

厚生年金積立金(厚生年金部分を除く)

これが、「厚生年金積立金」から「厚生年金部分収支」を取り除いた「厚生年金積立金」の推移です。

ややこしいと思われるかもしれませんが、厚生年金全体の「積立金」から、「基礎年金部分以外の厚生年金保険料(+国庫負担分)」を加え、更に「厚生年金部分の給付費」をマイナスしたデータです。

つまり、もし年金制度が「基礎年金部分」だけで運用されていて、厚生年金会計における「2階部分」がなかったとしたら厚生年金勘定はプラスになるのか、マイナスになるのかというデータです。

ご覧の通り、厚生年金会計全体の収支同様基礎年金部分だけの収支も2013年以降プラスで推移していることがわかります。つまり、「厚生年金部分(二階部分)」では確かに年金会計は赤字かもしれませんが、それを差し引いても「厚生年金会計」全体では安倍内閣以降の収支はプラスだってことです。

こんなことを言うと、「厚生年金だけでいえば確かにそうかもしれないけど、年金会計全体ではどうせ赤字なんでしょ?」

という人もいるかもしれません。では、最後に「年金会計」全体の積立金の収支を見てみましょう。


年金勘定「積立金」全体から見る年金の財政状況

年金積立金+剰余金総額推移

いかがでしょうか? 厚生年金勘定の動きと同様、2013年まで減少し、それ以降は増加に転じていることがわかりますね?

年金積立金総額(厚生年金部分を除く)

こちらは年金積立金総額から「厚生年金部分」を取り除いた動きです。

いうまでもありませんが、当然「年金積立金総額」と全く同じ動きを見せています。

ちなみに、私が示している「年金積立金」にはGPIFによって運用された「運用益」は含まれていません。

最新の2017年のデータで、GPIFの運用を含まない積立金の総額は基礎年金部分まで含めて総額で122兆円ですが、GPIFの運用益をふくめると164兆円です(基礎年金部分は含みません)から、その違いは明らかですね。

ちなみに、安倍内閣がスタートした2013年の私ベースの年金積立金は108.56兆円。最新の2017年が正確には121.77兆円ですから、GPIFの運用に頼らずとも安倍内閣では年金制度全体で12.9兆円の「運用益」を増やしているってことです。GPIFではこれに加えて更に43兆円の利益が生まれているという事です。

5回に渡りまして、非常に回りくどい記事を作成しましたが、これが「結論」です。

もちろん将来にわたって確実に破綻しないかのような私の言い方は決して正しかったとは言えません。これは本当にお詫びしなければならない部分だと思います。

今回の調査で、「第二号被保険者」を増やし、年金会計を安定させていくことがいかに大切な事なのかという事がとてもよくわかりました。そのことは、私の記事にコメントをいただいた さの 様のおっしゃる通りです。

改めまして、私のこれまでの記事を信頼し、ひょっとすると情報ソースとしてご利用いただいたのではないかと思われる皆様に心よりお詫びを申し上げます。

結論としましては、現在の年金の運用方法に従って丁寧に運用していけば、年金制度は決して破綻を過度恐れる必要はないシステムだという事がわかりました。ただし、条件として「第二号被保険者」の数を増やしていくこと。そして安定させていくことが最低条件です。

改めて現在の安倍内閣の政策がいかに正しい政策を実行しているのかという事も実感させられています。

今後、新らしい記事を作成しながら、並行してという事にはなりますが、私の過去の年金に関連した記事で必要な部分を随時修正していきたいと思います。

今後とも、私のブログをどうぞ、よろしくお願いいたします。




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<継承する記事>第479回 年金に対する私の認識の誤りを「基礎年金勘定」から検証

第477回 改めて分析する基礎年金勘定~誤っていた私の分析結果~
第478回 年金制度に対する私の誤った分析結果を再検証します
第479回 年金に対する私の認識の誤りを「基礎年金勘定」から検証

の3つの記事に引き続き、私の年金制度に対する認識の誤りを検証し、また更にではどのように誤っていたのか、終局的な目的として、年金は本当に破綻しないと言い切れるのか。この事を目的とした記事としては第4段目。

今回は「厚生年金勘定」を分析することによって、年金の収支を測定する上での「ノイズ」を一つ取り除いてみたいと思います。

前回の記事では『次回以降記事では他会計の「積立金」も含めて、全体で年金収支の検証を行ってみます。』と記したのですが、もう一つ前置きとして今回の記事を作成しています。


「厚生年金勘定」のノイズ

「国民年金勘定」も「基礎年金勘定」も共に年金制度の1階部分。
年金制度2

上図でいう「国民年金(基礎年金)」部分の会計収支のみを現したものですが、「厚生年金勘定」では、この所謂「1階部分」に加えて「厚生年金部分」。つまり「二階部分」が含まれる特殊な年金勘定です。

厚生年金勘定がそもそも黒字なのか、赤字なのか。この事をきちんと算出するために、まずはこの厚生年金勘定の「ノイズ」である「厚生年金部分」に集中して記事を作成してみます。

厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

参考資料としてまずは厚生年金の「保険料」と「給付費」を私独自の計算方法を用いて比較した資料。上表をご覧ください。

この資料で見る限り、厚生年金を「基礎年金勘定+厚生年金部分」で合算して考えると、厚生年金勘定は「赤字」なのではないかとする推測が容易に成り立ちます。

ただし、このグラフの内、「基礎年金部分」に関しては、厚生年金受給者の内に、「国民年金のみを収めていた期間が含まれる受給者」も含まれていますので、単純にこれを「赤字である」と決めつけるわけにもいきません。

ですが、これを「厚生年金部分」に絞れば、ここには重複する受給者は含まれませんから、純粋に厚生年金収支における「厚生年金部分」が赤字であるか、黒字であるのかという事を図ることができます。

もったいぶることはしません。まずは結論から表示します。

厚生年金部分収支推移
※グラフとしてはまだ「未完成」ですから、転用はしないでください。どのように未完成なのかは後述します。

青が保険料収入。

(厚生年金保険料収入+国庫負担分)-基礎年金勘定へ繰入

という式です。計算式に国庫負担分が含まれていますが、これは「基礎年金勘定」へ全額繰り入れられています。


一方で、緑が給付費。

「厚生年金保険料給付費-基礎年金勘定より繰入」

という式です。つまり、長い間赤字だったという事・・・。

基礎年金勘定より繰り入れられた額がそのまま「基礎年金」として給付されますので、その差額が厚生年金部分となります。ただし、「基礎年金部分」には繰り入れられた後、同期間中に受け取り者がいなくなる部分がございます。

その部分は当然浮いてしまうことになりますが、厚生年金勘定としては一体ですので、給付者がいなくなった部分は厚生年金部分の不足部分に充てられていると考えられます。

ただし、グラフ中ではその「多めに見積もって繰り入れられている繰入分」を保険料全体からマイナスしていますので、「収入」の側は少しだけ少なめに算出されています。

ちなみに、「厚生年金収支」の赤字幅は以下のようになっています。これは第478回の記事 でお示ししましたね。

2007年 -7.18兆
2008年 -7.3兆
2009年 -8.04兆
2010年 -7.84兆
2011年 -7.42兆
2012年 -8.32兆
2013年 -8.28兆
2014年 -6.98兆
2015年 -6.32兆
2016年 -5.72兆
2017年 -5.12兆

では、同じ「厚生年金」の内、「厚生年金部分」の赤字幅はどのように推移しているでしょうか?

2007年 -5.92兆
2008年 -5.63兆
2009年 -6.63兆
2010年 -6.95兆
2011年 -5.70兆
2012年 -4.69兆
2013年 -4.35兆
2014年 -3.67兆
2015年 -2.65兆
2016年 -1.28兆
2017年 -0.54兆

リーマンショックの起きた2008年、翌2009年に赤字幅が大きく膨らんでいますが、その原因は受給額が減ったことではなく、給付費が急増したこと。

理由は現時点では不明です。

赤字幅としては厚生年金勘定全体よりも、厚生年金部分の赤字幅の方が縮小幅が大きく、近々黒字化してもおかしくないような状況にはなっていますね。

まあ・・・今の私の心境としては誤った情報を長年配信し続けた罪悪感でいっぱいです。

もう一つの視点いたしましては、年金の加入者数の推移。

第478回の記事 でお示ししました通り、厚生年金の加入者の数は、平成19(2007)年度まで増加し、20年、21年の2年間減少。

22年より再び増加に転じ、以降現在に至るまで毎年増え続けています。

「基礎年金勘定への繰り入れ」は毎年の期首、つまり4月に、前年3月末時点での年金加入者数から1年間に納付されると考えられる保険料の総額を予測して基礎年金勘定に繰り入れられるものです。

ですが、昨年度の期首の厚生年金加入者よりも昨年度期末の厚生年金加入者の数の方が多くなっているわけですから、昨年度に納付された保険料の総額は、昨年度期末の厚生年金加入者の数から予測される保険料の納付額よりも少なくなってしまいます。(加入者数が減少した2年間は取り除いて考えます)

この事から、当然今年度の期首に厚生年金勘定より引き出される「基礎年金部分」の金額は、昨年に納められた厚生年金の「基礎年金部分」の総額よりも多くなってしまいますので、必然的に前年までの厚生年金勘定の資産を切り崩して支払わざるを得ません。

その財源として平成25(2013年)までは厚生年金勘定の「年金積立金」が切り崩されていました。

ですが、2014年以降は、実は厚生年金勘定では「年金積立金」より1銭たりとも財源を受け入れていません。

つまり、2014年以降は、わざわざ年金積立金を切り崩すことをせずとも「厚生年金加入者が増えることによって不足する『基礎年金勘定へ繰入』るための財源」を単年度会計の中で賄えるようになっている、という事がわかります。

またもう1点。「厚生年金」に「未納者」はいない。私はこれを前提として今まで記事を作成してきましたが、厚生年金にも、支払い義務を負った企業がこれを支払わず、場合によってはそのまま倒産してしまうケースもありますから、当然「未納額」も存在します。

上記グラフには、これらの情報が加味されていませんから、単純にこのグラフだけを配信する事だけはご遠慮願いたいと思います。

更にもう一点。厚生年金勘定において「基礎年金勘定」より受け入れている額は、「昭和60年以前に年金受給者となった人」への支給額ですから、当然毎年減少しています。(私が勘違いをして誤った情報配信を行っていた部分です)

にもかかわらず、毎年国庫負担分を含む保険料収入が毎年増え続けているという事はきちんと評価すべきだと思います。

後は、年金の受給年齢が毎年上がっている事。

年金支給開始年齢の引き上げ

上図にある「定額部分」、これが基礎年金部分、「報酬比例部分」、ここが厚生年金部分です。

基礎年金部分に関しては既に受け取り開始年齢の引き上げが終わっていますが厚生年金部分に関してはまだこれから。上図で見る限り、42年までは継続します。

このような状況を考えますと、少なくとも現時点において厚生年金制度の「破綻」を危惧するような状況にはないのではないか、と私は思います。

それでは、次回記事こそ、「積立金」の部分にポイントを絞り、年金制度の新たな解明に向けて、記事を作成していければと思います。




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<継承する記事>第478回 年金制度に対する私の誤った分析結果を再検証します

前回に引き続き、

 「基礎年金給付費」 と 「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」

の認識について、私の誤った部分を全面的に認めさせていただいた上でその検証を続けさせていただきます。

前々回の

第477回 改めて分析する基礎年金勘定~誤っていた私の分析結果~

という記事から継続しての訂正、及び再検証を目的とした記事です。

また繰り返しになりますが、私の認識の誤りによって影響を受ける記事が少なからず存在しますが、私のブログの方針として、それらの記事を削除することは致しません。

なぜならば、それらの記事を下に何らかの分析をなさった方がいらっしゃるかもしれませんし、あるいはなにがしかの「情報ソース」として掲載なさっていた方もいらっしゃるかもしれないからです。

検証が完了後、極力影響を受ける全ての記事に対し、訂正記事の紹介文を掲載し、できれば誤っている部分に対して赤字で訂正を入れていきたいと思っています。掲載した文章は削除ではなく、訂正線を入れて赤字訂正を行う予定です。


改めて行う「基礎年金勘定」の分析

前回までの記事では、「基礎年金勘定」と各「年金勘定」を合算してグラフ化した次の2枚のグラフ。

国民年金収支(基礎年金勘定分を含む)
厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

を通じて、確かに「国民年金勘定」はこれまでの私の主張より時期こそ遅れているものの、「破綻」とは程遠い状況になりつつあること、加えて「厚生年金勘定」については計算式上、実は赤字となっており、とても「破綻しない」と言い切れるほどの状況ではなかったことをお伝えしました。

ですが、この2枚のグラフを作成する際、その計算式に用いた数字は、私がオリジナルの計算式を用いてはじき出した数字を用いていて、必ずしも「正解」とは言えないことをお示ししました。

その上で最終的にたどり着いた結論として、「基礎年金勘定」「国民年金勘定」「厚生年金勘定」の3つの会計において、「積立金がどのように推移し、減っているのか、増えているのかを検証することが、「年金会計」全体の収支状況を見る上で大切でなのではないか、とする考え方に現在たどりつきました。

ところが、分析を進めていますと、どうも年金の収支状況に関しまして、非常に歪な部分が出てきましたので、そちらをまずは優先して解析していきます。

加えてこの解析の結果、私の認識の誤りをもう1か所訂正する必要が生まれる可能性があることをあらかじめお伝えしておきます。

基礎年金勘定収支推移

検証に用いるのはこちらのグラフ。

基礎年金勘定の収支の推移です。このグラフを見て、1か所。正確には2か所、いびつな部分があることがわかるでしょうか?

キーワードとなるのは「東日本大震災」。東日本大震災が勃発したのは2011年3月ですが、その翌年と翌々年。つまり2012年と2013年の「国民・厚生年金会計より繰入」の部分が、明らかに減少しているのがわかりますね?

私がこのブログで取り上げたことはあるはずなのですが、どの記事で取り上げたのか、検証する時間がございませんので、直接この記事で説明いたします。


基礎年金部分国庫負担割合1/3→1/2引き上げの経緯

基礎年金部分は、麻生内閣当時まで1/3を国庫にて負担していたのですが、小泉内閣当時の計画に従い、麻生内閣においてこの国庫負担分を1/3から1/2に引き上げました。

ですので平成21年度(2009年度)からは年金の国庫負担分が1/2となっています。

2019年7月の参院選において、福山哲郎が年金国庫負担を1/3から1/2に引き上げたのは自分たちだ、とのデマを振りまいていましたが、民主党政権が誕生したのは2009年9月の事。

同年の予算は前年に決められますし、民主党政権が誕生した時点で既に「平成21年度(2009年度)」はスタートしていましたから、民主党内閣が2009年度からの基礎年金国庫負担分の増額を決めることは物理的に、時系列的に不可能です。タイムマシンをあいつらが持っていたとしても不可能です。

で、年金国庫負担分を引き上げるという事は、当然新たなる財源を必要とします。自民党では、この財源を平成23年(2011年)分まできちんと確保していました。

制度上は「将来の消費増税分を財源として充てる」ことが記されていたわけですが、自民党はこれに頼らない財源を毎年きちんとねん出していたんですね。

例えば平成23年度(2011年度)の財源は以下の通りです。

・ (独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構特例業務勘定の利益剰余金(1.2 兆円)
・ 財政投融資特別会計財政融資資金勘定の積立金・剰余金(1.1 兆円)
・ 外国為替資金特別会計の剰余金(進行年度分:0.2 兆円)

総額2.5兆円分です。

この金額が、平成23年度(2011年度)末に国民年金勘定、厚生年金勘定へそれぞれ繰り入れられ、平成24年度(2012年度)分の基礎年金部分の財源として充てられることが決められていました。

ところが、2011年3月に勃発したのが東日本大震災。この財源として民主党政権では前記した2.5兆円分の年金の為の財源を復興に回してしまいましたから、当然年金会計全体では2.5兆円分の財源が失われてしまいます。

この事を意識して先ほどの基礎年金勘定の収支推移を見ていただきたいわけですが、2011年度に納められるはずの保険料国庫負担分が納められませんでしたので、2014年度分が「財源不足」に陥ります。

その結果、不足した財源が「国民・厚生」両会計か繰り入れられることはありませんでした。

その結果、両年度は基礎年金勘定としては「赤字」になっています。

では、この事を意識しながら次の「基礎年金勘定積立金」の推移グラフを見てみます。

基礎年金勘定積立金+剰余金推移

2011年まで上昇の一途をたどっていた「基礎年金勘定」の積立金(+剰余金)の額が、2012年、2013年と急落していることがわかりますね。これは、不足した基礎年金勘定の給付分を賄うため、基礎年金勘定の「積立金」が削られて支給に回されたことを意味しています。

そして2012年(平成24年)11月に「年金特例国債」が平成24年、25年分と発行されることが決められ、両年に年金特例国債がそれぞれ2.5兆円ずつ発行されています。

ただ、この事を考慮しますと、安倍内閣初年度にも同様に基礎年金勘定の「積立金」が削られている様子が見られますので、この事は別途検証が必要かと思います。

また、これとは別に安倍内閣において2016年度、2017年度も共に基礎年金勘定の「積立金」が削られており、更にその削られる幅が増えていますので、この事も別途検証してみます。

少し前置き記事を含む形となりましたが、次回以降記事では改めて他会計の「積立金」も含めて、全体で年金収支の検証を行ってみます。

年金特例国債の発行額がどのように吸収されているのかという部分も含めて検証してみたいと思います。



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<継承する記事>第477回 改めて分析する基礎年金勘定~誤っていた私の分析結果~

前回の記事に引き続き、「基礎年金勘定」に関する私の認識の誤りを検証し、その結果から過去の記事をどう訂正していくべきなのか。これを検証することを目的とした記事を作成します。

前回の記事をまとめますと、年金会計全体の内、国民年金の全額、及び厚生年金の基礎年金部分を管理するために設けられている「基礎年金勘定」。

ここには二つの「支出項目」があります。

一つが 

 「基礎年金給付費」。

もう一つが

 「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」

です。指摘をいただくまでの私の認識としては、年金を給付する際、「基礎年金部分」を全額基礎年金勘定から国民年金勘定、及び厚生年金勘定に繰り入れ、そこから受給者に対して支払われていたと思い込んでいました。

年金制度2

このグラフを見ていただくとご理解いただきやすいでしょうか。

年金受給者は「第一号被保険者」「第二号被保険者」「第三号被保険者」に別れており、第一号被保険者とは全ての保険者の内、「国民年金(基礎年金)」しか受け取ることができない人。

自営業者や学生さんなどがこれに該当します。その他、就労することができない人、もしくは就労していても厚生年金が適用されていない人なども含まれていますが、自営業者以外は基本的に「免除」もしくは「減額」が適用されていると考えられます。収入がなくて支払うことができませんからね。

「国民年金勘定」で管理されているのはこの第一号被保険者の皆さん。

第二号被保険者の人は国民年金以外に「厚生年金」を受け取っている人。「被雇用者(労働者)」の事です。

厚生年金部分はその1/2を企業が負担しています。

厚生年金勘定で管理されているのはこの「第二号被保険者」の事。この他、第二号被保険者の配偶者の事を「第三号被保険者」といいます。ポイントとなるのは、「第二号被保険者」は「厚生年金」だけでなく、同時に「国民年金」の加入者でもあるという事。

現在の制度では、第一号被保険者、第二号被保険者(+第三号被保険者)共に「国民年金(基礎年金)部分」を一旦両年金勘定から引き出し、「基礎年金勘定」という別の会計帳簿に繰り入れ、そこで一括して支払われているという事です。


「基礎年金給付費」と「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」

改めて両項目の違いですが、「基礎年金勘定」という仕組みが導入された昭和61年よりも前に年金受給者であった人に対して支払われている「年給付費」が「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」と記されている項目で、この項目は給付される前に再び「国民年金勘定」、及び「厚生年金勘定」に繰り戻され、そこから受給者に対して支払われています。

しかし、昭和61年以後に受給者となった人は、これが他会計に繰り戻されることはなく、第一号~第三号までひっくるめて「基礎年金勘定」から支払われています。それが「基礎年金給付費」です。

私が誤っていたのは、この認識がなかったという事。

自分で調べてたどり着いた結果であり、私自身色んな資料を比較して検証をしていた「つもり」だったのですが、一番肝心な部分を考察することなく思い込んだまま情報として「確定」させてしまっていたという事。

これは改めて読者の皆様にお詫びさせていただきます。


基本に戻って考える

誤ってこそいましたが、ではだからと言って「誤っていました、ごめんなさい」で終わらせるわけにはいきません。

要はどこがどのように誤っていたのか、そしてその結果全体にどのような影響を与えることになるのか。そして終局の目的として、「年金は破綻しない」とする私の主張がそもそも間違っていたのか、それともそうではなかったのか。これを検証しなければ私のブログとしての役割を果たすことができません。

そこで、まずは「基本に立ち返って」考えることが大切かと思います。

私としますと、「国民年金勘定」及び「厚生年金勘定」において収入が減る中で給付費が減っていた(と思い込んでいた)ことを「発見」しましたので、これを「年金が破綻しない」最大の根拠であると考えていました。

それが次のグラフです。

国民年金収支

厚生年金収支

逆に言えば、この数字を下に「破綻するわけがない」と思い込んでいますから、それ以上の検証を行っていない状況でもあります。

ですが、実際には

国民年金収支(基礎年金勘定分を含む)
厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

こちらの方が現在の年金収支状況としては「正解に近い」姿ですから、私のこれまでの根拠が「年金が破綻しない理由」とはなりえていないわけです。

とはいえ、「国民年金」に関しては次期が私のかつての認識と比較すると非常に遅れてはいますが、「破綻はしない」という状況には近づいているかと思います。

問題は「厚生年金」の収支です。前回も示しましたが、赤字幅がどのように推移しているのかと申しますと、以下の通り。

2007年 -7.18兆
2008年 -7.3兆
2009年 -8.04兆
2010年 -7.84兆
2011年 -7.42兆
2012年 -8.32兆
2013年 -8.28兆
2014年 -6.98兆
2015年 -6.32兆
2016年 -5.72兆
2017年 -5.12兆

年々その額を縮小させているとは言うものの、5兆円という額は決して小さいものではありません。ちなみに国民年金の収支状況はと申しますと、以下の通り。

2007年 -4.4兆
2008年 -4.26兆
2009年 0.08兆
2010年 0.04兆
2011年 0.47兆
2012年 1.11兆
2013年 1.37兆
2014年 1.5兆
2015年 1.6兆
2016年 2.13兆
2017年 2.25兆

と、プラス幅を増やしてこそいますが、とても厚生年金の赤字幅を相殺する段階には至っていません。最新の状態で2.87兆円ほどの赤字です。

ただ、今回お示ししている数字の根拠としているのは、「年金受給者」の数とその割合から、私が計算式によって作り出した数字ですので、これが「正しい数字」と言えるのかどうかと申しますと、必ずしもそうだと言い切ることはできません。

という事で、ここからは私の計算式を加えることなく、政府が公表している数字のみを用いて、年金会計の収支全体で考えてみます。


国民年金勘定と厚生年金勘定の考え方

まずはこの部分から。

「国民年金勘定」とは、大きく分けて

 収入 「国民年金保険料」「国庫負担分」「基礎年金勘定より受入」
 支出 「基礎年金勘定へ繰入」「年金給付費」

という項目で構成されています。その他事務費や運用益、積立金などもありますが、それらは考慮せずに進めていきます。

公的年金保険者数の推移

できたらグラフくらいは自分で作成したかったんですが、時間の都合上、厚労省の資料をそのまま掲載します。

「公的年金保険者数」、つまり年金を国に納めている人たちの数を年経で示したグラフです。

「第一号被保険者(国民年金加入者)」の数を見ますと、平成25年以降、年々減少していることがわかると思います。

という事は、つまり昨年年金を収めた人の数よりも、今年年金を収めた人の数の方が少ないという事。

国民年金の運用では、毎年4月、その年度が始まる一番最初の月に、前年度に納められた保険料の総額から、「今年納められると予測される保険料の総額」を引き出して、「基礎年金勘定」に繰り入れています。

ですが、その「保険者数」が年々減少していますので、当然「昨年納付された保険料の総額」よりも4月の段階で「今年納付されると予測される保険料の総額」の方が少なくなります。

ですから、当然「国民年金勘定」の中にはそこから引き出されることなく、国民年金勘定に残ったままの金額が発生します。

ところが、「国民年金」は個人が意識的に納めるものですから、中には国民年金を収めようとしない「未納者」もいます。

そのことで基礎年金勘定に繰り入れるための保険料が不足することがありますので、その場合は「年金積立金」の中から不足する分を引き出します。ですが、その保険料は「未納」であり、本来受け取り者のいない保険料ですので、その金額は将来給付されることなく「基礎年金勘定」に蓄積されることになります。

混乱するといきませんので、こちらの図を頭に入れながら考えてみてください。

年金システムのからくり

一方、「厚生年金勘定」を考える場合、先ほどの「公的年金保険者数の推移」を見ていただきますと、厚生年金の保険者の数は年々増えていることがわかります。

ちなみに増加に転じたのは、微増ではありますが平成22年から。遡ると平成19年までは継続して増加しています。保険者数全体で見ますと平成28年から増加に転じていますね。

この事が何を意味するのかと申しますと・・・というより、この点に関しては私も思い込んでいた部分があったのですが、保険者数が減少する国民年金勘定とは異なり、保険者数が増加していますので、「基礎年金勘定」の部分に関しては昨年度末に納付が完了した金額より、今年度に納付が予測される金額の方が多くなってしまいます。

そう。「未納者」の存在にかかわらず、厚生年金勘定では「基礎年金部分に繰り入れ」なければならない金額が不足する仕組みになっているんですね。これは盲点でした。

ですから、必然的に「年金積立金」は切り崩されることになります。

ですが、その「切り崩された」積立金も、「年金積立金」の項目から「基礎年金勘定」の項目に移動するだけで、年金会計全体で考えると当然「納付者」が増えているわけですから、収入全体としては増えていることになりますね。


国民年金勘定と厚生年金勘定の「支出」について

一方の「支出」に関しては、国民年金・厚生年金とも、「基礎年金部分」に関しては「基礎年金勘定」より「期首(4月)に年度を通じて必要となると考えられる給付費」が一体いくらになるのかという事が想定され、これが「基礎年金勘定」より繰り入れられ、それぞれの年金会計で給付に回されています。

冒頭でお伝えした通り、「国民年金勘定」「厚生年金勘定」にそれぞれ繰り入れられている金額は「昭和60年までに受給者となった人」の給付費のみであり、昭和61年以降の「基礎年金」は「基礎年金勘定」より支出されています。

国民年金勘定、厚生年金勘定ではそれぞれ、年度末に受給者が死亡し、給付が必要とならなかった金額が必ず残りますから、これが「積立金」として蓄積されていくことになります。厚生年金会計ではこれ以外に、「厚生年金部分」に関する管理が独自になされていますから、もしそこで給付費が不足するのであれば「積立金」の中から切り崩されることとなります。


このようにしてみていきますと、「国民年金」「厚生年金」はそれぞれ貸借対照表上は支出と収入の間ではバランスしているはずですから、何を見ることが大切なのかと申しますと、結果的に両会計から繰り入れられた金額で運用されている「基礎年金勘定」において一体いくら「積立」もしくは「切り崩し」が発生しているのか。

厚生年金勘定にはそれ以外に独自に運用されている「厚生年金部分」が存在しますから、これが積立金を切り崩すことで運用されているのか、それとも逆に積立金が加算されているのか。

「国民年金」はそもそも積立が減少する要素が「未納分」以外には存在しませんから、では一体いくら積み立てられているのか。

そして、最終的に「積立金」は一体総額でいくらになっているのか。これを所謂「運用益」を加味せずに見てみますと、その全容が見えてくるのではないかと思われます。

という事で、私の時間が来てしまいましたので、次回記事では、この「積立金」の収支推移を見ながら年金運用についての「解明」を行っていきたいと思います。



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今回の記事、私としては非常に不本意な記事になります。

タイトルにある通り、私が長年主張していた年金の考え方について、一部ですが、私の年金問題に対する主張全体に大きな影響を与えるほどに誤った部分があったことがわかりました。

私のブログの記事を読んで、参考にしてくださっていた方もいると思う中で、これは本当に申し訳ない思いがします。私自身としてもショックでしたし、非常に恥ずかしい思いがしています。

きっかけは本年(2019年)6月24日、以下の記事に読者の方からお寄せいただいたコメントです。(本日は同年7月26日です)

第476回 マクロ経済スライド調整率改定の意義~年金崩壊説の崩壊~

コメントそのものを抜粋いたします。
初めまして!恥ずかしながら最近になってようやく年金について興味を持ち始めた者です。
年金特別会計を見ていると「基礎年金給付費等基礎年金勘定へ繰入」という項目があり、検索してみるとこちらのサイトに出会いました。
記事を読み一旦は理解した気になってましたが、どうもおかしいような気がして確認のためコメントさせていただきます!

今のところの理解としては、
国民年金勘定では付加年金、死亡一時金などの給付を行い、残りを基礎年金勘定に入れます。
厚生年金勘定では報酬比例の年金、障害年金等を給付し、残りを基礎年金勘定に入れます。
基礎年金勘定では国民年金勘定、厚生年金勘定から受け取ったお金で基礎年金給付費、基礎年金相当給付費を支払います。

給付額は平成29年ですと基礎年金勘定22,408,941、国民年金勘定554,147、厚生年金勘定23,666,851で合計約46兆くらい
保険料は国民年金勘定1,396,425、厚生年金勘定30,944,165で合計約32兆
国庫負担は国民年金勘定1,939,211、厚生年金勘定9,481,945の約11兆
その他いろいろな歳入歳出があり(理解できてない項目が沢山あります)、結果としては何とか黒字で積立金に移行。
こう理解してます。
こちらのサイトでは基礎年金勘定を考慮されていないように見えました。

前回の財政検証では平成30年あたりまで赤字でしたが、厚生年金加入者が増えたのでしょうずっと黒字です。
それはいいのですが、マクロ経済スライドがデフレのせいでほぼ発動しておらず(今回何とか発動)所得代替率が思うほど下がりません。この調子ですと少子化による大赤字が待っています。
このままだと本当に破綻してしまうのではないでしょうか?
ちなみに私の破綻の定義は積立金が無くなり多額の赤字を所得代替率を大幅に下げること(30%くらい)で保つようにすることです。

長くなってしまい申し訳ありません!よろしくお願いします!

難しいと感じるかもしれませんので、まずは私のこちらの記事をご覧ください。

第117回 公的年金制度の仕組みをわかりやすく図解入りで解説いたします。

記事の中で、年金の運用が「年金特別会計(厚生・国民)」、「基礎年金勘定」、「年金積立金」の3つの財布を使って、トータルで運用されていることをお示ししています。

年金システムのからくり

問題となるのは、この内「基礎年金勘定」に関する説明です。

①年金会計の中から、前年に受け取った国民の「年金保険料」の中から、本年に納付されると考えられる保険料を全額引き出し、「基礎年金勘定」に繰り入れる
②「基礎年金勘定」から同年に給付に回されると考えられる年金受給額を全額引き出し、「年金会計」に繰り入れる
③「年金会計」の中から、その年に受給者がいなくなった金額を「年金積立金」に繰り入れる

という説明を私は行っているのですが、この内の②、コメントをくださったチダ様のご指摘では、基礎年金勘定から年金会計に繰り入れられている額は、「全額ではないのではないか」とおっしゃっられています。

私としては、全く想定していませんでしたから、最初自分が何を言われているのかが理解できていなかったのですが、改めて基礎年金勘定の会計収支を見ると、確かに他の年金会計に繰り入れられている金額以外に、「基礎年金給付費」なるものが設定されていて、最新の使用で繰り入れられている額の20倍近い金額が歳出として計上されていたのです。

思い込みは怖い話で、私は私の説が誤っているとこれっぽっちも思っていませんでしたから、改めてこの「基礎年金勘定」を見直す機会を自分自身の中に設けていなかったわけですね。

項目の中に、「基礎年金給付費」という項目と、「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」という二つの項目があるのです。

恐らく私は最初に調べたときに、これを同じものである、と大きな勘違いをしていたのだと思います。

かつ、国民年金や厚生年金の収支をグラフで作成する際に参考としていた「基礎年金勘定」から繰り入れられた金額は、それぞれの年金勘定で「基礎年金勘定より繰り入れ」と記されているもののみを参考にしていましたので、よもや基礎年金勘定の側に繰り入れられていない金額が残っているとは思っていなかった、という事です。

今回だけで完結させられるかは自身がありませんが、訂正記事によって影響を受けるのは、私が年金勘定は「国民・厚生共に黒字だ」と主張している部分、及びその証拠として作成しているグラフ、またその運用制度そのものを説明した記事が軒並み影響を受けます。

全く影響を受けないのは「マクロ経済スライド」に関する説明のみです。ですが、マクロ経済スライドの「キャリーオーバー」に関して作成した記事は、「キャリーオーバーすべきではない」理由として年金収支に関する情報を用いているはずですので、こちらも訂正が必要になってくるかと思います。

ただ、私のブログのスタイルとして、記事を削除することはいたしません。記事を削除せず、記事中でどこが間違っていたのか、赤字で訂正文を加える形で修正を行っていきます。

現時点で、いくつかの資料を既に作成しておりまして、これから作成する記事の目的としては、まずは誤りをきちんと訂正する事。

その上で、現在の年金の収支状況が、基礎年金勘定から年金積立金まで含めて、全体で見てどのような収支状況にあるのか。この事を改めてきちんと検証していきたいと思います。


「基礎年金給付費」と「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」の違い

まずはこのご説明から。私は、基礎年金勘定帳簿に掲載されていた「基礎年金給付費」が、そのまま国民年金勘定、厚生年金勘定へと繰り入れられている金額だと思い込んでいました。

最大の原因は実は次の画像。

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今は同じ資料を厚労省のホームページから検索しようとしても出てこないと思います。

野田政権時代に、私が「年金財政は安全だ」ということを裏付けるために資料を作成していたのですが、その時に見つけていた資料で、ここに「基礎年金勘定へ繰入」という項目と「基礎年金勘定より繰入」という二つの項目があるのがわかると思います。

元々は、ここに掲載さ入れていた「基礎年金勘定」とは何ぞやというところから私の基礎年金勘定の検証はスタートしました。当時、この「基礎年金勘定」に着目してデータを作成している人などいませんでしたから、私としてはそれにたどり着いたとき、「これだ!」と心の中で快哉を叫んだ記憶がありますよ。

本当はこの時に、もう少し深く「基礎年金勘定」の事を調べておかなければならなかったのでしょうね。

あれから既に7年ほどたちます。今になって気づくとは・・・

ガッカリしても仕方ありませんね。記事を進めていきます。

では、サブタイトルにある

 「基礎年金給付費」と「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」の違い

について。この二つの項目が生まれた理由は、昭和61年に行われた年金制度の改正。要は、この時に初めて「基礎年金勘定」なるものが生まれたんですね。

これまで国民年金は国民年金、厚生年金は厚生年金として運用されていたものが、基礎年金部分を一旦「基礎年金勘定」へ全額繰り入れ、ここで別枠で運用することで、仮に国民年金が財源不足に陥ったとしても厚生年金受給者が納める基礎年金で国民年金を運用できるように改正された仕組みです。

昭和61年に改正された年金制度が実行されましたので、60年までの年金受給者と、60年以降の年金受給者の間で運用の仕組みに違いが生まれます。

と、ここまで記せば何となくわかるんじゃないかと思いますが、昭和60年までに年金受給者となった人の基礎年金年金給付費が「基礎年金相当給付費他勘定へ繰入及交付金」、それ以降に受給者となった人の基礎年金給付費が 「基礎年金給付費」。

60年までに受給者となった人の基礎年金は基礎年金勘定から国民・厚生両年金勘定に「繰入」られて運用されていますが、それ以降に受給者となった人の基礎年金は、繰り入れられることなく、一括して「基礎年金勘定」の中で運用されていた・・・という事。

これに気づけなかったことは、私のブログ記事に大きな誤りを生んでしまいました。私のブログを信頼し、参考にしていただいた方へは、心の底よりお詫びを申し上げたいと思います。


「国民年金」及び「厚生年金」の収支に「基礎年金勘定」分を加えると・・・

あらかじめ申し上げておきますと、以下のグラフは私の推測に基づく計算式で作成したデータを含めていますので、参考にしていただいても構いませんが、それぞれのグラフを根拠として単独で利用することだけはやめてください。

【国民年金収支推移】
国民年金収支(基礎年金勘定分を含む)

【厚生年金収支推移】
厚生年金収支(基礎年金勘定分を含む)

これまで利用してきた以下のグラフ
【A】
国民年金収支
【B】
厚生年金収支

にそれぞれ基礎年金勘定から繰り入れられることなく、基礎年金勘定内で「国民年金受給者」及び「厚生年金受給者」にそれぞれ給付されている給付費を加算したものです。

基礎年金勘定内でわざわざ分けて掲載されているわけではありませんから、ここは計算式によって私が算出したデータを用いています。

計算式として用いた数字は

①基礎年金給付費
②(重複を含まない)年金受給者数
③厚生年金受給者数(共済年金等受給者も含む)
④国民年金受給者数(②-③)

の4つです。ここから

⑤厚生年金受給者数の(重複を含まない)年金受給者全体に占める割合(③÷②)
⑥国民年金受給者数の(重複を含まない)年金受給者全体に占める割合(④÷②)

を算出し、それぞれを①に掛けた値を⑤は厚生年金収支に、⑥は国民年金収支にそれぞれ加算しています。

このグラフで見ますと、国民年金給付費に関しては基礎年金給付費を加えようが加えまいが、年金受給者の数は年々減っており、収支で見てもプラスになっていることがわかります。

一方で、厚生年金給付費に関してはトータルで見ると給付費は増加しており、保険料+国庫負担分も増加してこそいるものの、給付費の増加に追い付くことはできず、トータルで見ると毎年赤字なっていることがわかります。

ちなみに、どの程度の赤字額かと申しますと、

2007年 -7.18兆
2008年 -7.3兆
2009年 -8.04兆
2010年 -7.84兆
2011年 -7.42兆
2012年 -8.32兆
2013年 -8.28兆
2014年 -6.98兆
2015年 -6.32兆
2016年 -5.72兆
2017年 -5.12兆

の赤字です。額がまあまあ太いですね。

ただ、これらの数字の母体となっている厚生年金受給者とは、「厚生年金受給資格者者」の事であり、この人達が皆一生を通じて厚生年金加入者であったわけではありません。ですから、本来は「国民年金受給者」に加えるべき部分も含まれた受給者について掲載したグラフだという事だけはご認識いただければと思います。

また、私があくまでも独自の計算式によって求めた「概算」ですから、これが正しいかどうかは証明することすらできません。

まずは「概算でこのような結果が出た」という事実だけを把握していただければと思います。

という事で、今回は私に時間が無くなってきましたので、この記事は一旦ここで終了にします。あまりにも記事を作成しない期間が長くなると、コメントをいただいたチダ様にも申し訳ないと思いまして、急ぎ作成したのが本日の記事です。

次回記事では、では今回のように私独自の計算式を加えず、「基礎年金勘定」「国民年金勘定」「厚生年金勘定」をそれぞれ加工しない数字を用いて検証するとどうなるのか。年金制度全体での収支状況を検証してみます。



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年金問題に関するシリーズ において私、たびたび話題にしているとは思うのですが、この「年金崩壊論者」たちの話題。

最近また復活しつつあるので、私のブログでもこの話題を取り上げたいと思います。

火をつけたのは朝日新聞。

朝日の記事を以下に引用します。
人生100年時代の蓄えは? 年代別心構え、国が指針案

金融庁データ朝日加工

 人生100年時代に向け、長い老後を暮らせる蓄えにあたる「資産寿命」をどう延ばすか。この問題について、金融庁が22日、初の指針案をまとめた。働き盛りの現役期、定年退職前後、高齢期の三つの時期ごとに、資産寿命の延ばし方の心構えを指摘。政府が年金など公助の限界を認め、国民の「自助」を呼びかける内容になっている。

 報告書案「高齢社会における資産形成・管理」として、金融審議会で示した。

 平均寿命が延びる一方、少子化や非正規雇用の増加で、政府は年金支給額の維持が難しくなり、会社は退職金額を維持することが難しい。老後の生活費について、「かつてのモデルは成り立たなくなってきている」と報告書案は指摘。国民には自助を呼びかけ、金融機関に対しても、国民のニーズに合うような金融サービス提供を求めている。

 報告書案によると、年金だけが収入の無職高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)だと、家計収支は平均で月約5万円の赤字。蓄えを取り崩しながら20~30年生きるとすれば、現状でも1300万~2千万円が必要になる。長寿化で、こうした蓄えはもっと多く必要になる。

 まず、現役期は「少額からでも資産形成の行動を起こす時期」と説明。生活資金を預貯金で確保しつつ、長期・分散・積み立て投資を呼びかけた。具体的な方法として、年40万円まで20年間非課税で投資できる「つみたてNISA」や、個人型の確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」などをあげた。出産や住宅購入などの生活設計に応じた預貯金の変化や家計収支を「見える化」することも、効果的な対応として触れた。

 定年退職者のほぼ半数は、退職時点か直前まで退職金額をわかっていないのが実情だ。このため、退職前後の時期は、退職金がいくらかや使い道などのマネープランの検討を勧める。

 高齢期は、資産の計画的な取り崩しを考えるとともに、取引先の金融機関の数を絞ったり、要介護など心身が衰えた場合にお金の管理をだれに任せるかなどを考えたりしておくことを、課題としてあげている。

 65歳以上の認知症の人は2012年の462万人から30年に830万人となる見込みだ。それに伴う課題にも触れた。認知症の人が持つ金融資産は、計200兆円超にも及ぶことになる。認知症になった場合にも生活を維持できるよう、お金の管理を親族や成年後見人らに任せることを考える心構えを訴えた。

 資産寿命を延ばしたい顧客の要望にこたえるため、金融機関に対しては商品のわかりやすい説明や手数料の明確化などを求めている。(山口博敬、柴田秀並)

問題なのは、この記事の内、次のフレーズ。

 『政府が年金など公助の限界を認め、国民の「自助」を呼びかける内容になっている』

 『報告書案によると、年金だけが収入の無職高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)だと、家計収支は平均で月約5万円の赤字。蓄えを取り崩しながら20~30年生きるとすれば、現状でも1300万~2千万円が必要になる。長寿化で、こうした蓄えはもっと多く必要になる』

という部分です。


朝日新聞による「印象操作」

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
↑こちらは金融庁のHPに掲載されている原文になっています。

同じ資料で、朝日新聞の「印象操作」部分と比較する上で重要な部分を抽出してツイートしている方がいらっしゃいましたので、そちらの資料をお借りしてまずは記事を作成ていきます。
金融庁HPより抽出分

前述の通り、夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額はは単純計算で1300万円~2000万円になる。

この金額はあくまで平均の不足額から導き出したものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。

当然不足しない場合もありうるが、これまでよりん學生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。


重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均寿命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければならない金額がどの程度になるか、考えてみることである。

それを考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・分散投資による資産形成の検討を、リタイヤ期前後であれば、自身の就労状況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理をどう行っていくかなど、生涯にわたる計画的な長期の資産形成・管理の重要性を認識することが重要である。

では、改めて先ほどの朝日新聞によって表現の書き換えが行われた文章と、これに該当する表記を比較して並べてみます。

【朝日新聞の文章】
報告書案によると、年金だけが収入の無職高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)だと、家計収支は平均で月約5万円の赤字。蓄えを取り崩しながら20~30年生きるとすれば、現状でも1300万~2千万円が必要になる。長寿化で、こうした蓄えはもっと多く必要になる

【金融庁の原文】
夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額はは単純計算で1300万円~2000万円になる。

この金額はあくまで平均の不足額から導き出したものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。

当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。

いかがでしょう。ずいぶん印象が違うのではないでしょうか。

そもそもこのモデルは前提として、「夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯」の内、実収入が20万9198円の世帯に限定した、モデルケースであるということ。この20万9198円という数字も政府が把握している様々な統計データから、計算式によって算出したものにすぎません。

また更に、この世帯の支出が26万3718円である、とされていますが、これはおそらく私が 第473回の記事 などで話題にしました、「消費動向指数」などから算出したものだと考えられます。

内訳を見てみます。

【夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯の平均の消費支出】

総額 263718円
1.食料 64444円
2.住居 13656円
3.水道・光熱 19267円
4.家具・家事用品 9405円
5.被覆及び履物 6497円
6.保健・医療 15512円
7.交通・通信 27576円
8.教育 15円
9.教養娯楽 25077円
10.その他消費支出 54028円
11.非消費支出 28240円

そう。私のブログをよくご覧になっている方には非常におなじみの「内訳」。消費者物価指数のシリーズなどで頻繁に登場させている、「10大費目別」の内訳です。

もう少し詳細な品目別にサンプルデータを収集し、「加重平均」に「加重平均」を繰り返し合算した上で「ウェイト」を算出。更に万分率で割り戻し、ウェイトを掛けて指数化したもの・・・。

正確な表現ではありませんが、このようにしてサンプルデータから計算式によって算出したものがこの「10大費目別」のデータです。

更に、「年代」までは同じ資料でも計算できるのかもしれませんが、これが「夫65歳、妻60歳以上の夫婦」に限定するとなるととても消費動向指数の統計データだけでは足りるわけがありません。

対象となるサンプルも計算式も異なる全く別の統計手法を用いて算出されたデータと合算して算出されたものがこの統計資料だと考えられます。

そもそも、「収入」の方は統計局の仕事ではないはずですから、そもそもが全く異なる資料から算出されたものが掲載されているはずです。「参考にはなるがあてにはできない」データの典型的なものです。

「じゃあなんでそんなあてにならないデータを」という人もいるかもしれませんが、そもそもそういう計算方法を用いて収集するしか統計を取る方法がありませんし、あてにはならないかもしれませんが、世間の実態を推測する上では必要なデータなんです。

私自身がこのブログでそういった方法を用いて数多く資料を作成していますから、そのことはとてもよく理解できます。

ですが、そのような非常にアバウトなデータであり、更にピンポイントで実収入が20万9198円の世帯に限定して算出されたデータであるも関わらず、マスコミや野党の皆さんは、特に「2000万円」という数字のみをクローズアップして、「将来の不安」を煽るのみならず、更に年金制度があたかも崩壊してしまうかのような表現を用い国民に対して誤った情報を拡散している。

これが現在の状況です。


立憲民主党蓮舫による印象操作



こちらの動画は、6月10日、国会決算委員会において蓮舫氏が、前記した金融庁が公開した、金融調査委員会の資料に関して行った質疑の模様です。

この動画において、麻生さんや安倍首相は、非常に大切なことを答弁しています。

ですが、そのことをクローズアップして報道しているマスコミは皆無。質疑している蓮舫や背後にいる立憲民主党をはじめとする野党の連中はそれを深めようとするどころかむしろ大声を立てて答弁を妨害し、そのことをむしろ説明させないように必死になっている様子が見てわかります。

まず、冒頭から蓮舫氏により、安倍首相に次のような質問が投げかけられます。

総理、日本は一生懸命働いて、給料もらって、勤めあげて、退職金をもらって、年金をいただいて、それでも65歳から30年生きるとの、2000万円ないと生活が行き詰る、そんな国なんですか?

ここまで私の文章を読んでいただいている方にはもうご理解いただいていると思いますが、2000万円必要だとされたのは、あくまでも夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯の内、「実収入が20万9198円」の世帯に限定して行われた試算の結果です。

かつ支出に関しては「消費動向指数」などのデータから計算式によって算出した、世間の実態を推察する上で、参考程度にしかならないデータです。

このような、非常にアバウトな計算に基づいて作成された資料を、あたかも事実であるかのようにして蓮舫は表現し、安倍首相に質問しています。

これに対して安倍首相はこう答えます。

「これは、不正確であり、誤解を与えるものであった」と。

更に麻生さんがその答弁に応じるわけですが、以下のように答弁を行っています。

いろいろな高齢者の生活は極めて多様であって、それぞれの方が望ましいと考える生活水準の働き方や、希望収入資産、当然のこと様々なんですが、今ありましたご指摘の報告書というのは、これは更に豊かな老後を送るためには、個々人の置かれた状況に応じてより上手な資産形成ができる様にすると、いうことも大切ではないか、との見方が述べられたものではないかと理解いたしております。

いうことを込めて考えたんだと申し上げております。

しかし高齢者の家計については、貯蓄や退職金を活用しているということに触れることなく、家計調査の結果に基づく単純計算で老後に月5万円、30年で2000万円の赤字であるかのように表現したという点につきましては、これは国民の皆さまに誤解や不安を広げる不適切な表現であったと私どもは考えております。

公的年金については老後の生活を支える柱でして、将来にわたり持続可能な制度を確保しております。

更に医療・介護といった社会保障制度は全体として、国民の高齢期に対する包括的なセイフティネットとして機能も致しております。

また 本年10月から、低年金の方へ年間最大6万円の年金生活者支給給付金を支給し、セイフティネットにおいて更に充実させていくということにいたしております、というんで、我々は人生100年時代において誰もが安心して暮らすことのできる社会を実現するために老後生活を支える柱である年金生計をはじめとして、働き方や改革や予防健康づくりなど、丁寧に議論してまいりたいと考えております

ここで麻生さん、非常に重要な事をおっしゃっていますね。

今年10月より、年間6万円ですから、それほど多い金額であるとは言えないかもしれませんが、低年金者の生活を直接支援するための給付金が支給されることに言及しているのです。

ですが、麻生さんがこの話題に言及し始めたあたりから急に野党の外野席がざわめき始め、麻生さんにこの答弁をさせないよう、大きな声で妨害を始めていることがわかると思います。(→この辺り です)

これ、こんな2000万円が云々といった話より、余程重要な内容だと思いますが、蓮舫氏はこの話題について深めることを全く使用としないどころか、外野の野党は麻生さんの答弁を妨害しようとする始末。

野党の役割って、本来国民が知っておくべきことを国会で質問し、答弁させることで国民に知らしめることにあるはずだと私は思っているんですが明らかに野党がやっていることは真逆。蓮舫をはじめとする野党はこの事を国民に知らせたくないわけですよ。

蓮舫はこれに対し、次のように質問をします。
今麻生大臣は、あたかも赤字だと表現したのは不適切だった、豊かな生活を送るための25万円に5万円足りない。これ前回の会見でも言ってるんですけどこの認識は変わっていないんですね?

そう。蓮舫は麻生さんの答弁を全く聞いていないんです。

麻生さんは当然次のように答えます。
一番冒頭に申し上げたと思いますが、各年金生活者、老齢を送っておられる生活者は非常にいろいろな条件がありますので一概に一律にこの方ってワンパターン化するには不可能だと思っております。

はい。当然です。

あくまで夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯の平均値ではありますが、実収入が20万9198円の世帯に限定したケースが、あたかもすべての世帯に当てはまるかのように言い換えて質問している蓮舫は非常に悪質だと思います。

ここから更に蓮舫は次のように質問します。

「この報告書、読みました?」

と。これに対し、麻生さんは次のように答えます。

「冒頭の部分、一部分目を通させていただきました。全体に目を通しているわけではありません」

と。これに対し、更に蓮舫次のように質問します。

これだけ国民の間に怒りが蔓延して大問題になってる、読んだら5分で終わる報告書を読んでいない。このどこに豊かな暮らしのために5万円足りないって書いてありますか?

ほんと殴ってやりたい・・・

「読んでいる」と「理解している」では全く話が異なります。蓮舫ははっきりいって5分読んだら終わる報告書全体に目を通しているはずなのに、そこに書かれてある内容を全く理解していないのです。

一方の麻生さんは、もちろん官僚からレクは受けているでしょうし、答弁書そのものは官僚が作成したのかもしれませんが、少なくとも蓮舫よりは間違いなく報告書の内容を理解しています。

麻生さんが「豊かさ」に言及しているのは
これは更に豊かな老後を送るためには、個々人の置かれた状況に応じてより上手な資産形成ができる様にすると、いうことも大切ではないか、との見方が述べられたもの

と表現しているのであって、そんなピンポイントで、実収入が20万9198円の世帯に対して言及しているわけではありません。

報告書全体に対して言及しているのです。麻生さんはこれに対し、次のように答えます。
私どもは最初から申し上げていますのは、これは年金の、これを勉強するグループで出されてきたものを挙げられた採用だと私ども理解しておりますので、そういった意味では私どもは挙げられたすぐ後に今の中で申し上げているようないろいろな表現の中にある中で、少なくともそういったものを目的としてやろうとしているということを申し上げております

ここで麻生さんが言っている「そういったもの」というのが「更に豊かな老後を送るためにはどうしたらよいのか」ということに言及した内容に当たります。

これに対する蓮舫の答弁は次の通り。

間違っています。二つの意味で。

一つ。勉強するためのグループが話したものじゃなくて、麻生大臣が諮問をした審議会のワーキンググループですよ?

でそしてこの報告書には、豊かな老後のために25万円いるから5万円足りないとは1行も書いていません。

その問題認識が甘い。

このおばちゃんには「比喩」とか「たとえ」といった表現は全く通じないんでしょうね。まずは日本語をきちんと勉強するところから始めてほしい。日本語を理解出来ない人がなぜ国会議員をやっているのだとマジで言いたい。

麻生さんは自身が諮問をした審議会のワーキンググループの事を聞いている人にも理解しやすい様に「年金の、これを勉強するグループ」と言い換えているにもすぎませんし、このグループそのものが豊かな老後を送るためにはどうすればよいのかということを研究することを目的としたグループだと散々言っているのに、そのことが全く理解できていない。

ハッキリ言ってこんなおばちゃんに答弁させるなんて私たちの大切な税金の「無駄遣い」以外の何者でもありません。

記事が長くなってしまいますので、今回、私が本来お伝えしたい内容に移ります。


マクロ経済スライド調整率改定の意義

さて。先ほどからご紹介している動画ですが、この動画の内、一番大切な部分は、麻生さんが軒並み答弁を終えた後。安倍さんが答弁に入った後の内容です。

例によって野党陣営がわぁわぁわぁわぁ騒いで必死に安倍さんの答弁を妨害しています。



ここからですね。文字起こししていきます。

あの、先ほど麻生大臣はですね。えぇ、老後に月5万円、30年で2000万円の赤字であるかのように表現した点については、国民の皆さんに誤解は不満を広げる不適切な表現であったと考えているという風に述べたはずでございまして、えぇ、先ほどもそのように述べておられたと、こう思います。

まあ、事実そのように書いて、そのような誤解を与えたと思います。

まあそこでですね、そこで、そこでまああの、100年安心という事について申し上げますと、これはですね、高齢期の生活は多様であってですね、それぞれの方が望ましいと考える生活水準や働き方の希望収入、資産の状況なども様々であります。

まぁ現在でも、ですね。国民の老後所得は公的年金を中心としつつ、ですね。しつつ、えぇ、稼働所得、そして仕送り、企業年金、個人年金、財産所得などが組み合わさっているのが実態であると、こう我々は理解しております。(この辺りで外野がざわめきます)

まぁその上で、ですね。この上において、年金、年金100年安心が嘘であったというご指摘がございますが、そうではないという事を今申し上げさせておきたいと、これ重要な点でありますから申し上げたいと思いますが、

まぁこの国民の老後所得の中心となる公的年金制度についてはですね、将来世代の負担を加重にしないために、保険料水準を固定した上で、長期的な給付と負担の均衡を図るマクロ経済スライドによりですね。一定の給付水準を確保する事を前提にこれ、持続可能な、えぇ制度に改めたものであります。

まぁこれは、平成16年の大改革でありまして、マクロ経済スライドを導入する、つまり平均余命が長くなれば当然給付が増えいく。一方、同時にですね。えぇ被保険者の数がどうか。これ減っていけば、(ここで再び外野がざわめき始めます)当然これは、収入も減っていく。でそのバランスが大切であると、それがマクロ経済スライドであります。(ここで蓮舫が安倍さんの答弁を止めようとします。外野はざわめき続けます)

こっからが大切なんですよ。で、そこで、ですね(外野のざわめき具合は絶好調。マイクを通してですら安倍さんの答弁が聞き取れないほどのざわめきっぷりです)、アベノミクスの進展によってもはやデフレではないという状況を反映し、今年度の年金は0.1%も・・・

さあ。ここでついに安倍さんは答弁を止め、外野のざわめきを止めに入ります。

ええこれ、ですね、年金についてはちゃんと説明しなければ、不安を煽るだけの結果になっていくんですよ。(マイクを通してでも非常に聞こえにくい状況です)

こうやって説明させないという態度はおかしいと思いますよ。

ここで、委員長から「速記を止めてください」との静止入りますが、安倍さんにも既に聞こえない状況にあるのか、安倍さんはそのまま答弁を続けます。
これはですね、これまで未調整だった分を含めて、将来世代のため、マクロ経済スライド調整を行った上で尚、まぁ現在の給付額はプラスの改定と今年度はなったわけでありまして、現在の受給者、将来せ・・・

ここで委員長より、「速記を起こしてください」のアナウンスが入ります。これに対し、安倍さんは「あ、今止まってたんですか?今まで、止まってたの?」と返しています。

そう。外野がうるさすぎて、委員長のアナウンスが安倍さんに届いてさえいないんですね。ここで蓮舫より、「委員長、指導してください」との声が入っていますが、その前にまず外野のおっさんたちを注意しろよ、と思います。

ここで安倍さんが言っている事、かなり重要な内容なんです。

いや、これはですね。いやしかし・・・100年安心がね。100年安心が、ではないという事をおっしゃったわけでありますから、政府としては

ここで委員長より再び「速記を止めてください」のアナウンスが。しかし安倍さん、かまわず続けます。

大切な事でありますから、大切な場でありますから、当然反論させていただきたいと、こう思います。

で、こ・・・えっ?速記止まってたの?

ここで正式に速記が止まり、各政党の陣営が委員長席の周りに集まり、安倍さんは着席。

委員長の「速記を起こしてください」の声を受け、安倍さんは挙手し、再び委員長の氏名を受けて答弁に移ります。

あ、いや、今、委員長から、委員長から・・・(委員長から「静粛にしてください」とのアナウンス)

皆さんね、年金というのは制度の説明ですから。少しは時間がかかるんですよ。スローガンを言い合うことではないんですよ。で100年安心ではないという非常に重要な点を指摘されましたから、それに対して反論するのはですね、不安を煽らないためにも大切ではないでしょうか。

でそこでですね、簡単にお答えをいたします。簡単にいたします。アベノミクスの進展によってですね、もはやデフレではないという状況ができたことを反映してですね。今年度の年金は0.1%増額改定となりました。

でこれはですね、これは未調整だった分も含めて(委員長より、発言者のためにもご静粛にお願いします、とのアナウンス)将来世代のためのマクロ経済スライド調整を行った上で尚、現在の受給額がプラスの改定になったものであり・・・

これですね、皆さんにとって都合の悪い説明だと遮るんですか?皆さんにとって都合の悪い説明だと遮る・・・

で、これはですね・・・いいですか?、いいですか?

で、私が答えますから、いいですか?(蓮舫より、続けてください、どうぞ、との声)

これは、これまで未調整だった分も含めてまぁ将来世代のための、マクロ経済スライド調整を行った上で尚、現在の受給額プラスの改定となった。ものでありまして、現在の受給者、将来世代の相互にとってプラスとなるものであります。(委員長より「ご答弁は簡潔にお願いします」とのアナウンス)

で今、正確に制度についてですね、説明させていただいているんですが、『とめろよ』とか、ですね、『やめろよ』とかですね、大きな声出すのは皆さん、やめましょうよ。

で、尚デフレが・・・尚、ですね。(委員長より「ご答弁は簡潔に」とのアナウンス)

すみません委員長ですね、委員長ああいう大きな声出されてですね・・・・・・・・あ、いや私がですね、答弁し始めて10秒くらいたった段階でそうやって大きな声出されたら、説明できないじゃないですか。

これ皆さんにとって都合が悪い答弁だからですか?(蓮舫よりどうぞお話になってください、との声)

じゃ、じゃあよろしいですか? いや、つまりですね、マクロ経済スライドによって、マクロ経済スライドによって100年安心という、そういう年金制度ができたという事なんです。それ給付、いいですか、これ給付と負担のバランスですから。それを調整するものができた。

そして今年度においてはプラス改正ができた。かつマクロ経済スライドも発動された、マクロ経済スライドが発動されたという事が、大きなポイントであるという事は、これ、多くの方々ご理解いただいてないんで申し上げさせていただきたいと、こう考えております。

いやぁ・・・ひどい。安倍さん、ほとんど発言させてもらえていませんね。

当然繰り返し同じ文言を述べることになりますから、必然的に答弁も長くなっているのがわかると思います。

そう。実はこの「マクロ経済スライドが発動された」という話題、これ、本当にとても大切な事なんです。

と言ってもこの記事を読んでいる皆さんの中で、この「マクロ経済スライド」の事を正確にご理解していらっしゃる方がどの程度いらっしゃるでしょうか?

実は、今回の安倍さんの答弁を拝聴していて、私自身も本当の意味でこの「マクロ経済スライド」のことを理解できていなかったんだ、という事を思い知らされました。

私自身、この「マクロ経済スライド」については

第112回 マクロ経済スライドをわかりやすく~デフレ時・インフレ時のマクロ経済スライド~
第184回 マクロ経済スライドの改定内容をわかりやすくご説明いたします。①
第185回 マクロ経済スライドの改定内容をわかりやすくご説明いたします。②
第401回 年金と消費者物価指数~マクロ経済スライドの終焉~
第402回 マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーを中止すべきもう1つの理由

という5つの記事で話題にしてきました。

「マクロ経済スライド」についてわかりやすく簡潔にご説明しますと、そもそも日本の年金制度には、「物価・賃金スライド」という制度が反映されていることが前提となります。

「賃金スライド」に触れると説明が煩雑になるので、「物価スライド」のみを説明しますと、年金を受給する際、前年度と比較して物価(持家の帰属家賃を除く消費者物価指数)が下落すると年金は下落し、逆に上昇すると年金も上昇する、という単純な仕組みです。

ところが、2004年度に行われた改定以降、「物価スライド」において物価が上昇する場合、ここに「マクロ経済スライド」という新たな仕組みが導入されることになりました。

スライド調整率

この仕組みは、物価が上昇した際、「スライド調整率」というものを設け、物価がこのスライド調整率を上回らない限り年金は上昇しない、という仕組みです。

このスライド調整率は0.9と設定されていて、つまり物価が前年同月比で0.9を超えなければ年金が上昇することはありません。

スライド調整率の計算式としては、

 「公的年金全体の被保険者数の減少率(3年平均)に平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)」

とされており、つまりスライド調整率が0.9という事は、「公的年金全体の被保険者数の減少率」が0.6%だという事。

つまり、物価上昇率が1%だった場合、1%から0.9%を引いた0.1%が年金の上昇率だということになります。

更に30年度より、このマクロ経済スライドが反映されなかった割合が翌年に持ち越されることとなり、例えば物価上昇率が0.6%であった場合、0.3%分はスライド調整率を下回っていますから、翌年に持ち越されることとなったのです。

つまり、31年度に年金が上昇するためには、本来のスライド調整率である0.9%に昨年のスライド調整率未反映分0.3%が加算され、物価上昇率が1.2%を上回らなければ年金は上昇することはない・・・という非常にあくどい状況となっていた・・・はずだったんです。

ところが、です。


スライド調整率の引き下げ 0.9%→0.2%に

そう。今回の決算委員会における蓮舫との質疑応答の中で最も重要な情報はこちら。

私、安倍さんの口からこの話題が出たとき、一瞬画面を二度見しましたよ。一瞬のけぞったほどです。

文字起こししてみます。



先ほど申し上げましたように、100年安心というのはまさにマクロ経済スライドが発動される、という事でございますが、そのマクロ経済スライドについてはですね、平成28年までは、0.9だったものがですね、31年度においては0.2まで下がった。

これ、0.2まで下がったという事はですね、被保険者、つまり働き始めた人が増えた事によってですね、保険料収入が上がって、0.9が0.2に下がったわけでございますから、こういうものも含めて、プラス改定が可能になったという事でございますので、年金体制を支える経済基盤はより確かなものとなったという事は確認したいと思います。

びっくりですよ、はっきりいって。

私が真っ先に感じたのは、「スライド調整率って変わるんだ・・・」という、まさにその一言です。

しかも0.2って・・・(;'∀')

ほんと、びっくりしました。安倍さんは28年までは0.9だったといっていますが、0.9だったのは平成30年度まで。今年度から変更となっています。

加えて安倍さんが盛んに言っている「未調整だった分も含めて将来世代のためのマクロ経済スライド調整を行った」というのは、つまり平成30年度に反映しきれなかったスライド調整率分が31年度にキャリーオーバーされ、このキャリーオーバー分も吸収した上で0.1%増という受給率の改定が行われたと、つまりそういう意味です。

ちなみに30年度からキャリーオーバーされたスライド調整率は0.3。新しく改定されたスライド調整率が0.2。その上で受給率の改定が0.1という事ですから、つまり昨年度と比較して今年度の物価上昇率は0.6%だったってことですね。

スライド調整率が改定されていないままだったらキャリーオーバーされた0.3にスライド調整率0.9が加算された1.2から0.6をマイナスして、更に0.6が来年にキャリーオーバーされていたことになりますね・・・。

ちなみに安倍さんも言ってますけど、スライド調整率が改定されたのは、30年度と比較して公的年金の加入者の数が増えたから。

「公的年金全体の被保険者数の減少率(3年平均)に平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)」

というのが計算式ですから、スライド調整率が0.2%になったという事は減少率がマイナスになったという事。

0.3%から更に0.1%減少していますので、逆位言えば公的年金の加入者が0.1%増えたってことです。

特にその増加幅が顕著なのは「厚生年金」で最新のデータとして平成30年2月の厚生年金加入者(被保険者)の数が3916万人、安倍内閣初年度の加入者が3527万人ですから人数としては389万人の増加ですね。約9.9%の増加です。

その代わり、国民年金加入者は減っていますので、トータルで0.1%の増加という事になっています。

まぁ・・・しかしびっくりしました。

私、

第401回 年金と消費者物価指数~マクロ経済スライドの終焉~
第402回 マクロ経済スライド未調整分キャリーオーバーを中止すべきもう1つの理由
の二つの記事で年金局の人をまぁまぁディスってしまいましたが、こういう事だったんですね。改めて、お詫びを申し上げたいと思います。

蓮舫は安倍さんがこれほど大切な説明をしたことなど全く理解できていませんから、これに対して「全く誠実に答えていただけないことに本当に憤りを感じるんですが」と答えた上で話題を別の話題に切り替えています。

憤りを感じる前にまず年金制度のことくらい勉強してから安倍さんや麻生さんに質問しろ、とマジで言ってやりたいです。

本日は長くなりました。この記事の内容、ご理解いただけたでしょうか。「安倍内閣の成果」とは何なのか。

是非皆さんのお知り合いにもこの事をぜひ「シェア」していただければ幸いです。






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<継承する記事>第471回 ヴェルサイユ条約と敗戦後ドイツの「ハイパーインフレーション」

第468回の記事 では、敗戦後のドイツ社会主義について、第351回の記事 及び 第354回の記事 で話題にしたことを理由に、これ以上追いかけることはしない、と記したのですが、ベーベルとリープクネヒトが処刑された後のドイツ。

「右傾化」が進んでいくわけですが、社会主義ではなく、「右傾化」について、その様子を改めてドイツのシリーズでも記事にしていきたいと思います。

その中でも、今回は「ワイマール憲法」にポイントを絞って記事にしたいと思います。


ワイマール憲法の成立

ワイマール憲法

個人的に、いつ成立したんだろう・・・と思っていたこのワイマール憲法。成立はスパルタクス団蜂起の結果ベーベルとリープクネヒトが処刑された1919年と同じ年の7月末。公布されたのが8月11日でした。

第468回の記事 で少し話題にしましたが、元々独立社会民主党がレーテによる独裁を目的として結成した「大ベルリン労兵レーテ執行評議会」。

この評議会を中心として開催されたはずの「大レーテ大会(ドイツ全土の「レーテ」が集まって開催された大会)」において、独立社会民主党ではなく、「社会民主党」が多数派を占める「レーテ大会」が全権力を掌握することとなり、また更に同大会において1919年1月19日、「国民議会選挙」が開催されることが決定されました。

その後、「スパルタクス団蜂起」が勃発するわけですが、右派義勇軍(フライコール)が結成され、全権を委任された国防大臣「グスタフ・ノスケ」の下、同蜂起は鎮圧。

大レーテ大会にて決定した通り、1月19日の「国民議会選挙」は予定通り開催されました。

同選挙において政権第一党となったのは社会民主党(得票率37.9%)、第二党が中央党(同19.7%)、第三党がドイツ民主党(同18.6%)で、この3党が連立政府を形成しました。

この時の投票率は82.7%だったんだそうですよ。すごいですね。

ちなみに第4党がドイツ国家人民党、第5党が独立社会民主党、第6党がドイツ人民党。共産党は選挙そのものをボイコットしたのだそうです。

この選挙ではドイツで初めて比例代表制が採用されたほか、女性の参政権も求められたのだそうです。

選挙権年齢も25歳から20歳に引き下げられ、議席も人口が集中している地域に多く配分されるようになったのだそうです。現在の日本の選挙制度ととてもよく似ていますね。

2月11日には元々社会民主党党首であり、選挙前の共和制政府の首相であったエーベルトが大統領として選出されました。

エーベルトはドイツ革命時、勝手に共和制政府の樹立を宣言したシャイデマンを首相として指名しました。

その結果、採択されたのが「ワイマール憲法」です。

ワイマール憲法の事。私は一度記事にしたいとずっと考えていました。ですが、私自身がワイマール憲法について論じるほどの十分な知識を有していませんでしたし、ワイマール憲法成立に至った流れを十分に把握するも至っていませんでした。

その背景も知りませんでしたし、だからこそ私自身がこの話題を記事にすることはありませんでした。

「この話題」何のことを言っているのか、ページタイトルからご推察いただけると思います。そう。以下の動画で麻生さんがおっしゃった、「ワイマール憲法」と「あの手口」に関する話題です。




一番最初に申し上げたように、うわぁっとなった中で、狂騒の中で、狂乱の中で、騒々しい中で、決めてほしくない。

ちょっと皆さんよく、落ち着いて。我々を取り巻く環境は何なんだと、この状況をよく見てくださいと、いう世論というものの上に憲法改正というものは成し遂げられるべきなんだと。そうしないと間違ったものになりかねないということを思うわけです。

最後に、僕は今、3分の2っていう話がよく出てきますけど、じゃあ伺いますが、ドイツは、ヒトラーは、あれは民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。

ヒトラーっていったらいかにも軍事力でとったような形、全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違えんでくださいよこれ。

そして、彼はきちんとワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきたんだから。だから常に、憲法はよくても、そういうことはありうるということですよ。

ここはよくよく頭に入れておかないといけないんあって、私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けてきてますけど、その上で、これをどう運営していくかは、かかって皆さん方が選ぶ、投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持であったり、そういったようなものが最終的に決めていくんだから。

私どもは、周りに置かれている状況は、極めて厳しい状況になっていると認識していますから、それなりに予算で対応しておりますし、事実、若い人の意識は、今回の世論調査でも、20代、30代の方が、極めて前向き。一番足りないのは50代、60代。ここに一番多いけど。

ここが一番問題なんです。私らから言ったら。なんとなくいい思いをした世代。バブルの時代でいい思いをした世代が、ところが、今の20代、30代は、バブルでいい思いなんて一つもしていないですから。記憶あるときから就職難。記憶のあるときから不況ですよ。

この人たちの方が、よほどしゃべっていて現実的。50代、60代、一番頼りないと思う。しゃべっていて。おれたちの世代になると、戦前、戦後の不況を知っているから、結構しゃべる。しかし、そうじゃない。

しつこく言いますけど、そういった意味で、憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えてください。どこが問題なのか。きちっと、書いて、おれたちは(自民党憲法改正草案を)作ったよ。べちゃべちゃ、べちゃべちゃ、いろんな意見を何十時間もかけて、作り上げた。そういった思いが、我々にある。

そのときに喧々諤々、やりあった。30人いようと、40人いようと、極めて静かに対応してきた。自民党の部会で怒鳴りあいもなく。

『ちょっと待ってください、違うんじゃないですか』と言うと、『そうか』と。偉い人が『ちょっと待て』と。『しかし、君ね』と、偉かったというべきか、元大臣が、30代の若い当選2回ぐらいの若い国会議員に、『そうか、そういう考え方もあるんだな』ということを聞けるところが、自民党のすごいところだなと。何回か参加してそう思いました。

ぜひ、そういう中で作られた。ぜひ、今回の憲法の話も、私どもは狂騒の中、わーっとなったときの中でやってほしくない。

靖国神社の話にしても、静かに参拝すべきなんですよ。騒ぎにするのがおかしいんだって。静かに、お国のために命を投げ出してくれた人に対して、敬意と感謝の念を払わない方がおかしい。静かに、きちっとお参りすればいい。

何も、戦争に負けた日だけ行くことはない。いろんな日がある。大祭の日だってある。8月15日だけに限っていくから、また話が込み入る。日露戦争に勝った日でも行けって。といったおかげで、えらい物議をかもしたこともありますが。

僕は4月28日、忘れもしません、4月28日、昭和27年、その日から、今日は日本が独立した日だからと、言って、月曜日だったかなぁ。靖国神社に連れて行かれましたよ。それが私が初めて靖国神社に参拝した記憶です。

それから今日まで、結構年食ってからも毎年1回、必ず行っていると思いますけれども、そういったようなもんで行ったときに、わーわー、わーわー騒ぎになったのは、いつからですか、これは。

昔はみんな静かに行っておられましたよ。各総理もみんな行っておられたんですよ、これは。いつから騒ぎにしたんです。マスコミですよ。違いますかね?(大きな拍手)

いつのときからか、騒ぎになった。と、私は思う。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。いうんで、憲法は、ある日気づいたら、ドイツもさっき話しましたけれども、ワイマール憲法がいつの間にか変わってて、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気がづかないで変わったんだ。あの手口学んだらどうかね。

もうちょっと、わーわー騒がないで。

本当に、みんないい憲法と、いや言って、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。だから、ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんし、しかし、私どもはこういった物は重ねて言いますが、喧噪の中で決めないでほしい。

「ヒットラー」という人物について私が論じるのは、第471回の記事 でもお伝えしましたように、彼自身の著書である「我が闘争」。

この上下巻を読破してからにしようと思っています。

現時点ではまだ上巻の3/4程度までしか読めていません。ですが、ヒットラーという人物の為人についてはおぼろげながら把握しつつある、という状況だと現時点では思っています。

「ワイマール憲法」が成立した後の経緯についてもこれから学んでいこうとは思っているのですが、その上で、前記した麻生さんの発言について、本日は話題にしていきたいと思います。



麻生発言のポイント

多くの人が勘違いしていて、マスコミや野党陣営が必死に印象操作に利用した部分が麻生さんの発言の内

 憲法は、ある日気づいたら、ドイツもさっき話しましたけれども、ワイマール憲法がいつの間にか変わってて、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気がづかないで変わったんだ。あの手口学んだらどうかね

という部分だと思います。

麻生さんの発言の内、着目していただきたい部分は、実は二つありまして、一つ目が次の部分。

 ①ここはよくよく頭に入れておかないといけないんあって、私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けてきてますけど、その上で、これをどう運営していくかは、かかって皆さん方が選ぶ、投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持であったり、そういったようなものが最終的に決めていくんだから。

という部分です。この言葉がどういった表現に続いて登場しているのかと申しますと、以下の通り。

 ②ドイツは、ヒトラーは、あれは民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。

ヒトラーっていったらいかにも軍事力でとったような形、全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違えんでくださいよこれ。

そして、彼はきちんとワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきたんだから。だから常に、憲法はよくても、そういうことはありうるということですよ。


麻生さんはこのスピーチを、どちらかというと麻生さんを支持する層。そして、憲法を改正すべきだと考える人たちに向けて行っています。

ですから、①についても、②についても、それは憲法を改正すべきだと考える人たちに向けて発信しているメッセージだということがわかります。


「ワイマール憲法」はどのようにして「ナチス憲法」へと変化していったのか

ワイマール憲法の中身にまで詳細に触れることはしませんが、麻生さん自身も言っているように、「ワイマール憲法」とは、「当時は世界で最も民主的な憲法とされ」ていて、第1条において「国民主権」が規定されていたり、その他「114、115、117、118、123、124、153」の条文では「基本的人権」が規定されていたりします。

ですが、この憲法で問題があったのは

「公安に著しい障害が生じ或いはその虞がある時は、大統領は障害回復のために必要な措置を取り、また武力介入が出来る。このために大統領は基本的人権を一時的に停止出来る」

との条文が含まれていたり、体制として大統領制がとられていて、大統領には「憲法停止の非常大権などの強大な権限」が与えられていたこと。

そして、大統領は、「国家宰相(首相)の任免を行う」ことができました。

大統領制をとっていましたが、大統領にはかつての「皇帝」のような役割が充てられていたんですね。

と言っても、このような制度は現在の米国などにも存在しますよね?

これに対し、麻生さんは

『私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けてきてますけど、その上で、これをどう運営していくかは、かかって皆さん方が選ぶ、投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持であったり、そういったようなものが最終的に決めていくんだから』

と言及しているわけです。つまり、同じ「憲法」でも、それはこれを運営する側によっていかようにでも変化していくことを指摘しているんです。

当時世界一民主的だと言われたワイマール憲法でさえ、これを運用する側の判断によって、最終的には「ナチス憲法」へと姿を変えてしまったわけですから。

「ナチス憲法」に姿を変える経緯としては、

1.世界恐慌の勃発による、社会民主党内閣の辞任
2.ヒンデンブルク大統領の「大統領緊急命令権」の発動。議会内少数派の首相就任(議院内閣制の停止:1930年)
3.1933年1月、ヒットラー内閣の誕生(ヒンデンブルク大統領の任命による)
4.国会議事堂放火事件の勃発(ヒットラーはこれを共産党員の仕業であると断定)
5.大統領により「民族と国家を防衛するための大統領緊急令」の発令(対共産党員:基本的人権の停止)
6.社会民主党議員の議会からの追放、及び弾圧
7.全権委任法の成立

という流れです。詳細は後日記事にします。

5~7は事実上ヒットラーによって行われたものですが、やり方としますと、ビスマルクによって「社会主義者鎮圧法」が実行された経緯 と非常によく似ていますね?

まだ途中ではありますが、「我が闘争」に記されている内容を見てみますと、ヒットラーの目指した「社会」とは、ビスマルク体制下、ヴィルヘルム1世の時代のドイツ帝国を復活させることにあったのではないか、と思われる節が多々見られます。

今回は麻生さんのスピーチを分析することを目的としていますので、この事について多く言及することは控えますが、多分、ビスマルクが行った「社会主義者鎮圧法」を批判する人は、そう多くはないのではないかと思います。

ではヒットラーの取った行為はどうでしょうか? ビスマルクの時は何も批判しなかったのに、ヒットラーの仕業になると急に批判に転じている人はいませんか?

そういった視点で、例えばネット上の記述なども見てみると少し違った見方ができるのではないかと考えています。


話が逸れましたが、ワイマール憲法が「ナチス憲法」へと変質していく過程が、「うわぁっとなった中で、狂騒の中で、狂乱の中で、騒々しい中で」進んでいっているように見えませんか?

また、このようなやり方を積極的に推し進めたのがあたかもヒットラーであるかのように見えてしまいますが、実はヒットラーが権力の座に就く以前より、大統領となったヒンデンブルクは「大統領緊急命令」を多用することで政権を運営していました。

そして、何よりドイツ国民は既に「議会制民主主義」に対して失望しており、大衆はヒンデンブルクのこのような権威主義的な政権運営を支持していました。

ここを一つ、押さえておきたいと思います。


改憲論者への忠告とマスコミ批判

もう一つ、着目していただきたいの以下のフレーズです。

 ③本当に、みんないい憲法と、いや言って、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。だから、ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんし、しかし、私どもはこういった物は重ねて言いますが、喧噪の中で決めないでほしい。

このフレーズを、「ナチス憲法が、みんないい憲法だと納得して成立したんだ」と勘違いしている人も多いのではないでしょうか?

ですが、ここでいう「憲法」とは、「ナチス憲法」のことではなく、「ワイマール憲法」のことです。

そして「変わった」というのは「全権委任法」がワイマール憲法下で国会審議を通過したということ。憲法に賛成した政党は、

「国家社会主義ドイツ労働者党(所謂ナチス)」、「ドイツ国家人民党」、「中央党」、「バイエルン人民党」、「ドイツ国家党」、「キリスト教社会人民運動」、「ドイツ人民党」、「ドイツ農民党」、「ドイツ農民連盟」の合計9つの政党で、合計441の投票数。

唯一反対したのがドイツ社会民主党でしたが、その票数は94票。

441票対94票で「全権委任法」は成立し、「ワイマール憲法」は「ナチス憲法」へと姿を変えたのです。

ここは私の推測ですが、この時ドイツの「マスコミ」、即ち新聞社は大騒ぎしていたんじゃないでしょうか?

いつのときからか、騒ぎになった。と、私は思う。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。

だから、静かにやろうやと。いうんで、憲法は、ある日気づいたら、ドイツもさっき話しましたけれども、ワイマール憲法がいつの間にか変わってて、ナチス憲法に変わっていたんですよ。

だれも気がづかないで変わったんだ。あの手口学んだらどうかね。

「全権委任法」が成立したとき、ドイツの憲法の名前は、「ワイマール憲法」という名称でした。

「ナチス憲法」などという名称ではありません。

ですが、「ワイマール憲法」を成立させたのは「全権委任法」の成立に反対したはずの社会民主党を中心とした政党です。

「ワイマール憲法」は気が付いた時には、いつの間にか「ナチス憲法」へと姿を変えていたわけです。


 あの手口に学んだらどうかね

という麻生さんの言葉は、ほかでもありません。靖国参拝を「わーわー、わーわー」と「騒ぎ」にしてしまった、マスコミに向けて放たれた言葉です。マスコミと、おそらく「野党陣営」に対しても。

麻生さんは、きっとこういったドイツの歴史を非常によくご存じなのでしょう。ですが、このようなドイツの歴史を全く理解していない連中が、浅はかな知識で麻生さんの歴史解釈を批判し、「イデオロギーの攻撃」のために利用する。

無知なのはどちらかと、私は本当に訴えたい!


 我々を取り巻く環境は何なんだと、この状況をよく見てくださいと、いう世論というものの上に憲法改正というものは成し遂げられるべきなんだと。そうしないと間違ったものになりかねないということを思うわけです。

という麻生さんの言葉って本当に重いと思います。

現時点で、安倍さんは憲法9条に対して、第3条を書き加える、「加憲」という方法で妥協せざるを得なくなっています。

なぜでしょう? 真剣に議論して、自民党は自民党として、良し悪しは別として、きちんとした「改憲案」を持っているにも関わらずです。

「わーわー、わーわー」と騒ぎ立てる人たちがいるからですよ。

マスコミはまた、同じ歴史を繰り返したいんでしょうか?


この批判は、私がこれから記していく記事の中でも多々、登場することとなると思います。

ハッキリ言えば、「第二次世界大戦」という大惨事を引き起こした最大の理由は、敢えてこの言葉を用いますが、「左翼」と「マスコミ」の存在があったからです。

もちろん、人間にも、社会にも、国家にも様々な失敗を経て、成長する必要がありますから、そういう時代もまた必要だったのだと思います。

ですが、であればその失敗を糧に、人間は成長する必要があるのではないでしょうか?

ですが、あれほどの大惨事を引き起こしたにもかかわらず、未だに成長せず、前時代的な思考のまま固まっているのが「マスコミ」と「左翼」です。これはつくづく思います。

今更何を言っているんだと思う方もたくさんいらっしゃると思いますが、このシリーズのクライマックスに向けて、これから作成していく記事の中で、徐々にその理由をご理解いただけるようになると思います。

次回記事では、更に第一次世界大戦後ドイツの「右傾化」について記事を進めていければと思っています。



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本日は2019年5月21日です。昨日2018年度のGDP速報(1次速報)が公表されました。

そう。公表されたのは「2018年度(平成30年度)」のGDP速報のはずなのです。ところが・・・

【日本経済新聞】2019/5/20 8:50
1~3月GDP、年率2.1%増 個人消費は0.1%減

内閣府が20日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.5%増、年率換算では2.1%増だった。2四半期連続のプラス成長となった。10~12月期は年率換算で1.6%増だった。住宅投資や公共投資の増加がプラス成長に寄与した。QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比0.1%減で、年率では0.3%減だった。

生活実感に近い名目GDPは前期比0.8%増、年率では3.3%増だった。名目でも2四半期連続のプラスになった。

実質GDPの内訳は、内需が0.1%分のプラス、外需の寄与度は0.4%分のプラスだった。

項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。

輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。

個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが影響した。

設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。

総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期と比べてプラス0.2%だった。輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターは0.3%のプラスだった。

同時に発表した2018年度のGDPは実質で前年比0.6%増、生活実感に近い名目で0.5%増だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

経済に関連する記事なので、日経から記事は引っ張ってきました。

・GDP、年率2.1%増 1~3月期 輸入の落ち込み影響(朝日新聞)
・1~3月期GDPはプラス 市場の予想覆す 年率2.1%増 輸入減が押し上げ(毎日新聞)
・1~3月期実質GDP、年率換算2・1%増(読売新聞)
・1~3月期GDP 輸入急減、見かけ上プラス(東京新聞)

その他、主要各紙の記事タイトルは上記の通り。そう。どこにも「2018年度(平成30年度)」のGDPが公表された、と記している記事は存在しないんですね。

もちろん、2018年度第一四半期(4-6月)~第三四半期(10-12月)までのGDPは既に公表されていますから、「何をいまさら」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、にも関わらずなぜか「第四四半期(1-3月)の四半期別GDP」を「季節調整」し、更に「年率換算」した「年率GDP成長率」は掲載されています。

私、この傾向ははっきり言って異常じゃないかと思うんです。

「年率換算」に関しては、第140回の記事 にて、かなり詳細にご説明させていただいたことがあるのですが、これを転記する形で改めて皆さんにご理解いただきたいと思います。

【年率換算の計算方法】
1.第1四半期を前期、つまり前年度の第4四半期のGDPと比較して成長率を出します。
 第1四半期の成長率を1Q、前年度の第4四半期のGDPを4Q’とします。

第1四半期を前期比と比較した成長率
=(1Q-4Q')/4Q' この計算式を①とします。

2.①は「成長率」ですので、本体である4Q'に、1+①をかけたものが第1四半期のGDPになります。
第1四半期のGDP=4Q'×(1+①)×100

3.「年率換算」を行うときは、第一四半期の成長率が、第2四半期~第4四半期まで継続して続く、と考えるので

第2四半期のGDP=4Q'×(1+①)×(1+①)
第3四半期のGDP=4Q'×(1+①)×(1+①)×(1+①)
第4四半期のGDP=4Q'×(1+①)×(1+①)×(1+①)×(1+①)=4Q'(1+①)^4(^=乗数のことです)

となります。「年率換算」とは、この様な計算方法によって算出された第4四半期のGDPを前年度の第4四半期と比較した結果を算出するための計算方法です。

ですので、第1四半期の「前期比」を「年率換算」した計算結果は

{4Q'(1+①)^4-4Q'}÷4Q’×100={(1+①)^4-1}×100

これが「年率換算」の計算結果です。
もう少しわかりやすく表現すると、

〔{(1+第一四半期の成長率(前期比)}の4乗-1〕×100(%)

これが「年率換算」です。

私自身、かなり久しぶりに見ましたが、計算式を見るだけで脳がわきそうになりますね。

しかも検算をして1か所誤りを発見してしまいましたので、引用元の第140回の記事に赤で訂正を入れております。今回の記事では正しい計算式に修正しています。

そう。「年率換算」とはこのような計算式を用いて計算された、単なる計算結果に過ぎないということをぜひ覚えていていただきたいのです。

で、このような計算式に基づいて計算された「2018年度第四四半期」の「実質GDP」を「季節換算」したものの「2019年度の第四四半期」のGDPが「2018年度の第三四半期」と比較して2.1%増しになっています・・・という予言を行っているのがこの「年率換算」というものです。

ちなみに2017年度第四四半期の実質GDPの「年率換算」を行った値は-0.1%でした。

では、まる1年たった今、2018年度の第四四半期の「実績」と2017年度第四四半期の「実績」を比較するとどうでしょう。

2018年度第四四半期四半期を2017年度第四四半期と比較した実質GDPの「前年同月比」は0.8%です。

昨年の同じ時期に行われた実質GDP成長率は-0.1%であると予言されましたが、実際の結果は0.8%でした。

そうです。そもそもたった3か月間の「経済成長率」がまる1年間、同じペースで継続することなどまずありえないのです。にも関わらず、こんな「予言」がまるで事実であるかのようにして大騒ぎし、アベノミクスが成功だ、失敗だと大騒ぎしている連中に言いたい。

一体あんたたちは今年度当初に大騒ぎした厚労省による「毎月勤労統計調査」のデータ不正問題で一体何を学んだのだ、と。

あれだってそもそもその結果には「常勤雇用5名未満」の事業所のデータは全く含まれていない、「速報性」のみを重要視した、統計データとして参考程度にしかならないデータであることはあの事件が起こる以前からわかっていたことです。

ほんと、私からすれば今更感が半端ない事件でしかありませんでした。

あの事件から何も学べない人達がこの国では大多数を占めているのかと考えると、本当にうんざりする思いがします。体制派に対しても、反体制派に対しても同じことを感じます。せめてもう少し過去から学ぶ姿勢を身に着けてほしい、と。

ということで、私の発表する「GDP速報」は、

1.名目値、原系列を最重要視する。
2.季節調整、年率換算はフィクションにすぎないので検証する必要はない。
3.名目値に比較すると信頼性は落ちるが、物価を見る上で「参考」にはなるので実質値も検証はする。

という姿勢で記事を作成していきます。

数値は基本的に「名目値」「原系列」で、捕捉データとして「実質値」「原系列」を掲載します。


2018年(平成30年)度GDP第四四半期1次速報

【2018年度GDP第四四半期第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 137.893 兆円(0.9%)

 民間最終消費支出 75.806 兆円(0.4%)
 家計最終消費支出 74.132 兆円(0.4%)
  除く持家の帰属家賃  61.608 兆円(0.4%)

 民間住宅  4.211 兆円(2.6%)
 民間企業設備 25.364 兆円(2.4%)

実質GDP
全体  135.632 兆円(0.8%)

 民間最終消費支出 74.785 兆円(0.4%)
 家計最終消費支出 72.983 兆円(0.3%)
  除く持家の帰属家賃  59.448 兆円(0.2%)

 民間住宅 3.852 兆円(1.2%)
 民間企業設備  24.665 兆円(1.6%)

内閣府


さて、いかがでしょうか。日経新聞の記事に目を通してみますと、

・項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。

・輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。

・個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが影響した。

・設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。

との内容が記されています。もちろんすべて「実質値」に対する記事なんですが、私が受容視するのは実質値ではなく名目値です。

名目値を算出する際でさえ、詳細なデータ把握ができているのPC、デジカメ程度のもので、それ以外の消費額はすべて計算式によって人為的に算出されたもので、はっきり言ってデータとしては疑ってかかるべきデータだと私は考えています。それを最初から信用し、真に受ける方がおかしい。

だからこそそのデータを検証し、どの程度信頼性があるのかと検証すべきもの、それが「名目GDP」です。

もちろん年率換算や季節調整されたものとは違い、全くのデタラメのデータではありませんから、「原系列」で数字を追いかけることには意味があると私は思っています。

ですが、「実質値」とは、そんな信憑性に疑いの余地があるデータを、更に「消費者物価指数」というまた新たに計算式を用いて算出されたもので割って求めたデータです。(※消費者物価指数で割って算出するのは『民間最終消費支出』内のデータに限ります)

そして、

 「名目値」=「売上(または消費)総額」
 「実質値」=「売上(または消費)数量」
 「GDPデフレーター」=「売上(または消費)単価」

のそれぞれ最大値であることを考えると、日本国全体の「支出」を見るためのデータである「支出側GDP」を、その消費単価(デフレーター)を全く考慮せず、単に消費数量(実質値)だけで考えることは非常に意味がないと考えていますので、はっきり言って名目値よりも実質値が重要視される現状もまた異常だと私は考えています。

ですが、マスコミ側の意図は実質値こそ生活の実感に近いという誤った意識の下、更に計算方法すら明確に説明することができない「季節調整系列」を用いた予言の数字である「年率換算」を行った数字が現在の日本の「現状を示している」という意図をもって記事を記していますので、私が正しいと考える「日本の現状」とそれを比較する形で記事を作成していきます。


・項目別にみると、住宅投資は1.1%増で、3四半期連続でプラスだった。持ち家を中心に持ち直しの傾向がみられた。公共投資は1.5%のプラスだった。

住宅投資は2.6%増です。記事では三四半期連続のプラスと記されていますが、四半期別で考えるのなら、住宅投資は五四半期連続でマイナスでした。実に1年と1四半期ぶりのプラス成長です。

ですが、それ以前の上昇幅が6%や7%といった非常に大きな幅での上昇率を8四半期連続で記録していますので、その反動だったと考えることができます。

公共投資、即ち「公的資本形成」は-0.7%。実は四四半期連続の前年度割れです。ただ、それ以上に民需が活発ですから、ここに着目して言及することは控えたいと思います。


・輸出は2.4%減だった。中国を中心として海外経済の減速が影響した。輸入は内需の弱さを反映して4.6%減となった。輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している。

なんだかあたかも「輸出減」が突然問題になったかのような記事の作成の仕方ですが、実は第三四半期において、GDPが前年度割れを起こしていたのですが、その最大の理由は「輸入額の上昇幅を輸出額の上昇幅が上回ったこと」でした。

17年(暦年)は輸出額が前年度比で10%を超えるペースだったものが、18年(暦年)に入って上昇幅を縮小し始め、これが18年度第四四半期に入って下落に転じた、というのが本当のところです。

今期、「輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回ったため、GDPにはプラスに寄与している」などともっともらしいことを記すのなら、のなら、なぜマスコミは第三四半期、他の項目は民間住宅以外全てプラスなのに、輸入額の上昇幅が輸出額の上昇幅を大幅に上回ったためにGDP全体としては前年度割れを起こしたことを全く騒がなかったのでしょうか?(第460回の記事 参照)

私には不思議でなりません。ちなみに今期の統計データで前年度割れを起こしているのは「公的資本形成」「輸出額」「輸入額」の3項目のみで、他の項目はすべて前年度を上回っています。

毎日新聞は「1~3月期GDPはプラス 市場の予想覆す 年率2.1%増 輸入減が押し上げ」などと、さも輸入額の減少ににGDPが上昇した原因があるかのように記していますが、

輸入額の減少幅など5260億円にすぎません。輸出額から輸入額を差し引いた「純輸出高」は7090億円、2017年度第四四半期の純輸出高は1.102兆円ですから、これと比較すると3930億円のマイナス。純輸出高でみれば、輸出入額はむしろGDP全体を押し下げる働きをしています。

にも関わらずGDP全体では昨年同期と比較して1.3兆円成長した、というのが2018年度第四四半期の「輸出入」に対する正しい評価です。


個人消費は0.1%減と、2四半期ぶりのマイナスだった。暖冬の影響で衣料品の販売が不調だったことや、食品の値上げを受け消費意欲が冷え込んだことが影響した。

もうお解りですね。個人消費、つまり「家計最終消費支出」は「持家の帰属家賃」を除いたものとともに前年度比0.4%の上昇です。

実に2年1四半期連続の前年度増しです。

ちなみに「消費者物価指数」で見すと、確かに「被覆及び履物」の費目の内「衣料」が1月△0.3、2月△0.8、3月△0.4と前年度割れ、食料全体に関しても1月△1.5、2月△1.4、3月△0.3と前年度割れが続いていますが、ここから「生鮮食品」を取り除くと1月0.6、2月0.6、3月0.8と前年度を上回っており、「食糧及びエネルギーを除く総合」で見ても三か月連続で0.4と前年度越え。

これを見て「消費意欲が冷え込んだ」と言えるのか、私には非常に疑問です。

「消費者物価指数」は消費者の消費状況が反映されたものです。

「消費者物価指数」を算出する際に用いられる「連鎖指数」が前年のものを用いているため、消費者物価指数が急激な「価格変動」を反映しきれていないことは事実ですが、それがもし負担となるのならば他の費目の物価が影響を受けるはずです。

ですが、そうなっていない以上、「消費が冷え込んだ」とする日経のコメントは誤っているのではないか、と私は思います。


設備投資は0.3%減で、2四半期ぶりのマイナス。米中貿易摩擦などによる中国経済の減速懸念で、電気機械などの製造業を中心に設備投資を手控える動きがみられた。民間在庫の寄与度は0.1%のプラスだった。

設備投資費・・・マイナスですか?

前年度と比較して実に2.4%の前年度増し。前期の4.8%には及びませんが、実に2年1か月連続の「前年度増し」です。設備投資を控えてますかね?

ちなみに1月は決算期だからでしょうか。他の項目は12月が含まれる第三四半期の数字がすべて大きくなっているんですが、「設備投資費」だけは第四四半期の数字が毎年度大きくなっているんです。

そう。つまり企業設備投資費に限れば、第四四半期の数字は第三四半期の数字よりも大きいんです。これは実質値で見ても同じ傾向がみられます。

にも関わらず、これを「前期比」で見ると名実共にマイナスとなっています。

前年度を2.4%も上回っていて、原系列で見れば12月を含む「前期」を上回っている「企業設備」が「季節調整、年率換算」を行うとなぜか名目で4%、実質で1.2%のマイナス成長になる・・・という非常に不思議な現象となっております。

こんな数字をまともに相手にする方がいかれてます。一体どんな計算式なんでしょうね、「季節調整」って。ほんと、謎すぎます。


2018年(平成30年)度GDP第1次速報

さて。それではいよいよ「2018年(平成30年)度」全体でのGDP速報です。
【2018年度GDP第1次速報(前年同期比)】
名目GDP
全体 550.098 兆円(0.5%)

 民間最終消費支出 305.397 兆円(0.7%)
 家計最終消費支出 297.200 兆円(0.6%)
  除く持家の帰属家賃  247.149 兆円(0.7%)

 民間住宅  16.767 兆円(△2.6%)
 民間企業設備  89.648 兆円(4.1%)

実質GDP
全体  535.186 兆円(0.6%)

 民間最終消費支出  300.048 兆円(0.4%)
 家計最終消費支出  291.923 兆円(0.3%)
  除く持家の帰属家賃 237.985 兆円(0.2%)

 民間住宅  15.367 兆円(△4.2%)
 民間企業設備 87.124 兆円(3.2%)

内閣府


いかがでしょうか。


民間住宅について

既にお伝えしています通り、「民間住宅」に関しては第一四半期~第三四半期までの数字が前年度を大きく下回っていますので、トータルで見ても名目で2.6、実質で4.2%の前年度割れとなっています。

ただし、「物価上昇率」で考えますと、物価上昇率=名目(△2.6)-実質(△4.2)=1.6%の物価上昇となっています。

ミクロベースで表現するとすれば、売上総額、売上数量とも前年度を大きく下回りましたが、売り上げ単価としては前年度を1.6%上回る売り上げであった、との表現になります。


「個人消費」について

個人消費については「家計最終消費支出」を見ます。第470回472回473回 の記事でも取り上げた話題です。

「家計最終消費支出」に関しては、全体では「持家の帰属家賃」というフィクションの数字が含まれていますので、「除く持家の帰属家賃」で考えます。

名目が0.7%の前年度越え、実質が0.2%ですから、物価上昇率は0.5%。

昨年度が名目1.7%、実質1.1%、0.6%の物価上昇率でしたから、やや減速はしていますが、消費総額としては前年度を上回る値で完了しました。

目標として「2%の物価上昇」を目指す項目ですが、「物価」も「消費数量」も前年度を上回り、同時に「消費総額」も前年度を上回ったわけですから、安定した経済成長を遂げたといえるのではないでしょうか。


企業設備投資

こちらは名目が4.1%、実質が3.2%増で0.9%の物価上昇率となっていますから、これは大成長と言ってもよいのではないでしょうか?

「大企業ばかりがもうかって、労働者には回ってこない」と主張する輩もたくさんいますが、私がシリーズ 中間層の見方 でお示ししましたように、各所得層を100万円ごとに切ってみても、その「所得層」の水準が上昇してきていることがわかります。

引用したシリーズは27年までのデータしか掲載していませんが、最新で平成29年までの情報が既に公表されており、引用シリーズに掲載した状況は未だに継続しています。

「中間層の見方」に関しての記事は近いうちに更新したいと思います。

このような傾向からも、「大企業ばかりがもうかって・・・」という理屈は既に通用しなくなっているのではないかと私は思います。


GDP全体を通じて

まとめに入ります。

GDP全体で見ますと名目で前年度比0.5%とそう大きく伸びていないように見えるかもしれません。

ですが、名目全体で見ても下落しているのは「民家住宅」と「公的資本形成」の2項目のみ。それ以外はすべてプラス成長しています。

GDPを引き下げる要因として大きく働いているのはやはり「純輸出額」の下落。2017年度の4.934兆円から9875億円に下落しており、下落幅としては4兆円近くの下落幅。

GDP全体が550兆円ですから、GDPに対する割合としては0.7%に上ります。

このような状態にも関わらずGDP全体としては0.5%成長したということを考えれば、実に堅調な経済成長であったということができるのではないでしょうか。

「年率換算」などというフィクションの未来予測の数字に大騒ぎするのではなく、一つ一つ、今起きている現状を正確に判断できる冷静な視点を持つことこそ、私たち「国民」に求められている視点なのではないかと、そう思えてなりません。




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