第97回 安倍内閣における所得税収・法人税収の推移など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第96回 輸入物価指数から見る日本の「消費」

先日開催した勉強会で、いくつか資料を作成しました。
今回の記事は、これを私の手元だけにおいておくのはもったいないので、これをシェアする目的で記事を作成します。

作成した資料は、タイトルにある「所得税収」と「法人税収」の推移です。

そもそも、安倍内閣において行われた「消費増税」が批判される最もオーソドックスな「根拠」は

「橋本内閣において消費税が3%→5%に引き上げられた後、確かに消費税収は増えたが、一般会計全体の税収は減っている」

という理屈が最もオーソドックスなものです。
私も、過去に作成していたブログの中で、同様の主張を行っていましたから、これはよく覚えています。

過去のブログ
中々情熱のある記事を作成していますね。

念のために言っておきますと、この時点で私はすでに「消費増税は必要である」というスタンスを取っていました。
記事中の文言を引用しておきます。

【旧ブログからの引用】
「増税」したからと言って、必ずしも「税収」が増えるわけではない、ということです。

そこで、思い出して欲しいのが、我らが麻生太郎元総理が行った政策。

つまり、「景気回復」のための「財政出動」です。
問題は「歳出」ではなく、「歳入」にあるのです。

「税収」を増やす方法は二つあります。
一つ目が前記した「増税」。ですが、これにそれほどの効果がないことは、文中で記したとおりです。

もう一つは、「消費の拡大」。「消費」とはつまり「税収」の分母です。

消費を拡大し、また地力の経済回復を可能にすれば、増税に頼らずとも税収を増やすことは可能です。

破綻することのない財政が破たんすることを恐れ、「歳出」を削れば、日本は社会保障制度を満たすため、半永久的に国債を発行し続けなければなりません。
ですが、たとえ短期間でも、集中して景気を回復させるための財政出動を行い、民間が自力で経済の拡大を行うことができるようになれば、その後無駄な国債を発行刷る必要はなくなります。

そして、ここにおいて初めて「消費税増税」を行うことで、不足する社会保障のための財源も確保することができるのです。

この時用いた資料がこちら。

【一般会計税収・歳出・公債発行額の推移(~平成22年)】(図1)
一般会計税収の推移(~平成22年)

少し古い資料ですが、平成22年までの税収の推移を示しています。
勉強会で使用するために若干加工したものです。赤丸で囲んでいる部分が消費増税年度。
この時の一般会計税収を横線で引っ張っていますので、その後の税収とも比較しやすくなっていますね。

ちなみに、「一般会計税収」とは、私たちが収めた税金の内、国庫に納められる税金を集めた、その総額のことです。
もう少し細かく見ると、こんな感じです。

【一般会計税収の推移(内訳)】(図2)
税収の推移(~平成24年)

ほぼ全ての税収が一覧で掲載されていますが、この中でも特に大きいのは「所得税」「法人税」「消費税」の3項目です。
見ての通り、平成9年(1997年)に消費増税が行われた際には、消費税収が大幅に増えていますが、他の税収は軒並み下落しています。
特に「所得税」と「法人税」の下落幅が酷くなっています。

図1を見ますと、全ての税収の合計値である「一般会計税収」が全体として下落し、その後の税収が1997年の税収を上回る年はありません。

つまり、このグラフで見る限り、1997年の「消費増税」は失敗だった、というのがそもそも消費増税が否定される根拠となっています。
後段では、その後。安倍内閣に入ってからの「税収」の動きについて解析してみたいと思います。


安倍内閣における所得税収・法人税収の推移

では、改めてこちらの画像から。

【一般会計税収の推移(~平成28年)】
一般会計税収推移

縦長の赤丸が8%増税年度。
これまでの、
平成9年(1997年)に消費増税が行われた際には、消費税収が大幅に増えていますが、他の税収は軒並み下落しています。
特に「所得税」と「法人税」の下落幅が酷くなっています。

図1を見ますと、全ての税収の合計値である「一般会計税収」が全体として下落し、その後の税収が1997年の税収を上回る年はありません。

つまり、このグラフで見る限り、1997年の「消費増税」は失敗だった、というのがそもそも消費増税が否定される根拠となっています。

という汚名が、増税したまさにその年に返上されていることがわかります。指標としては、右側が一般会計税収総額、左側が項目別の税収です。
グラフは財務省のホームページに掲載されています。

ただこのグラフ、2015年度は「補正予算ベース」、2016年度は「予算ベース」で確定値ではありませんので、独自にこの「確定値」を比較できるグラフを2パターン作成しました。

【一般会計税収総額推移-1】
一般会計税収推移(~平成27年度4月末)


こちらは、一般会計税収総額を、各年度4月末までの累計額で比較したものです。なぜ4月末までなのか。
税収は毎年4月~翌年5月末まで集計されています。

【中間申告の方法(国税庁HPより】
中間申告の方法

理由はこちら。国税庁のホームページに掲載されているものですが、政府の会計年度4月~3月までなのですが、申告期限として、「申告対象期間の末尾の翌日から2カ月以内」と書かれています。

つまり、最終対象期間が3月ですので、3月の申告は遅くとも5月末までには行ってくださいね、ということです。
5月末にはすべての課税申告データがそろいますので、集計期間が5月末まで、となっているわけです。

現時点で公表されている最新の税収は2015年度4月末までです。集計期間は5月末までですから、あと1カ月残されているわけですが、年度全額の税収が確定する前に、前年度4月末までの累計と比較することで、最新の税収データを比較的公平性が担保された状況で見ることができますよ、というのが4月末データで比較している理由です。

【一般会計税収総額推移-2】
一般会計税収推移(~平成26年度5月末)
(※誤って所得税収の推移を掲載していましたので、データを差し替えています。)

こちらは各年度5月末のデータです。5月末で年度データ全額が確定しますので、各年度の総額でもあります。
平成27年度(2015年度)はまだ5月分データが出ていませんので、26年度(2014年度)までのデータとなっております。

左側の青い棒グラフが一般会計税収総額の推移。右側のオレンジ色の棒グラフが各会計年度の消費税収と、その前年度の消費税収の差額です。見ての通り、消費税収が行われているにも関わらず、1997年度の5%増税時とは違って、増税年度は前年の税収を大幅に上回っていますね?

もちろん、平成26年(2014年)には消費増税が行われていますので、その増税分税収が増えています。
これは、1997年の時も同様でした。

ではひょっとしてその消費税収分が大幅に増加したため、一般会計全体の税収を引き上げる要因となっており、他の税収は増税前を下回っているのかもしれません。

【消費税収の推移-1】
消費税収推移(~平成27年度4月末)

【消費税収の推移-2】
消費税収推移(~平成26年度5月末)

こちらは消費税収の推移です。上が27年度4月末。したが26年度5月末までのデータです。
消費増税が行われた平成26年度(2014年度)は増税した分大幅に上昇しています。4月末参考データではありますが、27年度の税収は増税された平成26年度の前年度税収増額とほぼ同額の税収が増えています。

ただ、これは26年度データにはまだ5%増税時のデータも含まれているため、26年度と27年度を比較した場合にその影響が反映されていますので、この差額そのものをあてにすることは適切ではありません。

ただ、2年間にわたり、大幅な税収増となっていることは事実です。このことがひょっとして一般会計税収総額を上昇させた原因なのでしょうか。

【所得税収の推移-1】
所得税収推移(~平成27年度4月末)

【所得税収の推移-2】
所得税収推移(~平成26年度5月末)

いかがでしょう。増えていますね?
2014年、2016年の2年間連続で、消費増税が行われたにも関わらず、所得税収は増えています。
安倍内閣が誕生した2013年ほどの伸び率ではありませんが、増えていますね?

【法人税収の推移-1】
法人税収推移(~平成27年度4月末)

【法人税収の推移-2】
法人税収推移(~平成26年度5月末)

こちらは法人税収の推移です。
27年度のデータですと、平成25年度、および平成27年度のデータがマイナスとなっていますが、平成26年度のデータですと、平成25年度のデータはプラスとなっています。これは、法人税収においては最終月である5月度のウェイトが大きいことが理由です。

27年度のデータで見ても、消費増税が行われた26年度のデータは増税前、25年度のデータを上回っていますし、27年度のデータも、増税前、25年度のデータを上回っています。

そうです。つまり、現時点で確定しているデータを見ても、安倍内閣における「税収」は、消費税収だけでなく、「所得税」においても、「法人税」においても、普通に増加しているのです。

私も、もともとは唱えていた主張だけに、それをも批判することにはなりますが、
平成9年(1997年)に消費増税が行われた際には、消費税収が大幅に増えていますが、他の税収は軒並み下落しています。
特に「所得税」と「法人税」の下落幅が酷くなっています。

図1を見ますと、全ての税収の合計値である「一般会計税収」が全体として下落し、その後の税収が1997年の税収を上回る年はありません。

つまり、このグラフで見る限り、1997年の「消費増税」は失敗だった、というのがそもそも消費増税が否定される根拠となっています。

という主張が、安倍内閣においてはまったく「的外れ」であることがわかります。

確かに「消費増税」が行われたことで、そのことが消費を冷え込ませたことは事実かもしれません。
ですが、同時に「財政政策」をきちんと実行することで、消費増税による冷え込み以上に消費を増やすことができると、つまりはそういことです。

過去の記事でも述べています通り、私も今回の増税見送りに関してはこれでよかったと思っています。
ですが、安倍内閣では、別に増税したことによって消費が冷え込んだわけでも、税収が目減りしたわけでもありません。

増えているのです。消費を伸ばすために増税を見送るということも、確かに一つの考え方で、私もこの考え方には賛成です。
ですが、このことに対して、「消費増税は失敗だった」「消費増税によって消費が減った」「消費増税により税収が減った」という主張をごり押しする似非「経済の専門家」たちに、私はどうにも我慢がならないわけです。

しかもその中には安倍内閣を支援する、経済財政諮問会議に所属する民間議員として安倍内閣で具体的に政策立案を行っている「専門家」たちも含まれていることに、私は違和感を禁じえません。

政策が正しいのかどうか、それは大切なことだと思います。
ですが、自分たちに都合のよいデータばかりを引っ張ってきて、あたかも安倍内閣が失敗したかのような印象を与えるのは、そろそろ終わりにしてもらいたい。

私は真剣にそう思います。


このシリーズの過去の記事
>> 第99回 どうしても安倍首相にお伺いしたい事。
このシリーズの新しい記事
>> 第96回 輸入物価指数から見る日本の「消費」

このシリーズの一覧をご覧になりたい方は >>日本の税収の見方 よりご確認ください


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