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<前回の記事 第90回 消費税収から消費を逆算する方法

俄かに政局が面白くなってきたので、少し政治に関するニュースを継続します。
引用するニュースは、安倍さんが消費増税延期に当たって、麻生さん、菅さん、谷垣さんを呼んで増税延期の意図を伝えた、という報道です。

引用元は、TBS(毎日新聞系列)さんです。

麻生財務相、増税先送りなら「国民に信を問え」

 安倍総理が来年4月に予定されている消費税率の引き上げを2年半先送りする考えを示したことをめぐり、麻生財務大臣は「増税を先送りするなら解散・総選挙をすべき」との考えを示しました。

 安倍総理は28日、増税を2年半先送りする意向を、麻生氏や自民党・谷垣幹事長らに伝えましたが、その両氏は29日、そろって自民党の富山県連の大会に出席しました。

 「(消費税率引き上げを)延ばすというのであれば、もう1回選挙をして信を問わないと筋が通らないということになるんじゃありませんか、というのが私やら谷垣さんやらの言い分であります」(麻生太郎 財務相)

 麻生氏は、消費増税の再延期をするのであれば、衆議院を解散して国民に信を問うのが筋であると訴え、28日の会談でも同様のやりとりがあったことを示唆しました。

 一方、谷垣氏は・・・

 「俺と谷垣が全く同じ意見だということがありましたので、もう麻生副総理のお話を引用いたします。進むにせよ退くにせよ、非常に重い決断でございます」(自民党 谷垣禎一 幹事長)

 連立のパートナー、公明党・山口代表は、総理からは何も連絡がないことを強調しました。

 「政府・与党で決めた前提があるわけですので、もしそれを検討する、相談するということであれば、そうした動きが出たところで対応を考えたい」(公明党 山口那津男 代表)

 山口代表は、30日にも予定される自公党首会談で安倍総理から説明を求める考えを示しました。

 消費増税の先送りを巡っては、政府・与党内の間でも意見の隔たりが目立っており、会期末を直前に控え、政府与党は緊張した政局運営を強いられることになります。(30日00:01)



このニュースに対して、報道では

麻生さん、谷垣さんが消費増税先送りに対して強く反対の意思を示しており、麻生さんは「増税を延期するなら、衆議院を解散して国民の信を問うべきだ」と発言している

というような視点での記事が目立ちます。
後段では、この報道について、私なりの見方を掲載したいと思います。


衆参同日選挙の意義

丁度、この報道が流れたのは、私が第89回の記事を記している過程、その途中での報道であったように記憶しています。

その時の報道は

・安倍首相が麻生副大臣、菅官房長官、谷垣自民党幹事長を呼んで、消費増税延期の意図を伝えた
・この時、参加者の一部より消費増税延期について反対の意見が示されたので、引き続き協議が行われることとなった

という報道でした。その後、

・延期に反対したのは麻生さん、谷垣さんであり、麻生さんからは、増税するのであれば衆議院を解散し、国民の信を問うべきだ、との意見が出された
・菅さんが公明党の意見を配慮し、解散には反対である、との意思を示した

との報道がなされました。
そして、間髪を待たず、前段の記事、及び動画でお示しした、富山県連におけるスピーチの内容が報道されたのです。

第89回の記事で、私は今回のシナリオを裏で画策し、増税延期に向けた筋道をつけたのは麻生さんではないか、との考えをお示ししました。

今回の報道にある一件も、おそらくはマスコミに向けた完全な演出。
衆議院解散を行うための「合理的な理由」を作るための演出ではないかと思います。

おそらく、今回集まった4人の中で、最も消費増税延期に慎重なのは谷垣さん。
延期したくてたまらないのは麻生さん。安倍さんはそんな麻生さんが描いたシナリオを演じるための「アクター」ではないかと思います。
そしてその「調整役」として絶妙な役回りを演じているのが菅さん。あのマスコミ対応の絶妙さはまず麻生さんじゃ勤まりません。

そして、麻生さん自身も、自分が「消費増税」を主張し続けることで悪役となり、安倍さんの「格」を挙げる為の役回りも演じているのだと思います。

おそらく麻生さんが一番やりたいのは「衆参ダブル選挙」。
前回参議院選挙が行われたのは2013年7月でしたが、この時麻生さんはすでに衆議院を解散してのダブル選挙を安倍さんに進言していたのだといいます。

これはYoutubeに配信されていた青山繁晴さんの動画の中で述べられていたことなので、その信ぴょう性をどこまで持たせられるのかは私のブログを読む読者の方の判断にゆだねますが、私は誤りではないと考えています。

結果、安倍さんはこの麻生さんの申し出は受け入れませんでした。
今回、前回実現できなかったこのダブル選挙を実現する機会を得たわけです。

タイトルにもある「衆参同日選挙の意義」についてです。

衆議院議員の任期は4年、参議院議員の任期は6年。です。
衆議院は任期満了に伴い、所属議員全員で一斉に選挙を行いますが、参議院は3年ごとに、半数ずつ選挙を行います。
衆議院は内閣総理大臣の専権に基づいて「解散」させられることがありますが、参議院には「解散」という選択肢はありません。

そこで、参議院議員の半数が改選される機会に合わせて、首相が衆議院を解散すれば、衆議院議員選挙と参議院議員選挙を同日に開催することが可能になります。これが所謂「衆参同日選挙、または衆参ダブル選挙」と言われるものです。

では、この「衆参同日選挙」を開催することに、一体どのような意味があるのでしょうか。
これはたった一つ。次回選挙があるのは参議院議員選挙で、3年後です。衆参同日選挙で、与党自公連立政権が衆参両議院で過半数以上を獲得すれば、向こう3年間にわたって国民の信を問うことなく、安定した政権運営を行うことが可能になります。

この間、一定の方針に基づいた経済政策を行えば、ひょっとすると3年後、消費増税を行わずとも十分な社会保障政策を施行するために必要な「税収」が確保できる可能性が生まれます。

過去に幾度かお伝えしていますが、2015年度の消費税収は、3月時点の累計で2014年度の消費税収を2.8兆円上回っており、その伸び率は127%です。

前回の記事でもお伝えした通り、2014年の税収には5%の期間と8%の期間が混在している「バイアス」があるため、127%の伸び率が残り2か月間継続されるとは思いませんが、それでも総額で19兆円~20兆円には到達するのではないかと考えています。

政府が考えている消費税率10%時の消費税収は24兆円です。
消費増税前、所謂「駆け込み需要」が発生し2013年度の消費税収が10.8兆円。この時と同じ消費金額で税率が8%であったと考えると、その消費税収は17.01兆円となります。

2015年度の消費税収は既に2014年度の税収を2.8兆円上回っており、これを単純に2014年度の税収に加えると18.8兆円です。
残り2か月でどこまで税収が増えるかわかりませんが、仮に20兆円を上回るところまで消費税収が伸びたとすれば、消費増税前と比較して3兆円の税収が増えることになります。

間に2014年度を挟んではいますが、この年は増税の反動年でもある2014年度を挟んでおり、この年の消費金額は2013年度を下回っていますので、2015年度の実績は「単年度で達成した」と表現しても過言ではありません。

消費増税が行われるのは2019年度になりますが、どうでしょう。この時に24兆円の消費税収を達成しているという事実はあながち夢物語でもないような気がしませんか?

また、仮に2/3の議席数を衆参両院で確保することができれば、にわかに「憲法改正」という問題が現実味を帯びてきます。
その必要性は第86回の記事においても言及しましたね?

さて。このように考えると、「麻生財務相、増税先送りなら『国民に信を問え』」というニュース、少し違った見え方がしてきませんか?

たった一度の増税で本来消費増税を行う目的を達成し、その後も「追加増税」に対してあたかも推進派であるかのようにしてふるまい、また元々慎重派であった谷垣さんを説得し、そして「ダブル選挙」にまで持ち込もうとしている・・・というように、ニュースの見え方が姿を変えてきます。

まあ、飽くまで私の推測にすぎませんので、判断は読者のみなさんにゆだねますが、このような見方も一つの「見方」なのではないでしょうか。報道や一見すると専門性を持っているかのような有名人の発言に流されず、自分自身の「視点」でニュースを判断する「見方」をぜひ身に着けていただきたいと思います。



このシリーズの過去の記事
>> 第92回 消費増税が先送りされた本当の理由
このシリーズの新しい記事
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このエントリーにお寄せ頂いたコメント

直近三回、興味深く拝見させていただきました。

過去の安倍首相の消費税関係答弁で「税収が落ちてはなんにもならない」という言葉が幾度も発せられている事を踏まえれば、恐らく明後日に正式発表となる再増税延期の決定要因として
「現時点での期待税収が得られている為、収支均衡に悪影響を来たす時点まで延期する」
を明言するのではないかと考えます。
所得税消費税ともに期待税収が得られている事は所謂「アベノミクス」の所産でありますから、経済失政の批判も当たらない...経済対策に関する提言を一切しない野党各党に対して事実を突きつける形になりますね。
このブログに辿りつく際財務省の"租税収納統計""解説"でgoogleった(期間は直近1週)のですが、ご本山の財務省以外に引っ掛かる報道機関や政治ブログは皆無で有った事を御報告致します。
益々の御活躍をお祈り申し上げます。
一閑 at 2016/05/30(月) 13:47 | URL

一閑様、コメントありがとうございます。
結局、衆参同日選挙は流れてしまいましたね。

ただ、私自身の見方としてはそれほど間違ってはいなかったと思っております。

アベノミクスは決して失敗しているわけではない。
このことを、安倍さんも、麻生さんもきれいに発信できるといいんですが、どうしても野党や安倍内閣のことを快く思っていないマスコミに捻じ曲げて報道されてしまいますからね。

後は参議院選挙の結果が好ましい結果となることを願うばかりです。

また、私のブログへの評価、とても光栄に思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
のんき at 2016/05/30(月) 17:50 | URL

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