第86回 本当のアベノミクスなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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まとまった時間が取りにくい状況にあるので、今回もカテゴリー第二次世界大戦は少しお休みして、代わりに私が昨日拝聴した、新藤義孝前総務大臣のご講話内容について記事にしたいと思います。

改めて、この勉強会を記事にしようと思った理由として、その内容のあまりにもの充実ぶりに感銘を受けたことがあります。
実はこの勉強会、愛媛県で月一で受けることができる勉強会の第3回目で、第1回目は塩崎大臣、第2回目は森まさこ参議院議員が講師を担当なさいました。

ちなみに第1回目の勉強会の様子は第65回の記事でも話題にしました。

第2回目の記事についても記事にしようとは思ったのですが、私の文章力で、その内容を分かりやすくお伝えする自信がありませんでしたので、あえて記事には起こしていません。内容は「女性の社会参画」や「子育て」に関連した内容でした。
象徴的な部分を一言でいうと、

「安倍内閣の『女性社会参画戦略』や『子育て戦略』は、海外の投資家から『投資先』として着目されるほどにものすごいことになっている」

ということです。その中心となって活躍しているのが改造前の第二次安倍内閣にて女性活力・子育て支援担当大臣を担当した森まさこさん。この時も、愛媛での講義が終わった後、全く同じ話を渡米して投資家たちにスピーチをすることになっていたのだそうですよ。

それぞれのお話でもとても関心がある部分が多かったのですが、何より今回の新藤さんのお話は、その内容そのものも勿論そうなのですが、新藤さんご自身の、自分が伝えた情報そのものに対する精通の仕方。理解力、知識力に対して私としても圧倒される思いがしました。

新藤義孝前総務大臣
新藤前総務大臣です。もう少しいい写真が撮りたかったですね・・・。

後段では、「まち・ひと・しごと創生事業」、「G空間情報プロジェクト」、「日本国憲法」の3つの視点から、それぞれ私の印象に残った部分をお伝えできればと思います。


「規制緩和」と「構造改革」

この言葉。これまでの私のイメージだと、小泉内閣当時の印象が非常に強く、「聖域なき構造改革」とか、「民間でできることは民間に」といういわば「小さな政府」とか、「新自由主義」といったイメージが非常に強く、これらの言葉自体に対して非常に否定的だったのですが、新藤さんのお話をお伺いしていて感じたのは、安倍内閣にて実行しようとしている「規制緩和」や「構造改革」とは、あんな、小手先の緩和政策ではない、ということです。

小泉内閣当時、竹中平蔵主導で行われた「規制緩和」や「構造改革」は、本来政府が実行すべき政策や業務、一番象徴的なものとして「郵政」の様に、カバーしなければならないエリアも非常に広く、過疎地域の隅々にまで対応するには民業では限界があるような政策についても、政府政策を「民業化」「民営化」し、あとは民間に丸投げしてしまうような、そんな緩和や改革が行われていました。

ところが、どうも安倍内閣で行っている「規制緩和」や「構造改革」とは、そんなレベルの低いものではないようなのです。
例えば、先月発災した「熊本地震」。

熊本地震1
熊本地震2
※写真はニュース記事より拝借していますので、クレームがあり次第削除します。

これは、震災の余震におびえて学校やスーパーなどの駐車場で避難生活を送っている人たちの写真です。
例えば、自衛隊がヘリコプターで救援物資を運んできたとき、ヘリが着陸できるはずの場所で避難者たちが避難生活を送っていますから、ヘリは着陸することができません。

また現場まで救援物資を陸路運ぼうとしても、避難者や救援者等々で道路が渋滞を起こしていますので、必要以上に莫大な時間を必要とします。
このような問題を解決するまさしく「ソリューション」となるのが前段でお示しした「G空間情報」というものです。


G空間シティ構築事業

G空間情報プロジェクト

Youtube動画を見ていただければ、非常にわかりやすく理解していただく事ができますね。

大規模な災害が発生した時に、GPS情報を用いて、リアルタイムで災害状況や交通情報を把握し、その統制を一元管理して行うことができれば、数多くの人の命を救い、より的確に避難生活を支援することが可能になります。
1.発災と同時に災害状況や道路状況を把握する。
2.災害状況に応じて道路の利用用途を制限し、救助のために専用で用いられるルートを確保する。
3.救援物資を運ぶ際にも被災地だけでなく、被災地周辺の自治体まで含めて道路の利用方法を限定し、救援専用のルートを確保する。
4.ヘリで救援物資を運ぶ際にも公共施設や大規模商業地等の駐車スペースの用途を限定し、ヘリが着陸するための専用のスペースを確保する。
5.用途を限定した駐車スペースに、既に避難者がいた場合、利用可能な周辺の避難スペースをGPS情報によって把握し、移動のための専用の道路を確保することでスムーズな移動を可能にする。
6.GPS情報を用いて、避難所として指定されていない場所への避難情報も把握し、救援物資の輸送に必要なルートを確保する。

現時点で、既にこれらの対策を実現できるための「技術」は完成しており、いつでも利用できるような状況にまで至っているのだそうですよ。ところが、これを実行しようとしたときに障害となるのは、実は「技術」ではなく「法整備」の問題です。

「緊急事態条項」の必要性

例えば、移動に必要なルート上に避難者が乗り捨てた乗用車が放置されていたり、地震によって倒れた家屋が通路をふさいでいたりした場合、障害となってくるのが憲法によって保障された「財産権」であったり、または道路や信号機など、その管轄や手続きの問題があります。

現行法でも「有事」、法文的には「武力攻撃事態等」や「緊急対処事態」においては「国民保護法」によって都道府県・市区町村の壁を超えたお互いの協力であったり、一般の国民に対しても

・「避難住民の誘導への協力」(70条)
・「救援への協力」(80条)
・「消火、負傷者の搬送等への協力」(115条)
・「保健衛生の確保への協力」(123条)

など、協力を政府が要求することが可能になっています。ところが、これらが実行できるのはあくまでも「有事」。
何者かから政府や国、施設等が武力攻撃をされるか、もしくはこれに準ずる状況にあるときのみにしか実行することはできません。

また、「財産権」等については消防法29条2項によって、火災の際に,消防長等によって処分することが認められてはいるものの、上記のような災害時の「救援」の場合はその対象にはならないものと思われます。

同じ財産権について、憲法上では
1.財産権は、これを侵してはならない。
2.財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。
3.私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

と定められていて、公共の福祉に反する場合は「行政代執行」等を行うこともできるわけですが、これにはやはり相応の手続きが必要になります。

これらの手続きや法的、行政的な「壁」を取り除いて救援活動を実施できるようにできる方策として、憲法に盛り込むよう自民党が提案しているのが「緊急事態条項」です。

以下が自民党の憲法改正案(新設案)です。
憲法改正草案 第98条 (緊急事態の宣言)
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、
内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な
自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に
必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、
閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。


緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、
事前又は事後に国会の承認を得なければならない。


内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決が
あったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決
したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要
がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議
にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。
また、百日を超えて緊急事態の宣言を
継続しようとするときは、百日を超えるごとに、
事前に国会の承認を得なければならない。


第二項及び前項後段の国会の承認については、
第六十条第二項の規定を準用する。
この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、
「五日以内」と読み替えるものとする。

この、「緊急事態条項」を、あたかも安倍内閣が日本を乗っ取るかの如く吹聴する、特定の思想の持主やそれらで構成された団体も存在するわけですが、上記の内容を読んでいただければ、「緊急事態条項」がそんなおどろおどろしいものではなく、本当に日本国民にとって必要な条文であることはご理解いただけると思います。

「まち・ひと・しごと創生事業」

感服したなぁ・・・と思ったのは、現在石破さんが行っている「地域創生」プロジェクトを、このような、完全に実行する形にまで推し進めたのが今回ご講話いただいた新藤元総務大臣であった、ということです。
前項の緊急事態条項のお話は、「G空間情報プロジェクト」の話題に関連して持ち出したわけですが、これは何も防災にのみ関連したお話ではありません。

「G空間情報」とは、総務省の説明によると、
G空間情報は地理空間情報と同義であり、地理空間情報とは、後述する「地理空間情報活用推進基本法」においては、位置情報、すなわち「空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報(当該情報に係る時点に関する情報を含む)」または位置情報及び「位置情報に関連づけられた情報」からなる情報とされている。

と、このように定義づけられています。
G空間情報とは、即ち「GPS」を利用して、空間と時間の両側面から把握できるビッグデータのことです。
時間レベルでの単位は話ていませんでしたが、空間は4メートル単位での情報を手に入れることができるのだそうです。

このようなG空間情報は、様々なビジネスの場でも活用されています。
情報が正確でないといけないので、具体的な事例をお示しすることは避けますが、このようなビッグデータと「まち・ひと・しごと創生事業」を組み合わせて事業展開している自治体もあるそうです。

まとめ

「まち・ひと・しごと創生事業」のお話で強く感じたのは、先にお示しした「規制緩和」と「構造改革」がいかに実用的に活用されているのかということです。

既にお話したとおり、私はこれまでこの「規制緩和」と「構造改革」という言葉を、決してポジティブな意味では利用していませんでした。ですが、お話しした「G空間」の事例でもご理解いただけるように、このようなプロジェクトは、これまでの様に各管轄、省庁単位で別々に情報を取り扱っていたのでは実現できない事業です。

例えば、同じ「自治体」でも、東京のような莫大な予算を抱える自治体と、私が住む愛媛でも、過疎化が進む山林の自治体とではできることがまったく異なります。
仮に東京という自治体でくみ上げた経済情報を管理するシステムを、有益に活用することができるのであれば、それを東京のみで活用せず、他の自治体にも汎用すれば東京の予算でくみ上げたシステムで全国の自治体が大幅なコスト削減を行うことができます。

これまでは、省庁間、行政自治体間の「壁=規制」が理由で実現できなかったプロジェクトに汎用性を持たせることでコストを削減することが可能になり、削減できたコストで他のプロジェクトを手掛けることも可能になります。

例えば東京が開発したプロジェクトを政府が買い取り、これを全国自治体に無料で配布すれば、「低コストで、よりよい生産性を実現する」ことが可能になるわけです。これは、見事な「第三の矢」だと思いました。

まさか我々の知らないところで、このようなプロジェクトが推し進められていたとは・・・と、本当にそのような思いです。
「まち・ひと・しごと創生事業」にしても、その事業が本当に有益であれば、同じように政府がそれを買い取り、希望する自治体に配布することで、他の自治体でも事業成果を生み出すことができるようになります。

アベノミクスが最終的に目指す到達地点は、「やがて政府が資金を出さずとも、民間が自律的に回転し、収益を生み出していく構造を作ること」にあります。

この点がまったくぶれていなかったことを、今回の新藤さんのお話をお伺いすることで、深く実感することができました。

ちなみに・・・

最後の質疑応答の時間で私、一つ質問をさせていただいたのですが、これに対して「それはとても良い質問ですね」と、評価をいただく事が出来ました。これはとてもうれしかったです。

概略としては、現在完全失業率や有効求人倍率等々の情報を「市区町村単位」で手に入れようとすると、なんとその情報は「国税調査ベース」となっており、4年に1度しか更新されていません。
都道府県単位では4半期ベースで見ることができるのですが、各市区町村が、市区町村単位で将来の発展を考えて現状を分析しようと考えたとき、これは非常に効率が悪い。
4年前のデータなど、まったく活用することはできません。

で、これを市区町村単位で見るようにすることはできませんか、と問いかけたところ、すでにこれを実現する途上にある、とのこと。
しかも、「市区町村単位」どころか、「帝国データバンクベース」での情報を活用し、各企業レベルでの物流情報についても把握し、地域経済の発展につなげていけるようなプロジェクトが現在進行中なのだそうです。

私の発想の上手をいく回答をいただきまして、これは本当に頭の下がる思いでした。
第54回の記事でもお伝えしたように、私は「時期総理」として、甘利さんがふさわしいのではないかとずっと考えていました。ですが、例の政治資金問題でこれは実現が非常に非現実的なものとなってしましました。

ですが・・・ね?
どうでしょう。新藤さんなら、勤まるんじゃないでしょうか。「時期総理」が。

何となく思ったのですが、改造前の第二次安倍内閣で活躍した閣僚のみなさん。
結構表舞台から姿を消してしまいましたよね?

第二回でお話をいただいた森まさこさんもそうですし、防衛大臣としてご活躍された小野寺五典さん、そしてオリンピックの問題で内閣入りを辞退なさった下村博文さん。そういえば、茂木敏充さんや小泉進次郎さんもそうですね・・・。
それ以外にも、改造前より内閣入りしていない林芳正さん、

今パッと思いつくのはこのくらいですが、彼ら、彼女らの代わりに今表に出ている人たちよりもみなさん有能であるように感じます。
ですが、森さんも今回の新藤さんも、表には出ていないものの、明らかに大臣並みのものすごい動きをしていることが非常によく割りました。

これって、ひょっとして意図的にやってるんじゃないでしょうか。
本当に能力がある人は表に出ず、裏で実働部隊として動いて、表に出ている人たちは当たり障りのない人事を行い、より実践的な内閣を築いているんでは・・・

どうですか?安倍さん、そして、麻生さん。

このシリーズの過去の記事
>> 第105回 緊急事態条項の真実~現行法制の本当の問題点を問う~
このシリーズの新しい記事
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