第69回 平成28年度予算成立①など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第68回 「北一輝」という人物

先日、平成28年3月29日、28年度予算が衆参両議院を通過し、29日に安倍総理が記者会見を開きました。
平成28年3月29日 安倍内閣総理大臣記者会見

第25回の記事で少し触れたのですが、これまでの安倍内閣の政策の最大の問題点は、「三本の矢」と呼称しながらも、果たしてその弓から、「一体どんな矢が放たれているのかがわからない」ということが最大の問題点であったように思います。

私自身も、検証していく過程で気づいたのですが、それなりに放たれている矢はあるらしい、ということは理解できました
ただ、その放たれている「矢」が、いったいどのような目的で放たれているのか、なんのために放たれているのか。そしてそもそも「どんな矢が放たれているのか」ということが、国民にとっては本当にわかりにくい政策であったように思います。

これは、私の感覚ではあるのですが、おそらく安倍内閣がスタートした当初から、安倍さん自身も自分が大きく立ち上げた「アベノミクス」の目指す、本当の「目的地」を理解できていなかったのではないかと思います。

第一次安倍内閣において安倍さんが行っていた経済政策は、小泉内閣当時より竹中平蔵を中心にまとめたいわゆる「マネタリズム」に基づく思想。
つまり、日銀が金融政策さえ継続すれば景気は良くなるんだ、という考え方をしていました。
当時の安倍内閣における最大の実績は、国債が発行され始めて以降初めて国債発行残高が前年度を下回った。減少したということです。

国債発行残高推移


文字が小さいので、少し見えにくいかもしれませんが、ご容赦ください。資料は財務省データから起こして私自身がグラフ化しています。

私が「実績」としてお伝えしているのは、このグラフで見ると平成20年の部分。総額ベースでみると、少し減少しているように見えますね?
この部分です。実際、データテーブルで見ても総額は681兆円→677兆円に減少しています。

これは、安倍さん自身も言っていますが、安倍さんが特に何かしたわけではなく、小泉内閣の時の影響で「景気が良くなったから」。
つまり、支出が減り、収入が純増したために成し遂げられた所業ということです。

ただ、この時の実績は、「実体経済」、つまり「実需」による成長ではなく、海外の投資家が、自らの私腹を肥やすために行っていた「投資」。麻生さん流に表現すれば、「アメリカで行われている莫大な消費」に依存した政策であり、その結果現れた「実績」です。

そして、その結果起きたのがあのリーマンショックです。(第18回の記事)をご参照ください)

ちなみに、色がグレーとブルーの二色に分かれていますが、グレーは「財政投融資債」と呼ばれるものです。
一般会計とは別に、発行されたこの「財政投融資債」や、その他の財源を用いて、民間単独では対応が難しい分野で、貸し付けを行うことが難しい分野等に対して有償で資金を供与する「財政投融資」と呼ばれる会計分野に対して発行される国債です。

第一次安倍内閣で国債発行残高が減少した理由は、この「財投債」が減ったことにあります。
なぜ減らすことができたのか等詳細は全く調査していませんので、この場では事実だけを伝えておきます。

また、繰り返し表記になりますが、安倍さんは当時竹中平蔵の財政観の影響を受けており、「このままでは、将来日本の財政は破たんしかねない」という考え方の下で財政を運営していました。

ですから歳出が歳入を超えない「財政均衡(プライマリーバランス)」というフレームに縛られていましたし、政府が歳出を増やせない中で、日銀の金融政策に頼る事しか思いつかなかった。低金利政策のおかげで外資が日本の金融市場に参入してきます。

小泉内閣 株価
小泉内閣 為替
小泉内閣 原油

上から順番に小泉内閣当時の「株価」「為替」「原油」です。
第45回の記事で、民主党内閣~安倍内閣に至る「原油価格の推移」を為替相場と比較する形で見ていただきましたが、今回のグラフはそれよりも前。リーマンショックに至るまで推移です。
小泉内閣における推移を示していますので、この後の安倍内閣、福田内閣のデータは含まれていませんが、いかがでしょう。

為替相場を見てみますと、小泉内閣では、実は「円高」に推移しています。2005年に漸く円安に転じるのですが、その後安倍内閣下でも為替相場は円安です。
為替相場は2003年の4月までは下落するものの、その後は上昇に転じます。安倍内閣ではほぼ横ばい。

さて、このような動きをする中で、唯一「原油価格」だけは上昇し続けていますね?
為替相場の推移にはまったく関係なく。

そして民主党内閣下とは異なり、原油価格が上昇しても、為替相場が円高であっても関係なく「株価」は上昇しています。

民主党内閣下では、円が買われても株には投じられませんでしたが、小泉内閣では買われた円が株に投じられ、海外では更に原油にも投資されていた、ということです。完全にマネーゲームですね。

これが第二次安倍内閣では日本の株価が恐ろしい勢いで値上がりし、為替も急速に円安にシフトしましたから、高騰し続け、投機先としては限界に達しつつあった「原油」よりも「円売り、株買い」というコンボのほうが、よほど外資としては魅力的に映ったでしょう。
原油価格が崩壊した理由はそこにあると私は思いますね。

外資に対してもきちんと日本の意思と方向性を示し、「フェイク」ではなく「実体」で経済を動かすようにすれば、魅力ある投資先として日本の市場を選んでもらえる、ということではないでしょうか。

第二次安倍内閣の財政・経済モデル

話が随分脱線しました。若干安倍さんをディスるような内容になってしまいましたが、私がお伝えしたいのは当然そんなネガティブな話題ではございません。

第二次安倍内閣も、誕生した当時はこのような、「マネーゲーム」に巻き込まれない考え方をいまだに払しょくしきれていなかったということをお伝えしたかっただけです。
ですが、その後さまざまな経済政策を実施し、「国債発行残高が減少した」などいうしょぼい成果ではなく、特に国民の「雇用」の面を中心とした、より我々の生活に近い分野での具体的な「成果」を成し遂げるにつけ、きっと安倍さんはこの「アベノミクス」の持つ本当の意味に気づき始めたのではないでしょうか。

例えば、「消費増税」を行うということは、確かに我々国民の「消費意欲」を鈍らせ、ともすれば景気を急速に減退させねない「劇薬」です。
しかし、これを実施するということは、逆に「消費増税を行っても、経済を成長させることは可能である」という状況を生み出さなければ、それはまさしくアベノミクスそのものを政権転落へと突き落としかねない「劇薬」でもあります。

ですから、初年度~増税した当年中旬あたりにかけてまでは、安倍さんとしても具体的に何をすればよいのかということが分からず迷走していたのかもしれませんが、特に「新・三本の矢」という政策が打ち出されてからは、少し様相が変わってきた様に感じます。

そしてこのところは、「新・三本の矢」という言葉よりも、「一億総活躍社会」というワードのほうが目立ってきたように感じます。
「一億総活躍社会」(首相官邸HP)
このことは、↑上記サイトに掲載されているモデル画像を見てもよくわかります。
一億総活躍社会の実現 首相官邸ホームページ
面白いのは、旧「三本の矢」に関しても、きちんと「できていなかった部分」を示しているところですね。
今までみたいに根拠もなく、「俺たちはここまでやったんだぞ!」とPRする感がごそっと消えています。

旧三本の矢で浮き彫りになった政策の欠点
・個人消費の改善テンポが遅かった。(個人消費が伸びなかった)
・企業収益に比べて設備投資が弱い。(企業の内部留保が減少しない)
・人材不足の顕在化・労働供給減。

この他、日本経済のウィークポイントとして、
・結婚・子育ての希望が実現しにくい。
・介護と仕事を両立しにくい。

このような欠点を克服することで、「一億総活躍社会」が実現できますよ、としているわけです。
当初「新・三本の矢」が登場した時は、いったいどうなることやら・・・と心配する部分もありましたが、時間がたってみてみると、中々いい感じに仕上がってます。

これであれば、安倍内閣がどのような方向に取り組み、何に力を入れてくれるのかということがとても見やすくなっていますね。
そして、安倍内閣の財政・経済モデルというものも、だいぶん確立してよく見えてくるようになったと思うのです。

つまり、人から「アベノミクスって何?」と聞かれたときに、「こういうモデルだよ」と、画一化して伝えられる一つの「モデル」です。

アベノミクスの財政・経済モデル
1.第一の矢・第二の矢を放つことで金融市場、および企業経済を活性化し、国民の所得、および国の税収を増やす。
2.増えた税収を更に国民に直接還元することで新たなる消費を喚起し、次年度の景気の活性化へとつなげる。
3.前年度の政策で生み出された税収を利用することで、前年度にできなかった分野へと新たなる投資を行い、国民の所得、および税収を増やす。

後は2番と3番を、単純に繰り返すことで、真剣に「GDP600兆」も可能になるのではないか、と感じ始めました。

実に見事な循環が生まれていると思います。
さて。実は今回の記事、本当に作ろうと思っていた内容があるんですが、別の話題が大きくなりすぎまして、ちょっと記す余裕がなくなりました。

それは、あの「保育園落ちた。日本死ね」なるあの話題です。
アベノミクスの「保育補助者雇上強化事業」なるキーワードに着目して、現在の安倍内閣における子育て支援事業への取り組みがどのような状況になっているのか。

次回はこのことに着目して記事を作成してみたいと思います。

このシリーズの過去の記事
>> 第70回 平成28年度予算成立~子育て支援事業について~
このシリーズの新しい記事
>> 第47回 「内部留保」の問題点

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