第65回 「消費税収」と「名目民間最終消費支出」など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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※今回の記事に関しては、すでに塩崎大臣側より回答が返ってきており、記事中で掲載している「消費税収から逆算した消費額」に関する内容は、誤りであることがわかっています。
ブログのスタンスとして、最新の記事に至った経緯をも大切にしたいと考えているので、あえて修正せず掲載しています。
ただし、「消費税収」に関連する記載はまだ誤りであるとは考えていません。
塩崎大臣側より返ってきた回答については、第83回の記事にて詳細を掲載していますので参考にしてください。

※追記:第83回の記事より発展しして、更に「消費税収から逆算した消費額」について、第90回の記事にて更に最新の情報を掲載しています。この記事を作成したことで、本記事の内容に関する整合性はとれたと考えています。
ですので、第90回の記事を参照しながら、必要な部分は情報を第90回の記事ベースに置き換えてご覧ください。


シリーズから少し外れますが、昨日より、県議さんからお誘いを受けて、「えひめ地域リーダー育成塾」に参加することになりました。
厚生労働大臣である塩崎大臣肝いりでのスタートとなったそうなのですが、これはこれで、私としてはとても光栄に思っております。

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で、質疑応答の機会があったので、この際に私が現在最も疑問に感じていることを質問としてぶつけてみました。
何を訊いたのか、というのがタイトルにある「消費税収」と「名目民間消費支出」の話です。

第48回の記事、サブタイトルである「「軽減税率」を前向きにとらえる考え方」の中で若干触れているのですが、今年度、2015年度の「消費税収」について。

48回の記事中で、今年度の税収が消費増税の行われた昨年度と比較して、比率にして135%、税収にして1.6兆円増えていることをお示ししました。
当時の計算で、このままのペースでいけば消費税収が年度トータルで21.6兆円になるのではないか、という情報を掲載しました。
政府が消費税収1%あたりに期待している税収は2兆円ですので、本来消費税率8%に期待される税収は16兆円。これを大幅に、5.6兆円分上回ることになります。

この税収は、本来税率10%にした際に想定している消費税収20兆円を更に上回る数字で、逆に言えば10%に消費増税を行わずとも、10%にしたときに期待される消費税収と同額以上の税収が期待されることになるのです。


「消費税収」と「名目民間最終消費支出」

「消費税収」の意味するもの

一方で、こちらは更に最新の税収一覧です。
平成27年度 28年1月末租税及び印紙収入、収入額調 財務省

「消費税収」の項目を見ていただくと、昨対で132.6%。12月、1月の数字が悪かった(とはいえ昨対で120%代)ので10月の時点よりは若干落ちていますが、それでも132.6%。金額にして2.5兆円増えています。このままのペースで増えると年間トータルで21.3兆円ほどの税収になる計算です。

まず、私が塩崎大臣に行った質問の一つ目は、この前年度と比較した消費税収増分。この数字と「名目民間最終消費支出」との矛盾点について質問させていただきました。

「民間最終消費支出」については後程ご説明させていただくとして、まずは「消費税収増」の意味するところについて。

「消費税」とは、そもそも「消費されるもの」に対してかかる税金ですから、「消費」されなければ消費税収が増えることはありません。
昨年は「消費増税」が行われましたので、5%→8%に増税された3%分税収が増えました。

税率1%あたりに期待される消費税収額が2兆円であることを考えると、本来であれば6兆円の増額が期待されたのに、結果的に5.8兆円しか増えなかった。これは0.2%「消費が減った」と考えることができます。

実数で見ると、消費増税前、2103年の消費税収は10.8兆円。増税後の2014年は16.2兆円。
これは、あたかも「消費」そのものが増えたため税収が増えたかのように勘違いされてしまいがちですが、消費増税が行われたために税収が増えたにすぎません。
実数で計算すると、10.8兆円が消費税率5%分に相当するわけですから、1%あたりの税収は2.16兆円。
8%に増えたわけですから、仮に金額ベースでの消費量が同じ値であったと考えると、税収は総額で2.16兆円×8=17.28兆円となるべきですが、実際の税収は16.2兆円。つまり、増税がおこなれたことにより、消費税収に換算して1兆円分の消費が減ったということです。

今度は、増税後の2年間の数字を比較してみます。
実数で増税後、2014年度1月までの累計の消費税収を見ると、7.7兆円。翌年、すなわち今年度の1月までの累計を見ると10.2兆円。1月までの実績で、今年度は昨年度の実績を2.5兆円上回っています。

消費税は「消費されたもの」に課せらる税金ですから、消費税収が2.5兆円増えているということは、今年度は昨年度より、消費税収に換算して2.5兆円分の「消費」が増えているということになります
ちなみに、「消費税収に換算して2.5兆円の消費」ということは、消費全体で考えるとこの2.5兆円が消費税率8%分に相当しますから、

全体の消費=(2.5兆円÷8)×108=33.75兆円の消費

ということになります。


「名目民間最終消費支出」の意味するもの

一方の「名目民間消費支出」。これ、あえて「名目」とつける必要もないかな、とは思うのですが、これには「実質」の数字も存在するので、区別をつけるためにこのように表現しました。

「名目民間最終消費支出」とは、「名目GDP」を構成する構成要件の一つです。
「実質」がつけば実質GDPの構成要件となります。

「名目GDP」の構成要件には、「民間最終消費支出」以外に、「民間住宅」「民間企業設備」「民間在庫増加」「政府最終消費支出」「公的資本形成」「公的在庫品増加」「純輸出」という7つの項目があります。

用語説明
「民間最終消費支出」とは、「民間企業と国民が、一定期間に『消費』の為に行った支出」のことを言います。
要は企業と民間人で、いったいいくら買い物をしたのか、という数字ですね。

「民間住宅」とはその名の通り、民間人が購入した「住宅」への消費。
一方「民間企業設備」とは、企業が行った設備投資(建物や工場内設備などへの投資)の金額。
民間在庫増加とはその名の通り、計測機関内で消費に回されず、増えた在庫金額。

「政府最終消費支出」とは、民間以外の公的機関にて行われた「消費金額」のこと。
「公的資本投資」とは政府等公共機関が出資して作られた建築物等(公共投資額)のこと。
「公的在庫品増加」とは政府等公共機関で消費に回されず増えた在庫のこと。
「純輸出」とは日本国全体の輸出額から輸入額をマイナスしたもの。

さて。用語説明にも掲載した通り、「民間最終消費支出」とは、「民間で消費の為に行われた支出」です。
また、項目の中に「政府最終消費支出」とありますが、これも同じく「消費のために行われた支出」です。

つまり、「民間最終消費支出」と「政府最終消費支出」を合算すれば、「消費」の総額が出てくるということです。
現時点では今年度、2015年度12月までの「GDPデータ」が公表されていますから、今年度第一四半期(4月~6月)~第3四半期(10月~12月)までの数字を昨年度の同一データと比較する形で考えてみたいと思います。

民間最終消費支出
2014年度
第1四半期 71.8兆円
第2四半期 73.19兆円
第3四半期 75.55兆円
合計 220.58兆円

2015年度
第1四半期 71.78兆円
第2四半期 73.29兆円
第3四半期 75.58兆円
合計 219.65兆円
差額 ▲931億円

政府最終消費支出
昨年度
第1四半期 26.7兆円
第2四半期 22.8兆円
第3四半期 26.97兆円
合計 76.54兆円

本年度
第1四半期 27.06兆円
第2四半期 23.02兆円
第3四半期 27.31兆円
合計 77.39兆円
差額 850億円

民間最終消費支出+政府最終消費支出=▲81.1億円

これが、「GDPデータ」から読み取れる2015年度の消費支出を昨年度と比較したデータです。
さて。賢明な方はすでにお気づきですね?

この、「最終消費支出」は「ある一定期間に消費された消費の合計金額」なのですが、同じ「消費」のデータが別に存在しましたよね?
それが、「消費税収」です。既にお示ししたように、今年度1月の時点で、消費税収に換算して「2.5兆円分の消費」が増えていましたよね?12月の時点で2.3兆円、11月の時点で2.2兆円です。
しかも、既にお伝えしたようにこれらの数字はあくまで「消費税収分」にすぎません。
13年度と14年度を比較した時とはわけが違います。

1月時点で33.75兆円、12月の時点で31.05兆円、11月の時点で29.7兆円の消費が増えていなければ、これらの消費税収になることはないのです。
消費税の集計期間は6月からスタートしていますから、会計年度と比較すると2か月遅れています。

つまり、第1~第2四半期と11月時点での「消費」を比較するときれいに比較することができます。

第2四半期には民間消費支出でも消費が増えていますから、政府最終消費支出と合わせると588億円の増加になります。
ですが、消費税ベースで見た29.7兆円の消費とは桁が違います。

それとも、消費税の対象とならない商品の消費がそこまで激減したのでしょうか?
また、もう一つの考え方として、「民間住宅」「民間設備投資」「公的資本形成」の3項目の消費が増えたのでは、という考え方もできますが、それらを加えても第1~第2四半期で1.1兆円の増加にすぎません。

なぜこれだけの乖離が生じているのか。計算式から考えると、誤差が生まれるのはどう考えても直接税収を計算している消費税よりも、サンプル値から加重平均して算出しているGDPベースの数字です。(第53回の記事をご参照ください)

このことから、塩崎大臣に対して私が行った一つ目の質問は、「名目GDPのサンプルデータの取り方に誤りがあるのではないか」ということです。
また合わせて8%に増加した時点での消費税収で、このままのベースで推移すれば20兆円を上回ることが予測できるわけなので、わざわざ10%に増税をせずとも数年間の社会保障予算は賄えるのではないか、ということ。

せめて我々民間の「平均給与所得」の増加率が消費税率(10%)に追いつくまでは、消費増税を先送りすることはできないのか、ということを質問の形式をとって提言させていただきました。

もちろん決断を下すのは安倍さんですし、そのカギを握っているのは麻生さんです。
塩崎大臣に権限のある分野ではありませんが、私の主張はものすごく説得力のある理論だと思うのです。

もちろん、海外で何か事があったときに対応できるのか、「一時的な数字」を将来の予算に反映させるのは危険である、ということは理解できます。
ですが、せめて「給与所得の増加率が追いつくまで」という理屈であれば決して通らない理屈ではないのではないでしょうか。

質問を受けていただいた塩崎さん。そして安倍さん、麻生さん。いかがですか?

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