第46回 上振れした『税収』の活用方法など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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<前回の記事 第45回 アベノミクスを問う19

前回の記事では、「15年度税収56.4兆円に、1.9兆円上振れ 補正財源に充当」というニュースについて、「アベノミクスを問う」を締めくくる形でお示しする、と記したのですが、改めまして、「ニュースの見方」とのサブタイトルで、新たにシリーズ化してみたいと思います。

「税収」の見方

このニュース、関連してこちらのニュースも引用しておきたいと思います。

7~9月実質GDP、年率1.0%増に上方修正

 内閣府が8日発表した2015年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比0.3%増、年率換算では1.0%増だった。11月16日に公表した速報値(前期比0.2%減、年率0.8%減)から上方修正した。

 QUICKが4日時点でまとめた民間予測の中央値は前期比横ばい、年率0.1%増だった。

 生活実感に近い名目GDPは前期比0.4%増(速報値は0.0%増)、年率では1.6%増(0.1%増)だった。

 実質GDPを需要項目別にみると、個人消費は0.4%増(0.5%増)、住宅投資は2.0%増(1.9%増)、設備投資は0.6%増(1.3%減)、公共投資は1.5%減(0.3%減)だった。民間在庫の寄与度はマイナス0.2ポイント(マイナス0.5ポイント)だった。 (2015/12/8 8:54 日経)

本題は
15年度税収56.4兆円に、1.9兆円上振れ 補正財源に充当
↑こちらのニュースですので、まずはこちらのニュースに対する見解から記事をスタートします。

[東京 3日 ロイター] - 2015年度の一般会計税収は今年1月時点の想定から1.9兆円上振れし、56.4兆程度となる見通しとなった。所得税や法人税の伸びを踏まえ、政府が近く上方改定する。

国の税収が56兆円台に乗せるのは1991年度以来24年ぶり。政府は、上振れした税収1.9兆円を14年度までの予算の使い残しとともに15年度補正予算の財源とし、規模を3兆円超とする方向だ。

補正編成では、15年度に予定していた新規国債の減額に加え、税外収入もマイナスとなる公算が大きい。将来の金利上昇に備え、日銀が、引当金を積み増す制度改正に踏み切るためだ。



少し話題がそれますが、ニュースピックスというサイトがあります。
クリックしていただきますと、同タイトルのニュース記事にたどり着くことができます。

こちらでは、同名のニュースに対して、登録者が各々自分自身のコメントを掲載することができます。
一人投稿のみですので2ちゃんねるのような言い争いになりにくいのは一つのメリットだと思います。

このサイトでは、一人ひとりのコメントに対して、Facebookと同様に「Liked」ボタンを押すことができます。

つまり、「私はこの投稿に対して共感しましたよ」ということを示すことができる機能なのですが、1つのニュースに対して、多くの方がどのような認識を持っているのかということがわかります。

さて。では今回のメインテーマについて、どのようなコメントが一番共感されているかというと、

「予想外のお小遣いが入ったから無駄遣いじゃ、子供と同じである。」
という意見。

つまり、多くの人は

上振れした税収」とは「たまたま増えただけ」であり、
補正財源に充当」することは「無駄遣い」である

と考えているわけです。

ですがこれ、本当に「たまたま増えただけ」なのでしょうか。

シリーズ「アベノミクスを問う」では、安倍内閣が、一体どのような意図をもって政策を展開し、その結果どのような経済効果が市場におきたのか、ということを説明してきました。

安倍内閣が市場に対してまず行ったことは、停滞したデフレ経済を動かすための、「期待インフレ率を高めるための政策」でした。

また一方で、「期待インフレ率を高めるための政策=日銀政策」と同時に「第二の矢」、「第三の矢」を投じることで、流動性の高まった市場の、「消費性向」を高めようとしました。

また一方で、「社会保障政策を安定させるため」に「消費増税」を行いました。

その結果、これまで「社会保障」のために割かれていた税収を他の分野に充当することができるようになり、必要以上の国債を発行せずとも、「経済成長」のための政策を実行できるようになったのです。

増税後の消費税収については第29回の記事」にてお伝えした通りです。

一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移 財務省

こちらは政府一般会計税収の推移。財務省HPより引用した物です。
一番着目していただきたいのは、平成25年。前年、つまり安倍内閣に入る前と比較して歳出が97.1兆円→100.2兆円と、実に3兆円近く増加しています。
ところが、「国債発行額」を見ると、47.5兆円→40.9兆円と、こちらは「激減」といってもいいほどに下落していますね?

なぜこのようなことが出来たのでしょうか。

平成25年国債発行額
こちらは同じく財務省HPより閲覧することのできる、「平成25年度国債発行計画」です。
補正前の数値ですが、ちょうど24年の資料も掲載されていますので、比較する形で見ることができます。

この資料で見ていただきたいのは、平成24年度の当初予算と補正予算の比較です。
見ての通り、5.2兆円ほど国債発行額が増額されています。

ちなみに補正を行ったのは年が明けてから。
安倍内閣がスタートしたのが24年12月ですから、安倍内閣スタート後、ということになります。

一方↓こちらは、平成25年度。補正予算後の資料です。
平成25年国債発行額(補正後)

年金特例国債は本筋とは関係ありませんので無視してください。
特例国債が減額され、建設国債が増額されていますが、金額は一緒です。つまり、事実上補正後に国債は発行されていない、ということです。

では、25年度は補正予算が組まれなかったのかというと、そういうわけではありません。
総額で5.4兆。前年を上回る規模で補正予算が組まれているのです。

内訳は「税収」「税外収入」「前年度剰余受け入れ」の3項目。

政権交代直後に建設国債を5兆円発行し、経済対策のために投与。
その結果、アベノミクスと合わせて経済が大幅に回復し、税収が2.2兆円増えたと、つまりはそういうことです。

この流れは25年度だけでなく、26年度も同様のことが行われているのです。
25年度の補正政策のおかげで26年度の税収が増額し、国債を発行せずに補正を組む。

その結果27年度の税収が回復し、国債を発行せずとも・・・という流れです。
25年度、上振れした税収は2.2兆円でしたが、これを補正として投じた結果、26年の税収は当初予算と比較して4兆円も上振れしたのです。

27年度、上振れすると想定される税収を「予想外の小遣い」程度にしか考えることができず、税収を増やすための施策を「無駄遣い」としか考えられないような「世論」がこれまでの政治をコントロールしてきていた、ということです。

政策を批判する前に、まずはそれぞれの政策にどのような意味合いが込められているのかということを深く考察できる。
その様な国民が増えてくることを切に願います。

次回記事では、このところ話題になっている「内部留保」という言葉について検証してみたいと思います。

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