第44回 「消費者物価指数」の見方など、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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前回の記事では、「賃金指数(平均給与所得)」について、厚労省データと国税庁データの二つがあることをお示しし、厚労省データには従業員5名未満の事業所が含まれておらず、「実質賃金指数」はその5名未満の事業所が含まれていない厚労省データより算出されていることをお示しし、「実質賃金指数」そのものがやや正確性に欠ける数値であることをお示ししました。

また一方で実質賃金指数を決定する要素の一つとして「消費者物価指数」が関係していることをお示しし、その解析を今回の記事に委ねました。

「消費者物価指数」って何?

消費者物価指数・・・については第4回の記事で一度ご説明した上で、第9回の記事でも軽く触れています。

ですが、じゃあそもそも「消費者物価指数」って何なの?って言われても、少し理解しづらいと思います。

ひとことで言い表すとすれば、

「消費者物価指数」とは、「消費者が実際に買い物をするときの小売価格の変動を表わす数字」

です。
政府や日銀が目指している「年率2%の物価上昇」とは、この「消費者物価指数の上昇」であるといってもよいでしょう。

ですが、抑々「消費者物価指数」の語彙だけから考えると、年率%で消費者物価が上昇するということは、つまり我々消費者が買い物をする際の「小売価格」が上昇するということです。

これ、普通に考えると、あまり望ましいことではないようにも感じますよね?
ですが、抑々「デフレ」とは、企業が販売をする際、利益を食いつぶして場合によっては赤字で商品を売買していたからこそ起きていた経済現象です。
その結果削られていたのが我々労働者の「賃金」です。

①「物価」の考え方
我々が収入を得るためには、我々を採用している企業が、きちんと利益を確保する必要があります。
「消費者物価」が上昇するということは、「企業が値下げをしなくても商品が売れるようになっている」ということです。

その結果企業の利益が確保され、これが我々の賃金水準へと転化される。
この結果市場の流動性が高まり、「流動性の罠」から日本経済は脱却し、初めてデフレを脱却することができるようになるのです。
(※「流動性」および「流動性の罠」については第16回の記事をご参照ください。)

②「消費増税」と「消費者物価指数」
ところが、一方で「消費増税」が行われ、税制度によって強制的に物価が上昇させられた場合。
物価水準で見ますと増税された分は企業の利益を圧迫します。利益を確保しようとすれば、消費増税分以上に小売価格を引き上げる必要があるわけですから、賃金水準の上がっていない市場では、却って消費を減退させ、見かけの物価が上昇したとしても、実質的な「消費」は減速します。

物が売れなければ価格を引き下げざるを得ません。
このことから考えると、消費増税が行われた年の消費者物価指数をみる場合、消費者物価指数全体から、消費増税によって引き上げられた物価をマイナスして、それでも尚物価が上昇しているかどうかが物価水準を見る上での胆となります。

③コアCPIとコアコアCPI
また一方で、仮にアベノミクスが成功して景気が完全に回復しても、日本の経済は、「景気」以外の要素で変動を余儀なくされる場合があります。

そのうちの一つが天候や気温の影響を受けて変動する「生鮮食料品」。
仮に天候の不純により作物が不作となれば、当然野菜等の作物の小売価格は上昇します。天候の不純に伴う物価の上昇は利益を圧迫します。この考え方から生鮮食料品を省いた消費者物価の変動を表す数字として公表されるようになったのが「コアCPI」です。

もう一つが為替変動や国外の景気・需要の影響を受けて変動する「輸入品目」です。
輸入品目の内、最も大きな割合を占めるのが「鉱物性燃料」。
このことから、上記生鮮食料品に加えて「酒類を除く食料」および「エネルギー」の値を省いて計算された指標が「コアコアCPI」です。
(※CPIとは、消費者物価指数のことです)

マクロベース、税制や税収を考える上では国内の経済活動以外の部分で変動する物価を含む指標を使うと、正確な情報を把握することができませんから、消費者物価指数の指標として「コアコアCPI」で見ることでより実態に近い経済状況を見ることができますが、ミクロベース、賃金等、より私たちの生活に近い水準では輸入物価や生鮮食料品の変動が直接生活に影響を与えますから、「CPI」を指標として用います。

ただ、コアCPIもコアコアCPIも、マクロベースの経済指標をみる手段としては、本来不必要なデータが含まれていますので、やはりCPIではなく「デフレーター」を使うことで最も実態に近い状況を把握することができます。
(※デフレーターについては第9回の記事をご参照ください)

さて、では「実質賃金指数」を算出する上で用いられている「消費者物価指数(CPI)」。
アベノミクスがスタートしたとき、多くのマスコミが、「アベノミクスは円安誘導政策であり、の影響で輸入物価が上昇し、例え物価が上昇したとしても国民の生活が打撃を受けるんだから、アベノミクスは失敗だ」という論調が多くみられました。

では、実際にどうだったのでしょう。
本日は2015年12月1日。アベノミクスがスタートしてはや3年が経過しようとしています。

3年経過した結果どうだったのでしょうか。「円安により輸入物価が上昇し、国民の生活は大変になった」のでしょうか。

次回記事では、この「輸入物価」に着目し、その変動を追いかけることでアベノミクスと輸入物価の関係についても解析を進めたいと思います。

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