第35回 名目GDPと実質GDPなど、政治・経済を中心とした日常的な情報を、独自な視点で解析します。

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アベノミクスを問う⑩

前回の記事では、「マイナンバー制度の正体」とのテーマで、このところ話題になっている「マイナンバー制度」が巷で話題になっているように、国民の資産状況をすべて把握することを目的としたような制度などではなく、国民から徴収した消費税を、より公正に国民に還元するため、低所得者ほどその恩恵をより受けやすくするために考えだされた制度であることをご説明しました。

さて。これまでのテーマ、「アベノミクスを問う」では、制度設計に着目し、安倍内閣がそもそも目指しているものとは何か、というテーマに着目し、過去よりもどちらかというと現在、または将来のアベノミクスについて解説いたしました。


アベノミクスの成果

しかし、アベノミクスはスタートして既に3年目を迎え、三年目もすでに半ばに差し掛かっています。
「アベノミクス、アベノミクス」というけれど、ではこれまでの成果はどうなのか、というところもやはり気にかかるところです。

第25回の記事におきまして、アベノミクスを麻生政策と比較する形で検証した際、安倍内閣のHPより図表を抜粋し、安倍内閣自身が公表している「アベノミクスの成果」を掲載しました。

それがこちらの図です。
seika201506.gif

ですが、これだけの数字を示されても、では一体何がどう良くなったのかは理解しがたいと思います。
中には言葉の意味すらよく理解できないものも含まれているのではないでしょうか。

また中には、この中であえて「成果」として掲げるのは正直どうなのか、という数字もあります。
ですので、この中で必要だと思われる指標について、いくつかピックアップし、用語を解説する形式から少しずつアベノミクスの「成果」を解き明かしていきたいと思います。


『実質GDP』と『名目GDP』


先ほどの図表の中で、一番最初に記されているのがこの「GDP」の成長率。

実質GDP
 年率 +2.4%成長(2015年1-3)
 累計 +2.0%成長(2015年1-3月期/2012年10-12月期)

と、このように記されています。

この数字、とても誤魔化しっぽい数字だな、と私は感じるんですが、安倍内閣の成果をこじつけるため、無理やり数字を掲載しているようにしか感じません。

批判的な表現をしていますが、わざわざこんなこじつけの数字を示さずとも、立派に安倍内閣の経済は成長していますよ、ということです。

先ほどの数字を解説しますと、

「2015年の実質GDPの経済成長率は、2015年1月~3月の実質GDPを、2015年の10月~12月の実質GDPと比較し、これを『年率』に換算すると1年間で2.4%成長したことになるんですよ」
「安倍内閣に入って(集計当時の)最新のデータである2015年1月~3月の実質GDPを、安倍内閣が誕生する直前の2012年10月~12月の数字と比較すると、2.0%経済成長していますよ」

という意味合いになります。
ですが、これでも全く理解できませんよね、普通。だから、私はこのデータが「誤魔化しだ」と感じているわけです。

なぜこんな難しい表現をしているのか。これは、実はこの数字が『国民』ではなく、安倍内閣に否定的な野党や民間勢力に対して発信されたものだから。
もうちょっと『国民』の方を向いてよ、と訴えたくなるような内容です。

なぜこの数値が理解できないのか。それは、ここにいくつかわからないことがあるからです。
まずはここに書かれてある内容を理解していただき、本当にHPに掲載すべき内容なのかどうか、ということを理解していただくことが第一段階の目的です。

第9回の記事の中で、私は「GDP」のことを、以下のように説明しています。

名目GDPとは、単純に計上された消費を、一切手を加えず、単純に合計した金額のこと。
実質GDPとは、名目GDPで合計された計算結果から、「上昇した物価」分を「上昇しなかったこと」にして計算した計算結果のことです。

理解しやすいように作ったつもりの記事ですが、いろいろと根本的なことを解説せぬまま推し進めていますので、却ってわかりにくい内容になっていますね、第9回の記事全体が。

私自身、改めて「GDP」のことを理解しきれていなかったのかな、と反省する部分も然りです。

「名目GDP」と「実質GDP」の違いとは、

「名目GDPとは、『金額』ベースで考えたGDP」
「実質GDPとは、『消費量』ベースで考えたGDP」


という説明が端的で解りやすいと思います。

昨年度のコーラの売上が、100本で、単価が120円であったと考えた場合。
昨年度のコーラの売上は120円×100本で、12000円になります。

実質GDPとは、ある期間とある期間を比較して、「物価が成長しなかった」と考えた場合のGDPです。

実質GDPを考えるとき、「基準年」を設定します。


仮に「昨年度」を基準年とした場合。

<ケース1>
コーラの単価が120円のまま変化せず、本数が200本になったとすると、次年度の売上は

120円×200本で24000円になります。

この場合、名目GDPも実質GDPも24000円です。

<ケース2>
コーラの単価が240円に値上がりし、本数は100本のままであったとすると、次年度の売上は

240円×100本で、24000円になります。

この場合、名目GDPは24000円ですが、実質GDPは「物価が成長していない」と考えますので、単価は120円のまま値上がりしていない、と考えます。

ですので、この場合の実質GDPは120円×100本で12000円のまま。
つまり、名目で考えると経済は成長していますが、実質で考えると経済は成長していないことになります。

名目と実質の間に、このような成長率の違いが生まれるのは、名目は金額に着目しているからであり、実質は消費量に着目しているからです。

具体的な数字で見てみますと、消費増税が行われる前の2013年と増税後の2014年で比較しますと、

2013年度の名目GDPは483兆円
2014年度の名目GDPは490兆円 です。

ところが、

2013年度の実質GDPは530兆円
2014年度の実質GDPは525兆円 と、5兆円分下落しています。

なぜこのような違いが生まれるのかというと、「名目の物価上昇分には消費増税による物価上昇が含まれている」からであり、「消費増税により消費量が減ったから実質GDPは下落した」というように考えることができます。

改めてこちらの図表を見てみますと、
seika201506.gif

安倍内閣では成果として、「実質GDPは上昇した」としか掲載していません。
これは、明らかに消費増税による実質の下落分をごまかすためこのように都合のよい数字ばかりをピックアップした、というように判断されても仕方ないと思います。

ですが、私はこの、「消費増税により消費量が減ったため実質GDPが下落した」という考え方には否定的です。
はっきり言って間違っていると考えています。

では、私がなぜ「消費増税により消費量が減ったため実質GDPが下落した」という意見に否定的なのか。このことについて、記事を分け、次回記事にてご説明いたします。

このシリーズの過去の記事
>> 第36回 実質GDPの正体
このシリーズの新しい記事
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